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JPH083314A - ポリイソイミドおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイソイミドおよびその製造方法

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Publication number
JPH083314A
JPH083314A JP13467194A JP13467194A JPH083314A JP H083314 A JPH083314 A JP H083314A JP 13467194 A JP13467194 A JP 13467194A JP 13467194 A JP13467194 A JP 13467194A JP H083314 A JPH083314 A JP H083314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyisoimide
formula
represented
dianhydride
polyimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP13467194A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Niwa
一明 丹羽
Yoshiko Kato
佳子 加藤
Akihiko Sakurai
明彦 桜井
Hideetsu Fujiwara
秀悦 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP13467194A priority Critical patent/JPH083314A/ja
Publication of JPH083314A publication Critical patent/JPH083314A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(I)および/または(I') 【化1】 (ここでR1およびR3は2価の脂環族基であり、R2
よびR4は4価の芳香族基、脂環族基等である)で示さ
れる単位を主たる繰り返し単位としてなり、且つ対数粘
度が0.01〜20dl/g(N−メチルピロリドン溶
媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)であること
を特徴とするポリイソイミドおよびその製造方法。 【効果】 本発明のポリイソイミドは、溶剤に可溶性で
あるために成形加工性に優れ、しかも加熱してポリイミ
ドへ転位した後では、耐熱性に優れているという利点を
有している。そのためフィルム、絶縁テープ、電線材
料、成形材料あるいはIC保護コーティング材料などの
広範な用途に利用することができる。さらに、転位して
得られたポリイミドのフィルムは既存のポリイミドフィ
ルムと比べて透明性が優れており、透明耐熱性フィルム
として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶剤に可溶な新規なポ
リイソイミドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリイミドは無水ピロメリット
酸などの芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミ
ンとから得られ、その優れた耐熱性、機械的強度あるい
は電気特性の点から、モーターの耐熱絶縁テープ、フレ
キシブル配線基板のベースフィルム、フラットケーブ
ル、IC保護コーティング材料などの耐熱性絶縁材料あ
るいは成形用粉体として、耐熱性の必要とされる各種部
品に利用されていることはよく知られている。
【0003】これまでの芳香族テトラカルボン酸無水物
と芳香族ジアミンとから得られる、いわゆる芳香族系ポ
リイミドのほとんどは有機溶媒に不溶であり、加工性に
難点があった。そのため、芳香族テトラカルボン酸無水
物と芳香族ジアミンとをN−メチルピロリドン、ジメチ
ルアセトアミドなどの極性溶媒中で反応させ、これらの
溶媒に溶解するポリアミド酸の溶液となし、例えばフィ
ルムとして用いる場合には、ポリアミド酸の溶液をフィ
ルム状に成形した後、250〜450℃に加熱すること
によって溶媒を蒸発除去し、同時にポリアミド酸の脱水
閉環を行わしめて、目的とする溶剤に不溶なポリイミド
・フィルムを得ていた。
【0004】そして、このように高い加熱温度が必要な
ため、耐熱性に劣る材料と複合させて成形加工を行うこ
とができないという欠点を有する。また、閉環反応と脱
水反応が同時に起こるので、脱水反応に伴うボイドの発
生を避けるために、上記加熱工程は厳密な温度コントロ
ールの下に長時間をかけなければならず、生産性も悪
い。従って、溶媒に可溶なポリイソイミドが得られれ
ば、このポリイソイミドの溶液をフィルム状に成形した
後、溶媒を蒸発除去し該ポリイソイミドを熱転位させる
だけで、脱水反応を伴わない、比較的低温での加熱工程
によりポリイミドフィルムが得られることになる。ま
た、ポリイソイミドは、脱水反応を経ずにポリイミドへ
の転位反応を行うことができるため、前記の脱水反応に
伴うボイドの発生を避けることができ、成形加工性の改
良にも役立つことになる。以上のように、溶媒に可溶な
ポリイソイミドが提供されれば、それを転位反応に供す
ることによって得られるポリイミドの応用範囲が広がる
ことが充分予想される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
