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JP2002335814A - 釣針および釣針への硬質被膜形成方法 - Google Patents

釣針および釣針への硬質被膜形成方法

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Publication number
JP2002335814A
JP2002335814A JP2001149673A JP2001149673A JP2002335814A JP 2002335814 A JP2002335814 A JP 2002335814A JP 2001149673 A JP2001149673 A JP 2001149673A JP 2001149673 A JP2001149673 A JP 2001149673A JP 2002335814 A JP2002335814 A JP 2002335814A
Authority
JP
Japan
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intermediate layer
forming
vacuum chamber
titanium
carbon
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001149673A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidefumi Kasai
秀文 葛西
Yukio Ido
幸雄 井戸
Hideo Okubo
秀夫 大久保
Kazuya Sato
一哉 佐藤
Takashi Shida
崇 歯朶
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HAYABUSA KK
WAKO TRADING CO Ltd
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
HAYABUSA KK
WAKO TRADING CO Ltd
Citizen Watch Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by HAYABUSA KK, WAKO TRADING CO Ltd, Citizen Watch Co Ltd filed Critical HAYABUSA KK
Priority to JP2001149673A priority Critical patent/JP2002335814A/ja
Publication of JP2002335814A publication Critical patent/JP2002335814A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期の使用においても良好な釣針の特性を維
持することができ、且つ魚の掛かりを向上させることが
できるようにする。 【解決手段】 魚を釣るための釣針1の金属からなる基
材10の少なくとも先端から餌と接触する部分に、基材
10の表面との密着力を高める中間層20を介してダイ
ヤモンドライク・カーボン被膜30を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、魚を釣るための
釣針及び釣針への硬質被膜形成方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から魚釣に使用される釣針は、金属
の基材を釣る魚の種類や大きさ等に応じた針形状に成形
し、その基材の表面にニッケルメッキ被膜等を施してい
る。このニッケルメッキ被膜等は、基材表面のキズ防止
と基材の腐食防止等を目的として行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の釣針におけるメッキ被膜の効果はまだ満足できるも
のではなく、特に、磯場(特に岩場)での釣針の擦過に
よるメッキ被膜の剥離や、歯の鋭い魚によりキズをつけ
られることにより釣針の基材が露出し、そこから腐食が
進行して強度が著しく低下することがあった。また、釣
針の傷付いた部分や腐食した部分に衝撃や擦過が起こる
と、形状変化や屈折をも引き起こす。このような状態の
釣針を使用して魚釣を行っても、魚の掛かりが極めて悪
くなる。この発明は、従来の釣針における上記のような
問題を解決し、長期の使用においても良好な釣針の特性
を維持することができ、且つ魚の掛かりを向上させるこ
とができるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、次のような硬質被膜を有する釣針、およ
びそれを作製するための釣針への硬質被膜形成方法を提
供する。この発明による釣針は、その基材が金属からな
り、該基材の少なくとも先端から餌と接触する部分に、
その基材の表面との密着力を高める中間層を介してダイ
ヤモンドライク・カーボン被膜を形成したものである。
【0005】上記基材は、硬鋼線、ハイカーボン・スチ
ール、ニッケル、鉄、バナジウム、アルミニウム、ステ
ンレス・スチール、タングステン、チタンの中のいずれ
か一つの金属であればよい。さらに、上記基材が硬鋼線
からなり、その硬鋼線の組成が、炭素(C)が0.74
〜0.86%、シリコン(Si)が0.15〜0.35
%、マンガン(Mn)が0.30〜0.60%、燐
(P)が0.030%以下、硫黄(S)が0.030%
以下の割合であるとよい。
【0006】上記中間層は、シリコン、タングステン、
炭化チタン、炭化珪素、および炭化クロムのうちのいず
れかによって形成された1層構造であってもよい。ある
いは、その中間層を、クロムまたはチタンを主体とする
下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層
とからなる2層構造にするとよい。また、その中間層
を、チタンを主体とする下層と、タングステン、炭化タ
ングステン、炭化珪素、炭化チタンのうちのいずれかを
主体とする上層との2層構造にしてもよい。さらにま
た、上記中間層を、チタンを主体とする下層と、炭化チ
タンまたは炭化珪素を主体とする中層と、炭素を主体と
