(第1の実施形態)
図3は、MVA型液晶表示装置(LCD)の白黒のコントラストの視覚特性を示す。図3の円周上の角度表示は0°が右、90°が上、180°が左、270°が下を示す。横軸及び縦軸は、表示面からの傾き角度を示し、中心が0°である。白黒の視野角は上下左右視角において傾き角80度においてもコントラスト10(CR=10)以上が実現されている。
しかしながら、中間調を表示した時に、正面から見ると正常な表示であるが、下視角から見ると全体が白っ茶けてコントラストが低下する現象が観察される。我々は、この白っ茶ける現象は、MVAあるいは垂直配向型のパネルあるいは配向分割したパネル特有の現象であることを発見した。
図4(A)〜(C)を用いて説明する。図4(A)は、表示面を正面から観察した図である。液晶表示装置400が4つのドメイン401〜404に分割される場合を説明する。電圧が印加されていないあるいは液晶が略垂直に配向していて光漏れのない状態では、黒の光漏れは斜め視角においても非常に小さい。ドメイン401,402,403,404では、それぞれ液晶分子A1,A2,B1,B2が異なる方向に傾く。低電圧領域では液晶分子A1,A2,B1,B2は殆ど垂直であり、複屈折が小さい。
図4(B)は、表示面を手前(下視角)から観察した図である。斜め視角では、液晶分子は実質寝てくる。偏光板との角度が多少あるので、複屈折が発現し、光漏れする。
図4(C)は、横軸が印加電圧を示し、縦軸が透過光量を示す。特性線411は、図4(A)に示すように正面から観察したときの特性を示す。特性線412Aは、図4(B)に示すように手前から観察したときの液晶分子B1,B2の特性を示す。特性線412Bは、図4(B)に示すように手前から観察したときの液晶分子A1,A2の特性を示す。
電圧がしきい値電圧を僅かに超えて暗い階調を表示するような場合には、図4(C)に示すように透過光量が増すが、これは図4(B)に示すように、倒れた液晶分子の軸の投射軸が偏光板の軸の投射軸とずれるためである。これは、画素の上半分に位置する液晶分子においても、画素の下半分に位置する液晶分子においても同様である。ここで、この光漏れを補正するためにある光学物質を挿入する場合を考える。この場合、暗い中間調を補償することが出来るが、翻って、黒表示を行う時に、余分な光学的効果が発現することになってしまう。このため、斜め視角での黒浮きが生じ、コントラストの良好な視角範囲が狭められることになってしまう。
基本的には、上(右上、左上を含む)方向に傾く領域と下(右下、左下を含む)方向に傾く領域との比を崩すことにより、上記の問題点を解決する。
図5(A)は、液晶分子A1,A2と液晶分子B1,B2の領域の比が同じ場合の透過光量−印加電圧(T−V)特性を示す。この場合、特性線の形が崩れて、表示面が白っ茶けてしまう。
図5(B)は、液晶分子A1,A2の領域と液晶分子B1,B2の領域との比を適正値に調整した場合のT−V特性を示す。印加電圧と透過光量がほぼ比例し、適切な表示を行うことができる。
図6(A)、(B)に微細スリットにより配向規制を行った場合における構成を示す。図6(A)では全ての液晶分子が画面下方位に傾くように構成した。1画素領域103は、2つの配向領域101及び102に分割される。ゲートライン114及びデータライン113に対応して、画素領域103が設けられる。画素領域103は、ITO(インジウム酸化第一錫:indium tin oxide)透明電極111で構成される。透明電極111には、薄膜トランジスタ(TFT)のドレインに接続するためのコンタクト領域112が設けられる。配向領域101及び102の比は1:1である。図6(B)では、上方位に傾く領域121と下方位に傾く領域122の比を1:1に設定した。領域121及び122の配向は、透明電極123のスリットの向きにより制御可能である。
図1(A)では、透明電極133の形状を変え、上方位に傾く領域131と下方位に傾く領域132の比を1:3に設定した。このように、液晶分子の傾く方位について、通常は1:1に設定するところを、意図的にバランスを崩し、1:X(X<>1)とした。
このようにバランスを崩した場合には、図4(C)に示すところの上視角、下視角でのT−V特性を重ね合わせる比が変わることになる。この時、図4(C)に示す2本のT−V特性線412A,412Bの比率に応じた和になる。ここで、図4(C)の特性線412Aで示す領域を増やした場合には、黒っぽい映像が全体に白くなるが、黒白のコントラストは取れているので、このコントラストのおかげで良好な表示となる。一方、特性線412Bで示す領域を増やした場合には、黒っぽい映像は全体に黒く潰れ、一部反転する可能性がある。しかしながら、黒っぽい映像は白くはならず黒いままではある。この特性線412Aの効果と特性線412Bの効果とを完全に1:1で混ぜてしまった場合には、双方の良好な特性が互いに打ち消されてしまい、良好な視角特性を実現することは難しかった。しかしながら、比率を調整する、特に、特性線412Aの領域の割合を全体の7±2割とすることで、良好な表示が得られることが分かった。
図6(A)、(B)をより詳細に説明する。図6(A)は全ての配向を下向きにした例を示している。TFT基板に形成されている透明電極をパターニングした。ここで、櫛歯状に透明電極111を設けた。ここで、画素を二つの領域101,102に分割し、上半分においては櫛歯の歯を右下に伸びるように設定した。一方、下半分においては櫛歯の歯を左下に伸びるように設定した。ここで、櫛歯の各電極の幅を3μmに設定し、櫛歯の間隙を3μmに設定した。図6(B)は開口率を最大限に設定し、上下比率を同一にした場合を示す。
図1(A)は開口率を最大限に設定しつつ、上下比率を変えた例を示す。図6(B)と基本的な構成は変えずに上下比率を変えた。このITO電極パターンから櫛歯状のITO電極を上側領域131では右上方位に、下側領域132では左下方位に向けて設定した。ここで、上側の領域131の比率を全体の3割に設定した。
図1(B)は画素の左右中央に一本上下にITO電極のパターンを設け、上下比率を変えた例を示す。画素領域103は、4つの領域141〜144に分割される。このITO電極パターンから櫛歯状のITO電極を上側領域141,142では上方位に、下側領域143,144では下方位に向けて設定した。櫛歯状のITO電極の伸ばし方としては、画素の上側では腕を上に伸ばしたように設定した。一方、画素の下側では両腕を左右に広げつつ下げたように設定した。ここで、上側の領域141,142の比率を全体の3割に設定した。
図8(A)は、液晶表示装置の主要構成を示す。TFT801は、ゲートがゲートライン114に接続され、ソースがデータライン113に接続され、ドレインが透明電極111に接続される。液晶層802は、一端がTFT基板上の透明電極111に接続され、他端が対向基板の共通電極(グランド電極)に接続される。補助容量803は、一端がコンタクト領域701を介して透明電極111に接続され、他端がグランド電位に接続される。
図8(B)は、補助容量803及びその周辺の断面図である。補助容量803は、金属層811及び812の間に絶縁層を設けることにより形成される。金属層811は、TFT801(図8(A))のソース電極とは接続されていないがそれと同じ層に形成される。金属層812は、以下、補助容量(Cs)レイヤともいう。Csレイヤ812は、グランド電位に接続される。金属層811は、コンタクトホール813を介してコンタクト領域701に接続される。
図7、図9を参照して、すのこ状の電極のより正確なレイアウトを説明する。図7は図6(A)に対応し、図9は図1(B)に対応する。
図7においては、画素の中央部には左右に補助容量(Cs)形成用の電極812(図8(B))が形成されており、ITO電極111と金属層811(図8(B))との接触を行うためのコンタクト領域701が形成されている。図7の下部に示す拡大図のように、すのこ状の電極702の端を、コンタクト領域701から離す構成とした。
図10は、TFTの断面図である。ゲート電極1001の上には、絶縁膜1011を介して、ソース電極1002及びドレイン電極1003が形成される。さらに、その上には、絶縁膜1012を介してITO電極1005が形成される。ITO電極1005及びドレイン電極1003は、コンタクトホール1004を介して接続される。
図9の下部は、TFTのドレイン電極とITO電極のコンタクト領域901の拡大図を示している。すのこ状の電極903の端は開いていることが重要であり、極力ドレイン電極との間にスリット状の部位を形成するように設計した。すのこ状の電極902は、コンタクト領域901に接続される。
図11は、通常の液晶表示装置の断面図である。対向基板1101及びTFT基板1103の間には、液晶層1102が設けられる。対向基板1101は、ガラス基板1111、カラーフィルタ1112、及びITO電極1113が順に積層される。TFT基板1103は、ガラス基板1124、絶縁層1123、絶縁層1122、及びITO電極1121が順に積層される。ゲート電極1131の上には、絶縁層1123を介して、ソース電極1133及びドレイン電極1132が形成される。ITO電極1121は、ドレイン電極1132に接続される。
図12(A)、(B)は、カラーフィルタ1223をTFT基板1203に設けた液晶表示装置を示す。図12(A)は、液晶表示装置の平面図である。図12(B)は、図12(A)のII−II線断面図である。対向基板1201及びTFT基板1203の間には、液晶層1202が設けられる。対向基板1201は、ガラス基板1211及びITO電極1212が積層される。TFT基板1203は、ガラス基板1226、絶縁層1225、絶縁層1224、カラーフィルタ1223、アクリル樹脂層1222、及びITO電極1221が順に積層される。ゲート電極1231の上には、絶縁層1225を介して、ソース電極1233及びドレイン電極1232が形成される。ITO電極1221は、ドレイン電極1232に接続される。
カラーフィルタ1223がTFT基板1203上にあるときには、電極のパターンを自由にレイアウトすることが出来る。図11の構成では、データラインからの横電界の影響によって輝度の低下が生じてしまい、また、所望の角度とは異なる方位に液晶分子が傾くため、視角特性が悪いという問題が生じていた。これに対して、図12(B)に示すように、カラーフィルタ1223がTFT基板1203にある場合には、データラインはカラーフィルタ1223の下部に隠れている。ここで、スリット電極として、隣の画素との間に生じる斜め電界が配向不良の原因となる。そこで、逆に、隣の画素も配向を改善することに用いる構成とした。図13(A)に示すように、隣の画素の電極と、自画素との間の間隙1321を、画素中のスリットの間隙1322と同一とし、且つ、表示動作として、左右隣の画素と駆動の位相を合わせた。具体的には、フレーム反転あるいはライン反転駆動を行った。この時には例えば全面グレーの表示を行う時、自画素内の電界の分布と、画素間の電界の分布とは全く同一である。そして、配向不良は全く生じない。この場合には全面において配向は上下方向に均一な配向となり、良好な視角特性と均一で明るい表示を実現することが出来た。
図13(A)は、6画素の領域に対応するITO電極1311〜1316を示す。各ITO電極1311〜1316の左上には、TFTのドレイン電極に接続するためのコンタクト領域1301が設けられる。間隔1321は、各ITO電極1311〜1316間の間隔である。間隔1322は、各ITO電極1311〜1316内のすのこ状電極間の間隔である。間隔1321及び1322は、同じである。
図13(C)は、TFTとの接続を得るためのコンタクトホール1331として、画素中央のすのこの連結部分に設けて開口率と配向の安定性を図った。
図13(B)は、図13(A)、(C)のI−I線断面図である。TFT基板1342において、各ITO電極1314〜1316の間の下には、データライン1341が設けられる。
本実施形態によれば、図12(B)に示すように、一対の基板1201,1203が設けられる。液晶層1202は、一対の基板1201,1203の間に挟まれ、基板1201,1203間の電圧無印加時に液晶分子が基板1201,1203に対して垂直配向し、基板1201,1203間の電圧の印加によって基板1201,1203に略平行となるように液晶分子が複数の方位に倒れる(図1(A)、(B)参照)。液晶層1203は、図1(A)に示すように、電圧印加時、画面右方位を0度としたときに反時計周りに角度を定義して、0〜180度方位に液晶分子が傾く領域131の割合と、180〜360度方位に液晶分子が傾く領域132の割合とが異なる。
また、液晶層1203は、電圧印加時、画面右方位を0度としたときに反時計周りに角度を定義して、図1(B)に示すように、45度、135度方位に液晶分子が傾く領域141,142の割合と、225度、315度方位に液晶分子が傾く領域143,144の割合とが異なる。液晶層1203は、45度、135度方位に液晶分子が傾く領域141,142の割合が全体の4割以下が好ましい。
図1(B)に示すように、画素電極は、幅が10μm以下、間隙が10μm以下のすのこ状の画素電極であり、TFT基板1203(図12(B))に設けられる。液晶層1202は、画素電極により液晶分子の配向方位が規制されて4方向に液晶分子が傾く。画素電極は、すのこの伸びる方向が45、135、225、315度の形状を有し、液晶層1202は、液晶分子の傾く4方向がそれぞれ45,135,225,315度である。
