JP2003062057A - 止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子 - Google Patents
止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子Info
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Abstract
く適用することができ、その結果、目的とする止血、癒
着防止、ケロイド防止、創傷治癒、接着またはシーリン
グ等を簡便に行い得るバイオポリマーの微細粒子の提
供。 【解決手段】 粒度分布においてそのほぼ80%が粒子
径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均粒子径が5
0μm以下であるガスにより流動可能な噴霧用の止血・
癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子であり、バイオ
ポリマーとしてカルボキシメチルセルロース、カルボキ
シエチルセルロース、酸化セルロース、キチン、キトサ
ン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコーゲン、アルギネ
ート、ペクチン、デキストラン、コンドロイチン硫酸、
ゼラチン、コラーゲンから選択される一種または二種以
上のものである。この微細粒子は、不燃性ガスにより噴
霧されるか、またはエアゾール製剤の形態にある。
Description
のバイオポリマーの微細粒子に係り、詳細にはガスによ
り流動し、ガス噴射剤と共に、あるいはエアゾール製剤
として手術部位、創傷部位等の出血部位に噴霧し、止血
・癒着防止をし得るバイオポリマーの微細粒子に関す
る。
メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン等の生体
適合性を有するバイオポリマーが、種々の目的に応じて
使用されてきている。これらのバイオポリマーは、止血
作用あるいは癒着防止作用を有するため、外科的手術時
の手術部位、あるいは創傷部位に適用され、止血、癒着
防止、ケロイド防止、創傷治癒、傷口の接着またはシー
リングのために用いられてきている。
適用形態は、それぞれの使用目的に応じて異なってお
り、繊維シート状物、フィルム状物、顆粒状物あるいは
ゲル状物として開発されてきているものである。したが
ってその適用も、それぞれの使用目的に応じて制限があ
り、広く一般的に止血・癒着防止には適用し得るもので
はなかった。
部位は、その大きさ、形状、適用位置などが千差万別で
あり、極めて変化に富んだものとなっている。したがっ
て、バイオポリマーを目的位置に適切に貼り付けたり、
留置させたりすることは困難なものであり、特に体腔内
や経内視鏡手術を行った後の術部の止血、癒着防止のた
めにこれらのバイオポリマーを適用することは、ほとん
ど不可能なものであるといえる。
ーを適用部位の大きさ、形状、位置に関係なく、的確に
付着、留置し得る技術を開発するべく検討を行い、その
結果バイオポリマーをガスの噴射力で流動し得る極めて
微細な微粒子とし、この微粒子をガス噴射剤と共に体腔
内や経内視鏡手術を行った後の術部へ噴霧させること、
あるいはエアゾール製剤の形態で噴射させ得るものとす
れば、極めて簡便に目的とする適用を行い得る点に着目
した。しかしながら、これまでバイオポリマーについて
は、ガスで流動し得る微細粒子としての検討はほとんど
なされておらず、また、微細粒子としてどの程度の粒度
分布の微細粒子であることが必要かの検討は、一切なさ
れていない。
上記の現状に鑑み、これらのバイオポリマーを適用部位
の大きさ、形状、その位置に関係なく適用することがで
き、その結果、目的とする止血、癒着防止、ケロイド防
止、創傷治癒、接着またはシーリング等を簡便に行い得
るバイオポリマーの微細粒子を提供することを課題とす
る。
めの請求項1に記載の本発明は、粒度分布においてその
ほぼ80%が粒子径100μmまでの範囲内にあり、か
つ平均粒子径が50μm以下であるガスにより流動可能
な噴霧用の止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒
子である。
る生体適合性を有するポリマーをいい、特に止血・癒着
防止性を有する生体適合性のポリマーである。そのよう
なバイオポリマーとしてはカルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシエチルセルロース、酸化セルロース、キ
チン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコーゲ
ン、アルギネート、ペクチン、デキストラン、コンドロ
イチン硫酸、ゼラチン、コラーゲン等を例示することが
