Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPH09165643A - 転動疲労特性に優れた軸受鋼 - Google Patents

転動疲労特性に優れた軸受鋼

Info

Publication number
JPH09165643A
JPH09165643A JP32335795A JP32335795A JPH09165643A JP H09165643 A JPH09165643 A JP H09165643A JP 32335795 A JP32335795 A JP 32335795A JP 32335795 A JP32335795 A JP 32335795A JP H09165643 A JPH09165643 A JP H09165643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
longitudinal section
bearing steel
rolling fatigue
carbides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP32335795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3007834B2 (ja
Inventor
Keiichi Yasunaga
恵一 安永
Yoshitake Matsushima
義武 松島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP7323357A priority Critical patent/JP3007834B2/ja
Publication of JPH09165643A publication Critical patent/JPH09165643A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3007834B2 publication Critical patent/JP3007834B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転動疲労寿命に及ぼす巨大炭化物量の影響を
定量的に明らかにし、優れた転動疲労特性を確実に発揮
し得る様な軸受鋼を提供すること。 【解決手段】 C,Mn,Al,O等の含有量の特定さ
れた鋼材を線状または棒状圧延してなり、該圧延材にお
ける軸心を通る縦断面の中心線において、該縦断面の軸
心を含み該軸心線から片側に夫々1/8・D(Dは該縦断面
の幅を表わす)以内の中心領域に現われる厚さ2μm以
上の炭化物の総断面積が、前記縦断面積に対して0.3
%以下である転動疲労特性に優れた軸受鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や各種産業
機械などに使用される玉軸受やローラ軸受などの軸受用
として、優れた転動疲労特性を有する軸受鋼に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】上記の様な用途に用いられる軸受鋼とし
ては、従来よりJIS G 4805に規定されるSU
J2等の高炭素クロム軸受鋼が主として用いられてき
た。ところがこれらの軸受鋼は、高炭素であるため鋳造
時にC等の元素が中心偏析を起こし、その後に分塊や熱
間圧延を行なっても該偏析部に図1に示す様な巨大炭化
物となって現われることがある。そしてこの様な巨大炭
化物が生成したものでは、その後に球状化焼なましや焼
入れ・焼戻し等の工程を経て軸受部品に加工された後も
該巨大炭化物が残存し、これが応力集中源となって転動
疲労寿命を低下させることが経験的に確認されている。
【0003】そこで、高炭素クロム軸受鋼の鋳造時に生
じる中心偏析および該中心偏析部に生じる巨大炭化物を
消滅させるため、例えば特開平3−75312号には、
鋳造材をビレットに圧延した後ソーキング処理を行なう
方法を提案している。また特開平3−104819号に
は、高炭素クロム軸受鋼を連続鋳造によって製造する際
に、内部が未凝固の状態で圧下を行なう方法、更に特開
昭59−137164号には、連続鋳造の際に電磁攪拌
を行ない、鋳片中心部の炭素含有量C1 と表層部の炭素
含有量C2 との比(C1 /C2 )が1.2以下となる様
に制御する方法を提案している。
【0004】これらの方法は、転動疲労寿命に影響を及
ぼすことが定性的に確認されている前記巨大炭化物の低
減乃至消滅を目的とする点で有意義な方法であるが、該
巨大炭化物が高炭素クロム軸受鋼の転動疲労寿命に具体
的にどの程度悪影響を及ぼすか、更には該巨大炭化物の
存在量をどの程度に抑えれば転動疲労寿命を確実に高め
ることができるか、といった定量的な関係については明
確にされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、転動
疲労寿命に及ぼす巨大炭化物量の影響を定量的に明らか
にし、優れた転動疲労特性を確実に発揮し得る様な軸受
鋼を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る転動疲労特性に優れた軸受鋼の構