薄膜トランジスタは、ゲート、ソース、ドレインを含む。図9に示すように、画素電極は、薄膜トランジスタのドレインに接続するためのコンタクト領域901を有し、複数のすのこのうちの少なくとも一部903とコンタクト領域901との間にスリットが設けられる。ゲートラインは、薄膜トランジスタのゲートに接続される。画素電極は、複数のすのこのうちの最もゲートラインに近いすのこ902がコンタクト領域901に接続される。
図13(A)に示すように、画素電極は、自己のすのこ状画素電極の間隙1322と隣接する画素電極との間における間隙1321とが同一である。図12(A)に示すように、薄膜トランジスタは、TFT基板1203において画素電極1221に接続される。カラーフィルタ層1223は、TFT基板1203に形成される。
以上説明したように、本実施形態により視角特性の良好なディスプレイを実現することが出来た。
(第2の実施形態)
図14及び図15を参照して、MVA型液晶表示装置の問題点を説明する。図14はMVA型液晶表示装置を示している。TFT基板側のITO画素電極1404にはスリット1405が設けられており、対向基板のITO電極上にはレジストを用いて土手1401が形成されている。さらに、TFT基板上には、ゲートライン1402、データライン1403及び補助容量形成用電極1406が形成される。画素電極は、4つの領域1411〜1414に分割される。各領域1411〜1414の液晶分子は、それぞれ図4(A)の液晶分子A1、B2、A2、B1の向きに配向される。ここで、TN型ディスプレイの構造と比較すると対向基板のITO電極上にレジストのパターンを形成する必要があり、工程が増え、コストアップとなっていた。
図15は、対向基板のITO電極にスリット1504を設けた場合を示す。TFT基板には、ゲートライン1501、データライン1502、補助容量形成用電極1505、ITO画素電極1503が形成される。黒矢印1521は、スリット電極1504による配向規制の方向を示す。白矢印1522は、ゲートライン1501及びデータライン1502による配向規制の方向を示す。領域1511では、配向を規制する方向が2方向以上あるために応答が遅くなる。
さらに、この場合には、TN型ディスプレイと比較して、対向基板のITO電極にスリット1504を設ける必要性から、工程が増え、コストアップとなる。また、対向基板にカラーフィルタが設けられている場合、スリット1504の部位においてはカラーフィルタ層がむき出しになっており、カラーフィルタ層からの不純物の落出により信頼性が低下する問題が生じる。更に、データライン1502あるいはゲートライン1501による配向規制方位と、スリット電極1504による配向規制方位とが45度異なるため、配向が安定するための時間がかかり、応答が遅いという問題が生じる。
図16は、本発明の実施形態による画素電極のパターンを示す。TFT基板には、ゲートライン1601、データライン1602、微細スリット画素電極1621,1622が形成される。
黒矢印1612は、微細スリット画素電極1621,1622による配向規制の方向を示す。白矢印1611は、ゲートライン1601及びデータライン1602による配向規制の方向を示す。
データライン1602の近傍では横方向(データラインに垂直)に微細スリット画素電極1622を設ける。ゲートライン1601の近傍では縦方向(ゲートラインに垂直)に微細スリット画素電極1621を設ける。そして、これらの電極のつなぎ部分としては画素中央に上下にITO電極1613を伸ばし、データライン1602とゲートライン1601との交差部に向けてITO電極1623を伸ばした。ITO電極1623が互いに交差する角度は45度である。ITO電極1613は、背骨状に形成され、その上の液晶分子はゲートライン1601の近傍の液晶分子の配向の影響で配向方向が決まる。ここで、微細な電極1621,1622の電極幅としては約3μm、電極1621,1622の間のスリットの幅としても約3μmとした。
微細な電極1621,1622にあっては、TFT基板上の電極と対向基板上の電極との間に電圧が印加された時に、液晶分子の倒れる方向は微細な電極の伸びる方向と平行な方向になる。この作用を図17(A)、(B)を用いて説明する。
図17(A)は、画素電極パターンが粗い場合を示す。対向基板1701及びTFT基板1703の間に、液晶層1702が設けられる。対向基板1701上には、全面にITO透明電極が形成される。TFT基板1703上の電極パターン間隔は広い。領域1711では、電極の間隔が広いので、電界の傾きにより、液晶分子は倒れる。逆向きに倒れる領域との距離が離れているため相互干渉はなく、図の左右方向に倒れる。
図17(B)は、TFT基板1703上の電極パターンが微細な場合を示す。領域1721では、電極の間隙が狭いので、電界の傾きにより倒れようとする液晶分子がぶつかって倒れることが出来ない。ストレスから逃れるために電極と平行な方向(図では紙面に垂直な方向)に液晶分子1722が倒れる。
この原理を本実施形態は利用したものであって、図16に示すように、データライン1602に垂直に伸びる微細電極1622が存在する部分においては、微細電極1622およびデータライン1602からの横電界の影響で液晶分子は横方向に倒れる。ここで、微細電極1622の配向規制方向とデータライン1602からの横電界による配向規制方向とが一致するため素直に液晶分子は倒れる。一方、ゲートライン1601と垂直な方向に伸びる微細電極1621が存在する部分においては、微細電極1621およびゲートライン1601からの横電界の影響で液晶分子は縦方向に倒れる。ここで、微細電極1621の配向規制方向とゲートライン1601からの横電界による配向規制方向とが一致するため素直に液晶分子は倒れる。
このように液晶分子にかかる配向規制が素直であるため、対向基板側には土手やスリットなどの特殊な構造を設ける必要はない。
図16をより詳細に説明する。ゲートライン1601とデータライン1602とで囲まれた画素領域にITO透明電極が設けられており、TFTにより表示電圧が印加されている。ITO電極は櫛歯状にパターニングされており、その櫛の方向はデータライン1602近傍ではデータライン1602に垂直に、ゲートライン1601近傍ではゲートライン1601に垂直に設定されている。櫛の歯は画素の中央上下に伸びる電極1613に繋がっており、この背骨の如き電極1613はデータライン1602とゲートライン1601との交差部に向かって伸び、Y字の形を取る。このY字の手を広げている角度としては、30度から120度の間に設定した時に良好な配向を得ることが出来た。ここで、スリット電極のITO電極の幅としては、3μmから5μm、スリットのITO間隙部分の幅としては、2μmから5μmに設定した。
図18にはこの手を広げる角度が約60度の場合を図示した。縦方向(ゲートライン1801に垂直)に伸びる櫛歯状の電極1821の長さが長くなっている。この場合には、ゲートライン1801からの横電界をより有効活用することが可能となっている。
図19(A)〜(C)にITO電極のパターンの拡大図を示す。
図19(A)は最も単純な構成であって、櫛歯状のITO電極の幅は一定である。領域1902では図の左右方向に液晶分子が傾き、領域1903では図の上下方向に液晶分子が傾き、領域1901では図の斜め45度方向に液晶分子が傾く。
図19(B)においては、櫛歯状の電極の方向を角度θ傾かせている。手を広げた背骨から上方向に伸びる櫛歯状電極の伸びる方向を、上方位から腕を広げた腕の方向に傾かせた。すなわち、櫛歯状電極1922は、ゲートライン近傍の電極であり、背骨状電極1921の長手方向に対して角度θ傾いている。また、櫛歯状電極1923は、データライン近傍の電極であり、背骨状電極1921の垂直方向に対して角度θ傾いている。傾ける角度θとしては、1度から45度まで変化させた。
領域1911では図の斜め45度方向に液晶分子が傾く。図19(A)の領域1902及び1903の液晶分子の傾きは90度異なる。図19(B)の領域1912及び1913の液晶分子の傾きの差は90度より小さくなるので、領域1911〜1913の間で液晶分子の傾きがなだらかに変化する。
図19(C)は電極の形状を先細りにした場合の構成を示す。ここで、先細りの電極1931,1932の角度θとしては、1度から20度程度に設定した。電極の形状を先細りする効果を説明する。図20(A)は、微細電極2001及び2002が平行な場合を示す。微細電極2001近傍の液晶分子2003と微細電極2002近傍の液晶分子2004は傾きが180度異なる。図20(B)は、微細電極2011及び2012の形状が先細りする場合を示す。微細電極2011近傍の液晶分子2013と微細電極2012近傍の液晶分子2014は傾きの違いが180度より小さい。液晶分子2013〜2015は傾きがなだらかに変化する。
図21(A)、(B)は補助容量形成用のCsラインを活用する場合の構成を示す。図21(A)は液晶表示装置の平面図である。Csライン2104からはゲートライン2102あるいはデータライン2103と同様に横方向の電界が形成されている。この横電界を積極的に配向に活用するものである。
金属層2105は、図8(B)の金属層811に相当し、ITO画素電極2101に接続される。ここで、図16、図18、図19(A)〜(C)に示した場合と同様に、櫛歯状の電極の櫛の先端を横電界の原因となる電極(図16、図18、図19(A)〜(C)ではデータラインあるいはゲートライン)に向かわせることが重要である。
図21(A)においては、櫛歯状の電極として、画素の上半分2101a、下半分2101bそれぞれに櫛歯状の電極を上下左右に伸ばした。
図21(B)は、図21(A)の線2106の断面図である。対向基板2111には、全面にITO画素電極2121が形成される。TFT基板2112には、Csライン2134の上に絶縁膜2132を介して金属層2133が形成される。金属層2133とITO画素電極2131は接続されている。Csライン2134は図21(A)のCsライン2104に相当し、金属層2133は図21(A)の金属層2105に相当する。上記のように、Csライン2134から生じる斜め電界1341を積極的に配向に活用することができる。
なお、図22に示すように、領域2101a及び2101bにおいてそれぞれITO画素電極2101に背骨領域を設けてもよい。
図23(A)は、画素電極2301を右上、左上、左下、右下に伸ばした例を示す。TFT基板には、画素電極2301の他、ゲートライン2302、データライン2303及びCsライン2304が形成される。画素電極2301は、Csライン2304に平行な電極2305を含む。
図23(B)は、Csライン2304を積極的に活用する構成を示す。画素電極2311において、異なる配向の領域2311a,2311bが、各画素の上半分下半分に十字に形成されている。領域2311a及び2311bは、画素電極2312で接続されている。
図21(A)において、Csライン2104を跨いでTFTからの電圧を伝達するための透明電極が設けられている。ここで、ITO透明電極2101はCsライン2104の上ではCsライン2104上に伸ばして設定した。これにより、補助容量を実現した。
図24は、上記の液晶パネルを一対のλ(波長)/4板で挟む構成を示す。液晶パネル2403をλ/4板2402及び2404で挟み、さらにその両側を偏光板2401及び2405で挟む。偏光板2401の吸収軸2411は、図の水平方向に対して45度ずれている。λ/4板2402の光軸2412は、図の水平方向に対して90度ずれている。λ/4板2404の光軸2414は、図の水平方向と同じ方向である。偏光板2405の吸収軸2415は、図の水平方向に対して135度ずれている。偏光板2401,2405は、それぞれ吸収軸2411,2415の光成分を吸収する。λ/4板2402,2404は、直線偏光と円偏光との間の変換を行って出力する。液晶パネル2403を一対のλ/4板2402,2404で挟むことにより輝度が向上する。
図25(A)は、図23(B)と同じ構成であり、上半分の画素領域2311aの透過光量分布を図25(B)、(C)に示す。図25(B)は、λ/4板がない場合の分布であり、画素に十字の黒い領域が生じてしまう。これは液晶分子が偏光板の光軸に垂直あるいは平行な方向に傾いてしまうためである。図25(C)は、図24に示すように、λ/4板2402,2404を適用した場合の分布であり、黒い領域は画素の中央部のみとなり、明るい表示が実現される。
本実施形態によれば、図16に示すように、画素電極は、櫛歯状あるいはスリット状の画素電極であって、該櫛歯の方向がゲートライン1601近傍では該ゲートラインに向かって伸びており、データライン1602近傍では該データラインに向かって伸びている。
図21(A)に示すように、CSライン(補助容量形成用電極ライン)2104は、画素の中央の左右方向に延びる。画素電極は、補助容量形成用電極ライン2104を境にして上下に分かれて形成され、補助容量形成用電極ライン2104近傍では該補助容量形成用電極ラインに重なるように該補助容量形成用電極ラインと同じ方向に向かって伸びる。
また、図16に示すように、画素電極は、画素の中央に背骨状に上下方向に電極1613が形成されていて、ゲートライン1601に向かう櫛歯状の電極1621とデータライン1602に向かう櫛歯状の電極1622とに繋がる電極部1623が該背骨状の電極1613から四方に伸びてY字の腕状になる。
図21(A)に示すように、画素電極は、櫛歯の方向が補助容量形成用電極ライン2104近傍では該補助容量形成用電極ラインに向かって伸びる。その画素電極は、補助容量形成用電極ライン2104に向かう櫛歯状電極とデータライン2103に向かう櫛歯状電極とを繋げるY字の腕状の電極と、ゲートライン2102に向かう櫛歯状電極とデータライン2103に向かう櫛歯状電極とを繋げるY字の腕状の電極とを有する。
