JP2004115919A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 転がり軸受における転動体としての鋼球を構成する素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )と、転がり寿命との関係を明確にし、低コストで高品質且つ長寿命な転がり軸受を提供すること。
【解決手段】 鋼球を構成する素材は、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、前記素材及び完成された前記鋼球の炭素の中心偏析率が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
(但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率、Cは、中心部の炭素濃度(重量%)、C0 は、平均炭素濃度(重量%))を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにした。
【選択図】 なし
【解決手段】 鋼球を構成する素材は、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、前記素材及び完成された前記鋼球の炭素の中心偏析率が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
(但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率、Cは、中心部の炭素濃度(重量%)、C0 は、平均炭素濃度(重量%))を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにした。
【選択図】 なし
Description
本発明は、転がり軸受に関わり、特に、自動車、建設機械、鉄道車両、その他の産業機械などに使用される転がり軸受の改良に関する。
従来から、転がり軸受の寿命を向上する目的で様々な検討が行われている。たとえば、軸受の転がり寿命の向上を妨げる原因の一つとして挙げられるアルミナを代表とする酸化物系介在物の存在を低減するためには、鋼中の酸素含有量(以下、『鋼中酸素量』という)を減らすことが最も有効である。このため、各製鋼メーカーは、種々の製鋼技術の改善を行っている。
一方、軸受用鋼の分野でも真空脱ガス、取り鍋精錬(LF)が取り入れられ、昭和50年代の後半には、どのメーカーの軸受鋼にも、従来の造塊法により製造されるもの(以下、『IC材』と記す)に替わって、連続鋳造法により製造されるもの(以下、『CC材』と記す)が採用されるようになった。
この軸受鋼の連続鋳造法では、素材中に含まれる炭素の濃度が高いため、鋼の凝固開始から凝固完了までの間の温度差が大きい。このため、特に、素材の中心部に炭素、クロム、マンガン、リン、硫黄などの元素が局部的に濃化偏析し、軸受の転がり寿命を低下させるという問題があった。従って、中心偏析、介在物の浮上、凝固組織の安定などの品質を向上するために、高度な製鋼技術が必要とされていた。
この軸受鋼の連続鋳造法では、素材中に含まれる炭素の濃度が高いため、鋼の凝固開始から凝固完了までの間の温度差が大きい。このため、特に、素材の中心部に炭素、クロム、マンガン、リン、硫黄などの元素が局部的に濃化偏析し、軸受の転がり寿命を低下させるという問題があった。従って、中心偏析、介在物の浮上、凝固組織の安定などの品質を向上するために、高度な製鋼技術が必要とされていた。
近年では、電磁攪拌、軽圧下ピンチロール法、連続鍛圧法などの採用により、IC材からなる転がり寿命とCC材からなる転がり寿命との差が、ほとんど無くなってきている。 たとえば、非特許文献1に記載されているように、素材の中心部を含む圧延方向に平行に切り出した試料を用いたスラスト寿命試験により、転がり寿命の評価を行ったところ、CC材からなる転がり軸受の転がり寿命は、IC材からなる転がり軸受の転がり寿命に比べ、むしろ長いくらいであった。
また、フレーキングの発生位置と転がり寿命との関係においても、CC材の中心部での寿命が短くなるという傾向はないと報告されている。
前記と同様な報告は、同じ試験手法を用いて、非特許文献2にも記載されている。
これらの根拠にもとづき、現在の転がり軸受の内輪および外輪には、IC材と共にCC材も多く使用されている。内輪および外輪は、おもに素材として棒材、チューブ材が使用されているが、そのいずれを用いても、旋削加工、熱間鍛造、温間鍛造などを経て、内輪および外輪に加工される過程で、中心偏析部が軸受の機能面(特にミゾ面)に露出することが少ない。
前記と同様な報告は、同じ試験手法を用いて、非特許文献2にも記載されている。
これらの根拠にもとづき、現在の転がり軸受の内輪および外輪には、IC材と共にCC材も多く使用されている。内輪および外輪は、おもに素材として棒材、チューブ材が使用されているが、そのいずれを用いても、旋削加工、熱間鍛造、温間鍛造などを経て、内輪および外輪に加工される過程で、中心偏析部が軸受の機能面(特にミゾ面)に露出することが少ない。
すなわち、内輪および外輪を、棒材から熱間鍛造および温間鍛造により製造する場合は、鍛造工程で、素材中心部は、目抜き工程を経るため、中心偏析有害部は除去される。
