JPH069589A - エピクロロヒドリンの製造法 - Google Patents
エピクロロヒドリンの製造法Info
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- JPH069589A JPH069589A JP5053832A JP5383293A JPH069589A JP H069589 A JPH069589 A JP H069589A JP 5053832 A JP5053832 A JP 5053832A JP 5383293 A JP5383293 A JP 5383293A JP H069589 A JPH069589 A JP H069589A
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07D—HETEROCYCLIC COMPOUNDS
- C07D301/00—Preparation of oxiranes
- C07D301/02—Synthesis of the oxirane ring
- C07D301/24—Synthesis of the oxirane ring by splitting off HAL—Y from compounds containing the radical HAL—C—C—OY
- C07D301/26—Y being hydrogen
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C29/00—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
- C07C29/64—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by simultaneous introduction of -OH groups and halogens
- C07C29/66—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by simultaneous introduction of -OH groups and halogens by addition of hypohalogenous acids, which may be formed in situ, to carbon-to-carbon unsaturated bonds
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- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C29/00—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
- C07C29/74—Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation
- C07C29/76—Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment
- C07C29/86—Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment by liquid-liquid treatment
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 塩化アリルを原料とし、ジクロロプロパノー
ル類を経由してエピクロロヒドリンを製造する工程にお
いて、粗ジクロロプロパノール類の水溶液を従来の溶媒
よりも抽出効率の著しく高い溶媒を用いて液/液抽出を
行うことにより、収率が高く、操作が簡単で、かつエネ
ルギーの消費量が少なくてすむ製造法を提供することが
主な目的である。 【構成】 塩化アリルを次亜塩素化してジクロロプロパ
ノール類を製造する過程で生成する粗ジクロロプロパノ
ール類水溶液中の塩化脂肪族不純物を、1,2,3−ト
リクロロプロパンに富む有機溶媒をリサイクルして抽出
し、得られた精製ジクロロプロパノールを脱塩酸して、
エピクロロヒドリンを製造する。
ル類を経由してエピクロロヒドリンを製造する工程にお
いて、粗ジクロロプロパノール類の水溶液を従来の溶媒
よりも抽出効率の著しく高い溶媒を用いて液/液抽出を
行うことにより、収率が高く、操作が簡単で、かつエネ
ルギーの消費量が少なくてすむ製造法を提供することが
主な目的である。 【構成】 塩化アリルを次亜塩素化してジクロロプロパ
ノール類を製造する過程で生成する粗ジクロロプロパノ
ール類水溶液中の塩化脂肪族不純物を、1,2,3−ト
リクロロプロパンに富む有機溶媒をリサイクルして抽出
し、得られた精製ジクロロプロパノールを脱塩酸して、
エピクロロヒドリンを製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化アリルの次亜塩素
化により得られるジクロロプロパノール類の脱塩酸によ
るエピクロロヒドリンの製造法に関するものであり、特
に排水中の塩化有機不純物の濃度を低減できる改良製造
法に関する。