上記のY字の腕状の電極の腕がなす角度は、30度以上150度以下が好ましい。また、図19(B)に示すように、画素電極は、ゲートラインに向かって伸びている櫛歯状の電極1922の伸びる方向として、データライン近傍では該データラインに向かって傾いて伸び、データラインに向かって伸びている櫛歯状の電極1923の伸びる方向として、ゲートライン近傍では該ゲートラインに向かって傾いて伸びている。また、図19(C)に示すように、画素電極は、櫛歯の形状として、歯の先端部分がより狭くあるいは細くなっている。
図21(A)に示すように、画素電極は、補助容量形成用電極ライン2104を跨いで薄膜トランジスタのドレインからの電圧を伝達するために設けられている電極が、補助容量形成用電極ライン2104近傍で該補助容量形成用電極ラインに重なるように同じ方向に伸びている。
また、図24に示すように、一対の直交する1/4波長板2402,2404は、液晶パネル(液晶層を挟んだ一対の基板)2403を挟んでいる。
以上説明したように、本実施形態を用いることにより、明るい表示を実現できるとともに、視野角の広い液晶ディスプレイを実現することが出来た。
(第3の実施形態)
MVA型液晶表示装置の視角特性をより改善するために、図26に示すようなフィルム構成が提案されている。液晶層2605は、一対の面内位相差を有する位相差フィルム2604,2606で挟まれる。さらに、その両側が一対の負の位相差フィルム2603,2607で挟まれる。さらに、その両側が一対の偏光子2602,2608で挟まれる。さらに、その両側が一対の保護層2601,2609で挟まれる。偏光子2602の吸収軸2612と偏光子2608の吸収軸2618は、90度ずれている。位相差フィルム2604の光軸2614と位相差フィルム2606の光軸2616は、90度ずれている。偏光子2602の吸収軸2612と位相差フィルム2604の光軸2614は、90度ずれている。視角特性としては、コントラスト10以上の範囲は傾き角度にして全方位にて±80度以上が実現されている。しかしながら、輝度を向上させることは出来ない。
一方、輝度を向上させるための技術として、図27に示すような円偏光板を用いた技術が提案されている。液晶パネル2706は、2枚の基板の間に液晶層を挟んだものであり、一対のトリアセチルセルロース(TAC)2705,2707で挟まれる。さらに、その両側が一対のλ/4フィルム2704,2708で挟まれる。さらに、その両側が一対のTAC2703,2709で挟まれる。さらに、その両側が一対のポリビニールアルコール(PVA)偏光層2702,2710で挟まれる。さらに、その両側が一対のTAC2701,2711で挟まれる。
偏光層2702の吸収軸2722は、図の水平方向に対して90度ずれている。λ/4フィルム2704の光軸2724は、図の水平方向に対して45度ずれている。λ/4フィルム2708の光軸2728は、図の水平方向に対して135度ずれている。偏光層2710の吸収軸2730は、図の水平方向と同じ方向である。
この構成によれば、輝度は2割から5割向上するものの、図26に示した構成で実現される視角特性を得ることは出来ない。上下左右のコントラスト10以上の範囲は±80度あるものの、斜め45度方位では±50度に留まっている。
本発明の実施形態は図26及び図27の二つの特性を併せ持つ構成を有するものである。
図28(A)は、本実施形態の中の最も単純な原理構成を示すものである。λ(波長)/2板2802は、一対の偏光層2801,2803で挟まれている。偏光層2801の吸収軸2811は、図の水平方向と同じ方向である。λ/2板2802の光軸2812も、図の水平方向と同じ方向である。偏光層2803の吸収軸2813は、図の水平方向に対して90度ずれている。λ/2板2802は、入射した直線偏光を90度回転させた直線偏光の光に変換して出射する。
偏光層2801,2803は、PVA偏光層を指し、一般に偏光板にはPVA偏光層の両側にトリアセチルセルロース(TAC)のフィルムが設けられているが、このTACフィルムのない状態を指している。一対の偏光層2801,2803の間に二分の一波長板2802が設けられており、この二分の一波長板2802のフィルムに対して垂直な方向の位相差((nx+ny)/2−nz)×dはゼロである。ここで、nx、ny、nzは、各方向の屈折率であり、dは厚さである。この二分の一波長位相差板2802の光軸2812は、近接する偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813に平行あるいは垂直である。この場合の漏れ光の様子を図28(B)に示しているが、全方位に渡って漏れ光がほとんどないことが分かる。
液晶パネル全体の構成が実質的にこの構成と同一となるようにした。即ち、この構成に対して光学フィルム、液晶層が積層される訳だが、それらは互いに打ち消されて実質的になにもないのと同じとなり、結果、図28(A)と実質的に同一になるように構成した。
図29(A)は一対の四分の一波長フィルム2901,2902を、その光軸2911,2912が直交するように積層した場合を示す。四分の一波長フィルム2901,2902は、二分の一波長板2802と偏光層2803の間に挿入される。ここで、四分の一波長板2901,2902の光軸2911,2912の方位は偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813と45度の角度をなすように設定した。四分の一波長板2901,2902の負の位相差もゼロに設定した。四分の一波長板2901,2902は、直線偏光と円偏光との間の変換を行う。この場合の漏れ光の様子を図29(B)に示しているが、全方位に渡って漏れ光が非常に小さいことが分かる。
図30(A)には、更に、垂直配向し得る液晶層3001と、フィルム面に垂直な方向にのみ負の位相差
((nx+ny)/2−nz)×d<0
を有するフィルム3002とを積層した。垂直配向した液晶層3001は液晶層3001に垂直な方向にのみ正の位相差液晶の屈折率異方性
Δn×セル厚d>0
を有している。ここで、上記フィルム3002の負の位相差と液晶層3001の正の位相差とを同一に設定して完全に光学的に打ち消しあうようにした。Δnはn//−n⊥であり、n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率である。
液晶層3001及びフィルム3002の積層は、一対のλ/4板2901,2902の間に挿入される。フィルム3002のΔn×dは、液晶層3001のものと同じである。フィルム3002のΔnはnx−nzである。
図28(A)の構成を採用した場合、どの方位からみてもクロスニコルの偏光層2801,2803からの光の漏れは非常に小さいものになっている訳だがその作用について述べる。クロスニコルの偏光層2801,2803を斜めから観察する場合を考える。偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813は正面から見た場合には直交している。斜めから見た場合、図28(A)のa方向からでは、偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813は依然として直交しており光は漏れない。これに対して図28(A)のb方向から見た場合には、偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813は直交していない。これは、例えば2本の鉛筆を直交させておき、これをbのような方向から観察すればよく分かる。このようなb方向にあっても入射した光の偏光状態を変化させて光を漏れないようにするのが図28(A)の二分の一波長板2802の作用である。a方向から観察する場合を考えつつ正面から観察した場合の偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813の角度は、入射側が左上方向、出射側が右上方向、二分の一位相差板2802の光軸2812は右上方向である。ここでb方向で傾き角がついてくると、入射側は左上からより左方向に吸収軸がずれ、出射側の吸収軸は右上からより右方向に吸収軸がずれる。ところが、負の位相差が0の二分の一波長板2802の光軸は左上方位から動かない。このため、入射した光の偏光方向と二分の一位相差板2802とはb方位にてある角度をなす。そして、二分の一の波長の位相差を有するため、入射光の偏光方向は回転されるが、直線偏光となって位相差板2802を出射する。そして、その出射する光の偏光方向は出射側の偏光層の吸収軸方向と一致していて、完全に吸収される。このため、図28(B)に示すようにどの方位から観察しても漏れ光は殆ど無い。
次に、図29(A)で採用した直交するλ/4板2901,2902についてその作用を述べる。先に二分の一波長位相差板2802について説明した時に述べたように、フィルム面に垂直な方向の位相差が0のため、光軸の方向は、観察する傾き角をつけた場合にも不変である。よって、正面において光軸が互いに直交するλ/4板2901,2902の光軸2911,2912は、どの方位、傾き角から観察した場合においても直交する。このため、λ/4板2901,2902としての効果は相殺されて何もないのと同じになる。
次に、図30(A)の液晶層3001と積層された負の位相差を有するフィルム3002の作用について述べる。ここで、垂直配向した液晶層3001の持つ正の位相差とフィルム3002の負の位相差とは同一である。このような関係にある二つの層の光学的な効果は完全に相殺され、ないのと同じになる。このため、液晶ディスプレイとしての黒表示はどこから見ても黒い。図30(A)においては、画素内が大きく4種類に分かれていて電圧の印加とともに右上、左上、左下、右下方位に液晶が傾くような液晶パネルについて示している。図30(B)に示すように、全ての方位において、コントラストは10以上が実現されていることが分かる。
λ/4板2901,2902は光軸2911,2912が互いに直交し、偏光層2801,2803の吸収軸2811,2813とは45度の方向に設定されているが、この構成は所謂円偏光板に相当する。偏光層を通過した直線偏光を円偏光にする働きをする。ここまでの説明では、各フィルム、垂直配向した液晶層は互いに相殺されて光学的な効果はなかったが、電圧が液晶層3001に印加されたときには状況は一変する。すなわち、光学的な効果を液晶層3001がもつことで白表示が実現される。そして4分の一波長の位相差板2901,2902は、正面視角においては、上記の説明にて述べたように、白表示の輝度が向上する。
まず二分の一波長位相差板2802、4分の一波長位相差板2901,2902はポリカーボネイトフィルムあるいはノルボルネン系フィルムを延伸することにより実現した。延伸の仕方としては、面内に伸ばすとともに垂直方向にも応力がかかるように引いた。
ここで、二分の一波長位相差板2802としては、4分の一波長位相差板を二枚重ねることによっても実現した。このようなフィルムとしては、日東電工株式会社からNZフィルムの名称で、住友化学工業株式会社からSZフィルムの名称で市販されている。
負の位相差を有するフィルム3002としては、ポリカーボネートあるいはノルボルネン系フィルムを二方向に延伸するか、あるいは、光学的効果のないフィルム上に樹脂をコートすることにより実現した。このようなフィルムも日東電工株式会社から市販されており、また、住友化学工業株式会社からはVACフィルムの名称で市販されている。
液晶パネル3001としては、富士通株式会社より市販されているMVA型液晶パネルを用いた。その配向方向としては、一つの画素は大きく4種類の領域に分割されていて、それぞれ液晶分子は電圧の印加により右上、左上、左下、右下方位に傾く。
偏光板2801,2803については、通常偏光板の保持材としてトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられているが、偏光層2801,2803と液晶層3001との間にこのTACフィルムが存在するとその光学的な効果が悪影響を及ぼしてしまう。このため、フィルムの積層に際しては、この保持材は片側のみに用い、液晶層側には設定しないこととした。実際このような、TACフィルムを偏光層の片側のみに設けた偏光板は、例えば住友化学工業株式会社からウルトラスィン偏光板(Ultra−Thin−Polarizer)として市販されている。この偏光板に光学フィルムを積層することにより図30(A)に示すフィルム構成を実現した。
以上のフィルム、液晶層を図30(A)に示すように積層した場合の視角特性の計算例が図30(B)である。
図30(A)の構成にあっては、その視角特性は図30(B)のようになるが、コントラストが特に高い方位は図30(B)より明らかなように右上、左上、左下、右下方位となっている。上下左右の視角方位の視角の広いことが特に求められており、これに対応したのが図31(A)の構成である。ここでは、偏光層の吸収軸の方向、フィルムの光軸の方向を図30(A)から45度回転させた。この時の視角特性の計算結果が図31(B)である。コントラストは全方位にて10以上あり、更に、視角特性が上下対称、左右対称で、上下左右の視角範囲が特に広くなっている。これにより、明るく且つ視野角特性としても申し分のない表示を実現することが出来る。
