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JPWO2005096278A1 - 情報記録装置、情報記録方法及び情報記録プログラム - Google Patents

情報記録装置、情報記録方法及び情報記録プログラム Download PDF

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JPWO2005096278A1 JP2006511732A JP2006511732A JPWO2005096278A1 JP WO2005096278 A1 JPWO2005096278 A1 JP WO2005096278A1 JP 2006511732 A JP2006511732 A JP 2006511732A JP 2006511732 A JP2006511732 A JP 2006511732A JP WO2005096278 A1 JPWO2005096278 A1 JP WO2005096278A1
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Abstract

適切な変調度及び高いアシンメトリで、波形歪みの少ない情報の記録が可能な情報記録装置、情報記録方法及び情報記録プログラムを提供する。情報記録装置は、例えばDVD−R/RW、DVD+R/RWなどの記録媒体に対してレーザ光を照射し、記録信号に対応した記録マークを形成することにより情報を記録する。記録信号に対応する記録マークを形成するための記録パルス信号は、記録マークを形成するマーク期間と、記録マークを形成しないスペース期間とを有する。実際の情報記録に先だって行われる試し書き(テスト記録)においては、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させる。好適には、試し書き中の短マークの記録パワーは、アシンメトリ及び/又はβ値が所望の範囲の値となるように変更される。これにより、所望の記録特性が得られるように、短マークの記録パワーが適切に決定される。また、そうして決定された記録パワーを用いて、実際の記録が行われる。

Description

本発明は、レーザ光線などを利用して光ディスクに情報を記録する技術に属する。
DVD−R(DVD-Recordable)、DVD−RW(DVD-Re-recordable)などの書き込み又は書き換え可能な光ディスクには、ディスクの記録面上にレーザ光を照射して情報を記録する。光ディスクの記録面上のレーザ光が照射された部分は、温度が上昇するために光ディスクを構成する光記録媒体に変化が生じ、これにより記録マークが記録面上に形成される。
よって、記録すべき情報に応じた時間幅を有する記録パルスでレーザ光を変調して記録すべき信号に応じた長さのレーザパルスを生成し、これを光ディスクに照射することにより、記録すべき情報に応じた長さの記録マークを光ディスク上に形成することができる。
一方、最近では1つの記録マークを1つのレーザパルスで形成するのではなく、複数の短いパルスを含むパルス列部(パルストレインとも呼ばれる)により記録マークを形成するレーザパワーの制御手法が利用されている。また、高速記録時には、パルストレインを含む記録パルス波形に代えて、トップパルス期間と、ラストパルス期間と、その間の中間バイアス期間とから構成される記録パルス波形を使用する手法などが提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
上記のような記録方式においては、パルス列期間、トップパルス期間及びラストパルス期間などにおけるレーザパワーはマーク長に拘わらず固定値を有している。例えば、DVD−Rの8倍速記録用のライトストラテジーでは、3T及び4Tのマークは単一の記録パルスで記録され、5T以上のマークは上述のようにトップパルス期間と、ライトパルス期間と、中間バイアス期間とを有する記録パルス波形により記録されるが、それらのレベル、即ち記録パワーは同一である。
一方、DVD+Rの4倍速記録方式においては、全ての長さのマークが単一の記録パルスにより形成されるが、3T及び4Tの記録パルスのレベル、即ち記録パワーは、5T以上のマークのレベルより大きくなっている。具体的には、3Tマークと、4Tマークと、5T以上の長さのマークの記録パワーの比が一定となるように決定されている。
1種類の記録パワー又は固定比率の記録パワーを有する記録パルス波形で記録を行う場合、記録速度が高速になるほど、変調度が大きくなる。しかし、変調度が過大になると、AR(Aperture Ratio)、LPPエラー、ADIPエラーなどに悪影響が及ぶ可能性が高くなる。また、熱干渉が発生するアシンメトリが規格値あるいは再生可能な範囲の下限に近くなっており、そのマージンが狭くなる。
特開2003−77128号公報 特開2003−85753号公報
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、高倍速記録時においても、適切な変調度及び高いアシンメトリで、波形歪みの少ない情報の記録が可能な情報記録装置、情報記録方法及び情報記録プログラムを提供することにある。
本発明の1つの実施形態では、記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成する情報記録装置は、前記レーザ光を出射する光源と、前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成手段と、前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き手段と、を備え、前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、前記試し書き手段は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行う。
上記の情報記録装置は、例えばDVD−R/RW、DVD+R/RWなどの記録媒体に対してレーザ光を照射し、記録信号に対応した記録マークを形成することにより情報を記録する。記録信号に対応する記録マークを形成するための記録パルス信号は、記録マークを形成するマーク期間と、記録マークを形成しないスペース期間とを有する。実際の情報記録に先だって行われる試し書き(テスト記録)においては、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させる。これにより、所望の記録特性が得られるように、短マークの記録パワーが適切に決定される。また、そうして決定された記録パワーを用いて、実際の記録が行われる。