なポリイソイミドを提供することにある。本発明の他の
目的は、溶剤に可溶なポリイソイミドを提供することで
ある。本発明のさらなる他の目的は、上述のポリイソイ
ミドの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第1
に、下記一般式(I)および/または(I')
【0007】
【化5】
【0008】
【化6】
【0009】で示される単位を主たる繰り返し単位とし
てなり、且つ対数粘度が0.01〜20dl/g(N−
メチルピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃
で測定)であることを特徴とするポリイソイミドが提供
される。
【0010】さらに本発明によれば、第2に、下記一般
式(II)、(III)および(IV)
【0011】
【化7】
【0012】で示される脂環族ジアミンの少なくとも1
種と下記一般式(V)
【0013】
【化8】
【0014】で示されるテトラカルボン酸二無水物とを
反応させ、次いで得られた前駆重合体をイソイミド化剤
を用いて、脱水閉環せしめてイソイミド化することを特
徴とするポリイソイミドの製造方法が提供される。
【0015】以下、本発明を詳述するが、それにより本
発明の目的、構成それに基づく利点および効果が明らか
となろう。
【0016】本発明のポリイソイミドの主たる繰り返し
単位である前記一般式(I)および(I')で示される
繰り返し単位において、R1およびR3は、前述のとお
り、同一または異なり、下記式(1)〜(3)
【0017】
【化9】
【0018】で示される2価の脂環族基のいずれかであ
る。
【0019】上記式(3)のXは、下記式(4)〜
(6)
【0020】
【化10】
【0021】で示される2価の基のいずれかである。
【0022】R1およびR3の2価の脂環族基として、な
かでも、式(1)、式(2)またはXがメチレン、−O
−、−S−、−SO−、イソプロピリデンあるいはヘキ
サフルオロイソプロピリデンである式(3)で示される
2価の基が好ましい。
【0023】前記一般式(I)および(I')におい
て、R2およびR4は前述のとおり、同一または異なり、
4価の芳香族基、組成式がCn2n-4(nは正の整数で
ある)で示される4価の脂環族基または下記式(7)
【0024】
【化11】
【0025】で示される4価の基である。また、4価の
芳香族基は炭素数が6〜20のものが好ましく、4価の
脂環族基は炭素数nが4〜6のものが好ましい。
【0026】前記一般式(I)および(I')のR2およ
びR4における4価の芳香族基の好ましい例として、下
記式(8)〜(12)で示されるものを挙げることがで
きる。
【0027】
【化12】
【0028】式(11)において、Zは、式(3)のX
と同じく前記式(4)〜(6)で示される2価の基のい
ずれかである。
【0029】前記一般式(I)のR2および一般式
(I')のR4における、組成式がCn2n -4である4価
の脂環族基の好ましい具体例として、下記式(13)〜
(15)
【0030】
【化13】
【0031】を挙げることができる。
【0032】R2およびR4として特に好ましいものとし
て特に好ましいものとして式(7)、式(8)、式(1
0)、Zがメチレン、−O−、−S−、−SO−、−C
O−、イソプロピリデンあるいはヘキサフルオロイソプ
ロピリデンである式(11)、式(13)および式(1
4)で示される4価の基を挙げることができる。
【0033】さらに、本発明のポリイソイミドにおい
て、式(I)および(I')で示される繰り返し単位の
2とR4およびR1とR3がそれぞれ同一であって、R2
とR4が式(7)、式(8)、式(10)、Zが−CO
−、−SO−あるいはヘキサフルオロイソプロピリデン
である式(11)または式(13)で示される4価の基
であり、そしてR1とR3が式(1)、またはXがメチレ
ン、−CO−、−SO−あるいは式(3)で示される2
価の基であることが極めて好ましい。
【0034】本発明のポリイソイミドは、前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
から主としてなり、通常これらの繰り返し単位を全繰り
返し単位の少なくとも50モル%、好ましくは少なくと
も60モル%、さらに好ましくは少なくとも80モル%
含有する。
【0035】さらに本発明のポリイソイミドは、通常一
般式(I)および/または(I')で示される繰り返し
単位と共に、下記一般式(VI)、(VII)、(VI
II)
【0036】
【化14】
【0037】などで示される繰り返し単位を含有する。
【0038】前記式(VI)〜(VIII)で示される
繰り返し単位の含有量は、ポリイソイミド中の全単位の
0.01〜50モル%であり、好ましくは0.1〜40モ
ル%、さらに好ましくは0.1〜20モル%である。
【0039】前記一般式(VI)〜(VIII)中のR
6は、前記一般式(I)のR1および一般式(I')のR3
と同意である。そして、上記R1およびR3について既に
記載したことを好ましい様態を含んでR6に適用するこ
とができる。勿論R6はR1またはR3と同一であること
もできるし異なることもできる。
【0040】また前記一般式(VI)〜(VIII)中
のR7は、前記一般式(I)のR2および一般式(I')
のR4と同意である。そして前記R2およびR4について
既に記載したことを好ましい態様を含んでR7に適用す
ることができる。
【0041】また、本発明のポリイソイミドは、N−メ
チルピロリドン中、0.5g/dlの濃度で30℃で測
定した際の対数粘度(ηinh)が0.01−20dl/g