試作した液晶パネルの視角特性の実測値を図32に示す。フィルムの特性が完全ではないため、計算とは異なった特性になってはいるが、広い視野角を得ることが出来た。また、同時に、正面の白の表示輝度は、フィルムを適用しない場合に比べて2割向上させることが出来た。
ここまでの説明では、図28(A)のλ/2板2802を前提に説明したが、一対の特殊なλ/2板を積層したものを用いるとより良好な視角特性が得られる。この配置については東北大学よりSID00にて報告されている。
二分の一波長の位相差を有するフィルムが二枚積層されていて、そのフィルム面に垂直な方位の屈折率をnz、フィルムの光軸に平行な方向の屈折率をnx、フィルムの光軸に垂直なフィルム面内方向の屈折率をnyとして、
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)
が0.25のフィルムと0.75のフィルムとを、光軸を平行にして積層し、近接する偏光層の吸収軸に対してフィルムの遅相軸を平行あるいは垂直に設定する。この配置を図28(A)の代わりに適用し、以下、図29(A)、図30(A)、図31(A)のようにフィルムや液晶層を配置した。
さらには、二枚のフィルムの(nx−nz)/(nx−ny)の値がそれぞれ0.5以下と0.5以上とであり、望ましくは0.25と0.75、あるいは、0.15と0.85の如く和が約1であれば同様の良好な漏れ光特性が得られる。
以上述べてきたフィルムの負の位相差であるが、λ/2板、λ/4板にて負の位相差を完全に0とするのは製造として困難である。この負の位相差の範囲として、各々±20nm以下、望ましくは±10nm以下であれば良好な視野角特性が得られることが分かった。
本実施形態によれば、図31(A)に示すように、1/2波長板2802は、1/2波長の位相差を有するフィルムが積層されていてそのフィルム面に垂直な方向の位相差((nx+ny)/2−nz)×d(フィルム面に垂直な方位の屈折率をnz、フィルムの光軸に平行な方向の屈折率をnx、フィルムの光軸に垂直なフィルム面内方向の屈折率をny、フィルムの膜厚をdとする)が0あるいは±20nm以下であり、フィルムの光軸は近接する偏光層2801の吸収軸に平行あるいは垂直である。
また、1/2波長板2802は、1/2波長の位相差を有するフィルムが二枚積層されていて、そのフィルム面に垂直な方位の屈折率をnz、フィルムの光軸に平行な方向の屈折率をnx、フィルムの光軸に垂直なフィルム面内方向の屈折率をnyとして、二枚のフィルムの(nx−nz)/(nx−ny)の値がそれぞれ0.5以下と0.5以上とであり、二枚のフィルムの光軸は平行であり、近接する偏光層2801の吸収軸に平行あるいは垂直であってもよい。
フィルム3002は、液晶層3001のΔn×d(Δnはn//−n⊥であり、n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率であり、dは厚さである)と同一の大きさの負の位相差を有し、液晶層3001に近接して設けられている。
一対の1/4波長板2901,2902は、負の位相差が0あるいは±10nm以下であり、液晶層3001とフィルム3002とを挟むように設けられる。一対の1/4波長板2901,2902の光軸は互いに直交しており、且つ、一対の偏光層2801,2803の吸収軸と45度の角度をなす。光入射側の偏光層の吸収軸の方位が、画面右側を0度として、0度、45度、90度、135度のいずれかに設定されている。
図31(A)に示すように、図30(A)の光入射側の偏光層、光出射側の偏光層、1/4波長板、1/2波長板の光軸の関係を保ちつつ、コントラストが最大となる方位が上下左右方位となるように、偏光層の吸収軸の方位を調整する。
液晶層3001は、電圧無印加状態で液晶分子が垂直配向し、電圧印加状態にて液晶分子が画素の中で大きく2種類以上の方向に傾く配向をなす。好ましくは、液晶層3001は、電圧印加状態にて液晶分子が画素の中で大きく4種類、右上、左上、左下、右下方位に傾き、電極に設けたスリット及び/又は電極上に設けた突起物(土手)を用いて液晶の配向を制御する。
以上説明したように、本実施形態を用いることにより、明るく且つ視野角の広い液晶ディスプレイを実現することが出来た。
(第4の実施形態)
MVA型液晶表示装置の視角特性をより改善するために、図33に示すようなフィルム構成が提案されている。液晶層3304は、一対の面内位相差を有する位相差フィルム3303,3305で挟まれる。さらに、その両側が一対の負の位相差フィルム3302,3306で挟まれる。さらに、その両側が一対の偏光板3301,3307で挟まれる。偏光板3301の吸収軸3311と偏光板3307の吸収軸3317は、90度ずれている。位相差フィルム3303の光軸3313と位相差フィルム3305の光軸3315は、90度ずれている。偏光板3301の吸収軸3311と位相差フィルム3303の光軸3313は、90度ずれている。
視角特性としては、コントラスト10以上の範囲は傾き角度にして全方位にて±80度以上が実現されている。しかしながら、フィルムが二枚使用されており、また、フィルムの屈折率として
nx>ny>nz
の関係にある特殊なフィルムが使われることがあった。
図34に示すように、本発明の実施形態は、このような特殊なフィルムを用いることなく良好な視野角特性を有するディスプレイを実現するものである。本実施形態では、偏光板3401,3404に追加するフィルムとして、一枚のみのフィルム3402とし、フィルム3402の屈折率も
nx>nz>=ny
の関係にあるフィルムを用いる。
偏光板3401,3404としては、偏光板全体の厚みを100ミクロン以上とした。一方、フィルムの面内位相差(nx−ny)×dは40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)に設定した。
液晶層3403が垂直配向した時の位相差を
RLC=(n//−n⊥)×d
とする。
偏光板3401,3404の保護フィルムの層の負の位相差、面内位相差を有するフィルム3402の負の位相差、その他負の位相差を有する層の負の位相差の和を
Rnegatotal
とする時、
20nm < RLC−Rnegatotal < 150nm
に設定した。これにより、全視角方位にて、コントラスト10以上を確保できる傾き角として±70度以上を実現することが出来た。
面内位相差を有するフィルム3402の面内位相差は、偏光の偏光方向を回転させる働きを行う。層に垂直な方向に負の位相差を有するフィルムは液晶層3403の正の位相差を打ち消す働きをする。そして、完全に打ち消したわけではない差としての正の位相差
RLC−Rnegatotal
は、偏光を直線偏光から楕円偏光とし、その楕円率を調整する働きを有する。また、楕円偏光の偏光の回転方向を変化させる作用を行う。
フィルム3402の屈折率として
nx>nz>=ny
の関係にあるフィルムとしては、ノルボルネン系の樹脂フィルムを一方向に延伸して実現した。
偏光板3401,3404の厚みの厚い偏光板は従来より用いられており、トリアセチルセルロース製の保護フィルムを有し、その厚さが100μm以上のものを用いた。
位相差フィルム3402及び液晶層3404は一対の偏光板3401,3404で挟まれる。偏光板3401の吸収軸3411と近接する位相差フィルム3402の光軸3412とを直交させた。偏光板3401の吸収軸3411と偏光板3404の吸収軸3414は直交している。
図35では、面内位相差が40から130nm(望ましくは60から110nm)のフィルム3503を偏光板3510の保護フィルムとして用いる構成をとった。偏光板3510は、保護フィルム3501、偏光層3502、位相差フィルム兼保護フィルム3503の積層により構成される。液晶層3504は、偏光板3510及び3505で挟まれる。偏光層3502、位相差フィルム兼保護フィルム3503、液晶層3504、偏光板3505は、それぞれ図34の偏光板3401、位相差フィルム3402、液晶層3403、偏光板3404に相当する。
位相差フィルム3503が偏光板3510の保護フィルムを兼ねるため、全体の使用されるフィルムの数が少なくなり、コストを下げることが出来る。このフィルムの負の位相差も上記に記した位相差の関係を満たすように調整した。
負の位相差を有するフィルムとしては、例えばノルボルネン系の樹脂を二方向以上に延伸して実現した。
図36は一般化した構成であり、図35の下側の偏光板3505を変えた。偏光板3505の代わりに偏光板3610を用いる。偏光板3610は、フィルム3601、偏光層3602、保護フィルム3603を積層することにより構成される。偏光層3602の吸収軸3612は、図35の偏光板3505の吸収軸3515と同じ向きである。
フィルム3601については、面内位相差を有することも可能である。その場合、光軸は近接する偏光層3602の吸収軸3612に垂直に設定した。また、フィルム3601の面内位相差をほぼゼロにすることも可能である。また、面内位相差がなく負の位相差のみを有するフィルムを使用することも可能である。
本実施形態によれば、図34において、液晶層3403は、液晶分子が垂直配向しうる。位相差フィルム3402は、面内に位相差のある位相差フィルムであって、近接する偏光層3411の吸収軸にその光軸が垂直になるように設けられ、その屈折率はnx>nz>=ny(nxは光軸方向の屈折率、nyはnxに垂直な面内方向の屈折率、nzは面に鉛直な方向の屈折率)の関係にある。第1の偏光板3401は、厚みが100ミクロン以上の保護フィルムを設けている。位相差フィルム3402は、面内位相差(nx−ny)×d(dは厚さ)が40nm以上140nm以下であり、好ましくは40nm以上130nm以下である。
液晶層3403は、液晶分子が垂直配向した時の位相差RLC=(n//−n⊥)×d(n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率であり、dは厚さである)を有し、偏光板3401の保護フィルムの負の位相差、位相差フィルム3402の負の位相差、及びその他負の位相差を有する層を付与した場合にはその負の位相差の和をRnegatotalとする時、20nm < RLC−Rnegatotal < 150nmの関係を有する。偏光板3411は、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系樹脂、又はポリカーボネートの保護フィルムを含む。
図35において、偏光板3510は、面内位相差を有する保護フィルム3503を含む。保護フィルム3503の光軸が偏光層3502の吸収軸に対して垂直になるように設けられる。保護フィルム3503の面内位相差(nx−ny)×d(nxは光軸方向の屈折率、nyはnxに垂直な面内方向の屈折率、dは厚さ)が40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)、保護フィルムが2枚のときは2枚の面内位相差の和が40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)に設定してなる。
液晶層3504は、液晶分子が垂直配向した時の位相差RLC=(n//−n⊥)×dを有し、保護フィルム3503の負の位相差及びその他負の位相差を有する層を付与した場合にはその負の位相差の和をRnegatotalとする時、20nm < RLC−Rnegatotal < 150nmの関係を有する。
以上説明したように、本実施形態を用いることにより、明るく且つ視野角の広い液晶ディスプレイを実現することが出来た。
(第5の実施形態)
広視野角を実現するため、MVA型液晶表示装置は、電圧が印加されていない時には垂直に配向しており、電圧が印加されると、4つの領域に分かれて、それぞれ4方向に傾く。各領域の視角特性が混ざる結果、広い視野角が得られる。このような場合、配向領域の境が黒くなるため、白の表示輝度が高くないという問題が生じていた。そこで、二分割に限定して、明るい表示を実現する手法が検討されている。
図37に、2分割の液晶表示装置の配向の仕方の例を示す。TFT基板には、ゲートライン3701、データライン3702、Csライン3703及びITO画素電極3704が形成される。太い矢印3711及び3712で示すように、画素中央を走るCs用のライン3703と、ゲートライン3701とで配向を分割する形になっている。配向の境界は、ゲートライン3701及びCsライン3703により隠れる。このような2分割ディスプレイでは、4分割型に比べて視野角が狭いという問題がある。特に、斜め視角での色付きが問題となる。
図38(A)に、その方位などを示す。矢印3711及び3712に示すように、液晶分子が図の上下方向に倒れるように分割して配向させた場合を例にとる。アナライザ(偏光板)の吸収軸3811及びポラライザ(偏光板)の吸収軸3812は直交して、図38(A)の向きに設けられる。このディスプレイにおいて、電圧無印加では液晶分子は垂直配向しており、表示は黒表示となっている。一方、電圧が印加されると、液晶分子は図の上下方向に傾き、液晶の複屈折により光が透過してきて白表示となる。
ここで、観察者3801がこのディスプレイを上下方向から観察した場合を説明する。図38(B)は、図38(A)を左右方向から見た断面図である。液晶分子3821の長さ3822は、観察者3801から見ると短く見える。このため、液晶の実質的な複屈折が小さくなり、白表示は多少暗くなるか、あるいは青味がかる程度である。
