JP2004006185A - 蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
3波長発光形蛍光体の使用量を低減して、しかも、所要の全光束を有する蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】
蛍光ランプは、ガラスバルブ1aからなる透光性放電容器1と、主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器1の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜2と、3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜2の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層3と、透光性放電容器1の内部に放電を生起するように配設された一対の電極4と、透光性放電容器1の内部に封入された放電媒体とを具備している。
【選択図】
図2
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、改良された蛍光体層を備えた蛍光ランプおよび蛍光ランプを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類蛍光体は、ハロリン酸カルシウム蛍光体に比較して著しく高価であるため、その使用量を減少させようとする試みが従来からなされている。たとえば、特開平9−167595号公報には、蛍光ランプの放電容器内面に紫外線反射性を有する保護膜を形成し、この保護膜上に希土類蛍光体からなる蛍光体層を形成する技術が開示されている。(従来技術1)
従来技術1によれば、5〜80質量%のγアルミナと20〜95質量%のαアルミナとを混合して形成された保護膜を有しているので、保護膜の紫外線反射率が高くなり、蛍光体層への紫外線反射が効果的に行われ、その結果として高価な希土類蛍光体の使用量を低減できると説明されている。
【0003】
一方、従来の環形蛍光ランプは、まず直管状のガラスバルブの内面に蛍光体層が形成され、次にガラスバルブの両端に一対の電極を封着した後に曲げ加工を行なって環形に整形し、さらにガラスバルブの内部を排気してから水銀およびアルゴンを封入することによって製作される。この種の環形蛍光ランプは、曲げ加工前のガラスバルブに蛍光体層を形成する前に、ガラスバルブの内面に予め保護膜を形成し、その保護膜の上に蛍光体層を形成するのが一般的である。この保護膜は、紫外線照射により、ガラスバルブ中のアルカリ線分(主にナトリウム)が移動してバルブ表面に析出する現象によって蛍光体が劣化したりするのを抑制するために形成される。そうして、この保護膜によってバルブ表面に析出したアルカリ成分と蛍光体または水銀との間を遮断し、これらの反応を防止しようとするものである。そして、この保護膜には、超微粒子状のγアルミナや酸化亜鉛および酸化チタンの混合体などのスラリーをガラスバルブの内面に塗布し、焼成して形成している。(従来技術2)
次に、従来のラピッドスタート形蛍光ランプにおいては、寿命中にいわゆるEC黒化を生じることから、これを抑制するために、透光性導電膜の抵抗値を規制している。また、たとえば特開昭50−12885号公報、同52−49683号公報および同52−93184号公報などに記載されているように、いわゆる黄斑現象など透光性導電膜の配設に伴って発生する黒化(以下、「EC黒化」という。)の発生を抑制するために、透光性導電膜と蛍光体層との間にγアルミナなどの絶縁性の金属酸化物からなる保護膜を介在させている。(従来技術3) 従来技術3においては、EC黒化の原因と考えられている透光性導電膜と放電空間との間の絶縁破壊を防止するために、それらの間の絶縁抵抗を保護膜によって高めることを保護膜の目的としている。
【0004】
また、特許第3189558号公報には、金属酸化物として酸化亜鉛および酸化チタンを後者が30〜70質量%の混合割合で含み、平均膜厚が0.2〜1.5μmの金属酸化物微粒子により構成された紫外線吸収保護膜を備えたラピッドスタート形蛍光ランプが記載されている。(従来技術4)
さらに、ラピッドスタート形の蛍光ランプにおいては、始動電圧を低減するために、蛍光体粒子の表面に酸化マグネシウムMgOの微粒子を被覆している。(従来技術5)
そうして、従来技術3および4における保護膜は、そのいずれも金属酸化物として平均粒径10〜20nm程度の超微粒子状をなしているものを用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の蛍光ランプは、保護膜にαアルミナ微粒子を20〜95質量%含むように構成されているので、製造が煩雑となり、紫外線反射率を高めることが困難なものであった。すなわち、αアルミナ微粒子は、保護膜を塗布形成する際のスラリーを調製する場合に溶媒中に分散しにくいという性質を有しており、保護膜形成状態でαアルミナ微粒子が適度に分散していない場合には、紫外線反射率が低下してしまう。また、αアルミナ微粒子をスラリー溶媒中に適度に分散させるために、分散剤などを溶媒に添加する必要があり、製造が煩雑であるとともに、製造コストも上昇してしまう。
【0006】
次に、従来技術2の環形蛍光ランプにおいては、従来の保護膜は、曲げ加工の際の曲げにより、主としてガラスが伸びた部分に剥がれやクラック(ひび割れ)が生じやすかった。このため、外観不良になるという問題があった。この現象は、保護膜を従来技術のようにαアルミナ微粒子によって形成した場合でも、同様に発生してしまう。また、保護幕が剥がれたり、クラック(ひび割れ)が生じたりすると、その部分は、蛍光体または放電空間側にガラスバルブ内面が露出することとなるため、アルカリ成分と蛍光体または水銀とが反応して着色化してしまうという不具合が生じやすかった。なお、剥がれは、ピンホール状をなしている場合が多い。
【0007】
さらに、従来技術3および4のラピッドスタート形蛍光ランプにおいては、EC黒化を生じにくいように透光性導電膜の抵抗値を規制すると、蛍光ランプの始動電圧が上昇して、その始動性が低下する傾向があり、最低限の始動性を確保すると、EC黒化を生じやすいという問題があった。また、保護膜として使用する金属酸化物の種類によっても、EC黒化が生じやすいという傾向がある。すなわち、γアルミナを用いた場合、EC黒化が生じやすい。保護膜として使用する金属酸化物の種類によっては全光束が低下するという問題もあった。すなわち、透光性導電膜の金属酸化物として酸化亜鉛および酸化チタンを用いた場合、全光束が96%程度まで低下する。
【0008】
さらにまた、従来技術5においては、始動電圧を所望の値まで下げようとして酸化マグネシウムの添加量を増加すると、全光束が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、特定構成の非発光物質膜を備えていることにより、3波長発光形蛍光体の使用量を低減して、しかも、所要の全光束を有する蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、加えてUV−Aの放射を低減した蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、加えて保護膜および蛍光体層を配設した後にガラスバルブの曲げ加工を行なう際の保護膜の剥がれやクラック(ひび割れ)が生じにくい蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
さらにまた、本発明は、加えてEC黒化が発生しにくくて、しかも、全光束の低下が少ないラピッドスタート形として好適な蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0013】
