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JP4375149B2 - 高強度低合金鋼線材 - Google Patents

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Description

本発明は、伸線加工性に優れた高強度低合金鋼線材に関する。詳しくは、メカニカルデスケーリング時に容易に剥離する酸化スケールを有する伸線加工性に優れた高強度低合金鋼線材に関する。
コードワイヤ用線材は、直径5.5mm程度に熱間圧延された後、直径1〜2mm程度まで強冷間加工が施されるため優れた伸線加工性が要求される。このため、スケール性状、ミクロ組織、清浄度及び中心偏析などに充分に配慮して製造されており、特に、スケール性状に関しては、注意が必要である。
ここで、伸線加工前に表面に生成したスケールを除去する目的で、ベンディングロールなどで冷間曲げ加工が加えられるのであるが、この際、スケール性状が悪いとスケールが剥離若しくは脱落しにくく、伸線加工時に残存スケール起因のダイス焼付(ダイス寿命低下)や断線を引き起こし、伸線加工性が劣化してしまう。
ところで、近年、自動車の高燃費化のニーズにより、タイヤ内部に装着されるコードワイヤの軽量化及び高強度化に対する要望が益々高まっており、これらの要望を満足するために、高炭素鋼化され、さらにSiやCr等の合金元素が添加された線材が使用されることがある。
ところが、高炭素低合金鋼(高強度低合金)線材を製造する際、高炭素だと初析セメンタイトが原因となって断線が生じ、SiやCr等の合金元素を添加するとマルテンサイト変態を促進してしまい、かかる線材が所定のスケール性状や所定のミクロ組織を有するように制御することが非常に困難になる。したがって、高強度低合金線材であっても、優れた伸線加工性を有する線材が強く望まれていた。
これに対して、線材を700℃以上で保温または加熱し、スケール厚みを厚くし、かつスケール中のFeOの比率を高め、その後、急速冷却を施し、FeOのFeへの共析変態を抑制し、FeOリッチにすることで、線材の残存スケール量を低減する技術(例えば、特許文献1参照。)、0.6%以上のCを含有する線材を対象に、ミクロ組織をベイナイトあるいはベイナイト及び擬似パーライト組織とし、線材スケールに占めるFe組成の比率を30%未満とすることで、伸線加工性を向上させる技術(例えば、特許文献2参照。)、並びに上部ベイナイト組織の面積率が高い線材を対象に、スケール中に1〜3μmの空孔が面積率で1〜5%存在することでコイル運搬時のスケール密着性を高めると共に、メカニカルデスケーリング時のスケール剥離を向上させる技術(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
特開昭52−10829号公報 特開平8−295991号公報 特開平10−324923号公報
しかしながら、FeOリッチなスケールが厚いと、メカニカルデスケーリング時に歩留まり低下を引き起こし、また、線材の表面全体に対し均一にかつ、安定的にスケールを除去することが困難であり、さらに高温で線材を保温することにより著しく生産性を悪化させ、製造コストを増大させていた。
また、ベイナイトあるいはベイナイト及び擬似パーライトといったミクロ組織を得るためには、熱間圧延工程においてミストパテンティング等の雰囲気制御などを行なうための特殊な設備が必要で、製造コストを増大させていた。また、Fe組成の比率を30%未満に制御したとしても、つまり、ポーラスな構造を有するFeOリッチにしたとしても、その外層に生成する緻密なFeにより、メカニカルデスケーリング時に、線材の表面全体に対し均一にかつ、安定的にスケールを除去することが困難であった。
更に、スケール中に微小な空孔を数%存在させるためには、線材圧延後のソルト冷却で使用するソルトバス中に装入するバブリングガス中の酸素濃度を調整する必要がある。つまり、一般的なステルモア冷却法を使用すると大気雰囲気となるため、実質制御できないことになる。また、発明者による調査によれば、ソルトバス中のバブリングガス中の酸素を制御し、微小空孔を数%に制御できたとしても、粗大な空孔が同時に存在してしまい、結果的に全長にわたって安定的にスケールを除去することが困難であった。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、表面全体に対し均一かつ安定的にスケールを除去でき、伸線加工性に優れた、高強度低合金鋼線材を提供することを目的とする。
(a)一般的にはFeはスケール剥離性が乏しいと言われ、FeやFeに比べポーラス構造でかつ軟質なFeOの比率を増大させると、メカニカルデスケーリング性が向上すると考えられていた。しかし、表面全体に対し均一にかつ、安定的にスケールを除去するための手段としては、必ずしも充分ではなかった。
(b)一方、硬質で緻密なFeは、メカニカルデスケーリング時に、熱収縮時に発生したき裂の進展を止めてしまうことがあり、残存スケールを増大させてしまう。しかし、Feの中に空孔を適量存在させることができれば、空孔がき裂の伝播経路となり、き裂の進展を促進することができ、剥離しやすくなることに気付いた。