する上層との3層構造にするとなおよい。上記ダイヤモ
ンドライク・カーボン被膜は、表面粗さRaが0.2か
ら0.02μmとなるようにするのが望ましい。
【0007】この発明による釣針への硬質被膜形成方法
は、魚を釣るための釣針の少なくとも先端から餌と接触
する部分に硬質被膜を形成する方法であって、次の各工
程を有することを特徴とする。金属の基材が釣る魚の種
類と大きさに応じた形状に成形され、洗浄がなされた釣
針を真空槽内にセットして排気する工程、排気した該真
空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、シリコン、タ
ングステン、炭化チタン、炭化珪素、および炭化クロム
のうちのいずれかをターゲットとするスパッタリング処
理によって、上記釣針の少なくとも先端から餌と接触す
る部分の基材の表面に中間層を形成する中間層形成工
程、上記真空槽内のアルゴンを排出して、該真空槽内に
炭素を含むガスを導入する工程、該真空槽内にプラズマ
を発生させ、プラズマCVD処理によって上記中間層の
表面にダイヤモンドライク・カーボン被膜を形成する工
程、
【0008】上記中間層形成工程に代えて、排気した上
記真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、クロム又
はチタンをターゲットとするスパッタリング処理によっ
て、上記釣針の少なくとも先端から餌と接触する部分の
基材の表面にクロム又はチタンを主体とする中間層の下
層を形成する第1の中間層形成工程と、該工程に続い
て、シリコン又はゲルマニウムをターゲットとするスパ
ッタリング処理によって、上記下層上にシリコン又はゲ
ルマニウムを主体とする中間層の上層を形成する第2の
中間層形成工程とを実施して、2層の中間層を形成する
とよい。
【0009】あるいは上記中間層形成工程に代えて、排
気した上記真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
チタンをターゲットとするスパッタリング処理によっ
て、上記釣針の少なくとも先端から餌と接触する部分の
基材の表面にチタンを主体とする中間層の下層を形成す
る第1の中間層形成工程と、該工程に続いて、タングス
テンをターゲットとするスパッタリング処理によって、
上記下層上にタングステンを主体とする中間層の上層を
形成する第2の中間層形成工程とを実地して、2層の中
間層を形成してもよい。
【0010】また、排気した上記真空槽内にアルゴンを
導入してイオン化し、チタンをターゲットとするスパッ
タリング処理によって、上記釣針の少なくとも先端から
餌と接触する部分の基材の表面にチタンを主体とする中
間層の下層を形成する第1の中間層形成工程と、該工程
に続いて、上記真空槽内に炭素を含むガスを導入し、タ
ングステン又はシリコンをターゲットとする反応スパッ
タリング処理によって、上記下層上に炭化タングステン
又は炭化珪素を主体とする中間層の上層を形成する第2
の中間層形成工程とを実施して、2層の中間層を形成し
てもよい。
【0011】あるいはまた、排気した上記真空槽内にア
ルゴンを導入してイオン化し、チタンをターゲットとす
るスパッタリング処理によって、上記釣針の少なくとも
先端から餌と接触する部分の基材の表面にチタンを主体
とする中間層の下層を形成する第1の中間層形成工程
と、該工程に続いて、上記真空槽内に炭素を含むガスを
導入し、チタン又はシリコンをターゲットとする反応ス
パッタリング処理によって、上記下層上に炭化チタン又
は炭化珪素を主体とする中間層の中層を形成する第2の
中間層形成工程と、該工程に続いて、上記ターゲットの
チタン又はシリコンのスパッタ量を漸減させて、上記中
層上に炭素を主体とする中間層の上層を形成する第3の
中間層形成工程とを実施して、3層の中間層を形成する
ようにしてもよい。
【0012】これらの釣針への硬質被膜形成方法におい
て、上記ダイヤモンドライク・カーボン被膜を形成する
工程の後に、該工程で形成されたダイヤモンドライク・
カーボン被膜の表面をポリシングとラッピングによって
仕上げ研磨する工程を実施するのが望ましい。その仕上
げ研磨する工程における上記ポリシングとラッピング
を、粒子径が0.1μmから4μmのダイヤモンド粒子
又はアルミナ粒子が散在するダイヤモンドペースト又は
アルミナペーストを使用して行うとよい。
【0013】これらの釣針への硬質被膜形成方法におい
て、その釣針の金属の基材としては、硬鋼線、ハイカー
ボン・スチール、ニッケル、鉄、バナジウム、アルミニ
ウム、ステンレス・スチール、タングステン、チタンの
中のいずれか一つの金属を使用するとよい。さらに、そ
の金属の基材として、炭素(C)が0.74〜0.86
%、シリコン(Si)が0.15〜0.35%、マンガ
ン(Mn)が0.30〜0.60%、燐(P)が0.0
30%以下、硫黄(S)が0.030%以下の割合の組
成をもつ硬鋼線を使用するのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好ましい実施の
形態を図面を参照して説明する。 〔釣針の実施形態〕図1は、この発明による釣針の一実
施形態を示す図であり、(a)は全体の側面図、(b)
はその円Aで囲んだ部分を矢示P方向から見た部分拡大
図である。この釣針1は、硬鋼線等の金属の基材によっ
て釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形され、フッ
ク部1aの先端が細く尖っており、そこに抜け止め1b
が形成され、後端部には釣り糸を結ぶための叩き部1c
が形成されている。その叩き部1cは、図1の(b)に
示すように薄く幅広に延ばされていて、結んだ釣り糸が
抜けないようにしている。
【0015】図2も、この発明による釣針の他の実施形
態を示す図であり、(a)は全体の側面図、(b)はそ
の円Aで囲んだ部分を矢示P方向から見た部分拡大図で
あり、図と対応する部分には同一の符号を付している。
この釣針1′も、硬鋼線等の金属の基材によって釣る魚
の種類と大きさに応じた形状に成形され、フック部1a
の先端が細く尖っており、そこに抜け止め1bが形成さ
れ、後端部には釣り糸を結ぶための叩き部1dが形成さ
れている。この叩き部1dには、図2の(b)に示すよ