また、内輪および外輪を、チューブ材から旋削加工により製造する場合において、外輪を作る場合は、チューブ材の内径面の中心偏析部は、ミゾ部の切削量が多いため無害となる。一方、内輪を作る場合も、軸受内径面に相当するため、転がり寿命に影響しない。
また、内輪および外輪を、チューブ材から旋削加工により製造する場合において、外輪を作る場合は、チューブ材の内径面の中心偏析部は、ミゾ部の切削量が多いため無害となる。一方、内輪を作る場合も、軸受内径面に相当するため、転がり寿命に影響しない。
これらの観点から、CC材の中心偏析品質に多少の不安があっても、低コスト化の実現および優れた清浄度の達成、地キズ品質の優位性により、近年では、内輪および外輪の素材として、CC材が使用されている。
一方、転動体については、一般的にその素材は、線材であり、図6(1)に示すように、冷間加工(冷間ヘッダー加工)により形成されている。
一方、転動体については、一般的にその素材は、線材であり、図6(1)に示すように、冷間加工(冷間ヘッダー加工)により形成されている。
具体的には、図6(1)に示すように、たとえば、素材(ビレット)20を圧延し、コイル材素材21を製造する。
次に、図6(2)に示すように、コイル材素材21を冷間ヘッダーにより、所望の長さに切断し、次いで、この切断された素材を成形して球状の成形品23を得る。この状態の成形品23にはバリ24が残っている。次に、成形品23のバリ24を研削により除去した後、これに熱処理を行う。次いで、研磨、ラップ処理を順に行い、所望サイズの転動体25を得ている。
次に、図6(2)に示すように、コイル材素材21を冷間ヘッダーにより、所望の長さに切断し、次いで、この切断された素材を成形して球状の成形品23を得る。この状態の成形品23にはバリ24が残っている。次に、成形品23のバリ24を研削により除去した後、これに熱処理を行う。次いで、研磨、ラップ処理を順に行い、所望サイズの転動体25を得ている。
この冷間加工により形成された転動体25は、素材(ビレット)20の中心偏析部が、図7に示す転動体25の極30Aおよび30B、すなわち、2か所の機能面に露出した状態となる。そして、この極30Aおよび30Bが、圧延方向と垂直な面に露出することが複合して、この部分にフレーキングやクラックが発生しやすくなるなど、転がり寿命の低下および強度劣化が起こりやすいという問題があった。
このため、転動体の素材として、中心偏析の品質に不安があるCC材を採用することが困難であった。従って、現状では、転動体の素材として、IC材が使用されている。
ASTM,SPT987,1988,p28 鉄と鋼、第73年、(1987)、第3号、p116 特開平3−254339号公報
特開平3−254340号公報
特開平3−254341号公報
特開平3−254342号公報
特開昭49−121733号公報
ASTM,SPT987,1988,p28 鉄と鋼、第73年、(1987)、第3号、p116
しかしながら、一般的に、IC材は、インゴットのトップ部やボトム部の不均質部を圧延過程で切り捨てる必要があるため、連続的に鋳造を行うことが困難である。従って、連続鋳造が行えるCC材と比較して製造コストが高くなるという問題がある。
また、IC材は、造塊時の偶発的要因により、湯道レンガの破片や脱酸生成物が、造塊時の初期凝固層にトラップされ、地キズが発生しやすいという問題もある。一方、CC材の中心偏析の品質改善に対しては、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4などに開示されている連続鍛圧法や、特許文献5に開示されている軽圧下法などがあり、連続鋳造凝固末期に圧力を加えて変形させながら、炭素、クロムなどの濃化溶鋼を押し上げつつ凝固させてマクロ偏析を改善する技術がある。
また、IC材は、造塊時の偶発的要因により、湯道レンガの破片や脱酸生成物が、造塊時の初期凝固層にトラップされ、地キズが発生しやすいという問題もある。一方、CC材の中心偏析の品質改善に対しては、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4などに開示されている連続鍛圧法や、特許文献5に開示されている軽圧下法などがあり、連続鋳造凝固末期に圧力を加えて変形させながら、炭素、クロムなどの濃化溶鋼を押し上げつつ凝固させてマクロ偏析を改善する技術がある。
しかしながら、このマクロ偏析を改善する技術では、炭素の中心偏析率(C/C0 ・但し、Cは、素材中心部の炭素濃度(重量%)、C0 は、素材平均炭素濃度(重量%))又は硫黄の中心偏析率(S/S0 ・但し、Sは、中心部の硫黄濃度(重量%)、S0 は、平均硫黄濃度(重量%))と、転動体の転がり寿命と、の関係は、未だ解明されていないという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、完成された鋼球における炭素の中心偏析率(C/C0 )又は硫黄の中心偏析率(S/S0 )と、転がり寿命との関係を明確にし、低コストで高品質且つ長寿命な転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、完成された鋼球における炭素の中心偏析率(C/C0 )又は硫黄の中心偏析率(S/S0 )と、転がり寿命との関係を明確にし、低コストで高品質且つ長寿命な転がり軸受を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、内輪、外輪および鋼球を備えた転がり軸受において、前記鋼球を構成する素材は、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、前記素材及び完成された前記鋼球の炭素の中心偏析率が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率
