JP2004139875A - 雌端子 - Google Patents
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Abstract
【課題】雄端子と雌端子との接触安定性が高く、しかも雄端子と雌端子の摺動摩耗が回避された接続信頼性の高い雌端子を提供する。
【解決手段】筒状を成す電気接触部42の一方の壁部42eに第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52をそれぞれ設け、電気接触部42の他方の壁部42aに第3の弾性接触片54を設け、第1の弾性接触片50、第2の弾性接触片52及び第3の弾性接触片54により、雄端子13を板厚方向に相対移動可能に保持する。雄端子13の挿入方向に、第1の弾性接触片50、第3の弾性接触片54、第2の弾性接触片52を順に配置する。第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とを互いに交差する方向に延出させる。各弾性接触片50,52,54の先端側に、電気接触部42の一方又は他方の壁部42a,42e内面に当接可能な当接部51c,53c,55cを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】筒状を成す電気接触部42の一方の壁部42eに第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52をそれぞれ設け、電気接触部42の他方の壁部42aに第3の弾性接触片54を設け、第1の弾性接触片50、第2の弾性接触片52及び第3の弾性接触片54により、雄端子13を板厚方向に相対移動可能に保持する。雄端子13の挿入方向に、第1の弾性接触片50、第3の弾性接触片54、第2の弾性接触片52を順に配置する。第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とを互いに交差する方向に延出させる。各弾性接触片50,52,54の先端側に、電気接触部42の一方又は他方の壁部42a,42e内面に当接可能な当接部51c,53c,55cを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジングなどに収容されて、相手側のコネクタハウジングに収容された雄端子と電気的に接続する雌端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5には、従来の雌端子の一例が示されている(特許文献1)。
【0003】
雌端子70は、導電性基板を打ち抜き、その後に折り曲げ加工を経て形成されたものであり、一側に電気接触部71を有し、他側に電気接触部71に連続する電線圧着部79を備えている。
【0004】
電気接触部71は、筒状をなし、前端面72及び後端面73が開口形成されている。雄端子80は、前端開口から挿入されて、奥側に進入可能になっている。雄端子80の挿入完了状態では、雄端子80の先端が後端開口に臨んでいる。
【0005】
雌端子70の電気接触部71を形成する天井壁75の両端部には、延出部が一体に形成されていて、この延出部を下方に折り曲げることによって前側弾性接触片76と後側弾性接触片77とがそれぞれ形成されている。前側弾性接触片76と後側弾性接触片77とは、対称形状をなしており、対向して位置している。
【0006】
前側弾性接触片76と後側弾性接触片77は、その突当部76a,77a同士が互いに当接しているため、雄端子80の挿入時には両弾性接触片76,77の弾性撓みが抑制され、雄端子80が高い接触圧力で挟持されるようになっている。
【0007】
電気接触部71の底壁75には、雄端子80の挿入方向に延びるリブ78が上向きに突出形成されている。このリブ78は、プレス加工などによってエンボス形成されたものであり、前側弾性接触片76及び後側弾性接触片77とは異なり弾性を有するものではない。
【0008】
雌端子70の電気接触部71に雄端子80を挿入すると、雄端子80は、前側弾性接触片76を弾性変形させて、前側弾性接触片76とリブ78との間に挟まれる。次ぎに、雄端子80を奥へ押し込むと、雄端子80は後側弾性接触片77を弾性変形させて、後側弾性接触片77とリブ78との間に挟まれる。
【0009】
すなわち、雄端子80は、前側弾性接触片76と後側弾性接触片77の2点で弾性的に保持されるようになっている。これにより、雄端子80と両弾性接触片76,77との接触面積が確保され、接触抵抗の低減が図られている。また、電線が振動した場合であっても、雄端子80のがたつきが生じ難く、雄端子80と両弾性接触片76,77との安定した接触状態が保たれるようになっている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−45403号公報(第2−3頁、第2図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の雌端子70では、解決すべき以下の問題点がある。
【0012】
一つには、両弾性接触片76,77は弾性的であるのに対し、リブ78は弾性的でないため、図示しない電線やコネクタなどに振動が生じ、雄端子80や雌端子70にその振動が伝わり、上下方向に雄端子80や雌端子70が振動すると、雄端子80とリブ78との間に隙間が形成されて、両端子70,80に接続不良が生ずることがある。
【0013】
すなわち、振動により雄端子80に上方への力が生じた場合は、雄端子80が両弾性接触片76,77を押圧しながら上方へ移動し、雄端子80がリブ78から離れることがある。逆に、振動により雄端子80に下方への力が生じた場合は、雄端子80がリブ78に強く押し付けられるだけであり、雄端子80が両弾性接触片76,77から離れることはない。
【0014】
振動が生じた場合に、雄端子80がリブ78から離れないようにするには、両弾性接触片76,77のばね定数を大きくし、両弾性接触片76,77と雄端子80との接触圧力を高めることが考えられるが、コネクタ嵌合時の雄端子80の挿入抵抗が大きくなってしまい、コネクタの嵌合作業性が悪くなってしまうという問題がある。対向する雄端子80と雌端子70とにピッチずれがある場合には、雄端子80を無理に押し込むと、雄端子80が座屈して折れ曲がることもある。
【0015】
