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JP2002271111A - 積層バラン素子 - Google Patents

積層バラン素子

Info

Publication number
JP2002271111A
JP2002271111A JP2001062318A JP2001062318A JP2002271111A JP 2002271111 A JP2002271111 A JP 2002271111A JP 2001062318 A JP2001062318 A JP 2001062318A JP 2001062318 A JP2001062318 A JP 2001062318A JP 2002271111 A JP2002271111 A JP 2002271111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
line
terminal
coupling
setting change
coupling line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001062318A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoto Kobayashi
尚都 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2001062318A priority Critical patent/JP2002271111A/ja
Publication of JP2002271111A publication Critical patent/JP2002271111A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主装置に実装したときに第1平衡端子と第2
平衡端子の信号の出力と位相のそれぞれに大きな差が生
じないように、容易に設計できる積層バラン素子を提供
する。 【解決手段】 第1平衡端子124と第2平衡端子123のイ
ンピーダンスの大きさの差及び信号の位相差が所定の許
容範囲内になるように設定されたインダクタンスを有す
る設定変更部を接地端部に設けた第3結合線路164を備
えると共に、第3結合線路164の他端と第1平衡端子124
とを接続する接続線路165を設定変更部として所定のイ
ンダクタンスを持つように設定し、さらに不平衡端子12
6と第2平衡端子123のそれぞれに所定のキャパシタンス
を有する導体片167,168を設定変更部として接続した積
層バラン素子100を構成する。実装環境に合わせた再設
計時に設定変更部のリアクタンスを変化させて良好な特
性を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯型電話機や携
帯型無線通信機において平衡伝送線路と不平衡伝送線路
との間に介在してこれらの異なる2つの伝送線路間を結
合するバラン素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯型電話機や携帯型無線通信機
において送受信回路とアンテナとを接続する場合、アン
テナ側が不平衡伝送線路となり送受信回路側が平衡伝送
線となるので、これらの間の整合を取るためにバランを
介在させている。ここでバランとは高周波伝送線路の平
衡・不平衡変換器である。
【0003】近年において携帯型電話機や携帯型無線通
信機は小型化及び高周波化の傾向が強まり、これに伴っ
てバランも小型化され、フェライトコアに導線を巻き付
けて形成したものから積層素体の内部に導体を埋設して
形成した積層バラン素子が用いられるようになってき
た。
【0004】この種の積層バラン素子の一例を図2及び
図3に示す。図2は外観図、図3はその等価回路図、図
4は分解斜視図である。図において、200は積層バラン
素子で、直方体形状の積層素体210とその外表面に形成
された外部端子221〜226から成る。ここで、外部端子22
6は不平衡伝送線路に接続される不平衡端子であり、外
部端子224は1対の平衡伝送線路の一方に接続される第
1平衡端子、外部端子223は他方の平衡線路に接続され
る第2平衡端子、外部端子222,225は接地端子、外部端
子221は外部回路と非接続の端子である。
【0005】積層素体21は、図4に示すように、表面
に接地導体261,266,271が設けられた誘電体層232,242,2
51と、渦巻き状の結合線路263,264,268,269が表面に設
けられた誘電体層236,238,246,248、結合線路と外部端
子とを接続する接続線路262,265,267,270が表面に設け
られた誘電体層234,240,244,250、ダミーの誘電体層23
1,233,235,237,239,241,243,245,247,249,252が積層さ
れて構成されている。