Cは、中心部の炭素濃度(重量%)
C0 は、平均炭素濃度(重量%)
を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにしたことを特徴としている。
0.90≦C/C0 ≦1.10
但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率
Cは、中心部の炭素濃度(重量%)
C0 は、平均炭素濃度(重量%)
を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにしたことを特徴としている。
本発明によれば、転動体を構成する素材として、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、完成された鋼球の炭素の中心偏析率(C/C0 )が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
を満たし、且つ、軸受鋼線材中の酸素含有量が10ppm以下、軸受鋼線材中の硫黄含有量が0.008重量%以下である鋼を使用することで、コストの低減および品質向上が達成されると共に、転がり寿命が向上される。
以下に、その理由を述べる。
本発明では、転動体を構成する素材として、連続鋳造による軸受鋼線材(CC材)を使用するため、IC材に比べ、生産性が向上し、低コスト化の達成、清浄度の向上、地キズ品質に対する優位性が向上される。
そして、従来、CC材の問題点であった中心偏析品質は、以下の理由から大幅に改善される。
0.90≦C/C0 ≦1.10
を満たし、且つ、軸受鋼線材中の酸素含有量が10ppm以下、軸受鋼線材中の硫黄含有量が0.008重量%以下である鋼を使用することで、コストの低減および品質向上が達成されると共に、転がり寿命が向上される。
以下に、その理由を述べる。
本発明では、転動体を構成する素材として、連続鋳造による軸受鋼線材(CC材)を使用するため、IC材に比べ、生産性が向上し、低コスト化の達成、清浄度の向上、地キズ品質に対する優位性が向上される。
そして、従来、CC材の問題点であった中心偏析品質は、以下の理由から大幅に改善される。
転動体のフレーキングやクラックは、そのほとんどが中心偏析部の露出した部分、すなわち、極を起点として発生する。本発明者らは、この炭素の中心偏析率(C/C0 )をある程度小さくすることで、このフレーキングやクラックの発生が抑制され、転がり寿命が向上することをみいだした。
すなわち、炭素の中心偏析率(C/C0 )は、素材の平均炭素濃度(C0 )に対して、当該素材の中心部がどの程度、炭素濃度を濃化して偏析しているかを示すものであるが、本発明者らは、素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、1.1以下にすることで、転がり寿命が著しく向上することを確認した。
すなわち、炭素の中心偏析率(C/C0 )は、素材の平均炭素濃度(C0 )に対して、当該素材の中心部がどの程度、炭素濃度を濃化して偏析しているかを示すものであるが、本発明者らは、素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、1.1以下にすることで、転がり寿命が著しく向上することを確認した。
前記素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1を越えると、転動体の極に相当する部分に、炭素や、微量不純物元素である硫黄が偏析する。このため、炭化物系介在物や硫化物系介在物が多くなり、使用時に、中心偏析部が露出した部分(極)を起点として、フレーキングやクラックが発生し、転がり寿命の低下を引き起こしてしまう。
なお、炭素の中心偏析率(C/C0 )の下限は、電磁攪拌やピンチロール軽圧下法のような、一般的中心偏析制御法では、0.9程度が製造上の限界である。 従って、転動体を構成する素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、
0.9≦C/C0 ≦1.10
に限定した。
なお、本発明では、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )および完成品の炭素の中心偏析率(C/C0 )は、以下に示す方法により評価する。
なお、炭素の中心偏析率(C/C0 )の下限は、電磁攪拌やピンチロール軽圧下法のような、一般的中心偏析制御法では、0.9程度が製造上の限界である。 従って、転動体を構成する素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、