また一つに、雄端子80がリブ78と両弾性接触片76,77との間で摺動した際に、雄端子80に摺動摩耗が生じることがある。摺動部には、酸化皮膜が形成されて、接触抵抗が高くなり、導通不良を生ずることもある。
【0016】
本発明は、上記した点に鑑み、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどにより振動が生ずる場合であっても雄端子と雌端子との接触安定性が高く、しかも雄端子と雌端子の摺動摩耗が回避された接続信頼性の高い雌端子を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、筒状を成す電気接触部の一方の壁部に第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片がそれぞれ設けられ、該電気接触部の他方の壁部に第3の弾性接触片が設けられ、該第1の弾性接触片、該第2の弾性接触片及び該第3の弾性接触片により、雄端子が板厚方向に相対移動可能に保持されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、電気接触部の内側には、3箇所の位置に弾性接触片が設けられているから、雄端子と雌端子の接触面積が増加して、両端子の接触抵抗が低減され、接触安定性が高まる。また、雄端子は、弾性接触片の間に挟まれ、動かないように保持されるから、雄端子と雌端子の摺動摩耗が回避される。
【0019】
また、雄端子は、板厚方向に相対移動可能に保持されるから、端子間にピッチずれがある場合や、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどによって振動が生ずる場合であっても、雄端子が各弾性接触片を押し付けながらピッチずれや振動に追随する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の雌端子において、前記雄端子の挿入方向に、前記第1の弾性接触片、前記第3の弾性接触片、前記第2の弾性接触片が順に配置されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、第3の弾性接触片が、第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片の間に位置するから、3点の作用点で雄端子が保持され、雄端子の挿入方向に生じる振動によって、雄端子と各弾性接触片とが摺動することが防止される。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の雌端子において、前記第1の弾性接触片と前記第2の弾性接触片とが互いに交差する方向に延出されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、各弾性接触片の干渉が防止され、各弾性接触片を長く形成することができる。このため、振動に対する雄端子の追随性が向上し、接触安定性が向上する。
【0024】
また、請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の雌端子において、前記雄端子と各弾性接触片との摺動部に潤滑剤が塗布されたことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、摺動部に酸化皮膜が形成され難くなり、接触抵抗が高くなることが防止され、電気的接続の信頼性が維持される。潤滑剤としては、プレスオイル、シリコングリース、コーティング剤などが使用される。
【0026】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の雌端子において、各弾性接触片の先端側には、前記電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接可能な当接部が設けられたことを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、雄端子に押された各弾性接触片は、当接部を電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接させることで、雄端子を押し返す復元力が強くなり、接触圧力を高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係る雌端子の一実施形態を示すものである。
【0029】
図1に示す雌端子40は、図2に示す展開状態にある導電性基板48を折り曲げて形成されたものであり、一側に角筒状の電気接触部42、他側に電線接続部47が形成されている。
【0030】
電気接触部42は、図2に示す導電性基板48を2点鎖線で示された折り曲げ線に沿って折り曲げることによって形成される。底壁42a(他方の壁部)の両側には、底壁42aから略垂直に立ち上がる側壁42b、42cが連なり、底壁42aの前縁には第3の弾性接触片54が延長形成されている。一側壁42bには、略直角に折り曲げられる縁壁42dが連なり、他側壁42cには、略直角に折り曲げられる天井壁42e(一方の壁部)が連なっている。天井壁42eの長手方向両側には、第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52が延長して形成されている。
【0031】
天井壁42eが連なる側壁42cは、電線接続部47の圧着片47a、47bより高くなっている。このため、展開図に示すように、第2の弾性接触片52が圧着片47a、47bの外側に位置することとなり、相互に干渉することが防止されている。
【0032】
図2に示す電気接触部42を構成する各壁部42b,42c,42d,42eを、折り曲げて組み立てた状態が図1又は図4に示されている。各壁部42b,42c,42d,42eに囲まれた内側の空間は、雄端子13の挿入空間になっている。電気接触部42の前端面44と後端面45は開口形成されていて、前端開口から雄端子13のタブ状の電気接触部13aが挿入されるようになっている。
【0033】
第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52が天井壁42eに設けられ、第3の弾性接触片54が底壁42aに設けられ、雄端子13が第1の弾性接触片50、第2の弾性接触片52及び第3の弾性接触片54により上下(板厚)方向に相対移動可能に保持されることが本発明の第1の特徴である。
