IPv4 【Internet Protocol version 4】
概要
IPv4(Internet Protocol version 4)とは、インターネットの基礎となる通信規約(プロトコル)であるIP(Internet Protocol/インターネットプロトコル)の第4版。1990年代後半からのインターネット普及期に使われていたため広く普及し、現在もインターネット上の通信のほとんどはIPv4で行われる。ネットワークに参加する機器などに固有の番号(IPアドレス)を割り当てて一意に識別し、複数のネットワークを経由して末端から末端までデータを送り届ける方法を定義している。データは一定の大きさのパケットと呼ばれる単位(正確にはIPデータグラムという)に分割されて送信され、受信側で再び元のデータに組み立てられる。
IPデータグラムは制御情報を記載したIPヘッダと呼ばれる先頭部分と、運びたいデータ本体であるペイロードからなる。ヘッダには送信元と宛先のIPアドレスや、積載しているデータのプロトコル番号、転送回数の上限を表す生存時間(TTL)、長いデータを複数のデータグラムに分割した際の通し番号(フラグメントオフセット)などが記載されている。
IPv4アドレス
IPv4ではアドレスを32ビットのデータとして表現し、「192.168.1.1」というように8ビットずつ4つの値に区切って「.」(ドット/ピリオド)を挟んで表記する。「0.0.0.0」から「255.255.255.255」まで約42億(232)個のアドレスが利用できる。
アドレス空間の中には各組織が個別に運用する構内ネットワーク(LAN)などの内部でのみ使用可能なプライベートIPアドレス用の領域もあり、インターネット上のアドレス(グローバルIPアドレス)とは独立に割り振られて使用されている。
32ビットのアドレスはインターネットが普及し始めた当初は十分な数に思われたが、急激な普及により数が逼迫し、2010年代後半には世界的に未割り当ての「在庫」アドレスが枯渇する事態となってしまった。
歴史
初期のIPは1970年代に当時のARPANET(現在のインターネットの原型となる広域ネットワーク)で開発された。バージョン0から3は試験的な仕様で、1980年に規格化(RFC 760)されたIPv4が本格的に実用に供された最初のIP仕様となった。現在広く知られているのは1981年の改訂版(RFC 791)である。
その後、特殊なストリーミング用途向けのバージョンとして試験的にIPv5が、IPv4の後継候補としてIPv6~IPv9が考案されたが、これらの仕様を勘案してIPv6が正式に後継規格として推進されることになった。最大の特徴は128ビットに拡張されたIPv6アドレスで、逼迫するIPv4アドレスからの移行が展望されたが、現在も一般に広く普及する状況には至っていない。
関連用語
関連リンク (外部サイト)
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 総務省 東北総合通信局「沿岸海域における効率的なワイヤレスブロードバンドシステムの技術的条件に関する調査検討会 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2010年3月)