0.9≦C/C0 ≦1.10
に限定した。
なお、本発明では、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )および完成品の炭素の中心偏析率(C/C0 )は、以下に示す方法により評価する。
〔素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )〕
素材の中心部の炭素濃度(C)は、図2に示すように、軸受鋼線材の母材である素材(ビレット)20の中心部Cであって、素材(ビレット)20の断面径(断面形状が円形であれば、その直径、断面形状が多角形であれば、その一辺の長さ)をDX とすると、中心から半径0.01×DX 〜0.02×DX までの部分を、ドリルなどを用いて切削取りし、燃焼法により、この部分に存在している炭素の濃度を測定することで求める。
一方、素材の平均炭素濃度(C0 )は、図2に示すように、半径がDX /4である部分の所望箇所(C1 、C2 、C3 およびC4 )を、前記と同様のドリルなどを用いて切削取りし、燃焼法により、この各部に存在している炭素の濃度を測定し、これらの値を平均することで求める。
そして、この各値をもって、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )を評価した。
素材の中心部の炭素濃度(C)は、図2に示すように、軸受鋼線材の母材である素材(ビレット)20の中心部Cであって、素材(ビレット)20の断面径(断面形状が円形であれば、その直径、断面形状が多角形であれば、その一辺の長さ)をDX とすると、中心から半径0.01×DX 〜0.02×DX までの部分を、ドリルなどを用いて切削取りし、燃焼法により、この部分に存在している炭素の濃度を測定することで求める。
一方、素材の平均炭素濃度(C0 )は、図2に示すように、半径がDX /4である部分の所望箇所(C1 、C2 、C3 およびC4 )を、前記と同様のドリルなどを用いて切削取りし、燃焼法により、この各部に存在している炭素の濃度を測定し、これらの値を平均することで求める。
そして、この各値をもって、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )を評価した。
〔完成品の炭素の中心偏析率(C/C0 )〕
完成品の中心部の炭素濃度(C)は、図3に示すように、完成品の極を貫通する断面を切り出し、完成品(転動体)の中心部のファイバーフローに垂直な方向に、EPMA(電子線マイクロアナライザー)を用いて、線分析を行い、その結果に基づいて求めた。中心部の炭素濃度(C)は、完成品の断面径をDY とすると、前記中心部から半径0.01×DY 〜0.02×DY までの間の部分の炭素濃度の測定結果に基づき、平均値を算出することで求める。
完成品の中心部の炭素濃度(C)は、図3に示すように、完成品の極を貫通する断面を切り出し、完成品(転動体)の中心部のファイバーフローに垂直な方向に、EPMA(電子線マイクロアナライザー)を用いて、線分析を行い、その結果に基づいて求めた。中心部の炭素濃度(C)は、完成品の断面径をDY とすると、前記中心部から半径0.01×DY 〜0.02×DY までの間の部分の炭素濃度の測定結果に基づき、平均値を算出することで求める。
一方、完成品の平均炭素濃度(C0 )は、図3に示すように、半径方向に中心からの距離がDY /4の部分(2か所)の炭素濃度の測定結果に基づき、平均値を算出することで求める。
そして、この各値をもって、完成品の炭素の中心偏析率(C/C0 )を評価した。
また、本発明者らが、研究を進めたところ、前記炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であっても、素材の鋼中酸素量が、10ppmを越えると、酸化物系介在物が多くなり、使用時に、中心偏析部が露出した部分(極)を起点として、フレーキングやクラックが発生しやすくなる。この結果、転がり寿命の低下を引き起こしてしまうことをみいだした。
そして、この各値をもって、完成品の炭素の中心偏析率(C/C0 )を評価した。
また、本発明者らが、研究を進めたところ、前記炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であっても、素材の鋼中酸素量が、10ppmを越えると、酸化物系介在物が多くなり、使用時に、中心偏析部が露出した部分(極)を起点として、フレーキングやクラックが発生しやすくなる。この結果、転がり寿命の低下を引き起こしてしまうことをみいだした。
さらにまた、前記炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であっても、素材の鋼中硫黄含有量が、0.008重量%を越えると、硫化物系介在物が多くなり、使用時に、中心偏析部が露出した部分(極)を起点として、フレーキングやクラックが発生しやすくなる。この結果、転がり寿命の低下を引き起こしてしまうことをみいだした。
なお、本発明では、鋼中酸素量および鋼中硫黄量は、任意の複数部分について燃焼法による測定を行い、得られた値の平均値をもって求めた。
