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JPH10329493A - 曲面転写方法 - Google Patents

曲面転写方法

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Publication number
JPH10329493A
JPH10329493A JP15608097A JP15608097A JPH10329493A JP H10329493 A JPH10329493 A JP H10329493A JP 15608097 A JP15608097 A JP 15608097A JP 15608097 A JP15608097 A JP 15608097A JP H10329493 A JPH10329493 A JP H10329493A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
layer
substrate
transfer sheet
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP15608097A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Ono
晴男 大野
Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
Hirohisa Yoshikawa
浩久 吉川
Masaru Okamoto
優 岡本
Haruo Miyashita
治雄 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP15608097A priority Critical patent/JPH10329493A/ja
Publication of JPH10329493A publication Critical patent/JPH10329493A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面に転写シートを確実に転写
しながら、表面物性に優れた化粧材を効率良く製造す
る。 【解決手段】 被転写基材Bの凹凸面側に下塗り層や接
着剤層等の層3を施した面に、支持体1と転写層2とか
らなる転写シートSの転写層側を対向させ、固体粒子P
を転写シートの支持体側に衝突させ、その衝突圧で転写
シートを被転写基材に圧接後、支持体を剥離除去したの
後、更にトップコート層4を施す。この際、転写層を反
応性官能基を有する熱可塑性樹脂から構成し、転写層と
表裏で接するトップコート層や、被転写基材側に設けた
接着剤層や下塗り層等の層3中の樹脂主剤中に架橋剤を
含有させ、これら層中の反応性官能基を転写層中の反応
性官能基と化学結合をさせて、これら層を一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等の化粧材について、特に装飾さ
れ且つ耐久性の有る凹凸表面を有し、外装用途等にも適
する化粧材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直交する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹
凸(すなわち、半球面の様に2方向に曲率を有する形
状)の場合に適用できる曲面装飾技術としては、例えば
特開平5−139097号公報に提案されている。すな
わち、同号公報の技術は転写法による表面装飾法であ
り、転写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを
用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次
設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する基材上に
設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製
の熱ローラで押圧して、絵柄を転写することによって化
粧板を得るものである。また、支持体と剥離層間に転写
時の熱で発泡する発泡層を設け、この発泡も利用して基
材の凹凸表面に追従させようとするものである。
【0003】また、サイディング等の外装用途の化粧材
においては、耐水性等の耐久性が要求される為、従来
は、ウレタン系樹脂等による2液硬化型塗料を用い、そ
れを基材に直接塗装する等している。しかし、塗装では
単純な装飾しか出来ず、印刷により装飾する場合には、
基材が三次元的な凹凸表面等の場合には、上記した様な
方法が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的曲面までしか対応できず、ま
た、特開平5−139097号公報が提案する技術で
は、三次元的曲面も対応できるが、基本的に回転する熱
ローラのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸に追従
させる為に、浅いエンボス形状は良いとしても大きな表
面凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムローラが損耗し易い。また、
転写シートに発泡層を設ける構成では、転写シートが複
雑高価になり過ぎる。また、全体として平板状の基材に
限定されるといった問題があった。また、耐久性等の点
で高物性が要求される場合に、ウレタン系樹脂等による
2液硬化型樹脂の硬化物による転写層を採用した転写シ
ートを用いると、被転写面が平面の場合は良いが、凹凸
表面では転写層が追従しきれずに、割れ(クラック)が
入ってしまう。また、1液硬化型樹脂等の未硬化物でま
だ熱可塑性を呈する状態の転写層とすれば、凹凸表面に
も転写でき、そして転写後に硬化すれば転写層には高物
性が得られる。しかし、転写に先立ち被転写基材へ下塗
り塗装等で基材処理層を施し、また、転写後に更にトッ
プコート層を施す場合では、転写層自体が高物性となっ
ても、これら基材処理層やトップコート層と転写層との
密着性が不足し、耐水性や耐溶剤性等の点で高物性が得
られない。更に、転写直後の初期接着力が低く、接着が
不十分な状態で転写シートの支持体を剥がすと、転写層
が支持体側に残留し、転写されないと言う不具合を生じ
易いといった問題があった。
【0005】そこで、本発明は、大きな三次元的凹凸表
面にも転写でき表面装飾性、耐久性に優れた化粧材が得
られ、且つ転写圧の押圧に特殊形状の治具を必要とせ
ず、ゴムローラ等部品の損耗による交換の必要の無い、
曲面転写方法及び装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法では、支持体と転写層と
からなる転写シートを被転写基材へ押圧して圧接する手
段として、転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用した。すなわち、凹凸表面を有す
る被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支
持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、
被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行い、転
写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体を剥離
除去することで、転写層を被転写基材に転写する様にし
た。この際、転写シートには、転写層が熱可塑性樹脂か
らなる転写シートを用い、被転写基材の凹凸表面への追
従性を良好なものとした。更に本発明では、転写層を被
転写基材に転写する前に、被転写基材に下塗り層又は/
及び接着剤層を設けておき、これに転写後に、転写され
た転写層上にトップコート層を設ける際に、転写層を構
成する熱可塑性樹脂が反応性官能基を有し、且つ少なく
とも転写層の表裏に接する層となるトップコート層と下
塗り層又は接着剤層とが、樹脂主剤中に架橋剤を含有し
ており、転写層と接するこれら層中の樹脂主剤又は架橋
剤の反応性官能基と転写層の反応性官能基とを化学結合
を生じる様に反応させることとした。その結果、転写層
とその表裏の層との密着性を向上させ、凹凸表面への転
写と耐水性や耐溶剤性等の優れた高物性との両立を実現
した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法の実
施の形態を説明する。先ず、図1は本発明の一形態を示
す概念図である。すなわち、支持体1と転写層2とから
なる転写シートSとして、転写層2が熱可塑性樹脂から
なる転写シートを用いる。また、同図に示す形態では、
被転写基材Bにはその凹凸表面に予め、下塗り層又は/
及び接着剤層等からなる基材処理層3を設けておく。そ
して、転写シートSの転写層2側を、被転写基材Bの基
材処理層3が既に設けてある凹凸表面側に対向させて
〔図1(A)〕、転写シートSの支持体1側に多数の固
体粒子Pを衝突させ、その衝突圧を利用して、転写シー
トSを被転写基材Bに押圧して、転写シートSを被転写
基材Bの凹凸表面へ追従成形させ、転写シートSを被転
写基材Bに圧接する〔図1(B)〕。転写層の被転写基
材への接着は、少なくとも転写層を構成する熱可塑性樹
脂の熱融着により行われる。そして、転写シートの転写
層2が、被転写基材Bに接着した後、転写シートSの支
持体1を被転写基材Bから剥離除去する事で、先ず、転
写層2が被転写基材Bの凹凸表面(の基材処理層上)転
写された一応の化粧材Dが得られる〔図1(C)〕。転
写層は熱可塑性樹脂から構成されているので、被転写基
材の凹凸表面への良好な形状追従性を以て転写が行われ
ることになる。
【0008】化粧材Dとしてはこのままでも良いが、更
に転写後の転写層上にトップコート層を施す。この際、
転写層の裏側で接し基材処理層となる下塗り層や接着剤
層とトップコート層とには架橋剤を含有させておき、な
お且つ転写層の熱可塑性樹脂に反応性官能基を有する樹
脂を用いて、転写層と接するこれら転写層の表裏で接す
る層中の架橋剤と転写層の反応性官能基とを化学結合を
生じる様に反応させて転写層とこれら層とを化学結合に
より一体化させる〔図1(D)〕。下塗り層は、例え
ば、目止めや接着性向上等を目的とした層である 共有
結合等の化学結合は、一般的な接着で起きると予想され
る極性基間の水素結合よりも結合エネルギーが大きく、
その結果はるかに強い層間密着力を実現できる。この
為、転写層とその表裏の層との密着性を強固にでき、凹
凸表面への転写と耐水性、耐溶剤性や耐熱性等の優れた
高物性との両立が実現される。
【0009】以下、さらに本発明を詳述する。
【0010】〔被転写基材〕先ず、本発明の被転写基材
Bとしては、被転写面が平坦な平面でももちろん適用で
きるが、本発明が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表
面であり、特にその凹凸が三次元的である被転写基材で
ある。従来の回転接触する押さえ治具(前述の特公昭6
1−5895号公報)や、ゴム製の転写ローラ(前述の
特開平5−139097号公報参照)では、その回転軸
による方向性を本質的に有しているために、適用できる
表面凹凸形状が制約される。即ち前者では、1軸方向に
のみ曲率を有する二次元的凹凸に限定され、また、後者
では2軸方向に曲率を有する三次元的凹凸への転写が可
能でもその三次元形状は任意の方向に均質に適用できな
い。例えば、木目導管柄の長手方向は、転写シートの送
り方向に平行にしないと、導管凹部には旨く転写できな
い。しかも、後者は基材形状は平板状に事実上限定さ
れ、それ以外は基材形状毎にその都度合わせた特殊形状
の転写ローラとでもしない限り不可能である。ところ
が、本発明では、後述の様に、流体的に振る舞うことが
できる固体粒子群の衝突圧を利用するため、表面凹凸の
三次元的形状に対して圧力印加領域の面的な方向性を本
質的に持たない。(この方向性とは、圧力が印加される
被転写基材上のポイントの時間的位置変化の方向のこと
である。)従って、転写シートや被転写基材の送り方向
に凹凸がある形状を持つ被転写基材でも構わない。すな
わち、送り方向のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹
凸がある二次元的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と
2方向に凹凸がある三次元的凹凸にも適用できることを
意味する。なお、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たな
い点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置し一つ
ずつ圧接密着する様に、固体粒子を噴出する噴出器を移
動、又は噴出器固定で転写シートと被転写基材とを移動
させて、衝突圧が印加される領域が移動していく様子を
考えれば、容易に理解できる。
【0011】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、断面が円弧状に凸又は
凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有す
る基材でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元
的な表面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転
写基材の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例
えば幅方向として、或いは送り方向として転写するかは
作業性等を考慮して任意にできる。また、大柄な凹凸に
重畳して微細な凹凸を有する凹凸表面の被転写基材、或
いは凹凸表面の凹部底部や凹部内側面に転写すべき面を
有する被転写基材も可能である。前記大柄な凹凸と微細
な凹凸とは、例えば図12(B)の如く被転写基材の凹
凸が大柄な凹凸401、402とその凸部402上にあ
る微細な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状
は段差が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部
の幅が5mm以上のもので構成されるものであり、微細
な凹凸形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも
小さく、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の
幅及び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の
凸部の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な
凹凸との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表
面凹凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例え
ば、大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉
瓦、石等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸
としてスタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸
模様、花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材
表面の凹凸等の石目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様
として目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造
木目板模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、ヘ
アライン等を有する木目調の凹凸模様が挙げられる。な
お、凹凸面を構成する各面は、平面のみから、曲面のみ
らか、或いは平面と曲面の組み合わせと任意である。従
って、本発明の被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の
歯形の様に複数の平面のみから構成される曲面を持たな
い凹凸面も意味する。また、本発明でいう曲率とは、立
方体の辺或いは頂点の周辺の様に角張っている曲率無限
大(曲率半径=0)の場合も包含する。なお、被転写基
材表面を所望の凹凸とするには、プレス加工、エンボス
加工、押し出し加工、切削加工、成形加工等によれば良
い。
【0012】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し出しセメント
板、ALC(軽量発泡コンクリート)板、GRC(硝子
繊維強化コンクリート)板等の非陶磁器窯業系板、木材
単板や木材合板、パーティクルボード、或いは木質中密
度繊維板(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウ
ム、銅等の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、
ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂
成形品等でも良い。なお、後述の様に固体粒子加速流体
として液体を用い、該液体と共に固体粒子を噴出させる
場合は、該液体に対して不溶性且つ非吸収性の物が好ま
しい。例えば金属板、樹脂成形品、陶磁器やガラス等の
セラミックス等である。
【0013】〔下塗り層〕被転写基材の被転写面には、
下塗り層(ベースコート)を設けておくことができる。
下塗り層は、被転写基材の保護(外部から水分等の滲み
込み防止)、被転写基材内部からの流出成分(水分、ア
ルカリ分、可塑剤など)の遮断、凹凸や多孔質への充填
(目止め)による平滑化(シーラ層)、隠蔽性の付与、
装飾、転写層との接着性向上(易接着プライマー層な
ど)、応力の吸収・緩和等のいずれか一つ以上を目的と
する層である。なお、この下塗り層は、接着剤層の機能
と兼用した層としても良い。この様な下塗り層は、その
上に更に接着剤層を設けてから、転写シートを圧接して
転写する場合には、つまり、転写層と直接に接触しない
場合には、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の通常の熱
可塑性樹脂でも良いが、接着剤層を被転写基材に設けず
に、反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる転写層
と直接に接触させる場合には、下塗り層を、樹脂主剤と
架橋剤とから構成し、そして転写層中の反応性官能基と
化学結合を生じる反応性官能基を樹脂主剤又は架橋剤が
有する層とすることが、転写後に高物性が得られる点で
好ましい。下塗り層を、転写層中の反応性官能基と化学
結合する反応性官能基を含有させた層とするには、例え
ば樹脂主剤と架橋剤とが相互に化学結合して架橋する2
液硬化型樹脂を用い、完全硬化させずに、一部未反応の
架橋剤が転写シート圧接時には残っている様にすると良
い。この様にすると、下塗り層自体が層内架橋により耐
久性に優れた硬化樹脂層となり且つ、転写層との密着も
化学結合により層間架橋して両層が一体化した強固なも
のとなる。なお、通常の熱可塑性樹脂中に該熱可塑性樹
脂とは反応しない架橋剤を含有させても、その架橋剤は
転写層中の熱可塑性樹脂の反応性官能基と化学結合させ
ることはできるが、この場合、下塗り層の熱可塑性樹脂
自体はそのまま熱可塑性樹脂として残るので、下塗り層
自体も硬化性樹脂層となる方が、耐久性に優れる。上記
2液硬化型樹脂は、具体的には、水酸基、アミノ基、カ
ルボキシル基、メルカプト基等を反応性官能基として有
する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹
脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の
樹脂を主剤として、これに架橋剤としてその反応性官能
基がイソシアネート基やエポキシ基等を有する化合物を
混合した組成物を用いる。なお、架橋剤を少なくともそ
の一部が未反応で残す様にするには、下塗り層の形成段
階では、架橋剤の反応をできるだけ抑え、転写層との反
応性官能基との反応分を残しておくと良い。或いは、架
橋剤をこれと反応する樹脂主剤中の反応性官能基よりも
多めの当量数とする方法等も有効な手段である。また、
下塗り層を接着剤層と兼用する場合は、ある程度の加熱
で可塑性する等して接着性を発現し、圧着により転写層
が密着するものが良い。
【0014】なお、前記架橋剤としてのイソシアネート
基含有化合物としては、ポリウレタン分野にて従来公知
の脂肪族又は芳香族のポリイソシアネートが挙げられ
る。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の
2価のイソシアネート、或いは、デスモシュールR(Ba
yer 社製、トリレンジイソイアネートの付加体の商品
名)、デスモシュールL(Bayer 社製、トリレンジイソ
イアネートの付加体の商品名)等の3価のイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネートの三量体の重合体等の4
価以上のイソシアネート等である。また、前記架橋剤と
しのエポキシ基含有化合物も、ビスフェノールAジグリ
シジルエーテル等の従来公知の各種エポキシ樹脂等が挙
げられる。
【0015】下塗り層を形成するには、被転写基材の凹
凸表面の凹凸が大きい場合は、軟質ゴムローラやスポン
ジローラを使用したロールコート、或いはフローコー
ト、スプレーコート等の塗工法が好ましい。
【0016】〔転写シート〕転写シートSは支持体と転
写移行する転写層とからなる。転写層は熱可塑性樹脂か
らなる。この転写層は少なくとも装飾層からなる。ま
た、熱可塑性樹脂からなる接着剤を、転写層の一部とな
る接着剤層として、転写シートに形成しておいても良
い。また、転写層を構成する熱可塑性樹脂には、反応性
官能基を有する樹脂を用いのも好ましい形態である。こ
の形態では、転写後に転写層の表裏で接することになる
トップコート層や下塗り層や接着剤層中に架橋剤を含有
させておき、前記反応性官能基と架橋剤とを化学結合さ
せて、転写層と表裏で接する層とを一体化させることが
できるからである。なお液体を固体粒子加速流体に用
い、液体と共に固体粒子を噴出する場合は、支持体や転
写層には、該液体に対して不溶性の物を用いる。例え
ば、液体が水であれば、水溶性樹脂等を用いる。
【0017】(支持体)上記支持体には、被転写基材が
二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙(但し、固
体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して不溶性
のものを選ぶ)等も可能だが、転写シートの転写層に熱
可塑性樹脂を用いる本発明が、その真価を発揮する三次
元的凹凸表面に適用する為には、少なくとも転写時には
延伸性の有る支持体を用いる。延伸性により固体粒子の
衝突圧印加時に、被転写基材表面の凹部内部まで転写シ
ートを追従させて密着し転写することができる。転写シ
ート全体の延伸性は、主に支持体の延伸性に支配され
る。従って、支持体には、従来公知の熱可塑性樹脂フィ
ルムの他に、常温でも延伸するゴム膜も使用できる。熱
可塑性樹脂フィルムの場合、装飾層等の転写層形成時に
は延伸性が殆どなく、転写時には、加熱により充分な延
伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を保持し続
け、弾性による形状の復元を生じない転写シートとし
て、従来公知の通常の転写シート同様に容易に、本発明
で用い得る転写シートは用意出来る。支持体の具体例と
しては、延伸性の点で、従来多用されている2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムでも、表面凹凸形状
次第で、加熱条件、衝突圧条件等の設定によって、必要
充分な延伸性を発現させることができるので曲面転写は
可能だが、低温、低圧でより延伸性が発現し易いもの例
えば、ポリブチレンテレフタレート、又はテレフタレー
トイソフタレート共重合体等の共重合体ポリエステル系
フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィン
系フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ナイロンフ
ィルム等の低延伸又は無延伸のフィルム、天然ゴム、合
成ゴム、ウレタンエラストマー、オレフィン系エラスト
マー等のゴム(エラストマー)フィルムも好ましい支持
体である。支持体の厚さは、通常20〜200μmであ
る。
【0018】なお、固体粒子加速流体に液体を用いる場
合には、転写時に接する液体に対して、膨潤はするが不
溶である樹脂フィルムを使用する事も可能である。この
様な膨潤性且つ不溶性樹脂フィルムの例としては、液体
として水又は水溶液を用いる場合には、特開昭54−1
50208号公報、特公昭61−3276号公報等に開
示される様な、ポリビニルアルコール系フィルムであっ
て、平均重合度300〜3000、鹸化度65〜97m
ol%、厚さ20〜200μmのフィルムが代表的なも
のである。また、支持体には必要に応じ、その転写層側
に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けても
良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転写
層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シリ
コーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン
樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれ
らを含む混合物が用いられる。
【0019】また、転写層に接する側の支持体面に凹凸
模様を設ければ、転写後の転写層表面に凹凸模様を賦形
することもできる。凹凸模様は、例えば、砂目、梨地、
ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹凸模様、木
目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、皮
絞、文字、幾何学模様等である。なお、凹凸模様の形成
は、支持体の樹脂シートに対して、熱プレスによるエン
ボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工をした
り、或いは支持体に、離型性の有る樹脂をバインダーと
するインキ(2液硬化型ウレタン、シリコーン樹脂等か
らなる)を用いて所望の凹凸模様に、シルクスクリーン
印刷等で盛り上げ印刷して賦形層を設け、賦形層を有す
る支持体とする方法等がある。なお、賦形層は上記離型
層の機能を有する。
【0020】(転写層)熱可塑性樹脂からなる転写層
は、少なくとも装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、
接着剤層等も転写層の構成要素とすることもある。接着
剤層を有する構成では、転写の際に転写シート又は被転
写基材の片方又は両方に接着剤を施すことを省略でき
る。装飾層はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オ
フセット印刷等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷
した絵柄層を部分的或いは全面に形成した層等であり、
用途に合わせたものを用いる。絵柄としては、被転写基
材の表面凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、布目模
様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文字、幾何
学模様、全面ベタ等を用いる。なお、絵柄層用インキ
は、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着
色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。インキは
溶剤系、水系のどちらでも良い。バインダーには、アク
リル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル樹脂、ブチラール樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、
セルロース系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素
樹脂、塩素化ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の単体又
はこれらを含む混合物を用いる。なお、樹脂系にもよる
が、転写シートをロール状態に保存時にブロッキングせ
ず、且つ転写時の転写シートの伸びに十分追従できる様
に、ガラス転移温度が50〜90℃程度の熱可塑性樹脂
が好ましい。着色剤の顔料としては、チタン白、カーボ
ンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリン
ブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシ
アニンブルー等の有機顔料を用いる。
【0021】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の装飾
層の表面保護の為(トップコート層を設けない場合)等
に、これら層間に設けるのは、従来公知の転写シートと
同様である。剥離層には例えば上記絵柄層用インキのバ
インダー樹脂として挙げた熱可塑性樹脂を用いる。な
お、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転写基材側に
転写され、装飾層の表面を被覆する。また、転写層のう
ち、転写後に表面側となる層には、後でトップコート層
を設ける場合に、トップコート層の塗工時に、塗液の滲
み込みによる接着力向上の目的で、体質顔料を添加して
も良い。体質顔料としては、硫酸バリウム、シリカ、炭
酸カルシウム等を用いる。また、剥離層、装飾層、接着
剤層等として転写層を構成する熱可塑性樹脂が有する反
応性官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げ
られる。これら反応性官能基を有する熱可塑性樹脂は、
各種熱可塑性樹脂を変性したり、共重合モノマーを用い
たグラフト共重合等の共重合によりこれら反応性官能基
を導入した熱可塑性樹脂を用いれば良い。また、転写時
に転写シートと被転写基材との間に残留する空気を排除
し易くする手段として、必要に応じて転写シート全層を
貫通する小孔を多数転写シートに穿設しても良い。
【0022】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前又は転写の直前に、オンライン塗工やオフ
ライン塗工で施す。被転写基材に施す場合には、転写シ
ート転写層の接着剤層を省略できる。用いる接着剤は、
用途、要求物性等により適宜選択すれば良いが、固体粒
子加速流体に液体を用いる場合には、該液体に対して不
溶性の物を選択する。
【0023】被転写基材上の接着剤層として用いる場合
は、例えば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶融型接着
剤、ホットメルト接着剤、湿気硬化型ホットメルト接着
剤、2液硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤、水性
接着剤、或いは粘着剤による感圧型接着剤等の各種の接
着剤を使用できる。なお、水を固体粒子加速流体に用い
る場合は、湿気硬化型の接着剤や水性接着剤は避ける。
感熱型接着剤としては、従来公知の、熱可塑性樹脂を用
いた熱融着型(感熱溶融型接着剤)、及び熱硬化性樹脂
を用いた熱硬化型のいずれの接着剤でも用いることがで
きる。熱融着型接着剤に用いる熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、
熱可塑性ウレタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミン
との縮重合により得られるポリアミド樹脂等が用いられ
る。熱硬化型接着剤に用いる熱硬化性樹脂としては、フ
ェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱
硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。但
し、短時間で接着が完了するという点からは、熱融着型
接着剤が好ましい。また、接着剤は溶剤希釈又は無溶
剤、或いは常温で液体又は固体のいずれでも良く、適宜
使い分ける。接着剤層中に顔料等の着色剤を添加すれ
ば、全面ベタのインク層からなる装飾機能を有する下塗
り層ともいえる。
【0024】また、被転写基材上の接着剤層として用い
る接着剤は、転写シート側の転写層中の熱可塑性樹脂と
して反応性官能基を有する樹脂を用いる場合には、上記
列記した各種タイプの接着剤において、接着剤を樹脂主
剤と架橋剤とから構成し、そして転写層中の反応性官能
基と化学結合する反応性官能基を樹脂主剤又は架橋剤が
有する接着剤層を設けておくことが好ましい。この様に
すると、接着剤層自体が層内架橋により耐久性に優れた
硬化樹脂層となり且つ、転写層との密着も化学結合によ
り層間架橋して両層が一体化した強固なものとなる。架
橋剤としては、それが有する反応性官能基としてイソシ
アネート基やエポキシ基等を有する化合物、或いはメラ
ミン樹脂等が挙げられる。通常の熱可塑性樹脂中に該熱
可塑性樹脂とは反応しない架橋剤を含有させても、その
架橋剤は転写層中の熱可塑性樹脂の反応性官能基と化学
結合させることはできるが、この場合、接着剤層の熱可
塑性樹脂自体はそのまま熱可塑性樹脂として残るので、
接着剤層自体も硬化性樹脂層となる方が、耐久性に優れ
る。この様な接着剤としては、例えば樹脂主剤と架橋剤
とが相互に化学結合して架橋する2液硬化型接着剤を用
いることができる。この2液硬化型樹脂としては、例え
ば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、(熱可塑性)ウ
レタン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル
樹脂等の樹脂を変性、又は反応性官能基部分となる共重
合体モノマーを用いてグラフト共重合等の共重合する等
して、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト
基等の反応性官能基を有する樹脂としたものを主剤と
し、これに架橋剤としてその反応性官能基がイソシアネ
ート基やエポキシ基を有する化合物を混合した組成物が
挙げられる。この様な接着剤の具体例としては、2液硬
化型ウレタン樹脂、メラミン樹脂等がある。なお、架橋
剤を少なくともその一部が未反応で残す様にするには、
接着剤層の形成段階では、架橋剤の反応をできるだけ抑
え、転写層との反応性官能基との反応分を残しておくと
良い。或いは、架橋剤をこれと反応する樹脂主剤中の反
応性官能基よりも多めの当量数とする方法等も有効な手
段である。
【0025】また、架橋剤の具体例としては、例えば上
記イソシアネート基含有化合物として、ポリウレタン分
野にて従来公知の脂肪族又は芳香族のポリイソシアネー
トが挙げられる。例えば、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイ
ソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシ
アネート等の2価のイソシアネート、或いは、デスモシ
ュールR(Bayer 社製、トリレンジイソイアネートの付
加体の商品名)、デスモシュールL(Bayer 社製、トリ
レンジイソイアネートの付加体の商品名)等の3価のイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネートの三量体の重
合体等の4価以上のイソシアネート等である。また、前
記架橋剤としのエポキシ基含有化合物も、ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル等の従来公知の各種エポキシ
