JPH11213766A

JPH11213766A - 発泡電線

Info

Publication number: JPH11213766A
Application number: JP10024026A
Authority: JP
Inventors: Shinya Nishikawa; 信也西川
Original assignee: Sumitomo Electric Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date: 1998-01-22
Filing date: 1998-01-22
Publication date: 1999-08-06
Anticipated expiration: 2018-01-22
Also published as: US6239377B1; JP3267228B2

Abstract

(57)【要約】【解決手段】導体径１ｍｍφ以下、絶縁被覆厚２
ｍｍ以下の発泡ポリオレフィン絶縁電線で、 (イ)等価誘
電率＜１．４５、 (ロ)耐潰れ変形率≦２０％の両方の要
件を兼備する、発泡ポリオレフィン絶縁電線。ポリ
オレフィンとしてアイオノマー／ポリプロピレン樹脂＝
２０：８０〜８０：２０重量部よりなる混合物を使用す
ること。絶縁層が、発泡絶縁層／他のポリオレフィン
を主体とする充実絶縁層の複合構造。絶縁層が、ポリ
エチレン又は酸変性ポリエチレンの充実絶縁層／発泡絶
縁層／他のポリオレフィンを主体とする充実絶縁層の複
合構造。【効果】薄肉から厚肉までの比較的広い範囲の絶縁層
肉厚に対して高発泡度の発泡ポリオレフィン絶縁電線が
製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器内及び通
信ケーブル用の情報電線に用いられる薄肉から厚肉まで
の高発泡ポリオレフィン絶縁電線に関する。詳細には、
本発明は、耐変形性及び絶縁性等の電気特性に優れた、
様々な発泡絶縁層厚みで且つ高発泡度の、特に薄肉ポリ
オレフィン絶縁電線に関する。

【０００２】

【従来の技術及び課題】発泡絶縁体を製造するために
は、通常、ポリオレフインに化学発泡剤を添加した組成
物を使用するかあるいは不活性ガス発泡剤を使用して発
泡させている。情報伝送速度の高速化、電子機器の軽薄
短小化を進めるために、情報電線は更なる高発泡化、細
径化、薄肉化が要求されている。これに対応すべく通信
ケーブル用の情報電線の絶縁被覆として、これまで様々
な密度、分子量、分子量分布を持ったポリエチレンに化
学発泡剤を添加した組成物を使用するかあるいは不活性
発泡剤を使用して発泡させた発泡絶縁層を用いている
が、６０％以上の発泡度と絶縁層肉厚２ｍｍ以下を両立
して安定に製造できる材料では、外からの圧力に対して
電線が変形しやすく、電気特性が安定しない。また、通
信ケーブル用の情報電線の絶縁被覆として、６０％以上
の発泡度と絶嫁層肉厚２ｍｍ以下を比較的安定に製造で
きる材料でも、導体と絶縁層の間に隙間が生じやすく導
体が電線の中心から移動し電気特性が安定しない。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
について種々検討した結果、特定のパラメータで表され
た耐潰れ変形性及び絶縁性等の電気特性に優れた発泡絶
縁層を有する新規な様々な発泡絶縁層厚みで且つ高発泡
度の発泡ポリオレフィン絶縁電線が通信ケーブル用に適
することを見出し、且つ特に、発泡ポリオレフィン絶縁
電線を構成する発泡絶縁材としてアイオノマー樹脂とポ
リプロピレン樹脂との特定割合の混合物を使用すること
により、特に薄肉で且つ高発泡の発泡ポリオレフィン絶
縁電線を提供できることを見出し、本発明を完成するに
至った。

【０００４】即ち、本発明は： (1) 導体径１ｍｍφ以下、絶縁被覆厚２ｍｍ以下の発泡
ポリオレフィン絶縁電線であって、等価誘電率が１．４５より小さい、耐潰れ変形率が２０％以下である、という両方の要件を兼備する、発泡ポリオレフィン絶縁
電線を提供する。また、(2) ポリオレフィンとしてカ
ルボン酸又はカルボン酸無水物基含有共単量体を含む共
重合体の部分金属塩／ポリプロピレン樹脂が２０：８０
〜８０：２０重量部よりなる混合物を使用する点にも特
徴を有する。また、(3) (1) 記載の発泡ポリオレフィ
ン絶縁電線の発泡絶縁層の上層に、更に他のポリオレフ
ィンを主体とする樹脂組成物からなる充実絶縁層を設け
る点にも特徴を有する。また、(4) 更に、導体と上記
発泡絶縁層との間にポリエチレン又はその酸変性ポリエ
チレンからなる充実絶縁層を介在させる点にも特徴を有
する。

