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JP2002116463A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

Info

Publication number
JP2002116463A
JP2002116463A JP2000304667A JP2000304667A JP2002116463A JP 2002116463 A JP2002116463 A JP 2002116463A JP 2000304667 A JP2000304667 A JP 2000304667A JP 2000304667 A JP2000304667 A JP 2000304667A JP 2002116463 A JP2002116463 A JP 2002116463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
retardation
crystal display
display device
transmittance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000304667A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Nishioka
孝博 西岡
Hiroyuki Fuchigami
宏幸 渕上
Kazuko Wakita
佳寿子 脇田
Tetsuya Satake
徹也 佐竹
Tetsuyuki Kurata
哲之 蔵田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2000304667A priority Critical patent/JP2002116463A/ja
Publication of JP2002116463A publication Critical patent/JP2002116463A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NB配向分割水平配向ECB方式の液晶表示
素子において、白表示時の高視野角での階調反転を抑制
し、正面から高角側までの幅広い視野角範囲で良好な表
示を得る。 【解決手段】 ネマチック液晶材料の比誘電率の異方性
Δε、広がり変形に対する弾性定数K11〔pN〕、曲が
り変形に対する弾性定数K33〔pN〕が、0.3<K11
/Δε<1.6、1.3<(K11/K33)√Δε<4な
る関係を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在主流となっているねじれネマチック
液晶ディスプレイ(twisted nematicliquid crystal di
splay、TN−LCD)には、視角方向(観察者がディ
スプレイを見込む角度)によって表示画像の見え方に大
きな差があるという欠点がある。そこで、視角依存性の
小さい表示方式の検討・採用が進められている。
【0003】その一例として、信号電極、共通電極を同
一基板上に設置し基板に略平行な電界を発生させ、液晶
分子を基板に略平行に駆動する方式がある。これは、I
PS(In-Plane Switching)方式と呼ばれ、現在主流の
広視野角表示方式である。しかし、このIPS方式で
は、表示画素内に不透明な電極を設置するため、開口率
が下がり、透過率が小さくなるという問題点がある。
【0004】また、他の例として、NB(Normally Bla
ck)配向分割水平配向ECB(Electrically Controlle
d Birefringence)と呼ばれる方式がある。この方式
は、液晶層を挟持して対向する一対の基板と、液晶層に
略垂直な電界を印加するために基板に設けられた電極
と、基板の外側に設けられた偏光板と位相差板とを有
し、液晶層が、配向方向が略同一でかつ電圧印加時の液