【0006】結合線路269の一端は外部端子(不平衡端
子)226に接続され、他端は接続線路270,262を介して結
合線路263の一端に接続されている。結合線路263の他端
は開放されている。
【0007】また、結合線路264の一端は接続線路265を
介して外部端子(第1平衡端子)223に接続され、他端
は接地端子225に接続されている。結合線路268の一端は
接続線路267を介して外部端子(第2平衡端子)224に接
続され、他端は接地端子225に接続されている。
【0008】結合線路263と結合線路264は誘電体層236,
237を介して互いに電磁結合し、結合線路268と結合線路
269は誘電体層246,247を介して互いに電磁結合してい
る。これらの結合線路263,264,268,269は、本素子200を
介在する伝送線路を伝搬する信号の中心周波数に応じ
た、電気長が1/4波長である所定幅のストリップライ
ンによって形成されている。
【0009】また、異なる誘電帯層の表面に形成されて
いる結合線路と接続線路との間はビアホール導体281〜2
83によって接続され、接続線路262,265,267,270はビア
ホール導体と外部端子との間の最短経路に沿って形成さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来例の積層バラン素子においては、主装置の回路基
板へ実装したときの周囲の導体及び電子部品の配置など
の実装環境の違いによって第1平衡端子と第2平衡端子
のインピーダンス及び位相に大きく差が生じることがあ
った。例えば、実装環境によっては図5のスミス図表に
示すような特性になり、第1平衡端子223の特性Bと第
2平衡端子224の特性Cの間の違いが大きくなった。図
5は周波数2.0GHz〜3.0GHzにおける特性で
ある。
【0011】その結果、図6に示すように第1平衡端子
223の出力信号と第2平衡端子224の出力信号との間の振
幅及び位相の違いが大きくなることがあった。このた
め、主装置が変わる毎に設計をやり直さなければならな
かった。この再設計において、非常に多くの時間がかか
ると共に、素子のコストが高くなり廉価にて提供できな
いという問題点があった。
【0012】本発明の目的は上記の問題点に鑑み、主装
置に実装したときに第1平衡端子と第2平衡端子の信号
の出力及び位相のそれぞれに大きな差が生じないよう
に、容易に設計できる積層バラン素子を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために請求項1では、積層素体の内部に絶縁体層
を介して互いに重なるように積層して形成されて互いに
電磁結合し且つそれぞれが1/4波長共振器を構成する
少なくとも2つの結合線路を1組として2組の結合線路
を有すると共に、外部に露出する不平衡端子と第1及び
第2平衡端子と接地端子とを有し、不平衡伝送線路と平
衡伝送線路とを結合する積層バラン素子において、前記
第1平衡端子と前記第2平衡端子の信号の出力差と位相
差が所定の許容範囲内になるように設定されたリアクタ
ンスを有する設定変更部が、前記結合線路のうちの少な
くとも1つの結合線路の端部に設けられている積層バラ
ン素子を提案する。
【0014】該積層バラン素子によれば、設計時におい
て前記設定変更部のリアクタンスの値が変化されて、前
記第1平衡端子と前記第2平衡端子の信号の出力差と位
相差が前記許容範囲内に設定されている。これにより、
バラン素子の実装環境に合わせて、前記第1平衡端子と
前記第2平衡端子の信号の出力差と位相差が所定の許容
範囲内になるように容易に短時間で設計することができ
る。
【0015】また、請求項2では、請求項1に記載の積
層バラン素子において、前記設定変更部は、前記結合線
路の一部であり且つ互いに電磁結合する他の結合線路に
対して重なり合わない部分を有すると共に、該重なり合
わない部分において、設定変更部の線路幅が設定変更部
以外の部分の線路幅と異なる積層バラン素子を提案す
る。
【0016】該積層バラン素子によれば、前記結合線路
の一部が設定変更部とされ、前記設定変更部を含む前記
結合線路は1/4波長共振器をなしている。さらに、前
記設定変更部を含む結合線路は、互いに電磁結合する他
の結合線路に対して前記設定変更部において重なり合わ
ない部分を有し、該重なり合わない部分において、設定
変更部の線路幅が設定変更部以外の部分の線路幅とは異
なった形状、例えば細く或いは太く形成されて、所定の
リアクタンスを有する。
【0017】また、請求項3では、請求項2に記載の積
層バラン素子において、前記設定変更部が所定のインダ
クタンスを有するように、前記設定変更部の線路幅が設
定変更部以外の部分の線路幅よりも細く設定されている
積層バラン素子を提案する。
【0018】該積層バラン素子によれば、前記設定変更
部の線路幅が設定変更部以外の部分の線路幅よりも細く
形成され、前記設定変更部が所定のインダクタンスを有
するように設定されている。
【0019】また、請求項4では、請求項2に記載の積