であり、好ましくは0.1−10dl/gである。
【0042】このような本発明のポリイソイミドは、前
記一般式(II)、(III)および(IV)で示され
る脂環族ジアミン(以下、単に「ジアミン」という。)
の少なくとも1種と前記一般式(V)で示されるテトラ
カルボン酸二無水物とを反応させ、次いで得られた前駆
重合体をイソイミド化剤を用いて、脱水閉環せしめてイ
ソイミド化することにより製造することができる。
【0043】前記式(IV)におけるXは、式(3)に
おけるXと同意であり、式(3)のXについて既に記載
したことを適用することができる。また、前記式(V)
におけるR5は前記式(I)および(I')におけるR2
およびR4と同意であり、その好ましい態様を含めてR2
およびR4について記載したことが適用され得る。
【0044】前記式(II)〜(IV)の好ましいジア
ミンの具体例として、m−シクロヘキシルジアミン、p
−シクロヘキシルジアミン、4,4'−ジアミノジシクロ
ヘキシルメタン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルエ
タン、1,3−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロ
パン、1,4−ビス(p−アミノシクロヘキシル)ブタ
ン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)ケトン、4,4'
−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、ビス(p−アミ
ノシクロヘキシル)スルフィド、ビス(p−アミノシク
ロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(p−アミノシク
ロヘキシル)プロピン、2,2−ビス(p−アミノシク
ロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、などを挙げるこ
とができる。とりわけm−シクロヘキシルジアミン、p
−シクロヘキシルジアミン、4,4'−ジアミノジシクロ
ヘキシルメタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)ケ
トン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)スルホンまた
は2,2'−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン
が好ましい。
【0045】これらのジアミンは、1種類単独であるい
は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】前記一般式(V)で示されるテトラカルボ
ン酸二無水物のうち好ましい具体例として、ピロメリッ
ト酸無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスル
ホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタ
ル酸無水物、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデ
ン)ジフタル酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,4,5,6−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテ
トラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸
二無水物;シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シ
クロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラ
カルボン酸などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;そ
の他、2,3,5−トリカルボキシ−シクロペンチル酢酸
無水物などを挙げることができる。
【0047】テトラカルボン酸二無水物として、とりわ
けピロメリット酸無水物、3,3',4,4'−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジ
フェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−
(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水
物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物または2,
3,5−トリカルボキシ−シクロペンチル酢酸無水物が
好ましい。
【0048】これらのテトラカルボン酸二無水物は、1
種類単独でも2種類以上組み合わせても使用することが
できる。
【0049】本発明の製造方法においては、ポリイソイ
ミドの前駆重合体の調製がまず行われる。この前駆重合
体の調製は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを
適当な溶剤中で、通常、テトラカルボン酸二無水物1モ
ルに対してジアミン0.8〜1.2モルの割合で反応させ
ることにより行われる。その際のテトラカルボン酸二無
水物とジアミンとの溶剤に対する濃度は種々の条件に応
じて適宜設定しうるが、テトラカルボン酸二無水物とジ
アミンとを合計した重量が、全溶液重量に対し、通常は