晶分子の起き上がり方向が略反対な2つの領域(ドメイ
ン)に分割されている。
【0005】この方式では、白表示(高電圧印加)時に
液晶の配向方向と直交する方向(以下、左右方向ともい
う)からディスプレイを見た場合、高角側(ディスプレ
イを見込む角が大)で透過率が小さくなるため、図3に
示すように、高角側で階調反転が起こるという問題があ
る。白表示時の印加電圧を下げて高角側での透過率を上
げることはできるが、正面での透過率が下がってしま
う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このNB配
向分割水平配向ECB方式の液晶表示素子において、白
表示(高電圧印加)時の高視野角での階調反転を抑制
し、正面から高角側までの幅広い視野角範囲で良好な表
示を得ることのできる液晶表示素子を得ることを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
方が可視域で透明な一対の基板と、基板間に挟持された
正の誘電異方性を持つネマチック液晶材料からなる液晶
層と、液晶層に略垂直な電界を印加するために基板に設
けられた電極と、基板の外側に設けられた偏光板と、一
枚または複数枚の位相差板からなる光学補償板を有し、
液晶層が、配向方向が略同一でかつ電圧印加時の液晶分
子の起き上がり方向が略反対な2つのドメインに分割さ
れている液晶表示素子において、ネマチック液晶材料の
比誘電率の異方性Δε、広がり変形に対する弾性定数K
11〔pN〕、曲がり変形に対する弾性定数K33〔pN〕
が、 0.3<K11/Δε<1.6 1.3<(K11/K33)√Δε<4 なる関係を有することを特徴とする。
【0008】また、液晶層が与えるリタデーションにつ
いて、白表示での透過率−波長曲線において透過率の最
大値を与える波長λ〔nm〕でのリタデーションR
w(λ)〔nm〕と、黒表示での該波長でのリタデーシ
ョンRb(λ)〔nm〕が、 0.3<(Rw(λ)−Rb(λ))/λ<0.5 なる関係を有することを特徴とする。
【0009】また、前記2つのドメインの面積が略等し
いことを特徴とする。
【0010】また、液晶層にプレチルトを与えることに
より前記2つのドメインを形成し、プレチルト角の絶対
値は3°以下であることを特徴とする。
【0011】また、前記位相差板の屈折率主軸が、位相
差板の法線に略平行または略垂直であることを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の液晶表示素子の基
本構成を図1を用いて説明する。
【0013】一対の基板5、7が対向して設けられ、液
晶層6を挟持している。基板5の外側表面(液晶層6の
ない側の表面)には、正の一軸位相差板4、正の垂直位
相差板3、二軸位相差板2、直線偏光板1が貼り付けさ
れている。同様に、基板7の外側表面(液晶層6のない
側の表面)には、正の一軸位相差板8、正の垂直位相差
板9、二軸位相差板10、直線偏光板11がそれぞれ貼
り付けされている。
【0014】位相差板の構成は必ずしも図1に限定され
ない。一軸位相差板4、8は、NB(Normally Black、
電圧無印加時に黒表示)になるように選択する。垂直位
相差板3、9および二軸位相差板2、10は、必ずしも
設ける必要はないが、設けた方が視野角特性が良好にな
る。垂直位相差板3、9は、視角変化にともなう透過率
変化を抑制するよう選択する。二軸位相差板2、10
は、黒表示時の透過率の視角依存性が小さくように選択
する。
【0015】液晶層6は、図2に示すように、配向方向
が略同一でかつ電圧印加時の液晶分子の起き上がり方向
が略反対な2つのドメインに分割されている。このよう
な配向分割を実現するために、あらかじめ液晶分子に基
板に対する起き上がり角(以下、プレチルトという)を
与えておき、このプレチルトの方向を2つのドメインで
それぞれ逆向きとする方法がある。
【0016】2つのドメインの液晶分子にそれぞれ逆向
きのプレチルトを与える方法としては、基板に光配向膜