層バラン素子において、前記設定変更部が所定のキャパ
シタンスを有するように、前記設定変更部の線路幅が設
定変更部位外の部分の線路幅よりも太く設定されている
積層バラン素子を提案する。
【0020】該積層バラン素子によれば、前記設定変更
部の線路幅が設定変更部以外の部分の線路幅よりも太く
形成され、前記設定変更部が所定のキャパシタンスを有
するように設定されている。
【0021】また、請求項5では、請求項1に記載の積
層バラン素子において、前記不平衡端子と第1及び第2
平衡端子のうちの少なくとも1つと該端子に対応する前
記結合線路との間に、これらの間を接続する接続線路が
前記設定変更部として設けられ、前記接続線路は前記結
合線路が形成されている層とは異なる層に形成されてお
り、前記接続線路と前記接続線路に接続される結合線路
との間に介在する絶縁体層の厚さは、前記1組のうちの
隣り合って積層された結合線路間に介在する絶縁体層の
厚さよりも大きく設定されている積層バラン素子を提案
する。
【0022】該積層バラン素子によれば、前記不平衡端
子と第1及び第2平衡端子のうちの少なくとも何れか1
つと該端子に対応する前記結合線路との間に、これらの
間を接続する接続線路が前記設定変更部として設けられ
ている。さらに、前記接続線路は前記結合線路が形成さ
れている層とは異なる層に形成されており、前記接続線
路と前記接続線路に接続される結合線路との間に介在す
る絶縁体層の厚さは、前記結合線路との間の電磁結合を
弱める或いは無くすために、前記1組のうちの隣り合っ
て積層された結合線路間に介在する絶縁体層の厚さより
も大きく設定されている。
【0023】また、請求項6では、請求項1に記載の積
層バラン素子において、前記設定変更部として、一端が
前記結合線路の端部に接続され他端が開放された導体線
路からなり且つ所定のリアクタンスを有するオープンス
タブが設けられている積層バラン素子を提案する。
【0024】該積層バラン素子によれば、前記結合線路
の端部にオープンスタブが接続され、該オープンスタブ
が前記設定変更部として所定のリアクタンスを有する。
【0025】また、請求項7では、請求項1乃至請求項
6の何れかに記載の積層バラン素子において、前記不平
衡端子と第1平衡端子と第2の平衡端子のうちの少なく
とも1つの端子に対して、前記積層素体内部に設けられ
且つ所定のキャパシタンスを有する導体片が前記設定変
更部として接続されている積層バラン素子を提案する。
【0026】該積層バラン素子によれば、前記不平衡端
子と第1平衡端子と第2の平衡端子のうちの少なくとも
1つの端子に導体片が接続され、該導体片が所定のキャ
パシタンスを有する前記設定変更部となって前記結合線
路の端部に接続されている。
【0027】また、請求項8では、請求項7に記載の積
層バラン素子において、前記積層素体は積層バラン素子
が搭載される面に対向する底面を有する直方体形状をな
し、前記不平衡端子と第1及び第2平衡端子が、前記積
層素体の側面に前記底面から上面に延ばして形成されて
おり、前記導体片が前記積層素体上面の近傍に設けられ
ている積層バラン素子を提案する。
【0028】該積層バラン素子によれば、前記積層素体
が直方体形状を有し、前記不平衡端子と第1及び第2平
衡端子が前記積層素体の側面に底面から上面に延ばして
形成されているため、これらの端子の上部すなわち前記
積層素体の上面近傍の部分が不要なオープンスタブとな
って実装環境の変化によってそのリアクタンスが変化す
ることがある。しかし、前記導体片が前記積層素体上面
の近傍に設けられているので前記不要なオープンスタブ
が形成されることが無く、さらに設計時において前記導
体片のキャパシタンスが最適な値に設定されているので
前記第1平衡端子と前記第2平衡端子の信号の出力差と
位相差が前記許容範囲内になる。
【0029】また、請求項9では、請求項1乃至請求項
8の何れかに記載の積層バラン素子において、一端が前
記不平衡端子に接続された第1結合線路と、一端が開放
され他端が前記第1結合線路の他端に接続された第2結
合線路と、一端が前記接地端子に接続されると共に他端
が前記第1平衡端子に接続され、絶縁体層を介して前記
第1結合線路に重なるように配置されて前記第1結合線
路と電磁結合する第3結合線路と、一端が接地外部端子
に接続されると共に他端が第2平衡端子に接続され、絶
縁体層を介して前記第2結合線路に重なるように配置さ
れて前記第2結合線路と電磁結合する第4結合線路と、
前記接地端子に接続され、前記一方の結合線路の組と他
方の結合線路の組との間の電磁結合を抑制する接地導体
とを備えている積層バラン素子を提案する。
【0030】該積層バラン素子によれば、前記第1結合
線路に電磁結合する前記第3結合線路と、前記第2結合
線路に電磁結合する前記第4結合線路とを備え、これら
の第1乃至第4の結合線路のうちの少なくとも何れか1
つに前記設定変更部が設けられ、前記接地導体によって
前記一方の結合線路の組と他方の結合線路の組との間の