さらにまた、本発明は、加えて始動電圧を低下したラピッドスタート形として好適な蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0014】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0015】
本発明は、特定構成の非発光物質膜を配設することにより、蛍光体層を薄くして3波長発光形蛍光体の使用量を低減しても、所要の全光束を有する蛍光ランプを提供するものである。
【0016】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0017】
<透光性放電容器について> 透光性放電容器は、ガラスバルブの両端をたとえば端板などの封止部材を用いて封止するか、または用いないでピンチシールなどによって直接封止することにより形成される。端板を用いて封止する場合、端板の部分は、一般的にはステムによって構成される。ステムを用いる場合、フレアステム、ビードステム、ボタンステムなどの既知のステム構造を採用することができる。
【0018】
ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の形状であることを許容する。また、ガラスバルブは、直管、湾曲管または屈曲管の複数個を接続管によって1本の放電路が形成されるように連結してなる構造であることを許容する。
【0019】
さらに、ガラスバルブの管径および透光性放電容器の管軸、換言すれば放電路に沿った長さは制限されない。しかし、一般的には透光性放電容器の管径は40mm以下、また管軸に沿った長さは2400mm以下である。比較的管壁負荷の小さい一般照明用の蛍光ランプの場合、管径25〜38mmで、管軸に沿った長さ300〜2400mmである。また、高周波点灯専用形蛍光ランプの場合、管径15〜25.5mm、管軸に沿った長さ500〜2400mmである。さらに、コンパクト形蛍光ランプの場合、管径25mm以下、たとえば12〜22mm、管軸に沿った長さ2400mm以下、たとえば200〜2300mmである。さらにまた、電球形蛍光ランプの場合、管径13mm以下、たとえば8〜12mm、管軸に沿った長さ500mm以下、たとえば400〜500mmである。
【0020】
次に、透光性放電容器のガラスバルブの材質は、気密性、加工性および耐火性を備えていれば特に制限されないが、一般的にはこの種蛍光ランプに用いられている軟質ガラスが好適である。軟質ガラスには、鉛ガラス、ソーダライムガラスおよびバリウムシリケートガラスなどがあるが、そのいずれでもよい。環境対応としては、ソーダライムガラスやバリウムシリケートガラスが望ましい。しかし、加工性などの点から、ソーダライムガラスと鉛ガラスを併用することができる。たとえば、最もガラスの使用量の多いバルブの部分をソーダライムガラスで形成し、ステムの部分を鉛ガラスで形成することができる。
【0021】
さらに、要すれば、硬質ガラス、半硬質ガラス、石英ガラスなど軟質ガラス以外のガラスをガラスバルブとして用いることができる。また、ナトリウムなどのアルカリ成分の含有率が低いいわゆる無鉛ガラスを用いてアルカリ成分の析出による蛍光体の劣化を抑制することもできる。
【0022】
次に、透光性放電容器の形状について説明する。透光性放電容器は、直管形および環形のいずれであってもよい。さらに要すれば、U字状、半円状、U字状部分を2〜4個直列に接続するとともに適当な配置にした形状など種々の形状であることを許容する。
【0023】
<非発光物質膜について> 非発光物質膜は、主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成されていて、膜厚が3〜25μmである。そして、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設されている。なお、「主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる」とは、非発光物質膜の平均粒径が1μm以上の高反射率の非発光物質粒子がピロリン酸ストロンチウムを主構成材料としていることを意味している。したがって、ピロリン酸ストロンチウムだけで非発光物質膜が形成されていてもよいし、副成分として他の高反射率の非発光物質が含有されていてもよい。他の高反射率の非発光物質としては、たとえばアルミナ(Al2O3)およびピロリン酸カルシウム(Ca2P2O7)などを適宜選択して、または適宜組み合わせて用いることができる。ピロリン酸ストロンチウムは、その粒子形状が棒状異形をなしていてもよいし、また異なる形状をなしていてもよい。なお、「粒子形状が棒状異形をなした」とは、ピロリン酸ストロンチウムの粒子の殆どが棒状をなしていて、棒の部分がほぼ直線状であったり、中間が屈曲してへ字状(折れ釘状)、V字状、六角板状、分枝状などの形状になっていたりしていて、球体に比較して明らかな異形をなしていることを意味する。また、ピロリン酸ストロンチウムは、1000℃以上の高温で焼成して結晶体を成長させたものが好ましい。なぜなら、このような粒子形状の場合は、より高純度の結晶体であり、そのため紫外線反射率が高くなり、全光束の向上に有益となるからである。
【0024】
また、透光性放電容器の「内面側」とは、透光性放電容器の内面に直接形成されていてもよいし、たとえば透光性導電膜などを介して間接的に形成されていてもよいことを意味している。さらに、「ほぼ全体」にわたっているとは、透光性放電容器の主要部の大部分をカバーしていればよいことを意味している。したがって、たとえば透光性放電容器の両端部などには非発光物質膜が配設されていなくてもよい。
【0025】
次に、非発光物質膜を構成する高反射率の非発光物質は、その平均粒径が1μm以上である。なお、好ましくは10μm以下、好適には2.0〜6.0μmである。平均粒径が1μm未満になると、粒子の比表面積が大きくなりすぎて非発光物質膜内の吸着ガスが多くなり、透光性放電容器内の排気が困難になるので、不可である。なぜなら、本発明においては、非発光物質膜の膜厚が3〜25μmで、しかも、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設されるため、排気の困難性が特に重大な問題となるからである。
【0026】
また、非発光物質膜は、可視光を良好に透過して外部へ導出する一方、紫外線を良好に反射するために、その膜厚が3〜25μmの範囲内でなければならない。この膜厚範囲内で全光束を所要の範囲内に維持しながら3波長発光形蛍光体の使用量を低減する効果を奏することができる。これに対して、膜厚が3μm未満になると、紫外線反射効果が低くなり、所望の蛍光体削減効果が得られないばかりか、蛍光ランプの内部が透けて見えるようになるので、不可である。また、膜厚が25μm以上になると、可視光透過率が低下して全光束の向上が困難になるので、不可である。なお、好適には5〜20μmであり、さらに好適には5〜15μm、最適にはほぼ10μm程度である。
【0027】
さらに、所要に応じて、平均粒径10〜20nm程度のγアルミナ超微粒子を非発光物質膜中に1〜3質量%程度含有させることができる。この場合、γアルミナは、非発光物質膜の結着剤として作用する。
【0028】
<蛍光体層について> 蛍光体層は、3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって膜厚30μm以下に配設される。膜厚が30μmを超えると、3波長発光形蛍光体粒子の使用量が多くなり、本発明の目的に沿わなくなる。好適には8〜20μm、さらに好適には10〜15μmである。
【0029】