を塗布後、レジストパターンあるいはマスクを用いて一
方のドメインに対し紫外線を照射し、次に別のレジスト
パターンあるいはマスクを用いてもう一方のドメインに
対し先程とは逆の角度から紫外線を照射する光分割配
向、配向膜塗布後、レジストパターンを用いて両ドメイ
ンをそれぞれ逆の方向にラビングする分割ラビングなど
が使用できる。
【0017】また、各ドメインの液晶分子に印加する電
圧(電界)を基板法線からそれぞれ逆方向に傾けること
により液晶の立ち上がりを逆方向とする電界制御型配向
分割などを使用してもよい。
【0018】さらに、液晶層6に略垂直に電界を印加で
きるように電極が設置されている。
【0019】液晶層6のギャップ(液晶層6の厚さ)d
は、図4の透過率−波長曲線に示すように、通常480
〜570nmの間のある特定の波長λで透過率が最大に
なるように決定する。
【0020】透過率が最大になる条件は、白表示時の液
晶層のリタデーションをRw(λ)〔nm〕、黒表示で
の該波長でのリタデーションをRb(λ)〔nm〕とし
て、 (Rw(λ)−Rb(λ))/λ=0.5 (式1) で表される。
【0021】リタデーションは印加電圧に依存し、ギャ
ップdに比例(単調増加)するので(式1)は白電圧
(白表示時の印加電圧)、黒電圧(黒表示時の印加電
圧)、およびギャップdを決める条件式である。
【0022】しかし、(式1)により白電圧、黒電圧お
よびギャップdの設計をすると、白表示における正面で
の透過率は高くなるが、すでに従来の技術(図3)で説
明したように、左右方向の透過率が小さくなってしま
い、高角側で階調反転が生じる。
【0023】この問題を解決するため、本発明では、比
誘電率の異方性Δε、広がり変形に対する弾性定数K11
〔pN〕、曲がり変形に対する弾性定数K33〔pN〕
が、 0.3<K11/Δε<1.6 (式2) 1.3<(K11/K33)√Δε<4 (式3) なる関係を満たす液晶材料を使用する。
【0024】K11/Δεの値が1.6よりも小さく、
(K11/K33)√Δεの値が1.3よりも大きければ、
液晶分子の配向状態が、左右方向の透過率が落ちない配
向状態に近づく。
【0025】K11/Δεの値は小さいほうがよいが、小
さすぎると(Δεが大きすぎると)焼き付きやフリッカ
を生じやすくなるので0.3よりも大きい値とするのが
望ましい。
【0026】(K11/K33)√Δεの値は大きいほうが
よいが、大きすぎると(Δεが大きすぎると)焼き付き
やフリッカを生じやすくなるので 4 よりも小さい値と
するのが望ましい。
【0027】すでに従来の技術(図3)で説明したとお
り、左右方向で階調反転が生じるのは白表示における左
右方向の透過率が小さくなるためである。
【0028】白電圧を下げることにより、階調反転を改
善する(図3の高電圧側の曲線、たとえば白ヌキ四角の
曲線、を使用しないことに対応する)ことは可能である
が、正面での透過率が低下してしまう。
【0029】そこで、前記従来の(式1)ではなく、次
の関係式を満たすように印加電圧(白電圧、黒電圧)お
よびギャップdを設計する。 0.3<(Rw(λ)−Rb(λ))/λ<0.5 (式4) この(式4)を満たすように印加電圧およびギャップd
を設計することで、正面での透過率の減少を抑えつつ、
左右方向の透過率および階調反転を改善することができ
る。(式4)の(Rw(λ)−Rb(λ))/λを0.3
以下にすると、正面での透過率が大きく低下してしま
い、暗い画像しか得られなくなってしまう。より好まし
くは、(式4)の(Rw(λ)−Rb(λ))/λを0.
4以上にとれば、正面での透過率の低下を約10%以内
に抑えることができ、より明るい良好な画像を得ること
ができる。
【0030】また、液晶分子の起き上がり方向が異なる
2つのドメインを設けることにより視野角特性を補償し
ているので、2つのドメインの面積はおよそ等しくす
る。2つのドメインの面積比は50:50が理想的であ
るが、実用上は40:60以内であれば問題はなく、よ
り好ましくは45:55以内で十分である。