なお、本発明では、鋼中酸素量および鋼中硫黄量は、任意の複数部分について燃焼法による測定を行い、得られた値の平均値をもって求めた。
そしてまた、前記炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であって、鋼中酸素量が、10ppm以下、且つ、鋼中硫黄含有量が、0.008重量%であるCC材(本発明に係るCC材)からなる転動体の転がり寿命と、IC材からなる転動体の転がり寿命と、を比較すると、本発明に係るCC材からなる転がり軸受の方が、転がり寿命に優れていることを確認した。
従って、転動体を構成する素材として、連続鋳造による軸受鋼線材(CC材)を用い、前記素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、1.1以下とし、さらに、軸受鋼線材中の酸素量を10ppm以下、且つ、軸受鋼線材中の硫黄含有量を0.008重量%に限定した。
従って、転動体を構成する素材として、連続鋳造による軸受鋼線材(CC材)を用い、前記素材および完成品における炭素の中心偏析率(C/C0 )を、1.1以下とし、さらに、軸受鋼線材中の酸素量を10ppm以下、且つ、軸受鋼線材中の硫黄含有量を0.008重量%に限定した。
本発明に係る転がり軸受は、鋼球を構成する素材が、鋼球を構成する素材は、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、前記素材及び完成された前記鋼球の炭素の中心偏析率が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率
Cは、中心部の炭素濃度(重量%)
C0 は、平均炭素濃度(重量%)
を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにしたため、転がり寿命を大幅に向上することができ、コストの低減および品質が向上し、長寿命な転がり軸受を提供することができる。
0.90≦C/C0 ≦1.10
但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率
Cは、中心部の炭素濃度(重量%)
C0 は、平均炭素濃度(重量%)
を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにしたため、転がり寿命を大幅に向上することができ、コストの低減および品質が向上し、長寿命な転がり軸受を提供することができる。
次に、本発明に係る一実施例について説明する。
表1に示す化学成分(重量%)を備えた、断面形状円形の棒状部材(線材の母材)である素材(ビレット)を用意する。
なお、本実施例では、各素材(ビレット)の断面の径を180mmのものを選んだ。
表1に示す化学成分(重量%)を備えた、断面形状円形の棒状部材(線材の母材)である素材(ビレット)を用意する。
なお、本実施例では、各素材(ビレット)の断面の径を180mmのものを選んだ。
次に、表1に示す化学成分を有する各素材(実施例No.1〜No.4)の鋼中酸素量を、以下に示す方法により測定する。
各素材(実施例No.1〜No.4)から、直径5mmのドリルを用いて、任意の4か所から切削取りを行い、燃焼法により、得られたサンプルに含有している酸素量(ppm)を測定し、これらの値を平均することで、各素材の鋼中酸素量(ppm)とする。
この結果を表2に示す。
次に、表1に示す化学成分を有する各素材(実施例No.1〜No.4)の炭素の中心偏析率(C/C0 )を以下の方法により評価する。
各素材の中心位置で半径2.5mm部分を、直径5mmのドリルを用いて切削取りを行い、サンプルを得る。次に、燃焼法により、このサンプルに含有している炭素の濃度(重量%)を測定し、これを各素材の中心部の炭素濃度(C0 )とする。
各素材(実施例No.1〜No.4)から、直径5mmのドリルを用いて、任意の4か所から切削取りを行い、燃焼法により、得られたサンプルに含有している酸素量(ppm)を測定し、これらの値を平均することで、各素材の鋼中酸素量(ppm)とする。
この結果を表2に示す。
次に、表1に示す化学成分を有する各素材(実施例No.1〜No.4)の炭素の中心偏析率(C/C0 )を以下の方法により評価する。
各素材の中心位置で半径2.5mm部分を、直径5mmのドリルを用いて切削取りを行い、サンプルを得る。次に、燃焼法により、このサンプルに含有している炭素の濃度(重量%)を測定し、これを各素材の中心部の炭素濃度(C0 )とする。
次に、各素材の半径方向中心から45mmの位置で、4か所、直径5mmのドリルを用いて切削取りを行い、サンプルC1 、C2 、C3 およびC4 を得る。
次に、燃焼法により、各サンプルに含有している炭素の濃度(重量%)を測定し、この値を平均し、得られた値を各素材の平均炭素濃度(C0 )とする。
次に、前記方法で得た各素材の中心部の炭素濃度(C)および平均炭素濃度(C0 )から、各素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )を求める。