一方、図38(A)において、観察者3802がこのディスプレイを左右方向から観察した場合を説明する。図38(C)は、図38(A)を上下方向から見た断面図である。観察者3802が見る液晶層の光路3822は、液晶層を正面から観察したときの光路3833よりも長くなる。この場合、液晶自体の複屈折は変わらないが、光路が長くなるため液晶層としての複屈折が大きくなる。このため、表示は白から黄色味がかるものになってしまうという問題が生じていた。
本発明の実施形態は、これらの青味がかる、あるいは、黄色味がかる現象を軽減することを目的とするものである。バックライトの輝度を上げるために「コレステリック層およびλ/4層を組み合わせて用いる技術」が提案されているが、その斜め視角での色付きを活用して、液晶ディスプレイとしての斜め視角での色付きの軽減を図るのが本実施形態の骨子である。
図39に示すように、液晶配向方向3711及び3712は互いに逆向きである。コレステリック型反射層を積層した偏光板の吸収軸3901とアナライザの吸収軸3902は直交している。λ/4位相差層の光軸3903は、上記の吸収軸3901及び3902に対して45度傾いている。コレステリック層に近接するλ/4層の光軸3903は、液晶分子の配向方向3711,3712に垂直となるように設置した。
図41(A)に示すように、液晶表示装置は、バックライト4101、コレステリック層4102、λ/4板4103、液晶層(偏光板を含む)4104が順に積層される。コレステリック層4102とそれに近接するλ/4板4103について述べる。コレステリック層4102はバックライト4101から入射した光の内、左回り円偏光4122を左回り円偏光4123として反射し、右回り円偏光4121を右回り円偏光4131のまま通過させる。そして、コレステリック層4102で反射した左回り円偏光4123はバックライト4101の反射板により右回り円偏光4124として反射し、再度コレステリック層4102に入射して通過する。即ち、コレステリック層4102はバックライト4101と協力して、入射した自然光を右回り円偏光の光4131に変換する。λ/4板4103は入射した円偏光を直線偏光に変換する働きを有している。λ/4板について、図40(A)、(B)を参照しながら説明する。
図40(A)は、λ/4板4001の光軸4002が図の奥行き方向に向いている場合を示す。λ/4板4001は、円偏光の光4012,4022を入射してそれぞれ直線偏光の光4013,4023を出射する。正面からの観察者4011は光4013を受け、斜めからの観察者4021は光4023を受ける。
λ/4板4001が一軸の光学フィルムである場合、このλ/4板4001の光軸4002に垂直な方位の斜めの観察者4021に出射する光4023は一般的に黄色味がかる。この方位においては、垂直に入射する円偏光の光4012の光路長(図中A−B)に対して、斜めに入射する円偏光の光4022の光路長(図中C−D)が長くなり、複屈折が大きくなる。このため、正面で色付きのない白となるように調整されている系においては、斜め視角にて複屈折が過剰となり黄色く色付くことになる。この現象は、図38(B)の現象に対応する。
図40(B)は、λ/4板4031の光軸4032が図の水平方向に向いている場合を示す。λ/4板4031は、円偏光の光4042,4052を入射してそれぞれ直線偏光の光4043,4053を出射する。正面からの観察者4041は光4043を受け、斜めからの観察者4051は光4053を受ける。
λ/4板4031の光軸4032に平行な方位の斜めに出射する光4053は一般的に青味がかる。この方位においては、斜め視角での屈折率の異方性自体が小さくなり、光路長は長くなるものの、複屈折の効果は小さくなる。このため、斜め視角での複屈折が足りなくなり、青く色付くことになる。この現象は、図38(C)の現象に対応する。
図41(A)の液晶層4104について考えると、以上のλ/4板の光軸の方向を液晶分子の配向している方向として読み替え、位相差としてλ/2を有すると読み替え、入射する光をポラライザを通過した直線偏光と読み替えると、色付きについて全く同様のことが言える。すなわち、図38(B)、(C)の現象が生じる。
図41(A)、(B)は、液晶層(偏光板を含む)4104、λ/4板4103、コレステリック層4102、バックライト4101の全体構成を示し、それぞれλ/4板4103の光軸4111,4151と液晶層の液晶分子の光軸4112,4152を互いに垂直に設定した。図41(A)は図39の上方位あるいは下方位から観察した場合を、図41(B)は、右方位あるいは左方位から観察した場合を示している。
図41(A)についてまず解説する。正面観察者4133は、光4131がλ/4板4103及び液晶層4104を介して出射した光4132を受ける。斜め観察者4143は、光4141がλ/4板4103及び液晶層4104を介して出射した光4142を受ける。コレステリック層4102に近接するλ/4板4103を通過する光4142は光路長が長くなる効果により黄色味がかる。この現象は、図40(A)の現象に相当する。次に、この光4142は液晶層4104を通過するが、液晶の実質的な複屈折が小さくなるため、青味がかる。この現象は、図38(B)の現象に相当する。以上により、λ/4板4103の影響(黄色味がかり)と液晶層4104の影響(青味がかり)とが相殺されて色付きの殆ど無い表示が実現される。
図41(B)は、図41(A)と90度異なる方位から観察した場合を示している。正面観察者4163は、光4161がλ/4板4103及び液晶層4104を介して出射した光4162を受ける。斜め観察者4173は、光4171がλ/4板4103及び液晶層4104を介して出射した光4172を受ける。コレステリック層4102に近接するλ/4板4103を通過する光4172はλ/4板4103の実質的な複屈折が小さくなるため青味がかる。この現象は、図40(B)の現象に相当する。次に、この光4172は液晶層4104を通過するが、光路長が長くなる効果により黄色味がかる。この現象は、図38(B)の現象に相当する。以上により、λ/4板4103の影響(黄色味がかり)と液晶層4104の影響(青味がかり)とが相殺されて色付きの殆ど無い表示が実現される。
このように、液晶層4104の色付きとλ/4板4103の色付きが相殺されることにより良好な表示が実現されるものである。
図37が典型的な2分割配向を行う時の配向状態である。ゲートライン3701、データライン3702で囲まれる画素エリアを設定した。各画素にはTFTが設けられている。液晶分子は電圧無印加状態にあっては垂直配向している。電圧印加に伴う液晶分子の倒れる方位としては、紫外線の配向膜表面への照射あるいは配向膜表面のラビングによるプレチルトで制御した。液晶分子の倒れる方位としては、ゲートライン3701に垂直な方向とし、ゲートライン3701から見て、腕を広げるように液晶分子が倒れるように設定した。
図39に、このTFT−LCDに対する配向方向3711,3712、偏光板の吸収軸3901,3902、λ/4位相差板の光軸3903の向きを示す。図41(A)、(B)において、λ/4位相差板4103としてはポリカーボネートを延伸したフィルムを用いた。550nmにおいての複屈折の値としては、137.5nm±10nmの範囲に設定した。コレステリック液晶層4102としては、基板フィルムとしてTACフィルムを用いた。コレステリック液晶のピッチとして、可視光を反射する範囲を包含し、更に、赤外域をも包含するように設定した。これにより、コレステリック液晶層4102からの反射波長は斜め傾き角においても大きな変化の無い特性を実現することが出来た。このコレステリック層4102のねじれ方向としては、右ねじれのものを用いた。このコレステリック液晶層4102の形成の仕方としては、数回に渡って塗布し、個々の層について室温にて乾燥させ、硬化させた。
図39は平面図を示しているが、図41(A)、(B)を用いて断面構成を説明する。バックライト4101としてはサイドエッジ型を用いた。このバックライト4101から見て、コレステリック液晶層4102、λ/4板4103、ポラライザ4104、液晶パネル4104、アナライザ4104の順に積層した。液晶層のΔn×dとしては、200nmから400nmの範囲に設定した。
λ/4板4103と液晶基板4104との間に光散乱層を設けることが有効であった。その構成を図42に示す。コレステリック層4201の上に、λ/4板4202及び散乱層4203を積層する。この散乱層4203としては、λ/4板4202と偏光板とを接着する接着剤に散乱物質を混ぜることにより実現した。そしてその散乱性としては、ヘイズ値として40以上のものを適用した。
図43に実際に本実施形態を適用した時の視角特性についての測定結果を示す。正面から傾き角70度において、全方位15度刻みに白表示の色付きを測定した。領域4301は赤色、領域4302は黄色、領域4303は緑色、領域4304は青色を示し、これらの真中の領域が白色を示す。
菱形で示すグラフは、コレステリック層4102及びλ/4板4103を使用していない、上下2分割配向のパネル(図中、ノーマルと表記)の場合であり、黄色く色付く現象が見られる。正方形で示すグラフは、図41(A)、(B)に示す散乱層無しの場合(図中、散乱層無しと表記)である。三角で示すグラフは、図42に示す散乱層を付与した構成(図中散乱層付きと表記)を適用した液晶パネルであり、どの視角方位にあっても色付きを軽減することが出来た。
以上は電圧無印加にて垂直配向の場合について示したが、ここで、水平配向のディスプレイに適用する実施形態を説明する。図44(A)、(B)にIPS(インプレインスイッチングモード)型液晶ディスプレイに適用した場合の例を示す。
図44(A)は、IPS型液晶ディスプレイの断面図である。対向基板4401及びTFT基板4403の間に、液晶層4402が設けられる。TFT基板4403に、コモン電極4412とドレイン電極4411とが絶縁膜4413を介して形成されている。対向基板4401には、電極が設けられない。ドレイン電極4411に電圧を印加すると、ドレイン電極4411とコモン電極(グランド電位)の間に電界が生じる。
図44(B)は、図44(A)の液晶ディスプレイのTFT基板4403の平面図である。TFT基板には、ゲートライン4421、データライン4422、ドレイン電極4423、コモン電極4424が形成される。電圧無印加では液晶分子4432はドレイン電極4423の伸びている方向に対して右回りに15度の方位に配向している。この電圧無印加での液晶分子4432の配向方向に対して光入射側の偏光板の吸収軸(ポラライザの吸収軸)4442を垂直に設定した。電圧の印加に伴って液晶分子4431の配向はドレイン電極4423に垂直な方位へと傾く。図44(B)では、白表示時に右回りに60度の方位に配向している。ここで、この白での液晶分子4431の配向方位とほぼ垂直で、且つ、ポラライザの吸収軸4442と45度の角度をなす方位にλ/4板の光軸4443を設定した。アナライザの吸収軸は4441は、ポラライザの吸収軸4442と垂直である。
ここで、IPS型のようなディスプレイにおいては、白表示での液晶分子の配向方向は完全には特定できない。この場合、液晶分子が回転して、配向していると考えられる方位に対してなるべくλ/4板の方位を直交するように、且つ、λ/4とポラライザの吸収軸とが45度の角度をなすように設定した。
本実施形態によれば、図41(A)、(B)において、バックライト4101は光を供給する。コレステリック液晶層4102及び1/4波長板4103は、バックライト4101及び液晶パネル4104の間に挟まれる。液晶パネル4104の液晶分子の配向方向と1/4波長板4103の光軸とが直交している。
図39に示すように、液晶パネルは液晶分子の配向が電圧無印加状態にて垂直配向であり、電圧の印加により互いに180度異なる2方位3711,3712に分かれて傾く。また、電圧の印加により一方位に傾くようにしてもよい。
図42において、1/4波長板4202と液晶パネル4104(図41(A)、(B))との間に散乱層4203が形成される。散乱層4203はヘイズ値が40以上である。
図44(A)、(B)において、液晶パネルは液晶分子4431の配向が電圧の印加状態にて水平配向であり、その配向方位と1/4波長板の光軸4443とが垂直である。なお、液晶パネルは液晶分子の配向が電圧の無印加状態にて水平配向であり、その配向方位と1/4波長板の光軸とが垂直であってもよい。液晶パネルは、表示モードがインプレインスイッチングモードである。
以上説明したように、本実施形態を用いることにより、明るい表示を実現できるとともに、視野角の広い液晶ディスプレイを実現することが出来た。
(第6の実施形態)
図45(A)、(B)はMVA方式の液晶パネルの電極構造例を示す。図45(A)は4ドメイン、図43(B)は2ドメインの場合を示す。MVA方式の液晶パネルは、一対の基板の少なくとも一方の表面に、突起、窪み、または電極4510、4540に設けたスリットのいずれか、またはそれらの組み合わせよりなるドメイン規制手段を備えている。負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用い、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対してほぼ垂直に配向している。電圧印加時には、ドメイン規制手段により、液晶分子が斜めになる方向が各画素内において複数の方向になるように規制される。液晶パネルの両側には、吸収軸4501,4502(吸収軸4531,4532)が互いに直交するように一対の偏光素子が配置される。
ピッチが6μm(ライン/スペース:3μm/3μm)程度の微細なスリット電極4510,4540の場合、電圧印加時に液晶分子がスリットと平行な方向に傾斜する性質がある。