【0031】2つのドメインを設けるにあたっては、各
画素をそれぞれ2つのドメインに分割するのが最も好ま
しい。しかし、隣接する画素をそれぞれ起き上がり方向
の異なるドメインとしても構わない。
【0032】すでに述べたように、一軸位相差板はNB
になるように選択する。垂直位相差板は視角変化に伴う
透過率変化を抑制するよう選択する。二軸位相差板はさ
らに黒表示時の透過率の視角依存性が小さくように選択
する。一軸位相差板以外の位相差板は必ずしも貼り付け
する必要はないが、貼り付けしたほうが視野角特性は良
くなる。
【0033】これらの位相差板としては傾斜の無い(屈
折率主軸が位相差板法線と略平行、または略垂直な)位
相差板が好ましい。傾斜していると2つのドメインに対
する補償効果が異なり、表示の視野角特性の対称性を損
なうからである。
【0034】また、傾斜の無い位相差板は傾斜のある位
相差板と比較して製造が容易で、安価であるというメリ
ットを持っている。
【0035】傾斜の無い位相差板により視野角特性を改
善するためには、黒表示での液晶分子が基板に対して略
平行であることが好ましい。具体的には、黒表示での液
晶分子の起き上がり角(プレチルト角)の絶対値は3°
以下が好ましく、さらには1°以下がより好ましい。こ
うすることで、黒表示での高角側の透過率が小さくな
り、広い視野角が得られる。
【0036】以下に、本発明の具体的な実施の例を、比
較例との比較において説明する。
【0037】説明において、座標系は液晶層の面内方向
にX軸およびY軸をとり、電圧無印加時の液晶分子の配
向方向をY軸、Y軸に直交する方向をX軸とし、右手系
の座標をとるものとする(図5参照)。
【0038】以下の説明において、液晶層は以下の値で
特徴付ける。
【0039】液晶層の黒表示時のリタデーションR
bは、常光屈折率をno、異常光屈折率をne、液晶層の
厚さをdとして、Rb=(ne−no)・dで定義する。
また、液晶分子のチルトの方向は、Y軸の正の部分がZ
軸の正の方向に起き上がっている時、チルト角を正と定
義する。さらに、駆動時の最高印加電圧を白電圧とす
る。
【0040】位相差板は以下の値で特徴付ける。
【0041】まず、位相差板の厚さ方向にz軸、面内に
x軸、y軸をとるものとする。
【0042】一軸位相差板は、面内に最大屈折率主値n
xを持ち、その方向をx軸とする。リタデーションRe
は、x軸方向の屈折率nxおよびy軸方向の屈折率ny
を用い、Re=(nx−ny)・dで定義する。一軸位
相差板の向きは、位相差板のx軸が液晶層のX軸となす
角度で指定する。
【0043】垂直位相差板は、リタデーションReをz
軸方向の屈折率nzを用い、Re=(nz−nx)・d
と定義する。
【0044】二軸位相差板は、面内に最大屈折率主値n
xを持ち、その方向をx軸とする。リタデーションRe
をRe=(nx−ny)・dで、Nz値をNz=(nx
−nz)/(nx−ny)で定義する。二軸位相差板の
向きは、位相差板のx軸が液晶層のX軸となす角度で指
定する。
【0045】偏光板についてはその向きを、吸収軸の方
向と液晶層のX軸とがなす角度で指定する。
【0046】また、比較例および各実施例において、2
つのドメインへの分割は次の方法で行なった。
【0047】まず、透明(ITO)電極つき透明(ガラ
ス)基板の電極側に、紫外線の照射角度、偏光方向およ
び露光量によりプレチルト角を制御できる光配向膜を、
スピンコート法で厚さ約70nmで塗布し、乾燥させ
た。
【0048】次に、基板の光配向膜側の表面に線幅10
0μm、間隔100μmのストライプ状のマスクを設置
し、照射角度10°、200mJ/cm2の露光量でp
偏光紫外光を照射した。この照射条件で、プレチルト角
1°の配向状態が実現できる。
【0049】さらに、マスクをストライプに直交する方
向に100μmずらし、照射角度−10°、150mJ
/cm2の露光量でp偏光紫外光を照射した。
【0050】上記の作業を上下基板に対して行い、光配
向膜が内側に来るように対向させ、適当な大きさのスペ