上記の情報記録装置の一態様では、前記長マークの記録パワーは、再生互換性が確保される記録パワーとすることができ、その場合の特に好適な実施例では前記長マークの記録パワーは、変調度が所定範囲内となる記録パワーとすることができる。
上記の情報記録装置の他の一態様では、前記長マークの記録パワーは、波形歪みが所定値以下となる記録パワーとすることができる。
上記の情報記録装置の他の一態様では、前記短マークの記録パワーは、アシンメトリが−0.05〜0.15の範囲内となる記録パワーとすることができる。また、他の一態様では、前記短マークの記録パワーは、β値が0となる記録パワーとすることができる。
上記の情報記録装置の他の一態様では、前記試し書き手段は、試し書きにより形成された記録マークを読み出す手段と、読み出された記録マークに基づいて得られたアシンメトリ及び/又はβ値が所定の条件を満足するまで、試し書きを繰り返す。これにより、所定の条件を具備する適切な記録パワーを得ることができる。
上記の情報記録装置の好適な実施例では、前記短マークは最短マークとし、前記長マークは前記短マーク以外のマークとすることができる。また、他の好適な実施例では、前記短マークは最短マーク及び2番目に短いマークとし、前記長マークは前記短マーク以外のマークとすることができる。さらに他の好適な実施例では、前記短マークはレベルが最大振幅とならないマークとし、前記長マークはレベルが最大振幅となるマークとすることができる。
本発明の他の実施形態では、記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成する情報記録方法は、前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成工程と、前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き工程と、を備え、前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、前記試し書き工程は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行う。
上記の情報記録方法によっても、上記の情報記録装置と同様に、所望のアシンメトリ及び/又はβ値を実現する適正な記録パワーを決定することができる。
本発明の他の実施形態では、光源を備える情報記録装置において実行され、記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成するための情報記録プログラムは、前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成工程と、前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き工程と、を前記情報記録装置に実行させ、前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、前記試し書き工程は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行う。
上記の情報記録プログラムを情報記録装置において実行することにより、前述の情報記録装置を実現することができる。
本発明の第1実施例による記録パルス波形を示す図である。 変調度及びアシンメトリを説明する図である。 波形歪み(歪み率)の定義を説明する図である。 記録パワーと、変調度及び歪み率との関係を示すグラフである。 従来の記録方法と実施例の記録方法によって記録されたデータの再生RF信号波形例を示す。 β値の定義を模式的に示す図である。 第2実施例による記録パルス波形を示す図である。 第3実施例による記録パルス波形を示す図である。 本発明を適用した情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。 図9に示す記録制御部の構成を示すブロック図である。 図10に示すLDドライバの構成を示すブロック図である。 LDの駆動電流と出力パワーの関係を示すグラフである。 実施例による記録条件決定処理のフローチャートである。 実施例の情報記録再生装置による記録処理のフローチャートである。
符号の説明
1 情報記録再生装置
2 光ピックアップ
3 スピンドルモータ
10 記録制御部
12 LDドライバ
13 APC回路
14 サンプルホールド回路
15 コントローラ
16 フロントモニタダイオード
20 再生制御部
30 サーボ制御部
本発明は、記録パルス信号によりレーザ光源を駆動して情報の記録を行う情報記録装置において、長マークと短マークの記録パワーを別々に設定する。そして、長マークの記録パワーを固定しておき、短マークの記録パワーを変更しつつ試し書きを行って、短マークの最適な記録パワーを決定する。
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例について説明する。なお、以下の説明では、試し書きを行う実施例に先立ち、短マークと長マークの記録パワーについて説明する。
図1に、本発明の第1実施例による記録パルス波形(ライトストラテジー)を示す。なお、比較のため、通常のDVD−Rの8倍速記録時の記録パルス波形を図1の上段に示し、第1実施例による記録パルス波形を図1の下段に示す。
図1において、記録データは、記録データ長に対応する長さのマーク期間Twdと、同じく記録データ長に対応する長さのスペース期間Tspにより構成される。なお、本発明においてはスペース期間の長さは問題とはならないので、その一部を省略して図示している。
DVD−Rにおいては、3T及び4Tの長さのマークは単一のパルスからなる記録パルス波形により形成され、5T以上の長さのマークはトップパルス60tpとラストパルス60lpと中間バイアス部60mとからなる略凹型の記録パルス波形により形成される。具体的には、図1の上段に示すように、DVD−Rの8倍速記録においては、3T及び4Tの記録パルス波形はバイアスパワーPbの期間と、ピークパワーPoの期間と、ゼロレベルの期間とを有する。また、5T以上の記録パルス波形は、バイアスパワーPbの期間と、ピークパワーPoのトップパルス期間60tp及びラストパルス期間60lpと、中間バイアスパワーPmの期間60mと、ゼロレベルの期間とを有する。ここで、図示のように、通常のDVD−Rの8倍速記録時の記録パルス波形では、3T及び4Tマークのパワー、及び、5T以上のマークのトップパルス及びラストパルスの部分の記録パワー(これらを「ピークパワーPo」とも呼ぶ。)が同一となっている。