うに、貫通孔11が形成されており、釣り糸をその貫通
孔11に通して結べるようになっている。
【0016】これらのの釣針1,1′の少なくとも先端
から餌と接する部分(フック部1aの大部分、この実施
形態では全体)に、後述する硬質被膜が形成されてい
る。図3は、図1の(a)におけるB−B線に沿う拡大
断面図であり、図2の示した釣針1′の対応する位置の
拡大断面も同様である。この図3に示すように、この釣
針1の金属の基材10の表面に、その基材10の表面と
の密着力を高める中間層20を介してダイヤモンドライ
ク・カーボン被膜(以下「DLC膜」と略称する)30
を形成している。
【0017】このDLC膜30は、ダイヤモンド状薄
膜、硬質カーボン被膜、水素アモルファス・カーボン
膜、i−カーボン膜などとも称され、ダイヤモンドによ
く似た構造および性質を持つ非晶質の炭素薄膜であり、
ビッカース硬度が2000kg/mm2以上あり、硬度
が高いため耐摩耗性が強く、且つ摩擦係数が小さく潤滑
性があり、耐蝕性も高いという特性をもっている。ま
た、中間層20は、基材10の表面とこのDLC膜30
との密着性を高めるために設ける1層以上の薄膜層であ
り、一層構造の場合、シリコン(Si),タングステン
(W)、炭化チタン(TiC)、炭化珪素(シリコンカ
ーバイト:SiC)、炭化クロム(CrxCy、例えば
Cr23,Cr,Cr ,Cr,C
等)のうちのいずれかによって形成する。
【0018】このように、釣針1の少なくともフック部
1aの基材10の表面に中間層20を介してDLC膜3
0を形成することにより、DLC膜30が基材10の表
面に密着性よく強固に形成される。そのため、形成した
DLC膜30の表面を一層平滑にするためにポリシング
やラッピングを行っても剥離することがない。また、こ
の釣針1が使用されて、磯場で擦られたり、歯の鋭い魚
に噛まれたりしても、それによってDLC膜30が剥離
するようなことはない。したがって、この釣針1は、従
来のものと比べて耐久性が飛躍的に向上し、磯釣りなど
に長期間使用しても釣針としての性能が劣化することが
ない。また、DLC膜30は中間層を含めても、従来の
湿式電気メッキによるニッケルメッキ膜のように針先に
のみ厚く形成されることがなく且つ薄く形成できるため
針先が鈍化することがなく、且つ潤滑性がよいので摩擦
抵抗が大幅に減少するため、魚の掛りがよくなる効果も
ある。図2に示した釣針1′の場合も同様である。
【0019】基材10には、硬鋼線、ハイカーボン・ス
チール、ニッケル、鉄、バナジウム、アルミニウム、ス
テンレス・スチール、タングステン、チタンの中のいず
れかの金属を使用するとよい。硬鋼線を使用する場合が
多く、特にその組成が、炭素(C)が0.74〜0.8
6%、シリコン(Si)が0.15〜0.35%、マン
ガン(Mn)が0.30〜0.60%、燐(P)が0.
030%以下、硫黄(S)が0.030%以下の割合の
ものを使用するとよい。いずれの素材を基材10に使用
して釣針を形成した場合でも、上述のように中間層20
を介してDLC膜30を形成することにより、その耐久
性が飛躍的に向上し、かつ魚の掛りがよくなることに変
わりはない。
【0020】〔中間層の構成〕次に、中間層20の種々
な構成例を図4乃至図7によって説明する。これらの図
は、前述した釣針1又は1′のフック部1aの表面付近
のごく一部を大幅に拡大して、DLC膜30と中間層2
0の構成を示す模式図である。図4は、硬鋼線等からな
る基材10の表面10a上に、前述した一層構造の中間
層20を介して硬質膜であるDLC膜30を形成したも
のである。その中間層は、シリコン(Si),タングス
テン(W),炭化チタン(TiC),炭化珪素(Si
C),炭化クロム(CrxCy)のうちのいずれかによ
って、厚さ0.05μmから1μm程度に形成する。D
LC膜30は、0.1μmから2.0μm程度に形成す
る。
【0021】図5は、2層構造中間層を形成した例であ
り、基材10の表面10a上に下層21と上層23から
なる中間層20を形成し、その上層23上にDLC膜3
0を形成している。その下層21はクロム(Cr)又は
チタン(Ti)を主体として膜形成し、上層23はシリ
コン(Si)又はゲルマニウム(Ge)を主体として膜
形成する。この場合、中間層20の下層21のクロム又
はチタンは、硬鋼線等からなる基材10と密着性よく形
成することができる。さらに、上層23のシリコン又は
ゲルマニウムは、DLC膜30を構成する炭素とは周期
律表で同じ第IVb族の元素であり、いずれもダイヤモ
ンド構造を有する。そのため、上層23とDLC膜30
とは共有結合して高い密着力で結合する。また、下層2
1のクロム又はチタンと上層23のシリコン又はゲルマ
ニウムとは、良好な密着性で被膜形成することができ
る。そのため、基材10の表面10aにこのような構成
の中間層20を介してDLC膜30を形成することによ
り、一層強固な密着力でDLC膜30を形成することが
でき、釣針の耐久性を飛躍的に高めることができる。
【0022】図6は、2層構造の中間層の他の例を示
す。この例では、基材10の表面10a上にチタン(T
i)を主体とする下層21と、タングステン(W),炭
化タングステン(WC),炭化珪素(SiC),および
炭化チタン(TiC)のうちのいずれかを主体とする上
層23との2層構造の中間層20を形成し、その上層2
3上にDLC膜30を形成する。このようにしても、図
5に示した例と同様なDLC膜30の密着力が得られ
る。
【0023】図7は、3層構造の中間層を形成した例を
示す。この例では、基材10の表面10a上に、中間層
20として、まずチタン(Ti)を主体とする下層21
を形成し、その上に炭化チタン(TiC)又は炭化珪素
(SiC)を主体とする中層22を形成し、さらにその
上に炭素(C)を主体とする上層23を形成する。そし
てその上層23上にDLC膜30を形成する。この場
合、下層21と中層22と上層23は、明確に異なる層
とせず、下層21の基材10に隣接する部分ではチタン
の濃度が最も高く、上層23に向かってその濃度が次第
に薄くなり、上層23のDLC膜30と隣接する部分で
は炭素の濃度が最も高く、下層21に向かってその濃度
が次第に薄くなる傾斜構造にしてもよい。むしろ、その
ような傾斜構造にした方がDLC膜30の密着力を高め