でき、これらのバイオポリマーは一種または二種以上の
ものを使用することができる。
イオポリマーがカルボキシメチルセルロース、カルボキ
シエチルセルロース、酸化セルロース、キチン、キトサ
ン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコーゲン、アルギネ
ート、ペクチン、デキストラン、コンドロイチン硫酸、
ゼラチン、コラーゲンから選択される一種または二種以
上である請求項1に記載の噴霧用の止血・癒着防止性の
バイオポリマーの微細粒子である。
ボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロー
ス、酸化セルロース等のセルロース系バイオポリマーが
好ましく、特にカルボキシメチルセルロース、酸化セル
ロースが好ましい。
粒度分布ならびに粒子径により、ガスにより流動するこ
とができ、ガス噴射力により適用部位に噴霧することが
でき、またエアゾール製剤として噴霧することができ
る。
スにより流動し、ガス噴射剤と共に噴霧されることを特
徴とする請求項1または2に記載の止血・癒着防止性の
バイオポリマー微細粒子であり、また請求項4に記載の
本発明は、エアゾール製剤の形態にある請求項1または
2に記載の止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒
子である。
し、ガス噴射剤と共に噴霧される止血・癒着防止性のバ
イオポリマーの微細粒子は、細いチューブの中をガスの
流れによって運ぶことが可能であることより、狭くて深
い目的部位まで、確実にバイオポリマーの微細粒子を付
着し得る利点を有するものであり、目的部位の大きさ、
形状に影響されることなく、所望量のバイオポリマーを
適切に適用し得る特徴を有するものである。
ることができない手術室では、例えば炭酸ガス、窒素ガ
ス等の不燃性ガスと共に、バイオポリマーを定量混合チ
ャンバー等により流動化させた後、細いチューブを用い
て目的部位まで運び、噴霧することにより、的確にその
適用部位に付着させ、滞留させることができるものであ
り、近年の経内視鏡手術処置による低侵襲手術において
は特に有用である特徴を有するものである。
傷、褥瘡等の外傷に対する適用にあっては、本発明のバ
イオポリマーの微細粒子は、エアゾール製剤として一定
の距離より噴霧し、適用部位に付着させ、留置させるこ
とができる。このような適用は病院内においても手術に
よることなく、また病院の外来もしくは病院外でも、簡
便な止血・癒着防止を確保し得る特徴を有する。
体由来成分と共に水溶液中で混合することにより、両者
はお互いに結合して新たな物性や効果を有するマトリッ
クスを形成することが知られている。したがって、本発
明のバイオポリマーの微細粒子を生体由来成分の微細粒
子と共に個別もしくは混合して目的部位に噴霧すれば、
両成分はその部位の水分に溶解して、その部位でマトリ
ックスを形成することとなる。形成されたマトリックス
は、単独で噴霧した場合の各成分に比較して、より粘度
の高い安定した性状のゲルとなり、目的部位の体組織に
対し、体外で結合させ形成させたゲルより、強固に密着
させることができ、より有効な治療効果を挙げることが
できる。
生体由来成分の微細粒子と混合もしくは個別に噴霧し、
目的部位で結合してマトリックスを形成し得る、請求項
1または2に記載の噴霧用の止血・癒着防止性のバイオ
ポリマーの微細粒子でもあり、さらに、請求項6に記載
の本発明は、別の態様として、請求項1または2に記載
の噴霧用の止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒
子と混合もしくは個別に噴霧し、目的部位で結合してマ
トリックスを形成し得る生体由来成分の微細粒子でもあ
る。そのような生体由来成分としては、アミノ酸、ペプ
チド、蛋白、ゼラチン、コラーゲンから選択されるもの
である。
ポリマーの微細粒子の実際を説明することにより、本発
明をより詳細に説明する。
することができ、ガス噴射剤と共に体腔内や経内視鏡手
術を行った後の術部へ噴霧させること、あるいはエアゾ
ール製剤の形態で噴射させることができ得るバイオポリ
マーの微粒子である。このようなバイオポリマーとして
は、いわゆる生体適合性を有する、止血、癒着防止、ケ
ロイド防止、創傷治癒、傷口の接着、シーリング等の作
用を有するポリマーである限り特に限定されるものでは
ない。具体的にはカルボキシメチルセルロース、カルボ
キシエチルセルロース、酸化セルロース、アガロース、
キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコー
ゲン、アルギネート、ペクチン、デキストラン、コンド
ロイチン硫酸、ゼラチン、コラーゲン等を挙げることが
でき、これらのバイオポリマーは一種または二種以上の
ものを使用することができる。