【0034】
第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52と、第3の弾性接触片54とは、雄端子13を挟持することができるように、電気接触部42の対向する壁部に設けられていればよく、第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52を底壁42aに設け、第3の弾性接触片54を天井壁42eに設けてもよい。
【0035】
第1の弾性接触片50は、天井壁42eの前端縁部に一体的に連なる略直角三角形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を下向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま後方へ延出させることにより形成されている。
【0036】
第1の弾性接触片50の先端側に、天井壁42eに当接可能な当接部51cを設けたことも本発明の特徴である。この当接部51cは、天井壁42eに沿って延長する部分であり、天井壁42eに当接可能になっている。すなわち、雄端子13の挿入前は天井壁42eから離れていて、雄端子13の挿入後は天井壁42eに当接するようになっている。
【0037】
当接部51cが天井壁42eに当接すると、第1の弾性接触片50の弾性力が強くなり、この弾性力でタブ状の電気接触部13aが押し返されて、電気接触部13aと第1の弾性接触片50との接触圧力が高まり、接触安定性が向上するようになっている。
【0038】
第1の弾性接触片50の付け根側は、天井壁42eに連なる部分であり、曲げ応力の集中する部分であるため、滑らかな弧状になるように形成されている。ばね定数を大きくして、弾性力を高める必要がある場合は、付け根側を太く形成することが有効である。逆に、ばね定数を小さくして、弾性力を低くする必要のある場合は、付け根側を細く形成することが有効である。
【0039】
第1の弾性接触片50の先端側と付け根側の間に位置する湾曲部には、下向きに突出する接触部51a(摺動部)がエンボス成形されている。接触部51aはタブ状の電気接触部13aと電気的に接触する。
【0040】
また、接触部51aに、プレスオイルなどの潤滑剤を塗布することも有効である。潤滑剤には、プレスオイルの他にシリコングリース、コーティング剤などが使用される。接触部51aに潤滑剤を塗布することにより、摺動摩耗が抑制され、接触部51aに酸化皮膜が形成されず、接触抵抗が高くなることが防止され、電気的接続の信頼性が維持される。なお、シリコングリースは、被膜形成を抑制する効果の他に振動吸収効果も有しており、例えば、強制振動や自励振動などに有効である。
【0041】
第2の弾性接触片52は、天井壁42eの後端縁部に一体的に連なる略直角三角形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を下向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま前方へ延出させることにより形成されている。第2の弾性接触片52の先端側にも、天井壁42eに当接可能な当接部53cが設けられている。また、第2の弾性接触片52の湾曲部には、下向きに突出する接触部53aがエンボス成形されている。
【0042】
第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52は、対称形状をなして雄端子13の挿入方向に一列に並び、天井壁42eの略中間でその先端側が交差している。第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とが互いに交差する方向に延出していることも本発明の特徴である。
【0043】
図1又は図3に示すように、第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とを互いに交差する方向に延出させると、各弾性接触片50,52を長く伸ばすことが可能となる。このため、端子のピッチずれや振動などに対する雄端子13の追随性が向上し、各弾性接触片50,52と雄端子13とが離れず、接触安定性が向上する。
【0044】
各弾性接触片50,52のばね定数が小さくても、天井壁42eの2箇所に弾性接触片50,52が設けられているため、弾性接触片が一つだけの場合と比べると接触圧力が2倍になり、コネクタハウジング12,20のがたつきや電線39のばたつきなどによって振動が生じても、両端子13,40の安定した接触状態を保つことができる。
【0045】
第3の弾性接触片54は、底壁42aの前端縁部に一体的に連なる直方体形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を上向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま後方へ延出させることにより形成されている。第3の弾性接触片54の先端側にも、第1、第2の弾性接触片50,52と同様にして底壁42aに当接可能な当接部55cが設けられている。
【0046】
この第3の弾性接触片54は、第1、第2の弾性接触片50,52の相似形であり、略2倍の寸法に形成されている。このため、第3の弾性接触片54は、底壁42aの前端縁部から後端縁部まで、電気接触部42の全長に渡って延出形成されている。ばね定数も、概ね2倍に設定されている。
【0047】
また、第3の弾性接触片54にも、第1、第2の弾性接触片50,52と同様にしてタブ状の電気接触部13aに対する接触部55aが形成されている。雄端子13の挿入方向に、第1の弾性接触片50の接触部51a、第3の弾性接触片54の接触部55a、第2の弾性接触片52の接触部53aが順に配置されている。言い換えると、第3の弾性接触片54の接触部55aが、第1の弾性接触片50の接触部51aと第2の弾性接触片52の接触部53aの間に位置している。
【0048】
このように配置することで、雄端子13は各弾性接触片50,52,54の3点の作用点で保持されて、雄端子13の挿入方向に生じる振動によって、雄端子13と各弾性接触片50,52,54とが摺動することが防止されている。
【0049】