ーサビーズを混入した熱硬化性接着剤により所定のギャ
ップを開けて張り合わせ、室温でネマチック液晶材料を
毛細管現象により注入した。
【0051】その際、上下基板で液晶分子のチルト方向
が揃うように(上下基板でチルト角の符号が同一になる
ように)張り合わせることで、図2に示すような液晶層
が電圧無印加時には略平行であり、電圧印加時には液晶
分子の起き上がり方向が略反対である2つのドメインを
等面積比で形成できた。
【0052】比較例1比較例として、液晶材料の比誘電
率の異方性Δε、広がり変形に対する弾性定数K11〔p
N〕、曲がり変形に対する弾性定数K33〔pN〕に、 K11/Δε=1.80 (K11/K33)√Δε=1.18 なる関係を有する液晶材料(液晶材料LC4と呼ぶ)を
使用し、まずテスト用の液晶表示素子を作成した。
【0053】ギャップ(液晶層の厚さ)dは、波長λが
550nmのとき透過率が最大になるように設計した。
また、作成時にマスクを使用せずに光配向膜を露光し、
配向分割を行なわないモノドメインとして作成した。偏
光板、位相差板は貼付していない。
【0054】このテスト用液晶表示素子について、リタ
デーション、プレチルト角を中央精機製OMSで測定し
た。リタデーションRbは379nm(at 550n
m)、プレチルト角は1°であった。さらに、波長55
0nmでのリタデーションの印加電圧依存性を測定し
た。結果を図18に示す。約4Vで半波長に相当する2
75nmのリタデーション変化が得られている。
【0055】そこで、白電圧を4Vとし、配向分割をお
こなって2つのドメインを有する液晶表示素子を作成し
た。作成した液晶表示素子のリタデーションRbは37
9nm、プレチルト角は1°および−1°、白電圧は4
Vである。
【0056】位相差板および偏光板は、図1に示すとお
りに貼り付けた。各位相差板および偏光板の詳細は次に
示すとおりである。 偏光板1:向き−45° 二軸位相差板2:リタデーションRe=300nm、N
z=0.83、向き−45° 垂直位相差板3:リタデーションRe=224nm 一軸位相差板4:リタデーションRe=180nm、向
き0° 一軸位相差板8:リタデーションRe=180nm、向
き0° 垂直位相差板9:リタデーションRe=224nm 二軸位相差板10:リタデーションRe=300nm、
Nz=0.83、向き45° 偏光板11:向き45°
【0057】作成した液晶表示素子について、図19に
等コントラスト図(等CR図、白表示時の透過率と黒表
示時の透過率の比)、図20に左右方向での透過率−観
測極角曲線の印加電圧依存性を示す。
【0058】図19から、特に左右方向からこの液晶表
示素子を見た場合、白表示時の透過率が低くコントラス
トが低下し、メリハリのある表示が得られないことがわ
かる。また、図20からも、白表示時、高角側での透過
率が低く、50°程度の比較的小さな極角で階調反転が
生じていることがわかる。
【0059】実施例1 本発明の実施例1として、液晶材料の比誘電率の異方性
Δε、広がり変形に対する弾性定数K11〔pN〕、曲が
り変形に対する弾性定数K33〔pN〕に、 K11/Δε=0.63 (K11/K33)√Δε=3.03 なる関係を有する液晶材料(液晶材料LC1と呼ぶ)を
使用し、まずテスト用の液晶表示素子を作成した。
【0060】ギャップ(液晶層の厚さ)dは、波長λが
550nmのとき透過率が最大になるように設計した。
また、作成時にマスクを使用せずに光配向膜を露光し、
配向分割を行なわないモノドメインとして作成した。偏
光板、位相差板は貼付していない。
【0061】このテスト用液晶表示素子について、リタ
デーション、プレチルト角を中央精機製OMSで測定し
た。リタデーションRbは317nm(at 550n
m)、プレチルト角は1°であった。さらに、波長55
0nmでのリタデーションの印加電圧依存性を測定し
た。結果を図6に示す。約4Vで半波長に相当する27
5nmのリタデーション変化が得られている。
【0062】そこで、白電圧を4Vとし、配向分割をお