樹脂等が挙げられる。
【0026】また、接着剤に於ける反応性官能基を有す
る樹脂の具体例としては、例えばこの反応性官能基とし
て水酸基を有する化合物として、ポリウレタン分野にて
従来公知のポリオールが挙げられる。ポリオールとして
は、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレ
ンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポ
リ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼ
ラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロ
ラクトン等のポリエステルポリオール、ポリエチレンオ
キサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(テトラメ
チレンエーテル)等のポリエーテルポリオール、ポリ
(ブチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカー
ボネート)等のポリカーボネートポリオール、或いはア
クリルポリオール等である。
【0027】そして、上記ポリイソシアネートとポリオ
ールとによる組成物の接着剤の場合は、これらを混合し
た組成物をイソシアネート基を水酸基に対して過剰の当
量数として用いたり、反応を完結させずに用いれば、イ
ソシアネート基を転写層中の反応性官能基と化学結合す
る架橋剤の反応性官能基として残留させた接着剤層を形
成することができる。或いは、水酸基をイソシアネート
基に対して過剰の当量数用いれば、水酸基を転写層中の
反応性官能基と化学結合する樹脂の反応性官能基として
残留させた接着剤層を形成することができる。
【0028】次に、接着剤を転写層の接着剤層として用
いる場合は、接着剤には熱可塑性樹脂からなるものを用
いる。例えば、感熱型接着剤では熱融着型接着剤(感熱
熔融型接着剤)を用いる。或いは、ホットメルト接着
剤、水性接着剤、粘着剤による感圧型接着剤等で熱可塑
性樹脂を用いた接着剤等を用いる。なお、接着剤層中に
顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベタのインク層から
なる装飾層ともいえる。感熱溶融型接着剤としては、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウ
レタン樹脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合
により得られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を
用いることができる。この様な接着剤層は、被転写基材
上に予め別の接着剤層、或いは下塗り層を設けてから、
転写シートを圧接して転写し、且つ転写層の接着剤層と
直接に接触する被転写基材側の接着剤層や下塗り層を樹
脂主剤と架橋剤を含有させた層とする場合は、該樹脂主
剤又は架橋剤の反応性官能基と化学結合する反応性官能
基を有する熱可塑性樹脂から構成するのが、転写後に高
物性が得られる点で好ましい。この様にすると、転写層
の接着剤層自体が層内架橋により耐久性に優れた硬化樹
脂層となり且つ、被転写基材側の接着剤層や下塗り層と
の密着も化学結合により層間架橋して両層が一体化した
強固なものとなる。この場合、装飾層等の所で前述した
如く、反応性官能基として、例えば、水酸基、アミノ
基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基
等を有した熱可塑性樹脂を用いる。これら反応性官能基
を有する熱可塑性樹脂は、各種熱可塑性樹脂を変性した
り、共重合モノマーを用いたグラフト共重合等の共重合
によりこれら反応性官能基を導入した熱可塑性樹脂を用
いれば良い。
【0029】なお、被転写基材側や転写シート側へ施す
接着剤に用いる上記各種樹脂には、更に、必要に応じ
て、各種添加剤を添加することもできる。これらの添加
剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填
剤)、有機ベントナイト等のチキソトロピック付与剤
(特に凹凸段差の大きい被転写基材に施す場合、接着剤
が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に添加すると
良い。)等である。
【0030】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、接着剤の種類により適宜、水、有機溶
剤等の溶媒(又は分散媒)に溶解(又は分散)した溶液
(又は分散液)の形態で、或いは熱溶融した熱可塑性組
成物、又は室温液状の未硬化樹脂を無溶剤の樹脂液の形
態(被転写基材への場合)で施す。塗工法としては、従
来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による溶
液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗工)
法により施せば良い。希釈溶剤を添加せずに用いれば、
溶剤乾燥は不要である。例えば、感熱溶融型接着剤は、
それぞれ無溶剤のホットメルト接着剤として使用でき
る。また、被転写基材側の接着剤層としてなら電離放射
線硬化型接着剤なども無溶剤で施すことができる。ホッ
トメルト型接着剤として使用する場合は無溶剤なので、
転写直前の塗工でも溶剤乾燥が不要で、高速生産でき
る。なお、接着剤の塗布量は、接着剤の組成、被転写基
材の種類及び表面状態で異なるが、通常10〜200g
/m2 (固形分)程度である。なお、被転写基材に接着
剤を施す場合、施す面は凹凸面である為に、特にその凹
凸が大きい場合には、軟質ゴムローラやスポンジローラ
を使用したロールコート、或いはフローコート、スプレ
ーコート等は好ましい塗工法である。また、もしもここ
で、凹凸表面の凸部のみをロールコート等で部分的に塗
工すれば、塗工部分のみ転写層を転写する部分転写を行
う事もできる。
【0031】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0032】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。接着剤が施された材料(転写シートや被転写基材)
を加熱しても良く、接着剤が施されていない側の材料を
加熱しても良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても
良い。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速用の流体を加熱流体として用いても良
い。一方、転写シートが被転写基材の表面形状に追従
し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷
却手段で接着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写
シート側や被転写基材側から吹き付ける。本発明では、
この冷風として、固体粒子除去用に転写シート支持体側
に吹き付ける冷却気体のその一部又は全部を兼用使用す
る。また、冷却手段として、冷却固体粒子、冷却流体も
用いることもできる。冷却促進は、被転写基材の凹凸表
面の凹部内部にまで追従成形された転写シートが衝突圧
開放後に復元力がある場合に戻るのも防止する。
【0033】〔トップコート層〕なお、転写後の化粧材
の表面に、耐久性、或いは意匠感等を付与する為に、更
に透明なトップコート層を塗装する等しても良い。この
様なトップコート層を形成する為の塗料としては、ポリ
4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹
脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、或いは、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂等の2液硬化型樹脂等の1種又は2種
以上等をバインダーの樹脂とした塗料やシロキサン等か
らなる無機系の塗料を用いる。また、トップコート層
は、転写層の熱可塑性樹脂として反応性官能基を有する
樹脂を用いる場合には、トップコート層を、樹脂主剤と
架橋剤とから構成し、そして転写層中の反応性官能基と
化学結合を生じる反応性官能基を樹脂主剤又は架橋剤が
有する層とすることが、表面物性等の耐久性で高物性が
得られる点で好ましい。この様にすると、トップコート
層自体が層内架橋により耐久性に優れた硬化樹脂層とな
り且つ、転写層との密着も化学結合により両層が層間架
橋して一体化した強固なものとなる。架橋剤としては、
その反応性官能基としてイソシアネート基やエポキシ
基、水酸基等を有する化合物、或いはメラミン樹脂等を
用いる。例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂等の、樹脂主剤と架橋剤とが相互に化学結合して架
橋する2液硬化型樹脂からなる塗料を用いる。イソシア
ネート基やエポキシ基を有する化合物は、前述した下塗
り層や接着剤で列記した化合物等が挙げられる。そし
て、上記した樹脂の中で熱可塑性樹脂の中に、これら架
橋剤を添加した組成物を用いた塗料を用いることもでき
るが、この場合熱可塑性樹脂はそのまま熱可塑性樹脂と
して残るので、好ましくは、水酸基、アミノ基、カルボ
キシル基、メルカプト基等を反応性官能基として有す
る、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可
塑性樹脂を主剤として、これにイソシアネート基やエポ
キシ基等を有する化合物を架橋剤として混合した組成物
を用いた塗料を用いる。なお、架橋剤は、転写層中の反
応性官能基と化学結合させる為に、トップコート層中に
ある該架橋剤と反応し得る反応性官能基よりも多めの当
量数とする。
【0034】なお、トップコート層に用いる塗料中に
は、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、超微粒子酸化
セリウム等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカ
ル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、体質顔料、滑剤等を
添加しても良い。塗工はスプレー塗装、フローコート、
軟質ゴムロールやスポンジロールを使用したロールコー
ト等を用いる。トップコート層の膜厚は1〜100μm
程度である。 (以下、次の文書ファイルに続く)
【0035】〔固体粒子〕固体粒子Pとしては、ガラス
ビーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、ア
ルミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、
コランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウム、
又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、亜鉛
等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂ビー
ズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン
樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビーズ、
架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等を使用す
ることができる。なお、液体の水を固体粒子加速流体に
使う場合は、固体粒子には、水で錆や腐食しないステン
レスビーズや、ガラスビーズ、セラミックビーズ、樹脂
ビーズ等の非金属が好ましい。形状は球形状が好ましい
が、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、無定形、そ
の他の形状のものでも用い得る。固体粒子の粒径として