電磁結合が抑制される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一
実施形態を説明する。
【0032】図1は本発明の第1実施形態における積層
バラン素子の構成を示す分解斜視図、図7は外観斜視
図、図8はその等価回路図である。図において、100は
積層バラン素子で、内部層に結合線路が形成された直方
体形状の積層素体110からなり、該積層素体110の外表面
には底面から上面に延ばして外部端子121〜126が形成さ
れている。外部端子121は外部回路と非接続の端子で、
後述する第1結合線路と第2結合線とを接続している。
外部端子122,125は接地端子、外部端子126は不平衡伝送
線路に接続される不平衡端子、外部端子124は1対の平
衡伝送線路の一方に接続される第1平衡端子、外部端子
123は他方の平衡線路に接続される第2平衡端子であ
る。
【0033】積層素体110は、図1に示すようにそれぞ
れ同じ厚さを有する複数の誘電体層(絶縁体層)131〜1
56を積層して構成されており、所定層の誘電体層には表
面に結合線路又は接続導体或いは接地導体が設けられて
いる。
【0034】図1において最上層及び第2層目の誘電体
層131,132はダミー層であり、第3層目の誘電体層133の
表面には接地導体161が設けられている。この接地導体1
61は接地端子となる外部端子122に接続されている。
【0035】第4層目の誘電体層134はダミー層であ
る。
【0036】第5層目の誘電体層135の表面には接続導
体162が設けられている。接続導体162は、その一端が外
部端子121に接続され、他端部には誘電体層135を表面か
ら裏面に貫通するビアホール導体181が形成され、一端
と他端を最短経路で結ぶ帯状をなしている。
【0037】第6層目の誘電体層136の表面には第1結
合線路163が設けられている。第1結合線路163は、図9
に示すように、その一端163aが外部端子126に接続され
他端163bがビアホール導体181に接続する位置に配置さ
れた渦巻き状をなしている。この第1結合線路163は、
本素子100を介在して伝送線路を伝搬する信号の中心周
波数に応じた1/4波長共振器を構成している。
【0038】第7層目の誘電体層137はダミー層であ
る。
【0039】第8層目の誘電体層138の表面には、図1
0に示すように、一端部164cを除く他の部分164dが第1
結合線路163に重なるように渦巻き状の第3結合線路164
が設けられている。また、第3結合線路164の一端164a
は接地端子となる外部端子125に接続され、他端164bは
第1結合線路163の他端163bと同じ位置に配置されてビ
アホール導体182が形成されている。さらに、第3結合
線路164の一端部164cは設定変更部とされ、一端部164c
の幅W1はその他の部分164dの幅W2よりも細く形成さ
れて、一端部164cの大部分が第1結合線路163に重なら
ないように配置され、細く形成されている一端部164cが
所定のインダクタンスL1を有している。
【0040】この第3結合線路164は一端部164cとその
他の部分164dを合わせて、本素子100を介在して伝送線
路を伝搬する信号の中心周波数に応じた1/4波長共振
器を構成している。
【0041】第9及び第10層目の誘電体層139,140は
ダミー層であり、第3結合線路164の他端に形成された
ビアホール導体182に対応する位置にそれぞれビアホー
ル導体183,184が設けられ、これらのビアホール導体182
〜184が連結されている。
【0042】第11層目の誘電体層141の表面には接続
線路165が設定変更部として設けられている。接続線路1
65は、図11に示すように、互いに直角に交わる3つの
帯状導体片を直列に連結した略Z字形状をなし、その一
端165aが外部端子124に接続され、他端165bはビアホー
ル導体184に対応する位置に配置されてビアホール導体1
84に接続されている。また、接続導体165が所定のイン
ダクタンスL2を有するように、接続導体165の幅や長
さ及び配置が設定されている。
【0043】第12層目の誘電体層142はダミー層であ
る。
【0044】第13層目の誘電体層143の表面には接地
導体166が設けられている。この接地導体166は接地端子
となる外部端子122に接続されている。
【0045】第14層目の誘電体層144の表面には2つ
の導体片167,168が設定変更部として設けられている。
一方の導体片167は外部端子123に接続され、外部端子12
3近傍の所定面積に形成され、隣接層に形成された接地
導体166,169との間で所定のキャパシタンスC1を形成
している。他方の導体片168は外部端子126に接続され、
外部端子126近傍の所定面積に形成され、隣接層に形成
された接地導体166,169との間で所定のキャパシタンス
C2を形成している。
【0046】第15層目の誘電体層145の表面には接地
導体169が設けられている。この接地導体169は接地端子