化により得られるジクロロプロパノール類の脱塩酸によ
るエピクロロヒドリンの製造法に関するものであり、特
に排水中の塩化有機不純物の濃度を低減できる改良製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】適当な反応系中で、塩化アリル、水及び
塩素を反応させることによって得られたジクロロプロパ
ノール類の水溶液を、塩基性化合物の存在下で脱塩酸し
てエピクロロヒドリンを製造することはよく知られてい
る。一般に、塩化アリルからジクロロプロパノール類へ
の次亜塩素化反応の過程で、目的としない多くの副産物
が生成する。次亜塩素化反応の選択性は、きわめて希薄
な水媒体中で反応を行うことにより、改善することが可
能である。この方法は実際に広く使用されているが、そ
の後のジクロロプロパノール類からエピクロロヒドリン
への脱塩酸の段階で、きわめて希薄な状態の有機不純物
を含む多量の排水が生成し、その精製処理に多くの経費
を要する処理を必要とする。なかんずく、これらの有機
不純物は、除去が困難でまた前駆体として次亜塩素化反
応の副産物を含んでいる高塩素化有機化合物からなる。
したがって、排水中の塩化有機不純物の量を減らすこと
ができれば、著しい経費の節減が可能となる。シェル社
によるヨーロッパ特許出願第A−0,359,331号
には、ジクロロプロパノール類の水溶液をテトラクロロ
メタンと接触させることにより、この溶液中の塩化アル
カン及び塩化脂肪族エーテル類の濃度を低減することの
できる方法が開示されている。それによると、水相を分
離した後、不純物に富む溶媒をさらに水で洗い、同時に
抽出されたジクロロプロパノール類を除去した後、溶媒
を蒸留して回収し、抽出工程にリサイクルする。この公
知の方法には、使用後の溶媒を蒸留回収する工程を必然
的に含めなければならず、エネルギーの消費量が増大す
るという欠点がある。さらに、各工程で溶媒のある程度
の損失が避けられず、抽出溶媒と処理すべき粗ジクロロ
プロパノール類水溶液の間の十分な容量比を確保するた
めに定常的に新しい溶媒を追加する必要がある。さら
に、この方法によると、工程とは無関係な製品を使用し
なければならず、かつエピクロロヒドリンをジクロロプ
ロパノールに再転換するためにさらに別の工程が必要で
ある。
塩素を反応させることによって得られたジクロロプロパ
ノール類の水溶液を、塩基性化合物の存在下で脱塩酸し
てエピクロロヒドリンを製造することはよく知られてい
る。一般に、塩化アリルからジクロロプロパノール類へ
の次亜塩素化反応の過程で、目的としない多くの副産物
が生成する。次亜塩素化反応の選択性は、きわめて希薄
な水媒体中で反応を行うことにより、改善することが可
能である。この方法は実際に広く使用されているが、そ
の後のジクロロプロパノール類からエピクロロヒドリン
への脱塩酸の段階で、きわめて希薄な状態の有機不純物
を含む多量の排水が生成し、その精製処理に多くの経費
を要する処理を必要とする。なかんずく、これらの有機
不純物は、除去が困難でまた前駆体として次亜塩素化反
応の副産物を含んでいる高塩素化有機化合物からなる。
したがって、排水中の塩化有機不純物の量を減らすこと
ができれば、著しい経費の節減が可能となる。シェル社
によるヨーロッパ特許出願第A−0,359,331号
には、ジクロロプロパノール類の水溶液をテトラクロロ
メタンと接触させることにより、この溶液中の塩化アル
カン及び塩化脂肪族エーテル類の濃度を低減することの
できる方法が開示されている。それによると、水相を分
離した後、不純物に富む溶媒をさらに水で洗い、同時に
抽出されたジクロロプロパノール類を除去した後、溶媒
を蒸留して回収し、抽出工程にリサイクルする。この公
知の方法には、使用後の溶媒を蒸留回収する工程を必然
的に含めなければならず、エネルギーの消費量が増大す
るという欠点がある。さらに、各工程で溶媒のある程度
の損失が避けられず、抽出溶媒と処理すべき粗ジクロロ
プロパノール類水溶液の間の十分な容量比を確保するた
めに定常的に新しい溶媒を追加する必要がある。さら
に、この方法によると、工程とは無関係な製品を使用し
なければならず、かつエピクロロヒドリンをジクロロプ
ロパノールに再転換するためにさらに別の工程が必要で
ある。
【0003】シェル社による米国特許2,873,29
8号では、塩化アリルをジクロロプロパノール類に次亜
塩素化するときに生成する水溶性物質の大部分を、やや
過剰量の水酸化ナトリウムとともに水蒸気蒸留カラムに
転送する。脱塩酸より生成し、トリクロロプロパン及び
未知の有機不純物を含む粗エピクロロヒドリン溶液をジ
クロロプロパノール類の水溶液で希釈して定容とする。
この希釈溶液を放置して分離させる。トリクロロプロパ
ンの大部分、未知有機不純物ならびにかなりの量のエピ
クロロヒドリン及びジクロロプロパノール類を含む有機
相を、エピクロロヒドリンのモノクロロヒドリンへの変
換工程またはエピクロロヒドリンの蒸留工程にかける。
これらの工程についで水抽出を行ってモノ−及び/又は
ジクロロプロパノール類を回収し、主としてトリクロロ
プロパン及び未知有機不純物を含む残留有機相は廃棄す
る。この製造法によると、ジクロロプロパノール類のエ
ピクロロヒドリンへの脱塩酸の工程から出る排水の水質