1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。反
応温度は通常80℃以下、好ましくは0〜60℃であ
る。また反応時間は通常1〜200時間である。
【0050】ここで用いる溶剤としては、テトラカルボ
ン酸二無水物およびジアミンに対して不活性であり、か
つこれらを溶解せしめるものが用いられ得る。好ましく
用いられる溶剤は、例えばジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミドもしくはN−メチルピロリドンの如き
アミド系溶剤;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリ
ン、イソキノリンの如き複素環系溶剤;フェノールもし
くはクレゾールの如きフェノール系溶剤;またはジメチ
ルスルホキシドなどのいわゆる非プロトン系極性溶剤で
ある。これらは単独で使用することができ、また2種以
上併用することもできる。
【0051】本発明のポリイソイミドは、かくして得ら
れる前駆重合体(通常ポリアミド酸と呼ばれる)をイソ
イミド化剤を用いて脱水閉環せしめてイソイミド化する
ことにより得られる。本発明方法に用いることのできる
イソイミド化剤としては、無水酢酸、無水トリフルオロ
酢酸の如き酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩化ト
シルの如き塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニ
ル、ジエチルリン酸シアニドの如きリン化合物;N,N
−ジシクロヘキシルカルボジイミドの如きN,N−2置
換カルボジイミドなどが挙げられる。これらのイソイミ
ド化剤は、例えば前駆重合体100重量部に対して10
〜1000重量部用いることが好ましい。また、これら
のイソイミド化剤はテトラカルボン酸無水物およびジア
ミンの種類に応じて適宜選択して使用する。
【0052】特に好ましい脱水剤は無水酢酸であり、毒
性および副生物が少なく好適に使用することができる。
【0053】さらにまた、脱水閉環の進行を容易にする
ために三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミンの如き脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、
1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如
き芳香族アミン;ピリジン、ルチジン、キノリン、イソ
キノリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデ
センの如き複素環式化合物などを脱水閉環の促進剤とし
て、例えば前駆重合体100重量部に対して10〜40
0重量部を前記イソイミド化剤と併用してもよい。
【0054】脱水閉環せしめることによるイソイミド化
は、前記イソイミド化剤および必要に応じて前記三級ア
ミンを前駆重合体溶液と混合させ反応させることにより
実施される。この反応は0〜100℃の温度において行
うのが好ましく、さらに好ましくは0〜60℃の温度で
ある。
【0055】かくして得られたポリイソイミド溶液か
ら、0〜100℃の温度で、常圧ないし減圧下に溶剤を
除去することにより、目的とする本発明のポリイソイミ
ドを得ることができる。また充分に脱水、乾燥させた大
過剰の活性水素を持たない、ジエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテルの如きエーテル;メチルエチルケト
ン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンの如き
ケトンなどの貧溶媒中にこのポリイソイミド溶液を注い
で行う再沈操作によっても、この目的とする本発明のポ
リイソイミドが得られる。このようにして得られたポリ
イソイミドは、好ましくは120℃以上、より好ましく
は140℃以上でかつ好ましくは400℃以下、特に好
ましくは350℃以下に加熱することにより脱水を伴う
ことなくポリイミドへ転位させることができる。
【0056】
【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例により制限されるもの
ではない。なお、実施例中の%は重量基準である。
【0057】(実施例1)内容積300mlのフラスコ
を乾燥し、次いでフラスコ内に窒素パージしながら、脱
水したN−メチルピロリドン(以下、「NMP」と略
す)80gを加えた。このNMPの含有水分量は8pp
mであった。これに、4,4'−ジアミノジシクロヘキシ
ルメタン(以下、「DCDA」と略す)4.2072g
(0.020mol)を秤取り、フラスコ中に添加し、
テフロン製の攪拌翼により攪拌して全量を溶解した。次
いで、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジ
フタル酸二無水物(以下、「6FDA」と略す)8.8
848g(0.020mol)を秤量し、攪拌しながら
フラスコ中に添加した。その後室温で24時間攪拌し、
ポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液中のポリア
ミド酸量は、13.092gであった。このポリアミド
酸溶液にNMP40gを加えて希釈した後、フラスコ内
を窒素パージしながら無水酢酸14.293gおよびピ
リジン17.402gの混合物を静かに添加した。添加
後室温にて6時間攪拌し脱水閉環反応によるイソイミド
化を完了した。反応後、この溶液を3000mlの充分