ス、カルボキシエチルセルロース、酸化セルロース等の
セルロース系バイオポリマーが好ましく、特にカルボキ
シメチルセルロース、酸化セルロースが好ましい。これ
らのセルロースは、いわゆる止血性セルロースとして繊
維状、シート状、ガーゼ状、フィルム状等のものは存在
してはいるが、かかる形状のものでは、体腔内や経内視
鏡手術により深部での手術部位には、ほとんど適用する
ことができないものであった。
おいてそのほぼ80%が粒子径100μmまでの範囲内
にあり、かつ平均粒子径が50μm以下である微細粒子
とした場合には、ガスで流動し得る微細粒子となり、か
かる微細粒子は、ガス噴射剤と共に体腔内や経内視鏡手
術を行った後の術部へ噴霧させ得ること、あるいはエア
ゾール製剤の形態で噴射させ得ることが可能となったの
である。
00μmを越えるものを多く含む場合には、ガスによる
ある程度の流動性はあるものの、ガス噴射あるいはエア
ゾール噴射を行うにはノズルからの噴射に支障をきた
し、適用部位への均一な噴霧が行うことが困難なもので
あった。したがって、本発明が提供するバイオポリマー
の微細粒子としては、その粒度分布においてそのほぼ8
0%が粒子径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均
粒子径が50μm以下である場合に、目的とする適用が
でき得ることが判明した。
止血性セルロース、例えばカルボキシメチルセルロース
を、適当な粉砕機を用いて粉砕し、適宜分級化を行い、
所望の粒度分布および粒子径を有する微細粒子としての
止血性セルロースを得ることが可能である。しかしなが
ら、バイオポリマーは熱に弱く、また結晶構造自体が柔
らかいため、単純な機械的粉砕では発熱を伴い、所望の
微細粒子化は困難であることより、特別な冷却機構を持
つ特殊な高速粉砕機を使用するのがよい。例えば商品名
としてクリーンミル、アトマイザー、ジェットミル、ブ
レードミル等の名前で販売、使用されている粉砕機等
に、特別な冷却機構を有する粉砕機を挙げることができ
る。
オポリマーの微細粒子は、粒度分布においてそのほぼ8
0%が粒子径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均
粒子径が50μm以下であることより、微細粒子として
ガスにより良好に流動でき、ガス噴射剤と共に体腔内や
経内視鏡手術を行った後の術部へ噴霧適用、あるいはエ
アゾール製剤の形態で噴射適用することが可能となった
のである。
った後の術部へ噴霧適用にあっては、本発明のバイオポ
リマーの微細粒子としては、その平均粒子径が50μm
以下の程度のものであればよい。実際のへ噴霧適用にあ
っては、例えば炭酸ガス、窒素ガス等の不燃性ガスとバ
イオポリマーの微細粒子を定量混合チャンバーで流動化
させた後、プローブチューブ等の細いチューブを用い
て、目的の術部に噴霧させることができる。この場合に
おいて、本発明のバイオポリマーの微細粒子は、二種以
上を混合し、体腔内や経内視鏡手術を行った後の術部へ
噴霧適用することもできる。
合にあっては、本発明のバイオポリマーの微細粒子は、
平均粒子径として20μm程度のものが好適に使用され
る。そのような微細粒子としては、例えば、その粒度分
布が約3μm〜約100μmの範囲内にあり、そのほぼ
80%が10μm〜30μmの粒子径を有するものがあ
げられる。
は、いわゆる粉末エアゾール製剤として、適宜噴射剤と
共に切り傷、擦り傷、火傷、採皮傷、褥瘡等の外傷に適
用することができる。このような噴射剤としては、粉末
エアゾール製剤の噴射剤として使用されているものであ
れば、特に限定されず、例えば、液化石油ガス(LP
G)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガ
ス等を挙げることができる。
エアゾール製剤として適用するにあたっては、例えば、
70〜99%のエタノールに懸濁させた状態で噴射させ
ることができる。懸濁にあたっては、バイオポリマーの
微細粒子単独でも、また適宜界面活性剤を併用して懸濁
させることもできる。そのような界面活性剤としては、
従来から粉末エアゾール製剤に使用されているものであ
れば特に限定されるものでなく、ミリスチン酸イソプロ
ピル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピ
ル等を挙げることができる。
いて、本発明のバイオポリマーの微細粒子をエタノー
ル、好ましくは70〜99%のエタノールに懸濁させ、
噴射剤と共に切り傷、擦り傷に適用することは、適用部
位のエタノールによる消毒をも兼ねるものであり、特に
好ましいものといえる。
子は、上記したガス噴射剤と共に体腔内や経内視鏡手術
を行った後の術部へ噴霧適用、あるいはエアゾール製剤
の形態で噴射適用するにより、出血部位の形状、大きさ
に応じ、柔軟にその損傷部位をバイオポリマーの層で覆
