JPH105821A - 継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法Info
- Publication number
- JPH105821A JPH105821A JP15355996A JP15355996A JPH105821A JP H105821 A JPH105821 A JP H105821A JP 15355996 A JP15355996 A JP 15355996A JP 15355996 A JP15355996 A JP 15355996A JP H105821 A JPH105821 A JP H105821A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plug
- heat treatment
- temperature
- steel pipe
- scale layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 title claims abstract description 48
- 239000010959 steel Substances 0.000 title claims abstract description 48
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 title claims abstract description 46
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims abstract description 44
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 title claims abstract description 20
- 239000000463 material Substances 0.000 claims abstract description 93
- 230000009466 transformation Effects 0.000 claims abstract description 27
- 229910000851 Alloy steel Inorganic materials 0.000 claims abstract description 15
- 230000001590 oxidative effect Effects 0.000 claims abstract description 10
- 238000005096 rolling process Methods 0.000 abstract description 8
- 230000000694 effects Effects 0.000 abstract description 5
- 230000003647 oxidation Effects 0.000 description 31
- 238000007254 oxidation reaction Methods 0.000 description 31
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 11
- 238000005553 drilling Methods 0.000 description 7
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 6
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 5
- 229910052759 nickel Inorganic materials 0.000 description 5
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 4
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 4
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 4
- 239000001273 butane Substances 0.000 description 3
- 229910052804 chromium Inorganic materials 0.000 description 3
- 229910052750 molybdenum Inorganic materials 0.000 description 3
- IJDNQMDRQITEOD-UHFFFAOYSA-N n-butane Chemical compound CCCC IJDNQMDRQITEOD-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- OFBQJSOFQDEBGM-UHFFFAOYSA-N n-pentane Natural products CCCCC OFBQJSOFQDEBGM-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- 229910001220 stainless steel Inorganic materials 0.000 description 3
- 239000010935 stainless steel Substances 0.000 description 3
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 3
- 229910052721 tungsten Inorganic materials 0.000 description 3
- ATUOYWHBWRKTHZ-UHFFFAOYSA-N Propane Chemical compound CCC ATUOYWHBWRKTHZ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 238000002485 combustion reaction Methods 0.000 description 2
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 2
- 230000003628 erosive effect Effects 0.000 description 2
- 238000011835 investigation Methods 0.000 description 2
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 2