(c)そこで、Feのスケール剥離性について調べた結果、Feの体積比率を一定値以上とし、かつ、Fe中の空孔面積率をある範囲内に制御すれば、表面全体に対し均一に、かつ、安定的にスケールを除去できることが判明したものの、このようなスケール性状を得ようとすると、内部組織が伸線加工性を悪化させるものとなりやすいことが判明した。
(d)すなわち、このようなスケール性状を得るためには線材圧延後の冷却速度を制御する必要があるものの、0.8%以上のCを含有する高強度低合金鋼の場合、線材圧延後の冷却速度が速すぎると線材の内部組織はマルテンサイトやベイナイト主体となり、逆に冷却速度が遅すぎると簡単に初析セメンタイトが大量に発生してしまい、伸線加工を行うには共に硬すぎる内部組織となる。
(e)さらに、検討を重ねた結果、Feの体積比率を30%以上、かつ、Fe中の空孔面積率を20〜80%、内部組織に占めるパーライト面積率を90%以上とすれば、均一かつ安定的にスケールを除去することができ、伸線加工性に優れる高強度低合金鋼線材を得られることが明らかとなった。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
本発明の高強度低合金鋼線材は、線材内部の組成が、質量%で、C:0.80〜1.10%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.02〜0.70%、B:0.005%以下、P:0.012%以下、S:0.012%以下、Al:0.002%以下、N:0.003%以下、O:0.002%以下、残部がFe及び不純物であり、線材内部の組織に占めるパーライト面積率が90%以上であると共に、線材表面のスケール中に占めるFeの体積比率が30%以上で、該Fe中の空孔面積率が20%以上80%以下である。
本発明に係る高強度低合金鋼線材によれば、表面全体に対し均一かつ安定的にスケールを除去できて、ダイス焼付や断線が生じず、伸線加工性に優れる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、線材内部とは、線材表面のスケールを除いたメタル部分を指し、線材内部の組成の「%」は、「質量%」を意味する。
(A)線材内部の組成
C:0.80〜1.10%
Cは、鋼線の強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.80%未満の場合には、例えばTS(引張強さ)で4000MPaといった高い強度を最終製品に付与させることが困難である。一方、Cの含有量が多すぎると、鋼材が硬質化して伸線加工性の低下を招く。特に、Cの含有量が1.10%を超えると、初析セメンタイト(つまり、旧オーステナイト粒界に沿うセメンタイト)の生成を防止することが困難になり、伸線加工性が大きく低下し、後述のスケール性状を規定範囲にしても、伸線加工限界が真歪で2.6以上とならず、断線が頻発する。したがって、Cの含有量を0.80〜1.10%とした。
Si:0.10〜0.70%
Siは、強度を高めるのに有効な元素である。更に、脱酸剤として必要な元素でもある。しかし、その含有量が0.1%未満では添加効果に乏しく、一方、0.70%を超えると、地鉄とスケール界面に硬質なFeO・SiOが生成し、後述のスケール性状を規定範囲にしても、伸線加工限界が真歪で2.6以上とすることができない。したがって、Siの含有量を0.10〜0.70%とした。
Mn:0.10〜0.80%
Mnは、鋼の焼入性を確保するために必要な元素である。しかし、その含有量が0.1%未満では前記の効果が得難い。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、その含有量が0.80%を超えると特に線材の中心部に偏析し、その偏析部にマルテンサイトやベイナイトが生成するので、伸線加工性が低下してしまう。したがって、Mnの含有量を0.10〜0.80%とした。
Cr:0.02〜0.70%
Crは、パーライトのラメラ間隔を小さくして圧延後及びパテンティング後の強度を高める作用を有する。また、伸線加工をはじめとする冷間加工時の加工硬化率を高める働きがある。こうした効果を確実に得るには、Crの含有量は0.02%以上とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.70%を超えると、パーライト変態が終了するまでの時間が長くなり、熱間圧延後の線材の中心部にマルテンサイトやベイナイトが生成するため、また、地鉄とスケール界面に硬質なFeO・Crが残存し、伸線加工中の断線頻度が増加する。したがって、Crの含有量を0.02〜0.70%とした。
本発明において、B、P、S、Al、N、O(酸素)の含有量を下記のとおりに制限する。
B:0.005%以下
Bは不純物元素としても混入する元素であるが、さらに添加しなくてもよい。添加すれば、鋼中に固溶したNと結合してBNを形成し、固溶Nを低減して、伸線加工性を向上させ、更に最終伸線後の捻回試験での縦割れ発生を抑制する効果がある。この効果を確実に得るには、0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Bを、0.005%を超えて含有させると、粗大なBNが生成して、伸線加工性が低下する。したがって、Bの含有量を0.005%以下とした。