3波長発光形蛍光体粒子は、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体のそれぞれの蛍光体粒子を混合して加色混光により白色発光を生じるように構成される。赤色発光蛍光体としては、たとえばユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(通称「YOX」)などを用いることができる。緑色発光蛍光体としては、たとえばセリウム、テルビウム付活リン酸ランタンやテルビウム付活セリウム・テルビウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体(通称「CAT」)などを用いることができる。青色発光蛍光体としては、たとえばユーロピウム付活ストロンチウムリン酸塩蛍光体、ユーロピウム付活ストロンチウム・バリウム・カルシウムリン酸塩蛍光体(通称「アパタイト」)およびユーロピウム付活バリウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体(通称「BAM」)などを用いることができる。また、3波長発光形蛍光体粒子は、平均粒径が2〜10μm、好適には5μm±2μm、最適には5μm±1μmである。なお、本発明において、蛍光体および前述の非発光物質粒子の平均粒径は、コールターマルチサイザー(Coulter Multisizer)によるものとする。
【0030】
上記各3波長発光形蛍光体の化学式の一例を示せば、以下のとおりである。
【0031】
1 赤色発光蛍光体
(1)ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体
Y2O3:Eu
2 緑色発光蛍光体
(1)セリウム、テルビウム付活リン酸ランタン
LaPO4:Ce,Tb
(2)テルビウム付活セリウム・テルビウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体
(CeTb)MgAl11O19:Tb
3 青色発光蛍光体
(1)ユーロピウム付活ストロンチウムリン酸塩蛍光体
Sr5(PO4)3Cl:Eu
(2)ユーロピウム付活ストロンチウム・バリウム・カルシウムリン酸塩蛍光体
(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu
(3)ユーロピウム、マンガン付活バリウム・マグネシウム・アルミニウム蛍光体
BaMg2Al16O27:Eu,Mn
<一対の電極について> 一対の電極は、透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設される。たとえば、透光性放電容器内の両端側に封装して、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起させる。また、電極は、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極など既知の電極を用いることができる。
【0032】
フィラメント電極は、タングステンの2重コイルまたは3重コイルに電子放射物質を塗布してなり、その両端を透光性放電容器を気密に貫通する一対の内部導入線の先端部に継線した構造を備えている。
【0033】
セラミックス電極は、たとえば開口部を備えた電気伝導性の容器内にアルカリ土類元素および遷移金属元素の酸化物を主体とし、表面を遷移金属元素の炭化物または窒化物で被覆した果粒状、スポンジ状または塊状の複合セラミックスからなる熱電子放出物質を収納させてなる構造を備えていて、1本の内部導入線の先端に支持されている。
【0034】
<放電媒体について> 放電媒体は、低圧水銀蒸気放電を行わせるには、水銀および希ガスを含むものとする。
【0035】
水銀は、液体水銀を封入するか、または液体水銀にほぼ近い水銀蒸気圧特性を示すアマルガム、たとえばZn−HgやTi−Hg系のアマルガムとして封入される。液体水銀を封入するには、液体水銀を滴下するか、カプセルに入れて封入後適当な手段によってカプセルを破壊して水銀を取り出すことができる。また、アマルガムとして封入するには、ペレット状に成形したり、適当な金属板を基体としてアマルガムを担持させたりすることができる。すなわち、Zn−Hg系アマルガムの場合には、ペレット状に成形して封入するのに適している。また、Ti−Hg系アマルガムの場合には、金属板に担持させるのに適している。後者は、水銀放出合金ともいわれているが、封入後高周波を印加することにより加熱して水銀を放出させる。
【0036】
次に、希ガスは、蛍光ランプの放電開始を容易にするため、および緩衝ガスとして用いられ、アルゴンAr、クリプトンKr、ネオンNeなどを200〜400Pa程度透光性放電容器内に封入される。また、希ガスは、Ar単体を封入してもよいし、またAr−Kr、Ne−Ar−Kr、Ne−Arなどの混合封入でもよい。
【0037】
<本発明の作用について> 本発明においては、放電より放射された紫外線は、蛍光体層に入射して3波長発光形蛍光体粒子を励起して可視光を発生させる。しかし、一部の紫外線は、蛍光体層を透過して非発光物質膜に入射する。非発光物質膜を構成している非発光物質粒子は、紫外線に対して高反射性であるため、入射した紫外線を反射するので、再び蛍光体層へ入射して3波長発光形蛍光体粒子を励起する確率が高くなる。したがって、蛍光体層は、可視光の発光効率が増大する。そして、発生した可視光は、非発光物質膜を透過して透光性放電容器から外部へ導出されて照明に寄与する。このため、蛍光体層の膜厚を非発光物質膜の膜厚程度まで減少させ、したがって蛍光体の使用量を低減しても、蛍光ランプの全光束は、蛍光体量を低減しない場合とほぼ同等程度にまで維持することが可能になる。これに対して、ピロリン酸ストロンチウムを主体として構成されている非発光物質膜は、蛍光体に比較すると、すこぶる安価に入手できるので、蛍光ランプの製造コストを低減することができる。加えてピロリン酸ストロンチウムは、αアルミナに比較して安価に入手できるので、一層製造コストを低減することができる。
【0038】
また、非発光物質膜を構成している高反射性の非発光物質粒子は、その平均粒径が1.0μm以上のため、透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたり非発光物質膜が配設されていることによって、使用量が多いにもかかわらず、比表面積が相対的に小さいので、排気が容易である。このため、透光性放電容器の排気が蛍光ランプの量産性を阻害するようなことはない。
【0039】
さらに、ピロリン酸ストロンチウムは、スラリー中の分散性が良好なので、スラリーの調整および非発光物質膜の形成が容易である。加えて非発光物質膜内における高反射率の非発光物質粒子の分散が良好になるので、従来技術1における紫外線反射作用が阻害されるような問題を生じない。
【0040】
さらにまた、非発光物質膜は、透光性放電容器を構成するガラスから析出するアルカリ成分による蛍光体の劣化や水銀のアルカリ成分との反応に伴う消失や光束低減を抑制するという保護膜としての作用をも奏する。
【0041】
請求項2の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子および平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子により形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0042】
本発明は、非発光物質膜が高反射率の非発光物質粒子およびγアルミナ微粒子により形成された構成を規定している。
【0043】
γアルミナ微粒子は、その平均粒径が10〜100nmのものを用いる。なお、ピロリン酸ストロンチウムを主とする高反射率の非発光物質粒子の平均粒径に対して1/100〜1/10程度と小さなγアルミナ微粒子を用いるようにすれば、γアルミナ微粒子が高反射率物質粒子に対する結着剤としても作用する。
【0044】
また、γアルミナ微粒子は、高反射率の非発光物質粒子の5〜60質量%、好適には10〜50質量%を混合することができる。混合割合は、反射率特性および膜強度などの観点から適宜の値に設定することができる。
【0045】