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 2
- 238000009991 scouring Methods 0.000 description 2
- 208000010201 Exanthema Diseases 0.000 description 1
- 230000001464 adherent effect Effects 0.000 description 1
- 230000008901 benefit Effects 0.000 description 1
- 238000005266 casting Methods 0.000 description 1
- 239000000571 coke Substances 0.000 description 1
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 1
- 201000005884 exanthem Diseases 0.000 description 1
- 238000001192 hot extrusion Methods 0.000 description 1
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 1
- 230000001050 lubricating effect Effects 0.000 description 1
- 238000003754 machining Methods 0.000 description 1
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 1
- 239000011148 porous material Substances 0.000 description 1
- 230000008569 process Effects 0.000 description 1
- 239000001294 propane Substances 0.000 description 1
- 206010037844 rash Diseases 0.000 description 1
- 238000012827 research and development Methods 0.000 description 1
- 239000013077 target material Substances 0.000 description 1
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】寿命の長い穿孔用プラグを得ることができる継
目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の
製造方法を提供する。 【解決手段】(1)低合金鋼でプラグ素材を形成した
後、酸化性雰囲気中で、下記のまたはの条件で熱処
理を施し、プラグ素材の表面に、穿孔時に被穿孔材との
間で潤滑作用を発揮するスケール層を形成させる。 1050〜1250℃に加熱した後、素材のAC3変
態温度〜AC1変態温度で保持 素材のAC3変態温度(TAC3)以下、TAC3−100
(℃)以上の温度で保持 (2)上記(1)の熱処理方法で得られた穿孔用プラグ
を用いて穿孔圧延を行い、継目無鋼管を製造する。
目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の
製造方法を提供する。 【解決手段】(1)低合金鋼でプラグ素材を形成した
後、酸化性雰囲気中で、下記のまたはの条件で熱処
理を施し、プラグ素材の表面に、穿孔時に被穿孔材との
間で潤滑作用を発揮するスケール層を形成させる。 1050〜1250℃に加熱した後、素材のAC3変
態温度〜AC1変態温度で保持 素材のAC3変態温度(TAC3)以下、TAC3−100
(℃)以上の温度で保持 (2)上記(1)の熱処理方法で得られた穿孔用プラグ
を用いて穿孔圧延を行い、継目無鋼管を製造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、継目無鋼管製造用
プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法に関
し、より詳しくは、母材が低合金鋼からなるプラグ素材
の表面に、密着性に優れた酸化スケール層を形成させる
熱処理方法およびこの熱処理方法で得られたプラグを用
いる継目無鋼管の製造方法に関する。
プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法に関
し、より詳しくは、母材が低合金鋼からなるプラグ素材
の表面に、密着性に優れた酸化スケール層を形成させる
熱処理方法およびこの熱処理方法で得られたプラグを用
いる継目無鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管の製造方法は、傾斜穿孔圧延
方式と熱間押し出し方式に大別される。穿孔圧延方式の
中には、プラグミル方式、マンドレルミル方式などがあ
る。プラグミル方式としては、マンネスマンプラグミル
方式が広く採用されている。
方式と熱間押し出し方式に大別される。穿孔圧延方式の
中には、プラグミル方式、マンドレルミル方式などがあ
る。プラグミル方式としては、マンネスマンプラグミル
方式が広く採用されている。
【0003】図1に、傾斜穿孔圧延方式の穿孔工程にお
けるロールと継目無鋼管製造用素材(以下、単に被穿孔
材と記す)と穿孔プラグの関係の模式図を示す。900
〜1300℃程度の温度に加熱された被穿孔材1が、ロ
ール2と穿孔プラグ(以下、単にプラグと記す)3の間
で揉まれる作用を受けて、被穿孔材の穿孔が進行する。
このため、プラグは高温下で強圧下を受けるという過酷
な条件に曝される。したがって、図2に1例を示すよう
に、プラグ1には先端部の溶損4、胴部のえぐれ5のほ
か、焼付、変形などの損傷が生じ、プラグの損耗が激し
い。
けるロールと継目無鋼管製造用素材(以下、単に被穿孔
材と記す)と穿孔プラグの関係の模式図を示す。900
〜1300℃程度の温度に加熱された被穿孔材1が、ロ
ール2と穿孔プラグ(以下、単にプラグと記す)3の間
で揉まれる作用を受けて、被穿孔材の穿孔が進行する。
このため、プラグは高温下で強圧下を受けるという過酷
な条件に曝される。したがって、図2に1例を示すよう
に、プラグ1には先端部の溶損4、胴部のえぐれ5のほ
か、焼付、変形などの損傷が生じ、プラグの損耗が激し
い。
【0004】プラグの材質としては、一般に低合金鋼
(例えば、3%Cr−1%Ni系、0.5%Cr−1%