P:0.012%以下
Pは粒界に偏析して伸線加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.012%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.012%以下とした。
S:0.012%以下
Sは伸線加工性を低下させてしまう。特にその含有量が0.012%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.012%以下とした。
Al:0.002%以下
AlはAlを主成分とする酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させてしまう。特にその含有量が0.002%を超えると、前記酸化物系介在物が粗大化して、伸線加工中に断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.002%以下とした。
N:0.003%以下
Nは冷間での伸線加工中に転位に固着して鋼線の強度を上昇させる反面、伸線加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.003%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.003%以下とした。
O(酸素):0.002%以下
Oは、酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させてしまう。特に、Oの含有量が0.002%を超えると、酸化物系介在物が粗大化するので伸線加工性の低下が著しくなって、伸線加工中に断線が多発する。したがって、Oの含有量を0.002%以下とした。
なお、B、P、S、Al、N及びO(酸素)の、前記含有量への低減は、多くの場合、耐火物の溶損による上記元素の混入が起こらないよう耐火物の徹底管理、製鋼原料の精選、溶銑の低P若しくは低S化及び溶銑予備処理での脱S若しくは脱Pの充分な実施、並びに溶鋼段階での介在物浮上と除去の徹底によって行なうことができる。
(B)線材内部の組織
初析セメンタイトは、旧オーステナイト粒界に析出するネットワーク状の炭化物で、伸線加工性に非常に悪影響を及ぼす。マルテンサイトや下部ベイナイト組織も同様である。上部ベイナイト単相にすると伸線加工性が向上することが知られているが、当該組織を得るためには、熱間圧延工程において雰囲気制御などを行なうための特殊な設備が必要で、製造コストを増大させてしまう。したがって、本発明の線材のミクロ組織は、雰囲気制御などを行なうための特殊な設備を用いなくても生成できるパーライトを主体にする。ここで、パーライト主体の組織とは、パーライト面積率が90%以上のミクロ組織であると定義する。
(C)線材表面のスケール
線材表面のスケールに占めるFeの体積比率を30%以上に限定する理由は、30%未満だとメカニカルデスケーリング時に、空孔を亀裂の伝播経路とすることが困難となり、線材表面全体に対し均一にかつ、安定的にスケールを除去することができなくなるからである。また、Fe中の空孔面積率を20〜80%に限定する理由は、20%未満では残存スケール量が増し、その後の伸線加工時にダイスの焼付きや断線を生じるからであり、80%を超えるとメカニカルデスケーリングラインに搬送する途中で、スケールが容易に除去され、その後の保管状況によっては、錆びを発生させてしまうからである。
本発明の線材は、前述の化学組成を有する鋼を溶製し、そして連続鋳造や分塊圧延の後、線材圧延し、室温まで冷却するという方法で製造できるが、上記の線材表面のスケールと線材内部の組織を同時に達成するためには、線材圧延の仕上げ圧延温度を800〜1000℃、捲取温度を800〜950℃とし、捲取温度から600℃までの平均冷却速度を6〜18℃/sとし、600℃から300℃までの平均冷却速度を4〜15℃/sとし、さらに捲取温度から200℃までの平均冷却速度を7〜13℃/sとする。
捲取温度から600℃までの平均冷却速度が6℃/s未満では、初析セメンタイトが析出してしまい、18℃/sを超えるとマルテンサイトやベイナイトが生成してしまう。よって内部組織のパーライトの面積率は90%未満となる。600℃から300℃までの平均冷却速度が4℃/s未満では、線材圧延時の生産性が著しく悪化してしまい、15℃/sを超えると線材表面のスケール中に占めるFeの体積比率が30%未満となってしまう。さらに、捲取温度から200℃までの平均冷却速度が7℃/s未満では、Fe中の空孔面積率が20%未満となり、13℃/sを超えるとFe中の空孔面積率が80%を超えてしまう。
こうして得られる本発明の高強度低合金鋼線材の引張強度は1150MPa以上であり、絞りは25%以上である。さらに、このような線材を最終伸線した後のフィラメントの引張強度は4000MPa以上となる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