に脱水を行ったジエチルエーテルに徐々に加えポリマー
を凝固させた。このポリマーを分離採取し、60℃の真
空乾燥機中で8時間乾燥させることにより、前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
を有する白色のポリイソイミド12.0gを得た。得ら
れたポリイソイミドの対数粘度(NMP溶媒中、濃度
0.5g/dl、30℃で測定)は0.86dl/gであ
った。
【0058】かくして得られたポリイソイミドは、図1
に示したその赤外吸収スペクトルから明らかなごとく、
1801、1716、960cm-1にイソイミドの特性
吸収を有し、ポリイソイミドの全繰り返し単位の99モ
ル%が前記一般式(I)および/または(I')で示さ
れる繰り返し単位であり、1モル%が前記一般式(V
I)〜(VIII)で示される繰り返し単位であるポリ
イソイミドであることが確認された。このポリイソイミ
ドは溶媒に可溶で、NMPに20%以上の濃度で溶解し
た。さらにこのポリイソイミドは、300℃、10分間
の加熱によりポリイミドに容易に転位した。転位後のポ
リイミドの示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移
温度(Tg)は、279℃であった。さらに熱重量分析
(TGA)による5%重量減少温度(空気下(流速:1
00ml/min)、昇温速度10℃/min、試料量
10mg)は、456℃であった。
【0059】(実施例2)内容積300mlのフラスコ
を乾燥し、次いでフラスコ内を窒素パージしながら、脱
水したNMP70gを加えた。このNMPの含有水分量
は8ppmであった。これに、DCDA4.2072g
(0.020mol)を秤取り、フラスコ中に添加し、
テフロン製の攪拌翼により攪拌して全量を溶解した。次
いで3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物(以下、「DSDA」と略す)7.165
6g(0.020mol)を秤量し、攪拌しながらフラ
スコ中に添加した。その後室温で24時間攪拌し、粘稠
なポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液中のポリ
アミド酸量は、11.373gであった。このポリアミ
ド酸溶液にNMP40gを加えて希釈した後、フラスコ
内に窒素パージしながら無水酢酸14.293gおよび
ピリジン17.402gの混合物を静かに添加した。添
加後室温にて6時間攪拌し脱水閉環によるイソイミド化
を完了させた。反応後、この溶液を3000mlの充分
に脱水を行ったジエチルエーテルに徐々に加えポリマー
を凝固させた。このポリマーを分離採取し、60℃の真
空乾燥機中で8時間乾燥させることにより、前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
を98モル%および前記一般式(VI)〜(VIII)
で示される繰り返し単位を2モル%有する白色のポリイ
ソイミド12.0gを得た。得られたポリイソイミドの
対数粘度は0.75dl/gであった。かくして得られ
たポリイソイミドは溶媒に可溶で、NMPに20%以上
の濃度で溶解した。さらにこのポリイソイミドは、30
0℃、10分間の加熱によりポリイミドに容易に転位し
た。転位後のポリイミドの示差走査熱量計(DSC)に
よるガラス転移温度(Tg)は、266℃であった。さ
らに熱重量分析(TGA)による5%重量減少温度は、
416℃であった。
【0060】(実施例3)実施例2において、DSDA
の代わりに3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物(以下、「BTDA」と略す)6.44
4gを用いた以外は、実施例2と同様の条件で前記一般
式(I)および/または(I')で示される繰り返し単
位を95モル%および前記一般式(VI)〜(VII
I)で示される繰り返し単位を5モル%有するポリイソ
イミドを得た。得られた白色のポリイソイミドの対数粘
度は、0.68dl/gであった。得られたポリイソイ
ミドはNMPに20%以上の濃度で溶解した。また実施
例2と同様にして得た加熱転位後のポリイミドのガラス
転移温度は312℃であり、5%重量減少温度は427
℃であった。
【0061】(実施例4)実施例2において、DSDA
の代わりに3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物(以下、「BPDA」と略す)6.444g
を用いた以外は、実施例2と同様の条件で前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
を95モル%および前記一般式(VI)〜(VIII)
で示される繰り返し単位を5モル%有するポリイソイミ
ドを得た。得られた白色のポリイソイミドの対数粘度
は、0.62dl/gであった。得られたポリイソイミ
ドはNMPに20%以上の濃度で溶解した。また実施例
2と同様にして得た加熱転位後のポリイミドのガラス転
移温度は307℃であり、5%重量減少温度は450℃
であった。
【0062】(実施例5)実施例2において、DSDA
の代わりにピロメリット酸二無水物(以下、「PMD
A」と略す)6.444gを用いた以外は、実施例2と
同様の条件で前記一般式(I)および/または(I')
で示される繰り返し単位を92モル%および前記一般式
(VI)〜(VIII)で示される繰り返し単位を8モ
ル%有するポリイソイミドを得た。得られた白色のポリ
イソイミドの対数粘度は、0.88dl/gであった。
得られたポリイソイミドはNMPに20%以上の濃度で