となる外部端子122に接続されている。
【0047】第16層目の誘電体層146はダミー層であ
る。
【0048】第17層目の誘電体層147の表面には接続
導体170が設けられている。接続導体170は、その一端が
外部端子123に接続され、他端部には誘電体層147を表面
から裏面に貫通するビアホール導体185が形成され、一
端と他端を最短経路で結ぶ帯状をなしている。
【0049】第18層目の誘電体層148はダミー層であ
り、接続線路170の他端に形成されたビアホール導体185
に対応する位置にビアホール導体186が設けられ、これ
らのビアホール導体185,186が連結されている。
【0050】第19層目の誘電体層149の表面には第4
結合線路171が設けられている。第4結合線路171は、図
12に示すように、その一端171aが接地端子となる外部
端子125に接続され、他端がビアホール導体186に接続す
る位置に配置された渦巻き状をなしている。この第4結
合線路171は、本素子100を介在して伝送線路を伝搬する
信号の中心周波数に応じた1/4波長共振器を構成して
いる。
【0051】第20層目の誘電体層150はダミー層であ
る。
【0052】第21層目の誘電体層151の表面には、図
13に示すように、第4結合線路171に重なるように渦
巻き状の第2結合線路172が設けられている。また、第
2結合線路172の一端172aは開放され、他端172bは第4
結合線路171の他端171bと同じ位置に配置されてビアホ
ール導体187が形成されている。この第2結合線路172
は、本素子100を介在して伝送線路を伝搬する信号の中
心周波数に応じた1/4波長共振器を構成している。
【0053】第22層目の誘電体層152はダミー層であ
り、第2結合線路172の他端に形成されたビアホール導
体187に対応する位置にビアホール導体188が設けられ、
これらのビアホール導体187,188が連結されている。
【0054】第23層目の誘電体層153の表面には接続
導体173が設けられている。接続導体173は、その一端が
外部端子121に接続され、他端部はビアホール導体188に
接続される位置に配置され、一端と他端を最短経路で結
ぶ帯状をなしている。
【0055】第24層目の誘電体層154はダミー層であ
る。
【0056】第25層目の誘電体層155の表面には接地
導体174が設けられている。この接地導体174は接地端子
となる外部端子122に接続されている。
【0057】第26層目の誘電体層156はダミー層であ
る。
【0058】上記構成により、第1結合線路163と第3
結合線164とが電磁結合し、第2結合線路172と第4結合
線路171とが電磁結合する。さらに、第1結合線路163と
第3結合線路164とからなる一方の結合線路の組と、第
2結合線路172と第4結合線路171とからなる他方の結合
線路の組との間の電磁結合が、接地導体166,169によっ
て抑制されている。
【0059】上記構成の積層バラン素子100では、4つ
の設定変更部が設けられているため、その等価回路にお
いては図8に示すように第1平行端子124と第3結合線
路164の間にインダクタンスL1が介在し、第3結合線
路164と接地間にインダクタンスL2が介在される。さ
らに、第2平衡端子123と接地間にキャパシタンスC1
が介在し、不平衡端子126と接地間にキャパシタンスC
2が介在する。これらのインダクタンスL1,L2とキ
ャパシタンスC1,C2によって、第1平衡端子124と
第2平衡端子123の信号の出力差と位相差が所定の許容
範囲内に設定されている。本実施形態の積層バラン素子
100の周波数2.0GHz〜3.0GHzにおけるスミ
ス図表を作成したところ図14に示すような特性が得ら
れた。図14において、Aは不平衡端子126の特性を表
し、Bは第1平衡端子124の特性を、またCは第2平衡
端子123の特性をそれぞれ表している。図14に示すよ
うに、第1平衡端子124の特性Bと第2平衡端子123の特
性Cの間の特性の相違は、前述した従来例と比べて大幅
に減少してほぼ同じになっている。その結果、図15に
示すように、本実施形態の積層バラン素子100では、第
1平衡端子124の出力信号と第2平衡端子123の出力信号
との間の振幅及び位相の違いはほとんどなくなった。
【0060】従って、本実施形態のように設定変更部を
設けることにより、積層バラン素子を用いる主装置が変
わっても常に最適な特性を有する積層バラン素子を提供
することができる。さらに、主装置が変わる毎に再設計
を行う場合の手間及びコストを従来に比べて大幅に削減
することができるので、廉価な積層バラン素子100を提
供することができる。
【0061】尚、本実施形態では、設定変更部としての
接続線路165と第3結合線路164との間に3枚の誘電体層
138〜140を介在させて接続線路165と第3結合線路164と
の間の電磁結合を弱める或いは無くすようにしたが、設
定変更部としての接続線路165と第3結合線路164との間