非発光物質膜は、その膜厚が3〜25μmでなければならないが、好適には5〜20μm、より一層好適には5〜15μmである。限定理由は、請求項1におけるのと同様である。なお、非発光物質膜の付着量としては、0.25mg/cm2以上にするのがよい。
【0046】
そうして、本発明においては、非発光物質膜がγアルミナを含有しない場合よりさらに高い反射性を示し、蛍光体層を透過して非発光物質膜へ入射した紫外線を反射して、再び蛍光体層へ戻すので、3波長発光形蛍光体粒子を励起する確率がさらに高くなる。その結果、蛍光体層は、可視光の発光効率が一層増大する。そして、発生した可視光は、非発光物質膜を透過して透光性放電容器から外部へ出て照明に寄与する。このため、蛍光体層の膜厚を非発光物質膜の膜厚程度まで減少させ、したがって蛍光体の使用量を低減しても、蛍光ランプの全光束は、蛍光体量を低減しない場合とほぼ同等程度にまで維持することが可能になる。
【0047】
また、非発光物質膜を構成している高反射性の非発光物質粒子が主としてピロリン酸ストロンチウムから構成されているので、スラリーおよび得られた非発光物質膜の分散性が良好で、ピロリン酸ストロンチウム粒子は、αアルミナ粒子に比べて一般的に安価に入手可能で、製造コスト的にも有利である点は、請求項1と同様である。
【0048】
さらに、本発明におけるその他の作用および効果は、請求項1と同様である。
【0049】
請求項3の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された紫外線吸収膜と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の紫外線吸収膜の内面側に配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0050】
本発明は、請求項1の発明に加えて紫外線吸収膜を具備した構成を規定している。
【0051】
請求項1の構成の場合、ランプから放射されるUV−Aすなわち波長315〜400nmの長波長紫外線が増加しやすいことが分った。放電により発生した波長365nmの水銀輝線からなるUV−Aおよび蛍光体から発生したUV−Aは、蛍光体層を通過する際に、その一部が蛍光体層中の青色発光形蛍光体に吸収されて、当該蛍光体を励起する。その結果、青色発光形蛍光体は、青色発光を生じる。ところが、非発光物質膜を配設して蛍光体層の膜厚を低減すると、これに伴って蛍光体層によるUV−Aの吸収量が低下し、その結果非発光物質膜を透過して透光性放電容器から外部へ放射されるUV−Aが増加するからである。なお、非発光物質膜は、UV−Aを反射するが、全部反射するのではなく、一部のUV−Aは非発光物質膜を透過して外部へ放射される。
【0052】
そこで、本発明においては、上記のように透光性放電容器と非発光物質膜との間に紫外線吸収膜を配設している。紫外線吸収膜は、主としてUV−Aを吸収すればどのような構成でもよい。たとえば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)および酸化セリウム(CeO2)の一種または複数種などの紫外線吸収性物質を用いることができる。また、微粒子状の紫外線吸収性物質を用いる場合、平均粒径10〜100nm程度のものを用いるのがよい。膜厚は、0.5〜2μm程度が好適である。
【0053】
また、透光性放電容器と紫外線吸収膜との間に透光性導電膜を配設して、ラピッドスタート形の蛍光ランプを得ることができる。この場合、透光性導電膜は、透光性放電容器の内面に直接形成される。
【0054】
さらに、ラピッドスタート形の蛍光ランプの場合、蛍光体層の蛍光体粒子の表面にアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物たとえば酸化マグネシウムMgOの少なくとも一種の微粒子を0.05〜1.0質量%程度被覆することができる。これにより、始動電圧を低下させることができる。なお、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物たとえば酸化マグネシウム(MgO)の少なくとも一種の微粒子としては、平均粒径10〜100nmのものを用いることができる。したがって、始動電圧の低下した分透光性導電膜の抵抗値を高くすることができ、それによりEC黒化の発生を効果的に抑制することができる。
【0055】
これに対して、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子を紫外線吸収膜の内面に直接形成すると、全光束が低下するという問題がある。
【0056】
そうして、本発明においては、上記の構成を具備していることにより、蛍光ランプから外部へ放射されるUV−Aが低減する。
【0057】
また、本発明のその他の作用および効果は請求項1と同様である。
【0058】
請求項4の発明の蛍光ランプは、後記非発光物質膜および蛍光体層を形成後の曲げ加工により非直管形状に形成されたガラスバルブからなる透光性放電容器と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0059】
本発明は、蛍光体層を配設した後に曲げ加工により非直管状に形成された蛍光ランプに好適な構成を規定している。
【0060】
透光性放電容器のガラスバルブは、そこに後述する保護膜および蛍光体層を配設した後に曲げ加工を施すことにより、非直管状に形成される。なお、「非直管状」とは、直管状ではないことを意味し、たとえば湾曲管または屈曲管などの形状であることを許容する。そうして、透光性放電容器は、曲げ加工の結果、たとえば環形、U字形、半円形など種々の形状になっていることを許容する。したがって、曲げ加工以前の形状は、直管状であってもよいし、さらに異なる非直管状であってもよい。非発行物質および蛍光体層の膜厚は、いずれも曲げ加工後の値である。
【0061】
そうして、本発明においては、上記の構成を具備していることにより、非発光物質膜に剥がれやクラックが生じにくくなる。その詳細なメカニズムは、必ずしも明らかでないが、非発光物質膜を構成する高反射率の非発光物質粒子の平均粒径が従来のそれに比較すると、極めて大きいために、ガラスバルブの曲げによってガラスが伸びる際に、主としてピロリン酸ストロンチウムからなる高反射率の非発光物質粒子の動きがその大きさの割りには小さいためではないか、または前述のようにピロリン酸ストロンチウムの粒子形状が棒状異形となっているため、粒子間の結合力が強くなっているためと考えられる。しかし、その理由の妥当性の有無にかかわらず、明らかに非発光物質膜の剥がれやクラック発生が少なくなるのは事実である。
【0062】
また、本発明におけるその他の作用および効果は、請求項1と同様である。
【0063】
請求項5の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設された透光性導電膜と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性導電膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0064】
本発明は、透光性導電膜を備えたラピッドスタート形の蛍光ランプに好適な構成を規定している。
【0065】
<透光性導電膜について> 透光性導電膜は、透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設されている。なお、「透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設されている」とは、透光性放電容器の有効表面部分の大部分に配設されていることを意味する。したがって、封止やバルブの接合のための部位には配設されていなくてもよい。また、導電膜が「透光性」であるとは、低圧放電により放射された紫外線が照射されることによって蛍光体層から発生する可視光がなるべく損失少なく透過して外部へ導出される程度に透光性であることをいう。したがって、可視光透過率が高い方が望ましく、しかも、好適には透明がよい。