Ni−3%W系、5%Cr−1%Ni−5%Mo系)が
用いられている。これらの低合金鋼で製造したプラグを
そのまま穿孔圧延に使用すると、上述のようなプラグの
損耗が起こり、プラグの寿命が著しく短い。さらに、プ
ラグの表面状態が悪くなるため、被穿孔材の内表面にか
ぶれ、疵等が多発し、製品の継目無鋼管の表面品質が悪
くなるという問題がある。特に、被穿孔材が13重量%
以上のCrを含むような高Cr鋼あるいはNi基合金の
場合には、穿孔温度が高く、かつプラグの受ける面圧が
高いためプラグの寿命が著しく短く、商業的な使用に耐
えない。例えば、被穿孔材がJIS SUS304の場
合には、1回の穿孔でプラグに先端部の溶損、変形など
が生じるので、再使用することができないのが実態であ
る。
(例えば、3%Cr−1%Ni系、0.5%Cr−1%
Ni−3%W系、5%Cr−1%Ni−5%Mo系)が
用いられている。これらの低合金鋼で製造したプラグを
そのまま穿孔圧延に使用すると、上述のようなプラグの
損耗が起こり、プラグの寿命が著しく短い。さらに、プ
ラグの表面状態が悪くなるため、被穿孔材の内表面にか
ぶれ、疵等が多発し、製品の継目無鋼管の表面品質が悪
くなるという問題がある。特に、被穿孔材が13重量%
以上のCrを含むような高Cr鋼あるいはNi基合金の
場合には、穿孔温度が高く、かつプラグの受ける面圧が
高いためプラグの寿命が著しく短く、商業的な使用に耐
えない。例えば、被穿孔材がJIS SUS304の場
合には、1回の穿孔でプラグに先端部の溶損、変形など
が生じるので、再使用することができないのが実態であ
る。
【0005】このような過酷な条件で使用されるプラグ
の母材には、高温における強度が高く、靱性に優れ、硬
度が高いことなどの性質が要求される。そこで、高温強
度等の材料特性の向上が図られている。この他、プラグ
母材との密着性に優れた酸化スケールをプラグの表面に
形成させ、プラグ寿命を改善する試みがなされている。
の母材には、高温における強度が高く、靱性に優れ、硬
度が高いことなどの性質が要求される。そこで、高温強
度等の材料特性の向上が図られている。この他、プラグ
母材との密着性に優れた酸化スケールをプラグの表面に
形成させ、プラグ寿命を改善する試みがなされている。
【0006】表面に酸化スケール層を備えたプラグを用
いて穿孔圧延する場合には、酸化スケール層は、穿孔圧
延時にプラグと被穿孔材との間で潤滑作用を発揮する。
そのために、プラグの損耗を抑制する働きがあるとされ
ている。
いて穿孔圧延する場合には、酸化スケール層は、穿孔圧
延時にプラグと被穿孔材との間で潤滑作用を発揮する。
そのために、プラグの損耗を抑制する働きがあるとされ
ている。
【0007】例えば、特開昭59−9628号公報に
は、成形されたプラグ素材をCOガス5%未満を含む酸
化性雰囲気中で熱処理する方法、特開昭59−9154
号公報には、所定の化学組成のプラグ素材を酸化性雰囲
気中で熱処理する方法が開示されている。しかし、これ
らの方法によって得られる酸化スケールの性状(密着
性、寿命)は、プラグの材質によって相違する。特に、
酸化スケールと素材の界面の密着力が十分でない場合に
は、高々数回の穿孔でスケールが剥離するので、プラグ
に焼き付き等の損傷が発生するという問題が起こる。
は、成形されたプラグ素材をCOガス5%未満を含む酸
化性雰囲気中で熱処理する方法、特開昭59−9154
号公報には、所定の化学組成のプラグ素材を酸化性雰囲
気中で熱処理する方法が開示されている。しかし、これ
らの方法によって得られる酸化スケールの性状(密着
性、寿命)は、プラグの材質によって相違する。特に、
酸化スケールと素材の界面の密着力が十分でない場合に
は、高々数回の穿孔でスケールが剥離するので、プラグ
に焼き付き等の損傷が発生するという問題が起こる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低合金鋼か
らなるプラグ素材の表面に、プラグの寿命を長くするこ
とができる密着性に優れた酸化スケール層を形成させる
熱処理方法およびその熱処理方法で得られたプラグを用
いる継目無鋼管の製造方法を提供することを目的として
いる。
らなるプラグ素材の表面に、プラグの寿命を長くするこ
とができる密着性に優れた酸化スケール層を形成させる
熱処理方法およびその熱処理方法で得られたプラグを用
いる継目無鋼管の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであって、下記の(1)〜
(3)を要旨とする。
解決するためになされたものであって、下記の(1)〜
(3)を要旨とする。
【0010】(1)低合金鋼で形成されたプラグ素材を
酸化性雰囲気中で、1050〜1250℃に加熱した
後、素材のAC3変態温度〜AC1変態温度で保持する継目
無鋼管製造用プラグの熱処理方法。
酸化性雰囲気中で、1050〜1250℃に加熱した
後、素材のAC3変態温度〜AC1変態温度で保持する継目
無鋼管製造用プラグの熱処理方法。
【0011】(2)低合金鋼で形成されたプラグ素材を
酸化性雰囲気中で、素材のAC3変態温度をTAC3(℃)
と表すとき、(TAC3−100)〜TAC3の温度で加熱
し、プラグ素材の表面にスケール層を形成させる継目無
鋼管製造用プラグの熱処理方法。
酸化性雰囲気中で、素材のAC3変態温度をTAC3(℃)
と表すとき、(TAC3−100)〜TAC3の温度で加熱
し、プラグ素材の表面にスケール層を形成させる継目無
鋼管製造用プラグの熱処理方法。
【0012】(3)上記(1)または(2)の熱処理方
法で得られたプラグを用いて製管する継目無鋼管の製造
方法。
法で得られたプラグを用いて製管する継目無鋼管の製造
方法。
【0013】本発明者らは、上記の課題を解決するため
に研究開発を行った結果、下記のような新たな知見を得
た。上記の本発明の熱処理方法に規定した条件は、下記
〜の知見を基に選定した。
に研究開発を行った結果、下記のような新たな知見を得
た。上記の本発明の熱処理方法に規定した条件は、下記
〜の知見を基に選定した。
【0014】 プラグの寿命に顕著な影響を及ぼす要
因は、酸化スケール(以下、単にスケールと記す)層と
素材との境界部におけるスケール層の密着力である。ス
ケール層の密着力は、スケール層と素材の境界部の状態
に依存する。すなわち、スケール層と素材との境界部が
平滑な場合、スケール層の密着力は極めて弱く、たとえ
スケール層の厚みが厚くても、プラグの寿命は短い。
因は、酸化スケール(以下、単にスケールと記す)層と
素材との境界部におけるスケール層の密着力である。ス
ケール層の密着力は、スケール層と素材の境界部の状態
に依存する。すなわち、スケール層と素材との境界部が