したがって、図45(A)に示されるように、液晶分子4521〜4524が4つの方位に傾斜するようにスリット電極4510を形成した場合には、4ドメイン4511〜4514の配向が実現される。また、図45(B)に示されるように、液晶分子4551,4552が2つの方位に傾斜するようにスリット電極4540を形成した場合には、2ドメイン4541,4542の配向が実現される。
次に、液晶分子の傾斜方位と偏光素子の吸収軸方向との関係について、図46(A)〜(D)により説明する。図46(A)に示すように、電圧がオフのときには、液晶分子4602は基板面に対して垂直に配向している。図46(A)に、このときの液晶分子4602と一対の偏光素子の吸収軸4601,4603との関係を示す。一方の偏光素子を通過した光は、液晶分子4602の複屈折の影響を受けることなく液晶中を通過し、もう一方の偏光素子により遮断され、黒表示が得られる。
図46(B)、(C)に示すように、電圧がオンのときには、負の誘電率異方性を有する液晶分子は基板面に対して傾き、十分大きな電圧を印加したときには液晶分子4612,4622は基板面に対してほぼ平行になる。最適な白表示を実現するためには、液晶分子が傾斜する方位は吸収軸の方向に対して制約を受ける。
図46(B)は、電圧がオンのときに、液晶分子4612が吸収軸4613と平行あるいは直交する方位に傾斜した場合を示す。この場合、電圧がオフのときと同様に、一方の偏光素子を通過した光は、液晶分子4612の複屈折の影響を受けることなく液晶中を通過し、もう一方の偏光素子により遮断される。したがって、白表示を得ることができない。
最適な白表示を得るためには、図46(C)に示されるように、液晶分子4622の傾斜方位が吸収軸4621,4623に対して45度をなすようにしなければならない。この場合、一方の偏光素子を通過した直線偏光の光は、液晶分子4622の複屈折の影響を受け楕円偏光となり、もう一方の偏光素子を通過する光が生じて、白表示が得られる。
したがって、図46(D)に示すように、MVA方式の液晶パネルでは、電圧印加時に液晶分子4641〜4644が傾斜すべき4方位は、吸収軸4631,4632に対して45度をなす方位に限られる。
一画素内で電圧印加時に液晶分子が傾斜する方位が互いに異なる領域を混在させたMVA方式の液晶パネルにおいて、液晶分子の傾斜する方位が図46(D)に示される4方位のみであることが望ましい。しかし、実際には図46(D)に示される4方位以外の方位に傾斜する液晶分子が存在する。
図47に示される4ドメイン4711〜4714の電極4710を有するMVA方式の液晶パネルを例にとり説明する。一対の偏光素子の吸収軸4701,4702に対して45度をなすように形成された微細なスリット電極4710により、液晶分子4721〜4724はそれぞれ異なる4つの方位に傾斜する。しかし、各領域が隣接する境界の領域においては、液晶分子4725〜4728は吸収軸4701,4702に対して平行あるいは直交する方位に傾斜せざるを得ない。
液晶分子4725〜4728が吸収軸4701,4702に対して平行あるいは直交する方位に傾斜した領域においては、光は透過しない。したがって、図47に示される電極構造の場合、白表示において十字状に黒い領域が生じ、透過率を低下させる大きな要因となる。
本発明の実施形態では、MVA方式の液晶パネルにおいて、微細なピッチで周期的に配置されたドメイン規制手段の方向が、偏光素子の吸収軸に対して45度をなす方向とそれ以外の方向とを含むようにする。
これまで説明したように、MVA方式の液晶パネルでは、液晶分子が偏光素子の吸収軸に対して45度以外の方位に傾斜した場合、その領域は光を透過させないため、透過率を低下させる要因となった。この問題点を解決するための手段について、以下に説明する。
第一の手段は、液晶材料中にカイラル剤を添加することである。カイラル剤を添加することにより、電圧印加時に液晶分子は一方の基板から他方の基板へとねじれながら傾斜する。これは、一般にTNモードと呼ばれている水平配向の液晶パネルと同様の原理を利用するものである。したがって、液晶分子のねじれ角は90度近辺であることが望ましい。
すなわち、液晶パネルのセルギャップをd、カイラル剤のヘリカルピッチをpとしたとき、d/p=1/4であることが望ましく、少なくとも1/8≦d/p≦3/8が満たされなければならない。
第二の手段は、図48に示されるように、液晶パネル4803の両側に一対の1/4波長板4802,4804を配置し、さらにその両側に一対の偏光素子4801,4805を配置する。1/4波長板4802,4804の遅相軸4812,4814とそれらに隣接する偏光素子4801,4805の吸収軸4811,4815とがそれぞれ45度をなす。1/4波長板4802,4804の遅相軸4812,4814が互いに直交し、偏光素子4801,4805の吸収軸4811,4815が互いに直交するように配置する。
偏光素子を通過した光は直線偏光となり、さらに1/4波長板を通過することにより円偏光となる。このとき、透過光強度は液晶分子の傾斜方位に依存せず、液晶セルのリタデーションのみにより決まる。
図49(A)〜(C)に、周期的に配置されたドメイン規制手段(ITO画素電極)のパターンの例を示す。図49(A)に示されるように、ドメイン規制手段である画素電極4901をほぼ放射線状に配置することにより、液晶分子の傾斜方位をほぼ0度から360度にわたり連続的に変化させることができる。
同様に、図49(B)に示されるように、液晶分子の傾斜方位が8通りになるような画素電極4902のパターン、図49(C)に示されるように、同心円状の画素電極4903のパターンなど、さまざまなバリエイションが可能である。図49(A)〜(C)の画素電極4901〜4903は、それぞれ連結された1つの画素電極である。
以上説明したように、微細なピッチで周期的に配置されたドメイン規制手段の方向が、偏光素子の吸収軸に対して45度をなす方向とそれ以外の方向とを含むようにし、カイラル剤添加や1/4波長板と組み合わせることにより、広視野角および高輝度を同時に実現することができる。
本実施形態をより具体的に説明する。液晶パネルを構成する一対の基板のうち、一方の基板上には、表示領域全面にベタ電極が形成されている。もう一方の基板上には、画素電極が形成されている。画素電極は、図49(A)に示されるように、放射線状パターンの微細なスリット電極4901からなる。さらに基板上には、カラーフィルタ、ゲートバスライン、データバスライン、TFT素子などが形成されている。
両基板上に垂直配向膜を形成する。両基板をスペーサを介して貼り合わせ、d/p=1/4となるようにカイラル剤を添加した負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を封入して、液晶パネルを作製する。液晶パネルの両側に、吸収軸が互いに直交するように偏光素子を配置する。
他の構成例を説明する。液晶パネルを構成する一対の基板のうち、一方の基板上には、表示領域全面にベタ電極が形成されている。もう一方の基板上には、画素電極が形成されている。画素電極は、図49(A)に示されるように、放射線状パターンの微細なスリット電極4901からなる。さらに基板上には、カラーフィルタ、ゲートバスライン、データバスライン、TFT素子などが形成されている。
両基板上に垂直配向膜を形成する。両基板をスペーサを介して貼り合わせ、負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を封入して、液晶パネルを作製する。
液晶パネルの両側に、吸収軸が互いに直交するように偏光素子を配置する。液晶パネルと両側の偏光素子との間に1/4波長板を一層ずつ配置し、1/4波長板の遅相軸と隣接する偏光素子の吸収軸とが45度をなし、1/4波長板の遅相軸が互いに直交するように配置する。
本実施形態によれば、図48に示すように、液晶パネル4803は一対の基板の間に液晶が封入されている。一対の偏光素子4801,4805は、吸収軸が互いに直交するように液晶パネル4803の両側に配置される。液晶パネル4803を構成する一対の基板の少なくとも一方の表面にはドメイン規制手段が設けられる。ドメイン規制手段は、土手等の突起、窪み、または電極に設けたスリット(図47)のいずれか、またはそれらの組み合わせの周期的パターンを含み、液晶パネル内の液晶分子の配向を規制する。
図47に示すように、ドメイン規制手段による液晶分子4721〜4728の配向方向が、偏光素子の吸収軸4701,4702に対して45度をなす4つの方向とそれ以外の方向とを含む。液晶パネルは、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対してほぼ垂直に配向しており、電圧印加時には、ドメイン規制手段により液晶分子が斜めになる方向が各画素内において複数の方向になるように規制される。
図49(A)〜(C)に示すように、液晶パネルはドメイン規制手段による液晶分子の配向方向が連続的に変化する領域を含み、0度から360度にわたり連続的に変化する領域を含んでもよい。図49(A)では、ドメイン規制手段が放射線状に配置された領域を含み、そのドメイン規制手段の幅が放射線状パターンの中心から外側へゆくにしたがって広くなる。図49(C)では、ドメイン規制手段が同心円状に配置された領域を含む。
液晶パネルは、液晶材料中にカイラル剤が添加されている。液晶パネルのセルギャップをd、カイラル剤のヘリカルピッチをpとしたとき、1/8≦d/p≦3/8が満たされる。
図48に示すように、一対の1/4波長板4802,4804は、一対の偏光素子4801,4805の間において液晶パネル4803を挟むように設けられる。一対の1/4波長板4802,4804の遅相軸とそれらに隣接する一対の偏光素子4801,4805の吸収軸とがそれぞれ45度をなし、一対の1/4波長板4802,4804の遅相軸が互いに直交する。
以上説明したように、本実施形態によれば、広視野角および高輝度の液晶表示装置を実現することが可能となる。
(第7の実施形態)
MVA型の配向制御技術には、以下のものが挙げられる。
(1)土手、或いはスリットによる配向制御
図50(A)及び(B)は土手による配向制御を示す。対向基板5001及びTFT基板5003の間に液晶層5002が設けられる。対向基板5001には、透明電極5012及び土手5011が設けられる。TFT基板5003には、透明電極5016及び土手5015が設けられる。図50(A)に示すように、電圧無印加の場合、土手5011,5015の近傍の液晶分子5013は土手5011,5015の形状に応じて傾く。土手5011,5015から離れた液晶分子5014は垂直配向する。図50(B)に示すように、電圧印加の場合、電界5021は土手5011,5015の形状に応じて形成される。液晶分子5022には電界5021に対して垂直方向に配向させようとする力が作用する。このように、土手5011,5015により液晶分子の配向を制御することができる。
図50(C)及び(D)は電極スリットによる配向制御を示す。対向基板5031及びTFT基板5033の間に液晶層5032が設けられる。対向基板5031には、透明電極5041が設けられる。TFT基板5033には、スリットを有する透明電極5042が設けられる。図50(C)に示すように、電圧無印加の場合、液晶分子5043は基板に対して垂直配向する。図50(D)に示すように、電圧印加の場合、透明電極5042のスリットによる斜め電界5051が生じる。液晶分子5052には電界5051に対して垂直方向に配向させようとする力が作用する。このように、スリット状電極5042により液晶分子の配向を制御することができる。なお、土手及びその近傍の液晶の動作は、図50(B)と同様であるため、図示を省略してある。
(2)補助土手、補助スリットによる配向制御
図51(A)は補助土手による配向制御を示す。画素電極5101はTFT基板に設けられ、土手5102は対向基板に設けられる。さらに、補助土手5103が画素電極5101のエッジ部に対応して対向基板に設けられる。液晶分子5104は、土手5102及び補助土手5103の間においても液晶の配向方向を揃えることができる。補助土手5103がないと、図51(C)に示すように、土手5102により制御された液晶5122の配向と画素電極5101のエッジ部の電界で制御された液晶5121の配向とが競合してしまう。
図51(B)は補助スリットによる配向制御を示す。画素電極5113にはスリット5111が設けられる。さらに、補助スリット5112が画素電極5113のエッジ部の近傍に設けられる。画素電極5113のエッジ部による配向とスリット5111による配向との競合を防止し、液晶分子の配向方向を揃えることができる。
(3)微細パターン(土手、スリット)による配向制御
図52(A)は微細スリットによる配向制御を示す。画素電極5201は微細スリットを持つ。電界5202は、微細スリットの形状に応じて形成される。液晶分子5203は、電界5202に応じて配向する。図52(B)に示すように、画素電極5211及び5213の間にスリット5212を設け、さらに土手5214を設ける。液晶分子5221は、画素電極5213のスリット5212近傍に発生する電界により、電圧印加時の配向方向が制御される。液晶分子5223は土手5214により配向制御される。画素電極5213に図52(A)の微細スリットを形成すれば、液晶分子5221及び5223の間の液晶分子5222をも配向制御することができる。
(4)田の字パターンによる配向制御