次に、燃焼法により、各サンプルに含有している炭素の濃度(重量%)を測定し、この値を平均し、得られた値を各素材の平均炭素濃度(C0 )とする。
次に、前記方法で得た各素材の中心部の炭素濃度(C)および平均炭素濃度(C0 )から、各素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )を求める。
この結果を表2に示す。
次に、前記各素材(実施例No.1〜No.4)を使用し、図6(1)および図6(2)に示す方法により、転動体(玉)を製造する。なお、本実施例では、中心偏析を抑制する対策として、電磁攪拌(EMS)と、ピンチロールにより凝固末期に軽圧下法を施した。
また、完成品(転動体)の玉径を3/8インチとし、JIS等級グレード10に仕上げた。次に、各転動体について、以下に示す方法で、転がり寿命試験を行う。図4および図5に示すラジアル形寿命試験機を用い、試験用軸受54として、深みぞ玉軸受6206(内径=30mmの玉軸受)の内輪および外輪を用い、本実施例に係る各転動体をこれに組み込み、耐久試験を以下に示す条件で行う。
次に、前記各素材(実施例No.1〜No.4)を使用し、図6(1)および図6(2)に示す方法により、転動体(玉)を製造する。なお、本実施例では、中心偏析を抑制する対策として、電磁攪拌(EMS)と、ピンチロールにより凝固末期に軽圧下法を施した。
また、完成品(転動体)の玉径を3/8インチとし、JIS等級グレード10に仕上げた。次に、各転動体について、以下に示す方法で、転がり寿命試験を行う。図4および図5に示すラジアル形寿命試験機を用い、試験用軸受54として、深みぞ玉軸受6206(内径=30mmの玉軸受)の内輪および外輪を用い、本実施例に係る各転動体をこれに組み込み、耐久試験を以下に示す条件で行う。
(条件)
軸受 深みぞ玉軸受6206(内輪および外輪)
転動体 3/8インチの転動体を9個同時組み込み
軸受隙間 C3
保持器 ナイロン保持器
回転数 3900rpm
潤滑 タービン油(VG68油浴)
ラジアル荷重 13.8KN
フレーキング検出 加速センサ
軸受 深みぞ玉軸受6206(内輪および外輪)
転動体 3/8インチの転動体を9個同時組み込み
軸受隙間 C3
保持器 ナイロン保持器
回転数 3900rpm
潤滑 タービン油(VG68油浴)
ラジアル荷重 13.8KN
フレーキング検出 加速センサ
なお、本実施例では、前記条件の試験を1種類の転動体につき20回(各転動体について、1回の試験につき9個を20回行い、全玉数=180個)行った。そして、転動体より先に、内輪および外輪のいずれかに、フレーキングが発生した場合は、フレーキングが発生した内輪または外輪を新品と交換して試験を継続し、転動体に、1個でもフレーキングが発生した場合には、その時間をもって転がり寿命とした。
なお、転がり寿命は、Hvワイブルプロットで整理し、10%の破損確率寿命(L10)をもって評価した。
この結果を表2に示す。
なお、転がり寿命は、Hvワイブルプロットで整理し、10%の破損確率寿命(L10)をもって評価した。
この結果を表2に示す。
次に、この転がり寿命試験の終了後に、全ての転動体(実施例No.1〜No.4)を、酸洗(1:1塩酸、温度=70℃、酸洗時間=20分)を行ったところ、全ての転動体について、フレーキングが発生した位置は、転動体の極に一致していることが確認された。
(比較例)
次に、比較として、表3に示す化学成分(重量%)を備え、前記実施例No.1〜No.4と同様の形状を有する素材(ビレット)を用意する。
(比較例)
次に、比較として、表3に示す化学成分(重量%)を備え、前記実施例No.1〜No.4と同様の形状を有する素材(ビレット)を用意する。
次に、表3に示す化学成分を有する各素材(比較例No.5〜No.25)の鋼中酸素量(ppm)を、前記実施例と同様の方法で測定する。
この結果を表4に示す。
次に、表3に示す化学成分を有する各素材(比較例No.5〜No.25)の炭素の中心偏析率(C/CO )を、前記実施例と同様の方法で求める。
この結果を表4に示す。
次に、表3に示す化学成分を有する素材のうち、比較例No.5〜No.17を使用して、前記実施例と同様の連続鋳造法により、転動体を製造する。なお、比較例No.5〜No.17では、中心偏析対策として、電磁攪拌(EMS)のみを行った。
次いで、表3に示す化学成分を有する素材のうち、比較例No.18〜No.25を使用して、従来のインゴット鋳造法により、転動体を製造する。
次に、これらの転動体(比較例No.5〜No.25)について、前記実施例と同様の転がり寿命試験を行う。
この結果を表4に示す。
この結果を表4に示す。
次に、表3に示す化学成分を有する各素材(比較例No.5〜No.25)の炭素の中心偏析率(C/CO )を、前記実施例と同様の方法で求める。
この結果を表4に示す。
次に、表3に示す化学成分を有する素材のうち、比較例No.5〜No.17を使用して、前記実施例と同様の連続鋳造法により、転動体を製造する。なお、比較例No.5〜No.17では、中心偏析対策として、電磁攪拌(EMS)のみを行った。
次いで、表3に示す化学成分を有する素材のうち、比較例No.18〜No.25を使用して、従来のインゴット鋳造法により、転動体を製造する。