次ぎに、雌端子40が収容された雄型コネクタハウジング20と、雄端子13が収容された雌型コネクタハウジング12について説明する。
【0050】
図4に示すように、雄型コネクタハウジング20は、筒状のインナーハウジング26と、インナーハウジング26の外側を囲むフード部36とからなっている。インナーハウジング26は、その内側に端子収容室28を有していて、この端子収容室28に電線39の端部に接続された雌端子40が収容されるようになっている。
【0051】
雌端子40の電線接続部47には、防水用のゴム栓35に挿通された電線39が圧着されている。ゴム栓35は、蛇腹状のチューブであり、端子収容室28の内面に密着した状態に装着されている。これにより、電線39を伝う水滴が端子収容室28に浸入することが防止されている。
【0052】
端子収容室28の長手方向中間部に位置する内壁上部からは、ハウジングランス30が前方に向けて突出形成されている。ハウジングランス30の先端部には、係止面30aが形成されていて、この係止面30aが端子収容室28に挿入された雌端子40の電気接触部42に形成された係止部46に当接して、雌端子40が係止されるようになっている。
【0053】
ハウジングランス30の上方には、ハウジングランス30の撓み空間31が形成されていて、雌端子40によってハウジングランス30が上方に押し上げられることで、雌端子40の挿入が許容されている。撓み空間31に、インナーハウジング26の前端部に装着されたフロントホルダ34の突出部34aが挿入されると、ハウジングランス30の撓みが規制されて雌端子40の後抜けが防止されるようになっている。
【0054】
インナーハウジング26の奥壁側には、防水リング33が嵌着されていて、この防水リング33が雌型コネクタハウジング12の周壁15の内周面に密着することで、一対のコネクタハウジング12,20間の防水が図られるようになっている。
【0055】
フード部36は、略角筒状をなし、インナーハウジング26の後半部に一体的に連なり、コネクタ嵌合方向に突出形成されている。フード部36の内壁には、雌型コネクタハウジング12の周壁15に突設された図示しないガイドリブに対する図示しないガイド溝が凹設されていて、双方のコネクタハウジング12,20の嵌合動作が円滑に行われるようになっている。
【0056】
インナーハウジング26とフード部36の間の空間は、雌型コネクタハウジング12が嵌入する環状の嵌合空間38になっている。この嵌合空間38は、雌型コネクタハウジング12の周壁15が緊密に嵌合する空間に形成されている。
【0057】
雌型コネクタハウジング12は、自動車の車両搭載機器に直付けされた待ち受け状態にある機器側のコネクタハウジングであり、雄型コネクタハウジング20のインナーハウジング26を受け入れるコネクタ嵌合室19が、環状の周壁15の内側に形成されている。
【0058】
雄端子13は、雄型コネクタハウジング20の端子挿通孔27に対向して配置され、コネクタ嵌合室19内でコネクタ嵌合方向前方に突出している。一対のコネクタハウジング12,20を嵌合させると、タブ状の電気接触部13aが端子挿通孔27にガイドされながら雌端子40の電気接触部42に挿入されるようになっている。
【0059】
周壁15の天井壁15aの幅方向中央には、雄型コネクタハウジング20のロックアーム25に係合する係合溝16が形成されている。係合溝16の前方には、略垂直の係止面16aが形成されていて、この係止面16aにロックアーム25の先端部25aが係止されて、一対のコネクタハウジング12,20が抜け出さないように嵌合するようになっている。
【0060】
一対のコネクタハウジング12,20の嵌合は、雌型コネクタハウジング12に雄型コネクタハウジング20を対向させ、一対のコネクタハウジング12,20を相互に接近させて、環状の嵌合空間38に周壁15を押し込むことで行われる。
【0061】
なお、雌端子40の上下の向きや、コネクタハウジング12,20の上下の向きは、図1又は図3の使用形態での話であり、コネクタハウジング12,20の実使用の際には、上下の向きが逆になることもある。
【0062】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、雄端子は、板厚方向に相対移動可能に保持されるから、端子間にピッチずれがある場合や、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどによって振動が生ずる場合であっても、雄端子が各弾性接触片を押し付けながらピッチずれや振動に追随する。従って、雄端子と雌端子との接触安定性を向上することができる。
【0063】
また、請求項2記載の発明によれば、雄端子の挿入方向に、第1の弾性接触片、第3の弾性接触片、第2の弾性接触片が順に配置されているから、第3の弾性接触片が第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片の間に位置し、3点の作用点で雄端子が保持され、雄端子の挿入方向に生じる振動によって、雄端子と各弾性接触片とが摺動することが防止される。従って、雄端子と雌端子の接触抵抗を低減でき、接続信頼性を高めることができる。
【0064】
また、請求項3記載の発明によれば、第1の弾性接触片と第2の弾性接触片とが互いに交差する方向に延出しているから、各弾性接触片の干渉が防止され、各接触片を長く形成することができる。従って、振動に対する雄端子の追随性が良くなり、請求項1記載の効果がより一層高まる。
【0065】
また、請求項4記載の発明によれば、雄端子と各弾性接触片との摺動摩耗が抑制されるから、摺動部に酸化皮膜が形成されず、接触抵抗が高くなることが防止される。従って、請求項2記載の効果が助長され、電気的接続の信頼性が維持される。
【0066】
また、請求項5記載の発明によれば、各弾性接触片の先端側には当接部が設けられているから、雄端子に押された各弾性接触片は、当接部を電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接させることで、雄端子を押し返す復元力が強くなり、接触圧力を高めることができる。従って、雄端子と各弾性接触片の接触状態が安定した状態に保たれて、接触安定性がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る雌端子の一実施形態を示す一部断面図である。