【0066】
また、透光性導電膜は、ラピッドスタート形蛍光ランプの始動時に始動電圧が電極とこれに対向する部分の透光性導電膜との間にそれらの間に形成される静電容量を介して集中的すなわち高い電界強度の下に印加されるように作用する。これにより、始動が促進されるが、点灯後は透光性導電膜を介さないで電極間で直接アーク放電が生起するように適度の抵抗値を有するように、透光性導電膜の抵抗値が規制される。
【0067】
上記の構成の透光性導電膜としては、たとえば導電性酸化スズ膜(いわゆる「ネサ膜」、化学式SnO2−n)やITO膜などを用いて構成することができる。なお、ネサ膜は、酸素空孔により自由電子が発生し、半導体として振舞う。膜厚は一般的には数100nm、可視光透過率90%以上であって、たとえば添加する不純物の条件を適当に設定するなどによって抵抗値を数10kΩ〜数MΩ/□(正方形平面の対向する一対の端辺縁間の抵抗値)の範囲で制御可能である。
【0068】
さらに、透光性導電膜は、ディップ法、スプレイ法およびCVD法など薄膜形成のための既知の種々の方法を用いて形成することができる。
【0069】
そうして、本発明においては、上記の構成を具備していることにより、EC黒化が生じにくい。その詳細なメカニズムは、必ずしも明らかでないが、非発光物質膜を構成する主としてピロリン酸ストロンチウムからなる高反射率の非発光物質粒子の平均粒径が従来のそれに比較すると、極めて大きいために、必然的に非発光物質膜の膜厚が大きくなり、そのため透光性導電膜と蛍光体層との間の絶縁距離が大きくなるため、非発光物質膜の絶縁破壊が発生しにくくなっているためではないかと考えられる。しかし、その理由の妥当性の有無にかかわらず、明らかにEC黒化が抑制されるのは事実である。
【0070】
また、本発明におけるその他の作用および効果は、請求項1と同様である。
【0071】
請求項6の発明の蛍光ランプは、ガラスバルブからなる透光性放電容器と;透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設された透光性導電膜と;主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、かつ、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子を0.05〜10質量%含有し透光性導電膜の内面側のほぼ全体にわたって形成された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された蛍光体層と;透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0072】
本発明は、透光性導電膜を備えたラピッドスタート形の蛍光ランプに好適な他の構成を規定している。
【0073】
非発光物質膜は、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子を一般的には0.05〜10質量%、好適には0.1〜1.0質量%含有する。アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子の含有量が0.05質量%未満であると、始動電圧の効果的低下が得られないので、不可である。また、上記含有量が10質量%を超えると、不純ガスの放出量が多くなりすぎて、スネーキングなどの不具合が生じやすくなるので、不可である。なお、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の平均粒径は、好適には10〜100nmである。
【0074】
そうして、本発明においては、非発光物質膜中に含有されているアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子がゲッター作用、電子供給作用および2次電子放出作用を呈する。その結果、蛍光ランプの始動電圧が低下する。そのため、透光性導電膜の抵抗値をEC黒化の不安のない値まで高くすることができる。
【0075】
一方、非発光物質膜中の主としてピロリン酸ストロンチウムからなる高反射率の非発光物質粒子は、紫外線を良好に反射する。また、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子が従来のように蛍光体粒子の表面に被覆されている状態に比較すると、当該微粒子に到達する紫外線が少なくなるので、当該微粒子が紫外線によって着色しなくなり、全光束の低下は殆ど生じない。
【0076】
また、本発明におけるその他の作用および効果は、請求項1と同様である。
【0077】
請求項7の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし6のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、非発光物質膜は、その膜厚が5〜20μmであることを特徴としている。
【0078】
本発明は、非発光物質膜の好適な膜厚を規定している。すなわち、紫外線反射および可視光透過が良好に得られ、3波長発光形蛍光体の使用量を効果的に低減できる。
【0079】
請求項8の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし7のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、非発光物質膜は、主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる非発光物質粒子に対して平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子が60質量%以下の範囲内で混合して形成されていることを特徴としている。
【0080】
γアルミナ微粒子が1〜5質量%、好適には1〜3質量%の範囲内であれば、平均粒径1μm以上の高反射率の非発光物質粒子に対するファン・デル・ワールス力による結着剤として非発光物質膜の強度を向上させるのに効果的であり、5〜60質量%、好適には10〜50質量%の範囲であれば、加えて反射率を高めるのに効果的である。
【0081】
請求項9の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし8のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、非発光物質膜は、硫酸バリウムに対する波長254nmにおける反射率が波長780nmにおける反射率の1.5倍以上であることを特徴としている。
【0082】
本発明は、非発光物質膜の紫外線に対する反射率と可視光に対する反射率の好適な比を規定している。すなわち、保護膜の紫外線反射率および可視光反射率の関係について上記の条件を満足させることによって、蛍光体層へ反射される紫外線の量を確実に多くすることが可能となる。
【0083】
請求項10の発明の蛍光ランプは、請求項1ないし9のいずれか一記載の蛍光ランプにおいて、非発光物質膜は、波長254nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以上であり、波長780nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以下であることを特徴としている。
【0084】
本発明は、非発光物質膜の硫酸バリウムの反射率を基準にした場合の紫外線に対する反射率と可視光に対する反射率の好適な比を規定している。なお、波長254nmにおける反射率は、硫酸バリウムのそれに対して70%以上とするのがより好ましい。
【0085】
本発明によれば、上記の構成により蛍光体層へ反射される紫外線の量を確実に多くすることが可能になる。
【0086】