【０００５】以下、本発明を詳細に説明する。 (A) 発泡絶縁材料： (i) 樹脂材：発泡ポリオレフィン絶縁電線を構成する発
泡樹脂材としては、特に、アイオノマー樹脂とポリプロ
ピレン樹脂との２０：８０〜８０：２０重量部、好まし
くは４０：６０〜６０：４０よりなる混合物を使用する
ことが必要である。ここで言うアイオノマー樹脂とは、
カルボン酸又はカルボン酸無水物基含有共単量体を含む
共重合体の部分金属塩を指し、代表的にはエチレンとカ
ルボン酸又はカルボン酸無水物、特にα，β不飽和カル
ボン酸又はそのカルボン酸無水物との共重合体の部分金
属塩を指し、例えば特公昭３９−６８１０号公報に記載
される方法によって製造できる。

【０００６】本発明の発泡樹脂材において、アイオノマ
ー樹脂が２０％未満であると、５０％以上の高発泡の発
泡ポリオレフィン絶縁電線が得られない。一方、アイオ
ノマー樹脂が８０％を越えると発泡層の肉厚が２００〜
２０００μｍであって、零に近い比較的低い発泡度から
８０％前後の高い発泡度までの発泡ポリオレフィン絶縁
電線が得られるが、発泡絶縁層が柔らかくなり、外から
の圧力に対して電線が変形し易く、電気特性が安定しな
い。ところが、発泡絶縁層を構成するアイオノマー樹脂
とポリプロピレン樹脂との割合が２０：８０〜８０：２
０重量部の範囲で構成されていると、５０μｍ〜２００
０μｍまで、特に１ｍｍ以下の薄肉の発泡絶縁層厚みで
比較的低い発泡度から８０％前後の高い発泡度まで、特
に６０％以上の高発泡度の発泡ポリオレフィン絶縁電線
を得ることができる。

【０００７】(ii)アイオノマー：本発明で発泡絶縁層を
構成する要素の１つであるアイオノマーは、カルボン酸
又はカルボン酸無水物基含有共単量体を含む共重合体の
部分金属塩を指す。具体的には、エチレンとアクリル
酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、フマル
酸等の炭素数３〜８のα，β不飽和カルボン酸又はその
カルボン酸無水物との共重合体；またはこれに更にアク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸ｎブチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ｎブチル、メタクリル酸イ
ソブチル、フマル酸ジメチル等の炭素数４〜８のα，β
不飽和カルボン酸エステルを第３成分として含有する３
元共重合体中のカルボン酸又はその無水物基の一部又は
全部を金属イオン架橋させたものである。

【０００８】この共重合体の部分金属塩は、その１種又
は２種以上を混合して用いても良い。このように、上記
共重合体の部分金属塩は、特にエチレンと炭素数３〜８
のα，β不飽和カルボン酸又はそのカルボン酸無水物と
の共重合体の分子間が金属イオンで架橋された構造を有
するものである。好ましくはエチレンとアクリル酸及び
／又はメタクリル酸の共重合体の亜鉛、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウムの部分金属塩である。該共重合体
の部分金属塩のＭＦＲは、約０．１〜５００、好ましく
は約１〜１００である。共重合体の部分金属塩のＭＦＲ
が約０．１未満では成形性が不良となり、逆に５００を
超えると発泡層の強度が不足する。