は、通常10〜1000μm程度である。
【0036】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材を加熱しておいても良い。また、固体粒子は、接着後
の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よりも低温の
固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事もできる。ま
た、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体粒子、冷却
固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝突させた
後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用しても良い。
また、他の加熱方法で転写シートや被転写基材、接着剤
等の加熱を要するものを充分に加熱しておき、これに冷
却固体粒子を用いて、転写シートの成形と接着及び冷却
を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子を冷却又は冷
却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の形態のタンク
に貯蔵する場合は、タンク内やタンク外壁の設けた、電
熱ヒータ、加熱蒸気、冷媒等により加熱手段、冷却手段
で行えば良い。また、固体粒子輸送管の外壁にこれら手
段を設けて、輸送管にて加熱又は冷却しても良い。或い
は、固体粒子の加速に流体を用いる場合では、冷却又は
加熱した流体を用いて、該流体からの熱伝導で固体粒子
を冷却又は加熱することもできる。その場合、流体も転
写シートに衝突させることで、流体も固体と共に加熱又
は冷却手段とすることができる。或いは、前記流体が液
体で該液体と共に固体粒子を貯蔵するタンクを用いる場
合では、貯蔵中に固体粒子及び液体を冷却、加熱しても
良い。
【0037】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する固体粒
子噴出手段から固体粒子を転写シートに向かって噴出さ
せて、転写シートに衝突圧を印加する。固体粒子噴出手
段としては、粒子加速器として例えば、回転する羽根車
を用いた噴出器や、吹出ノズルを用いた噴出器を用い
る。羽根車による噴出器は、羽根車の回転により固体粒
子を加速し噴出するものである。吹出ノズルによる噴出
器は、固体粒子加速流体を用いて、固体粒子を高速の該
流体の流体流で加速、搬送させて該流体と共に噴出する
ものである。羽根車や吹出ノズルには、サンドブラスト
或いはショットブラスト、ショットピーニング等とブラ
スト分野にて使用されているものを流用できる。例えば
羽根車には遠心式ブラスト装置、吹出ノズルには加圧式
や吸引式ブラスト装置、ウェットブラスト装置等であ
る。遠心式ブラスト装置は羽根車の回転力で固体粒子を
加速し噴出する。加圧式ブラスト装置は、圧縮空気に混
合しておいて固体粒子を、空気と共に噴出する。吸引式
ブラスト装置は、圧縮空気の高速流で生ずる負圧部に固
体粒子を吸い込み、空気と共に噴出する。ウェットブラ
スト装置は、固体粒子を液体と混合して噴出する。ま
た、固体粒子噴出手段としては、吹出ノズルや羽根車以
外にも、重力による自由落下を利用して固体粒子を加速
する方法、磁性体粒子を磁場によって加速する方法等を
採用することも可能である。なお、羽根車、重力、磁場
を用いた固体粒子噴出手段の場合は、真空中で固体粒子
を転写シートに向かって噴出させる事も可能である。
【0038】〔羽根車〕図2〜図5に、噴出器の粒子加
速器として用い得る羽根車の一例の概念図を示す。これ
らは、ブラスチング分野にて使用されている遠心式ブラ
スト装置に該当する。図面では、羽根車812は、複数
の羽根813がその両側を2枚の側面板814で固定さ
れ、且つ回転中心部は羽根813が無い中空部815と
なっている。更に、この中空部815内に方向制御器8
16を内在する。方向制御器816は、外周の一部が円
周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車
812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立し
て回動自在となっている。実際に羽根車を使用する際に
は、開口部を適宜の方向に固定しておく。更に、この方
向制御器の内部に、内部中空で羽根車812の回転軸芯
と同一回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818とし
て内在する(図4参照)。散布器818は外側の羽根車
812と共に回転する。そして、前記側面板814の回
転中心には回転軸819が固定され、回転軸819は、
軸受820で回転自在に軸支され電動機等の回転動力源
(図示略)によって駆動回転され、羽根車812が回転
する。また回転軸819は、羽根813を間に有する2
枚の側面板814間には貫通しておらず、軸無しの空間
を形成している。そして、散布器818の内部に固体粒
子Pがホッパ等から輸送管を通って供給される。通常、
固体粒子は、羽根車の上方(直上又は斜上方)から供給
する。散布器内に供給された固体粒子は散布器の羽根車
で外側に飛び散る。飛び散った固体粒子は、方向制御器
816の開口部817によって許された方向にのみ放出
され、外側の羽根車812の羽根813と羽根813と
の間に供給される。そして、羽根813に衝突し、羽根
車812の回転力で加速され、羽根車から噴出する。
【0039】なお、固体粒子の噴出方向は、図2〜図3
の様に略鉛直下方であるが、図6の様に水平方向、或い
は斜下方(図示略)等としても良い。図5(A)及び図
5(B)に方向制御器816の開口部817の向きの設
定より固体粒子の噴出方向を調整する噴出方向制御の概
念図を示す(図5(A)、(B)では方向制御器はそれ
ぞれ図示の位置で固定されている)。なお、方向制御器
816は、その開口部の円周方向、幅方向の大きさを調
整することで、固体粒子の噴出量を調整することもでき
る。なお、図3に於いては、回転軸819は側面板81
4の外側のみで中空部815にまで貫通していない構成
となっているが、この他、中空部の直径より細い回転軸
を該中空部にまで貫通させたり、外周に固体粒子通り抜
け用の開口部を設けた中空筒状の回転軸の内部自身を中
空部とする構成などでも良い(図示略)。羽根813の
形は、図2〜図5の様な長方形の平板(直方体)が代表
的であるが、この他、湾曲曲面板、スクリュープロペラ
等のプロペラ形等を用いる事も可能であり、用途、目的
に応じて選択する。又、羽根の数は2枚〜10枚の範囲
から通常は選択する。羽根車の形状、枚数、回転速度、
及び固体粒子の質量や供給速度と供給方向、方向制御器
の開口部サイズ及び向きの組み合わせにより、加速され
た固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密度、
噴出拡散角等を調整する。
【0040】また、図6は、羽根車の別の一例を示す概
念図である。同図の羽根車812aは、複数の平板状の
羽根813aがその両側を2枚の側面板814aで固定
された構造である。通常、固体粒子Pは、羽根車の上方
(直上又は斜上方)から供給する。また、側面板814
aは回転軸819aに対して幅方向の噴出方向の規制も
する。羽根車の形状、枚数、回転速度、及び固体粒子の
質量や供給速度と供給方向の組み合わせにより、加速さ
れた固体粒子の噴出(吹出)方向、噴出速度、投射密
度、噴出拡散角等を調整する。固体粒子の噴出方向は鉛
直下方(図示略)、水平方向(図6)、或いは斜下方
(図示略)等が可能である。また、上記した羽根車81
2、812a等の羽根車には、更に、更に必要に応じ、
固体粒子の噴出取出部分のみ開口させ、それ以外の羽根
車周囲を被覆する噴出ガイド(不図示)を備える事で、
固体粒子の噴出方向を揃えたり、固体粒子噴出方向制御
をすることもできる。噴出ガイドの開口部の形状は、例
えば、中空の円柱状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚
尾状等である。噴出ガイドは、単一開口部を有するもの
でも良いし、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画
されたものでも良い。
【0041】羽根車812、812a等の羽根車の寸法
は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は5〜20c
m程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程度、羽根車
の回転数は500〜5000〔rpm〕程度である。固
体粒子の噴出速度は10〜50〔m/s〕程度、投射密
度は10〜150〔kg/m2 〕程度である。
【0042】また、羽根車の羽根の材質は、セラミッ
ク、或いはスチール、高クロム鋳鋼、チタン、チタン合
金等の金属等から適宜選択すれば良い。固体粒子は羽根
に接触して加速されるので、羽根には、耐摩耗性のよい
高クロム鋳鋼、セラミックを用いると良い。
【0043】〔吹出ノズル〕固体粒子を流体と共に噴出
する固体粒子噴出手段として、図7に吹出ノズルを用い
た噴出器840の一例の概念図を示す。なお、同図に示
す噴出器840は固体粒子加速流体として気体を用い、
固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して噴出する
形態の噴出器の一例である。同図の噴出器840は、固
体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室8
41内に流体Fを噴出する内部ノズル842と、ノズル
開口部843から固体粒子P及び流体Fを噴出する吹出
ノズル部844からなる。圧縮機又は送風機(不図示)
から適宜加圧タンク(不図示)を経て送られる流体F
を、内部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノ
ズル844のノズル開口部843から噴出する際に、噴
出器内の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用
で負圧を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き
混合し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル8
44のノズル開口部843から流体流と共に噴出するも
のである。なお、吹出ノズルには、固体粒子加速流体と
して液体を用いる吹出ノズル等もある。液体の場合は、
例えばポンプ(不図示、流体が液体の場合)により、流
体と固体粒子とを加圧タンク(不図示)に混合貯蔵して
おき、この混合液を吹出ノズルのノズル開口部から噴出
するもの等が使用される。
【0044】ノズル開口部の形状は、中空の円柱状、多
角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の形状のものを用
いる。吹出ノズルは、単一開口部を有するものでも良い
し、或いは内部がハニカム(蜂の巣)状に区画されたも
のでも良い。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜100k
g/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常
1〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度
である。誘導室やノズル部等の噴出器の材質は、セラミ
ック、スチール、チタン、チタン合金等から流体の種類
によって適宜選択すれば良い。なお、固体粒子は噴出器
内壁を通過するので、固体粒子に金属ビーズや無機粒子
を用いる場合には粒子が硬質であるので、耐摩耗性のよ
いセラミックを用いると良い。流体が液体の場合は、
錆、溶解、腐食等を生じない材料を選ぶ。例えば流体が
水ならば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、合成樹
脂、セラミックを用いる。但し、表面に防水加工すれ
ば、スチール等でも良い。
【0045】〔流体〕流体Fは、固体粒子加速流体とし