成は、 C :0.6〜1.2% Mn:0.2〜1.5% Si:2.0%以下(0%を含む) Al:0.005〜0.06% P :0.03%以下(0%を含む) S :0.03%以下(0%を含む) Ti:0.005%以下(0%を含む) O :0.0020%以下(0%を含む) 残部:Feおよび不可避的不純物 の要件を満足すると共に、線状または棒状圧延材におけ
る軸心を通る縦断面の中心線において、該縦断面の軸心
を含み該軸心線から片側に夫々1/8・D(Dは該縦断面の
幅を表わす)以内の中心領域に現われる厚さ2μm以上
の炭化物の総断面積が、前記縦断面積に対して0.3%
以下であるところにその特徴を有している。
【0007】本発明に係る軸受鋼は、更に他の元素とし
て、Cr:2.0%以下(0%を含まない)、Ni:
2.0%以下(0%を含まない)、Mo:1.0%以下
(0%を含まない)、Cu:1.0%以下(0%を含ま
ない)、V:0.3%以下(0%を含まない)、Nb:
0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
れる少なくとも一種を含有させることによって、転動疲
労特性を一段と優れたものとすることができ、また、更
に他の元素として、Pb:0.1%以下(0%を含まな
い)、Ca:0.01%以下(0%を含まない)、T
e:0.1%以下(0%を含まない)、Bi:0.1%
以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少な
くとも一種を含有させることによって、被削性を高める
ことが可能である。
【0008】更に、該鋼材中に含まれる合金元素のうち
C,Mn,Cr,Ni,Moの各元素については、それ
らの含有量が、下記(1)式の関係を満たす様に成分調
整して焼入性を高めることにより、転動疲労特性を更に
優れたものとすることができる。 [C]1/2+0.12 ×[Mn]+ 0.11×[Cr]+ 0.05×[Ni]+ 0.03×[Mo]≧1.05……(1) (式中、[元素]は鋼材中の各元素の質量%を表わす)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明で使用する鋼材の化
学成分を規定した理由、更には、線状もしくは棒状圧延
材の縦断面中心部に存在する炭化物の面積率などを定め
た理由を詳細に説明する。まず鋼材の化学成分を定めた
理由を明らかにする。
【0010】C:0.6〜1.2% Cは、焼入れ・焼戻し後の状態で軸受鋼に必要とされる
最低限の硬さであるHRc58以上を確保し、転動疲労
特性などの軸受特性を確保するための強化元素として欠
くことのできない元素であり、少なくとも0.6%以上
含有させなければならず、好ましくは0.7%以上含有
させることが望ましい。しかしながら、C含有量が多く
なり過ぎると芯部に巨大炭化物が生成し易くなり、転動
疲労特性に却って悪影響を及ぼす様になるので、多くと
も1.2%以下、好ましくは1.1%以下に抑えるべき
である。
【0011】Si:2.0%以下(0%を含む) Siは、脱酸性元素として有効に作用する他、焼入れ・
焼戻し軟化抵抗を高めて芯部硬さを高める作用を有して
おり、それらの作用は0.03%程度以上含有させるこ
とによって有効に発揮される。しかしながらそれらの効
果は2.0%で飽和し、それ以上含有させると冷間加工
性や被削性に悪影響が現われてくるので、2.0%以
下、より好ましくは1.0%以下に抑えなければならな
い。
【0012】Mn:0.2〜1.5% Mnは脱酸・脱硫剤として有効に作用する他、焼入性を
高めて表層および芯部硬さを高め、表面の陥没を防止す
ると共に転動疲労寿命を向上させるうえで欠くことので
きない元素であり、それらの効果を有効に発揮させるに
は0.2%以上含有させなければならない。しかしそれ
らの効果は1.5%で飽和し、それ以上含有させると冷
間加工性や被削性に悪影響を及ぼす様になるので、1.
5%以下に抑えなければならない。Mnのより好ましい
含有量は0.2〜1.2%の範囲である。
【0013】Al:0.005〜0.06% Alは脱酸性元素として有効に作用する他、窒化物を生
成してオーステナイト結晶粒を微細化し靭性を高める作
用を有しており、それらの効果を有効に発揮させるには
0.005%以上含有させなければならない。しかしな
がらAl量が多くなり過ぎると、オーステナイト結晶粒
が却って粗大化し靭性を悪化させるので、0.06%以
下に抑えなければならない。Alのより好ましい含有量
は0.01〜0.04%の範囲である。
【0014】P:0.03%以下(0%を含む) Pは非金属系介在物となって靭性に悪影響を及ぼすの
で、その含有量は極力少なく抑えるべきであり、その弊
害が実用上ほとんど問題とならない0.03%を上限と
する。より好ましくは0.015%以下である。
【0015】S:0.03%以下(0%を含む) Sは、鋼中でほとんどがMnSの形態で存在し、切削性
の向上に寄与する元素であるが、酸素含有量の少ない鋼
材においては転動疲労寿命に顕著な悪影響を及ぼすの
で、0.03%以下に抑えなければならない。より好ま
しくは0.015%以下である。
【0016】Ti:0.005%(0%を含む) Tiは、鋼中に微量混入してくるNと結合してTiNを
生成し、転動疲労特性に悪影響を及ぼすばかりでなく、
冷間加工性や熱間加工性も害する有害元素であり、それ
らの障害を回避するには0.005%以下、より好まし
くは0.004%以下に抑えなければならない。
【0017】O:0.0020%以下(0%を含む) Oは、Alと結合して転動疲労特性の劣化原因となるA