平滑な場合、スケール層の密着力は極めて弱く、たとえ
スケール層の厚みが厚くても、プラグの寿命は短い。
【0015】これに対して、スケール層と素材との境界
部に、素材の結晶粒界の選択酸化(以下、内部選択酸化
と記す)により生成したスケール(くさび状のスケー
ル)が存在する場合には、素材とスケールが相互にくさ
び状に噛み合った構造となるために、スケール層の密着
性に優れている。特に、選択酸化の深さが深く、深さの
深いスケールの単位体積当たりの個数が多いほど、その
スケールのくさび効果が大きいため、密着性の向上作用
が大きい。このような場合には、たとえスケール層の厚
みが薄くてもプラグの寿命は長い。
部に、素材の結晶粒界の選択酸化(以下、内部選択酸化
と記す)により生成したスケール(くさび状のスケー
ル)が存在する場合には、素材とスケールが相互にくさ
び状に噛み合った構造となるために、スケール層の密着
性に優れている。特に、選択酸化の深さが深く、深さの
深いスケールの単位体積当たりの個数が多いほど、その
スケールのくさび効果が大きいため、密着性の向上作用
が大きい。このような場合には、たとえスケール層の厚
みが薄くてもプラグの寿命は長い。
【0016】したがって、内部選択酸化により、くさび
効果を備えたスケール層を安定して形成させることによ
って、プラグ寿命を大幅に延長させることができる。
効果を備えたスケール層を安定して形成させることによ
って、プラグ寿命を大幅に延長させることができる。
【0017】 スケール層と素材との境界部のスケー
ルの状態は、スケール層を形成させる熱処理温度または
スケール層形成後の保持温度の影響を受ける。すなわ
ち、スケール層形成温度または保持温度がプラグ素材の
αとγの2相領域の場合には、α相とγ相との酸化速度
の違い、およびα相とγ相の粒界に偏析したSi、Ni
等に起因する粒界部の優先的な酸化により、内部選択酸
化が進行する。したがって、αとγの2相領域でスケー
ル層を形成させるかまたは保持することによって、スケ
ール層の密着性を向上させることができる。
ルの状態は、スケール層を形成させる熱処理温度または
スケール層形成後の保持温度の影響を受ける。すなわ
ち、スケール層形成温度または保持温度がプラグ素材の
αとγの2相領域の場合には、α相とγ相との酸化速度
の違い、およびα相とγ相の粒界に偏析したSi、Ni
等に起因する粒界部の優先的な酸化により、内部選択酸
化が進行する。したがって、αとγの2相領域でスケー
ル層を形成させるかまたは保持することによって、スケ
ール層の密着性を向上させることができる。
【0018】 αとγの2相領域で加熱し、内部選択
酸化を起こさせて、プラグ素材の表面に密着性に優れた
酸化スケールを形成させることができる熱処理方法とし
ては、上記(1)および(2)に記した2通りがある。
酸化を起こさせて、プラグ素材の表面に密着性に優れた
酸化スケールを形成させることができる熱処理方法とし
ては、上記(1)および(2)に記した2通りがある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の製造方法につい
て具体的に説明する。
て具体的に説明する。
【0020】(a)プラグ素材 本発明の方法が対象としているプラグ素材の材質は、継
目無鋼管製造用の穿孔用プラグに用いられている通常の
低合金鋼である。具体的には、3%Cr−1%Ni系、
0.5%Cr−1%Ni−3%W系、5%Cr−1%N
i−5%Mo系(%表示は重量%)などである。これら
の低合金鋼のプラグ素材を得るためには、所定の化学組
成の低合金鋼を溶製して、プラグの形状に鋳造してもよ
いし、機械加工によってプラグの形状に加工してもよ
い。
目無鋼管製造用の穿孔用プラグに用いられている通常の
低合金鋼である。具体的には、3%Cr−1%Ni系、
0.5%Cr−1%Ni−3%W系、5%Cr−1%N
i−5%Mo系(%表示は重量%)などである。これら
の低合金鋼のプラグ素材を得るためには、所定の化学組
成の低合金鋼を溶製して、プラグの形状に鋳造してもよ
いし、機械加工によってプラグの形状に加工してもよ
い。
【0021】プラグ素材の表面仕上げは、通常の機械加
工仕上げの状態でもよく、ショットブラスト処理を施し
てもよい。
工仕上げの状態でもよく、ショットブラスト処理を施し
てもよい。
【0022】(b)熱処理温度 [熱処理方法−1]この方法の場合には、プラグ素材の
表面にまずスケール層を形成させ、その後温度を下げ
て、スケール層との境界部のプラグ素材側に内部選択酸
化を起こさせ、くさび状のスケールを生成させて、密着
性の高いスケール層を形成させる2段階の処理を行う。
この方法は、プラグ素材の表面にスケール層が形成され
にくい材質あるいは速やかに熱処理をする必要がある場
合に有効である。
表面にまずスケール層を形成させ、その後温度を下げ
て、スケール層との境界部のプラグ素材側に内部選択酸
化を起こさせ、くさび状のスケールを生成させて、密着
性の高いスケール層を形成させる2段階の処理を行う。
この方法は、プラグ素材の表面にスケール層が形成され
にくい材質あるいは速やかに熱処理をする必要がある場
合に有効である。
【0023】スケールの形成温度は、1050℃以上と
する。1050℃未満の場合には、酸化速度が遅いため
に、プラグに必要な厚さのスケール層を形成するのに長
時間を要し実用的でない。スケール形成温度が高すぎる
と、材質によってはスケール層に気孔が生成し、スケー
ルの密着力が低下することがあるので、スケール形成温
度の上限は1250℃とする。
する。1050℃未満の場合には、酸化速度が遅いため
に、プラグに必要な厚さのスケール層を形成するのに長
時間を要し実用的でない。スケール形成温度が高すぎる
と、材質によってはスケール層に気孔が生成し、スケー
ルの密着力が低下することがあるので、スケール形成温
度の上限は1250℃とする。
【0024】内部選択酸化温度は、プラグ素材のAC3変
態温度以下、すなわち、α相とγ相の2相が存在する温
度とする必要がある。AC3変態温度を超える場合には、
プラグ素材はγ相単相であるため、前述のに述べたメ
カニズムによる内部選択酸化が進行しない。その場合に
は、密着性に優れたスケール層が得られないので、AC3
変態温度以下とした。内部選択酸化温度の下限は、AC1
変態温度以上とする必要がある。AC1変態温度未満の場
合には、α相単相となるためである。
態温度以下、すなわち、α相とγ相の2相が存在する温
度とする必要がある。AC3変態温度を超える場合には、
プラグ素材はγ相単相であるため、前述のに述べたメ
カニズムによる内部選択酸化が進行しない。その場合に
は、密着性に優れたスケール層が得られないので、AC3