請求項11の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1ないし10のいずれか一記載の蛍光ランプと;蛍光ランプを付勢する点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0087】
本発明において、「照明装置」とは、蛍光ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。照明装置を例示すれば、照明器具、直下式バックライト装置、表示装置および信号灯装置などである。なお、照明器具は、家庭用の照明器具に好適であるが、これに限定されるものではなく、店舗用照明器具、オフィス用照明器具、屋外用照明器具などにも適応する。また、「照明装置本体」とは、照明装置から蛍光ランプおよび点灯回路を除いた残余の部分をいう。
【0088】
点灯回路は、蛍光ランプを所定条件で点灯する手段であり、照明装置本体に配設することができる。しかし、要すれば、点灯装置本体から離間して、たとえば天井裏などに配置することもできる。また、点灯回路は、コイルおよびコアを主体とする磁気漏れトランスやチョークコイル、高周波インバータを主体とする電子化点灯回路などを用いることができる。
【0089】
そうして、本発明の照明装置は、請求項1ないし10の作用、効果を奏する。
【0090】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0091】
図1ないし図3は、本発明の蛍光ランプの第1の実施形態としての直管形蛍光ランプを示し、図1は一部切欠正面図、図2は管端部の拡大断面図、図3はピロリン酸ストロンチウムの電子顕微鏡写真である。本実施形態は、請求項1記載の発明に対応する。蛍光ランプは、透光性放電容器1、非発光物質膜2、蛍光体層3、一対の電極4、4、内部導入線5、外部導入線6および口金7を具備している。
【0092】
透光性放電容器1は、バルブ1a、一対のフレアステム1b、1bからなり、両端の封止部を形成している。バルブ1aは、ソーダライムガラスからなる。一対のフレアステム1bは、排気管1b1およびフレア1b2を備え、一対の内部導入線4および外部導入線5を封着している。排気管1b1は、基端がチップオフされているとともに、先端が透光性放電容器1内に連通している。フレア1b2は、バルブ1aの両端に封止されて気密な透光性放電容器1を形成する。
【0093】
非発光物質膜2は、主としてピロリン酸ストロンチウムからなる平均粒径1μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成されている。そして、透光性放電容器1の両端部を除く内面の全体に配設されている。ピロリン酸ストロンチウムの粒子は、図3に示すように、その粒子形状が棒状異形をなしている。なお、図3は、ピロリン酸ストロンチウムを5000倍に拡大して示す走査形電子顕微鏡写真である。
【0094】
蛍光体層3は、3波長発光形蛍光体粒子からなり、透光性放電容器1の非発光物質膜2の内面に密着して配設されている。
【0095】
一対の電極4、4は、いずれも2重コイル形のタングステン線フィラメントに電子放射性物質を塗布してなり、後述する一対の内部導入線5、5の先端部に継線されている。
【0096】
内部導入線5および外部導入線6は、透光性放電容器1のフレアステム1bの内部でジュメット線を介して接続し、フレアステム1bに対して気密性を維持している。図2に示す排気管1b1は、透光性放電容器1の排気、封入後に封止される。
【0097】
口金7は、アルミニウム製のキャップ状成形品7aに一対の口金ピン7a、7aを絶縁関係に支持して備えていて、透光性放電容器1の両端にその一対が装着されている。
【0098】
放電媒体は、水銀および希ガスからなり、透光性放電容器1内に封入している。
【実施例1】
蛍光ランプは、FL20SS/18形で、透光性放電容器1の管径28mm、管長580mm、全長595.5mm以下である。
【0099】
透光性放電容器1;バリウムシリケートガラス
非発光物質膜;膜厚10μm、平均粒径3μmのピロリン酸ストロンチウム
蛍光体層;膜厚10μm
赤色発光蛍光体;Y2O3:Eu
緑色発光蛍光体;LaPO4:Ce,Tb
青色発光蛍光体;BaMg2Al16O27:Eu,Mn
放電媒体;液体水銀および330Paの圧力で封入されたアルゴンAr
全光束;膜厚20μmの蛍光体層を備え、非発光物質膜のない他は実施例と同じ仕様の比較例3に対して98%であった。
【0100】
次に、非発光物質膜7の膜厚を一定にして蛍光体層2の膜厚を変化させた場合の全光束の変化と、蛍光体層2の膜厚を一定にして非発光物質膜7の膜厚を変化させた場合の全光束の変化とについて、図4および図5を参照して説明する。各図において、縦軸は全光束(%)を示す。
【0101】
図4は、本発明の第1の実施形態における蛍光体層の膜厚を変化させた場合の全光束の関係を示すグラフである。図において、横軸は蛍光体層の膜厚(μm)を示す。図は、非発光物質膜7の膜厚を17μm一定にして、蛍光体層2の膜厚を変化させた場合の全光束を測定したものである。蛍光体層2の膜厚が7μm以上であれば、高い全光束を得ることができることが分かる。
【0102】
図5は、同じく非発光物質膜の膜厚を変化させた場合の全光束の関係を示すグラフである。図において、横軸は非発光物質膜の膜厚(μm)を示す。図は、蛍光体層2の膜厚を10μm一定にして、非発光物質膜7の膜厚を変化させて全光束を測定したものである。全光束は、非発光物質膜7の膜厚に対して大きな変化はなく、5μm以上あれば、比較的高い全光束が得られると推定できる。
【0103】
次に、本発明の蛍光ランプの第2の実施形態について説明する。本実施形態は、請求項2の発明に対応する。蛍光ランプの構造は、非発光物質膜2の構成を除くと図1および図2と同じである。非発光物質膜2は、平均粒径3μmのピロリン酸ストロンチウム粒子からなる高反射率の非発光物質粒子を67質量%、平均粒径10〜30nmのγアルミナ微粒子を33質量%混合させたものであり、膜厚は約10μmである。
【0104】
本実施形態の蛍光ランプの特性を調べるために、比較例1および2との比較を行った。比較例1は、蛍光体層の膜厚が20μmであって非発光物質膜を備えていない以外は第2の実施形態と同一構成、比較例2は、蛍光体層の膜厚が12μmであって非発光物質粒子としてαアルミナ粒子を用いている以外は第2の実施形態と同一構成である。なお、「剥がれ」はバルブ外観の目視評価にて、「黒化」は点灯開始後、1000時間経過後のバルブ外観の目視評価にて発生状況をそれぞれ判断した。比較した結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
表1から理解できるように、本実施形態の蛍光ランプは、全光束の低下を極力抑えながら蛍光体の使用量を削減することが可能であり、比較例2と比較して蛍光ランプの黒化の発生を抑えることが可能となった。比較例2の蛍光ランプに発生した黒化は、αアルミナ粒子の平均粒径が1μm未満であり、吸蔵ガス濃度が本実施形態に比べて多く、水銀蒸気が吸蔵ガスと反応して水銀化合物になったためと考えられる。
【0106】
図6は、本発明の蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面図である。本実施形態は、請求項3の発明に対応する。図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。符号8は、紫外線吸収膜を示す。
【0107】
紫外線吸収膜8は、いずれも平均粒径10〜100nmの酸化チタンTiO2および酸化セリウム(CeO2)を質量比でそれぞれ50%含有した膜厚1μmの膜からなる。また、紫外線吸収膜8は、透光性放電容器1と非発光物質膜2との間に形成されている。なお、図中、符号9は透光性導電膜である。
【0108】
本実施形態によれば、UV−Aの放射が低減する。
【0109】