23 系介在物を形成し、また冷間加工性や熱間加工
性にも悪影響を及ぼすので、0.0020%以下、より
好ましくは0.0015%以下に抑えなければならな
い。
【0018】本発明に係る軸受鋼の残部成分はFeおよ
び不可避的不純物であるが、必要により更に他の元素と
して下記の様な元素を適量含有させることによって、軸
受鋼としての特性を一段と改善することが可能である。
【0019】Cr:2.0%以下(0%を含まない)、
Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Mo:1.0
%以下(0%を含まない)、Cu:1.0%以下(0%
を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)、
Nb:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から
選択される少なくとも一種 これらの元素はいずれも転動疲労寿命の向上に寄与する
元素である点で同効元素である。即ちCr,Ni,M
o,Cuはいずれも焼入性向上元素として作用し、表層
および芯部の硬さを高めて転動疲労特性の向上および表
面陥没の抑制に寄与し、またVおよびNbは、鋼中のC
やNと結合して炭窒化物を生成し、結晶粒を微細化して
転動疲労寿命の向上に寄与する。これらのうちCr,N
i,Moは、焼入性向上元素としての作用により質量の
大きな部品における焼入れ・焼戻しを容易にするうえで
有効に作用する。また、Cuは焼入性の向上に加えて耐
食性を高める作用も有しており、またV,Nbは、上記
結晶粒微細化作用によって靭性を高める作用も発揮す
る。これらの効果は、Crで0.2%以上、Niで0.
25%以上、Moで0.08%以上、Cuで0.25%
以上、Vで0.01%以上、Nbで0.01%以上含有
させることによって有効に発揮される。
【0020】しかし、Cr量が2.0%を超えると巨大
なCr炭化物が生成し易くなり、Ni量が2.0%を超
えあるいはMo量が1.0%を超えると冷間加工性や被
削性が悪くなる他、焼入れ・焼戻し後に残留オーステナ
イトが多量生成して寸法安定性が劣化し、Cu量が1.
0%を超えると冷間加工性および被削性が低下する他赤
熱脆性を助長して熱間加工割れを発生し易くなるので、
夫々上限値以下に抑えるべきである。またVの添加効果
は0.3%で飽和し又Nbの上加効果は0.1%で飽和
するので、それ以上の添加は経済的に無駄である。
【0021】Pb:0.1%以下(0%を含まない)、
Ca:0.01%以下(0%を含まない)、Te:0.
1%以下(0%を含まない)、Bi:0.1%以下(
%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一
これらの元素はいずれも被削性向上元素として作用する
が、それらの効果は夫々の上限値付近で飽和し、含有量
が多くなり過ぎると転動疲労寿命に悪影響が現われてく
るので、夫々上限値以下に抑えなければならない。
【0022】更に本発明においては、上記各含有元素の
種類と夫々の含有量に加えて、焼入れ・焼戻し後の硬さ
を支配する影響要因として、上記含有元素のうちC,M
n,Cr,Ni,Moの含有量が、前記(1)式の関係
を満たす様に成分調整したものは、転動疲労特性を一段
と優れたものにすることができるので好ましい。殊に、
前記(1)式の関係を満足する鋼材を適切な温度範囲で
焼入れ(好ましくは830〜870℃)・焼戻し(好ま
しくは140〜180℃)処理を行なえば、焼入れ・焼
戻し後の状態でHRc60以上の硬さを有するものとな
り、転動疲労特性の一段とすぐれた軸受鋼を与える。
【0023】本発明の軸受鋼は、上記成分組成の要件を
満足させることによって、優れた焼入れ・焼戻し性を確
保して表層部および芯部硬さを確保しつつ、炭化物の生
成量を可及的に抑え、転動疲労特性を改善したものであ
るが、転動疲労寿命が確実に改善されたものとするに
は、これら成分組成の要件に加えて、線状もしくは棒状
に圧延された圧延材または、引き抜き加工材の軸心を含
む縦断面の中心部(具体的には、図2に示す如く軸心線
から縦断面の幅Dに対し片側にそれぞれ1/8 ×D離れた
ラインで挟まれる領域)に存在する厚さ2μm以上の炭
化物の総断面積を、前記縦断面積に対して0.3%以下
に抑えることが極めて重要になる。
【0024】ちなみに図3は、後述する実施例を含めて
多くの実験データから、上記縦断面中心部に存在する厚
さ2μm以上の炭化物の占める総断面積率が転動疲労寿
命に与える影響を整理して示したグラフであり、この図
からも明らかである様に、厚さ2μm以上の炭化物の面
積率が0.2%付近までは転動疲労寿命の低下傾向は僅
かであるが、この値が0.3%を超えると転動疲労寿命
は急激に低下することを確認できる。そしてこの様な傾
向が得られたのは、炭化物が厚さ2μm以上の巨大なも
のであるとき、その部分に応力集中が起こり易くなり、
その面積率が0.3%を超えた時に顕著な転動疲労寿命
の低下となって現われるためと考えられる。
【0025】尚、上記の様に軸心部縦断面の中心部に存
在する2μm以上の炭化物の面積率を0.3%以下に抑
えるための手段としては、たとえば連続鋳造法を採用す
る際には、冷却凝固時における固相率0.2〜0.7の
間で大径ロール圧下を加えることによって凝固時の中心