は改善されない。
8号では、塩化アリルをジクロロプロパノール類に次亜
塩素化するときに生成する水溶性物質の大部分を、やや
過剰量の水酸化ナトリウムとともに水蒸気蒸留カラムに
転送する。脱塩酸より生成し、トリクロロプロパン及び
未知の有機不純物を含む粗エピクロロヒドリン溶液をジ
クロロプロパノール類の水溶液で希釈して定容とする。
この希釈溶液を放置して分離させる。トリクロロプロパ
ンの大部分、未知有機不純物ならびにかなりの量のエピ
クロロヒドリン及びジクロロプロパノール類を含む有機
相を、エピクロロヒドリンのモノクロロヒドリンへの変
換工程またはエピクロロヒドリンの蒸留工程にかける。
これらの工程についで水抽出を行ってモノ−及び/又は
ジクロロプロパノール類を回収し、主としてトリクロロ
プロパン及び未知有機不純物を含む残留有機相は廃棄す
る。この製造法によると、ジクロロプロパノール類のエ
ピクロロヒドリンへの脱塩酸の工程から出る排水の水質
は改善されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、出発物質と
して塩化アリルを用い、ジクロロプロパノール類を経由
してエピクロロヒドリンを製造する工程と、かつテトラ
クロロメタンよりも抽出効率の著しく優れた溶剤を用い
た液/液抽出により粗ジクロロプロパノール類の水溶液
を精製する工程を含む製造法を提供することにより、公
知のエピクロロヒドリン製造法が有する欠点を取り除く
ことを目的とする。本製造法は収率がきわめて良好で、
操作が簡単であり、エネルギーの節約が可能である。当
該製造工程からの直接排水に含まれる塩化有機不純物の
濃度はきわめて低く、廃棄前に排水の浄化を行うため
に、その後の複雑で、多量のエネルギーを消費する工程
を必要としない。得られるエピクロロヒドリンの純度
は、製品として使用するに十分であり、経費がかかり、
エネルギーを消費する工程を別段必要としない。さら
に、塩化有機不純物は濃縮され、その後それらの価値を
高めるために、またそれらを除去するために経済的に処
理することができる。
して塩化アリルを用い、ジクロロプロパノール類を経由
してエピクロロヒドリンを製造する工程と、かつテトラ
クロロメタンよりも抽出効率の著しく優れた溶剤を用い
た液/液抽出により粗ジクロロプロパノール類の水溶液
を精製する工程を含む製造法を提供することにより、公
知のエピクロロヒドリン製造法が有する欠点を取り除く
ことを目的とする。本製造法は収率がきわめて良好で、
操作が簡単であり、エネルギーの節約が可能である。当
該製造工程からの直接排水に含まれる塩化有機不純物の
濃度はきわめて低く、廃棄前に排水の浄化を行うため
に、その後の複雑で、多量のエネルギーを消費する工程
を必要としない。得られるエピクロロヒドリンの純度
は、製品として使用するに十分であり、経費がかかり、
エネルギーを消費する工程を別段必要としない。さら
に、塩化有機不純物は濃縮され、その後それらの価値を
高めるために、またそれらを除去するために経済的に処
理することができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】このように、本発明は、
塩化アリルからのエピクロロヒドリンの製造において、
塩化アリルから粗ジクロロプロパノール類の水溶液を製
造する次亜塩素化工程、塩化有機不純物を除去し、ジク
ロロプロパノール類の純度の高い水溶液を得るための粗
ジクロロプロパノール類の水溶液の精製工程、及びジク
ロロプロパノール類の加水分解工程を含み、粗ジクロロ
プロパノール水溶液の精製をリサイクルさせた1,2,
3−トリクロロプロパンに富む有機溶媒で抽出すること
によって行うことを特徴とするエピクロロヒドリンの製
造法に関するものである。
塩化アリルからのエピクロロヒドリンの製造において、
塩化アリルから粗ジクロロプロパノール類の水溶液を製
造する次亜塩素化工程、塩化有機不純物を除去し、ジク
ロロプロパノール類の純度の高い水溶液を得るための粗
ジクロロプロパノール類の水溶液の精製工程、及びジク
ロロプロパノール類の加水分解工程を含み、粗ジクロロ
プロパノール水溶液の精製をリサイクルさせた1,2,
3−トリクロロプロパンに富む有機溶媒で抽出すること
によって行うことを特徴とするエピクロロヒドリンの製
造法に関するものである。
【0006】塩化アリルのジクロロプロパノール類への
次亜塩素化によって得られる粗ジクロロプロパノール類
の水溶液中に存在する塩化有機不純物は、一方で塩化ア
ルカン、主として1,2,3−トリクロロプロパンであ
り、他方で主として特にポリクロロジプロピルエーテル
類、ポリクロロ−ヘキシルプロピルエーテル類及びポリ
クロロ−ノニルプロピルエーテル類等の塩化脂肪族エー
テル類ならびに特にポリクロロヘキサノール類またはポ
リクロロヘキサンジオール類及びポリクロロノナノール
類等の塩化脂肪族アルコール類等のその他の不純物(以
後塩化脂肪族不純物と呼ぶ)を含んでいる。
次亜塩素化によって得られる粗ジクロロプロパノール類
の水溶液中に存在する塩化有機不純物は、一方で塩化ア
ルカン、主として1,2,3−トリクロロプロパンであ
り、他方で主として特にポリクロロジプロピルエーテル