こなって2つのドメインを有する液晶表示素子を作成し
た。作成した液晶表示素子のリタデーションRbは31
7nm、プレチルト角は1°および−1°、白電圧は4
Vである。
【0063】位相差板および偏光板は、図1に示すとお
りに貼り付けた。各位相差板および偏光板の詳細は次に
示すとおりである。 偏光板1:向き−45° 二軸位相差板2:リタデーションRe=180nm、N
z=0.83、向き−45° 垂直位相差板3:リタデーションRe=176nm 一軸位相差板4:リタデーションRe=159nm、向
き0° 一軸位相差板8:リタデーションRe=159nm、向
き0° 垂直位相差板9:リタデーションRe=176nm 二軸位相差板10:リタデーションRe=180nm、
Nz=0.83、向き45° 偏光板11:向き45°
【0064】作成した液晶表示素子について、図7に等
CR図、図8に左右方向での透過率−観測極角曲線の印
加電圧依存性を示す。
【0065】比較例1とくらべ、左右方向の広い視野角
で、高コントラストの表示が得られていることがわか
る。また、白表示時の高角側での透過率が改善され、6
0°程度の極角まで階調反転は生じていない。
【0066】実施例2 本発明の実施例2として、液晶材料の比誘電率の異方性
Δε、広がり変形に対する弾性定数K11〔pN〕、曲が
り変形に対する弾性定数K33〔pN〕に、 K11/Δε=0.885 (K11/K33)√Δε=2.57 なる関係を有する液晶材料(液晶材料LC2と呼ぶ)を
使用し、まずテスト用の液晶表示素子を作成した。
【0067】ギャップ(液晶層の厚さ)dは、波長λが
550nmのとき透過率が最大になるように設計した。
また、作成時にマスクを使用せずに光配向膜を露光し、
配向分割を行なわないモノドメインとして作成した。偏
光板、位相差板は貼付していない。
【0068】このテスト用液晶表示素子について、リタ
デーション、プレチルト角を中央精機製OMSで測定し
た。リタデーションRbは328nm(at 550n
m)、プレチルト角は1°であった。さらに、波長55
0nmでのリタデーションの印加電圧依存性を測定し
た。結果を図9に示す。約4Vで半波長に相当する27
5nmのリタデーション変化が得られている。
【0069】そこで、白電圧を4Vとし、配向分割をお
こなって2つのドメインを有する液晶表示素子を作成し
た。作成した液晶表示素子のリタデーションRbは32
8nm、プレチルト角は1°および−1°、白電圧は4
Vである。
【0070】位相差板および偏光板は、図1に示すとお
りに貼り付けた。各位相差板および偏光板の詳細は次に
示すとおりである。 偏光板1:向き−45° 二軸位相差板2:リタデーションRe=168nm、N
z=0.83、向き−45° 垂直位相差板3:リタデーションRe=176nm 一軸位相差板4:リタデーションRe=164nm、向
き0° 一軸位相差板8:リタデーションRe=164nm、向
き0° 垂直位相差板9:リタデーションRe=176nm 二軸位相差板10:リタデーションRe=168nm、
Nz=0.83、向き45° 偏光板11:向き45°
【0071】作成した液晶表示素子について、図10に
等CR図、図11に左右方向での透過率−観測極角曲線
の印加電圧依存性を示す。
【0072】比較例1とくらべ、左右方向の広い視野角
で、高コントラストの表示が得られていることがわか
る。また、白表示時の高角側での透過率は、実施例1よ
りもさらに改善され、60°の極角でも階調反転は生じ
ていない。
【0073】実施例3 実施例2の液晶表示素子について、印加電圧と透過率と
の関係を図12に示す。図12から、白電圧を4Vから
3Vに変更しても透過率の変化は1%程度にすぎないこ
とがわかる。
【0074】そこで本実施例では、実施例2の液晶表示
素子の白電圧を3Vに変更した。
【0075】図9より、白表示でのリタデーションRw
(λ)と黒表示でのリタデーションRb(λ)の差は2
49nm、つまり(Rw(λ)−Rb(λ))/λ=0.