【０００９】共重合体中のカルボン酸又はカルボン酸無
水物成分の含有量は、一般に約０．５〜１５モル％、好
ましくは約１〜６モル％である。共重合体中のカルボン
酸又はカルボン酸無水物成分の含有量が約０．５％未満
では導体との接着力が不足となるし、また１５モル％を
超えて含有しても電線被覆が変形し易くなり好ましくな
い。更に、第３成分としてα，β不飽和カルボン酸エス
テルを含有させても良く、そのエステルの含有量は、一
般に約０．２〜１５モル、好ましくは約１〜１０モル％
である。

【００１０】金属イオン架橋に使用される金属イオンと
しては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等
の１価金属イオン；マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、銅、亜鉛等の２価金属イオンまた
はアルミニウム、鉄等の３価金属イオンが挙げられる。
特に、金属イオンとして亜鉛イオン、ナトリウムイオン
を用いたものは、低吸湿性であるために電気特性の変化
が少なく好ましい。金属化合物の形で用いられる金属イ
オンは、上記共重合体中の酸の含量、１９０℃及び２１
５０ｇ荷重におけるＭＦＲ（メルトフローレート、ｇ／
１０分）等によってその添加量が変化するが、一般には
約１０％以上、好ましくは約１５〜８０％のカルボン酸
又はその無水物基を中和する量で用いられる。

【００１１】(iii) アイオノマーとブレンドできるポリ
プロピレン：発泡絶縁層に用いるアイオノマー樹脂とブ
レンドするポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレ
ンホモポリマーの他にエチレンとのブロックコポリマー
やランダムコポリマーを用いても良い。該ポリプロピレ
ン樹脂のＭＦＲはアイオノマーと十分にブレンドできて
発泡成形できれば特に制限されないが、通常０．５〜１
０、好ましくは２〜５を用いるのが望ましい。

【００１２】（iv) 添加剤：本発明の発泡絶縁材料に
は、必要に応じて通常樹脂に含まれる添加剤を配合して
もよい。該添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫
外線防止剤、帯電防止剤、滑剤、有機又は無機の充填
剤、金属不活性化剤、核剤、染顔料等を挙げることがで
きる。

【００１３】(B) 発泡絶縁層以外のポリオレフィン系充
実絶縁層： (i) （最）上層のポリオレフィン系充実絶縁層本発明では、発泡絶縁層の（最）上層に他のポリオレフ
ィンを主体とする樹脂組成物からなる充実（即ち、未発
泡）絶縁層を設けても良い。このように未発泡層を最外
層に配置することで、耐摩耗性の向上、側圧による発泡
電線の変形が少なくなる等の機械的特性に加えて、発泡
時の発生ガスが絶縁体中に留まり易くなるために更なる
高発泡化が可能となる。該ポリオレフィンとしては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチ
ル共重合体等が挙げられる。特にポリエチレン、例えば
低密度、直鎖状低密度、超低密度、中密度又は高密度の
ポリエチレン；或いはポリプロピレン、例えばポリプロ
ピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブロック又
はランダム共重合体を使用することが好ましい。

【００１４】(ii)最内層のポリオレフィン系充実絶縁層更に、上記最外層のポリオレフィン系充実絶縁層に加え
て、導体と発泡絶縁層との間にポリエチレン又はその酸
変性ポリエチレン（例えば無水マレイン酸変性ポリエチ
レン）からなる充実絶縁層を介在させても良い。導体／
ポリエチレン充実絶縁層／発泡絶縁層／他のポリオレフ
ィン充実絶縁層の３層構造発泡ポリオレフィン絶縁電線
にすると、発泡時の発生ガスが導体側に抜けることも防
ぐことができ、また導体と絶縁層の隙間も一層低減する
ことができ、高発泡化と電気特性の安定化が期待でき
る。

【００１５】(iii) ポリオレフィン系充実絶縁層の厚
み：ポリオレフィン系充実絶縁層の厚みは、特に制限さ
れないが、一般に０．０１〜０．５ｍｍ程度のその機能
を発揮できる範囲とする比較的薄い厚みの適用が望まし
い。