図7および図8は、本発明の蛍光ランプの第4の実施形態としての環形蛍光ランプを示し、図7は一部切欠正面図、図8はガラスバルブの曲げ加工前の管端部の拡大側面断面図である。各図において、図1および図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施形態は、請求項4の発明に対応する。
【0110】
透光性放電容器1の両端の封止部には、図8に示すように、曲げ加工前のガラスバルブを加熱軟化状態において金型を用いて封止部を成形することによって形成されたモールド部1a1が形成されている。このモールド部1a1は、透光性放電容器1を非直管形状、すなわち本実施形態の場合には円環状に整形する際のチャック部として寄与する。
【0111】
フレアステム1bの排気管1b1は、透光性放電容器1の排気、封入後に封止されている。これに対して、透光性放電容器1の図示していない他端における排気管は、透光性放電容器1を曲げ加工する以前に、透光性放電容器1の内外に圧力差がない状態のときに予め封じ切られている。
【0112】
非発光物質膜2は、以下に示す構成で、透光性放電容器1の内面に、両端の封止部を除く残余の部分のほぼ全体にわたり配設されている。すなわち、保護膜は、高反射率の非発光物質粒子として平均粒径約5μmのピロリン酸ストロンチウムを主体とし、平均粒径10〜20nmのγアルミナを結着剤として約1質量%添加した構成で、その膜厚が平均で約10μmである。
【0113】
蛍光体層3は、3波長発光形蛍光体粒子を主成分とし、平均粒径10〜20nmのγアルミナを結着剤として約1質量%添加した構成で、その膜厚が平均約10μmで、非発光物質膜2の内面に配設されている。
【0114】
口金7は、合成樹脂製の2つ割り形成形品に4個の口金ピン7aを備えてなる構造である。そして、透光性放電容器1の両端間をブリッジし、かつ、両側から透光性放電容器1の両端のモールド部1a1を挟持することによって、透光性放電容器1に装着されている。
【0115】
透光性放電容器1の曲げ加工は、以下の要領で行なわれる。すなわち、直管状のガラスバルブの内面に非発光物質膜2および蛍光体層3を重ねて配設した後、ガラスバルブの両端にそれぞれ電極4をマウントした一対のフレアステム1bを封着して封止部を形成し、次に封止部を加熱軟化状態で整形してモールド部1a1を形成しながら直管状の透光性放電容器1を製作する。その後、透光性放電容器1の全体を加熱軟化させてから、その一端のモールド部1a1をチャックして、透光性放電容器1を垂下させ、他方のモールド部1a1をドラム状の型枠に固定する。そして、型枠を回転させながら透光性放電容器1を巻き取ることにより、透光性放電容器1の曲げ加工が行なわれて、透光性放電容器1は、環状に整形される。
【0116】
以上説明した実施形態の構成で、非発光物質膜厚を変化させた蛍光ランプをそれぞれ50本試作して、比較例とともに非発光物質膜2の剥がれとクラックとについて目視により検査した結果を表2および表3に示す。なお、比較例は、非発光物質膜の主成分が高反射率の非発光物質粒子が平均粒径10〜20nmのγアルミナである以外は、本実施形態と同一仕様の蛍光ランプである。また、各表中の各記号の意味は以下のとおりである。表3の剥がれは、所定の剛性を有する棒材の先端で非発光物質膜を引っ掻いた結果について評価したものである。
【0117】
記号 表2(クラック) 表3(剥がれ)
○ 殆どなし なし
△ やや目立つ やや不良
× 目立つ 不良
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
図9は、本発明の蛍光ランプの第5の実施形態を示す要部拡大断面図である。本実施形態は、請求項5の発明に対応する。図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。符号9は、透光性導電膜を示す。
【0120】
透光性導電膜9は、透明なネサ膜からなり、透光性放電容器1の内面のほぼ全体にわたり配設されている。非発光物質膜2は、透光性導電膜9の内面に形成されている。
【0121】
本実施形態の40W形のラピッドスタート形蛍光ランプを50本試作して、比較例1および比較例2とともにEC黒化と全光束とについて調べた結果、本実施形態のラピッドスタート形蛍光ランプにEC黒化は全く認められなかった。また、全光束は、非発光物質膜2がない場合の初期値と同等であった。
【0122】
これに対して、比較例1は、非発光物質膜2の主構成要素である高反射率の非発光物質粒子が平均粒径10〜20nmの酸化亜鉛および酸化チタンである以外は、本実施形態と同一仕様のラピッドスタート形蛍光ランプである。比較例1においては、EC黒化については良好であったが、全光束が非発光物質膜2のない場合の初期値の約96%に低減していた。
【0123】
また、比較例2は、非発光物質膜2の主成分である高反射率の非発光物質粒子がγアルミナである以外は、本実施形態と同一仕様のラピッドスタート形蛍光ランプである。比較例2は、全光束は、非発光物質膜2がない場合の初期値と同等であったが、EC黒化が生じやすかった。
【0124】
次に、本発明の蛍光ランプの第6の実施形態について説明する。本実施形態は、請求項6の発明に対応する。蛍光ランプの構造は、非発光物質膜2の構成を除くと図9と同じである。
【0125】
非発光物質膜2は、平均粒径4μmのピロリン酸ストロンチウム粒子および平均粒径10〜100nmの酸化マグネシウム微粒子からなり、膜厚が10μmである。酸化マグネシウムは、ピロリン酸ストロンチウムに対して0.5質量%であり、かつ、ピロリン酸ストロンチウム粒子の表面に被覆されている。
【0126】
図10は、本発明の本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図である。図において、21は照明装置本体、22は蛍光ランプ、23は放電ランプ点灯装置である。
【0127】
照明装置本体21は、内部に放電ランプ点灯装置23を内蔵し、ランプソケット21aなどを備えている。
【0128】
蛍光ランプ12は、放電ランプ点灯装置の一部を構成しているが、ランプソケット21aに装着されることにより、照明装置本体21に支持されている。
【0129】
放電ランプ点灯装置23は、その回路部分が照明装置本体21内に配設されている。
【0130】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、透光性放電容器と、主としてピロリン酸ストロンチウムからなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と、3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と、一対の電極と、放電媒体とを具備していることにより、高価な3波長発光蛍光体の使用量を低減するとともに、全光束の低下が少ない蛍光ランプを提供することができる。
【0131】
請求項2の発明によれば、加えて非発光物質膜が主としてピロリン酸ストロンチウムからなる平均粒径1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子および平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子により形成されていることにより、紫外線に対する高い反射性を示すとともに、スラリーおよび得られた非発光物質膜の分散性が良好な蛍光ランプを提供することができる。
【0132】
請求項3の発明によれば、加えて透光性放電容器および非発光物質膜の間に紫外線吸収膜を配設したことにより、UV−Aの放射量が少ない蛍光ランプを提供することができる。
【0133】
請求項4の発明によれば、加えて透光性放電容器が後記非発光物質膜および蛍光体層を形成後の曲げ加工により非直管形状に形成されたガラスバルブからなることにより、非発光物質膜に剥がれやクラックが生じにくい蛍光ランプを提供することができる。
【0134】