なお、本明細書では、「記録パワー」はピークパワーと中間バイアスパワーを含む概念である。即ち、記録パルス波形が図1における3T及び4Tマークの場合には記録パワーはピークパワーのみであるが、5Tマーク以上の場合には記録パワーはピークパワーと中間バイアスパワーを指す。
これに対し、本発明では、長マークの記録パワーと短マークの記録パワーとを異ならせる。第1実施例では、「短マーク」とは最短マーク及び2番目に短いマークを指し、「長マーク」とは短マーク以外のマークを指すものと規定する。即ち、短マークは3T及び4Tマークであり、長マークは5T以上の長さのマークとする。
即ち、図1の下段に示すように、3Tマークの記録パルス波形のピークパワーPo1及び4Tマークの記録パルス波形のピークパワーPo2は、5T以上のマークの記録パルス波形のピークパワーPonと異なっている。5T以上のマークのピークパワーPonは、どの長さのマークであっても同一である。
なお、図1においては3TマークのピークパワーPo1の方が4TマークのピークパワーPo2より大きいが、これは一例であり、これに限定されるものではない。よって、3TマークのピークパワーPo1と4TマークのピークパワーPo2とは、同一であってもよく、一方が他方より大きくてもよい。但し、いずれにしても、3TマークのピークパワーPo1及び4TマークのピークパワーPo2は、5T以上のマークのピークパワーPonとは異なる。
次に、短マークと長マークの記録パワーの決定方法について説明する。本実施例では、記録状態の評価パラメータとして、変調度、アシンメトリ、波形歪み及びβ値を考慮して、記録パワーを決定する。
図2に変調度及びアシンメトリを概念的に示す。「変調度」とは、記録媒体に記録したデータを読み出して得られるRF信号(記録媒体からの戻り光を光電変換して得られるものであり、DC成分を含むRF信号)の振幅と、RF信号のゼロレベルとピークレベルとの差との割合をいう。図2には、記録媒体を再生して得られるRF信号波形の例を示している。即ち、変調度は、RF信号振幅I14と、ゼロレベルとピークレベルとの差I14Hとの割合であり、下式で与えられる。
変調度 = I14/I14H (1)
一般に、記録媒体に対する記録マークの形成が不十分であると変調度が低くなり、再生信号におけるノイズの影響が大きくなる。よって、S/N比が低下し、再生互換性に悪影響が生じる。なお、「再生互換性がある」とは、ある記録装置により記録した記録媒体を他の再生装置により適正に再生できることをいう。
「アシンメトリ」とは、記録媒体から再生されたRF信号において、最大振幅を与える所定の長マークに対する、最短マークの位置をいい、具体的には下式で与えられる。
アシンメトリ = {(I14H+I14L)/2−(I3H+I3L)/2}/I14 (2)
即ち、図2に示すように、所定の長マーク(14Tマーク)に対応するRF信号のレベルI14HとI14Lとの中間レベルと、最短マークに対応するRF信号のレベルI3HとI3Lの中間レベルとの位置関係を示している。
図3に波形歪み(歪み率)の定義を模式的に示す。図3において、波形歪みは、RF信号の振幅Wに対する、歪み量Dの割合である。なお、歪み量とは、本来とるべきレベルLLと実際にRF信号波形に現れたレベルとの差を示す。図3において、破線のグラフ70は歪みがないときのRF信号波形であり、歪み量は「0」である。グラフ70aは歪みが生じたRF信号波形の一例であり、歪み量はDaで与えられる。また、グラフ70bは歪みが生じたRF信号波形の他の例であり、歪み量はDbで与えられる。グラフ70a及び70bの場合に示されるように、波形歪みは、RF信号波形が一時的にほぼフラット(即ち、傾きがほぼゼロ)となったレベルと、本来とるべきレベルLLとの差ともいうことができる。
また、図3には、RF信号波形のボトムレベル側に歪みが発生している例を示しているが、RF信号波形のピークレベル側に歪みが発生する場合もある。本実施例における歪み率はいずれの場合も対象としている。
図7に、β値の定義を模式的に示す。β値は、RF信号の平均レベルと、RF信号の振幅レベルのセンター値(全マークのセンター値)とのずれ量を示すパラメータである。RF信号の平均レベルは、例えばRF信号をLPFに通過させることにより得ることができる。また、RF信号の振幅レベルのセンター値は、再生した記録データに対応するRF信号の最小レベルと最大レベルから計算により求めることができる。β値は、「0」に近い値、即ちRF信号の平均レベルと、RF信号の振幅レベルのセンター値とのずれが小さいほど好ましい。
次に、長マーク及び短マークの記録パワーの決定方法について説明する。まず、長マークの記録パワーについて説明する。本実施例では、長マークの記録パワーは、
(条件A)再生互換性が確保できる範囲の記録パワーとする、
(条件B)波形歪みが発生しない又は所定値以下となる記録パワーとする、
(条件C)条件Aと条件Bの両方を具備する記録パワーとする、
の3つの方法が挙げられる。
まず、再生互換性に関する条件Aについて説明する。図4に記録パワーと、変調度及び歪み率との関係を示す。図示のように、記録パワーの増加とともに変調度が大きくなるが、その増加はある程度の記録パワーで飽和する。DVDの規格では、再生互換性を確保するため、変調度は60%以上が要求されており、上限は規定されていない。
しかし、変調度が大きくなるほど、DVD−Rの場合のLPPエラー率やARなど、DVD+Rの場合のADIPエラー率などに悪影響が及ぶ可能性が高くなる。ARは、DVD−RにおけるLPP検出波形の開口率を示し、LPPが正しく検出できるか否かの指標である。LPPエラー率は再生RF信号中のLPP信号のエラー率を示す。前述のように、再生互換性を確保するためには、変調度は60%以上とすることが望ましいが、変調度が大きくなり過ぎると、記録媒体のグルーブ上に形成されるピット幅が大きくなり、グルーブに隣接して形成されているLPPを読み取り不能としてしまうことがある。これによりARやLPPエラー率が悪化する。また、DVD+Rの場合も、変調度が大きくなり過ぎると、形成されるピットが大きくなりすぎ、ディスク上に予め記録されているプリアドレスなどが読み取り不能となる。これにより、ADIPエラー率などが悪化する。