図53は田の字パターン(十字パターン)による配向制御を示す。画素電極5303はTFT基板に設けられる。十字パターンの土手5301及び5302は対向基板に設けられる。土手5301及び5302により4つの領域が形成され、各領域の液晶分子5311〜5314を異なる方向に配向させることができる。
上記の(1)〜(4)の配向制御にはそれぞれ特徴が有り、用途により使い分けることが望ましい。しかし、例えば、(1)による制御では、土手及びスリットを多数配置する必要が有り、また、図14では画素電極1404の左上及び左下コーナー部のように画素エッジのすぐ内側にスリットが来るレイアウトとなる場合が有る。画素エッジは、スリットと等価のため左上及び左下コーナーではスリットの制御が隣接して相互に影響することになる。画素コーナーに不安定ドメインが発生し、これにより輝度が低下していた。
(1)〜(4)の内の1種類の制御のみで画素内全域の配向を完壁に制御することは難しい。特にこの問題は、
a)高輝度化(透過率アップ)
b)高精細化
c)高速応答化
を行う場合などには、重大な問題となってくる。
(1)〜(4)の制御手段を夫々単独で使うよりも、画素の要所要所に適した制御手段を複合的に組み合わせた方が効果が大きい。
図54は、第1の構成例を示す。データライン5401及びゲートライン5402に対応して画素電極が設けられる。先ず、第一に画素コーナー部に微細スリット5416をレイアウトし、コーナー部でのレイアウトを容易にしている。図54では画素内に2本の直線の土手5411,5417をレイアウトし、そこから画素コーナーに向かって微細スリット5416を伸ばすだけでよい。レイアウトが簡単なだけでなく、不安定ドメインも形成されず、透過率がアップする。その他、スリット5412、微細スリット5415、補助スリット5414、補助土手5413により、配向制御する。なお、土手及び補助土手は対向基板に設けられ、データライン、ゲートライン、画素電極、電極スリットはTFT基板に設けられる。
この構成によれば、(1)の単独の技術に比べ、透過率は1〜2割改善される。画素内には液晶の配向方位を90度以下の範囲で変化させた方が良い箇所と90〜180度の範囲で変化させた方が良い箇所が存在する。例えば(1)の土手による制御は、180度配向方位を変えるのに適した制御手段であるが、それを90度変形が要求される箇所に適用しても理想的な制御は難しい。
(1)は180度
(2)、(4)は90度
(3)は付ける角度により、どちらにも対応できる。
図54をより詳細に説明する。画素右上右下コーナーに微細スリット5416を延長し、コーナー形状に合わせた。メインスリット5412に直交する向きに(3)微細スリット5415を設け制御性を高めている。また、画素エッジ部の微細スリット5415を部分的に深くして(2)補助微細スリット5414とし、異常ドメインの発生を抑えた。もちろん(1)MVAの基本となる土手5411,5417も設けて有り、適材適所に(1)〜(3)の技術をレイアウトしている。(1)MVAの基本となる土手とスリットのみによる制御に比べ透過率が約1.15倍に改善した。
図55に第2の構成例を示す。TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極5512、補助微細電極スリット5513が設けられる。対向基板には、土手5511が設けられる。第2の構成例では第1の構成例よりも更に積極的に(3)の技術を利用し、微細スリット5513を、画素コーナーと画素中央の配向方位が90°変形する箇所の形状に合わせて設けた。この場合ドメイン数が4つのみとなり配向分割部での透過率ロスも最小限に抑えることができる。透過率は第1の構成例よりも更に1.09倍改善した。
図56に第3の構成例を示す。TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極5612、補助微細電極スリット5613が設けられる。対向基板には、土手5611が設けられる。第3の構成例も第2の構成例と同じくドメイン数が4つの構成である。基本的には第2の構成例と類似しているが、土手5611をT字型((2)と(4)の制御)に配置している点と画素中央にメインスリット5614を斜めに設けた点が異なる。第3の構成例では(1)〜(4)の制御方法全てを含む。透過率は第1の構成例に比べ1.12倍改善した。
図57に第4の構成例を示す。TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極5712、補助微細電極スリット5713が設けられる。対向基板には、土手5711が設けられる。第3の構成例と似ているが土手5711の付き方が異なる。透過率は第1の構成例に比べ約1割の改善であった。
図58〜60に第5の構成例を示す。図58では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極5811、コンタクト領域5812が設けられる。図59では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極5911、コンタクト領域5912が設けられ、対向基板には土手5913が設けられる。図60では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6011、コンタクト領域6012が設けられ、対向基板には土手6013が設けられる。第5の構成例では、微細電極が画素の中央の十字パターンで連結する形で繋がっている。どれも(2)〜(4)の制御を複合的に組み合せたレイアウトとなっている。透過率は第1の構成例に比べ概ね2割改善した。
図61及び図62に第6の構成例を示す。図61では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6111が設けられ、対向基板には土手6112が設けられる。図62では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6211が設けられ、対向基板には土手6212が設けられる。第6の構成例は、第5の構成例と類似しているが微細電極の接続方法が異なり、画素中央の直線パターンで連結する。透過率は第5の構成例と同様で第1の構成例に比べ約2割改善した。第2〜第6の構成例は全てドメイン数が4つの構成で有り、特に高精細に適用した場合により有利になる。
図63〜66に第7の構成例を示す。図63では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6311が設けられ、対向基板には土手6312が設けられる。図64では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6411が設けられ、対向基板には土手6412が設けられる。図65では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6511が設けられる。図66では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6611が設けられ、対向基板には土手6612が設けられる。第7の構成例は、全て分割ドメイン数は6個となる。これらは比較的画素が大きい場合に向いている(第2〜第6の構成例が大きい画素に対応できないという意味では無い)。大きい画素で分割数を少なくすると、1つの分割領域の面積が大きくなり、1つの制御要素でカバーしなければならない領域が広くなるからである。第7の構成例でも透過率は、第1の構成例に比べ概ね1割改善した。
図67及び図68に第8の構成例を示す。図67では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6711、微細スリット6712が設けられ、対向基板には土手6713が設けられる。図68では、TFT基板には、データライン5501、ゲートライン5502、画素電極6811、土手6813が設けられ、対向基板には土手6812が設けられる。第8の構成例は、第1の構成例の改良版である6ドメインの構成である。第1の構成例よりも画素内にある土手面積が少ない分透過率は高くなる。第1の構成例に比べ約0.5割改善した。
第9の構成例は他の構成例とは多少異なる発想を取り入れている。第9の構成例では、図67は1つの画素のみを記した図であるが、この隣の画素はパターンを左右反転させてレイアウトする(必ずしも隣接画素が逆である必要は無く近接した画素で反転していれば良い)。2画素1セットで4方向ドメインが得られる。透過率は第1の構成例に対し1割程度の改善であった。
図69に第10の構成例を示す。土手6901は対向基板(上基板)に設けられ、土手6902はTFT基板(下基板)に設けられる。配向方向が90°変化する領域で土手のパターンを上下基板で入れ替える。こうすることで液晶方位の変化が無理無く行え、安定した配向が得られる。本パターンを第1の構成例の画素中央に適用した結果、透過率が約0.5割改善した。
以上の構成例は、ほんの一例に過ぎず、基本的に(1)〜(4)の制御を適材適所に組合せれば上記のような透過率改善効果が期待できる(もちろん誤った組み合わせを行えば効果が落ちる)。また、当然ではあるが、液晶中に混入したモノマーを重合させてポリマー化させる方法により更に配向を安定化し、応答速度を速めることも可能である。更に、λ/4板と組み合わせて透過率を更に高めることが可能である。
本実施形態によれば、図50(A)に示すように、2枚の基板5001,5003は、基板表面に垂直配向処理が施されており、電圧無印加で液晶層5002が垂直配向する。図50(B)に示すように、液晶層5002は、基板間に挟持され、電圧印加による電界5021に対して液晶分子が垂直方向に向くネガ型液晶層である。ドメイン規制手段は、電圧を印加した時に液晶の配向が斜めになる方向が、各画素内において複数の液晶ドメインの方向になるように規制し、第1及び第2のドメイン規制手段を含む。第1の規制手段は、画素あるいはその周辺領域に部分的に備え、部分的に設けたドメイン規制手段の中心を挟んで液晶の配向方向を90〜180度の範囲で異ならせる。第2のドメイン規制手段は、液晶の配向方向を0〜90度の範囲で異ならせる。第1及び第2のドメイン規制手段は、画素内に形成されるドメイン数が4〜12個となるように液晶ドメインを規制することが好ましい。
第1のドメイン規制手段は、液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに伸びた誘電体突起(土手)5214(図52(B))、液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに伸びた電極スリット5213,5212(図52(B))、液晶ドメインの向きに細長く、液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに周期的に繰り返した電極スリット5201(図52(A))、液晶ドメインの向きに細長く、及び液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに周期的に繰り返した誘電体突起のいずれか又はこれらのうちの複数の組み合わせで構成される。
第2のドメイン規制手段は、液晶ドメインの向きと0〜45度異なる向きに伸びた誘電体突起(土手)5301,5302(図53)、又は液晶ドメインの向きと45度異なる向きに伸びた電極スリットである。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
(付記1)一対の基板と、
前記一対の基板の間に挟まれ、前記基板間の電圧無印加時に液晶分子が前記基板に対して垂直配向し、前記基板間の電圧の印加によって前記基板に略平行となるように液晶分子が複数の方位に倒れる液晶層とを有する液晶表示装置であって、
前記液晶層は、前記電圧印加時、画面右方位を0度としたときに反時計周りに角度を定義して、0〜180度方位に液晶分子が傾く領域の割合と、180〜360度方位に液晶分子が傾く領域の割合とが異なる液晶表示装置。
(付記2)前記液晶層は、前記電圧印加時、画面右方位を0度としたときに反時計周りに角度を定義して、45度、135度方位に液晶分子が傾く領域の割合と、225度、315度方位に液晶分子が傾く領域の割合とが異なる付記1記載の液晶表示装置。
(付記3)前記液晶層は、前記45度、135度方位に液晶分子が傾く領域の割合が全体の4割以下である付記2記載の液晶表示装置。
(付記4)さらに、前記一対の基板のうちの少なくともいずれか一方の基板に設けられ、幅が10μm以下、間隙が10μm以下のすのこ状の画素電極を有し、
前記液晶層は、前記画素電極により液晶分子の配向方位が規制されて4方向に液晶分子が傾く付記2記載の液晶表示装置。
(付記5)さらに、ゲート、ソース、ドレインを含む薄膜トランジスタを有し、
前記画素電極は、前記薄膜トランジスタのドレインに接続するためのコンタクト領域を有し、前記複数のすのこのうちの少なくとも一部と前記コンタクト領域との間にスリットが設けられる付記1記載の液晶表示装置。
(付記6)第1及び第2の基板と、
前記第1の基板に設けられ、幅が10μm以下、間隙が10μm以下のすのこ状の画素電極と、
前記第1及び第2の基板の間に挟まれ、前記画素電極により配向方位が規制され、画面の上下2方向に液晶分子が傾く方向が分割される液晶層とを有する液晶表示装置であって、
前記画素電極は、自己のすのこ状画素電極の間隙と隣接する画素電極との間における間隙とが同一である液晶表示装置。
(付記7)さらに、前記第1の基板において前記画素電極に接続される薄膜トランジスタと、