表1に示す化学組成を有する3種類の鋼を、70トン転炉で溶製し、炉外精錬を施した後、連続鋳造を行なった。得られた鋳造物を通常の方法で熱間鍛造して140mm角のビレットに成形し、次いで、仕上げ圧延温度を880〜1000℃に、捲取温度を820〜900℃の範囲に調整し、線径5.5mmまで熱間圧延した。捲取後、線材をステルモア冷却によって室温まで冷却して線材を得た。冷却する際の各温度帯の平均冷却速度を表2に示す。
Figure 0004375149
スケール組成の分析は、得られた線材に歪を与え、スケールを完全に剥離させた後、これらスケールを粉末化させ、X線回折によりFeO、Fe、Feのピーク強度比からFeの比率を算出することによって行なった。結果を表2に示す。
Fe中の空孔面積率は、得られた線材の横断面(つまり、長さ方向に直角な切断面)を鏡面研磨した後、光学顕微鏡を用いて、倍率500倍で横断面をミクロ撮影し、撮影した画像を画像解析して算出した。撮影した横断面は、得られた2トンの線材コイルの先端部、中間部及び末端部の各1巻きより、均等に8箇所サンプルを採取し、そのうちの1箇所につき円周方向に8等分されたものである。算出した値の平均値を表2に示す。
上記の空孔面積率の算出で用いられたサンプルと同様のサンプルを採取し、それぞれのサンプルを鏡面研磨した後、ナイタールで腐食し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率2500倍で、線材コイルの表面部4箇所、R/2部(半径方向の表面と中心の中間点)4箇所、そして中心部1箇所を撮影し、得られた画像を画像解析して各箇所のパーライト面積率から平均値を算出し、パーライト面積率とした。結果を表2に示す。
残留スケール量は、引張試験機にて、チャック間距離200mmとして、クロスヘッドの変位が12mmまで(6%)線材に引張荷重を与え、線材を取り出した後、線材表面のスケールを吹き飛ばして、100mm長さに切断して線材重量を測定し(W1)、この線材サンプルを塩酸中に浸漬して線材表面に付着しているスケールを完全に剥離させ、再度、線材重量を測定した(W2)。この重量測定結果より、下記式(1)により残留スケール量を算出した。結果を表2に示す。
残留スケール量(重量%)=(W1−W2)/W2×100 (1)
表2に示す条件で製造した各2トンの熱間圧延線材を、メカニカルデスケーリング後、各ダイスでの減面率が15〜25%のパススケジュールで、乾式伸線加工した。この際、直径1.5mm以下まで伸線加工を行なっても1回も断線しない場合に、伸線加工性が良好であると評価した。また、5回断線した場合には、その線材の伸線作業を中止した。表2中、伸線加工限界歪は、真歪(ε)の値で表されており、真歪(ε)は下記式(2)で表される。ここで、dは伸線前の線材の直径を、dは伸線後の線材の直径をそれぞれ示す。なお、直径で5.5mmから1.5mmまで伸線したときの真歪(ε)は2.6であり、さらに細く伸線した場合は、この真歪(ε)値は大きくなる。
ε=2ln(d/d) (2)
Figure 0004375149
表2から明らかなように、本発明で規定する、スケールに占めるFeの特定の体積比率範囲、該Fe中の特定の空孔面積率範囲、及び線材内部組織の特定のパーライト面積率範囲のいずれかから外れた線材は、直径5.5mmから直径1.5mmまで伸線できず(伸線加工限界歪の値が2.6未満)、伸線加工性が悪いことは明らかである。なお、比較例4及び比較例5、比較例10及び比較例11、並びに比較例16及び比較例17の各線材は、Fe中の空孔面積率が、本発明で規定する上限値(80%)を超えているため、線材コイルの搬送中にスケールが剥離し、錆びの発生が激しいため、不良品として、はねた(リジェクトした)ものである。
これに対し本発明の線材は、直径5.5mmから直径1.5mmまで伸線しても断線が生じず(伸線加工限界歪の値が2.6以上)、良好な伸線加工性を有することが判る。また、本発明の線材は、残存スケール量が少なく、線材の表面全体に対し均一にかつ安定的にスケールが除去されていることが判る。さらに、特殊な冷却方法を用いなくても、ステルモア冷却によって本発明のような伸線加工性に優れた線材が得られることが判る。

Claims (1)

  1. 線材内部の組成が、質量%で、C:0.80〜1.10%、Si:0.10〜0.70%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.02〜0.70%、B:0.005%以下、P:0.012%以下、S:0.012%以下、Al:0.002%以下、N:0.003%以下、O:0.002%以下、残部がFe及び不純物であり、線材内部の組織に占めるパーライト面積率が90%以上であると共に、
    線材表面のスケール中に占めるFeの体積比率が30%以上で、該Fe中の空孔面積率が20%以上80%以下である
    ことを特徴とする高強度低合金鋼線材。
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