ることができる。
【0024】これらの各例によって形成したDLC膜3
0は、その表面をポリシング及びラッピングして、その
表面粗さRaが0.2から0.02μm程度の鏡面に仕
上げるとよい。
【0025】〔硬質被膜形成方法の実施形態〕次に、図
8から図11によって、前述したこの発明による釣針に
おける、少なくとも先端から餌と接触する部分への硬質
被膜の形成方法について説明する。以下に説明する例で
は、図1に示した釣針1の略全面に中間層を介してDL
C膜を形成する場合について説明する。
【0026】まず、釣針1の基材の表面に前述した中間
層20を形成する中間層形成工程について、図8を用い
て説明する。図8は、中間層を形成するのに使用するス
パッタ装置の断面図である。この図に示すように、ガス
導入口53と排気口54を備えた真空槽51内の一壁面
の近傍に、ターゲットホルダ56が固設されており、そ
こに中間層の材料であるターゲット55をセット(配
置)する。
【0027】この真空槽51内に、硬鋼線(例えば、S
WRH77A)による基材によって、釣る魚の種類と大
きさに応じた形状に成形され、洗浄された釣針1を、フ
ック部1aがターゲット55と対向するようにセット
(配置)する。その釣針1は直流電源58に接続し、タ
ーゲット55はターゲット電源57に接続する。なお、
図示を省略しているが、ターゲット55と釣針1との間
には、ターゲット55を覆う位置と露出させる位置とに
開閉可能なシャッタが設けられている。そのシャッタを
最初はターゲット55を覆う位置にしておく。
【0028】そして、図示しない排気手段により真空槽
51内を真空度が4×10−3パスカル(3×10−5
torr)以下になるように、排気口54から真空排気
する。その後、ガス導入口53からスパッタガスとして
アルゴン(Ar)ガスを導入して、真空槽51内の真空
度が4×10−1パスカル(3×10−3torr)に
なるように調整する。さらにその後、釣針1には直流電
源58からマイナス50Vの直流負電圧を印加する。ま
たターゲット55にはターゲット電源57からマイナス
500Vからマイナス600Vの直流電圧を印加する。
すると、真空槽51の内部にプラズマが発生し、イオン
化したアルゴンによって釣針1の基材の表面をイオンボ
ンバードして、その表面に形成されている酸化膜等を除
去する。
【0029】次に、図示しないシャッタを開いてターゲ
ット55を露出させ、プラズマ中のアルゴンイオンによ
ってターゲット55の表面をスパッタする。そして、こ
のターゲット55がシリコンであれば、その表面から叩
き出されたシリコンの分子が釣針1の基材の表面に付着
して、シリコン膜からなる中間層を形成する。このスパ
ッタリング処理によって中間層が所定の膜厚に形成され
るように、この中間層形成工程を実施する。
【0030】図4に示した1層の中間層20を形成する
場合には、ターゲット55として、シリコン,タングス
テン,炭化チタン,炭化珪素(シリコンカーバイト),
および炭化クロムのうちのいずれかをセットして、上記
スパッタリング処理を行う。それによって、釣針1のフ
ック部1aを含む基材の表面に、シリコン膜,タングス
テン膜,炭化チタン膜,炭化珪素(シリコンカーバイ
ト)膜,あるいは炭化クロム膜のいずれかによる中間層
20を形成する。
【0031】炭化チタン膜あるいは炭化珪素膜による中
間層を形成する場合には、次のような方法をとることも
できる。すなわち、ターゲット55として、チタンある
いはシリコン(珪素)をセットして、アルゴンイオンに
よるスパッタを行うと同時に、ガス導入口53から炭素
を含むガスとして例えばメタン(CH)ガスを導入し
て、スパッタされたチタンあるいはシリコンの分子とガ
ス中の炭素とによる反応スパッタリング処理によって、
釣針1の基材の表面に炭化チタン膜あるいは炭化珪素膜
による中間層20を形成する。
【0032】また、図5に示した下層21と上層23か
らなる2層の中間層20を形成する場合には、真空槽5
1内に2個のターゲットホルダ56と、その各々に対す
るシャッタとを設け、その一方のターゲットホルダ56
にターゲット55としてクロム又はチタンをセットし、
他方のターゲットホルダ56にターゲット55としてシ
リコン又はゲルマニウムをセットする。そして、まず第
1の中間層形成工程においては、ターゲット55として
クロム又はチタンをセットしたターゲットホルダ56側
のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行って、
釣針1の基材の表面にクロム又はチタンを主体とする膜
による下層21を、膜厚0.1μm程度に形成する。続
いて、第2の中間層形成工程によって、ターゲット55
としてシリコン又はゲルマニウムをセットしたターゲッ
トホルダ56側のシャッタのみを開いてスパタリング処
理を行って、下層21上にシリコン又はゲルマニウムを
主体とする膜による上層23を、膜厚0.1μm程度に
形成する。
【0033】さらに、図6に示した下層21と上層23
からなる2層の中間層20を形成する場合も同様に、真
空槽51内に2個のターゲットホルダ56と、その各々
に対するシャッタとを設け、その一方のターゲットホル
ダ56にターゲット55としてチタンをセットし、他方
のターゲットホルダ56にターゲット55としてタング
ステン,炭化タングステン,炭化珪素,炭化チタンのう
ちのいずれかをセットする。そして、まず第1の中間層
形成工程において、ターゲット55としてチタンをセッ
トしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いて
スパッタリング処理を行って、釣針1の基材の表面にチ
タンを主体とする膜による下層21を、膜厚0.1μm
程度に形成する。
【0034】続いて、第2の中間層形成工程によって、
ターゲット55としてタングステン,炭化タングステ
ン,炭化珪素,炭化チタンのうちのいずれかをセットし
たターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いてスパ
ッタリング処理を行い、上記下層21上にタングステ
ン,炭化タングステン,炭化珪素,炭化チタンのいずれ
かを主体とする膜による上層23を、膜厚0.1μm程