類、ポリクロロ−ヘキシルプロピルエーテル類及びポリ
クロロ−ノニルプロピルエーテル類等の塩化脂肪族エー
テル類ならびに特にポリクロロヘキサノール類またはポ
リクロロヘキサンジオール類及びポリクロロノナノール
類等の塩化脂肪族アルコール類等のその他の不純物(以
後塩化脂肪族不純物と呼ぶ)を含んでいる。
【0007】ここで、1,2,3−トリクロロプロパン
に富む有機溶媒とは、少なくとも約30重量%の1,
2,3−トリクロロプロパンを含む溶媒を意味する。こ
のリサイクルした有機溶媒は、少なくとも約50重量%
の1,2,3−トリクロロプロパンを含むことが好まし
い。本発明に係わる製造法では、1,2,3−トリクロ
ロプロパンのみからなる有機溶媒をリサイクルして使用
することもできるが、実際にリサイクルして使用する抽
出溶媒は約95%またはそれ以下の1,2,3−トリク
ロロプロパンと、残りは、一般に塩化アリルからのエピ
クロロヒドリンの合成に使用した化合物、またはその過
程で生成した各種の化合物の混合物で構成されている。
リサイクルした有機溶媒に含まれる1,2,3−トリク
ロロプロパン以外の化合物の性質及び濃度は、本発明に
係わる製造法の実施例によって異なる。一般に、これら
の化合物は主としてジクロロプロパノール類である。リ
サイクルした有機溶媒は、0.5〜60重量%のジクロロ
プロパノール類を含んでいてもかまわない。リサイクル
した有機溶媒は、必要に応じて、少量のエピクロロヒド
リン、例えば0.1〜5重量%、及び塩化脂肪族不純物、
例えば0.1〜5重量%を含んでいてもかまわない。
に富む有機溶媒とは、少なくとも約30重量%の1,
2,3−トリクロロプロパンを含む溶媒を意味する。こ
のリサイクルした有機溶媒は、少なくとも約50重量%
の1,2,3−トリクロロプロパンを含むことが好まし
い。本発明に係わる製造法では、1,2,3−トリクロ
ロプロパンのみからなる有機溶媒をリサイクルして使用
することもできるが、実際にリサイクルして使用する抽
出溶媒は約95%またはそれ以下の1,2,3−トリク
ロロプロパンと、残りは、一般に塩化アリルからのエピ
クロロヒドリンの合成に使用した化合物、またはその過
程で生成した各種の化合物の混合物で構成されている。
リサイクルした有機溶媒に含まれる1,2,3−トリク
ロロプロパン以外の化合物の性質及び濃度は、本発明に
係わる製造法の実施例によって異なる。一般に、これら
の化合物は主としてジクロロプロパノール類である。リ
サイクルした有機溶媒は、0.5〜60重量%のジクロロ
プロパノール類を含んでいてもかまわない。リサイクル
した有機溶媒は、必要に応じて、少量のエピクロロヒド
リン、例えば0.1〜5重量%、及び塩化脂肪族不純物、
例えば0.1〜5重量%を含んでいてもかまわない。
【0008】本発明に係わる製造法には、特に以下のよ
うな利点がある。実際に、粗ジクロロプロパノール類の
水溶液中に存在する塩化脂肪族不純物の大部分は、公知
の製造法で使用されるテトラクロロメタン等の抽出溶媒
に比較して1,2,3−トリクロロプロパンに対する溶
解性が高く、1,2,3−トリクロロプロパンは、粗ジ
クロロプロパノール類の水溶液中に存在する塩化脂肪族
エーテル類及びアルコール類等の塩化脂肪族不純物に対
して、特に抽出効率の高い溶媒であることが実証され
た。1,2,3−トリクロロプロパンに富む有機溶媒を
リサイクルさせ粗ジクロロプロパノール類の水溶液と接
触させ、抽出を行うと、塩化脂肪族不純物、特に塩化脂
肪族エーテル類及びアルコール類の濃度が著しく低い精
製ジクロロプロパノール類の水溶液が得られる。テトラ
クロロメタン等の抽出溶媒を用いる公知の方法に比較し
て、本発明に係わる製造法では精製ジクロロプロパノー
ル類の水溶液中における1,2,3−トリクロロプロパ
ンの含有量がはるかに高い。驚くべきことに、このよう
に多量の1,2,3−トリクロロプロパンが存在してい
ても、その後のジクロロプロパノール類の脱塩酸の工程
で、排水中の塩化有機不純物の濃度に対する実際的な影
響はなく、全体的に考えて、塩化アリルの次亜塩素化の
工程で生成した塩化有機不純物が効率的に除去されたこ
とを示している。
うな利点がある。実際に、粗ジクロロプロパノール類の
水溶液中に存在する塩化脂肪族不純物の大部分は、公知
の製造法で使用されるテトラクロロメタン等の抽出溶媒
に比較して1,2,3−トリクロロプロパンに対する溶
解性が高く、1,2,3−トリクロロプロパンは、粗ジ
クロロプロパノール類の水溶液中に存在する塩化脂肪族
エーテル類及びアルコール類等の塩化脂肪族不純物に対
して、特に抽出効率の高い溶媒であることが実証され
た。1,2,3−トリクロロプロパンに富む有機溶媒を
リサイクルさせ粗ジクロロプロパノール類の水溶液と接
触させ、抽出を行うと、塩化脂肪族不純物、特に塩化脂
肪族エーテル類及びアルコール類の濃度が著しく低い精
製ジクロロプロパノール類の水溶液が得られる。テトラ
クロロメタン等の抽出溶媒を用いる公知の方法に比較し
て、本発明に係わる製造法では精製ジクロロプロパノー
ル類の水溶液中における1,2,3−トリクロロプロパ
ンの含有量がはるかに高い。驚くべきことに、このよう
に多量の1,2,3−トリクロロプロパンが存在してい