【図2】図1に示す雌端子の展開図である。
【図3】図1に示す第1の弾性接触片と第2の弾性接触片を折り曲げた状態の図である。
【図4】図1に示す雌端子が収容された雄型コネクタハウジングと、雄端子が収容された雌型コネクタハウジングとの嵌合状態を示す断面図である。
【図5】従来の雌端子の一例を示す一部断面図である。
【符号の説明】
13 雄端子
40 雌端子
42 電気接触部
42a 底壁
42e 天井壁
50 第1の弾性接触片
52 第2の弾性接触片
54 第3の弾性接触片
51c,53c,55c 当接部
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジングなどに収容されて、相手側のコネクタハウジングに収容された雄端子と電気的に接続する雌端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5には、従来の雌端子の一例が示されている(特許文献1)。
【0003】
雌端子70は、導電性基板を打ち抜き、その後に折り曲げ加工を経て形成されたものであり、一側に電気接触部71を有し、他側に電気接触部71に連続する電線圧着部79を備えている。
【0004】
電気接触部71は、筒状をなし、前端面72及び後端面73が開口形成されている。雄端子80は、前端開口から挿入されて、奥側に進入可能になっている。雄端子80の挿入完了状態では、雄端子80の先端が後端開口に臨んでいる。
【0005】
雌端子70の電気接触部71を形成する天井壁75の両端部には、延出部が一体に形成されていて、この延出部を下方に折り曲げることによって前側弾性接触片76と後側弾性接触片77とがそれぞれ形成されている。前側弾性接触片76と後側弾性接触片77とは、対称形状をなしており、対向して位置している。
【0006】
前側弾性接触片76と後側弾性接触片77は、その突当部76a,77a同士が互いに当接しているため、雄端子80の挿入時には両弾性接触片76,77の弾性撓みが抑制され、雄端子80が高い接触圧力で挟持されるようになっている。
【0007】
電気接触部71の底壁75には、雄端子80の挿入方向に延びるリブ78が上向きに突出形成されている。このリブ78は、プレス加工などによってエンボス形成されたものであり、前側弾性接触片76及び後側弾性接触片77とは異なり弾性を有するものではない。
【0008】
雌端子70の電気接触部71に雄端子80を挿入すると、雄端子80は、前側弾性接触片76を弾性変形させて、前側弾性接触片76とリブ78との間に挟まれる。次ぎに、雄端子80を奥へ押し込むと、雄端子80は後側弾性接触片77を弾性変形させて、後側弾性接触片77とリブ78との間に挟まれる。
【0009】
すなわち、雄端子80は、前側弾性接触片76と後側弾性接触片77の2点で弾性的に保持されるようになっている。これにより、雄端子80と両弾性接触片76,77との接触面積が確保され、接触抵抗の低減が図られている。また、電線が振動した場合であっても、雄端子80のがたつきが生じ難く、雄端子80と両弾性接触片76,77との安定した接触状態が保たれるようになっている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−45403号公報(第2−3頁、第2図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の雌端子70では、解決すべき以下の問題点がある。
【0012】
一つには、両弾性接触片76,77は弾性的であるのに対し、リブ78は弾性的でないため、図示しない電線やコネクタなどに振動が生じ、雄端子80や雌端子70にその振動が伝わり、上下方向に雄端子80や雌端子70が振動すると、雄端子80とリブ78との間に隙間が形成されて、両端子70,80に接続不良が生ずることがある。
【0013】
すなわち、振動により雄端子80に上方への力が生じた場合は、雄端子80が両弾性接触片76,77を押圧しながら上方へ移動し、雄端子80がリブ78から離れることがある。逆に、振動により雄端子80に下方への力が生じた場合は、雄端子80がリブ78に強く押し付けられるだけであり、雄端子80が両弾性接触片76,77から離れることはない。
【0014】
振動が生じた場合に、雄端子80がリブ78から離れないようにするには、両弾性接触片76,77のばね定数を大きくし、両弾性接触片76,77と雄端子80との接触圧力を高めることが考えられるが、コネクタ嵌合時の雄端子80の挿入抵抗が大きくなってしまい、コネクタの嵌合作業性が悪くなってしまうという問題がある。対向する雄端子80と雌端子70とにピッチずれがある場合には、雄端子80を無理に押し込むと、雄端子80が座屈して折れ曲がることもある。
【0015】
また一つに、雄端子80がリブ78と両弾性接触片76,77との間で摺動した際に、雄端子80に摺動摩耗が生じることがある。摺動部には、酸化皮膜が形成されて、接触抵抗が高くなり、導通不良を生ずることもある。
【0016】
本発明は、上記した点に鑑み、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどにより振動が生ずる場合であっても雄端子と雌端子との接触安定性が高く、しかも雄端子と雌端子の摺動摩耗が回避された接続信頼性の高い雌端子を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、筒状を成す電気接触部の一方の壁部に第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片がそれぞれ設けられ、該電気接触部の他方の壁部に第3の弾性接触片が設けられ、該第1の弾性接触片、該第2の弾性接触片及び該第3の弾性接触片により、雄端子が板厚方向に相対移動可能に保持されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、電気接触部の内側には、3箇所の位置に弾性接触片が設けられているから、雄端子と雌端子の接触面積が増加して、両端子の接触抵抗が低減され、接触安定性が高まる。また、雄端子は、弾性接触片の間に挟まれ、動かないように保持されるから、雄端子と雌端子の摺動摩耗が回避される。
【0019】