また、変調度が大きいと、隣接する他のマーク、特に短いマークに対する熱的影響が増加し、熱干渉などにより記録特性の劣化が生じる。さらには、図4に示されるように、記録パワーの変化に対する変調度の変化量が小さくなるので、例えばROPC(Running Optimum Power Control)など、変調度を特性の検出などに使用する場合には検出精度が低下する。
このように、変調度が大きすぎると各種の不具合が生じうる。よって、変調度は、再生互換性が保たれる範囲内でできる限り小さくすること、例えば「0.6」(60%)程度とすることが望ましい。また、上記の各種の不具合を防止する観点からは、図4において、変調度の上限を「0.8」(80%)程度とすることが望ましい。以上より、長マークのピークパワーPonは、再生互換性が保たれる範囲とすることが望ましく、具体的には変調度が0.6〜0.8程度の範囲内となる値とすることが望ましく、特に変調度を0.6程度とすることが望ましい。
次に、波形歪み(歪み率)に関する条件Bについて説明する。波形歪みは記録条件、記録媒体によって異なるが、図4の例では、記録パワーが減少するにつれて歪み率が増加している。歪み率が大きくなるほど、記録特性は悪化する。よって、長マークのピークパワーPonは波形歪みが発生しないか、又は、十分に小さくなる(例えば10%以下)ように決定することが望ましい。なお、図4に示した歪み率のグラフは一例に過ぎず、記録条件や記録媒体によっては、記録パワーが増加するにつれて歪み率が増加する特性を示す場合もありうる。
以上より、条件Cに示すように、再生互換性に関する条件Aと、波形歪みに関する条件Bを同時に満足するように長マークの記録パワーを決定することが最も望ましい。
次に、短マークの記録パワーの決定方法について説明する。図5に、従来の手法による場合と本実施例による場合の熱干渉の影響を比較するための波形図を示す。図5(a)は従来の手法によるものであり、図1の上段に示すように、全ての長さのマークを同一の記録パワーで形成した場合の再生RF信号波形である。一方、図5(b)は図1の下段に示すように、短マーク(3T及び4T)と長マーク(5T以上)を異なる記録パワーで形成した場合の再生RF信号波形である。いずれの場合も、アシンメトリは適正な範囲内に収まっている。
図5(a)に示すように、3Tマークの波形は熱干渉の影響でレベルが変動し、薄いひげのような波形が発生している。これにより、アシンメトリは適正範囲にあるにも拘わらず、記録特性(ジッタ)が悪化してしまう。
これに対し、図5(b)に示すように、本実施例の場合には、3Tマークの波形に熱干渉の影響が生じていない。このように、短マークと長マークの記録パワーを異ならせて記録することにより、従来のように全てのマークを同一記録パワーで記録する場合と比較して、長マークを記録する際のパワーが短マークに及ぼす熱的影響を軽減し、短マークを熱干渉が発生しない範囲で記録することができる。即ち、本実施例のように、短マークの記録パワーを長マークの記録パワーと異ならせることとし、短マークのピークパワーPo1及びPo2は、適正なアシンメトリ(例えばDVD規格による−0.05〜0.15)が得られる範囲となるように決定することが望ましい。
また、短マークの適切な記録パワーを決定するためのパラメータとしては、前述のβ値を使用することができる。この場合、β値が「0」に近い所定の範囲内の値となるように短マークの記録パワーを決定することが好ましい。
次に、第1実施例による試し書きについて説明する。本発明においては、記録媒体毎により良好な記録条件を決定するために、長マークの記録パワー、即ちピークパワー及び中間バイアスパワーを固定したまま、短マークの記録パワーを変化させて試し書き(テスト記録)を行い、最適な短マークの記録パワーを決定する。なお、短マークの記録パワーを決定する際に用いるパラメータは、前述のように、アシンメトリ及びβ値の少なくとも一方とする。
図7の上段に第1実施例による試し書きの様子を模式的に示す。第1実施例においては、前述のように最短マーク(3Tマーク)及び2番目に短いマーク(4Tマーク)を短マークと定義し、それ以外のマークを長マークと定義する。よって、試し書きにおいて、5Tマーク以上のマークの記録パワー、即ちピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmnは図7に示すように一定値とする。
なお、試し書きにおいて使用される長マークのピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmは、既知の各種方法により、短マークの記録パワーとは独立に事前に決定されており、例えば後述のコントローラなどに記憶されている。
図7に示すように、試し書きにおいて、短マーク、即ち3Tマーク及び4Tマークの記録パワーを徐々に変化させる。図7の例では、3TマークのピークパワーPo1をPonから開始し、徐々に増加させている。同様に、4TマークのピークパワーPo2もPonから開始し、徐々に増加させている。こうして、短マークの記録パワーを所定の初期値から徐々に変化させつつ記録媒体に試し書きを行う。
そして、試し書きした記録データを読み取って、アシンメトリ、β値などのパラメータを算出して評価する。試し書きは、試し書きしたデータを再生して得られたアシンメトリ、β値などのパラメータが所定の条件を満足するまで繰り返し実行される。これにより、短マークの最適な記録パワー(ピークパワーPo1、Po2など)が決定される。
具体的には、図7の例では、1回目の試し書きにおいては、3TマークのピークパワーをPo1(=Pon)、4TマークのピークパワーをPo2(=Pon)、5Tマーク以上のマークのピークパワーをPonとして試し書きを行う。また、2回目の試し書きにおいては、3TマークのピークパワーをPo1a、4TマークのピークパワーをPo2a、5Tマーク以上のマークのピークパワーをPonとして試し書きを行う。さらに、3回目の試し書きにおいては、3TマークのピークパワーをPo1b、4TマークのピークパワーをPo2b、5Tマーク以上のマークのピークパワーをPonとして試し書きを行う。こうして、所定の条件を満足する記録パワーが得られるまで、試し書きが繰り返し実行される。
なお、図7の例では、短マークの試し書きを開始するパワー値を、既に決定されている長マークのピークパワーPonと一致させているが、本発明の適用はこれには限定されない。即ち、短マークの試し書きは、長マークのピークパワーPonよりも小さい値から開始しても構わない。
また、図7の例では、複数回の試し書きにおいて、短マークの記録パワーを段階的に増加させているが、逆に、所定の初期パワー値から記録パワーを段階的に減少させることとしてもよい。