ても、その後のジクロロプロパノール類の脱塩酸の工程
で、排水中の塩化有機不純物の濃度に対する実際的な影
響はなく、全体的に考えて、塩化アリルの次亜塩素化の
工程で生成した塩化有機不純物が効率的に除去されたこ
とを示している。
【0009】1,2,3−トリクロロプロパンは、塩化
アリルのジクロロプロパノール類への次亜塩素化の過程
でかなりの量が生成するので、従来の製造法では1,
2,3−トリクロロプロパンの利用価値を高めるため
に、一般にその回収及び精製を目的とした装置が組み込
まれている。ほとんどの場合、1,2,3−トリクロロ
プロパンの精製は、蒸留によって行われる。当該蒸留か
ら得られる1,2,3−トリクロロプロパン含有留分の
少なくとも1部を、粗ジクロロプロパノール類水溶液中
の塩化有機不純物の抽出溶媒としてリサイクルすると、
別段投資の必要がなく、実際的にエネルギー消費量の増
加もない。さらに、本発明に係わる製造法には、副産物
の1,2,3−トリクロロプロパンの精製、リサイクル
用抽出溶媒の再生、及び粗ジクロロプロパノール類水溶
液から抽出した塩化脂肪族不純物の廃棄を目的とした濃
縮が、分別蒸留を用いて1段階で行える利点がある。
アリルのジクロロプロパノール類への次亜塩素化の過程
でかなりの量が生成するので、従来の製造法では1,
2,3−トリクロロプロパンの利用価値を高めるため
に、一般にその回収及び精製を目的とした装置が組み込
まれている。ほとんどの場合、1,2,3−トリクロロ
プロパンの精製は、蒸留によって行われる。当該蒸留か
ら得られる1,2,3−トリクロロプロパン含有留分の
少なくとも1部を、粗ジクロロプロパノール類水溶液中
の塩化有機不純物の抽出溶媒としてリサイクルすると、
別段投資の必要がなく、実際的にエネルギー消費量の増
加もない。さらに、本発明に係わる製造法には、副産物
の1,2,3−トリクロロプロパンの精製、リサイクル
用抽出溶媒の再生、及び粗ジクロロプロパノール類水溶
液から抽出した塩化脂肪族不純物の廃棄を目的とした濃
縮が、分別蒸留を用いて1段階で行える利点がある。
【0010】本発明の好ましい具体例では、以下の工程
を含む製造法にしたがってエピクロロヒドリンが製造さ
れる。 a)塩化アリルを次亜塩素化し、少量の塩化有機不純
物、特に1,2,3−トリクロロプロパン及び塩化脂肪
族不純物を含む粗ジクロロプロパノール類水溶液を製造
する工程。 b)1,2,3−トリクロロプロパンに富むリサイクル
した有機抽出溶媒を十分な多量で用いて前記粗ジクロロ
プロパノール類水溶液を抽出し、塩化脂肪族不純物に富
む主として1,2,3−トリクロロプロパンを含む有機
溶媒相と、ジクロロプロパノール類の大部分を含み、塩
化脂肪族不純物の濃度が低い水相を得る工程。 c)前記工程b)で得られた水相に塩基性化合物を導入
し、ジクロロプロパノール類を脱塩酸してエピクロロヒ
ドリンを製造し、生成したエピクロロヒドリンを水蒸気
蒸留して粗エピクロロヒドリンを得、排水を廃棄する工
程。 d)工程c)で得られた粗エピクロロヒドリンを分別蒸
留により軽留分、精製エピクロロヒドリンからなる中留
分及び残留重留分に分画し、残留重留分を、抽出工程
b)にリサイクルする工程(ここで、重留分は1,2,
3−トリクロロプロパンに富むリサイクルされた有機抽
出溶媒を少なくとも部分的に構成する)。 e)工程b)で得られた有機相を水で洗い、液相を分離
させ、前記有機相中のジクロロプロパノール類の大部分
を含む洗浄水と、水洗前と比較してジクロロプロパノー
ル類の濃度がはるかに低い洗浄有機抽出液を得、ジクロ
ロプロパノール類を含む洗浄水をa)の次亜塩素化工
程、b)の抽出工程またはc)の脱塩酸工程のいずれか
にリサイクルする工程。 f)工程e)から得られた前記洗浄有機抽出液を、分別
蒸留して、工程d)の粗エピクロロヒドリン蒸留工程に
送られる低沸点留分、精製1,2,3−トリクロロプロ
パンからなる中沸点留分、及びほとんど塩化脂肪族不純
物からなる高沸点留分に分画する工程。
を含む製造法にしたがってエピクロロヒドリンが製造さ
れる。 a)塩化アリルを次亜塩素化し、少量の塩化有機不純
物、特に1,2,3−トリクロロプロパン及び塩化脂肪
族不純物を含む粗ジクロロプロパノール類水溶液を製造
する工程。 b)1,2,3−トリクロロプロパンに富むリサイクル
した有機抽出溶媒を十分な多量で用いて前記粗ジクロロ
プロパノール類水溶液を抽出し、塩化脂肪族不純物に富
む主として1,2,3−トリクロロプロパンを含む有機
溶媒相と、ジクロロプロパノール類の大部分を含み、塩
化脂肪族不純物の濃度が低い水相を得る工程。 c)前記工程b)で得られた水相に塩基性化合物を導入
し、ジクロロプロパノール類を脱塩酸してエピクロロヒ
ドリンを製造し、生成したエピクロロヒドリンを水蒸気
蒸留して粗エピクロロヒドリンを得、排水を廃棄する工
程。 d)工程c)で得られた粗エピクロロヒドリンを分別蒸
留により軽留分、精製エピクロロヒドリンからなる中留
分及び残留重留分に分画し、残留重留分を、抽出工程
b)にリサイクルする工程(ここで、重留分は1,2,
3−トリクロロプロパンに富むリサイクルされた有機抽
出溶媒を少なくとも部分的に構成する)。 e)工程b)で得られた有機相を水で洗い、液相を分離