に介在する誘電体層138〜140の厚さの合計は、第1結合
線路163と第3結合線路164の間に存在する誘電体層136,
137の厚さの合計よりも大きく設定することが好まし
く、例えば1.5倍以上に設定することが好ましい。
【0062】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0063】第2実施形態では、前述した第1実施形態
における第8層目の誘電体層138に形成される第3結合
線路164に代えて図16に示す形状の第3結合線路310を
設けた積層バラン素子を構成した。
【0064】第3結合線路310は、第1結合線路163に重
なるような渦巻き形状をなし、その一端310aは接地端子
となる外部端子125に接続され、他端310bは第1結合線
路163の他端163bと同じ位置に配置されてビアホール導
体182が形成されている。さらに、第3結合線路310の一
端部311は設定変更部とされ、一端部311の幅W3はその
他の部分312の幅W2よりも太く形成されて、一端部311
の周縁部分が第1結合線路163に重ならないように配置
され、太く形成されている一端部311が所定のキャパシ
タンスC3を有している。
【0065】この第3結合線路310のは、一端部311とそ
の他の部分312を合わせて、本素子を介在して伝送線路
を伝搬する信号の中心周波数に応じた1/4波長共振器
を構成している。
【0066】上記構成の積層バラン素子は図17に示す
ような等価回路を有し、第1平行端子124と第3結合線
路310の他端間にインダクタンスL1が介在し、第3結
合端子310の一端が接地されると共に該一端と接地間に
キャパシタンスC3が介在される。さらに、第2平衡端
子123と接地間にキャパシタンスC1が介在し、不平衡
端子126と接地間にキャパシタンスC2が介在する。こ
れらのインダクタンスL1とキャパシタンスC1,C
2,C3によって、第1平衡端子124と第2平衡端子123
の信号の出力差と位相差が所定の許容範囲内に設定され
ている。この様に、バラン素子の実装環境に応じてイン
ダクタンスL2に代えてキャパシタンスC3を設けるこ
とにより、第1平衡端子124の出力信号と第2平衡端子1
23の出力信号との間の振幅及び位相の違いをなくすこと
ができる。
【0067】従って、第2実施形態のようなキャパシタ
ンスC3を有する設定変更部を設けることによっても、
積層バラン素子を用いる主装置が変わっても常に最適な
特性を有する積層バラン素子を提供することができる。
さらに、主装置が変わる毎に再設計を行う場合の手間及
びコストを従来に比べて大幅に削減することができるの
で、廉価な積層バラン素子を提供することができる。
【0068】次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0069】第3実施形態では、前述した第1実施形態
における第8層目の誘電体層138に形成される第3結合
線路164に代えて図18に示す形状の第3結合線路320を
設けた積層バラン素子を構成した。
【0070】第3結合線路320は、第1結合線路163に重
なるような渦巻き形状をなし、その一端320aは接地端子
となる外部端子125に接続され、他端320bは第1結合線
路163の他端163bと同じ位置に配置されてビアホール導
体182が形成されている。また、本実施形態における第
3結合線路320はその全体がほぼ同一の幅に形成され、
本素子を介在して伝送線路を伝搬する信号の中心周波数
に応じた1/4波長共振器を構成している。さらに、第
3結合線路320の一端部には、設定変更部としてのオー
プンスタブ330が接続されている。
【0071】オープンスタブ330は、その一端330aが第
3結合線路320の一端部に接続され、他端が開放された
帯状の導体片からなり、その幅W4は第3結合線路320
の幅W2とほぼ等しく形成されて所定のサセプタンスB
1(リアクタンス)を有している。
【0072】上記構成の積層バラン素子は図17に示す
ような等価回路を有し、第1平行端子124と第3結合線
路320の他端間にインダクタンスL1が介在し、第3結
合端子320の一端部にサセプタンスB1(リアクタン
ス)を有するオープンスタブ330が接続されると共に第
3結合端子320の一端が接地されている。さらに、第2
平衡端子123と接地間にキャパシタンスC1が介在し、
不平衡端子126と接地間にキャパシタンスC2が介在す
る。これらのインダクタンスL1とキャパシタンスC
1,C2及びサセプタンスB1によって、第1平衡端子
124と第2平衡端子123の信号の出力差と位相差が所定の
許容範囲内に設定されている。この様に、バラン素子の
実装環境に応じてインダクタンスL2に代えてサセプタ
ンスB1を設けることにより、第1平衡端子124の出力
信号と第2平衡端子123の出力信号との間の振幅及び位
相の違いをなくすことができる。
【0073】従って、第3実施形態のようなサセプタン
スB1を有するオープンスタブ330からなる設定変更部
