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IPアドレス 【Internet Protocol Address】 IP address

概要

IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、インターネットなどのTCP/IPネットワークに接続されたコンピュータ通信機器の一台ごとに割り当てられた識別番号。現在主流のIPv4では32ビットとなっており、一つのネットワークに最大約42億台が参加できる。

インターネットなどのネットワークでは機器間の通信IPInternet Protocol)と呼ばれる共通のプロトコル通信規約)によってう。IPアドレスはこのIPネットワークにおける個々の機器を識別するための番号で、データの宛先の指定や送信元の特定などに用いられる。

現在インターネットなどで広く普及しているIPIPv4IPバージョン4)で、アドレス32ビットとして表す。書き表す場合には先頭から順に8ビットごとに区切り、それぞれを十進数として「.」(ピリオド/ドット)で区切って表記する。例えば、「11000110 00110011 01100100 00000001」というアドレスは「198.51.100.1」のように表記する。

IPアドレスとドメイン名

IPアドレス自体は数字の羅列で人間には覚えたり書き表したりしにくく、読み間違いや入力ミスも起こりやすいため、「www.example.com」のようにアルファベットや記号を組み合わせた分かりやすい識別名をつけられる仕組みが考案された。

これをDNSDomain Name System)と呼び、IPアドレスの代わりとしてネットワーク上で用いることができる識別名ドメイン名という。ドメイン名には特定のIPアドレスに対応し、個別の機器を指し示す完全修飾ドメイン名FQDNFully Qualified Domain Name)あるいはホスト名host name)と、複数の機器や領域を包含する領域の識別名がある。

IPアドレスとドメイン名の対応関係は各組織が設置・運用するDNSサーバによって管理・提供される。人間が指定したドメイン名の指し示す機器に接続するにはDNSサーバへ問い合わせて対応するIPアドレスを得る必要があり、通常はソフトウェアが内部的にこの処理をう。

機器が通信処理をうのに必須なのはIPアドレスのみであるため、すべてのIPアドレスに対応するドメイン名が設定されているわけではない。通常必要なのはドメイン名からIPアドレスへの変換(正引き)であるため、逆にIPアドレスから対応するドメイン名を割り出す変換(逆引き)は常に可能とは限らない。また、IPアドレスとドメイン名は常に一対一に対応している必要はなく、一つのIPアドレスに複数(場合によっては多数)のドメイン名が対応付けられていることもある。

グローバルIPアドレス

インターネット上で使用するアドレスグローバルIPアドレスglobal IP address)、特定の組織内ネットワークのみで通用するアドレスプライベートIPアドレスprivate IP address)あるいはローカルIPアドレスlocal IP address)という。

グローバルアドレスインターネット全体で一意に特定できなければならず、複数の組織や端末で重複があってはならないため、勝手に設定して名乗ることはできず、アドレス発行組織に申請をって割り当てを受けなければならない。

インターネット上のIPアドレスについて全世界で一元的に割り当ての調整をう機関としてICANNInternet Corporation for Assigned Names and Numbers)が設置されている。そこから世界を5つに分けた各地域を管轄するRIRRegional Internet Registry)に大きなアドレスブロック単位で割り当てがわれ、RIRから域内の各国・地域をそれぞれ管轄するNIR(National Internet Registry)へ小さなブロック単位で割り当てわれる。

インターネットへの接続を希望する各組織・個人からの申請を受けてアドレスを割り当てるのはNIRの担当となる。日本を管轄するRIRAPNICAsia Pacific Network Information Centre)、NIRはJPNICJapan Network Information Center)である。

プライベートIPアドレス

プライベートアドレスは各組織ごとに設置・運用されているLAN構内ネットワーク)などのネットワーク上で用いられるアドレスで、申請などは不要で自由に機器に設定して使用してよい。ただし、各アドレスがそのネットワークの内部で重複してはならない点はグローバルアドレスと変わらない。

プライベートアドレスしか持たない機器はインターネットに直接接続して通信することはできないため、ネットワーク境界にゲートウェイルータプロキシサーバなどを設置してアドレス変換やデータの中継などをい、一定の制約(インターネット側から接続を開始できないなど)の元で通信できるようにすることが多い。

IPv4アドレスではプライベートアドレス用の領域として、10.0.0.0~10.255.255.255(最大約1677万台)、172.16.0.0~172.31.255.255(最大65535台)、192.168.0.0~192.168.255.255(最大255台×256ネットワーク)の3つが予約されており、ネットワークの規模に応じていずれかを使用することができる。これらはグローバルアドレスとしては割り当てられないことが決まっている。

IPv4アドレスの枯渇

現在インターネットで用いられるIPv4アドレス32ビットであるため、2の32乗の42億9496万7296個のアドレスしか使用することができず、インターネットの爆発的に普及に伴い2000年代後半頃からは逼迫するようになった。

これは、IPv4設計された1980年頃にはインターネットに限られた機関しか接続されておらず、現在のような爆発的な普及を想定していなかったためこのアドレス数で十分であると考えられていたのと、当時の通信回線が低速で伝送容量が限られており、少しでも通信制御用のデータを短くしたかったという事情がある。

2015年までには各地域のRIRおよび各国のNIRが確保・用意しているIPv4アドレスブロックの「在庫」は枯渇してしまい、既存の割り当て先から接続廃止で返却されてくる分以外には、まとまった数のアドレスを新規に発行することはできなくなってしまっている。

IPv6アドレス

IPv4の後継として設計されたIPv6IPバージョン6)では、IPアドレスが128ビットとなり、2の128乗=約3.40×1038、すなわち、340澗2823溝6692穣0938𥝱4634垓6337京4607兆4317億6821万1456個の広大なアドレス空間を使用できるようになった。

IPv4と同じ表記法だと長過ぎるため、16ビットずつ「:」(コロン)で区切って16進数で表記し、0が連続する区間は省略するという記法を採用している。例えば、「2001 : 0db8 : 0000 : 0000 : 0000 : 0123 : 0000 : 00ab」は「2001 : db8 :: 123 : 0 : ab」のように表記する。

IPv6アドレスグローバルでの割り当ても始まっており、一部の通信事業者インターネットサービスプロバイダISP)などがIPv6によるインターネット接続に対応しているが、既存のIPv4と共存しつつ移行するのは様々な事情が重なって難しく、なかなかIPv6の普及が進まない状況が10年以上続いている。

(2019.1.31更新)

IPアドレス用語辞典

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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