偏析を抑制する方法、あるいはその後更に鋳片を115
0℃以上の温度で10時間以上ソーキング処理する方法
などが好ましい方法として例示される。また通常の造塊
法を採用する場合は、鋳片を1150℃以上の温度で2
0時間以上ソーキング処理する方法などが好ましい方法
として例示される。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明の構成および作用
効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記
実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣
旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論
可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含
まれる。
【0027】実施例 表1に示す成分組成の鋼材を150kg真空炉を用いて
溶製した後、造塊法によって鋳片を製造し、各鋳片を1
200℃で10時間ソーキング処理した後直径65mm
に熱間鍛造し、引き続いて下記の条件で球状化焼きなま
し処理を行なった。 (No.2,3および16) 790℃×2時間→680℃まで20℃/Hrで炉冷→
その後空冷 (その他) 760℃×2時間→680℃まで20℃/Hrで炉冷→
その後空冷
【0028】得られた各焼きなまし処理材について、軸
心を含む縦断面の中心線から片側に夫々 1/8×直径だけ
離れたライン(前記図2参照)で挟まれる範囲から長さ
10mmのサンプルを10個切り出し、400倍の光学
顕微鏡により被検面全面を観察し、画像解析装置を用い
て厚さ2μm以上の炭化物の面積率を求めた。
【0029】また、各焼きなまし材について、図4に示
す如く軸心を含む縦断面より60mm、厚さ5mmの円
盤を切り出し、焼入れ・焼戻し処理後ラッピング加工を
施して表面粗さを0.04μmRa以下にした後、下記
の条件で転動疲労試験を行なった(N=20)。結果を
表2に示す。 (転動疲労試験) 面 圧:527kgf/mm2 回転数:1000rpm 鋼球数:6個 潤滑油:タービン#68
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1,2より次の様に考察することができ
る。No.1〜16は、鋼材の成分組成が本発明の規定
要件を全て満足すると共に、縦断面中心領域に存在する
厚さ2μm以上の炭化物の面積率が0.3%以下である
実施例であり、いずれも優れた転動疲労寿命を有してい
る。中でも、(1)式の計算値が1.05以上であるも
のは、その値が1.05未満であるものに比べて相対的
に高い転動疲労寿命を有していることが分かる。
【0033】これらに対しNo.17〜24は、本発明
で定めるいずれかの要件を欠く比較例であり、下記の如
く軸受鋼としての性能に問題がある。 No.17:巨大炭化物は認められないが、C量が少な
く(1)式の値が著しく低いため、硬さ不足によって満
足な転動疲労特性が得られない。 No.18:C量が多過ぎるため、中心部に規定量を超
える面積率の巨大炭化物が生じており、満足な転動疲労
特性が得られない。
【0034】No.19,20:Si量またはMn量が
規定範囲を超える比較例であり、中心部に巨大炭化物の
生成も認められず転動疲労寿命も良好であるが、冷間加
工性と被削性が非常に悪く実用にそぐわない。 No.21,22,23,24:巨大炭化物の面積率そ
のものは本発明の規定要件を満たしているが、P,S,
Ti,Oの各含有量が多過ぎる比較例であり、いずれも
転動疲労寿命が著しく劣っている。
【0035】実施例2 上記表1に示した鋼種のうちNo.2,3を選択し、夫
々下記の条件で鋳造、ソーキング処理、熱間鍛造、球状
化焼きなまし処理を行なった後、前記実施例1と同様に
して中心部の巨大炭化物の面積率を測定すると共に、転
動疲労試験を行なった。
【0036】10kgf真空炉による溶製→造塊→1
200℃×10時間のソーキング処理→直径65mmに
熱間鍛造→790℃×2時間加熱→680℃まで20℃
/時間で炉冷→空冷。 150kgf真空炉による溶製→造塊→1200℃×
10時間のソーキング処理→直径65mmに熱間鍛造→
790℃×2時間加熱→680℃まで20℃/時間で炉
冷→空冷。
【0037】実機を用いた溶製→連続鋳造による30
0mm×430mmの鋳片製造(鋳型内電磁攪拌の実
施、および固相率0.3〜0.7の領域での大径ロール
圧下)→1200℃×10時間のソーキング処理→直径
65mmに熱間鍛造→790℃×2時間加熱→680℃
まで20℃/時間で炉冷→空冷。 実機による溶製→7トン鋼塊の造塊→1200℃×1
0時間のソーキング処理→直径65mmに熱間鍛造→7
90℃×2時間加熱→680℃まで20℃/時間で炉冷
→空冷。
【0038】得られた焼きなまし材について、上記実施
例1と同様にして縦断面中心部における2μm以上の炭
化物の面積率を測定すると共に、転動疲労試験を行なっ
た。結果は表3に示す通りであり、同じ成分組成の鋼種
であっても、縦断面中心部における2μm以上の炭化物
の面積率によって転動疲労特性は著しく変わり、該面積
率が0.3%を超える比較例の転動疲労寿命は非常に悪
いことが分かる。尚これらの実験では、鋳造スケールの
違いによって生じる冷却速度の違いが巨大炭化物の面積