次に、これらの転動体(比較例No.5〜No.25)について、前記実施例と同様の転がり寿命試験を行う。
この結果を表4に示す。
次に、この転がり寿命試験の終了後に、全ての転動体を、前記実施例と同様の条件で酸洗したところ、全ての転動体について、フレーキングの発生位置が、転動体の極に一致していることが確認された。
表1ないし表4から、本実施例に係る素材(実施例No.1〜No.4)から得られた転動体は、比較例No.5〜No.25に比べ、転がり寿命(L10)が大幅に向上していることが確認される。
また、比較例No.5〜No.17は、CC材を用いているが、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )、鋼中酸素量および硫黄含有量の少なくとも一つが、請求項1記載の条件から逸脱しているため、転がり寿命(L10)が低下していることが判る。
そして、比較例No.18およびNo.19は、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )、鋼中酸素量および硫黄含有量は、請求項1記載の条件を満たしているが、IC材を用いているため、CC材を用いている実施例No.1〜No.4に比べ、転がり寿命(L10)が低下していることが判る。
表1ないし表4から、本実施例に係る素材(実施例No.1〜No.4)から得られた転動体は、比較例No.5〜No.25に比べ、転がり寿命(L10)が大幅に向上していることが確認される。
また、比較例No.5〜No.17は、CC材を用いているが、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )、鋼中酸素量および硫黄含有量の少なくとも一つが、請求項1記載の条件から逸脱しているため、転がり寿命(L10)が低下していることが判る。
そして、比較例No.18およびNo.19は、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )、鋼中酸素量および硫黄含有量は、請求項1記載の条件を満たしているが、IC材を用いているため、CC材を用いている実施例No.1〜No.4に比べ、転がり寿命(L10)が低下していることが判る。
これは、IC材は、造塊時の偶発的な要因により、脱酸生成物などが初期凝固層にトラップされ、地キズや巨大介在物が発生するなど、CC材に比べ、品質が劣るためである。また、比較例No.20〜No.25は、素材の炭素の中心偏析率(C/C0 )、鋼中酸素量および硫黄含有量の少なくとも一つが、請求項1記載の条件から逸脱しており、比較例No.5〜No.17に比べ、転がり寿命(L10)が低下していることが判る。すなわち、CC材が、IC材より転がり寿命(L10)が長い理由は、清浄度や地キズ品質がIC材より優れているからである。
さらに、素材における炭素の中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であれば、鋼中酸素量が10ppm以下、硫黄含有量が0.008重量%以下の条件を満たす時、特に転がり寿命が向上することも判る。
次に、試験後の各転動体について、前記の完成品(転動体)における炭素の中心偏析率(C/C0 )の測定方法により、炭素の中心偏析率(C/C0 )の測定を行ったところ、素材の場合とほぼ同じ値となることが確認された。従って、前記のような2通りの方法で測定される中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であり、鋼中酸素量および硫黄含有量が、請求項1記載の条件を満たしている転動体(本発明に係る転動体)は、前記と同様に良好な転がり寿命が得られることが確認された。
次に、試験後の各転動体について、前記の完成品(転動体)における炭素の中心偏析率(C/C0 )の測定方法により、炭素の中心偏析率(C/C0 )の測定を行ったところ、素材の場合とほぼ同じ値となることが確認された。従って、前記のような2通りの方法で測定される中心偏析率(C/C0 )が、1.1以下であり、鋼中酸素量および硫黄含有量が、請求項1記載の条件を満たしている転動体(本発明に係る転動体)は、前記と同様に良好な転がり寿命が得られることが確認された。
次に、実施例No.1〜No.4、および、比較例No.5〜No.25について、素材における硫黄(炭素以外の不純物元素である)の中心偏析率(S/S0 )を求める。但し、Sは、素材の中心部の硫黄濃度(重量%)、S0 は、素材の平均硫黄濃度(重量%)であり、前記実施例と同様の方法で求めた。
この結果を図1(1)に示す。
なお、前記実施例および比較例から得た素材における炭素の中心偏析率(C/C0 )を図1(2)に示す。
図1(1)および(2)から、前記硫黄の中心偏析率(S/S0 )は、炭素の中心偏析率(C/C0 )とほぼ同様の傾向を示していることが確認される。これより、硫黄の中心偏析率(S/S0 )を規定することでも、転がり寿命を向上することができることが判る。
この結果を図1(1)に示す。
なお、前記実施例および比較例から得た素材における炭素の中心偏析率(C/C0 )を図1(2)に示す。