させ、前記有機相中のジクロロプロパノール類の大部分
を含む洗浄水と、水洗前と比較してジクロロプロパノー
ル類の濃度がはるかに低い洗浄有機抽出液を得、ジクロ
ロプロパノール類を含む洗浄水をa)の次亜塩素化工
程、b)の抽出工程またはc)の脱塩酸工程のいずれか
にリサイクルする工程。 f)工程e)から得られた前記洗浄有機抽出液を、分別
蒸留して、工程d)の粗エピクロロヒドリン蒸留工程に
送られる低沸点留分、精製1,2,3−トリクロロプロ
パンからなる中沸点留分、及びほとんど塩化脂肪族不純
物からなる高沸点留分に分画する工程。
【0011】本製造法の前記具体例では、水洗浄後の有
機抽出液中に存在しうるエピクロロヒドリンよりも沸点
の低い物質を、さらに浄化することなく、工程から排出
させることができる。さらに、洗浄有機抽出液の分別蒸
留工程f)から得られ、粗エピクロロヒドリンの蒸留分
離工程d)に送られた低沸点留分中の1,2,3−トリ
クロロプロパンは、未変化のジクロロプロパノール類及
び抽出工程b)の水相中に溶解していた1,2,3−ト
リクロロプロパンとともに、工程d)における粗エピク
ロロヒドリンの分別蒸留により得られる残留重留分を構
成し、この重留分は抽出工程b)にリサイクルされ、そ
こで、本発明に係わる製造法の当該具体例においては、
1,2,3−トリクロロプロパンに富む、リサイクルさ
れた有機抽出溶媒を構成し、これが粗ジクロロプロパノ
ール類水溶液と接触させられる。このように工程を配列
することにより、エピクロロヒドリンの製造工程で生成
または使用した全ての成分の回収率を最も高くすること
ができる。さらに、上記の公知の製造法と比較して、本
発明に係わる製造法の具体例はエピクロロヒドリンをジ
クロロプロパノール類に再変換する工程を必要としない
利点がある。
機抽出液中に存在しうるエピクロロヒドリンよりも沸点
の低い物質を、さらに浄化することなく、工程から排出
させることができる。さらに、洗浄有機抽出液の分別蒸
留工程f)から得られ、粗エピクロロヒドリンの蒸留分
離工程d)に送られた低沸点留分中の1,2,3−トリ
クロロプロパンは、未変化のジクロロプロパノール類及
び抽出工程b)の水相中に溶解していた1,2,3−ト
リクロロプロパンとともに、工程d)における粗エピク
ロロヒドリンの分別蒸留により得られる残留重留分を構
成し、この重留分は抽出工程b)にリサイクルされ、そ
こで、本発明に係わる製造法の当該具体例においては、
1,2,3−トリクロロプロパンに富む、リサイクルさ
れた有機抽出溶媒を構成し、これが粗ジクロロプロパノ
ール類水溶液と接触させられる。このように工程を配列
することにより、エピクロロヒドリンの製造工程で生成
または使用した全ての成分の回収率を最も高くすること
ができる。さらに、上記の公知の製造法と比較して、本
発明に係わる製造法の具体例はエピクロロヒドリンをジ
クロロプロパノール類に再変換する工程を必要としない
利点がある。
【0012】本発明に係わる別の具体例では、洗浄有機
抽出液の分別蒸留工程f)で得られる中沸点留分に相当
する精製1,2,3−トリクロロプロパンの1部を、粗
エピクロロヒドリンの蒸留工程d)で得られる残留重留
分に添加して、得られた混合物をリサイクル有機抽出溶
媒として抽出工程b)にリサイクルしてもよい。 特に
好ましい方法では、エピクロロヒドリンの蒸留分離工程
d)に送られる軽留分が50〜98%の1,2,3−ト
リクロロプロパンと残りが1,2,3−トリクロロプロ
パンよりも沸点が低い化合物からなるように、工程e)
で得られた洗浄有機抽出液の工程f)における蒸留分離
を行う。1,2,3−トリクロロプロパンよりも沸点が
低い化合物、すなわち常温で156℃以下の沸点を有す
る化合物は、塩化アリル中の不純物及び次亜塩素化工程
の未反応塩化アリル等の物質を主として含んでいる。本
発明に係わる製造法のこの特に好ましい具体例につい
て、各工程の好ましい配置を模式的に示した図1を引用
し、以下に詳しく説明する。
抽出液の分別蒸留工程f)で得られる中沸点留分に相当
する精製1,2,3−トリクロロプロパンの1部を、粗
エピクロロヒドリンの蒸留工程d)で得られる残留重留
分に添加して、得られた混合物をリサイクル有機抽出溶
媒として抽出工程b)にリサイクルしてもよい。 特に
好ましい方法では、エピクロロヒドリンの蒸留分離工程
d)に送られる軽留分が50〜98%の1,2,3−ト
リクロロプロパンと残りが1,2,3−トリクロロプロ
パンよりも沸点が低い化合物からなるように、工程e)
で得られた洗浄有機抽出液の工程f)における蒸留分離
を行う。1,2,3−トリクロロプロパンよりも沸点が
低い化合物、すなわち常温で156℃以下の沸点を有す
る化合物は、塩化アリル中の不純物及び次亜塩素化工程
の未反応塩化アリル等の物質を主として含んでいる。本
発明に係わる製造法のこの特に好ましい具体例につい
て、各工程の好ましい配置を模式的に示した図1を引用
し、以下に詳しく説明する。
【0013】それぞれ供給管1、2及び3を通して塩化
アリル、塩素及び水を導入し、反応ゾーン4において塩
化アリルの次亜塩素化によりジクロロプロパノール類な
らびに多種の少量の塩化有機不純物を生成させる。反応