を設けることによっても、積層バラン素子を用いる主装
置が変わっても常に最適な特性を有する積層バラン素子
を提供することができる。さらに、主装置が変わる毎に
再設計を行う場合の手間及びコストを従来に比べて大幅
に削減することができるので、廉価な積層バラン素子を
提供することができる。
【0074】尚、前述した各実施形態は本発明の一具体
例であって本願発明がこれらの具体例の構成のみに限定
されることはない。例えば上記実施形態では第3結合線
路に設けた設定変更部に関して説明したが、他の第1,
第2或いは第4結合線路に同様の設定変更部を設けても
良い。
【0075】また、上記実施形態では、設定変更部とし
ての導体片167,168を2つ設けたが、設けなくても良い
場合、或いは不平衡端子126と第1及び第2平衡端子12
4,123の全てに設ける場合など適宜設定して良いことは
言うまでもない。
【0076】また、設定変更部としての接続線路165の
形状を例えば図20或いは図21に示すように複数回折
り曲がる形状に変えることにより、接続線路165のイン
ダクタンスを変化できることは言うまでもない。
【0077】また、上記実施形態では、積層素体110の
上下方向のほぼ中央部の層にキャパシタンスC1,C2
を形成する導体片167,168を設けたが、主装置の回路基
板に実装したときの上面近傍の層に導体片167,168を設
けることが好ましい。即ち、外部端子121〜126が積層素
体110の側面に底面から上面に延ばして形成されている
ため、導体片167,168が接続された位置よりも上の部分
の外部端子121〜126の導体部分が不要なオープンスタブ
となって実装環境の変化によってそのサセプタンス(リ
アクタンス)が変化することがある。従って、導体片16
7,168を積層素体110の上面近傍に設けることにより、前
記不要なオープンスタブが形成されることがないので、
積層バラン素子を主装置に実装したときの特性を安定し
て得ることができる。
【0078】また、上記実施形態では積層素体110を誘
電体層を積層して形成したが、誘電体層に限定されるこ
とはなく、絶縁体層であれば良い。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1乃
至請求項9に記載の積層バラン素子によれば、バラン素
子の実装環境の違いに応じて設定変更部のリアクタンス
の値を変化させて設計を行うことにより、前記第1平衡
端子と前記第2平衡端子の信号の出力差と位相差を前記
許容範囲内に設定することができる。これにより、バラ
ン素子の実装環境に合わせて、再設計のときは前記設定
変更部のみを変えれば、前記第1平衡端子と前記第2平
衡端子の信号の出力差と位相差が所定の許容範囲内にな
るように容易に短時間で設計することができる。さら
に、上記設計によって優れた特性を有する積層バラン素
子を廉価にて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における積層バラン素子
の構成を示す分解斜視図
【図2】従来例の積層バラン素子を示す外観斜視図
【図3】従来例の積層バラン素子の等価回路図
【図4】従来例の積層バラン素子の構成を示す分解斜視
【図5】従来例の積層バラン素子の特性を示すスミス図
【図6】従来例の積層バラン素子の問題点を説明する図
【図7】本発明の第1実施形態における積層バラン素子
を示す外観斜視図
【図8】本発明の第1実施形態における積層バラン素子
の等価回路図
【図9】本発明の第1実施形態における第1結合線路を
示す平面図
【図10】本発明の第1実施形態における第3結合線路
を示す平面図
【図11】本発明の第1実施形態における設定変更部と
しての接続線路を示す平面図
【図12】本発明の第1実施形態における第4結合線路
を示す平面図
【図13】本発明の第1実施形態における第2結合線路
を示す平面図
【図14】本発明の第1実施形態における積層バラン素
子の特性を示すスミス図表
【図15】本発明の第1実施形態における積層バラン素
子の入出力信号波形を示す図
【図16】本発明の第2実施形態における第3結合線路
を示す平面図
【図17】本発明の第2実施形態における積層バラン素
子の等価回路図
【図18】本発明の第3実施形態における第3結合線路
を示す平面図
【図19】本発明の第3実施形態における積層バラン素
子の等価回路図
【図20】本発明に係る設定変更部としての接続線路の
他の構成例を示す平面図
【図21】本発明に係る設定変更部としての接続線路の
他の構成例を示す平面図
【符号の説明】
100…積層バラン素子、110…積層素体、121…外部端
子、122,125…外部端子(接地端子)、123…外部端子
(第2平衡端子)、124…外部端子(第1平衡端子)、1
26…外部端子(不平衡端子)、131〜156…誘電体層、16
1,166,169,174…接地導体、162,170,173…接続線路、16
3…第1結合線路、164…第3結合線路、164c…設定変更