て、固体粒子を該流体流によって加速、搬送して、該流
体と共に固体粒子を固体粒子噴出手段から噴出させる場
合(吹出ノズル等)に用いる。流体Fは固体粒子を加速
する固体粒子加速流体である。流体には気体、液体とも
に利用可能であるが、通常は取扱いが容易な気体を用い
る。気体としては、空気が代表的であるが、炭酸ガス、
窒素等でも良い。液体としては、必ずしも限定されない
が、不燃性、乾燥の容易性、無毒性、低価格、入手の容
易性、等から水は好ましい材料の一つである。この他、
フロン、グリセリン、シリコン油等の不燃性の液体も使
用できる。液体を(気体もそうであるが)転写シートに
固体粒子と共に衝突させることができる。当然の事なら
がら、液体は気体よりも密度が高い為、気体よりも液体
の方が、流体流で固体粒子を加速する場合に加速し易
く、しかも液体が転写シートに衝突する場合に、気体と
等速度の衝突でも、衝突圧は気体に比べてより大きく且
つ実用性のある衝突圧が得られる。(また、固体粒子と
の密度差も少ないので固体粒子の搬送もし易い。)従っ
て、液体の場合は、転写圧として固体粒子の衝突圧以外
に、液体の衝突圧も利用でき、その分より大きな転写圧
を印加でき、その結果、転写シートを被転写基材の表面
凹凸形状へ追従させ成形する成形効果により大きなもの
が得られる。また、衝突圧印加時の加熱又は冷却手段と
して流体を用いる場合、気体よりも液体の方が比熱が大
きいので、より大きな加熱又は冷却効果が得られる。ま
た、液体が水の様な電気伝導体の場合は、気体の場合に
比べて静電気帯電に対する防爆対策もより容易となる。
【0046】〔衝突圧印加形態〕噴出器は、1個のみの
使用でも衝突圧印加領域の面積次第では可能だが、要求
する面積が大きい場合には複数用いて、転写シートに衝
突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にする
と良い。例えば、転写シート及び被転写基材の送り方向
に直交して幅方向に一直線状に複数列を配置して、幅方
向に直線状で幅広の帯状形状の衝突領域とする。或い
は、図8(A)の噴出器32の配置は千鳥格子状の配置
であり、図8(B)は一列配置だが、幅方向中央部は送
り方向の上流側で衝突する様にした配置である。図8
(B)の配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧
による圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両
端部に向かって圧接されて行く。この様にすると、幅方
向中央部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写
基材に密着することを防止できる。図8の様に噴出器を
幅方向に複数個配列する場合には、個々の噴出器の加圧
領域が互いに一部重複し、全幅にわたってもれなく加圧
できる様に配列することが好ましい。図8(B)にその
ような配列の一例を示す。該図に於いて、点線部分が加
圧領域を示す。また、衝突圧印加時間を長くするには、
噴出器は、転写シート及び被転写基材の送り方向に向か
って2列以上配置する多段配置が好ましい。
【0047】また、衝突圧は、必ずしも衝突領域内で全
て均一にする必要はない。図9は、転写シートの搬送方
向に直交する幅方向の中央部が最大の衝突圧で、幅方向
両端部に行くに従って衝突圧が低下する山型圧力分布の
設定例である。この設定は、圧が高い所(同図では中央
部)から低い所(同図では両側部)に向かって順次段階
的に圧接が進行することを助ける。但し、図9の如き圧
力分布とする場合、被転写基材上に於ける衝突圧は、所
望の凹凸面への転写が完全に行えて、なお且つ圧過剰に
よる転写シートの歪み、被転写基材の変形、破損等の生
じない適正圧力範囲内に全て納まる様に調整する。な
お、ゴム製転写ローラによる曲面転写方法では、転写ロ
ーラの中央部直径を太めとすれば、圧力的には中央部は
強くできるが、中央部と両端部とで円周長が異なってし
まい、接触して圧印加され転写シートの送りを均一に出
来ない。衝突圧の調整は、噴出器から転写シートに衝突
する固体粒子の速度、単位時間当たりの衝突する固体粒
子数、投射量、及び1粒子の質量を制御することで調整
する。これらのうち、固体粒子の速度を調整するには、
例えば羽根車を用いる噴出器の場合は、羽根車の回転
数、羽根車の直径等で調整する。また、吹出ノズルを用
いる噴出器の場合は、バルブの開閉量、バルブに連結す
る固体粒子を搬送する管の内径の大小、圧力調整器(レ
ギュレータ)等を用いて噴出器直前の流体圧(流体単
体、又は流体と固体粒子との混合物)の調整により、噴
出する固体粒子及び流体流の速度を制御することで調整
する。
【0048】〔噴出器の被転写基材に対する配置方法〕
羽根車を用いた噴出器の場合は、固体粒子の噴出方向
は、原理的に羽根車回転軸に平行方向にはあまり広がら
ず、該回転軸に直交方向に広がる傾向がある。一方、吹
出ノズルの場合は、噴出する固体粒子の広がりは、羽根
車による噴出器の場合よりも広がりが少なく、且つ広が
っても通常はどの方向にも均一で等方的である。このよ
うな噴出器の特性を考慮して、噴出器の配置は決めれば
良い。しかし、一つ噴出器で所望の衝突領域の大きさに
出来ない時は、噴出器を複数用いれば良い。この様に、
複数の噴出器を被転写基材の被転写面に対して配置する
場合は、各噴出器は被転写基材に平行にし、且つ各噴出
器の噴出方向が被転写基材の法線方向になる様な配置が
基本である。この様な平行配置は、被転写基材の被転写
面の包絡面に垂直に固体粒子を衝突させ、基本的に衝突
圧を最大に有効利用できるからである。従って、例え
ば、図10の様に、被転写基材Bの被転写面の包絡面
(の搬送方向に直角の断面形状)が円型になる円筒状の
凸曲面であれば、複数の噴出器32を用意し各噴出器が
主とし受け持つ個別の衝突面(凸曲面の接平面)に対し
て、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向きを
近接する被転写基材面の包絡面の法線方向にして配置す
ると良い。この様に噴出器の配置は、対象とする被転写
基材の凹凸形状に合わせて、噴出器の噴出方向を固体粒
子がなるべく垂直に衝突する様に合わせると良い。た
だ、噴出器の向きは、転写シート支持体側面に対して必
ずしも垂直にする必要はない。また、噴出器は多めに設
けておき、製造する被転写基材によっては、一部の噴出
器は停止させても良い。
【0049】〔チャンバ使用での連続転写の一形態〕と
ころで、固体粒子を実際に使用する場合、前述した様
に、固体粒子を周囲の雰囲気中に飛散させずに且つ循環
再利用するのが好ましい。そこで、次に、本発明の曲面
転写方法の一形態として、チャンバを使用して固体粒子
の飛散防止及び循環再利用をしながら連続転写を行う曲
面転写装置の一例の概念図を示す図11に従い、本発明
を更に詳述する。
【0050】同図の装置は、長尺の転写シートSを用
い、凹凸表面を有する平板状の被転写基材Bに、装飾層
等を順次連続的に転写する装置である。同図装置は、基
材搬送手段として被転写基材Bを搬送する基材搬送装置
10と、シート供給手段として転写シートSを供給する
シート供給装置20と、チャンバ33内において固体粒
子Pを固体粒子噴出手段である噴出器32から噴出し
て、転写シートの支持体側に衝突させて衝突圧を順次印
加し、転写シートを被転写基材に押圧する衝突圧印加手
段である衝突圧印加部30を備える。噴出器32は、例
えば前記した羽根車利用のものである。チャンバ33
は、転写シート及び被転写基材の出入口を除いて、衝突
圧にさらされる転写シート及び被転写基材、噴出器の少
なくとも開口部を外部から覆い、固体粒子を外部の作業
雰囲気中に漏らさないようにしている。この為、チャン
バー内部は、好ましくは外部よりも気圧を低く(負圧)
する。
【0051】更に同図装置は、転写シートを加熱する加
熱ローラからなるシート加熱装置40をチャンバ外上流
側に、被転写基材を加熱する基材加熱装置41をチャン
バ外上流側に、被転写基材に接着剤の塗工や下地塗装等
を適宜行う基材塗工装置50を基材加熱装置の上流側
に、剥離ローラ60をチャンバ下流側に、チャンバ下流
側で剥離ローラ上流側に、転写シート上に残留した固体
粒子を吹き飛ばす除去装置70(風冷による冷却装置7
0を兼用)を備えた装置となっている。
【0052】先ず、同図の装置では、板状の被転写基材
Bを、駆動回転ローラ列等からなる基材搬送装置10で
一枚ずつ搬送し、基材塗工装置50により下塗り層や接
着剤層を所望の部分に塗工形成する。もしも、塗液に溶
剤分がある場合は、次の基材加熱装置41で被転写基材
及び接着剤を加熱すると共に、蒸発成分を揮発乾燥させ
る。なお、基材塗工装置50及び基材加熱装置41を複
数連結して、下塗り層と接着剤層との塗工形成を、転写
と同時に連続的に行っても良い。そして、被転写基材B
は、加熱装置41で加熱された後、衝突圧印加部30の
チャンバ33内に搬送、供給される。この際、被転写基
材上に形成した下塗り層や接着剤層に架橋剤を含有させ
る場合には、架橋剤が完全反応せずに残る程度の加熱と
する。
【0053】転写シートSは、シート送出装置21、仮
固定ローラ22、シート排出装置23等からなるシート
供給装置20により張力が加えられ、シート送出装置2
1にセットされた供給ロールから巻き出され、シート加
熱装置40としての加熱ローラにより加熱された後、ゴ
ムやスポンジ等の弾性体ローラからなる仮固定ローラ2
2により、加熱装置41で加熱された被転写基材に押圧
され、その少なくとも凸部分で接触し仮固定された後、
衝突圧印加部30のチャンバ33内に入る。なお、転写
時に接着剤を転写シートに施す場合は、転写シートがシ
ート送出装置21からシート加熱装置40に至る間に、
接着剤塗工装置(図示せず)で接着剤を塗工し、更に溶
剤乾燥を要す場合は、乾燥装置(図示せず)乾燥後に、
衝突圧印加部に供給する。
【0054】転写シートは、衝突圧の印加を受けるまで
に、シート加熱装置40及び基材加熱装置41で加熱さ
れた被転写基材により、加熱されて軟化し、衝突圧印加
時に延伸され易くなる。
【0055】一方、固体粒子Pはホッパ31からチャン
バ33内にある噴出器32に供給され、そこで図2〜図
4の様な羽根車によって加速されてチャンバ33内で転
写シートSに向かって噴出する。そして、転写シート
は、噴出器から噴出する固体粒子の衝突にさらされる。
衝突時の固体粒子の単位時間当たりの運動量の変化分
が、転写シートを被転写基材へ押し付ける衝突圧とな
る。ここでは、被転写基材は包絡面が略平板状なので、
固体粒子は転写シートの支持体側に概ね垂直に衝突させ
る分を主体成分とし、被転写基材及び転写シートが搬送
される全幅を衝突領域とする。そして、被転写基材及び
転写シートが搬送されるにつれて、長手方向の全領域が
順次衝突圧にさらされて行く。そして、転写シートは、
固体粒子衝突圧で被転写基材に押圧され、被転写基材の
凹凸表面の凹部内へも転写シートは延ばされて変形する
ことで、被転写基材の凹凸表面形状に追従して成形され
て、活性化している接着剤により転写層が被転写基材に
密着する。転写シートが密着した被転写基材は、衝突圧
開放前から転写シートがチャンバ外に出るまでの間に放
冷等により冷却する。
【0056】一方、転写シートへの衝突に供された後の
固体粒子は、その一部は転写シートの両端部を迂回し
て、チャンバ33の下部に落下する。また、残りの部分
は転写シート支持体上に載置されたまま下流側に移送さ
れた後、チャンバ33とは基材搬送装置10の上部のみ
別室に区画された第2チャンバ71に入る。そして、そ
こでは、スリットノズル状の除去装置(兼冷却装置)7
0から転写シート及び被転写基材上に向かって空気を吹
き付け、転写シート上に残留する固体粒子を転写シート
端部から第2チャンバ71下部に吹き落とす。また、除
去装置70から吹き出す空気には室温の空気を使い、そ
の空気を冷風として、固体粒子除去と同時に、被転写基
材及び転写シートを、転写シートの支持体が剥離可能な
温度にまで冷却させる。従って、除去装置は転写シート
や接着剤、被転写基材等の冷却装置の役割も果たす。チ
ャンバの下部に集まった固体粒子は、そこからドレン管
34で吸引され元のホッパ31に収集される。また、固
体粒子の回収搬送用としてチャンバ中の空気も、固体粒
子と共にドレン管34で吸引され、ホッパ上部の気流と
固体粒子の分離装置35に搬送される。該分離装置35