前記第1の基板に形成されるカラーフィルタ層とを有する付記6記載の液晶表示装置。
(付記8)第1及び第2の基板と、
前記第1及び第2の基板の間に挟まれ、前記第1及び第2の基板間の電圧無印加状態にて液晶分子が前記第1及び第2の基板に対して垂直配向する液晶層と、
前記第1の基板に設けられ、ゲート、ソース及びドレインを含む薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタのゲートに接続されるゲートラインと、
前記薄膜トランジスタのソースに接続されるデータラインと、
前記薄膜トランジスタのドレインに接続され、櫛歯状あるいはスリット状の画素電極であって、該櫛歯の方向が前記ゲートライン近傍では該ゲートラインに向かって伸びており、前記データライン近傍では該データラインに向かって伸びている画素電極とを有する液晶表示装置。
(付記9)さらに、画素の中央の左右方向に延びる補助容量形成用電極ラインを有し、
前記画素電極は、前記補助容量形成用電極ラインを境にして上下に分かれて形成され、前記補助容量形成用電極ライン近傍では該補助容量形成用電極ラインに重なる付記8記載の液晶表示装置。
(付記10)前記画素電極は、画素の中央に背骨状に上下方向に電極が形成されていて、前記ゲートラインに向かう櫛歯状の電極と前記データラインに向かう櫛歯状の電極とに繋がる電極部が該背骨状の電極から四方に伸びてY字の腕状になる付記8記載の液晶表示装置。
(付記11)前記画素電極は、櫛歯の方向が前記補助容量形成用電極ライン近傍では該補助容量形成用電極ラインに向かって伸びる付記9記載の液晶表示装置。
(付記12)前記画素電極は、前記ゲートラインに向かって伸びている櫛歯状の電極の伸びる方向として、前記データライン近傍では該データラインに向かって傾いて伸びている付記8記載の液晶表示装置。
(付記13)前記画素電極は、前記データラインに向かって伸びている櫛歯状の電極の伸びる方向として、前記ゲートライン近傍では該ゲートラインに向かって傾いて伸びている付記8記載の液晶表示装置。
(付記14)前記画素電極は、櫛歯の形状として、歯の先端部分がより狭くあるいは細くなっている付記8記載の液晶表示装置。
(付記15)前記画素電極は、前記補助容量形成用電極ラインを跨いで前記薄膜トランジスタのドレインからの電圧を伝達するために設けられている電極が、前記補助容量形成用電極ライン近傍で該補助容量形成用電極ラインに重なるように同じ方向に伸びている付記8記載の液晶表示装置。
(付記16)さらに、前記液晶層を挟んだ前記第1及び第2の基板を挟む一対の直交する1/4波長板を有する付記8記載の液晶表示装置。
(付記17)互いに吸収軸が直交する一対の偏光層と、
前記一対の偏光層に挟まれる1/2波長の位相差を有する1/2波長板と、
前記一対の偏光層に挟まれ、液晶分子が垂直配向し得る液晶層とを有する液晶表示装置であって、
前記1/2波長板は、
1/2波長の位相差を有するフィルムが積層されていてそのフィルム面に垂直な方向の位相差((nx+ny)/2−nz)×d(フィルム面に垂直な方位の屈折率をnz、フィルムの光軸に平行な方向の屈折率をnx、フィルムの光軸に垂直なフィルム面内方向の屈折率をny、フィルムの膜厚をdとする)が0あるいは±20nm以下であり、フィルムの光軸は近接する前記偏光層の吸収軸に平行あるいは垂直であり、
又は、1/2波長の位相差を有するフィルムが二枚積層されていて、そのフィルム面に垂直な方位の屈折率をnz、フィルムの光軸に平行な方向の屈折率をnx、フィルムの光軸に垂直なフィルム面内方向の屈折率をnyとして、二枚のフィルムの(nx−nz)/(nx−ny)の値がそれぞれ0.5以下と0.5以上とであり、二枚のフィルムの光軸は平行であり、近接する前記偏光層の吸収軸に平行あるいは垂直である液晶表示装置。
(付記18)前記1/2波長板は、位相差((nx+ny)/2−nz)×dが±10nm以下であり、又は前記二枚のフィルムの(nx−nz)/(nx−ny)の値の和が略1である付記17記載の液晶表示装置。
(付記19)さらに、前記垂直配向している液晶層のΔn×d(Δnはn//−n⊥であり、n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率であり、dは厚さである)と同一の大きさの負の位相差を有するフィルムが前記液晶層に近接して設けられている付記17記載の液晶表示装置。
(付記20)さらに、前記液晶層と前記フィルムとを挟むように、負の位相差が0あるいは±10nm以下の一対の1/4波長板を有し、
前記一対の1/4波長板の光軸は互いに直交しており、且つ、前記一対の偏光層の吸収軸と45度の角度をなす付記19記載の液晶表示装置。
(付記21)前記光入射側の偏光層の吸収軸の方位が、画面右側を0度として、0度、45度、90度、135度のいずれかに設定されている付記20記載の液晶表示装置。
(付記22)前記光入射側の偏光層、前記光出射側の偏光層、前記1/4波長板、前記1/2波長板の光軸の関係は前記の関係を保ちつつ、コントラストが最大となる方位が上下左右方位となるように、前記偏光層の吸収軸の方位を調整してなる付記20記載の液晶表示装置。
(付記23)第1及び第2の偏光板と、
前記第1及び第2の偏光板に挟まれ、液晶分子が垂直配向しうる液晶層と、
前記第1及び第2の偏光板に挟まれる面内に位相差のある位相差フィルムであって、近接する偏光板の吸収軸にその光軸が垂直になるように設けられ、その屈折率はnx>nz>=ny(nxは光軸方向の屈折率、nyはnxに垂直な面内方向の屈折率、nzは面に鉛直な方向の屈折率)の関係にある位相差フィルムとを有する液晶表示装置。
(付記24)前記第1の偏光板は、厚みが100ミクロン以上の保護フィルムを表面に設けている付記23記載の液晶表示装置。
(付記25)前記位相差フィルムは、面内位相差(nx−ny)×d(dは厚さ)が40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)である付記23記載の液晶表示装置。
(付記26)前記液晶層は、液晶分子が垂直配向した時の位相差RLC=(n//−n⊥)×d(n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率であり、dは厚さである)を有し、
前記第1の偏光板の保護フィルムの負の位相差、前記位相差フィルムの負の位相差、及びその他負の位相差を有する層を付与した場合にはその負の位相差の和をRnegatotalとする時、
20nm < RLC−Rnegatotal < 150nm
の関係を有する付記23記載の液晶表示装置。
(付記27)第1及び第2の偏光板と、
前記第1及び第2の偏光板に挟まれ、液晶分子が垂直配向しうる液晶層とを有する液晶表示装置であって、
前記第1の偏光板は、面内位相差を有する保護フィルム及び偏光層を含み、前記保護フィルムの光軸が前記偏光層の吸収軸に対して垂直又は平行になるように設けられる液晶表示装置。
(付記28)前記保護フィルムの面内位相差(nx−ny)×d(nxは光軸方向の屈折率、nyはnxに垂直な面内方向の屈折率、dは厚さ)が40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)、前記保護フィルムが2枚のときは2枚の面内位相差の和が40nm以上140nm以下(好ましくは40nm以上130nm以下)に設定してなる付記27記載の液晶表示装置。
(付記29)前記液晶層は、液晶分子が垂直配向した時の位相差RLC=(n//−n⊥)×d(n//は液晶分子の長手方向の屈折率であり、n⊥は液晶分子の長手方向に対して垂直方向の屈折率であり、dは厚さである)を有し、
前記保護フィルムの負の位相差及びその他負の位相差を有する層を付与した場合にはその負の位相差の和をRnegatotalとする時、
20nm < RLC−Rnegatotal < 150nm
の関係を有する付記27記載の液晶表示装置。
(付記30)コレステリック液晶層と、
1/4波長板と、
光を供給するバックライトと、
液晶分子が配向可能な液晶パネルとを有する液晶表示装置であって、
前記コレステリック液晶層及び前記1/4波長板は、前記バックライト及び前記液晶パネルの間に挟まれ、前記液晶パネルの液晶分子の配向方向と前記1/4波長板の光軸とが直交している液晶表示装置。
(付記31)前記液晶パネルは、液晶分子の配向が電圧無印加状態にて垂直配向であり、電圧の印加により一方位に傾く付記30記載の液晶表示装置。
(付記32)前記液晶パネルは、液晶分子の配向が電圧無印加状態にて垂直配向であり、電圧の印加により互いに180度異なる2方位に分かれて傾く付記30記載の液晶表示装置。
(付記33)前記1/4波長板と前記液晶パネルとの間に散乱層が形成されている付記30記載の液晶表示装置。
(付記34)前記液晶パネルは、液晶分子の配向が電圧の無印加状態にて水平配向であり、その配向方位と前記1/4波長板の光軸とが垂直である付記30記載の液晶表示装置。
(付記35)前記液晶パネルは、液晶分子の配向が電圧の印加状態にて水平配向であり、その配向方位と前記1/4波長板の光軸とが垂直である付記30記載の液晶表示装置。
(付記36)一対の基板の間に液晶が封入された液晶パネルと、
吸収軸が互いに直交するように前記液晶パネルの両側に配置された一対の偏光素子と、
前記液晶パネルを構成する一対の基板の少なくとも一方の表面に、突起、窪み、または電極に設けたスリットのいずれか、またはそれらの組み合わせの周期的パターンを含み、前記液晶パネル内の液晶分子の配向を規制するドメイン規制手段とを有する液晶表示装置であって、
前記周期的に配置されたドメイン規制手段による液晶分子の配向方向が、前記偏光素子の吸収軸に対して45度をなす方向とそれ以外の方向とを含み、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対してほぼ垂直に配向しており、電圧印加時には、ドメイン規制手段により液晶分子が斜めになる方向が各画素内において複数の方向になるように規制される液晶表示装置。
(付記37)前記周期的に配置されたドメイン規制手段による液晶分子の配向方向が、前記偏光素子の吸収軸に対して45度をなす4つの方向とそれ以外の方向とを含む付記36記載の液晶表示装置。
(付記38)前記液晶パネルは、前記周期的に配置されたドメイン規制手段による液晶分子の配向方向が連続的に変化する領域を含む付記36記載の液晶表示装置。
(付記39)前記周期的に配置されたドメイン規制手段が、放射線状に配置された領域を含む付記36記載の液晶表示装置。
(付記40)前記周期的に配置されたドメイン規制手段が、同心円状に配置された領域を含む付記36記載の液晶表示装置。
(付記41)前記液晶パネルは、液晶材料中にカイラル剤が添加されている付記36記載の液晶表示装置。
(付記42)さらに、前記一対の偏光素子の間において前記液晶パネルを挟むように設けられる一対の1/4波長板を有する付記36記載の液晶表示装置。
(付記43)基板表面に垂直配向処理を施した2枚の基板と、
前記基板間に挟持されるネガ型液晶と、
各画素内において複数の液晶ドメインの方向になるように規制するドメイン規制手段であって、画素あるいはその周辺領域に部分的に備え、前記部分的に設けたドメイン規制手段の中心を挟んで前記液晶の配向方向を90〜180度の範囲で異ならせる第1のドメイン規制手段と、前記液晶の配向方向を0〜90度の範囲で異ならせる第2のドメイン規制手段とを含むドメイン規制手段とを有する液晶表示装置。
(付記44)前記第1のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きと直交する向きに伸びた誘電体突起である付記43記載の液晶表示装置。
(付記45)前記第1のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きと直交する向きに伸びた電極スリットである付記43記載の液晶表示装置。
(付記46)前記第1のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きに細長く、前記液晶ドメインの向きに直交する向きに周期的に繰り返した誘電体突起である付記43記載の液晶表示装置。
(付記47)前記第1のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きに細長く、前記液晶ドメインの向きに直交する向きに周期的に繰り返した電極スリットである付記43記載の液晶表示装置。
(付記48)前記第1のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに伸びた誘電体突起、前記液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに伸びた電極スリット、前記液晶ドメインの向きに細長く、前記液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに周期的に繰り返した誘電体突起、及び前記液晶ドメインの向きに細長く、前記液晶ドメインの向きと45〜90度異なる向きに周期的に繰り返した電極スリットのうちの複数の組み合わせで構成される付記43記載の液晶表示装置。
(付記49)前記第2のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きと0〜45度異なる向きに伸びた誘電体突起である付記43記載の液晶表示装置。
(付記50)前記第2のドメイン規制手段は、前記液晶ドメインの向きと0〜45度異なる向きに伸びた電極スリットである付記43記載の液晶表示装置。