【００１６】(iv)ポリオレフィン発泡絶縁層とポリオレ
フィン系充実絶縁層との複合絶縁層の押出被覆：このよ
うな複合絶縁層の形成には、多層押出機を用いて、例え
ば二層押出機の一方のダイ通路に加熱溶融したポリオレ
フィン系材料を導体上に一定の厚みで押出被覆し、更に
他方のダイ通路に発泡剤混入済みポリオレフィン材料を
上記ポリオレフィン系充実絶縁層上に発泡押出被覆させ
る。勿論、更に、導体に密接してポリオレフィン系充実
絶縁層を設ける複合絶縁層を形成する場合には、三層押
出機を用いて、最内層に相当するダイ通路に加熱溶融し
たポリオレフィン系材料を導入すれば良い。これら押出
被覆は同時でも逐次操作でも良い。

【００１７】(C) 発泡押出成形： (i) 上記発泡絶縁材料を押出機に装填して導体径１ｍｍ
φ以下の導体上に、発泡絶縁被覆厚２ｍｍ以下となるよ
うに発泡度を調整し発泡押出被覆して、等価誘電率が１．４５より小さく、耐潰れ変形
率が２０％以下の両方の要件を兼備するように、発泡ポ
リオレフィン絶縁電線とする必要がある。上記発泡絶縁
材料は、予め単軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー
を用いて混練して均一配合物にすることが望ましい。

【００１８】(ii)発泡ポリオレフィン絶縁電線の導体径
と発泡絶縁厚本発明では、発泡樹脂材としてアイオノマー樹脂／ポリ
プロピレン樹脂との特定割合の混合物を発泡押出するの
で、発泡導体径１ｍｍφ以下、好ましくは０．５ｍｍφ
以下の細径導体上に、発泡絶縁被覆厚２ｍｍ以下、好ま
しくは０．８ｍｍφ以下に押出被覆することができる。
この場合、導体径の下限については一定の電線強度が得
られるなら特に制限されないが、通常０．２ｍｍφ程度
あれば良い。また、発泡絶縁層の厚みの下限は、低い等
価誘電率が得られ且つ耐潰れ変形率が２０％以下と変形
し難いなら特に制限されないが、通常０．１ｍｍ程度あ
れば良い。

【００１９】(iii) 発泡押出：１）発泡押出は、化学発泡剤（分解型発泡剤）又は物理
発泡剤（蒸発型発泡剤）を練り込んだ発泡絶縁材料を押
出機に装填して導体上に、一般に溶融押出温度１５０〜
２５０℃で、幅広い発泡度（低発泡度から高発泡度ま
で）で、特に６０％以上の高発泡の様々な発泡絶縁層厚
みで且つ行われる。上記発泡剤の使用量は、目的とする
発泡倍率、使用する発泡剤の種頚により適宜選択すれば
よい。アイオノマーの含量が所定の範囲にあれば発泡度
は任意に設定でき、低発泡度から高発泡度のものまで発
泡押出できて、広い範囲の発泡絶縁厚みの発泡絶縁層が
得られる。

【００２０】２）特に、通常では両立することの難し
い、高発泡度及び低い耐潰れ変形率で表される高い強度
と低い等価誘電率で表される良好な電気特性を示す発泡
絶縁厚とについて、本発明によると発泡度と発泡絶縁厚
との両立が可能となり、即ち、６０％以上、好ましくは
６５％以上の発泡度でも、発泡絶縁厚２ｍｍ以下、好ま
しくは０．８ｍｍ以下の薄肉の発泡絶縁層を形成でき
て、 (イ)等価誘電率＜１．４５で、 (ロ)耐潰れ変形率≦
２０％と言う両方の要件を兼備する発泡絶縁電線が得ら
れる。

【００２１】３）本発明では、これらの発泡剤をポリオ
レフィン樹脂材料に練り込んだものを押出発泡を行う
が、ベース樹脂全体にこれらの発泡剤を練り込んでも良
いし、予め樹脂の一部に高濃度で発泡剤を練り込んだマ
スターバッチを作っておき、これをベース樹脂とドライ
ブレンドして押出しても良い。４）発泡度は比重法で測定され、その場合下記式（1)で
定義される。