なお、試し書きにおいて使用される記録データとしては、以下のものが挙げられる。まず、実際の記録時と同等のデータを含むランダムパターンを試し書き用の記録データとして使用することができる。このランダムパターンを使用することにより、試し書きの評価パラメータとしてアシンメトリ及びβ値を得ることができる。
また、データアドレスを含めた実際のデータを試し書き用記録データとして使用することもできる。この場合には、上記と同様にアシンメトリ及びβ値を得ることができるのに加え、データのエラーレートも得ることができるという利点がある。
また、データに含まれるパターンのうち、試し書きの評価パラメータに関連する値の検出感度が増加する特定のパターンを試し書き用記録データとして使用することもできる。特定のパターンの例としては、最短マーク/スペース(3Tマーク/3Tスペース)と、最大振幅を与えるマーク/スペース(例えば11Tマーク/11Tスペース)の繰り返しから構成されるパターンなどが挙げられる。これによれば、上記のランダムパターンや実際のデータを使用する場合と比較して、アシンメトリやβ値の検出感度を向上させることができる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。第2実施例は、長マーク及び短マークの規定方法のみが第1実施例と異なる。図7の下段に第2実施例における記録パルス波形を示す。図示のように、第1実施例においては、最短マーク(3T)及び2番目に短いマーク(4T)を短マークと規定し、それ以外のマーク(5T以上)を長マークと規定した。そして、長マークの記録パワーを固定し、短マークのピークパワーPo1及びPo2を変化させて試し書きを行った。
これに対し、第2実施例では、最短マーク(3T)のみを短マークと規定し、それ以外のマーク(4T以上)を長マークと規定する。よって、図示のように、長マークである4T以上のマークのピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmを固定し、短マークである3TマークのピークパワーPo1を変化させて試し書きを行う。
なお、試し書きによる短マークの記録パワーの決定方法は第1実施例と同様である。即ち、短マークのピークパワーPo1は、アシンメトリ及び/又はβ値が適切な範囲となるように決定される。
[第3実施例]
次に、第3実施例について説明する。第3実施例も、長マーク及び短マークの規定方法のみが第1実施例と異なる。図8に、第3実施例における記録パルス波形図を示す。なお、図8の上段には、6Tマークが最大振幅にならない場合の記録パルス波形を示し、下段には6Tマークが最大振幅になる場合の記録パルス波形を示す。
第3実施例では、RF信号波形が最大振幅にならないマークを短マークと規定し、RF信号波形が最大振幅になるマークを長マークと規定する。但し、あるマークが最大振幅になるか否かは記録条件や記録媒体などにより変化する場合がある。通常、3T〜5Tマークは最大振幅にならず、7Tマーク以上のマークは最大振幅になるが、6Tマークは最大振幅になる場合とならない場合とがある。よって、6Tマークが最大振幅にならない場合には、3T〜6Tマークを短マークと規定し、7Tマーク以上を長マークと規定する(図7の上段参照)。一方、6Tマークが最大振幅となる場合には、3T〜5Tマークを短マークと規定し、6Tマーク以上を長マークと規定する。
具体的には、図8の上段に示すように、6Tマークが最大振幅にならない場合には、最大振幅とならないマーク、即ち3Tマーク〜6Tマークを短マークと規定し、それ以外のマーク(7T以上)を長マークと規定する。よって、図示のように、長マークである7T以上のマークのピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmnを固定する。そして、短マークである3Tマーク〜6Tマークについては、トップパルス60tp及びラストパルス60lpのピークパワーPo1〜Po4を変化させて試し書きを行う。また、図示のように5Tマーク及び6Tマークについては、中間バイアス部60mのパワーPm3及びPm4も同時に変化させつつ試し書きを行う。
一方、図8の下段に示すように、6Tマークが最大振幅になる場合には、最大振幅とならないマーク、即ち3Tマーク〜5Tマークを短マークと規定し、それ以外のマーク(6T以上)を長マークと規定する。よって、図示のように、長マークである6T以上のマークのピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmnを固定する。そして、短マークである3Tマーク〜5Tマークについては、トップパルス60tp及びラストパルス60lpのピークパワーPo1〜Po5を変化させて試し書きを行う。また、図示のように5Tマークについては、中間バイアス部60mのパワーPm3も同時に変化させつつ試し書きを行う。
なお、試し書きによる短マークの記録パワーの決定方法は第1実施例と同様である。即ち、短マークのピークパワーPo1〜Po4及び中間バイアスパワーPm3〜Pm4は、アシンメトリ及び/又はβ値が適切な範囲となるように決定される。
[情報記録再生装置の実施例]
図9に、本発明を適用した情報記録再生装置の全体構成を概略的に示す。情報記録再生装置1は、光ディスクDに情報を記録し、また、光ディスクDから情報を再生するための装置である。光ディスクDとしては、例えばDVD−R/RW、DVD+R/RWなどを含む種々の光ディスクを使用することができる。
情報記録再生装置1は、光ディスクDに対して記録ビーム及び再生ビームを照射する光ピックアップ2と、光ディスクDの回転を制御するスピンドルモータ3と、光ディスクDへの情報の記録を制御する記録制御部10と、光ディスクDに既に記録されている情報の再生を制御する再生制御部20と、スピンドルモータ3の回転を制御するスピンドルサーボ、並びに光ピックアップ2の光ディスクDに対する相対的位置制御であるフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを含む各種サーボ制御を行うためのサーボ制御部30と、を備える。
記録制御部10は記録信号を受け取り、後述の処理により光ピックアップ2内部のレーザダイオードを駆動するための駆動信号SDを生成して、これを光ピックアップ2へ供給する。
再生制御部20は、光ピックアップ2から出力される読取RF信号Srfを受け取り、これに対して所定の復調処理、復号化処理などを施して再生信号を生成して出力する。