部、165…接続線路(設定変更部)、167,168…導体片
(設定変更部)、171…第4結合線路、172…第2結合線
路、181〜188…ビアホール導体、310…第3結合線路、3
11…設定変更部、320…第3結合線路、330…オープンス
タブ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層素体の内部に絶縁体層を介して互い
    に重なるように積層して形成されて互いに電磁結合し且
    つそれぞれが1/4波長共振器を構成する少なくとも2
    つの結合線路を1組として2組の結合線路を有すると共
    に、外部に露出する不平衡端子と第1及び第2平衡端子
    と接地端子とを有し、不平衡伝送線路と平衡伝送線路と
    を結合する積層バラン素子において、 前記第1平衡端子と前記第2平衡端子の信号の出力差と
    位相差が所定の許容範囲内になるように設定されたリア
    クタンスを有する設定変更部が、前記結合線路のうちの
    少なくとも1つの結合線路の端部に設けられていること
    を特徴とする積層バラン素子。
  2. 【請求項2】 前記設定変更部は、前記結合線路の一部
    であり且つ互いに電磁結合する他の結合線路に対して重
    なり合わない部分を有すると共に、 該重なり合わない部分において、設定変更部の線路幅が
    設定変更部以外の部分の線路幅と異なることを特徴とす
    る請求項1に記載の積層バラン素子。
  3. 【請求項3】 前記設定変更部が所定のインダクタンス
    を有するように、前記設定変更部の線路幅が設定変更部
    以外の部分の線路幅よりも細く設定されていることを特
    徴とする請求項2に記載の積層バラン素子。
  4. 【請求項4】 前記設定変更部が所定のキャパシタンス
    を有するように、前記設定変更部の線路幅が設定変更部
    位外の部分の線路幅よりも太く設定されていることを特
    徴とする請求項2に記載の積層バラン素子。
  5. 【請求項5】 前記不平衡端子と第1及び第2平衡端子
    のうちの少なくとも1つと該端子に対応する前記結合線
    路との間に、これらの間を接続する接続線路が前記設定
    変更部として設けられ、前記接続線路は前記結合線路が
    形成されている層とは異なる層に形成されており、 前記接続線路と前記接続線路に接続される結合線路との
    間に介在する絶縁体層の厚さは、前記1組のうちの隣り
    合って積層された結合線路間に介在する絶縁体層の厚さ
    よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1
    に記載の積層バラン素子。
  6. 【請求項6】 前記設定変更部として、一端が前記結合
    線路の端部に接続され他端が開放された導体線路からな
    り且つ所定のリアクタンスを有するオープンスタブが設
    けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層バ
    ラン素子。
  7. 【請求項7】 前記不平衡端子と第1平衡端子と第2の
    平衡端子のうちの少なくとも1つの端子に対して、前記
    積層素体内部に設けられ且つ所定のキャパシタンスを有
    する導体片が前記設定変更部として接続されていること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の積
    層バラン素子。
  8. 【請求項8】 前記積層素体は積層バラン素子が搭載さ
    れる面に対向する底面を有する直方体形状をなし、 前記不平衡端子と第1及び第2平衡端子が、前記積層素
    体の側面に前記底面から上面に延ばして形成されてお
    り、 前記導体片が前記積層素体上面の近傍に設けられている
    ことを特徴とする請求項7に記載の積層バラン素子。
  9. 【請求項9】 一端が前記不平衡端子に接続された第1
    結合線路と、 一端が開放され他端が前記第1結合線路の他端に接続さ
    れた第2結合線路と、 一端が前記接地端子に接続されると共に他端が前記第1
    平衡端子に接続され、絶縁体層を介して前記第1結合線
    路に重なるように配置されて前記第1結合線路と電磁結
    合する第3結合線路と、 一端が接地外部端子に接続されると共に他端が第2平衡
    端子に接続され、絶縁体層を介して前記第2結合線路に
    重なるように配置されて前記第2結合線路と電磁結合す
    る第4結合線路と、 前記接地端子に接続され、前記一方の結合線路の組と他
    方の結合線路の組との間の電磁結合を抑制する接地導体
    とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8
    の何れかに記載の積層バラン素子。
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