ゾーン4は、反応体の分散を迅速かつ効果的に行うこと
ができる、撹拌式反応槽、循環式反応槽、ベンチュリー
型反応槽、またはその他の反応槽のいずれかを1基また
は直列または並列に数基接続して構成する。一般に、次
亜塩素化反応は20〜70℃の温度で行う。
アリル、塩素及び水を導入し、反応ゾーン4において塩
化アリルの次亜塩素化によりジクロロプロパノール類な
らびに多種の少量の塩化有機不純物を生成させる。反応
ゾーン4は、反応体の分散を迅速かつ効果的に行うこと
ができる、撹拌式反応槽、循環式反応槽、ベンチュリー
型反応槽、またはその他の反応槽のいずれかを1基また
は直列または並列に数基接続して構成する。一般に、次
亜塩素化反応は20〜70℃の温度で行う。
【0014】供給管5を通して、一般に2〜12重量%
のジクロロプロパノール類および塩化有機不純物を含む
粗ジクロロプロパノール類水溶液を抽出ゾーン6に移送
し、そこで供給管16を通してリサイクルした1,2,
3−トリクロロプロパンに富む有機抽出溶媒と十分接触
させる。粗ジクロロプロパノール類水溶液と抽出溶媒と
の接触は、従来の液/液抽出装置、例えば撹拌式反応
槽、ロータリーディスク式抽出器、遠心分離型抽出器ま
たは多孔板カラムのいずれかを用い、向流分配または並
流分配様式で1段階または多段階で行う。抽出は、連続
的または非連続的に行うことができるが、好ましくは連
続的に行う。この場合、供給管16からの1,2,3−
トリクロロプロパンに富む抽出溶媒の流量と供給管5か
らの粗ジクロロプロパノール類水溶液の流量の比は、塩
化脂肪族不純物、特に塩化脂肪族エーテル類及びアルコ
ール類の抽出を行うに十分でなければならないが、各種
のパラメーター、特に使用する液/液抽出装置及び抽出
溶媒中の1,2,3−トリクロロプロパンの濃度に依存
する。一般に、この比が約0.001以上の場合、良好な
結果が得られると言えるが、この比が約0.002以上で
あることが好ましい。特に、この比が約0.005以上で
あることが好ましい。また、この比は一般に約0.1以下
であり、好ましくは約0.05以下、特に好ましくは約0.
03以下である。
のジクロロプロパノール類および塩化有機不純物を含む
粗ジクロロプロパノール類水溶液を抽出ゾーン6に移送
し、そこで供給管16を通してリサイクルした1,2,
3−トリクロロプロパンに富む有機抽出溶媒と十分接触
させる。粗ジクロロプロパノール類水溶液と抽出溶媒と
の接触は、従来の液/液抽出装置、例えば撹拌式反応
槽、ロータリーディスク式抽出器、遠心分離型抽出器ま
たは多孔板カラムのいずれかを用い、向流分配または並
流分配様式で1段階または多段階で行う。抽出は、連続
的または非連続的に行うことができるが、好ましくは連
続的に行う。この場合、供給管16からの1,2,3−
トリクロロプロパンに富む抽出溶媒の流量と供給管5か
らの粗ジクロロプロパノール類水溶液の流量の比は、塩
化脂肪族不純物、特に塩化脂肪族エーテル類及びアルコ
ール類の抽出を行うに十分でなければならないが、各種
のパラメーター、特に使用する液/液抽出装置及び抽出
溶媒中の1,2,3−トリクロロプロパンの濃度に依存
する。一般に、この比が約0.001以上の場合、良好な
結果が得られると言えるが、この比が約0.002以上で
あることが好ましい。特に、この比が約0.005以上で
あることが好ましい。また、この比は一般に約0.1以下
であり、好ましくは約0.05以下、特に好ましくは約0.
03以下である。
【0015】使用する抽出装置によるが、水相と有機相
を含む混合物をそれぞれの相に分離する必要がある。こ
の分離は放置することで簡単に行うことができるが、遠
心分離または液体サイクロンによる分離等の通常相分離
に使用される装置を使用することもできる。有機相は主
として、塩化脂肪族不純物に富む1,2,3−トリクロ
ロプロパンからなるが、少量のジクロロプロパノール類
も含んでいる。ほとんどの場合、その組成は、水と1,
2,3−トリクロロプロパンに対する各種化合物の分配
係数によってきまる平衡状態での組成に対応する。ジク
ロロプロプロパノール類のほとんどは、水相に存在す
る。一般に、水相は1,2,3−トリクロロプロパンで
飽和している。本発明に係わる製造法では、水相は精製
されたジクロロプロパノール類の水溶液で構成されてい
る。抽出ゾーン6で得られる水相は、特に塩化脂肪族不
純物の濃度が低い。水相中のこれら不純物の残留濃度は
極めて低いが、前記の公知製造法ではこのような不純物
の低い残留濃度は得られない。
を含む混合物をそれぞれの相に分離する必要がある。こ
の分離は放置することで簡単に行うことができるが、遠
心分離または液体サイクロンによる分離等の通常相分離
に使用される装置を使用することもできる。有機相は主
として、塩化脂肪族不純物に富む1,2,3−トリクロ
ロプロパンからなるが、少量のジクロロプロパノール類
も含んでいる。ほとんどの場合、その組成は、水と1,
2,3−トリクロロプロパンに対する各種化合物の分配
係数によってきまる平衡状態での組成に対応する。ジク
ロロプロプロパノール類のほとんどは、水相に存在す
る。一般に、水相は1,2,3−トリクロロプロパンで
飽和している。本発明に係わる製造法では、水相は精製