サーボ制御部30は、光ピックアップ2からの読取RF信号Srfを受け取り、これに基づいてトラッキングエラー信号及びフォーカス信号などのサーボ信号S1を光ピックアップ2へ供給するとともに、スピンドルサーボ信号S2をスピンドルモータ3へ供給する。これにより、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ、スピンドルサーボなどの各種サーボ処理が実行される。
なお、本発明は主として記録制御部10における記録方法に関するものであり、再生制御及びサーボ制御については既知の種々の方法が適用できるので、それらについての詳細な説明は行わない。
また、図9には本発明の1つの実施例として情報記録再生装置を例示しているが、本発明は記録専用の情報記録装置に適用することも可能である。
図10に、光ピックアップ2及び記録制御部10の内部構成を示す。図10に示すように、光ピックアップ2は、光ディスクDに対して情報を記録するための記録ビーム及び光ディスクDから情報を再生するための再生ビームを生成するレーザダイオードLDと、レーザダイオードLDから出射されたレーザ光を受光して、レーザ光に対応するレーザパワーレベル信号LDoutを出力するフロントモニタダイオード(FMD)16とを備える。
なお、光ピックアップ2は、この他に再生ビームの光ディスクDによる反射ビームを受光して読取RF信号Srfを生成するための光検出器や、記録ビーム及び再生ビーム並びに反射ビームを適切な方向に案内する光学系などの既知の構成要素を備えるが、それらの図示及び詳細な説明は省略する。
一方、記録制御部10は、レーザダイオード(LD)ドライバ12と、APC(Automatic Power Control)回路13と、サンプルホールド(S/H)回路14と、コントローラ15とを備える。
LDドライバ12は、記録信号に応じた電流をレーザダイオードLDに供給して、光ディスクDへ情報の記録を行う。フロントモニタダイオード16は、光ピックアップ2内のレーザダイオードLDの近傍に配置され、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光を受光して、そのレベルを示すレーザパワーレベル信号LDoutを出力する。
サンプルホールド回路14は、サンプルホールド信号APC-S/Hにより規定されるタイミングでレーザパワーレベル信号LDoutのレベルをサンプルし、ホールドする。APC回路13は、サンプルホールド回路14の出力信号に基づき、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光のバイアスパワーレベルが一定となるようにLDドライバ12のパワー制御を行う。
コントローラ15は、主として記録動作とAPC動作とを行う。まず、記録動作について説明する。記録動作では、コントローラ15はレーザダイオードLDへ供給される電流量を制御するスイッチの切換信号SWR、SWW1及びSWW2、並びに制御信号Svrを生成して、LDドライバ12へ供給する。
図11にLDドライバ12の詳細構成を示す。図11に示すように、LDドライバ12は、バイアスレベル用の電流源17R、ライトレベル用の電流源17W1及び17W2、スイッチ18R、18W1及び18W2を備える。
バイアスレベル用の電流源17Rは、レーザダイオードLDにバイアスパワーPbでレーザ光を出射させるための駆動電流IRを流す電流源であり、駆動電流IRはスイッチ18Rを介してレーザダイオードLDに供給される。よって、スイッチ18RをオンにするとレーザダイオードLDにバイアスパワーの駆動電流IRが供給され、スイッチ18Rをオフにすると駆動電流IRの供給は停止される。電流源17Rからの駆動電流IRの大きさは、制御信号SAPCにより変化する。
ライトレベル用の電流源17W1及び17W2は、それぞれレーザダイオードLDにライトパワーでレーザ光を出射させるための駆動電流IW1及びIW2を流す電流源である。駆動電流IW1はスイッチ18W1を介してレーザダイオードLDに供給され、駆動電流IW2はスイッチ18W2を介してレーザダイオードLDに供給される。
本発明によるライトストラテジーでは、第1のライトパワー(ピークパワー)Poと、それより低い第2のライトパワー(中間バイアスパワー)Pmの2つのレベルのライトパワーが使用される(図1など参照)。スイッチ18Rをオンにした状態で、スイッチ18W1をオンにすると、レーザダイオードLDに駆動電流IR及びIW1の合計駆動電流が供給され、これにより第2のライトパワーPmでレーザダイオードが駆動される。また、スイッチ18R及び18W1をオンにした状態でさらにスイッチ18W2をオンにすると、レーザダイオードLDにはさらに駆動電流IW2が供給され、その結果、レーザダイオードには駆動電流IR、IW1及びIW2の合計の駆動電流が流れてレーザダイオードは第1のライトパワーPoで駆動される。スイッチ18W1をオフにすると駆動電流IW1の供給は停止され、スイッチ18W2をオフにすると駆動電流IW2の供給は停止される。電流源17W2にはコントローラ15から制御信号Svrが供給されており、電流源17W2は制御信号Svrに応じた駆動電流IW2をレーザダイオードLDへ供給する。
図12に、レーザダイオードLDに供給される駆動電流と、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の出力パワーとの関係を示す。図12からわかるように、レーザダイオードLDに駆動電流IRを供給すると、バイアスパワーPbでレーザ光が出射される。その状態でさらに駆動電流IW1を加えると、第2のライトパワーPmでレーザ光が出射される。また、さらに駆動電流IW2を加えると、第1のライトパワーPoでレーザ光が出射される。
光ディスクへの情報の記録時には、基本的には駆動電流IRを常に供給してバイアスパワーPbでレーザ光を出射しておき、さらに記録パルスに従って駆動電流IW1及びIW2を追加することにより第1のライトパワーPo又は第2のライトパワーPmが印加されて、情報が光ディスクに記録される。
また、コントローラ15から供給される制御信号Svrに応じて、第1のライトパワー(ピークパワー)Poが変化する。図10に示すように、コントローラ15は記録信号を受け取り、記録信号に含まれる各記録データが短マークであるか長マークであるかを判定し、その結果に応じて制御信号Svrを電流源17W2へ供給する。これにより、記録データが長マークである場合には、第1のライトパワーPoが一定のピークパワーPonとなるように電流源17W2が制御され、記録データが短データである場合には、第1のライトパワーPoが一定のピークパワーPonと異なるピークパワーPo1、Po2などとなるように電流源17W2が制御される。これにより、上記の各実施例に示したように、短マークと長マークの記録パワーと異ならせることができる。なお、コントローラ15による短マークと長マークの判別は、前述のように、第1乃至第3実施例の各々において異なる。