また、雄端子は、板厚方向に相対移動可能に保持されるから、端子間にピッチずれがある場合や、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどによって振動が生ずる場合であっても、雄端子が各弾性接触片を押し付けながらピッチずれや振動に追随する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の雌端子において、前記雄端子の挿入方向に、前記第1の弾性接触片、前記第3の弾性接触片、前記第2の弾性接触片が順に配置されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、第3の弾性接触片が、第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片の間に位置するから、3点の作用点で雄端子が保持され、雄端子の挿入方向に生じる振動によって、雄端子と各弾性接触片とが摺動することが防止される。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の雌端子において、前記第1の弾性接触片と前記第2の弾性接触片とが互いに交差する方向に延出されたことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、各弾性接触片の干渉が防止され、各弾性接触片を長く形成することができる。このため、振動に対する雄端子の追随性が向上し、接触安定性が向上する。
【0024】
また、請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の雌端子において、前記雄端子と各弾性接触片との摺動部に潤滑剤が塗布されたことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、摺動部に酸化皮膜が形成され難くなり、接触抵抗が高くなることが防止され、電気的接続の信頼性が維持される。潤滑剤としては、プレスオイル、シリコングリース、コーティング剤などが使用される。
【0026】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の雌端子において、各弾性接触片の先端側には、前記電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接可能な当接部が設けられたことを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、雄端子に押された各弾性接触片は、当接部を電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接させることで、雄端子を押し返す復元力が強くなり、接触圧力を高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係る雌端子の一実施形態を示すものである。
【0029】
図1に示す雌端子40は、図2に示す展開状態にある導電性基板48を折り曲げて形成されたものであり、一側に角筒状の電気接触部42、他側に電線接続部47が形成されている。
【0030】
電気接触部42は、図2に示す導電性基板48を2点鎖線で示された折り曲げ線に沿って折り曲げることによって形成される。底壁42a(他方の壁部)の両側には、底壁42aから略垂直に立ち上がる側壁42b、42cが連なり、底壁42aの前縁には第3の弾性接触片54が延長形成されている。一側壁42bには、略直角に折り曲げられる縁壁42dが連なり、他側壁42cには、略直角に折り曲げられる天井壁42e(一方の壁部)が連なっている。天井壁42eの長手方向両側には、第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52が延長して形成されている。
【0031】
天井壁42eが連なる側壁42cは、電線接続部47の圧着片47a、47bより高くなっている。このため、展開図に示すように、第2の弾性接触片52が圧着片47a、47bの外側に位置することとなり、相互に干渉することが防止されている。
【0032】
図2に示す電気接触部42を構成する各壁部42b,42c,42d,42eを、折り曲げて組み立てた状態が図1又は図4に示されている。各壁部42b,42c,42d,42eに囲まれた内側の空間は、雄端子13の挿入空間になっている。電気接触部42の前端面44と後端面45は開口形成されていて、前端開口から雄端子13のタブ状の電気接触部13aが挿入されるようになっている。
【0033】
第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52が天井壁42eに設けられ、第3の弾性接触片54が底壁42aに設けられ、雄端子13が第1の弾性接触片50、第2の弾性接触片52及び第3の弾性接触片54により上下(板厚)方向に相対移動可能に保持されることが本発明の第1の特徴である。
【0034】
第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52と、第3の弾性接触片54とは、雄端子13を挟持することができるように、電気接触部42の対向する壁部に設けられていればよく、第1の弾性接触片50及び第2の弾性接触片52を底壁42aに設け、第3の弾性接触片54を天井壁42eに設けてもよい。
【0035】
第1の弾性接触片50は、天井壁42eの前端縁部に一体的に連なる略直角三角形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を下向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま後方へ延出させることにより形成されている。
【0036】
第1の弾性接触片50の先端側に、天井壁42eに当接可能な当接部51cを設けたことも本発明の特徴である。この当接部51cは、天井壁42eに沿って延長する部分であり、天井壁42eに当接可能になっている。すなわち、雄端子13の挿入前は天井壁42eから離れていて、雄端子13の挿入後は天井壁42eに当接するようになっている。
【0037】
当接部51cが天井壁42eに当接すると、第1の弾性接触片50の弾性力が強くなり、この弾性力でタブ状の電気接触部13aが押し返されて、電気接触部13aと第1の弾性接触片50との接触圧力が高まり、接触安定性が向上するようになっている。