度に形成する。あるいは、上記第1の中間層形成工程に
よって、釣針1の基材の表面にチタンを主体とする中間
層の下層21を形成した後、第2の中間層形成工程で
は、ターゲット55としてタングステン又はシリコンを
セットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開
くとともに、真空槽51内に炭素を含むガス例えばメタ
ン(CH)ガスを導入して、スパッタされたタングス
テン又はシリコンの分子とガス中の炭素とによる反応ス
パッタリング処理によって、上記下層21上に炭化タン
グステン又は炭化珪素を主体とする中間層の上層23を
形成することもできる。
【0035】さらに、図7に示した下層21と中層22
と上層23とからなる3層の中間層20を形成する場合
も、中層22を炭化珪素を主体とする膜にする場合に
は、真空槽51内に2個のターゲットホルダ56と、そ
の各々に対するシャッタとを設け、その一方のターゲッ
トホルダ56にターゲット55としてチタンをセット
し、他方のターゲットホルダ56にターゲット55とし
てシリコンをセットする。そして、まず第1の中間層形
成工程において、ターゲット55としてチタンをセット
したターゲットホルダ側のシャッタのみを開いてスパッ
タリング処理を行い、釣針1の基材の表面にチタンを主
体とする膜による下層21を形成する。続いて、第2の
中間層形成工程で、ターゲット55としてシリコンをセ
ットしたターゲットホルダ側のシャッタのみを開いて、
真空槽51内に炭素を含むガス、例えばメタン(C
)ガスを導入し、スパッタされたシリコン分子とガ
ス中の炭素とによる反応スパッタリング処理によって、
上記下層21上に炭化珪素を主体とする膜による中層2
2を形成する。
【0036】その後、第3の中間層形成工程で、真空槽
51内の図示しないシャッタを徐々に閉じてターゲット
55としてのシリコンの露出量を減少させて、シリコン
のスパッタ量を漸減させ、上記中層22上に炭素の比率
が次第に多くなる炭素を主体とする上層23を形成す
る。なお、中層22を炭化チタンを主体とする膜にする
場合には、真空槽51内のターゲットホルダ56とシャ
ッタは一組でよく、そこにチタンをセットして、上記第
1,第2,第3の中間層形成工程と同様に各工程を実行
すればよい。しかし、第1の中間層形成工程と第2の中
間層形成工程との間で2つのシャッタの開閉切換を行う
必要はない。
【0037】次に、上記のような各種の中間層形成工程
によって、基材の略全面に中間層20を形成した釣針1
の、中間層20上にDLC膜30を形成する工程につい
て、図9から図11を用いて説明する。つまり、このD
LC膜の形成工程としては3種類のDLC膜形成方法が
ある。はじめに、図9を用いて第1のDLC膜形成方法
を説明する。図9はそのために使用するプラズマCVD
装置の断面図である。この第1のDLC膜形成方法は、
ガス導入口63と排気口65とを有し、内部上方にアノ
ード79とフィラメント81とを備えた真空槽61を使
用する。そして、この真空槽61内に、前述した中間層
形成工程によって基材の略全面に中間層20を形成した
釣針1を配置する。その釣針1を支持する部材は図示を
省略している。
【0038】そして、この真空槽61内を真空度が4×
10−3パスカル(3×10−5torr)以下になる
ように、図示しない排気手段によって排気口65から真
空排気する。その後、ガス導入口63から炭素を含むガ
スとしてベンゼン(C)を真空槽61内に導入し
て、真空槽61内の圧力を6.67×10−1パスカル
(5×10−3torr)になるようにする。さらに、
釣針1には直流電源73から直流電圧を印加し、さらに
アノード79にはアノード電源75から直流電圧を印加
し、フィラメント81にはフィラメント電源77から交
流電圧を印加する。
【0039】このとき、直流電源73から釣針1に印加
する直流電圧はマイナス3kVとし、アノード電源75
からアノード79に印加する直流電圧はプラス50V、
フィラメント電源77からフィラメント81に印加する
電圧は30Aの電流が流れるように10Vの交流電圧と
する。それによって、真空槽61内の釣針1の周囲領域
にプラズマが発生して、プラズマCVD処理によって、
釣針1の基材上の中間層20(多層の中間層の場合はそ
の上層23)の表面にDLC膜を形成することができ
る。このDLC膜は、膜厚0.1μmから2.0μmに
形成する。なお、説明の便宜上、中間層形成工程で使用
する真空槽51とDLC膜形成工程で使用する真空槽6
1を別にして説明したが、同じ真空槽を使用してこれら
の各工程を連続して行なうことができる。その場合に
は、中間層形成工程が完了した後、真空槽内のアルゴン
を排出して炭素を含むガスを導入する。
【0040】次に、図10を用いて第2のDLC膜形成
方法について説明する。図10はそのために使用するプ
ラズマCVD装置の断面図である。この図10に示す装
置を使用する場合には、ガス導入口63と排気口65と
を有する真空槽61内に、中間層20を形成した釣針1
を配置し、真空槽61の内部を図示しない排気手段によ
って、真空度が4×10−3パスカル(3×10
orr)以下になるように、排気口65から真空排気す
る。
【0041】その後、ガス導入口63から炭素を含むガ
スとしてメタンガス(CH)を真空槽61の内部に導
入して、真空度を13.33パスカル(0.1tor
r)になるようにする。そして、釣針1には、発振周波
数が13.56MHzの高周波電源69から高周波電力
を、マッチング回路67を介して印加する。それによっ
て、釣針1の周囲にプラズマが発生し、プラズマCVD
処理により、釣針1の基材上に形成された中間層20
(多層の中間層の場合はその上層23)の表面にDLC
膜を形成することができる。
【0042】次に、図11を用いて第3のDLC膜形成
方法について説明する。図11はそれに使用するプラズ
マCVD装置の断面図である。この図11示す装置を使
用する場合には、ガス導入口63と排気口65とを有す
る真空槽61内に、中間層20を形成した釣針1を配置
し、図示しない排気手段によって、真空槽61内を真空
度が4×10−3パスカル(3×10−5torr)以
下になるように、排気口65から真空排気する。
【0043】その後、ガス導入口63から炭素を含むガ