次に、APC動作について説明する。APC動作は、レーザダイオードLDにより出力されるレーザ光のバイアスパワーのレベルが一定となるように、LDドライバ12からレーザダイオードLDに供給される駆動電流レベルを調整するものである。より詳細には、記録信号(8−16変調されており、3T〜11T、14Tの長さのマーク期間及びスペース期間を有する)のスペース部のうち、長いスペース期間(例えば5T〜11T、14Tのスペース期間)中において、バイアスパワーPbのレベルが一定となるように記録制御部10からの駆動信号SDを調整する。
具体的には以下のように動作する。コントローラ15は、上述のように記録信号に対応する記録パルスを生成して、当該記録パルスによってLDドライバ12を駆動してレーザダイオードLDからレーザ光を出射させる。
フロントモニタダイオード16は、光ピックアップ2内のレーザダイオードLDの近傍に配置され、レーザダイオードLDから出射したレーザ光を受光してそのレベルを示すレーザパワーレベル信号LDoutを生成し、サンプルホールド回路14に供給する。
サンプルホールド回路14は、コントローラ15から入力されるサンプルホールド信号APC-S/Hにより与えられるタイミングで、フロントモニタダイオード16から供給されるレーザパワーレベル信号LDoutをサンプルし、そのレベルを所定期間ホールドする。コントローラ15から出力されるサンプルホールド信号APC-S/Hは、APCを実行する期間(「APC期間」と呼ぶ。)を示すパルスである。
よってサンプルホールド回路14は、記録信号のスペース期間中のAPC期間においてレーザパワーレベル信号LDoutのレベルをホールドしてAPC回路13へ供給する。APC回路13は、APC期間におけるレーザパワーレベル信号LDoutのレベルが一定となるように、LDドライバ12へ制御信号SAPCを供給する。
制御信号SAPCは、図11に示すように、LDドライバ12内のバイアスレベル用電流源17Rに入力される。これにより、制御信号SAPCに応じて、バイアスレベル用電流源17Rから流れる電流IRが変化する。つまり、レーザダイオードLDにより得られるバイアスパワーレベルが一定となるようにAPCが実行される。
次に、上記の情報記録再生装置による記録条件決定処理について説明する。記録条件決定処理は、記録媒体への実際の情報記録に先立って実行される処理であり、本発明では特に適切な記録パワーを決定する処理である。
図13に記録条件決定処理のフローチャートを示す。なお、記録条件決定処理は、基本的に図10に示すコントローラ15が予め用意されたプログラムを実行することにより実現することができる。
まず、コントローラ15は、情報記録再生装置内にディスクが存在するか否かを判定する(ステップS11)。これは、光源よりレーザ光を出射し、その戻り光を検出するなどの既知の方法により実行される。ディスクが挿入されるまでは、記録条件決定処理は進行しない。
ディスクが検出されると(ステップS11;Yes)、コントローラ15は例えば図示しない内部メモリなどから、長マークの記録条件情報を取得する(ステップS12)。記録条件情報には、記録パワー、ライトストラテジーなどが含まれる。上述の各実施形態では、前述のように長マークの記録パワー(ピークパワーPon及び中間バイアスパワーPmn)は既に決定済みであり、内部メモリなどに記憶されている。よって、コントローラ15はそれを読み出す。
次に、コントローラ15は短マークの記録条件を決定するための試し書きを行う。具体的には、まず、短マークの試し書き条件を設定する(ステップS13)。ここで、「短マークの試し書き条件」は、短マークの記録パワーの設定範囲、即ち、記録パワーの初期値や変更範囲、変更ステップなどを含み、さらにパラメータとして使用されるアシンメトリやβ値の適切な範囲なども含む。
試し書き条件が決定されると、コントローラ15は試し書きを行う(ステップS14)。具体的には、記録パワーの初期値で試し書きが行われるように、LDドライバ12に信号SWW1、SWW2、SWR、Svrなどを供給し、ディスク上に試し書きを行う。そして、試し書きにより記録されたデータをディスクから読み取り(ステップS15)、RF信号などから、評価パラメータであるアシンメトリ、β値を取得して、それらの値が目標条件を満足しているか否かを判定する(ステップS16)。
目標条件が満足されていない場合(ステップS16;No)、処理はステップS13へ戻り、記録パワーを変更してステップS13〜S16を実行する。一方、目標条件が満足されている場合(ステップS16;Yes)、そのときの記録パワーを含む記録条件を短マークの最適な記録条件として確定し(ステップS17)、処理を終了する。
以上のように、記録条件決定処理により、短マークの記録パワーを変更しつつアシンメトリ、β値などを評価し、適切なアシンメトリ及び/又はβ値を与える記録パワーを決定する。
次に、上記の情報記録再生装置による記録処理について説明する。以下に述べる記録処理は、主として図10に示すコントローラ15が、外部から供給される記録信号に基づいて、LDドライバ12などを制御することにより実行される。図14に記録処理のフローチャートを示す。なお、コントローラ15は、以下に示す処理に対応する予め用意されたプログラムを実行することにより、記録処理を実行することができる。
まず、複数の記録データを含む記録信号を受け取ると(ステップS1)、コントローラ15はその記録信号に含まれる各記録データが短マークに該当するか長マークに該当するかを判定する。なお、この判定は、前述のように、第1乃至第3実施例で異なる。記録データが短マークであると判定すると(ステップS2;Yes)、コントローラ15はマーク長に応じた記録パワー(即ち、ピークパワー及び中間バイアスパワー)を決定する(ステップS3)。例えば第1実施例の場合では、その短マークが3TであればピークパワーをPo1と決定し、4TであればピークパワーをPo2と決定する。この時の記録パワーは、前述の記録条件決定処理によって得られたものである。一方、記録データが長マークであると判定された場合(ステップS2:No)、コントローラ15は記録パワーを固定値に設定する(ステップS4)。即ち、ピークパワー及び中間バイアスパワーをそれぞれ固定値Pon及びPmnと決定する。