【0038】
第1の弾性接触片50の付け根側は、天井壁42eに連なる部分であり、曲げ応力の集中する部分であるため、滑らかな弧状になるように形成されている。ばね定数を大きくして、弾性力を高める必要がある場合は、付け根側を太く形成することが有効である。逆に、ばね定数を小さくして、弾性力を低くする必要のある場合は、付け根側を細く形成することが有効である。
【0039】
第1の弾性接触片50の先端側と付け根側の間に位置する湾曲部には、下向きに突出する接触部51a(摺動部)がエンボス成形されている。接触部51aはタブ状の電気接触部13aと電気的に接触する。
【0040】
また、接触部51aに、プレスオイルなどの潤滑剤を塗布することも有効である。潤滑剤には、プレスオイルの他にシリコングリース、コーティング剤などが使用される。接触部51aに潤滑剤を塗布することにより、摺動摩耗が抑制され、接触部51aに酸化皮膜が形成されず、接触抵抗が高くなることが防止され、電気的接続の信頼性が維持される。なお、シリコングリースは、被膜形成を抑制する効果の他に振動吸収効果も有しており、例えば、強制振動や自励振動などに有効である。
【0041】
第2の弾性接触片52は、天井壁42eの後端縁部に一体的に連なる略直角三角形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を下向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま前方へ延出させることにより形成されている。第2の弾性接触片52の先端側にも、天井壁42eに当接可能な当接部53cが設けられている。また、第2の弾性接触片52の湾曲部には、下向きに突出する接触部53aがエンボス成形されている。
【0042】
第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52は、対称形状をなして雄端子13の挿入方向に一列に並び、天井壁42eの略中間でその先端側が交差している。第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とが互いに交差する方向に延出していることも本発明の特徴である。
【0043】
図1又は図3に示すように、第1の弾性接触片50と第2の弾性接触片52とを互いに交差する方向に延出させると、各弾性接触片50,52を長く伸ばすことが可能となる。このため、端子のピッチずれや振動などに対する雄端子13の追随性が向上し、各弾性接触片50,52と雄端子13とが離れず、接触安定性が向上する。
【0044】
各弾性接触片50,52のばね定数が小さくても、天井壁42eの2箇所に弾性接触片50,52が設けられているため、弾性接触片が一つだけの場合と比べると接触圧力が2倍になり、コネクタハウジング12,20のがたつきや電線39のばたつきなどによって振動が生じても、両端子13,40の安定した接触状態を保つことができる。
【0045】
第3の弾性接触片54は、底壁42aの前端縁部に一体的に連なる直方体形状の延長部であり、この延長部を電気接触部42の内側に入るように折り返し、延長部を上向きに凸形状となるように折り曲げて、そのまま後方へ延出させることにより形成されている。第3の弾性接触片54の先端側にも、第1、第2の弾性接触片50,52と同様にして底壁42aに当接可能な当接部55cが設けられている。
【0046】
この第3の弾性接触片54は、第1、第2の弾性接触片50,52の相似形であり、略2倍の寸法に形成されている。このため、第3の弾性接触片54は、底壁42aの前端縁部から後端縁部まで、電気接触部42の全長に渡って延出形成されている。ばね定数も、概ね2倍に設定されている。
【0047】
また、第3の弾性接触片54にも、第1、第2の弾性接触片50,52と同様にしてタブ状の電気接触部13aに対する接触部55aが形成されている。雄端子13の挿入方向に、第1の弾性接触片50の接触部51a、第3の弾性接触片54の接触部55a、第2の弾性接触片52の接触部53aが順に配置されている。言い換えると、第3の弾性接触片54の接触部55aが、第1の弾性接触片50の接触部51aと第2の弾性接触片52の接触部53aの間に位置している。
【0048】
このように配置することで、雄端子13は各弾性接触片50,52,54の3点の作用点で保持されて、雄端子13の挿入方向に生じる振動によって、雄端子13と各弾性接触片50,52,54とが摺動することが防止されている。
【0049】
次ぎに、雌端子40が収容された雄型コネクタハウジング20と、雄端子13が収容された雌型コネクタハウジング12について説明する。
【0050】
図4に示すように、雄型コネクタハウジング20は、筒状のインナーハウジング26と、インナーハウジング26の外側を囲むフード部36とからなっている。インナーハウジング26は、その内側に端子収容室28を有していて、この端子収容室28に電線39の端部に接続された雌端子40が収容されるようになっている。
【0051】
雌端子40の電線接続部47には、防水用のゴム栓35に挿通された電線39が圧着されている。ゴム栓35は、蛇腹状のチューブであり、端子収容室28の内面に密着した状態に装着されている。これにより、電線39を伝う水滴が端子収容室28に浸入することが防止されている。
【0052】
端子収容室28の長手方向中間部に位置する内壁上部からは、ハウジングランス30が前方に向けて突出形成されている。ハウジングランス30の先端部には、係止面30aが形成されていて、この係止面30aが端子収容室28に挿入された雌端子40の電気接触部42に形成された係止部46に当接して、雌端子40が係止されるようになっている。
【0053】
ハウジングランス30の上方には、ハウジングランス30の撓み空間31が形成されていて、雌端子40によってハウジングランス30が上方に押し上げられることで、雌端子40の挿入が許容されている。撓み空間31に、インナーハウジング26の前端部に装着されたフロントホルダ34の突出部34aが挿入されると、ハウジングランス30の撓みが規制されて雌端子40の後抜けが防止されるようになっている。
【0054】
インナーハウジング26の奥壁側には、防水リング33が嵌着されていて、この防水リング33が雌型コネクタハウジング12の周壁15の内周面に密着することで、一対のコネクタハウジング12,20間の防水が図られるようになっている。