率に大きく影響を及ぼしていると思われ、鋳造スケール
が小さくて冷却速度が速いものほど、巨大炭化物は発生
し難くなっている。
【0039】
【表3】
【0040】また、No.2の鋼種を用いた上記と
の供試材について、転動疲労試験を行なった後の試験片
に見られる試験片の中心からのずれ角度と剥離発生頻度
の関係を調べたところ、図5(供試材)および図6
(供試材)に示す結果が得られた。
【0041】これらの図からも明らかな様に、図5(2
μm以上の炭化物面積率が0.3%以下であるもの)で
は、供試材の中心部(中心からのずれ角度=0度)から
表層部(中心からのずれ角度=90度)の範囲で剥離発
生頻度の高い部分がアットランダムに観察されるのに対
し、図6(2μm以上の炭化物面積率が0.3%を超え
るもの)では、中心からのずれ角度が0〜10度の部位
(即ち中心領域)で剥離発生頻度が極端に高くなってお
り、圧延材の軸心部で転動疲労による剥離が極端に起こ
り易くなることを確認できる。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
材の化学成分を特定すると共に、圧延材の縦断面中心部
に存在する特定サイズ以上の炭化物の面積率を規定し、
あるいは更に前記式(1)の関係を満たす様に鋼材の成
分組成を調整することによって、優れた転動疲労特性を
有する軸受鋼を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸受鋼の縦断面組織を示す顕微鏡写真であり、
該縦断面に現われた巨大炭化物の一例を示している。
【図2】巨大炭化物の面積率を求める観察領域を示す説
明図である。
【図3】縦断面の中心部に存在する厚さ2μm以上の炭
化物の占める面積率と転動疲労寿命の関係を示すグラフ
である。
【図4】転動疲労試験片の採取位置を示す説明図であ
る。
【図5】転動疲労試験片(比較材)の中心からのずれ角
度と剥離発生頻度の関係を示すグラフである。
【図6】転動疲労試験片(発明材)の中心からのずれ角
度と剥離発生頻度の関係を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.6〜1.2%(以下、特記しな
    い限り質量%を意味する) Mn:0.2〜1.5% Si:2.0%以下(0%を含む) Al:0.005〜0.06% P :0.03%以下(0%を含む) S :0.03%以下(0%を含む) Ti:0.005%以下(0%を含む) O :0.0020%以下(0%を含む) 残部:Feおよび不可避的不純物 の要件を満足すると共に、線状または棒状圧延材におけ
    る軸心を通る縦断面の中心線において、該縦断面の軸心
    を含み該軸心線から片側に夫々1/8・D(Dは該縦断面の
    幅を表わす)以内の中心領域に現われる厚さ2μm以上
    の炭化物の総断面積が、前記縦断面積に対して0.3%
    以下であることを特徴とする転動疲労特性に優れた軸受
    鋼。
  2. 【請求項2】 鋼材が、他の元素として、Cr:2.0
    %以下(0%を含まない)、Ni:2.0%以下(0%
    を含まない)、Mo:1.0%以下(0%を含まな
    い)、Cu:1.0%以下(0%を含まない)、V:
    0.3%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下
    (0%を含まない)よりなる群から選択される少なくと
    も一種を含有するものである請求項1に記載の軸受鋼。
  3. 【請求項3】 鋼材が、他の元素として、Pb:0.1
    %以下(0%を含まない)、Ca:0.01%以下(0
    %を含まない)、Te:0.1%以下(0%を含まな
    い)、Bi:0.1%以下(0%を含まない)よりなる
    群から選択される少なくとも一種を含有するものである
    請求項1または2に記載の軸受鋼。
  4. 【請求項4】 鋼材中に含まれる合金元素の含有量が、
    下記(1)式の関係を満足するものである請求鋼1〜3
    のいずれかに記載の軸受鋼。 [C]1/2+0.12 ×[Mn]+ 0.11×[Cr]+ 0.05×[Ni]+ 0.03×[Mo]≧1.05……(1) (式中、[元素]は鋼材中の各元素の質量%を表わす)
JP7323357A 1995-12-12 1995-12-12 転動疲労特性に優れた軸受鋼 Expired - Fee Related JP3007834B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7323357A JP3007834B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 転動疲労特性に優れた軸受鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7323357A JP3007834B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 転動疲労特性に優れた軸受鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09165643A true JPH09165643A (ja) 1997-06-24
JP3007834B2 JP3007834B2 (ja) 2000-02-07