うことができ、そのバイオポリマーの有する止血、癒着
防止、ケロイド防止、創傷治癒、接着またはシーリング
作用により、目的とする効果を挙げることができる。
子、特に多糖類系のバイオポリマーの微細粒子は、個別
もしくは混合して体腔内の目的部位に噴霧することによ
り、両成分をその部位の水分に溶解させ、その部位でマ
トリックスを形成させることができる。体腔内の目的部
位で形成されたマトリックスは、単独で噴霧した場合の
各成分に比較して、より粘度の高い安定した性状のゲル
であり、体組織に対して強固に密着することから、より
有効な治療効果が期待できるのである。
酸、ペプチド、蛋白、ゼラチン、コラーゲン等を挙げる
ことができ、この微細粒子は、好ましくは、バイオポリ
マーの微細粒子と同様にガスで流動し得る微細粒子であ
り、より好ましくは、粒度分布においてそのほぼ80%
が粒子径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均粒子
径が50μm以下であるガスにより流動可能微細粒子で
ある。なお、かかる生体由来成分の微細粒子は、バイオ
ポリマーと微細粒子と同様の処理により得ることができ
る。
明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるも
のではないことに留意すべきである。
シメチルセルロース(CMC)を選び、その微細粒子化
を検討した。市販のCMCの粉末をブレードミルBM−
15(鉄製)型粉砕機により粉砕を行い、バグフィルタ
ーにて分級回収を行い、本発明のCMCの微細粒子を得
た。得られた微細粒子の粒度分布を図1として示す。
CMCの微細粒子は、その粒度分布が約3μm〜約10
0μmの範囲にあり、その約80%が10μm〜30μ
mの粒子径を有し、20μm付近を中心とする正規分布
的に構成された微細粒子であることが理解される。
ス系の止血繊維:S−100を選び、その微細粒子化を
検討した。止血繊維S−100を実施例1と同様にブレ
ードミルBM−15(鉄製)型粉砕機により粉砕を行
い、バグフィルターにて分級回収を行い、本発明のS−
100の微細粒子を得た。得られた微細粒子の粒度分布
を図2として示す。図中の結果から判明するように、得
られた本発明のセルロース系止血剤であるS−100の
微細粒子は、その粒度分布が約3μm〜約100μmの
範囲にあり、その約80%が10μm〜30μmの粒子
径を有し、18μm付近を中心とするほぼ正規分布的に
構成された微細粒子であることが理解される。
子化を検討した。市販のデキストランの粉末を実施例1
と同様にしてブレードミルBM−15(鉄製)型粉砕機
により粉砕を行い、バグフィルターにて分級回収を行
い、本発明のデキストランの微細粒子を得た。得られた
微細粒子の粒度分布は約5μm〜約100μmの範囲に
あり、その約80%が10μm〜30μmの粒子径を有
し、20μm付近を中心とする正規分布的に構成された
微細粒子であった。なお、コラーゲンも同様に微細粒子
化がされた。
細粒子の噴霧適用 実施例1で得られたCMCの微細粒子を用いて、ガスジ
ェットによる噴霧適用を検討した。図3に模式的に示す
ガスジェット噴霧装置により、実施例1で得られたCM
Cの微細粒子を定量混合器で窒素ガスと共に混合し、プ
ローブチューブよりガスジェットによりCMCの微細粒
子を噴霧させた。その結果、極めて良好にプローブチュ
ーブの先端よりCMCの微細粒子が噴霧され、目的とす
る箇所に、CMCを付着、滞留させることができた。
アゾール製剤を調製した。粉末相として実施例1で得ら
れたCMCの微細粒子4.5g、アルコール相として9
9%エタノール0.5gおよび噴射剤としてLPG
(0.15MPa)45gを用い、Φ35mm×120
mmのスプレー容器内に充填し、粉末エアゾール製剤を
調製した。
アゾール製剤を調製した。粉末相として実施例1で得ら
れたCMCの微細粒子4.5g、アルコール相として7
0%エタノール20.5gおよび噴射剤としてDME2
5gを用い、Φ35mm×120mmのスプレー容器内
に充填し、粉末エアゾール製剤を調製した。
を、実際の損傷部位(擦り傷による出血部位)に適用し
た結果、損傷部位を覆う血液をLPGの噴射ガス圧によ
り除去し、直接出血点をCMCの層でカバーすることが
でき、合わせて、99%エタノールにより消毒効果も認
められた。損傷部位を覆ったCMC層は、血液により膨
潤し、ゲル状となって傷口を覆い、その結果、血餅が形
成され、良好な止血効果が認められた。なお、治癒過程
で傷口の癒着は認められなかった。
マーの微細粒子と、生体由来成分の微細粒子との同時噴
霧によるマトリックスゲルの生成 実施例1と同様の手段により、酸化セルロースおよびゼ
ラチンの微細粒子を調製した。両者を同重量部用い、図
3に模式的に示すガスジェット噴霧装置により、定量混
合器中で窒素ガスと共に両者を混合し、プローブチュー