【数１】〔上式で、ρ₀＝発泡前の樹脂密度 ρ＝発泡体の密度〕

【００２２】(iii) 発泡方式：１）発泡用ポリオレフィン絶縁材料の発泡方式として
は、 (イ)化学発泡剤をポリオレフィン絶縁材料に添加し
た混合物を溶融押出機で導体に被覆し押出と同時に発泡
させる化学発泡法、 (ロ)物理発泡剤を溶融押出機内で圧
入し、ポリオレフィン絶縁材料を導体に被覆して押出と
同時に発泡させるガス発泡法或いは (ハ)化学発泡剤の使
用量を極めて少量にして両方式を併用しても良い。

【００２３】２）化学発泡剤としては、その分解温度以
上に加熱されると窒素、二酸化炭素、アンモニア等のガ
スを発生する有機及び無機化合物であり、例えばアゾジ
カルボンアミドおよびその金属塩、４，４’−オキシビ
ス（ベンゼンスルホニルヒドラジド）、各種金属の炭酸
塩、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンス
ルホニルヒドラジド等を挙げることができ、特にアゾジ
カルボンアミドの使用が好ましい。これらの化学発泡剤
は単独又は２種以上を組み合わせて使用しても良い。

【００２４】３）物理発泡剤としては、窒素、アルゴ
ン、炭酸ガス等の不活性ガス；メタン、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、フルオロカーボン等の気体を
挙げることができ、特に窒素の使用が好ましい。４）発泡助剤；更に、発泡助剤を併用しても良い。例え
ば尿素、尿素系化合物、亜鉛華、ステアリン酸亜鉛等の
発泡助剤を挙げることができる。

【００２５】(iv)その他の加工：１）さらに、この発泡電線２本を撚り合わせてツイスト
ペアケーブルとしたり、複数本を含む多芯ケーブルとし
たり、平行にならべたテープ状電線とすることもでき
る。さらに、この電線に予め架橋剤を配合して行う化学
架橋を行っても或いは電子線などの放射線を照射して架
橋しても良い。

【００２６】(D) 発泡ポリオレフィン絶縁電線： (i) 本発明の発泡ポリオレフィン絶縁電線は、上記の方
法で製造されるが、導体径１ｍｍφ以下、発泡絶縁被覆
厚２ｍｍ以下であって、且つ等価誘電率が１．４５より小さく、好ましくは１．
４より小さく、より好ましくは１．３５以下である。耐潰れ変形率が２０％以下、好ましくは１５％以
下、より好ましくは１０％以下である。上記の場合に、等価誘電率が１．４５以上と高い
と、信号の伝送速度が遅くなり好ましくない。また、
耐潰れ変形率が２０％を超えて大きいと、配線時或いは
配線後に電線に側圧を受けた時に電気性能が不安定にな
る。

【００２７】(ii)耐潰れ変形率の測定と定義：１）底面が平面である９．５ｍｍφの円柱状の鉄製棒
を、製造した発泡ポリオレフィン絶縁電線の上に図１に
示すように載せ、５００ｇの荷重をかけて１０分間放置
して、耐潰れ変形率の測定を行う。荷重をかける前の導
体外径と荷重をかけた後の電線外径を測定して次式(2)
で定義される変形率を求める。２）耐潰れ変形率は下記式（2)で定義される。

【数２】この場合、変形率２０％は良好と判断でき、それ以上と
変形率が大きいと、配線時或いは配線後に電線に側圧を
受けた時に電気性能が不安定になる。

【００２８】

【実施例】本発明を下記の表１の実施例、表２、表３の
比較例により詳細に説明するが、これらは本発明の範囲
を制限するものではない。・電線の外径および各層の厚みは電線断面の光学顕微鏡
撮影により行った。・等価誘電率は静電容量、導体外径、電線外径を測定
し、下記式（3)により計算した。

【数３】但し、Ε_l：等価誘電率、Ｃ_s：静電容量、ｄ₁：電線外径（ｍｍ）、ｄ₀：導体外径（ｍｍ）、

【００２９】下記表１〜３に記載した配合組成に従い、
各材料を１７０℃に設定した８インチのオープンロール
ミキサーで混練した後、ベレタイザーにてベレット化
し、０．３ｍｍφのニッケルメッキ線に単軸溶融押出機
（３０ｍｍφ、Ｌ／Ｄ＝２４）を用いて、押出温度２０
０℃の条件で押出成型して発泡電線を作成した。また、
充実（未発泡）層と発泡層との積層構造の電線も単軸押
出機（３０ｍｍ¢、Ｌ／Ｄ＝２４）を組み合わせた装置
にて、各層同時に押出成型する。