変態温度以下とした。内部選択酸化温度の下限は、AC1
変態温度以上とする必要がある。AC1変態温度未満の場
合には、α相単相となるためである。
【0025】なお、本発明が対象としているプラグ素材
(低合金鋼)のAC1変態温度およびAC3変態温度は、材
質によって多少相違するが、それぞれおよそ580〜7
80℃、870〜980℃程度である。
(低合金鋼)のAC1変態温度およびAC3変態温度は、材
質によって多少相違するが、それぞれおよそ580〜7
80℃、870〜980℃程度である。
【0026】[熱処理方法−2]この熱処理方法は、プ
ラグ表面へのスケール層の形成と内部選択酸化を同時に
進行させる方法である。この方法は、プラグ素材の表面
にスケールが生成しやすい材質あるいはスケール層の厚
さが薄くてもよい場合の熱処理に適している。
ラグ表面へのスケール層の形成と内部選択酸化を同時に
進行させる方法である。この方法は、プラグ素材の表面
にスケールが生成しやすい材質あるいはスケール層の厚
さが薄くてもよい場合の熱処理に適している。
【0027】スケール層の形成と内部選択酸化を同時に
起こさせることができるのは、AC3変態温度以下であ
る。したがって、本熱処理方法の場合の熱処理温度の上
限はAC3変態温度(TAC3) とした。下限は、原理的に
はα相とγ相の2相が存在する限界温度のAC1変態温度
でよいが、スケール層の形成速度の観点からできるだけ
高い方がよく、TAC3 −100(℃)とした。この温度
に満たない場合には、酸化速度が極めて遅く、内部選択
酸化も十分に起こらない。
起こさせることができるのは、AC3変態温度以下であ
る。したがって、本熱処理方法の場合の熱処理温度の上
限はAC3変態温度(TAC3) とした。下限は、原理的に
はα相とγ相の2相が存在する限界温度のAC1変態温度
でよいが、スケール層の形成速度の観点からできるだけ
高い方がよく、TAC3 −100(℃)とした。この温度
に満たない場合には、酸化速度が極めて遅く、内部選択
酸化も十分に起こらない。
【0028】本発明が対象としている低合金鋼の場合に
は、TAC3 −100(℃)の温度は、上述のようにAC1
変態温度より高い。TAC3からTAC3−100(℃)の範
囲で加熱する場合には、α相とγ相が存在するため、前
述のようにスケール層が形成されるとともに、プラグ素
材とスケール層との境界部に、くさび効果のあるスケー
ルが生成する。
は、TAC3 −100(℃)の温度は、上述のようにAC1
変態温度より高い。TAC3からTAC3−100(℃)の範
囲で加熱する場合には、α相とγ相が存在するため、前
述のようにスケール層が形成されるとともに、プラグ素
材とスケール層との境界部に、くさび効果のあるスケー
ルが生成する。
【0029】(c)熱処理雰囲気 雰囲気としては、酸化性雰囲気とする必要があり、
O2、CO2、H2O等の酸化性ガス単独またはこれらの
混合ガス雰囲気がよい。いずれの雰囲気の場合も、スケ
ール層を安定に、かつ緻密に生成させるために、H2O
を5容積%以上を含ませるのが望ましい。これらの熱処
理雰囲気は、ブタンガス、プロパンガス、コークス炉ガ
ス等を燃焼させることによって得るのがもっとも容易で
ある。
O2、CO2、H2O等の酸化性ガス単独またはこれらの
混合ガス雰囲気がよい。いずれの雰囲気の場合も、スケ
ール層を安定に、かつ緻密に生成させるために、H2O
を5容積%以上を含ませるのが望ましい。これらの熱処
理雰囲気は、ブタンガス、プロパンガス、コークス炉ガ
ス等を燃焼させることによって得るのがもっとも容易で
ある。
【0030】また、熱処理時間は、上記のプラグの材
質、熱処理温度および熱処理雰囲気のガス組成によって
も異なるが、スケールの安定性およびプラグ寿命の点か
ら、スケールの厚みが100〜500μmとなる時間を
選ぶのが望ましい。この程度の厚みのスケール層を得る
のに必要な時間は、熱処理方法−1の場合は1〜7時
間、熱処理方法−2の場合は3〜10時間程度である。
また、熱処理方法−1における内部選択酸化を起こさせ
るための温度での保持時間は1〜5時間程度が適当であ
る。
質、熱処理温度および熱処理雰囲気のガス組成によって
も異なるが、スケールの安定性およびプラグ寿命の点か
ら、スケールの厚みが100〜500μmとなる時間を
選ぶのが望ましい。この程度の厚みのスケール層を得る
のに必要な時間は、熱処理方法−1の場合は1〜7時
間、熱処理方法−2の場合は3〜10時間程度である。
また、熱処理方法−1における内部選択酸化を起こさせ
るための温度での保持時間は1〜5時間程度が適当であ
る。
【0031】なお、熱処理雰囲気についても、プラグの
材質、熱処理温度などによって最適な条件が異なるの
で、対象とする材質に応じて条件を選択するのが望まし
い。
材質、熱処理温度などによって最適な条件が異なるの
で、対象とする材質に応じて条件を選択するのが望まし
い。
【0032】(d)継目無鋼管の製造方法 本発明の方法で熱処理されたプラグ(以下、本プラグと
記す)を用いて、継目無鋼管を製造する場合には、例え
ば、マンネスマンマンドレルミル方式の穿孔に本プラグ
を適用すればよい。図1に示したように、900〜13
00℃程度に加熱した所定の長さの被穿孔剤1の中心部
に対して、プラグ支持竿6を介して本プラグ3を押し当
て、1対のロール2で被穿孔材1を押圧・回転させる。
穿孔が完了した際には、プラグ3および支持竿6を被穿
孔材1から抜き取る。回収したプラグ3については、プ
ラグの表面状態を検査し、使用可能であれば再使用す
る。プラグ表面のスケール層の溶損あるいは胴部のえぐ
れ等により、使用不能と認められた場合には、プラグの
寿命と判断し、使用を中止すればよい。
記す)を用いて、継目無鋼管を製造する場合には、例え
ば、マンネスマンマンドレルミル方式の穿孔に本プラグ
を適用すればよい。図1に示したように、900〜13
00℃程度に加熱した所定の長さの被穿孔剤1の中心部
に対して、プラグ支持竿6を介して本プラグ3を押し当
て、1対のロール2で被穿孔材1を押圧・回転させる。
穿孔が完了した際には、プラグ3および支持竿6を被穿
孔材1から抜き取る。回収したプラグ3については、プ
ラグの表面状態を検査し、使用可能であれば再使用す
る。プラグ表面のスケール層の溶損あるいは胴部のえぐ
れ等により、使用不能と認められた場合には、プラグの
寿命と判断し、使用を中止すればよい。
【0033】
【実施例】表1に、本実施例に用いたプラグ用低合金鋼
の化学組成を示す。溶解炉によって、表1の化学組成の
プラグ用鋼を溶解し、150Kg鋼塊に鋳造した後、鍛
造および切削加工によって、外径140mm(最大
部)、長さ330mmのマンネスマン製管用のプラグ素
材に仕上げた。