45になる。
【0076】この液晶表示素子について、図13に等C
R図、図14に左右方向での透過率−観測極角曲線の印
加電圧依存性を示す。
【0077】比較例1、実施例1および実施例2とくら
べ、左右方向の広い視野角で、高コントラストの表示が
得られていることがわかる。また、白表示時の高角側で
の透過率もさらに改善され、高角側でも約70°までは
階調反転が生じていないことがわかる。
【0078】実施例4 本発明の実施例4として、液晶材料の比誘電率の異方性
Δε、広がり変形に対する弾性定数K11〔pN〕、曲が
り変形に対する弾性定数K33〔pN〕に、 K11/Δε=1.07 (K11/K33)√Δε=1.60 なる関係を有する液晶材料(液晶材料LC3と呼ぶ)を
使用し、まずテスト用の液晶表示素子を作成した。
【0079】ギャップ(液晶層の厚さ)dは、波長λが
550nmのとき透過率が最大になるように設計した。
また、作成時にマスクを使用せずに光配向膜を露光し、
配向分割を行なわないモノドメインとして作成した。偏
光板、位相差板は貼付していない。
【0080】このテスト用液晶表示素子について、リタ
デーション、プレチルト角を中央精機製OMSで測定し
た。リタデーションRbは349nm(at 550n
m)、プレチルト角は1°であった。さらに、波長55
0nmでのリタデーションの印加電圧依存性を測定し
た。結果を図15に示す。約4Vで半波長に相当する2
75nmのリタデーション変化が得られている。
【0081】そこで、白電圧を4Vとし、配向分割をお
こなって2つのドメインを有する液晶表示素子を作成し
た。作成した液晶表示素子のリタデーションRbは34
9nm、プレチルト角は1°および−1°、白電圧は4
Vである。
【0082】位相差板および偏光板は、図1に示すとお
りに貼り付けた。各位相差板および偏光板の詳細は次に
示すとおりである。 偏光板1:向き−45° 二軸位相差板2:リタデーションRe=200nm、N
z=0.83、向き−45° 垂直位相差板3:リタデーションRe=200nm 一軸位相差板4:リタデーションRe=174nm、向
き0° 一軸位相差板8:リタデーションRe=174nm、向
き0° 垂直位相差板9:リタデーションRe=200nm 二軸位相差板10:リタデーションRe=200nm、
Nz=0.83、向き45° 偏光板11:向き45°
【0083】作成した液晶表示素子について、図16に
等CR図、図17に左右方向での透過率−観測極角曲線
の印加電圧依存性を示す。
【0084】比較例1とくらべ、左右方向の広い視野角
で、高コントラストの表示が得られていることがわか
る。また、白表示時の高角側での透過率が改善され、6
0°程度の極角まで階調反転は生じていない。
【0085】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の液晶表示
素子によれば、正面での透過率変化(コントラスト)を
大きくとれ、明るい表示が得られるとともに、液晶配向
方向に直交する方向から見た場合の透過率も大きくと
れ、視角大で生じる階調反転を抑制することができる。
液晶の応答しきい値電圧および透過率が最大となる電圧
を低電圧化できるため、駆動回路の設計の自由度が増
し、また低消費電力化をはかることが可能である。
【0086】また、請求項2記載の液晶表示素子によれ
ば、正面の透過率の減少を最小限に抑えて、液晶配向方
向に直交する方向から見た場合の透過率をさらに大きく
することができ、視角大で生じる階調反転をさらに抑制
することができる。
【0087】また、請求項3記載の液晶表示素子によれ
ば、視野角特性の非対称性を打ち消して高品位な画像を
表示することができる。
【0088】また、請求項4記載の液晶表示素子によれ
ば、視角大の位置から見た黒表示を充分暗くすることが
でき、広い視野角範囲でメリハリのある高品位な画像を
提供することができる。
【0089】また、請求項5記載の液晶表示素子によれ
ば、安価な位相差板を用いて高品位な画像を表示するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NB配向分割水平配向ECB方式の液晶表示
素子の構成を説明する図である。
【図2】 液晶層の配向分割を説明する図である。
【図3】 従来の液晶表示素子では階調反転が著しいこ
とを説明する図である。
【図4】 液晶表示素子の設計における透過率と波長と
の関係を説明する図である。
【図5】 本発明の説明に使用する座標系を表わした図
である。
【図6】 本発明の実施例1について、印加電圧とリタ
デーションの関係を示した図である。
【図7】 本発明の実施例1の液晶表示素子における等
コントラスト図(等CR図)である。
【図8】 本発明の実施例1の液晶表示素子において、
左右方向の視角と透過率との関係を、各印加電圧につい
て示したものである。