【００３０】

【表１】

【００３１】

【表２】

【００３２】

【表３】

【００３３】＜評価＞表１〜３において、１）実施例１、２において、アイオノマー樹脂／ポリプ
ロピレン樹脂＝８０：２０重量部で５０〜２０００μｍ
の発泡絶縁体で発泡度約８０％が達成できることが判
る。これに対して、アイオノマー樹脂／ポリプロピレン
樹脂＝９０：１０重量部の比較例１、２では、発泡度が
７０〜７５％前後と比較的高発泡度が可能となるが、変
形率が大きく良好でない。

【００３４】２）実施例３では、アイオノマー樹脂／ポ
リプロピレン樹脂＝２０：８０重量部でやはり約８０％
の高発泡度が得られることが判る。これに対して、アイ
オノマー樹脂／ポリプロピレン樹脂＝１０：９０重量部
の比較例３では、発泡度が６０％に達しない。３）アイオノマーを使用しない比較例４、５、６では、
例えば比較例４、５では発泡度が５０％前後に留まり高
発泡度が得られず、また比較例６では発泡度が７０％以
上と高発泡であるが変形率が５０％とやはり良好でな
い。

【００３５】４）また、比較例７に示すようにポリプロ
ピレンの代わりにポリエチレンを用いたものでもやはり
発泡度は８０％に遠く及ばない。５）実施例６、７では、それぞれ実施例２、３の発泡ポ
リオレフィン絶縁電線の発泡絶縁層の外層にポリエチレ
ンの未発泡層を被覆したものであるが、未発泡層が無い
ものよりも発泡度が向上し好ましい。

【００３６】６）実施例８、９では、それぞれ実施例
６、７で導体周りに酸変性ポリエチレンの未発泡充実層
を被覆したものであるが、発泡絶縁層の外側に未発泡層
を被覆した実施例６、７の場合ものより更に発泡度が大
きくなることが判った。これに対して、比較例８、９、
１０、１１では、発泡層の外側あるいは／および導体周
りに未発泡層を被覆しても、発泡層がアイオノマー樹脂
／ポリプロピレン樹脂＝２０：８０〜８０：２０重量部
含まれて構成されていないと８０％の高発泡度が得られ
ないことが示されている。

【００３７】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、薄肉から厚肉までの比較的広い範囲の絶縁層肉厚に
対して高発泡度の発泡ポリオレフィン絶縁電線が製造で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】発泡絶縁電線の耐潰れ変形率の測定を説明する
模式図である。

【符号の説明】

１発泡絶縁電線２円柱棒

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】導体径１ｍｍφ以下、絶縁被覆厚２ｍｍ
以下の発泡ポリオレフィン絶縁電線であって、等価誘電率が１．４５より小さい、耐潰れ変形率が２０％以下である、という両方の要件を兼備することを特徴とする、発泡ポ
リオレフィン絶縁電線。
【請求項２】ポリオレフィンとしてカルボン酸又はカ
ルボン酸無水物基含有共単量体を含む共重合体の部分金
属塩／ポリプロピレン樹脂が２０：８０〜８０：２０重
量部よりなる混合物を使用することを特徴とする、請求
項１記載の発泡ポリオレフィン絶縁電線。
【請求項３】請求項１記載の発泡ポリオレフィン絶縁
電線の発泡絶縁層の上層に、更に他のポリオレフィンを
主体とする樹脂組成物からなる充実絶縁層を設けること
を特徴とする、請求項１又は２記載の発泡ポリオレフィ
ン絶縁電線。
【請求項４】更に、導体と上記発泡絶縁層との間にポ
リエチレン又はその酸変性ポリエチレンからなる充実絶
縁層を介在させることを特徴とする、請求項３記載の発
泡ポリオレフィン絶縁電線。