の化学組成を示す。溶解炉によって、表1の化学組成の
プラグ用鋼を溶解し、150Kg鋼塊に鋳造した後、鍛
造および切削加工によって、外径140mm(最大
部)、長さ330mmのマンネスマン製管用のプラグ素
材に仕上げた。
【0034】表1に示したプラグ用低合金鋼のうち、鋼
Aは3%Cr−1%Ni系、鋼B、CおよびEは0.5
%Cr−1%Ni−3%W系、鋼FおよびGは5%Cr
−1%Ni−5%Mo系である。また、鋼Dは0.5%
Cr−3%Mo−1%Ni系、鋼Hは5%Cr−1%N
i−5%Mn系、鋼Iは9%Cr−2%Ni−1.5%
Mo系である。
Aは3%Cr−1%Ni系、鋼B、CおよびEは0.5
%Cr−1%Ni−3%W系、鋼FおよびGは5%Cr
−1%Ni−5%Mo系である。また、鋼Dは0.5%
Cr−3%Mo−1%Ni系、鋼Hは5%Cr−1%N
i−5%Mn系、鋼Iは9%Cr−2%Ni−1.5%
Mo系である。
【0035】なお、表1には、各鋼のAC1変態温度(T
AC1)およびAC3変態温度(TAC3)を併記した。
AC1)およびAC3変態温度(TAC3)を併記した。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例1)上記のプラグ素材をブタンガ
ス燃焼雰囲気中(CO2:11容積%、H2O:14容積
%、残部:N2 )で、スケール形成温度に3時間加熱
し、引き続き内部選択酸化を起こさせる温度に3時間保
持する条件で、プラグ素材の表面にスケール層を形成さ
せた。表2に、スケール形成温度およびその後の保持温
度を示した。
ス燃焼雰囲気中(CO2:11容積%、H2O:14容積
%、残部:N2 )で、スケール形成温度に3時間加熱
し、引き続き内部選択酸化を起こさせる温度に3時間保
持する条件で、プラグ素材の表面にスケール層を形成さ
せた。表2に、スケール形成温度およびその後の保持温
度を示した。
【0038】得られた各プラグの表面から顕微鏡観察用
の試験片を採取し、プラグ表面に形成されたスケール層
の厚みおよびスケール層とプラグ素材との境界部の構造
を調査した。さらに、これらのプラグを用いて、SUS
420J1(13%Cr)およびSUS304(18%
Cr−8%Ni)の各ステンレス鋼を穿孔し、プラグの
寿命がくるまでの繰り返し使用回数を調査した。なお、
被穿孔材の外径は192mm、穿孔後の外径と肉厚は、
それぞれ192mm、6.5mmである。また、被穿孔
材の穿孔温度は、SUS420JIは1200〜125
0℃、SUS304は1200〜1300℃程度であ
る。
の試験片を採取し、プラグ表面に形成されたスケール層
の厚みおよびスケール層とプラグ素材との境界部の構造
を調査した。さらに、これらのプラグを用いて、SUS
420J1(13%Cr)およびSUS304(18%
Cr−8%Ni)の各ステンレス鋼を穿孔し、プラグの
寿命がくるまでの繰り返し使用回数を調査した。なお、
被穿孔材の外径は192mm、穿孔後の外径と肉厚は、
それぞれ192mm、6.5mmである。また、被穿孔
材の穿孔温度は、SUS420JIは1200〜125
0℃、SUS304は1200〜1300℃程度であ
る。
【0039】表2に、プラグ素材の熱処理条件および上
記の調査結果を示す。
記の調査結果を示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2から明らかなように、プラグ素材への
スケール層形成温度が1050℃以上で1250℃以
下、内部選択酸化を起こさせるための保持温度がAC1変
態温度(TAC1)以上でAC3変態温度(TAC3)以下の範
囲内にある本発明例については、鋼A〜鋼Iのいずれの
鋼についても、スケール層とプラグ素材との境界部に内
部選択酸化が認められた。図3に、内部選択酸化の1例
を示す。プラグ素材(白地)とスケール層(黒地)の境
界部に、内部酸化によって形成される素材側から伸びた
くさび状の部分が存在することが認められる。このくさ
び状の部分によって、スケール層の密着性が向上する。
また、表2に示したように、本発明例のプラグは、スケ
ール層の厚さも200〜450μmと適度であった。
スケール層形成温度が1050℃以上で1250℃以
下、内部選択酸化を起こさせるための保持温度がAC1変
態温度(TAC1)以上でAC3変態温度(TAC3)以下の範
囲内にある本発明例については、鋼A〜鋼Iのいずれの
鋼についても、スケール層とプラグ素材との境界部に内
部選択酸化が認められた。図3に、内部選択酸化の1例
を示す。プラグ素材(白地)とスケール層(黒地)の境
界部に、内部酸化によって形成される素材側から伸びた
くさび状の部分が存在することが認められる。このくさ
び状の部分によって、スケール層の密着性が向上する。
また、表2に示したように、本発明例のプラグは、スケ
ール層の厚さも200〜450μmと適度であった。
【0042】一方、プラグ素材へのスケール層形成温度
が1000℃以下または1300℃以上、保持温度が、
AC1変態温度(TAC1)未満またはAC3変態温度
(TAC3)超えの比較例については、鋼A〜鋼Iのうち
鋼Eを除いて、いずれの鋼についても、スケール層とプ
ラグ素材との境界部に内部選択酸化が認められなかっ
た。また、スケール層の厚さも、スケール形層成温度が
1300℃以上の場合は600μmと異常に厚いものが
あり、スケール層形成温度が1000℃以下と低い場合
には、100μm以下で十分な厚さが得られなかった。
なお、比較例の鋼CおよびDのスケール層形成温度は、
本発明で規定する範囲内に入っているが、保持温度が本
発明で規定する範囲から外れているために、内部選択酸
化が起こらなかった。
が1000℃以下または1300℃以上、保持温度が、
AC1変態温度(TAC1)未満またはAC3変態温度
(TAC3)超えの比較例については、鋼A〜鋼Iのうち
鋼Eを除いて、いずれの鋼についても、スケール層とプ
ラグ素材との境界部に内部選択酸化が認められなかっ
た。また、スケール層の厚さも、スケール形層成温度が
1300℃以上の場合は600μmと異常に厚いものが
あり、スケール層形成温度が1000℃以下と低い場合
には、100μm以下で十分な厚さが得られなかった。
なお、比較例の鋼CおよびDのスケール層形成温度は、
本発明で規定する範囲内に入っているが、保持温度が本
発明で規定する範囲から外れているために、内部選択酸
化が起こらなかった。
【0043】これらのプラグを用いて穿孔試験を行い、
寿命がくるまでのプラグの繰り返し使用回数を調べた。
その結果を、表2に穿孔回数として示した。
寿命がくるまでのプラグの繰り返し使用回数を調べた。
その結果を、表2に穿孔回数として示した。
【0044】本発明例については、SUS420J1を