【図9】 本発明の実施例2について、印加電圧とリタ
デーションの関係を示した図である。
【図10】 本発明の実施例2の液晶表示素子における
等コントラスト図(等CR図)である。
【図11】 本発明の実施例2の液晶表示素子におい
て、左右方向の視角と透過率との関係を、各印加電圧に
ついて示したものである。
【図12】 本発明の実施例2の液晶表示素子につい
て、印加電圧と透過率との関係を示した図である。
【図13】 本発明の実施例3の液晶表示素子における
等コントラスト図(等CR図)である。
【図14】 本発明の実施例3の液晶表示素子におい
て、左右方向の視角と透過率との関係を、各印加電圧に
ついて示したものである。
【図15】 本発明の実施例4について、印加電圧とリ
タデーションの関係を示した図である。
【図16】 本発明の実施例4の液晶表示素子における
等コントラスト図(等CR図)である。
【図17】 本発明の実施例4の液晶表示素子におい
て、左右方向の視角と透過率との関係を、各印加電圧に
ついて示したものである。
【図18】 比較例1について、印加電圧とリタデーシ
ョンの関係を示した図である。
【図19】 比較例1の液晶表示素子における等コント
ラスト図(等CR図)である。
【図20】 比較例1の液晶表示素子において、左右方
向の視角と透過率との関係を、各印加電圧について示し
たものである。
【符号の説明】
1 直線偏光板、2 二軸位相差板、3 正の垂直位相
差板、4 正の一軸位相差板、5 基板、6 液晶層、
7 基板、8 正の一軸位相差板、9 正の垂直位相差
板、10 二軸位相差板、11 直線偏光板、15 電
極、16 液晶分子、17 電極、26 液晶分子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇田 佳寿子 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 佐竹 徹也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 蔵田 哲之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2H088 EA03 GA02 HA15 JA09 KA07 KA08 KA14 KA26 LA02 MA07 2H090 HC10 HC13 HC15 HC17 HC18 HC20 KA07 LA02 LA06 MA15 MB12 2H091 FA11Y FD10 FD12 GA03 GA16 KA02 KA05 KA10 LA03 LA11 LA19 5C094 AA12 BA03 BA44 CA19 CA25 ED14 FB04 FB16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が可視域で透明な一対の
    基板と、基板間に挟持された正の誘電異方性を持つネマ
    チック液晶材料からなる液晶層と、液晶層に略垂直な電
    界を印加するために基板に設けられた電極と、基板の外
    側に設けられた偏光板と、一枚または複数枚の位相差板
    からなる光学補償板を有し、液晶層が、配向方向が略同
    一でかつ電圧印加時の液晶分子の起き上がり方向が略反
    対な2つのドメインに分割されている液晶表示素子にお
    いて、ネマチック液晶材料の比誘電率の異方性Δε、広
    がり変形に対する弾性定数K11〔pN〕、曲がり変形に
    対する弾性定数K33〔pN〕が、 0.3<K11/Δε<1.6 1.3<(K11/K33)√Δε<4 なる関係を満たすことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 液晶層が与えるリタデーションについ
    て、白表示での透過率−波長曲線において透過率の最大
    値を与える波長λ〔nm〕でのリタデーションR
    w(λ)〔nm〕と、黒表示での該波長でのリタデーシ
    ョンRb(λ)〔nm〕が、 0.3<(Rw(λ)−Rb(λ))/λ<0.5 なる関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の液晶
    表示素子。
  3. 【請求項3】 前記2つのドメインの面積が略等しいこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶層のプレチルト角の絶対値が3
    °以下であることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記位相差板の屈折率主軸が、位相差板
    の法線に略平行または略垂直であることを特徴とする請
    求項1、2、3または4記載の液晶表示素子。
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