では図示の如く、気流で搬送されて来た固体粒子は水平
方向に装置空洞内に放出され、気体に対して密度の大き
い固体粒子は自重で下方に落下し、気体はそのまま水平
に流れて、フィルターで気流と共に移動しようとする残
余の固体粒子を濾過した上で、真空ポンプ36で系外に
排出される。この様にして固体粒子が、転写シート及び
被転写基材が出入りするチャンバ出入口開口部から、空
気と共に周囲に流出しない様にする。また、固体粒子の
チャンバ系外への流出防止、及び固体粒子のチャンバか
らホッパへの逆流防止には、チャンバ内を外部より低圧
にすると良い。このチャンバの圧力調整は、前記真空ポ
ンプ36の排気量、更に排風機(図示せず)をチャンバ
に適宜接続してその排気量等によるチャンバ外に流出す
る気体量と、噴出器から固体粒子と共にチャンバ内に入
る気体量(特に、気体を固体粒子加速流体として用いる
吹出ノズル等の噴出器の場合)、更に送風機(図示せ
ず)をチャンバに適宜接続してチャンバ内に入れる気体
量(特に、羽根車による噴出器の場合)等とのバランス
を調整する事で行う。
【0057】なお、液体を固体粒子加速流体に用いた吹
出ノズルを噴出器とする場合は、冷却装置とは別にその
上又は下流に、或いは冷却装置自身と兼用で、乾燥機を
設けて、例えば室温又は温風の空気を吹きつけで、液体
を乾燥、又は吹き飛ばして除去する。また、接着剤等に
電離放射線硬化性樹脂を用い硬化させる場合は、噴出器
と剥離ローラ間に、水銀灯(紫外線光源)等の電離放射
線照射装置を設けて、少なくとも剥離可能な程度まで硬
化させる。
【0058】そして、密着した被転写基材と転写シート
とは、除去装置70で固体粒子除去と強制冷却された
後、転写シート(の支持体)を、剥離ローラ60により
被転写基材から剥離除去する。その結果、先ずは、転写
シートの転写層として装飾層等が被転写基材の凹凸表面
に転写形成された状態の、化粧材Dが得られる。一方、
剥離ローラ通過後の転写シート(の支持体)は、シート
排出装置23に排出ロールとして巻き取る。
【0059】更に、この化粧剤Dの表面にトップコート
層を設けるには、別ライン又は同じラインに設けた(不
図示)塗工装置で、トップコート層を塗工形成する。そ
して、転写層を構成する熱可塑性樹脂として、反応性官
能基を有する樹脂を用い、且つ該転写層と接するトップ
コート層と、被転写基材側に設けておいた接着剤層或い
は下塗り層とに、前記反応性官能基と化学結合する架橋
剤を含有させた場合には、室温放置、加熱養生等によ
り、該架橋剤と転写層中の反応性官能基と化学反応を進
行させて化学結合を生じさせ、転写層と表裏の層とを一
体化する処理を行い、最終的な化粧材を得る。
【0060】〔チャンバ使用時の接着剤等の加熱方法〕
以上、本発明の曲面転写方法の一形態として、チャンバ
内で固体粒子を衝突させる曲面転写方法の一例を説明し
たが、チャンバ使用時に於ける、接着剤活性化や転写シ
ート延伸性向上等の為の加熱方法を更に説明する。
【0061】転写シートの加熱手段は任意であり、衝突
圧印加前の加熱では、例えばヒータ加熱、赤外線加熱、
誘電加熱、誘導加熱、熱風加熱等を用いる。図11の装
置は、衝突圧印加前の加熱を、チャンバ33外上流側で
行う例だが、加熱後は冷却されない様に噴出器直前で行
うべくチャンバ33内に、ヒータ加熱、赤外線加熱、誘
電加熱、誘導加熱、熱風加熱等によるシート加熱装置4
0で加熱しても良い。ただ、チャンバ内で加熱しその手
段に熱風加熱を用いる場合は(後述する被転写基材の加
熱でも同様だが)、吹き付け風量は少なくした方が良
い。それは、空気をチャンバ内に入れることになり、固
体粒子加速用に空気を用いる場合も含めて、固体粒子回
収用の真空ポンプの負荷増になり、また固体粒子の流れ
を攪乱することになるからである。また、シート加熱は
図11に例示の様にチャンバ33外で行う以外に、チャ
ンバの内部、或いはチャンバの内部及び外部の両方で行
っても良い。また、加熱は転写シートの裏面側、表面
側、表裏両面のいずれから行っても良い。なお、シート
加熱は、加熱軟化でシートの搬送に支障を来た場合は、
被転写基材よりも広幅とした転写シートの幅方向両端
を、回転するベルト等で表裏から挟持する等して、支持
しながら搬送するのが好ましい。次に、衝突圧印加中の
加熱手段では、加熱固体粒子、固体粒子加速用流体を用
いる場合はその加熱流体も使用できる。また、噴出器の
間隙に分散して熱源を設けて加熱しても良い。もちろ
ん、衝突圧の印加中及び印加前の加熱を併用できるし、
衝突圧印加中の加熱のみの場合もある。
【0062】また、被転写基材に下塗り層や接着剤層を
施し、基材加熱装置41等で溶剤分を加熱乾燥するので
あれば、そこで被転写基材は加熱され、また、加熱され
た被転写基材から間接的に転写シートもある程度加熱で
きる。従って、転写シートの加熱も必要な場合でも、被
転写基材からの間接的加熱や、固体粒子や固体粒子加速
流体による加熱で充分な場合には、転写シート専用のシ
ート加熱装置は省略することもできる。
【0063】次に、被転写基材の加熱は、衝突圧印加
前、或いは衝突圧印加中、或いは衝突圧印加前及び印加
中のいずれでも良い。被転写基材を加熱することで、転
写シートを熱して延伸性向上を図る場合に、熱せられた
転写シート温度が低下するのを防止できる。また、被転
写基材側から転写シートを加熱することもできる。被転
写基材の加熱は、チャンバの外部又は内部、或いは外部
及び内部で行えば良い。外部及び内部の加熱では、充分
な予熱が必要な場合でも、長い搬送距離を使って加熱す
ることができる。長い基材加熱装置をチャンバの内部に
設ける為に、チャンバ自身の内容積が大きくなるなら
ば、基材加熱装置の一部又は全部をチャンバの外部に設
けて、チャンバの内容積を小さくした方が、固体粒子の
飛散、回収等を考慮した取扱上は有利だからである。チ
ャンバの内部で加熱する利点は、衝突圧印加の直前ま
で、或いは衝突圧印加中までも、加熱できることであ
り、特に熱容量が大きい被転写基材をその被転写面近傍
のみ効果的に予熱しようとする場合等である。なお、上
流側に配置した基材塗工装置による塗装や接着剤を乾燥
すべく、溶剤分や水分を蒸発させる役割も持たせた基材
加熱装置の場合は、チャンバ内部に配置するのは好まし
くない。チャンバ内に充満した蒸発した溶剤や水分の排
気手段が必要となり、また溶剤の場合は防爆対策を考慮
する必要も生じる。このような目的の基材加熱装置は、
チャンバの外部に配置するか、内部に配置したとして
も、外部に蒸発用の基材加熱装置(乾燥炉)を別に配置
することが好ましい。もちろん、下塗り層の塗工は別ラ
インで行う形態とすれば、基材加熱装置を乾燥装置と兼
用する必要はない。被転写基材の加熱手段としては、誘
導加熱や誘電加熱は基材内部から加熱できるが、一方、
ヒータ加熱、赤外線加熱、熱風加熱は、凹凸表面側から
の加熱が効率的である。また、被転写基材は裏面側から
も加熱してもよい。チャンバの開口部に被転写基材が搬
送された後に、衝突圧印加直前又は印加中まで加熱する
ならば、基材裏面側からの加熱は、装置スペース的にも
好ましい。衝突圧印加中加熱は、衝突圧印加部上流側で
の加熱に加えて、噴出器の間隙に分散して熱源を設けて
もよい(転写シートを通しての加熱となる)。
【0064】〔接着剤の強制冷却〕また、接着剤が熱融
着型の場合は、転写シートが被転写基材に密着後に接着
剤を強制冷却すれば、凹部内部にまで追従、成形された
転写シートの固着化を促進して、転写シートに復元力が
ある場合に圧解放後、転写シートが元の形状に戻ること
を防止し、転写シート(の支持体)の剥離除去をより早
くできるので、転写抜け防止や生産速度向上が図れる。
この為には、衝突圧印加中に、衝突圧を開放しないまま
冷却固体粒子を用いたり、或いは固体粒子加速流体を用
いる場合は冷却流体を用いたり、衝突圧印加後に、風冷
等の他の冷却手段を用いて接着剤層を冷却すると良い。
被転写基材の熱容量が大の場合は、冷却固体粒子及び冷
却流体以外にも、低温流体の吹き付け、基材搬送用のロ
ーラやベルトコンベア等の冷却により、被転写基材を裏
面から冷却できる。或いは、チャンバ内でのこれら冷却
の後にチャンバ外で、或いはチャンバ内では冷却せずに
チャンバ外のみで、表や裏からの冷風吹き付け等で冷却
しても良い。
【0065】〔支持体の剥離〕なお、支持体を剥離する
タイミングは、衝突圧の解除以降、支持体が剥離時応力
で切断や塑性変形をし無い程度に冷却し、接着剤層が冷
却や硬化反応で固化し転写シートが被転写基材に固着し
た時点以降に行えば良い。
【0066】〔空気抜き〕また、衝突圧印加前に、転写
層や被転写基材上の接着剤層等となる接着剤が加熱され
たとしても活性状態とならないならば、或いは活性状態
になる前の時間的過程が使えるならば、被転写基材と転
写シートとの非粘着の接触を行えるので、転写シートを
被転写基材の凹凸表面に接触させて、転写シートと被転
写基材間の空隙の空気を強制的に抜き取る、「空気抜
き」をすると良い。空気抜きで、転写シートと被転写基
材間の空気が転写時に残留する「エア噛み」、更にはそ
れに起因する転写抜けを防げる。空気抜きは、例えば吸
引排気ノズル及び真空ポンプ等からなる吸引排気装置で
行う。吸引排気ノズルは、転写シートの転写層側で、且
つ搬送される被転写基材の搬送方向に沿う両辺に隣接す
る両側に、被転写基材の搬送方向に沿って設け、転写シ
ートと被転写基材間の空気を、真空ポンプで吸引し排気
すれば良い。吸引排気ノズルの開口部外周は例えばブラ
シで囲いブラシ先端を被転写基材及び転写シートに接触
させれば、それらの搬送に支障なく空気抜きできる。ま
た、空気抜きは衝突圧印加中まで行うのが良い。なお、
空気抜きと転写シートの予熱とのタイミングは、転写シ
ートが予熱されて軟化する速度、軟化の度合いにもよ
り、どちらを先に開始しても良いが、両方を同時に開始
しても良い。空気抜きは、被転写基材の被転写面が例え
ば岩肌調やスタッコ調等の凹凸面の場合は効果的であ
る。
【0067】〔その他〕以上、本発明の曲面転写方法を
説明して来たが、本発明は上記説明に限定されるもので
はない。例えば、図11の装置による曲面転写方法の説
明では、転写シートの被転写基材への圧接は、長尺帯状
の転写シート及び枚葉の被転写基材を用い、両者を一体
的に搬送移動させつつ、固定の噴出器で固体粒子衝突圧
を連続印加する形態であったが、転写シートの被転写基
材への圧接は、その時だけ転写シート及び被転写基材を
停止させて、基材一個ごとに間欠的に行っても構わない
(これらに対して例えば噴出器を移動させる)。また、
被転写基材及び転写シートともに枚葉の形態で供給する
形態でも構わない。また、噴出器の固体粒子噴出方向と
転写シート及び被転写基材との位置関係は、両者ともに
水平面内に載置し、その上方から鉛直方向に真下に固体
粒子を噴き出す位置関係に限定されない。転写シート支
持体側面と噴出方向が垂直関係を維持したとしても、転
写シートの載置又は搬送方向は、水平面内以外にも、斜
面内、鉛直面内(図6(B))等があり、また転写シー
トが水平面内でも、支持体側が下側、すなわち、下から
上に固体粒子を噴出させ衝突させても良い。もちろん、
転写シート支持体面に対して角度をもって固体粒子を噴
出しても良い。また、衝突圧印加前に、弾性体ローラに
よる転写シートの被転写基材への押圧を予備的に行って
も良い。また、チャンバ内は窒素等の不活性ガスを充満
させて、転写層の下地塗膜層等に(硬化前の)電離放射
線硬化性樹脂を用いる場合に、空気中の酸素、水蒸気等
が該樹脂の硬化を阻害するのを防止しても良い。
【0068】〔化粧材〕本発明で得られる化粧材は、外
壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、壁面、天井等
の建築内装材、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、
箪笥等の家具の表面材、弱電・OA機器のキャビネッ
ト、或いは自動車等の車両内装材等の各種分野で用いら
れ得る。
【0069】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に説
明する。
【0070】(実施例)先ず、三次元的表面凹凸を有す
る被転写基材Bとして図12(A)の平面図及び図12
(B)の要部斜視図に例示する様な、大柄な凹凸として
深さ1.5mm、開口幅5mmの目地の溝状凹部401
と、煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹
凸として平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲
に分布する梨地調の微細凹凸403を有する、大柄な凹
凸と微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を有する
厚さ12mmのセメントスラグ窯業系パネルを用意し
た。そして、この被転写基材を60℃に加熱して、2液
硬化型ウレタン塗料として大日本塗料株式会社製の商品
名「セランベース#1000」(アクリルポリオールと
イソシアネートとの重量比10:1の混合物)をスプレ
ー塗装後、100℃で5分間加熱乾燥して、100g/
2 (固形分基準)の下塗り層を形成した。更に、下塗
り層の上に、接着剤層として、大日本インキ化学工業株
式会社製の商品名「アクリディックA−810」(アク
リルポリオールとイソシアネートとの重量比10:1の
混合物、ガラス転移温度60℃)を、スポンジローラを
用いたロールコートにより全面に塗工後、100℃で5
分間乾燥して、20g/m2 (固形分基準)の架橋剤と
してイシソアネート化合物を有する接着剤層を形成し
た。なお、下塗り層及び接着剤層の形成はオフラインで
別の装置で行った。
【0071】また、転写シートSは支持体に厚さ100
μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルム
の片面に、転写層となる装飾層として該凹凸面形状と位
置同調したセメントの目地を有する煉瓦調の絵柄を順次
グラビア印刷したものを用意した。絵柄インキのバイン
ダーの樹脂としては、アクリルポリオール(ガラス転移
温度60℃、水酸基価20)を、また、着色顔料として
は、弁柄、イソインドリノン、カーボンブラック、チタ
ン白を用いた。
【0072】次に、図11に示す様な装置で、噴出器に
は図2〜図4に様な羽根車を用いた噴出器を使用し、上
記被転写基材Bを、その凹凸面を上にして搬送用ローラ
列からなる基材搬送装置10上に載置して搬送し、電熱
線ヒータによる輻射熱を用いた基材加熱装置41で、接
着剤及び被転写基材を80℃まで加熱して、仮固定ロー
ラ22で転写シートを仮固定した後、衝突圧印加部30
に供給した。一方転写シートSも、シート供給装置20
により、その支持体側を上にして衝突圧印加部に供給し
た。この際、転写シートSは、先ず、誘導発熱を利用し
た金属加熱ローラからなるシート加熱装置40で100
℃まで加熱し、次いで耐熱ゴム製の弾性体ローラによる
仮固定ローラ22で、前記80℃まで加熱された被転写
基材面に接触させた仮固定した後、被転写基材と一体と
して衝突圧印加部のチャンバ33に供給した。
【0073】次いで、固体粒子Pとして平均粒径0.4
mmの球形の亜鉛球を噴出器32から、噴出させ転写シ
ートの支持体側に衝突させて、転写シートを被転写基材
に圧接した。噴出器の羽根車の回転数は3600〔rp
m〕、固体粒子の噴出速度は40〔m/s〕であった。
そして、転写シートが目地の凹部内にまで延ばされて熱
融着し、チャンバ33から続いてその下流側に設けた小
チャンバ71内に於いて冷却装置70で20℃の冷風を
吹き付けて、接着剤を冷却して接着温度以下に冷却する
と共に、転写シート上に残留した固体粒子を転写シート
端部からチャンバ下部に向かって落として除去した後、
転写シートの支持体を剥離ローラ60で剥がし取り、ト
ップコート層が未形成の化粧材Dを得た。化粧材は表面
凹凸に追従して絵柄が転写されていた。
【0074】更に、この化粧材の転写層の表面に、大日
本塗料株式会社製の商品名「VセランTP#1000」
(アクリルポリオールとイソシアネートとの重量比1
0:1の混合物)を、全面にスプレー塗装後、120℃
で10分間乾燥して、100g/m2 (固形分基準)の
トップコート層を形成した。その後、1週間養生して、
転写層中の水酸基と、接着剤層及びトップコート層中の
架橋剤との化学反応を進行させて化学結合を生じさせ、
最終的な化粧材とした。
【0075】(比較例1)実施例において、転写シート
の装飾層形成に用いた絵柄インキのバインダーの樹脂と
して、アクリルポリオールに代えて、アクリル樹脂と塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物(ガラス転移
温度80℃)を用いた他は、実施例と同様にして、トッ
プコート層付きの化粧材を得た。化粧材は表面凹凸に追
従して絵柄が転写されていた。
【0076】(比較例2)実施例において、転写シート
の装飾層形成に用いた絵柄インキのバインダーの樹脂と
して、アクリルポリオールに代えて、アクリル樹脂(ガ
ラス転移温度70℃)を用いた他は、実施例と同様にし
て、トップコート層付きの化粧材を得た。化粧材は表面
凹凸に追従して絵柄が転写されていた。
【0077】(性能比較)実施例及び比較例の耐久性を
評価した結果を表1に示す。なお、各評価項目は次の様
にして試験評価した。 耐シンナー性:シンナーを滴下して外観を目視観察し
た。 耐水性:水に浸漬後、30日間放置後の外観を目視観
察した。 耐温水性:60℃温水に8時間浸漬後、取り出して室
温で16時間放置するる操作を10サイクル繰り返した
後の外観を目視観察した。
【0078】
【表1】 ○:良好 △:やや良好 ×:不良
【0079】表1の如く、転写層中の反応性官能基と、
転写層と表裏で接する層中の架橋剤とを化学結合させた
実施例1では、いずれの評価項目でも良好な結果を示し
たが、転写層で表裏で接する層中に架橋剤が含有してい
ても、これと化学結合を生じる反応性官能基が転写層中
に無い比較例1及び2では、満足すべき性能が得られな
かった。
【0080】
【発明の効果】 本発明によれば、大きな三次元的凹凸表面が装飾され
た化粧材が容易に得られる。もちろん、窓枠、サッシ等
の二次元的凹凸も可能であり、平板状の板材以外にも、
瓦の様に全体として(包絡面形状が)波うち形状のも
の、或いは凸又は凹に湾曲した形状のものでも容易に得
られる。 しかも、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内(底部や凸
部と底部の連結部分である側面)も転写できる。また、
大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様(例えば、
ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、その微細凹凸の
凹部内にまで、転写にて装飾できる。 更に、転写層に熱可塑性樹脂を用いているので、被転
写基材の凹凸表面の凹部内部にまで確実に転写層を転写
できる。 更に、被転写基材側に下塗り層や接着剤層を設けた後
に、転写層を転写し、その後、転写層上にトップコート
層を設けて、転写層の表裏がこれらの層で挟持される構
成とした上で、且つ、転写層の熱可塑性樹脂に反応性官
能基を有する樹脂を用い、転写層の表裏で接する下塗り
層、接着剤層、トップコート層を樹脂主剤と架橋剤とを
含有する層として設けることとした。その為、転写層中
の反応性官能基と前記架橋剤又は樹脂主剤の有する反応
性官能基とを化学結合させ層間架橋を生じる様に反応さ
せれば、表面凹凸への追従・成形性を維持しつつ表面物
性に優れた化粧材が得られる。特に、本発明では、従来
の転写ローラによる転写では不可能な大きな表面凹凸へ
の転写が可能な固体粒子衝突圧を転写圧として用いるの
で、その大きな表面凹凸への追従・成形性と表面物性と
の両立は従来の転写ローラ以上により難しい課題である
が、これを容易に解決できる。 また、従来のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材
の凹凸部によるローラ等部品の損耗も無い。 以上の結果、従来に無く極めて意匠性に優れた化粧材
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を説明する概念図。
【図2】羽根車を用いた噴出器の一形態を説明する概念
図(正面図)。
【図3】図2の羽根車部分の斜視図。
【図4】図2の羽根車内部を説明する概念図。
【図5】羽根車にて噴出方向を調整する説明図。
【図6】羽根車を用いた噴出器の別の形態を説明する概
念図であり、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図7】吹出ノズルによる噴出器の一形態を説明する概
念図。
【図8】噴出器の各種配置形態を示す平面図。(A)は
千鳥格子状に並べた配置、(B)は中央部は上流側にし
て、両端になるにつれて下流側にずらした配置。
【図9】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図10】噴出器の向き一形態を示す流れ方向からみた
側面図。
【図11】本発明の曲面転写方法を実施し得る曲面転写
装置の一形態の概念図で、(A)は基材搬送方向の側面
から見た図で、(B)は(A)の装置の噴出器部分を基
材搬送方向から見た概略装置図。
【図12】被転写基材の三次元表面凹凸の一例を示す説
明図であり、(A)は平面図、(B)は要部斜視図。
【符号の説明】
1 支持体 2 転写層 3 下塗り層、接着剤層 4 トップコート層 10 基材搬送装置 20 シート供給装置 21 シート送出装置 22 仮固定ローラ 23 シート排出装置 30 衝突圧印加部 31 ホッパ 32 噴出器 33 チャンバ 34 ドレン管 35 分離装置 36 真空ポンプ 40 シート加熱装置 41 基材加熱装置 50 基材塗工装置 60 剥離ローラ 70 除去装置(兼冷却装置) 71 第2チャンバ 401 溝状凹部 402 平坦凸部 403 微細凹凸 812、812a羽根車 813、813a 羽根 814、814a 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819、819a 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル B 被転写基材 D 化粧材 F 流体 P 固体粒子 S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 優 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 宮下 治雄 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸表面へ
    の転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
    後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層
    を被転写基材に転写する曲面転写方法であって、 転写層が熱可塑性樹脂からなる転写シートを用いる、曲
    面転写方法。
  2. 【請求項2】 被転写基材に下塗り層又は/及び接着剤
    層を設けた後に、請求項1記載の曲面転写方法により転
    写層を被転写基材に転写し、更にその後、転写された転
    写層上にトップコート層を設ける曲面転写方法であっ
    て、 転写層を構成する熱可塑性樹脂が反応性官能基を有し、
    且つ少なくとも転写層の表裏に接する層となるトップコ
    ート層と下塗り層又は接着剤層とが、樹脂主剤中に架橋
    剤を含有しており、転写層と接するこれら層中の樹脂主
    剤又は架橋剤の反応性官能基と転写層の反応性官能基と
    を化学結合を生じる様に反応させる、曲面転写方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000296362A (ja) * 1999-02-12 2000-10-24 Sanyo Chem Ind Ltd 塗装物および塗装方法
JP2010018025A (ja) * 2008-06-09 2010-01-28 Dainippon Printing Co Ltd 転写材、転写材と被転写材との組合せ及び転写層の転写方法
JP2018079669A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 ユーロポート株式会社 転写シート、転写方法

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