穿孔した場合は6〜8回、SUS304を穿孔した場合
は4〜5回の繰り返し使用が可能であった。これに対し
て、比較例については、1例を除いてSUS420J
1、SUS430ともに、1回の穿孔でプラグは使用不
能となった。なお、上述のように、比較例の鋼Eについ
ては、内部選択酸化が認められたが、穿孔試験結果は悪
く、スケール層の性状としては不良であったことが裏付
けられた。
穿孔した場合は6〜8回、SUS304を穿孔した場合
は4〜5回の繰り返し使用が可能であった。これに対し
て、比較例については、1例を除いてSUS420J
1、SUS430ともに、1回の穿孔でプラグは使用不
能となった。なお、上述のように、比較例の鋼Eについ
ては、内部選択酸化が認められたが、穿孔試験結果は悪
く、スケール層の性状としては不良であったことが裏付
けられた。
【0045】本発明例のプラグの寿命が著しく長い理由
は、上記のようにスケール層とプラグ素材との境界部に
内部選択酸化が生じており、プラグ素材に対するスケー
ル層の密着性が優れているためである。
は、上記のようにスケール層とプラグ素材との境界部に
内部選択酸化が生じており、プラグ素材に対するスケー
ル層の密着性が優れているためである。
【0046】(実施例2)実施例1の場合と同じブタン
ガス燃焼雰囲気中で、前述のプラグ素材にスケール層を
形成させた。実施例2については、スケール層の形成と
内部選択酸化を同じ温度で起こさせる熱処理条件とし
た。鋼A〜鋼Iそれぞれに対して、表3に示す温度で、
6時間保持する熱処理を施した。
ガス燃焼雰囲気中で、前述のプラグ素材にスケール層を
形成させた。実施例2については、スケール層の形成と
内部選択酸化を同じ温度で起こさせる熱処理条件とし
た。鋼A〜鋼Iそれぞれに対して、表3に示す温度で、
6時間保持する熱処理を施した。
【0047】得られた各プラグの表面から顕微鏡観察用
の試験片を採取し、プラグ表面に形成されたスケール層
の厚みおよびスケール層とプラグ素材との境界部の構造
を調査した。さらに、これらのプラグを用いて、SUS
420J1(13重量%Cr)およびSUS304(1
8重量%Cr)の各ステンレス鋼を穿孔し、プラグの寿
命がくるまでの繰り返し使用回数を調査した。なお、被
穿孔材の外径は192mm、穿孔後の外径と肉厚は、そ
れぞれ192mm、6.5mmである。また、被穿孔材
の穿孔温度は、SUS420JIは1200〜1250
℃、SUS304は1200〜1300℃程度である。
の試験片を採取し、プラグ表面に形成されたスケール層
の厚みおよびスケール層とプラグ素材との境界部の構造
を調査した。さらに、これらのプラグを用いて、SUS
420J1(13重量%Cr)およびSUS304(1
8重量%Cr)の各ステンレス鋼を穿孔し、プラグの寿
命がくるまでの繰り返し使用回数を調査した。なお、被
穿孔材の外径は192mm、穿孔後の外径と肉厚は、そ
れぞれ192mm、6.5mmである。また、被穿孔材
の穿孔温度は、SUS420JIは1200〜1250
℃、SUS304は1200〜1300℃程度である。
【0048】表3に、プラグ素材の熱処理温度とともに
上記の調査結果を示した。
上記の調査結果を示した。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示されているように、プラグ素材の
熱処理温度が、AC3変態温度(TAC3) に対して、マイ
ナス100℃の範囲内にある本発明例については、鋼A
〜鋼Iのいずれの鋼についても、スケール層とプラグ素
材との境界部に、実施例1の場合と同様な内部選択酸化
が認められた。また、表3に示したように、本発明例の
プラグは、スケール層の厚さも200〜300μmと適
度であった。
熱処理温度が、AC3変態温度(TAC3) に対して、マイ
ナス100℃の範囲内にある本発明例については、鋼A
〜鋼Iのいずれの鋼についても、スケール層とプラグ素
材との境界部に、実施例1の場合と同様な内部選択酸化
が認められた。また、表3に示したように、本発明例の
プラグは、スケール層の厚さも200〜300μmと適
度であった。
【0051】一方、プラグ素材の熱処理温度が、AC3変
態温度(TAC3) マイナス100℃(TAC3−100)
に満たない比較例については、鋼A〜鋼Iのいずれの鋼
についても、スケール層とプラグ素材との境界部に内部
選択酸化が認められなかった。また、スケール層の厚さ
も120μm以下であり、スケール層が安定して形成さ
れない傾向があることが分かった。
態温度(TAC3) マイナス100℃(TAC3−100)
に満たない比較例については、鋼A〜鋼Iのいずれの鋼
についても、スケール層とプラグ素材との境界部に内部
選択酸化が認められなかった。また、スケール層の厚さ
も120μm以下であり、スケール層が安定して形成さ
れない傾向があることが分かった。
【0052】これらのプラグを用いて穿孔試験を行い、
寿命がくるまでのプラグの繰り返し使用回数を調べた結
果については、表3に穿孔回数として示した。本発明例
については、SUS420J1を穿孔した場合は7〜8
回、SUS304を穿孔した場合は4〜5回の繰り返し
使用が可能であった。これに対して、比較例について
は、数例を除いてSUS420J1、SUS430とも
に、1回の穿孔でプラグは使用不能となった。
寿命がくるまでのプラグの繰り返し使用回数を調べた結
果については、表3に穿孔回数として示した。本発明例
については、SUS420J1を穿孔した場合は7〜8
回、SUS304を穿孔した場合は4〜5回の繰り返し
使用が可能であった。これに対して、比較例について
は、数例を除いてSUS420J1、SUS430とも
に、1回の穿孔でプラグは使用不能となった。
【0053】
【発明の効果】本発明の方法で継目無鋼管製造用プラグ
を製造することにより、穿孔時の寿命が著しく長いプラ
グを得ることができる。また、本発明の熱処理方法で得
られるプラグは、ステンレス鋼、高合金鋼、Ni基合金
鋼等、穿孔時の変形抵抗が高く、穿孔時にプラグに焼き
付き等の損傷が生じやすい鋼の穿孔にも、寿命が長いと
いう優れた特長を持っている。したがって、本発明の熱
処理方法で得られるプラグを用いて継目無鋼管を製造す
る場合には、生産性を高めることができるばかりでな
く、内面品質に優れた継目無鋼管を安定して供給するこ
とが可能である。
を製造することにより、穿孔時の寿命が著しく長いプラ
グを得ることができる。また、本発明の熱処理方法で得
られるプラグは、ステンレス鋼、高合金鋼、Ni基合金
鋼等、穿孔時の変形抵抗が高く、穿孔時にプラグに焼き
付き等の損傷が生じやすい鋼の穿孔にも、寿命が長いと
いう優れた特長を持っている。したがって、本発明の熱