ブよりガスジェットにより、水分を含んだ黒い布上に噴
霧し、マトリックスの形成を観測した。その結果、両成
分を混合して噴霧した場合には、各成分を単独で噴霧し
たときより、粘度の高い安定した、強い性状のマトリッ
クスゲルの膜が布の表面に生成することが確認された。
のある、止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子
を提供するものであり、特にガスにより流動可能な極め
て微細なバイオポリマーの微細粒子である。かかるバイ
オポリマーの微細粒子は、特に粒度分布において、その
ほぼ80%が粒子径100μmまでの範囲内にあり、か
つ平均粒子径が50μm以下のものである。
る止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子である
ことより、ガス噴射剤と共に体腔内や経内視鏡手術を行
った後の術部へ噴霧させること、あるいはエアゾール製
剤の形態で噴射させることができるものであり、その結
果、(1)出血部位の形状、大きさに柔軟に対応でき、
損傷部位を自在にカバーし得ること、(2)創傷表面を
覆う血液をガス圧で吹き飛ばし、出血点に直接止血作用
を有するバイオポリマーを適用させることができるこ
と、(3)ガス圧で表面を圧迫できるので、圧迫作用に
よる止血効果も期待できること、(4)噴霧する箇所を
ガスの膨張により冷却するので、冷却による止血作用の
増強が図れること、(5)噴霧用チューブにより体腔内
(鼻腔、膣腔等)への適用もY方位に行い得ること、
(6)経内視鏡手術装置を組み合わせることにより、体
腔内深部での術部の止血、癒着防止が的確に行い得るこ
と、等の利点を有するものである。
ポリマーとして、繊維シート状物、フィルム状物、顆粒
状物あるいはゲル状物は存在したが、その適用も、それ
ぞれの使用目的に応じて制限があり、広く一般的に止血
・癒着防止には適用し得るものではなかった。これに対
して本発明のバイオポリマーの微細粒子は、特にガスに
よる流動性を確保したことより、適用目的部位の大き
さ、形状、適用位置などに関係なく、適用し得るもので
あり、その医療上の効果ならびに価値は、多大なものと
いえる。
り、本発明のバイオポリマーの微細粒子と親和性を有す
る生理活性ペプチド、タンパク、アミノ酸等を、同様に
微細粉砕し、ノズルから混合噴射すると、目的部位でバ
イオポリマーの微細粒子が水分で溶解し、イオン結合あ
るいはアフィニティー結合等により新たにマトリックス
を形成し、単独では得られない、優れた治療効果が可能
となる利点を有している。
子の粒度分布ならびに粒度累積分布を示す図である。
止血繊維:S−100の微細粒子の粒度分布ならびに粒
度累積分布を示す図である。
の微細粒子の噴霧適用について使用するガスジェット噴
霧装置を模式的に示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 粒度分布においてそのほぼ80%が粒子
径100μmまでの範囲内にあり、かつ平均粒子径が5
0μm以下であるガスにより流動可能な噴霧用の止血・
癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子。 - 【請求項2】 カルボキシメチルセルロース、カルボキ
シエチルセルロース、酸化セルロース、アガロース、キ
チン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、グリコーゲ
ン、アルギネート、ペクチン、デキストラン、コンドロ
イチン硫酸、ゼラチン、コラーゲンから選択される一種
または二種以上のものである請求項1に記載の噴霧用の
止血・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子。 - 【請求項3】 不燃性ガスにより噴霧される請求項1ま
たは2に記載の噴霧用の止血・癒着防止性のバイオポリ
マーの微細粒子。 - 【請求項4】 エアゾール製剤の形態にある請求項1ま
たは2に記載の噴霧用の止血・癒着防止性のバイオポリ
マーの微細粒子。 - 【請求項5】 生体由来成分の微細粒子と混合もしくは
個別に噴霧し、目的部位で結合してマトリックスを形成
し得る、請求項1または2に記載の噴霧用の止血・癒着
防止性のバイオポリマーの微細粒子。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の噴霧用の止血
・癒着防止性のバイオポリマーの微細粒子と混合もしく
は個別に噴霧し、目的部位で結合してマトリックスを形
成し得る生体由来成分の微細粒子。 - 【請求項7】 アミノ酸、ペプチド、蛋白、ゼラチン、
コラーゲンから選択されるものである請求項6記載の生
体由来成分の微細粒子。
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