溶解した。また実施例2と同様にして得た加熱転位後の
ポリイミドのガラス転移温度は331℃であり、5%重
量減少温度は445℃であった。
【0063】(実施例6〜11)表1に示されるテトラ
カルボン酸二無水物およびジアミンを出発原料として用
いた以外は、実施例2と同様にしてポリイソイミドの合
成を行った。得られたポリイソイミドの性質および加熱
転位後のポリイミドの熱的性質(ガラス転移温度および
5%重量減少温度)を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明のポリイソイミドは、溶剤に可溶
であるために成形加工性に優れ、しかも加熱してポリイ
ミドへ転位した後では、耐熱性に優れているという利点
を有している。そのためモーターの耐熱絶縁テープ、フ
レキシブル配線基板のベースフィルム、フラットケーブ
ル、IC保護コーティング材料などの広範な用途に利用
することができる。さらに、転位して得られたポリイミ
ドのフィルムは既存のポリイミドフィルムと比べて透明
性が優れており、透明耐熱性フィルムとして使用するこ
とができる。
【0066】以上詳述した本発明のポリイソイミドおよ
びその製造方法につきその好ましい態様を付記する。 1. 前記一般式(VI)〜(VIII)で示される繰り
返し単位を、ポリイソイミド中の全単位の0.01〜5
0モル%含有するポリイソイミド。 2. 前記一般式(I)のR1および一般式(I')のR3
が式(1)、またはXがメチレン、−CO−、−SO−
あるいはイソプロピリデンである式(3)で示される2
価の脂環族基であるポリイソイミド。 3. 前記一般式(I)のR2および一般式(I')のR4
が式(7)、式(8)、式(10)、Zが−CO−、−
SO−あるいはヘキサフルオロイソプロピリデンである
式(11)または式(13)で示される4価の基または
前記式(7)で示される4価の基であるポリイソイミ
ド。 4. 一般式(I)および/または(I')で示される繰
り返し単位が、ポリイソイミド中の全単位の少なくとも
50モル%以上を占めるポリイソイミド。 5. 脂環族ジアミンとしてm−シクロヘキシルジアミ
ン、p−シクロヘキシルジアミン、4,4'−ジアミノジ
シクロヘキシルメタン、ビス(p−アミノシクロヘキシ
ル)ケトン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)スルホ
ンまたは2,2'−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プ
ロパンを用いるポリイソイミドの製造方法。 6. テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸無
水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテ
トラカルボン酸二無水物、4,4'−(ヘキサフルオロイ
ソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、シクロブタンテ
トラカルボン酸二無水物または2,3,5−トリカルボキ
シ−シクロペンチル酢酸無水物を用いるポリイソイミド
の製造方法。 7. 前駆重合体を、無水酢酸を脱水剤として用いて脱水
閉環せしめるポリイソイミドの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られたポリイソイミドの赤外
吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 秀悦 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)および/または
    (I') 【化1】 【化2】 で示される単位を主たる繰り返し単位としてなり、且つ
    対数粘度が0.01〜20dl/g(N−メチルピロリ
    ドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)であ
    ることを特徴とするポリイソイミド。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II)、(III)および
    (IV) 【化3】 で示される脂環族ジアミンの少なくとも1種と下記一般
    式(V) 【化4】 で示されるテトラカルボン酸二無水物とを反応させ、次
    いで得られた前駆重合体をイソイミド化剤を用いて脱水
    閉環せしめてイソイミド化することを特徴とするポリイ
    ソイミドの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201305A (ja) * 2001-01-05 2002-07-19 Teijin Ltd ポリイミド多孔膜およびその製造方法
JP2005163012A (ja) * 2003-11-13 2005-06-23 New Japan Chem Co Ltd ポリイミド前駆体、ポリイミド及びこれらの製造方法

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JP2002201305A (ja) * 2001-01-05 2002-07-19 Teijin Ltd ポリイミド多孔膜およびその製造方法
JP2005163012A (ja) * 2003-11-13 2005-06-23 New Japan Chem Co Ltd ポリイミド前駆体、ポリイミド及びこれらの製造方法

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