そして、コントローラ15はステップS3又はS4で決定された記録パワーに対応する制御信号SvrをLDドライバ12へ供給する(ステップS12)。LDドライバ12は、供給された制御信号Svrに基づいてレーザダイオードLDを駆動し、その記録データに対応する記録マークをディスクDに記録する(ステップS6)。こうして、入力された記録信号がディスクDに記録される。
[変形例]
上記の実施例は、記録パルス波形の記録パワーを変化させて試し書きを行い、最適な記録パワーを得るものであるが、これを、記録パルス波形の時間幅を変化させて(即ち、ストラテジを変化させて)試し書きを行う手法と組み合わせることもできる。記録パルス波形の時間幅を変化させるとは、例えば図1に示すトップパルス60tp、中間バイアス部60m、ラストパルス60lpの時間幅などを変化させつつ試し書きを行い、記録データを読み出して、例えばジッタなどの評価パラメータを評価する。そして、その評価パラメータが所定の条件を満たすストラテジを最適なストラテジと決定する。
本実施例との組み合わせ方法としては、本実施例により記録パワーを変化させて試し書きを行い、短マークの適切な記録パワーを決定した後、上記のストラテジを変化させて試し書きを行い適切なストラテジを決定すればよい。また、必要に応じて、その後再度本実施例により記録パワーを変化させて試し書きを行うこととしてもよい。これにより、記録パルス波形のパワーと時間幅の両方を最適化することが可能となる。
なお、上記の実施例では、本発明をDVD−R/RW、DVD+R/RWに適用した例を示したが、本発明は同様にブルーレイ(Blu-ray)ディスク、HD DVD、DVD−RAMなどにも適用することが可能である。
本発明は、レーザ光などを照射することにより、光ディスクなどの記録媒体に情報を記録し、及び/又は、記録媒体から情報を再生する情報記録装置、情報再生装置、情報記録再生装置などに利用することができる。

Claims (12)

  1. 記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成する情報記録装置であって、
    前記レーザ光を出射する光源と、
    前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成手段と、
    前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き手段と、を備え、
    前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、
    前記試し書き手段は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行うことを特徴とする情報記録装置。
  2. 前記長マークの記録パワーは、再生互換性が確保される記録パワーであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  3. 前記長マークの記録パワーは、変調度が所定範囲内となる記録パワーであることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の情報記録装置。
  4. 前記長マークの記録パワーは、波形歪みが所定値以下となる記録パワーであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  5. 前記短マークの記録パワーは、アシンメトリが−0.05〜0.15の範囲内となる記録パワーであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  6. 前記短マークの記録パワーは、β値が0となる記録パワーであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  7. 前記試し書き手段は、試し書きにより形成された記録マークを読み出し、読み出された記録マークに基づいて得られたアシンメトリ及び/又はβ値が所定の条件を満足するまで、試し書きを繰り返すことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  8. 前記短マークは最短マークであり、前記長マークは前記短マーク以外のマークであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  9. 前記短マークは最短マーク及び2番目に短いマークであり、前記長マークは前記短マーク以外のマークであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  10. 前記短マークはレベルが最大振幅とならないマークであり、前記長マークはレベルが最大振幅となるマークであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の情報記録装置。
  11. 記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成する情報記録方法であって、
    前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成工程と、
    前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き工程と、を備え、
    前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、
    前記試し書き工程は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行うことを特徴とする情報記録方法。
  12. 光源を備える情報記録装置において実行され、記録媒体にレーザ光を照射して記録信号に対応する記録マークを形成するための情報記録プログラムであって、
    前記記録信号に基づいて前記光源を駆動する記録パルス信号を生成する信号生成工程と、
    前記記録パルス信号に基づいて前記光源を駆動して試し書きを行う試し書き工程と、を前記情報記録装置に実行させ、
    前記記録パルス信号は、前記記録マークを形成するマーク期間と、前記記録マークを形成しないスペース期間とを含み、
    前記試し書き工程は、長マークの記録パワーを一定とし、短マークの記録パワーを変化させて試し書きを行うことを特徴とする情報記録プログラム。
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