Family

ID=18153883

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7323357A Expired - Fee Related JP3007834B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 転動疲労特性に優れた軸受鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3007834B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007113034A (ja) * 2005-10-18 2007-05-10 Kobe Steel Ltd 軸受鋼
WO2012029212A1 (ja) * 2010-08-31 2012-03-08 Jfeスチール株式会社 転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼、軸受用造塊材並びにそれらの製造方法
DE10207298B4 (de) * 2001-02-23 2012-12-13 Ntn Corp. Wälzlagerteil und Kraftübertragungsteil
WO2013046678A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 Jfeスチール株式会社 軸受用造塊材および製造方法
WO2013146124A1 (ja) 2012-03-30 2013-10-03 株式会社神戸製鋼所 転動疲労特性に優れた軸受用鋼材およびその製造方法
WO2016083335A1 (en) * 2014-11-27 2016-06-02 Aktiebolaget Skf Bearing component formed from a steel alloy
CN112226682A (zh) * 2020-09-22 2021-01-15 石横特钢集团有限公司 一种螺纹钢钛微合金化生产工艺

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01129952A (ja) * 1987-11-13 1989-05-23 Sanyo Special Steel Co Ltd 切屑処理性のよい長寿命転動部品用鋼
JPH02125841A (ja) * 1988-07-11 1990-05-14 Nippon Seiko Kk 転がり軸受
JPH03285041A (ja) * 1989-09-19 1991-12-16 Sumitomo Metal Ind Ltd 冷間転造に適した軸受レース用鋼管

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01129952A (ja) * 1987-11-13 1989-05-23 Sanyo Special Steel Co Ltd 切屑処理性のよい長寿命転動部品用鋼
JPH02125841A (ja) * 1988-07-11 1990-05-14 Nippon Seiko Kk 転がり軸受
JPH03285041A (ja) * 1989-09-19 1991-12-16 Sumitomo Metal Ind Ltd 冷間転造に適した軸受レース用鋼管