【0055】
フード部36は、略角筒状をなし、インナーハウジング26の後半部に一体的に連なり、コネクタ嵌合方向に突出形成されている。フード部36の内壁には、雌型コネクタハウジング12の周壁15に突設された図示しないガイドリブに対する図示しないガイド溝が凹設されていて、双方のコネクタハウジング12,20の嵌合動作が円滑に行われるようになっている。
【0056】
インナーハウジング26とフード部36の間の空間は、雌型コネクタハウジング12が嵌入する環状の嵌合空間38になっている。この嵌合空間38は、雌型コネクタハウジング12の周壁15が緊密に嵌合する空間に形成されている。
【0057】
雌型コネクタハウジング12は、自動車の車両搭載機器に直付けされた待ち受け状態にある機器側のコネクタハウジングであり、雄型コネクタハウジング20のインナーハウジング26を受け入れるコネクタ嵌合室19が、環状の周壁15の内側に形成されている。
【0058】
雄端子13は、雄型コネクタハウジング20の端子挿通孔27に対向して配置され、コネクタ嵌合室19内でコネクタ嵌合方向前方に突出している。一対のコネクタハウジング12,20を嵌合させると、タブ状の電気接触部13aが端子挿通孔27にガイドされながら雌端子40の電気接触部42に挿入されるようになっている。
【0059】
周壁15の天井壁15aの幅方向中央には、雄型コネクタハウジング20のロックアーム25に係合する係合溝16が形成されている。係合溝16の前方には、略垂直の係止面16aが形成されていて、この係止面16aにロックアーム25の先端部25aが係止されて、一対のコネクタハウジング12,20が抜け出さないように嵌合するようになっている。
【0060】
一対のコネクタハウジング12,20の嵌合は、雌型コネクタハウジング12に雄型コネクタハウジング20を対向させ、一対のコネクタハウジング12,20を相互に接近させて、環状の嵌合空間38に周壁15を押し込むことで行われる。
【0061】
なお、雌端子40の上下の向きや、コネクタハウジング12,20の上下の向きは、図1又は図3の使用形態での話であり、コネクタハウジング12,20の実使用の際には、上下の向きが逆になることもある。
【0062】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、雄端子は、板厚方向に相対移動可能に保持されるから、端子間にピッチずれがある場合や、コネクタのがたつきや電線のばたつきなどによって振動が生ずる場合であっても、雄端子が各弾性接触片を押し付けながらピッチずれや振動に追随する。従って、雄端子と雌端子との接触安定性を向上することができる。
【0063】
また、請求項2記載の発明によれば、雄端子の挿入方向に、第1の弾性接触片、第3の弾性接触片、第2の弾性接触片が順に配置されているから、第3の弾性接触片が第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片の間に位置し、3点の作用点で雄端子が保持され、雄端子の挿入方向に生じる振動によって、雄端子と各弾性接触片とが摺動することが防止される。従って、雄端子と雌端子の接触抵抗を低減でき、接続信頼性を高めることができる。
【0064】
また、請求項3記載の発明によれば、第1の弾性接触片と第2の弾性接触片とが互いに交差する方向に延出しているから、各弾性接触片の干渉が防止され、各接触片を長く形成することができる。従って、振動に対する雄端子の追随性が良くなり、請求項1記載の効果がより一層高まる。
【0065】
また、請求項4記載の発明によれば、雄端子と各弾性接触片との摺動摩耗が抑制されるから、摺動部に酸化皮膜が形成されず、接触抵抗が高くなることが防止される。従って、請求項2記載の効果が助長され、電気的接続の信頼性が維持される。
【0066】
また、請求項5記載の発明によれば、各弾性接触片の先端側には当接部が設けられているから、雄端子に押された各弾性接触片は、当接部を電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接させることで、雄端子を押し返す復元力が強くなり、接触圧力を高めることができる。従って、雄端子と各弾性接触片の接触状態が安定した状態に保たれて、接触安定性がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る雌端子の一実施形態を示す一部断面図である。
【図2】図1に示す雌端子の展開図である。
【図3】図1に示す第1の弾性接触片と第2の弾性接触片を折り曲げた状態の図である。
【図4】図1に示す雌端子が収容された雄型コネクタハウジングと、雄端子が収容された雌型コネクタハウジングとの嵌合状態を示す断面図である。
【図5】従来の雌端子の一例を示す一部断面図である。
【符号の説明】
13 雄端子
40 雌端子
42 電気接触部
42a 底壁
42e 天井壁
50 第1の弾性接触片
52 第2の弾性接触片
54 第3の弾性接触片
51c,53c,55c 当接部
Claims (5)
- 筒状を成す電気接触部の一方の壁部に第1の弾性接触片及び第2の弾性接触片がそれぞれ設けられ、該電気接触部の他方の壁部に第3の弾性接触片が設けられ、該第1の弾性接触片、該第2の弾性接触片及び該第3の弾性接触片により、雄端子が板厚方向に相対移動可能に保持されることを特徴とする雌端子。
- 前記雄端子の挿入方向に、前記第1の弾性接触片、前記第3の弾性接触片、前記第2の弾性接触片が順に配置されたことを特徴とする請求項1記載の雌端子。
- 前記第1の弾性接触片と前記第2の弾性接触片とが互いに交差する方向に延出されたことを特徴とする請求項1又は2記載の雌端子。
- 前記雄端子と各弾性接触片との摺動部に潤滑剤が塗布されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の雌端子。
- 各弾性接触片の先端側には、前記電気接触部の一方又は他方の壁部内面に当接可能な当接部が設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の雌端子。
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