請求項5の発明によれば、加えて透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設された透光性導電膜を具備していることにより、EC黒化が生じにくい蛍光ランプを提供することができる。
【0135】
請求項6の発明によれば、加えて非発光物質膜がアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子を0.05〜10質量%含有していることにより、始動電圧が低下する蛍光ランプを提供することができる。
【0136】
請求項7の発明によれば、加えて非発光物質膜は、その膜厚が5〜20μmであることにより、紫外線反射および可視光透過が良好に得られ、3波長発光形蛍光体の使用量を効果的に低減する蛍光ランプを提供することができる。
【0137】
請求項8の発明によれば、加えて非発光物質膜は、主としてピロリン酸ストロンチウムからなる非発光物質粒子に対して平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子が60質量%以下の範囲内で混合して形成ことにより、結着剤として非発光物質膜の強度を向上させるのに効果的な、または反射率を高めるのに効果的な蛍光ランプを提供することができる。
【0138】
請求項9の発明によれば、加えて非発光物質膜は、硫酸バリウムに対する波長254nmにおける反射率が波長780nmにおける反射率の1.5倍以上であることにより、蛍光体層へ反射される紫外線の量を確実に多くすることが可能な蛍光ランプを提供することができる。
【0139】
請求項10の発明によれば、加えて非発光物質膜は、波長254nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以上であり、波長780nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以下であることにより、蛍光体層へ反射される紫外線の量を確実に多くすることが可能になる蛍光ランプを提供することができる。
【0140】
請求項11の発明によれば、照明装置本体と、照明装置本体に支持された請求項1ないし10のいずれか一記載の蛍光ランプと、蛍光ランプを付勢する点灯装置とを具備していることにより、請求項1ないし10の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光ランプの第1の実施形態を示す一部切欠正面図
【図2】同じく管端部の拡大断面図
【図3】同じくピロリン酸ストロンチウムの電子顕微鏡写真拡大要部側面断面図
【図4】本発明の蛍光ランプの第2の実施形態を示す拡大要部側面断面図
本発明の第2の実施形態における蛍光体層の膜厚を変化させた場合の全光束の関係を示すグラフ
【図5】同じく非発光物質膜の膜厚を変化させた場合の全光束の関係を示すグラフ
【図6】本発明の蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面図
【図7】本発明の蛍光ランプの第4の実施形態としての環形蛍光ランプを示す一部切欠正面図
【図8】同じくガラスバルブの曲げ加工前の管端部の拡大側面断面図
【図9】本発明の蛍光ランプの第5の実施形態を示す要部拡大断面図
【図10】本発明の本発明の照明装置の一実施形態としての天井直付け形蛍光灯器具を示す斜視図
【符号の説明】
1…透光性放電容器、1a…バルブ、1b…フレアステム、1b1…排気管、1b2…フレア、2…非発光物質膜、3…蛍光体層、4…電極、5…内部導入線、6…外部導入線
Claims (11)
- ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子および平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子により形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された紫外線吸収膜と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性放電容器の紫外線吸収膜の内面側に配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - 加熱によって軟化し、曲げ加工により非直管形状に形成されたガラスバルブからなる透光性放電容器と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで曲げ加工前のガラスバルブ内面に形成され、透光性放電容器の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、ガラスバルブの曲げ加工前に非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設された透光性導電膜と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、透光性導電膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
3波長発光形蛍光体粒子を主体として構成され、非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された膜厚30μm以下の蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - ガラスバルブからなる透光性放電容器と;
透光性放電容器の内面のほぼ全体にわたって配設された透光性導電膜と;
主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる平均粒径が1.0μm以上の高反射率の非発光物質粒子を含んで形成され、かつ、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の少なくとも一種の微粒子を0.05〜10質量%含有し透光性導電膜の内面側のほぼ全体にわたって形成された膜厚3〜25μmの非発光物質膜と;
非発光物質膜の内面側のほぼ全体にわたって配設された蛍光体層と;
透光性放電容器の内部に放電を生起するように配設された一対の電極と;
透光性放電容器の内部に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。 - 非発光物質膜は、その膜厚が5〜20μmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 非発光物質膜は、主としてピロリン酸ストロンチウム(Sr2P2O7)からなる非発光物質粒子に対して平均粒径10〜100nmのγアルミナ微粒子が60質量%以下の範囲内で混合して形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 非発光物質膜は、硫酸バリウムに対する波長254nmにおける反射率が波長780nmにおける反射率の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 非発光物質膜は、波長254nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以上であり、波長780nmにおける反射率が硫酸バリウムのそれに対して60%以下であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一記載の蛍光ランプ。
- 照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1ないし10のいずれか一記載の蛍光ランプと;
蛍光ランプを付勢する点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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