処理方法で得られるプラグを用いて継目無鋼管を製造す
る場合には、生産性を高めることができるばかりでな
く、内面品質に優れた継目無鋼管を安定して供給するこ
とが可能である。
【図1】傾斜穿孔圧延方式の穿孔工程におけるロールと
被穿孔材と穿孔プラグの関係を示す模式図である。
被穿孔材と穿孔プラグの関係を示す模式図である。
【図2】穿孔によって生じるプラグ表面の損傷を説明す
るための図である。
るための図である。
【図3】プラグ素材とスケール層の境界部における内部
酸化の1例を示す図である。
酸化の1例を示す図である。
1 被穿孔材 2 ロール 3 プラグ
Claims (3)
- 【請求項1】低合金鋼で形成されたプラグ素材を酸化性
雰囲気中で、1050〜1250℃に加熱した後、同じ
く酸化性雰囲気中で素材のAC3変態温度とAC1変態温度
の間の温度で保持し、プラグ素材の表面にスケール層を
形成させることを特徴とする継目無鋼管製造用プラグの
熱処理方法。 - 【請求項2】低合金鋼で形成されたプラグ素材を酸化性
雰囲気中で、素材のAC3変態温度をTAC3(℃)と表す
とき、(TAC3−100)とTAC3の間の温度で加熱し、
プラグ素材の表面にスケール層を形成させることを特徴
とする継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法。 - 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の熱処理方
法で得られたプラグを用いて製管することを特徴とする
継目無鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15355996A JPH105821A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15355996A JPH105821A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH105821A true JPH105821A (ja) | 1998-01-13 |
Family
ID=15565150
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15355996A Pending JPH105821A (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | 継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH105821A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013080528A1 (ja) | 2011-11-30 | 2013-06-06 | Jfeスチール株式会社 | 穿孔圧延用工具 |
JP2021107092A (ja) * | 2019-12-27 | 2021-07-29 | Jfeスチール株式会社 | 継目無鋼管製造用プラグ、継目無鋼管製造用ピアッシングミルおよび継目無鋼管の製造方法 |
-
1996
- 1996-06-14 JP JP15355996A patent/JPH105821A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013080528A1 (ja) | 2011-11-30 | 2013-06-06 | Jfeスチール株式会社 | 穿孔圧延用工具 |
US9194031B2 (en) | 2011-11-30 | 2015-11-24 | Jfe Steel Corporation | Tool for piercing mill |
JP2021107092A (ja) * | 2019-12-27 | 2021-07-29 | Jfeスチール株式会社 | 継目無鋼管製造用プラグ、継目無鋼管製造用ピアッシングミルおよび継目無鋼管の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6747524B2 (ja) | 鋼材、及び、鋼材の製造方法 | |
JP4264755B2 (ja) | 熱間加工用工具鋼、熱間加工用工具および継目無管製造用プラグ | |
JP2940188B2 (ja) | 熱間製管工具及びその製造方法 | |
JP3292122B2 (ja) | 継目無鋼管製造用工具 | |
AU2019251876A1 (en) | Steel pipe and method for producing steel pipe | |
JP2707839B2 (ja) | マルテンサイト系継目無鋼管とその製造方法 | |
JP3711959B2 (ja) | 耐熱用低合金鋼管およびその製造方法 | |
JPH105821A (ja) | 継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法および継目無鋼管の製造方法 | |
JP2778140B2 (ja) | Ni基合金製熱間工具及びその熱間工具の後処理方法 | |
JP4388676B2 (ja) | 継目無管製造用工具及びその製造方法 | |
JPH10291008A (ja) | 熱間製管用工具及びその製造方法 | |
JPH08206709A (ja) | 熱間製管工具およびその製造方法 | |
JP3635531B2 (ja) | 継目無管製造用工具及びその製造方法 | |
JP4258580B2 (ja) | 継目無鋼管製造用工具およびその製造方法 | |
JPH10137818A (ja) | 継目無鋼管穿孔圧延用プラグ | |
CN113584263A (zh) | 一种消除s31035高合金奥氏体耐热钢中混晶的方法 | |
JP6919493B2 (ja) | 継目無鋼管の製造方法 | |
JP2581154B2 (ja) | 鋼管穿孔機用プラグ | |
JP4704798B2 (ja) | 継目無管製造用リーラープラグ | |
JPH09195002A (ja) | 継目無管製造用プラグおよび継目無管の製造方法 | |
JPH08225887A (ja) | 継目無管製造用プラグ | |
JPH11197716A (ja) | 継目無鋼管製造用プラグミルプラグ | |
JPH03193204A (ja) | 熱間継目無管製造用プラグ | |
JPS5930770B2 (ja) | 耐熱耐摩耗性工具材料の製造方法 | |
JP7111092B2 (ja) | 継目無鋼管圧延用プラグ、継目無鋼管圧延用プラグの製造方法、継目無鋼管圧延用プラグミル、継目無鋼管の圧延方法および継目無鋼管の製造方法 |