図1(1)および(2)から、前記硫黄の中心偏析率(S/S0 )は、炭素の中心偏析率(C/C0 )とほぼ同様の傾向を示していることが確認される。これより、硫黄の中心偏析率(S/S0 )を規定することでも、転がり寿命を向上することができることが判る。
また、次に、前記実施例および比較例から得た素材の中心部の非金属介在物量を、以下に示す方法で測定する。素材の中心を含む圧延方向断面で、顕微鏡を用い、『JISハンドブック、1993、鉄鋼、p302〜p303、日本規格協会発行』に記載されているJISG0555に基づいて、検査面積各320mm2 で検査した。
実施例No.1〜No.4、および、比較例No.5〜No.25における素材中心部の硫化物系介在物量を、図1(3)に、実施例No.1〜No.4、および、比較例No.5〜No.25における素材中心部の酸化物系介在物量を、図1(4)に、それぞれ示す。
図1(3)および(4)から、素材中心部の硫化物系介在物量と、酸化物系介在物量は、それぞれ、炭素の中心偏析率(C/C0 )と硫黄の中心偏析率(S/S0 )に影響されることが判る。
実施例No.1〜No.4、および、比較例No.5〜No.25における素材中心部の硫化物系介在物量を、図1(3)に、実施例No.1〜No.4、および、比較例No.5〜No.25における素材中心部の酸化物系介在物量を、図1(4)に、それぞれ示す。
図1(3)および(4)から、素材中心部の硫化物系介在物量と、酸化物系介在物量は、それぞれ、炭素の中心偏析率(C/C0 )と硫黄の中心偏析率(S/S0 )に影響されることが判る。
硫化物系介在物は、JISおよびASTM規格で、A系介在物と分類され、素材圧延方向に伸びた細長い形態を示す。この硫化物系介在物は、中心偏析率の増加により、素材中心の偏析部に特に多く、硫化物系介在物を増加させると共に、酸化物系介在物を増加させる。CC材(線材)から製造された転動体の極部分には、細長い硫化物系介在物が表面に対して垂直な方向となり、酸化物系介在物と同様に、繰り返し転がり接触応力下で応力集中源となり、転がり寿命の向上に悪影響を及ぼすことが確認された。
なお、炭素の中心偏析率(C/C0 )の下限は、電磁攪拌及びピンチロール軽圧下法を用いるため、0.9程度が製造上の限界である。
また、本実施例では、素材として、断面形状円形の棒状部材を用いたが、素材は、断面形状が多角形の棒状部材であってもよい。
なお、炭素の中心偏析率(C/C0 )の下限は、電磁攪拌及びピンチロール軽圧下法を用いるため、0.9程度が製造上の限界である。
また、本実施例では、素材として、断面形状円形の棒状部材を用いたが、素材は、断面形状が多角形の棒状部材であってもよい。
20素材(ビレット)
25転動体
30極
25転動体
30極
Claims (1)
- 内輪、外輪および鋼球を備えた転がり軸受において、前記鋼球を構成する素材は、電磁攪拌と凝固末期に軽圧下とを施した連続鋳造による軸受鋼線材からなり、前記素材及び完成された前記鋼球の炭素の中心偏析率が、
0.90≦C/C0 ≦1.10
但し、C/C0 は、炭素の中心偏析率
Cは、中心部の炭素濃度(重量%)
C0 は、平均炭素濃度(重量%)
を満たし、且つ、前記軸受鋼線材中の酸素含有量が、10ppm以下であり、前記軸受鋼線材中の硫黄含有量が、0.008重量%以下であり、使用時に前記鋼球の極部にフレーキング及びクラックが発生することを抑制して転がり寿命が向上するようにしたことを特徴とする転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003353708A JP2004115919A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003353708A JP2004115919A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 転がり軸受 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5272544A Division JPH07127643A (ja) | 1993-10-29 | 1993-10-29 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004115919A true JP2004115919A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32290845
Family Applications (1)
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JP2003353708A Pending JP2004115919A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 転がり軸受 |
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-
2003
- 2003-10-14 JP JP2003353708A patent/JP2004115919A/ja active Pending
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