スとしてメタンガス(CH)を真空槽61内に導入
し、真空度が13.33パスカル(0.1torr)に
なるようにする。そして、釣針1に直流電源83からマ
イナス600Vの直流電圧を印加して、その周囲にプラ
ズマを発生させ、プラズマCVD処理により、釣針1の
基材上に形成された中間層20(多層の中間層の場合は
その上層23)の表面にDLC膜を形成することができ
る。
【0044】これらのDLC膜形成方法の場合も、中間
層形成工程と同じ真空槽を使用して、中間層形成工程と
連続して行なうことができる。その場合には、中間層形
成工程が完了した後、真空槽内のアルゴンを排出して炭
素を含むガスを導入する。なお、図9から図11によっ
て説明した方法によってDLC膜を形成する場合に、炭
素を含むガスとしてメタンガスやベンゼンガスを用いる
例で説明したが、メタン以外にエチレンなどの炭素を含
むガスや、あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体の蒸
発蒸気を使用することもできる。
【0045】上述した中間層形成工程およびDLC膜形
成工程では、便宜上真空槽51又は61内に釣針1を1
本だけセットして成膜を行うように図示したが、実際に
は一度に多数の釣針を治具にセットして真空槽内に配置
し、それを回転させながら成膜を行うとよい。
【0046】次に、このようにして釣針1の基材10の
表面に中間層20を介して形成したDLC膜30の表面
をより平滑にするために、DLC膜30の表面をポリシ
ングとラッピングによって仕上げ研磨する工程を実施
し、表面粗さRaが0.2から0.02μmになるよう
にするとよい。その場合、布にダイヤモンドペースト又
はアルミナペーストを付けてポリシングし、円盤状の板
にダイヤモンドペースト又はアルミナペーストを付けて
ラッピングする。そのときのダイヤモンドペースト又は
アルミナペースト中のダイヤモンド又はアルミナの粒子
径は0.1μmから4μm程度で、ポリシングには1μ
m以上のものを、ラッピングには1μm以下のものを使
用するのがよい。このような研磨工程を行っても、DL
C膜は釣針1の基材の表面に中間層を介して強固に形成
されているため、剥離するようなことはない。
【0047】〔釣針に形成する各被膜の厚さについて〕
ここで、この発明による釣針の基材の表面に形成する中
間層の材料および膜厚とDLC膜の膜厚についての各種
の実施例を示す。 (実施例1) 基材:SWRH77A 釣る魚:カレイ 素材 膜厚(μm) 中間層 :シリコン 0.05〜0.4 DLC :DLC 0.4〜1.5
【0048】 (実施例2) 基材:SWRH77A 釣る魚:ヒラメ 素材 膜厚(μm) 中間層 :SiC 0.05〜0.4 DLC :DLC 0.4〜1.5
【0049】 (実施例3) 基材:SWRH82A 釣る魚:マダイ 素材 膜厚(μm) 中間層 :Ti/Si 0.05〜0.4 DLC :DLC 0.3〜1.5
【0050】 (実施例4) 基材:SWRH82A 釣る魚:イシダイ 素材 膜厚(μm) 中間層 :Ti/Si/C主体 各0.05〜0.4 DLC :DLC 0.2〜1.5 これらの実施例における釣る魚の種類は、イシダイが最
も勢いがあり、且つ歯が鋭く、以下、マダイ、ヒラメ、
カレイの順である。したがって、基材とDLC膜の密着
力および耐腐食性の良さも、実施例4から実施例1の順
にしている。釣針の基材には硬鋼線のSWRH82Aを
使用したが、魚の勢いが比較的弱く、口が柔らかく且つ
歯が鋭くないような魚用の釣針の場合には、SWRH7
7Aを基材として使用することができる。
【0051】次に、この発明による釣針(DLC被覆針
と称す)と従来品との比較テストの結果を説明する。 ・塩水テスト 従来品に比べてDLC被覆針は、約2倍の耐腐食性があ
った。 ・磨耗テスト 従来品とDLC被覆針を使用して岩場で釣りをした場
合、針に入る傷や針先端の磨耗を比較すると、DLC被
覆針は従来品の約3倍の持ちがあった。 ・魚の掛りテスト DLC被覆針は、従来品に比べて約3倍の魚の掛りがあ
る。
【0052】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、釣針の耐久性を飛躍的に向上させ、腐食や変形等
が少なくなり、長期間に亘って釣針の良好な性能を維持
することができる。また、従来のニッケルメッキした釣
針に比べて被膜による針先の鈍化が激減、表面の摩擦抵
抗も大幅に減少するため、魚の掛りが極めてよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による釣針の一実施形態を示す側面図
と一部拡大図である。
【図2】この発明による釣針の他の実施形態を示す側面
図と一部拡大図である。
【図3】図1におけるB−B線に沿う拡大断面図であ
る。
【図4】この発明による釣針のフック部の表面付近のご
く一部を大幅に拡大して硬質被膜の構成例を示す模式図
である。
【図5】同じく中間層が2層の場合の構成例を示す模式
図である。
【図6】同じく中間層が他の2層の場合の構成例を示す
模式図である。
【図7】同じく中間層が3層の場合の構成例を示す模式
図である。
【図8】この発明による釣針への硬質膜形成方法におけ
る中間層形成工程に使用するスパッタ装置の断面図であ
る。
【図9】この発明による釣針への硬質膜形成方法におけ
るDLC膜形成工程に使用するプラズマCVD装置の一
例を示す断面図である。
【図10】同じくプラズマCVD装置の他の例を示す断
面図である。
【図11】同じくプラズマCVD装置のさらに他の例を
示す断面図である。
【符号の説明】
1,1′:釣針 1a:フック部 1b:抜け止め 1c,1d:叩き部 11:貫通孔 10:基材(金属からなる) 10a:基材の表面 20:中間層 21:中間層の下層 22:中間層の中層 23:中間層の上層 30:ダイヤモンドライク・カーボン被膜(DLC膜) 51,61:真空槽 55:ターゲット 56:ターゲットホルダ 57:ターゲット電源 58:直流電源 69:高周波電源 73:直流電源 75:アノード電源 77:フィラメント電源 79:アノード 81:フィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛西 秀文 東京都西東京市田無町6丁目1番12号 シ チズン時計株式会社内 (72)発明者 井戸 幸雄 大阪府大阪市北区堂山町14番29号 株式会 社和光通商内 (72)発明者 大久保 秀夫 大阪府大阪市北区堂山町14番29号 株式会 社和光通商内 (72)発明者 佐藤 一哉 兵庫県美嚢郡吉川町渡瀬47−3 株式会社 ハヤブサ内 (72)発明者 歯朶 崇 兵庫県美嚢郡吉川町渡瀬47−3 株式会社 ハヤブサ内 Fターム(参考) 2B107 AA01 AA05