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10207298B4 (de) * 2001-02-23 2012-12-13 Ntn Corp. Wälzlagerteil und Kraftübertragungsteil
JP2007113034A (ja) * 2005-10-18 2007-05-10 Kobe Steel Ltd 軸受鋼
KR101396898B1 (ko) * 2010-08-31 2014-05-21 엔티엔 가부시키가이샤 전동 피로 수명 특성이 우수한 베어링강, 베어링용 잉곳재 그리고 그들의 제조 방법
WO2012029212A1 (ja) * 2010-08-31 2012-03-08 Jfeスチール株式会社 転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼、軸受用造塊材並びにそれらの製造方法
JP2012072485A (ja) * 2010-08-31 2012-04-12 Jfe Steel Corp 転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼、軸受用造塊材並びにそれらの製造方法
US9139887B2 (en) 2010-08-31 2015-09-22 Jfe Steel Corporation Bearing steel and ingot material for bearing having excellent rolling contact fatigue life characteristics and method for manufacturing the same
CN103168112A (zh) * 2010-08-31 2013-06-19 杰富意钢铁株式会社 滚动接触疲劳寿命特性优异的轴承钢、轴承用铸锭件以及它们的制造方法
CN103827337A (zh) * 2011-09-30 2014-05-28 杰富意钢铁株式会社 轴承用铸锭材料及制造方法
WO2013046678A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 Jfeスチール株式会社 軸受用造塊材および製造方法
CN103827337B (zh) * 2011-09-30 2016-02-10 杰富意钢铁株式会社 轴承用铸锭材料及制造方法
US9732395B2 (en) 2011-09-30 2017-08-15 Jfe Steel Corporation Ingot for bearing and production process
KR20190049908A (ko) * 2011-09-30 2019-05-09 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 베어링용 조괴재 및 제조 방법
WO2013146124A1 (ja) 2012-03-30 2013-10-03 株式会社神戸製鋼所 転動疲労特性に優れた軸受用鋼材およびその製造方法
US9624559B2 (en) 2012-03-30 2017-04-18 Kobe Steel, Ltd. Bearing steel excellent in rolling-contact fatigue properties and method for producing same
WO2016083335A1 (en) * 2014-11-27 2016-06-02 Aktiebolaget Skf Bearing component formed from a steel alloy
CN112226682A (zh) * 2020-09-22 2021-01-15 石横特钢集团有限公司 一种螺纹钢钛微合金化生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3007834B2 (ja) 2000-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4252837B2 (ja) 転動疲労寿命の優れた鋼材及びその製造方法
JP5114689B2 (ja) 肌焼鋼及びその製造方法
KR101520208B1 (ko) 기소강 및 그의 제조 방법, 및 기소강을 이용한 기계 구조 부품
EP3112487B1 (en) Steel for induction hardening
CN109641251B (zh) 轧制用辊外层材料和轧制用复合辊
JP5400089B2 (ja) 転動疲労寿命特性に優れた軸受鋼、軸受用造塊材並びにそれらの製造方法
KR100740414B1 (ko) 재질 이방성이 작고 강도, 인성 및 피삭성이 우수한비조질 강 및 그의 제조 방법
JPH05117804A (ja) 加工性および転動疲労性に優れた軸受用鋼
EP3382050A1 (en) Steel, carburized steel component, and carburized steel component production method
EP3382051A1 (en) Steel, carburized steel component, and carburized steel component production method
CN113661019B (zh) 通过离心铸造法制造的轧制用复合辊及其制造方法
JP6004698B2 (ja) 転がり軸受の軌道輪製造法および転がり軸受製造法
JP3007834B2 (ja) 転動疲労特性に優れた軸受鋼
JP2000034538A (ja) 旋削加工性に優れた機械構造用鋼
JP7092943B2 (ja) 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
JPH03254342A (ja) 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法
WO2018212196A1 (ja) 鋼及び部品
JP4280923B2 (ja) 浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材
CN107429359B (zh) 热轧棒线材、部件及热轧棒线材的制造方法
WO2018047444A1 (ja) 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール
JP2004124127A (ja) 捻り疲労特性に優れた浸炭用鋼
JP7464821B2 (ja) 軸受軌道用鋼材、および軸受軌道
JP2905242B2 (ja) 転動疲労寿命に優れた低Cr軸受鋼素材の製造方法
JP2005307257A5 (ja)
JP5363827B2 (ja) 機械構造用鋼およびその製造方法ならびに機械構造用部品

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19980310

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091126

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091126

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101126

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111126

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121126

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees