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JPH1129463A - 再分散性の良い水性懸濁液剤 - Google Patents

再分散性の良い水性懸濁液剤

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Publication number
JPH1129463A
JPH1129463A JP12751098A JP12751098A JPH1129463A JP H1129463 A JPH1129463 A JP H1129463A JP 12751098 A JP12751098 A JP 12751098A JP 12751098 A JP12751098 A JP 12751098A JP H1129463 A JPH1129463 A JP H1129463A
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JP
Japan
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aqueous suspension
surface tension
water
concentration
suspension according
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JP12751098A
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JP3402195B2 (ja
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Shinichi Yasueda
真一 安枝
Keiichi Matsuhisa
敬一 松久
Hideo Terayama
日出男 寺山
Katsuhiro Inada
勝弘 稲田
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Application filed by Senju Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難溶性薬物を注射剤、点眼剤、点鼻剤、内服
剤、ローション剤などとする場合に再分散性の良い安定
な水性懸濁液剤を提供することにある。 【解決手段】 難溶性薬物の水性液剤に、液剤の表面張
力が低下をはじめる濃度から表面張力の低下が停止する
濃度範囲内の水溶性高分子を配合すると、再分散が容易
でかつ分散粒子の凝集やケーキングを生じない水性懸濁
液剤が調製できる。この水性懸濁液剤は再分散性が良い
ため、注射剤、点眼剤、点鼻剤、内服剤、ローション剤
などに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再分散性の良い水
性懸濁液剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水に難溶性の薬物を点眼、点鼻および注
射剤などに製剤化する場合、薬物を懸濁させた水性懸濁
液剤とすることが考えられる。このような水性懸濁液剤
は長時間放置すると、分散粒子である薬物(以下、単に
分散粒子という場合もある)が凝集し分散粒子が大きく
なったり、分散粒子が沈降し、沈降した分散粒子がケー
キングなどの2次凝集を起こすので、できるだけ分散粒
子の凝集や沈降を防いだり、また、凝集や沈降を防ぐこ
とができなくても、容易に元の懸濁状態に戻るような懸
濁液剤を得るよう努力が払われてきた。
【0003】その一つの方法として、分散粒子を小さく
し、分散粒子と分散媒との比重を小さくし、分散媒の粘
度を大きくすることで粒子の沈降を防ぐことが考えられ
てきた。かかる場合、分散媒の粘度を大きくするため水
溶性高分子などの懸濁化剤および/または粘稠剤の濃度
は0.2〜5.0w/v%の範囲で調製されるのがふつ
うであった。しかし、懸濁化剤および/または粘稠剤が
これらの濃度範囲内でも、粒子の沈降を完全に防ぐこと
はできず、分散粒子が沈降、沈積してケーキングを起こ
し均一に再分散しないことが問題となっていた。
【0004】他の方法として、薬物の粒子サイズを大き
くし再分散性を良くする方法が考えられるが、点眼剤で
は粒子サイズが大きくなると点眼時に違和感や眼刺激を
生じ、また、点鼻剤では粒子サイズが大きいと噴霧容器
から噴霧できない。さらに、注射剤では注射針を通して
投与できないなどの欠点があった。
【0005】近年、有用な薬効を発揮する医薬品の中に
は難溶性の薬物も多く、点眼剤、点鼻剤、注射剤などの
水性液剤として供給するためには、水性懸濁液剤を用い
ざるを得ない場合も多くなってきた。しかし、これまで
の水性懸濁液剤は再分散性に問題があり、長時間振盪分
散しなければ均一な濃度の液剤とすることが困難な場合
も多く、容易に調製できる再分散性の良い水性懸濁液剤
が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は分散粒子の凝
集やケーキングを起こさない再分散性の良い水性懸濁液
剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで発明者らは上記問
題を解決するため、鋭意研究を重ねたところ、水性懸濁
液剤の表面張力と再分散性の間に一定の関係が存在する
ことを見いだし本発明を完成した。すなわち、本発明
は、液剤の表面張力が低下をはじめる濃度から表面張力
の低下が停止する濃度範囲内の水溶性高分子と、難溶性
薬物を含有してなる水性懸濁液剤に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】後記する実験例1に示すように、
液剤に水溶性高分子を添加していくと、液剤は表面張力
の低下をはじめ、さらに添加を続けると表面張力の低下
は停止し、ほぼ一定の表面張力を保つようになる。逆に
水性懸濁液剤の分散粒子は、水溶性高分子を添加し、液
剤の表面張力が低下しはじめる時点から再分散性が良好
となり、表面張力の低下が停止するまでその良好な再分
散性は維持される。その後表面張力の低下が停止し一定
の表面張力を保つようになると、分散粒子の再分散性は
徐々に悪化するようになる。水溶性高分子が全く入って
いない場合には分散粒子が凝集し液表面に浮遊するため
均一な懸濁液剤を調製することができない。
【0009】液剤の表面張力が低下をはじめる水溶性高
分子の濃度および液剤の表面張力の低下が停止する水溶
性高分子の濃度は、通常、水性懸濁液剤に使用される難
溶性薬物の含有量に応じ増加するが、難溶性薬物の物
性、化学的構造、濃度、粒子径などにより異なる。ま
た、液剤の表面張力が低下をはじめる水溶性高分子の濃
度および液剤の表面張力の低下が停止する水溶性高分子
の濃度は、水溶性高分子の種類によっても異なるが、液
剤の表面張力が低下をはじめる水溶性高分子の濃度は、
通常0.00001〜0.01w/v%、とりわけ0.
00005〜0.005w/v%であり、液剤の表面張
力の低下が停止する水溶性高分子の濃度は、通常0.0
001〜0.1w/v%、とりわけ0.001〜0.0
1w/v%である。本発明の水性懸濁液剤の水溶性高分
子は通常、0.00001〜0.1w/v%、好ましく
は0.00005〜0.05w/v%、より好ましくは
0.0001〜0.01w/v%の濃度範囲内で調製さ
れうる。水溶性高分子と難溶性薬物の割合は、難溶性薬
物1重量部に対して通常、0.0001〜0.2重量
部、好ましくは0.0005〜0.1重量部、より好ま
しくは0.0005〜0.05重量部である。
【0010】本発明で使用される水溶性高分子は、薬学
的に使用される水溶性高分子であれば種類は問わず使用
できるが、中でもセルロース誘導体および水溶性ポリビ
ニル系高分子が好適に使用できる。セルロース誘導体と
しては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロースなどが挙げられ、とりわけヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース
が好ましい。水溶性ポリビニル系高分子としては、例え
ばポリビニルピロリドン K25、ポリビニルピロリド
ン K30、ポリビニルピロリドン K90、ポリビニ
ルアルコール(部分けん化物、完全けん化物)などが挙
げられる。
【0011】本発明に使用される難溶性薬物は、日本薬
局方にいう溶解性を示す用語の「やや溶けにくい」、
「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとん
ど溶けない」の何れの溶解性を示すものでもよく、最終
処方の形態としたときに水性懸濁液剤として提供される
もの全てが含まれる。
【0012】本発明に使用される難溶性薬物の具体的な
例としては、例えばステロイド性抗炎症剤、消炎鎮痛
剤、化学療法剤、合成抗菌剤、抗ウイルス剤、ホルモン
剤、抗白内障剤、血管新生抑制剤、免疫抑制剤、プロテ
アーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤などが挙げら
れる。ステロイド性抗炎症剤としては、例えば酢酸コル
チゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、プレド
ニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、デキサメタゾ
ン、トリアムシノロン、ロテプレドノール、フルオロメ
トロン、ジフルプレドナート、フランカルボン酸モメタ
ゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾ
ン、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、アムシ
ノニド、ハルシノニド、フルオシノロンアセトニド、ト
リアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、酪
酸クロベタゾンなどが挙げられる。消炎鎮痛剤として
は、例えばアルクロフェナク、アルミノプロフェン、イ
ブプロフェン、インドメタシン、エピリゾール、オキサ
プロジン、ケトプロフェン、ジクロフェナクナトリウ
ム、ジフルニサル、ナプロキセン、ピロキシカム、フェ
ンブフェン、フルフェナム酸、フルルビプフェン、フロ
クタフェニン、ペンタゾシン、メチアジン酸、メフェナ
ム酸、モフェゾラクなどが挙げられる。化学療法剤とし
ては、例えばサラゾスルファピリジン、スルファジメト
キシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾー
ル、スルファメトピラジン、スルファモノメトキシンな
どのサルファ剤、エノキサシン、オフロキサシン、シノ
キサシン、スパルフロキサシン、チアンフェニコール、
ナリジクス酸、トシル酸トスフロキサシン、ノルフロキ
サシン、ピペミド酸三水和物、ピロミド酸、フレロキサ
シン、レボフロキサシンなどの合成抗菌剤、アシクロビ
ル、ガンシクロビル、ジダノシン、ジドブジン、ビタラ
ビンなどの抗ウイルス剤、イトラコナゾール、ケトコナ
ゾール、フルコナゾール、フルシトシン、ミコナゾー
ル、ピマリシンなどの抗真菌剤が挙げられる。ホルモン
剤としては、例えばインスリン亜鉛、プロピオン酸テス
トステロン、安息香酸エストラジオールなどが挙げられ
る。抗白内障薬としては、例えばピレノキシンなどが挙
げられる。血管新生抑制剤としては、例えばフマギリン
およびその誘導体などが挙げられる。免疫抑制剤として
は、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、タクロリム
スなどが挙げられる。プロテアーゼ阻害剤としては、例
えば〔L−3−トランス−エトキシカルボニルオキシラ
ン−2−カルボニル〕−L−ロイシン(3−メチルブチ
ル)アミド(E−64−d)などが挙げられる。アルド
ース還元酵素阻害剤としては、例えば5−(3−エトキ
シ−4−ペンチルオキシフェニル)チアゾリジン−2,
4−ジオンなどが挙げられる。
【0013】本発明に使用される難溶性薬物の濃度は使
用する薬物の種類、用途、用法などにより異なるが、通
常0.01〜10.0w/v%、好ましくは0.1〜
5.0w/v%である。
【0014】本発明の水溶性懸濁液剤は表面張力に変化
を与えない範囲で難溶性薬物および水溶性高分子のほか
に緩衝剤(炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、グルタミン酸、
クエン酸塩、ε−アミノカプロン酸など)、等張化剤
(グリセリン、マンニトール、ソルビトール、プロピレ
ングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸
など)、安定化剤(エデト酸ナトリウム、クエン酸ナト
リウムなど)、界面活性剤〔ポリソルベート80、ポリ
オキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、チロキサポー
ル、塩化ベンザルコニウムなど〕、保存剤(パラオキシ
安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベン
ゼトニウム、クロロブタノールなど)、pH調整剤(塩
酸、水酸化ナトリウム、リン酸など)、その他の添加剤
など公知の化合物を適宜添加してもよい。
【0015】なお、水性懸濁液剤の表面張力に影響を与
えるような添加剤、例えば界面活性剤などを使用する場
合には、界面活性剤を配合する前に表面張力を測定し、
水溶性高分子濃度を決定した後に界面活性剤を添加する
ことが好ましい。本発明の水性懸濁液剤のpHは特に限
定されるものではないが、通常4〜9、好ましくは5〜
8であり、水性懸濁液剤の目的とするpHで表面張力を
決定するのが好ましい。
【0016】本発明の水性懸濁液剤は点眼剤、点鼻剤、
注射剤、内服剤およびローション剤などとして好適に利
用できる。
【0017】本発明を以下の試験例および実施例により
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0018】試験例1.表面張力と再分散性試験 〔方法〕懸濁化剤を0.000001〜0.5w/v%
の濃度範囲となる溶液を調製し、被検薬を添加し水性懸
濁液剤とした。それぞれの水性懸濁液剤の表面張力をデ
ィヌーイ式表面張力計K122(クラス社製)を用いて
測定した。ついで5mlの無色ポリプロプレン容器に充
填し、25℃で4日間静置後、容器をバリアブルミック
スローターVMR−5(60rpm,井内社製)で回転
(60回転/分)させ、再分散するまでの時間を測定し
た。また、肉眼により分散粒子の状態を観察した。懸濁
化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース〔メトロ
ーズ60SH(TC−5E);信越化学工業株式会社
製、以下HPMCと略記する〕、メチルセルロース(メ
トローズSM−25;信越化学工業株式会社製、以下M
Cと略記する)、ポリビニルピロリドン(K30;BA
SF社製、以下PVPと略記する)を使用した。被検薬
は、フルオロメトロン0.05w/v%、0.1w/v
%、インドメタシン0.2w/v%、1.0w/v%を
使用した。
【0019】〔結果〕 (1)フルオロメトロン0.1w/v%懸濁液における
表面張力と再分散時間におよぼすHPMCの濃度の関係 フルオロメトロン0.1w/v%懸濁液における表面張
力と再分散性の関係を図1に示す。HPMCが0.00
01w/v%から表面張力が低下し0.01w/v%で
表面張力の低下がほぼ停止した。一方、HPMCが0.
000005〜0.0001w/v%では再分散に要す
る時間は2秒であったが、分散粒子が凝集、浮遊し、均
一な懸濁液剤とならなかった。HPMCが0.0001
〜0.01w/v%では再分散に要する時間は4秒以下
で、すみやかに再分散し、分散粒子の凝集も認められ
ず、均一な懸濁液剤となった。またHPMCが0.01
w/v%以上では再分散に要する時間は5秒以上とな
り、再分散性が悪化することが判明した。HPMCとフ
ルオロメトロンの好適な割合は、フルオロメトロン1重
量部に対して、0.002〜0.08重量部であった。
【0020】(2)フルオロメトロン0.05w/v%
懸濁液における表面張力におよぼすHPMCの濃度の関
係 HPMCが0.0001w/v%(表面張力;65.1
mN/m)から表面張力が低下し0.002w/v%
(表面張力;50.5mN/m)で表面張力の低下がほ
ぼ停止した。当該濃度範囲でのフルオロメトロンの再分
散時間は約6秒で、分散状態は良好であった。HPMC
とフルオロメトロンの好適な割合は、フルオロメトロン
1重量部に対して、0.002〜0.04重量部であっ
た。
【0021】(3)フルオロメトロン0.1w/v%懸
濁液における表面張力と再分散時間におよぼすMCの濃
度の関係 MCが0.0001w/v%以下の濃度では表面張力が
72.5mN/mでほぼ一定であった。MCが0.00
01w/v%から表面張力が低下し、0.01w/v%
での表面張力は54.5mN/mとなり、表面張力の低
下がほぼ停止した。一方、MCが0.0001w/v%
以下の濃度では再分散に要する時間は2秒以下であった
が、分散粒子が凝集、浮遊し、均一な懸濁液剤とならな
かった。MCが0.0001〜0.01w/v%の濃度
範囲では、再分散に要する時間は9〜10.7秒で、速
やかに均一に分散し、分散粒子の凝集は認められなかっ
た。また、MCが0.01w/v%以上の濃度では再分
散に要する時間は20秒近くとなり、再分散性が悪化す
ることが判明した。MCとフルオロメトロンの好適な割
合は、フルオロメトロン1重量部に対して、0.001
〜0.1重量部であった。
【0022】(4)インドメタシン0.2w/v%懸濁
液における表面張力と再分散時間におよぼすHPMCの
濃度の関係 HPMCが0.0001w/v%以下の濃度では表面張
力が72mN/mでほぼ一定であった。HPMCが0.
0001w/v%から表面張力が低下し、0.01w/
v%での表面張力は48mN/mとなり、表面張力の低
下がほぼ停止した。一方、HPMCが0.0001w/
v%以下の濃度では再分散に要する時間は7秒以下であ
ったが、分散粒子が凝集、浮遊し、均一な懸濁液剤とな
らなかった。HPMCが0.0001〜0.01w/v
%の濃度範囲では、再分散に要する時間は6.3〜8.
3秒で、速やかに均一に分散し、分散粒子の凝集は認め
られなかった。また、HPMCが0.01w/v%以上
の濃度では再分散に要する時間は12秒以上となり、再
分散性が悪化することが判明した。HPMCとインドメ
タシンの好適な割合は、インドメタシン1重量部に対し
て、0.0005〜0.05重量部であった。
【0023】(5)インドメタシン1.0w/v%懸濁
液における表面張力と再分散時間におよぼすHPMCの
濃度の関係 HPMCが0.0005w/v%以下の濃度では表面張
力が72.73mN/mでほぼ一定であった。HPMC
が0.0005w/v%から表面張力が低下し、0.0
05w/v%での表面張力は49.7mN/mとなり、
表面張力の低下がほぼ停止した。一方、HPMCが0.
0005w/v%以下の濃度では再分散に要する時間は
7秒以下であったが、分散粒子が凝集、浮遊し、均一な
懸濁液剤とならなかった。HPMCが0.0005〜
0.005w/v%の濃度範囲では、再分散に要する時
間は7.3〜16秒で、速やかに均一に分散し、分散粒
子の凝集は認められなかった。また、HPMCが0.0
05w/v%以上の濃度では再分散に要する時間は20
秒以上となり、再分散性が悪化することが判明した。H
PMCとインドメタシンの好適な割合は、インドメタシ
ン1重量部に対して、0.0005〜0.005重量部
であった。
【0024】(6)フルオロメトロン0.05w/v%
懸濁液における表面張力におよぼすPVPの濃度の関係 PVPが0.0002w/v%(表面張力;72.3m
N/m)から表面張力が低下し0.001w/v%(表
面張力;69.5mN/m)で表面張力の低下がほぼ停
止した。PVPとフルオロメトロンの好適な割合は、フ
ルオロメトロン1重量部に対して、0.004〜0.0
2重量部であった。
【0025】(7)フルオロメトロン0.1w/v%懸
濁液における表面張力におよぼすPVPの濃度の関係 PVPが0.0003w/v%以下の濃度では表面張力
が72.5mN/mでほぼ一定であった。PVPが0.
0003w/v%から表面張力が低下し、0.002w
/v%での表面張力は69.5mN/mとなり、表面張
力の低下がほぼ停止した。当該濃度範囲でのフルオロメ
トロンの再分散時間は約6秒で、分散状態は良好であっ
た。また、PVPが0.002w/v%以上の濃度では
再分散に要する時間は18秒以上となり、再分散性が悪
化することが判明した。PVPとインドメタシンの好適
な割合は、フルオロメトロン1重量部に対して、0.0
03〜0.02重量部であった。
【0026】以上の結果から、水性懸濁液剤の表面張力
は、添加する水溶性高分子の種類、難溶性薬物の種類お
よび濃度により異なるが、水溶性高分子の種類に関係な
く、表面張力が低下をはじめる水溶性高分子の濃度から
表面張力の低下が停止する濃度範囲内において、難溶性
薬物の再分散の良好な懸濁液剤を調製できることが分か
った。
【0027】試験例2.苛酷条件での再分散性試験 〔方法〕後記する実施例2および4の点眼剤を調製し、
5mlのポリプロピレン容器に充填した。200Gで1
0分間遠心して懸濁粒子を沈降させた後、容器をバリア
ブルミックスローターVMR−5(60rpm、井内社
製)で回転(60回転/分)させ、再分散するまでの時
間を測定した。〔結果〕実施例2および4の点眼剤の再
分散時間は、各々4および7秒であった。肉眼観察にお
ける再分散後の懸濁液剤は、微細な粒子が均一に分散し
ていた。以上の結果は、本発明の水性懸濁液剤は、懸濁
粒子を遠心器で強制沈降させるという苛酷な条件のもと
においても再分散性に影響を与えず、また、緩衝剤や保
存剤の影響を受けないことが分かった。
【0028】 実施例1 点眼剤 フルオロメトロン 0.1g メチルセルロース 0.0006g 塩化ナトリウム 0.85g リン酸水素2ナトリウム・12水和物 0.1g 塩化ベンザルコニウム 0.005 g 0.1N塩酸 適量(pH7.0) 精製水 全100ml 精製水約80mlにメチルセルロースを加温して分散さ
せた後、室温まで冷却して溶かした。この溶液に塩化ナ
トリウム、リン酸水素2ナトリウム・12水和物および
塩化ベンザルコニウムを加えて溶かし、0.1N塩酸を
加えてpHを7に調製した。フルオロメトロンを加え、
ホモジナイザーにより均一に懸濁させた。精製水を加え
100mlとし、フルオロメトロン懸濁点眼剤を調製し
た。
【0029】 実施例2 点眼剤 フルオロメトロン 0.05g メチルセルロース 0.00125g 塩化ナトリウム 0.9g リン酸2水素ナトリウム・2水和物 0.1g 塩化ベンザルコニウム 0.005 g 0.1N水酸化ナトリウム 適量(pH7.0) 精製水 全100ml 実施例1と同様にフルオロメトロン懸濁点眼剤を調製し
た。
【0030】 実施例3 点眼剤 フルオロメトロン 0.02g メチルセルロース 0.0001g 塩化ナトリウム 0.85g リン酸水素2ナトリウム・12水和物 0.1g 塩化ベンザルコニウム 0.005g 0.1N塩酸 適量(pH7.0) 精製水 全100ml 実施例1と同様にフルオロメトロン懸濁点眼剤を調製し
た。
【0031】 実施例4 点眼剤 フルオロメトロン 0.05g ポリビニルピロリドン K30 0.0015g 塩化ナトリウム 0.9g リン酸2水素ナトリウム・2水和物 0.1g 塩化ベンザルコニウム 0.005g 0.1N水酸化ナトリウム 適量(pH7.0) 精製水 全100ml 精製水約80mlにポリビニルピロリドン、塩化ナトリ
ウム、リン酸2水素ナトリウム・2水和物および塩化ベ
ンザルコニウムを加えて溶かした。0.1N水酸化ナト
リウムを加えてpHを7に調製した。フルオロメトロン
を加え、超音波により均一に懸濁させた。精製水を加え
全量を100mlとし、フルオロメトロン懸濁点眼剤を
調製した。
【0032】 実施例5 点眼剤 スルファモノメトキシン 0.1g ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.001g 酢酸ナトリウム 0.1g 塩化ベンザルコニウム 0.005g 塩化ナトリウム 0.9g 0.1N塩酸 適量(pH5.0) 精製水 全100ml 精製水約80mlにヒドロキシプロピルメチルセルロー
スを加温して分散させた後、室温まで冷却して溶かし
た。この溶液に塩化ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび
塩化ベンザルコニウム加えて溶かし、0.1N塩酸を加
えpHを5に調製した。スルファモノメトキシンを加
え、ミルにより均一に懸濁させた。精製水を加え100
mlとし、スルファモノメトキシン懸濁点眼剤を調製し
た。
【0033】 実施例6 点鼻剤 酢酸ヒドロコルチゾン 0.1g ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.0008g リン酸2水素ナトリウム 0.1g パラオキシ安息香酸メチル 0.026g パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g 濃グリセリン 2.6g 0.1N水酸化ナトリウム 適量(pH7.0) 精製水 全100ml 精製水約80mlにパラオキシ安息香酸メチルおよびパ
ラオキシ安息香酸プロピルを加温して溶かした。この溶
液にヒドロキシプロピルメチルセルロースを分散させた
後、室温まで冷却して溶かした後、濃グリセリン、リン
酸2水素ナトリウムを加えて溶かした。0.1N水酸化
ナトリウムを加えてpHを7に調製した。酢酸ヒドロコ
ルチゾンを加え、ミキサーにより均一に懸濁させた。精
製水を加え100mlとし、酢酸ヒドロコルチゾン懸濁
点鼻剤を調製した。
【0034】 実施例7 注射剤 安息香酸エストラジオール 5.0 g ヒドロキシプロピルセルロース 0.03 g クロロブタノール 0.3 g 塩化ナトリウム 0.9 g 精製水 全100ml 精製水約80mlにクロロブタノールを加温して溶かし
た。この溶液にヒドロキシプロピルセルロースを分散さ
せた後、室温まで冷却して溶かした。塩化ナトリウムを
加えて溶かし、安息香酸エストラジオールを加え、ホモ
ジナイザーにより均一に懸濁させた。精製水を加え10
0mlとし、安息香酸エストラジオール懸濁注射剤を調
製した。
【0035】 実施例8 内服剤 メフェナム酸 3.0g メチルセルロース 0.01 g ソルビトール 20 g 5%パラオキシ安息香酸エチル液 1 ml 精製水 全100ml 精製水約50mlにメチルセルロースを分散させた後、
室温まで冷却して溶かした。この溶液にソルビトールお
よび5%パラオキシ安息香酸エチル液を加えて溶かし
た。メフェナム酸を加え、ホモジナイザーにより均一に
懸濁させた。精製水を加え100mlとし、安息香酸エ
ストラジオール懸濁内服剤を調製した。
【0036】 実施例9 ローション剤 インドメタシン 7.5 g ヒドロキシプロピルセルロース 0.04 g dlカンフル 0.1 g 精製水 全100ml 精製水約50mlにヒドロキシプロセルロースを分散さ
せた後、室温まで冷却して溶かした。この溶液にdlカ
ンフルを加えて溶かした。インドメタシンを加え超音波
により均一に懸濁させた。精製水を加え100mlと
し、インドメタシン懸濁ローション剤を調製した。
【0037】
【発明の効果】本発明の水性懸濁液剤は再分散性が良好
であるので、点眼剤、点鼻剤、注射剤、内服剤およびロ
ーション剤などの優れた水性懸濁液剤として利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1において0.1w/v%フルオロメト
ロン懸濁液における表面張力と再分散時間におよぼすH
PMCの濃度の関係を示す。図中−●−は表面張力を、
−◆−は再分散時間を示す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液剤の表面張力が低下をはじめる濃度か
    ら表面張力の低下が停止する濃度範囲内の水溶性高分子
    と、難溶性薬物を含有してなる水性懸濁液剤。
  2. 【請求項2】 液剤の表面張力が低下をはじめる水溶性
    高分子の濃度が、0.00001〜0.01w/v%で
    あり、液剤の表面張力の低下が停止する水溶性高分子の
    濃度が、0.0001〜0.1w/v%である請求項1
    記載の水性懸濁液剤。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子の濃度範囲が0.0000
    1〜0.1w/v%である請求項1記載の水性懸濁液
    剤。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子がセルロース誘導体または
    水溶性ポリビニル系高分子である請求項1記載の水性懸
    濁液剤。
  5. 【請求項5】 セルロース誘導体がヒドロキシプロピル
    メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
    ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択
    される少なくとも1種である請求項4記載の水性懸濁液
    剤。
  6. 【請求項6】 水溶性ポリビニル系高分子がポリビニル
    ピロリドン、ポリビニルアルコールから選択される少な
    くとも1種である請求項4記載の水性懸濁液剤。
  7. 【請求項7】 水溶性高分子と難溶性薬物の割合が、難
    溶性薬物1重量部に対して0.0001〜0.2重量部
    である請求項3記載の水性懸濁液剤。
  8. 【請求項8】 点眼剤である請求項1記載の水性懸濁液
    剤。
  9. 【請求項9】 点鼻剤である請求項1記載の水性懸濁液
    剤。
  10. 【請求項10】 注射剤である請求項1記載の水性懸濁
    液剤。
  11. 【請求項11】 内服剤である請求項1記載の水性懸濁
    液剤。
  12. 【請求項12】 ローション剤である請求項1記載の水
    性懸濁液剤。
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