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚を釣るための釣針であって、その基材
    が金属からなり、該基材の少なくとも先端から餌と接触
    する部分に、前記基材の表面との密着力を高める中間層
    を介してダイヤモンドライク・カーボン被膜が形成され
    ていることを特徴とする釣針。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の釣針であって、その基材
    が、硬鋼線、ハイカーボン・スチール、ニッケル、鉄、
    バナジウム、アルミニウム、ステンレス・スチール、タ
    ングステン、チタンの中のいずれか一つの金属からなる
    ことを特徴とする釣針。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の釣針であって、その基材
    が硬鋼線からなり、該硬鋼線の組成が、炭素(C)が
    0.74〜0.86%、シリコン(Si)が0.15〜
    0.35%、マンガン(Mn)が0.30〜0.60
    %、燐(P)が0.030%以下、硫黄(S)が0.0
    30%以下の割合であることを特徴とする釣針。
  4. 【請求項4】 前記中間層が、シリコン、タングステ
    ン、炭化チタン、炭化珪素、および炭化クロムのうちの
    いずれかによって形成された1層構造であることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の釣針。
  5. 【請求項5】 前記中間層が、クロムまたはチタンを主
    体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体と
    する上層とからなる2層構造であることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれか一項に記載の釣針。
  6. 【請求項6】 前記中間層が、チタンを主体とする下層
    と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、炭化
    チタンのうちのいずれかを主体とする上層との2層構造
    であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項
    に記載の釣針。
  7. 【請求項7】 前記中間層が、チタンを主体とする下層
    と、炭化チタンまたは炭化珪素を主体とする中層と、炭
    素を主体とする上層との3層構造であることを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか一項に記載の釣針。
  8. 【請求項8】 前記ダイヤモンドライク・カーボン被膜
    は、表面粗さRaが0.2から0.02μmであること
    を特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の釣
    針。
  9. 【請求項9】 魚を釣るための釣針の少なくとも先端か
    ら餌と接触する部分に硬質被膜を形成する方法であっ
    て、 金属の基材が釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形
    され、洗浄がなされた釣針を真空槽内にセットして排気
    する工程と、 排気した該真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
    シリコン、タングステン、炭化チタン、炭化珪素、およ
    び炭化クロムのうちのいずれかをターゲットとするスパ
    ッタリング処理によって、前記釣針の少なくとも前記先
    端から餌と接触する部分の基材の表面に中間層を形成す
    る中間層形成工程と、 前記真空槽内のアルゴンを排出して、該真空槽内に炭素
    を含むガスを導入する工程と、 該真空槽内にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理
    によって前記中間層の表面にダイヤモンドライク・カー
    ボン被膜を形成する工程と、 を有する釣針への硬質被膜形成方法。
  10. 【請求項10】 魚を釣るための釣針の少なくとも先端
    から餌と接触する部分に硬質被膜形成方法であって、 金属の基材が釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形
    され、洗浄がなされた釣針を真空槽内にセットして排気
    する工程と、 排気した該真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
    クロム又はチタンをターゲットとするスパッタリング処
    理によって、前記釣針の少なくとも前記先端から餌と接
    触する部分の基材の表面にクロム又はチタンを主体とす
    る中間層の下層を形成する第1の中間層形成工程と、 該工程に続いて、シリコン又はゲルマニウムをターゲッ
    トとするスパッタリング処理によって、前記下層上にシ
    リコン又はゲルマニウムを主体とする中間層の上層を形
    成する第2の中間層形成工程と、 前記真空槽内のアルゴンを排出して、該真空槽内に炭素
    を含むガスを導入する工程と、 該真空槽内にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理
    によって前記中間層の上層の表面にダイヤモンドライク
    ・カーボン被膜を形成する工程と、 を有する釣針への硬質被膜形成方法。
  11. 【請求項11】 魚を釣るための釣針の少なくとも先端
    から餌と接触する部分に硬質被膜形成方法であって、 金属の基材が釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形
    され、洗浄がなされた釣針を真空槽内にセットして排気
    する工程と、 排気した該真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
    チタンをターゲットとするスパッタリング処理によっ
    て、前記釣針の少なくとも前記先端から餌と接触する部
    分の基材の表面にチタンを主体とする中間層の下層を形
    成する第1の中間層形成工程と、 該工程に続いて、タングステンをターゲットとするスパ
    ッタリング処理によって、前記下層上にタングステンを
    主体とする中間層の上層を形成する第2の中間層形成工
    程と、 前記真空槽内のアルゴンを排出して、該真空槽内に炭素
    を含むガスを導入する工程と、 該真空槽内にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理
    によって前記中間層の上層の表面にダイヤモンドライク
    ・カーボン被膜を形成する工程と、 を有する釣針への硬質被膜形成方法。
  12. 【請求項12】 魚を釣るための釣針の少なくとも先端
    から餌と接触する部分に硬質被膜を形成する方法であっ
    て、 金属の基材が釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形
    され、洗浄がなされた釣針を真空槽内にセットして排気
    する工程と、 排気した該真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
    チタンをターゲットとするスパッタリング処理によっ
    て、前記釣針の少なくとも前記先端から餌と接触する部
    分の基材の表面にチタンを主体とする中間層の下層を形
    成する第1の中間層形成工程と、 該工程に続いて、前記真空槽内に炭素を含むガスを導入
    し、タングステン又はシリコンをターゲットとする反応
    スパッタリング処理によって、前記下層上に炭化タング
    ステン又は炭化珪素を主体とする中間層の上層を形成す
    る第2の中間層形成工程と、 前記真空槽内のアルゴンを排出して、該真空槽内に炭素
    を含むガスを導入する工程と、 該真空槽内にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理
    によって前記中間層の上層の表面にダイヤモンドライク
    ・カーボン被膜を形成する工程と、 を有する釣針への硬質被膜形成方法。
  13. 【請求項13】 魚を釣るための釣針の少なくとも先端
    から餌と接触する部分に硬質被膜を形成する方法であっ
    て、 金属の基材が釣る魚の種類と大きさに応じた形状に成形
    され、洗浄がなされた釣針を真空槽内にセットして排気
    する工程と、 排気した該真空槽内にアルゴンを導入してイオン化し、
    チタンをターゲットとするスパッタリング処理によっ
    て、前記釣針の少なくとも前記先端から餌と接触する部
    分の基材の表面にチタンを主体とする中間層の下層を形
    成する第1の中間層形成工程と、 該工程に続いて、前記真空槽内に炭素を含むガスを導入
    し、チタン又はシリコンをターゲットとする反応スパッ
    タリング処理によって、前記下層上に炭化チタン又は炭
    化珪素を主体とする中間層の中層を形成する第2の中間
    層形成工程と、 該工程に続いて、前記ターゲットのチタン又はシリコン
    のスパッタ量を漸減させて、前記中層上に炭素を主体と
    する中間層の上層を形成する第3の中間層形成工程と、 前記真空槽内のアルゴンと炭素を含むガスを排出して、
    該真空槽内に再び炭素を含むガスを導入する工程と、 該真空槽内にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理
    によって前記中間層の上層の表面にダイヤモンドライク
    ・カーボン被膜を形成する工程と、 を有する釣針への硬質被膜形成方法。
  14. 【請求項14】 請求項9乃至13のいずれか一項に記
    載の釣針への硬質被膜形成方法において、 前記ダイヤモンドライク・カーボン被膜を形成する工程
    の後に、該工程で形成されたダイヤモンドライク・カー
    ボン被膜の表面をポリシングとラッピングによって仕上
    げ研磨する工程を有することを特徴とすることを特徴と
    する釣針への硬質被膜形成方法。
  15. 【請求項15】 前記仕上げ研磨する工程における前記
    ポリシングとラッピングを、粒子径が0.1μmから4
    μmのダイヤモンド粒子又はアルミナ粒子が散在するダ
    イヤモンドペースト又はアルミナペーストを使用して行
    うことを特徴とする請求項14記載の釣針への硬質被膜
    形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項9乃至15のいずれか一項に記
    載の釣針への硬質被膜形成方法において、 前記金属の基材として、硬鋼線、ハイカーボン・スチー
    ル、ニッケル、鉄、バナジウム、アルミニウム、ステン
    レス・スチール、タングステン、チタンの中のいずれか
    一つの金属を使用することを特徴とする釣針への硬質被
    膜形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項9乃至15のいずれか一項に記
    載の釣針への硬質被膜形成方法において、 前記金属の基材として、炭素(C)が0.74〜0.8
    6%、シリコン(Si)が0.15〜0.35%、マン
    ガン(Mn)が0.30〜0.60%、燐(P)が0.
    030%以下、硫黄(S)が0.030%以下の割合の
    組成をもつ硬鋼線を使用することを特徴とする釣針への
    硬質被膜形成方法。
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