されたジクロロプロパノール類の水溶液で構成されてい
る。抽出ゾーン6で得られる水相は、特に塩化脂肪族不
純物の濃度が低い。水相中のこれら不純物の残留濃度は
極めて低いが、前記の公知製造法ではこのような不純物
の低い残留濃度は得られない。
【0016】塩化脂肪族不純物の残留濃度の低い水相
は、管7を通って抽出ゾーン6から排出され、供給管9
から供給されるアルカリ水溶液で処理される。そこで、
次亜塩素化の過程で生成した塩酸がアルカリ水溶液によ
って中和され、脱塩酸によってジクロロプロパノール類
がエピクロロヒドリンに変換される。アルカリ水溶液と
しては、特に水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムまた
は炭酸ナトリウムが使用される。
は、管7を通って抽出ゾーン6から排出され、供給管9
から供給されるアルカリ水溶液で処理される。そこで、
次亜塩素化の過程で生成した塩酸がアルカリ水溶液によ
って中和され、脱塩酸によってジクロロプロパノール類
がエピクロロヒドリンに変換される。アルカリ水溶液と
しては、特に水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムまた
は炭酸ナトリウムが使用される。
【0017】得られた溶液は、低部に蒸気コイル10を
備えた水蒸気蒸留カラム8に直ちに転送される。抽出工
程6で水相に分配されたエピクロロヒドリンならびに
1,2,3−トリクロロプロパン、抽出ゾーン6で抽出
されずに水相に残った塩化脂肪族不純物、及び特にジク
ロロプロパノール類の脱塩酸の過程で生成したある種の
比較的揮発性の高い化合物は、水蒸気によって蒸気蒸留
カラム8の上部に運ばれる。これを凝縮すると、水相と
有機相の2相(図1には表示せず)に分離する。未変換
のジクロロプロパノール類の1部と少量のエピクロロヒ
ドリンを含む比重の低い水相は水蒸気蒸留カラムにリサ
イクルし、粗エピクロロヒドリンを含む有機相は管11
を通してエピクロロヒドリン蒸留ゾーン13に転送す
る。この粗エピクロロヒドリンは、エピクロロヒドリン
のほかに主として少量の水、未変換のジクロロプロパノ
ール類、抽出ゾーン6で水相に分配された1,2,3−
トリクロロプロパン及び抽出ゾーン6で抽出されずに水
相に残った塩化脂肪族不純物を含んでいる。
備えた水蒸気蒸留カラム8に直ちに転送される。抽出工
程6で水相に分配されたエピクロロヒドリンならびに
1,2,3−トリクロロプロパン、抽出ゾーン6で抽出
されずに水相に残った塩化脂肪族不純物、及び特にジク
ロロプロパノール類の脱塩酸の過程で生成したある種の
比較的揮発性の高い化合物は、水蒸気によって蒸気蒸留
カラム8の上部に運ばれる。これを凝縮すると、水相と
有機相の2相(図1には表示せず)に分離する。未変換
のジクロロプロパノール類の1部と少量のエピクロロヒ
ドリンを含む比重の低い水相は水蒸気蒸留カラムにリサ
イクルし、粗エピクロロヒドリンを含む有機相は管11
を通してエピクロロヒドリン蒸留ゾーン13に転送す
る。この粗エピクロロヒドリンは、エピクロロヒドリン
のほかに主として少量の水、未変換のジクロロプロパノ
ール類、抽出ゾーン6で水相に分配された1,2,3−
トリクロロプロパン及び抽出ゾーン6で抽出されずに水
相に残った塩化脂肪族不純物を含んでいる。
【0018】特に加水分解により生成した無機塩類を含
む排水は、排水管12を通してカラム8の底から排出す
る。塩化アリルの次亜塩素化工程で生成した塩化脂肪族
不純物の排水中の濃度は特に低く、その精製は容易であ
る。
む排水は、排水管12を通してカラム8の底から排出す
る。塩化アリルの次亜塩素化工程で生成した塩化脂肪族
不純物の排水中の濃度は特に低く、その精製は容易であ
る。
【0019】蒸留ゾーン13は1本、好ましくは数本の
蒸留カラムで構成され、管11から転送された粗エピク
ロロヒドリンから、一方で水及び比較的揮発性の高い化
合物からなる軽い画分を、他方で主として1,2,3−
トリクロロプロパン、未変換のジクロロプロパノール類
及び抽出ゾーン6で抽出されずに水相中に残った塩化脂
肪族不純物を含む重質画分を分離することができる。こ
の軽い画分は管14を通して処理ユニットに排出し、通
常そこで例えば燃焼等により分解する。重質画分は管1
6を通して抽出ゾーン6にリサイクルする。本発明に係
わるこの好ましい具体例では、この重質画分はリサイク
ルした1,2,3−トリクロロプロパンに富む有機抽出
溶媒を構成する。さらに、この重質画分をリサイクルす
ることで、脱塩酸の工程で加水分解されずに粗エピクロ
ロヒドリン中に残ったジクロロプロパノール類を回収す
ることが可能となる。一般的に、この重質画分は1,
2,3−トリクロロプロパン以外に、0.5〜60重量
%のジクロロプロパノール類及び0.1〜5重量%の塩
化脂肪族不純物を含むが、ジクロロプロパノール類は1
〜40%、塩化脂肪族不純物は0.5〜3%であること
が好ましい。
蒸留カラムで構成され、管11から転送された粗エピク
ロロヒドリンから、一方で水及び比較的揮発性の高い化
合物からなる軽い画分を、他方で主として1,2,3−
トリクロロプロパン、未変換のジクロロプロパノール類
及び抽出ゾーン6で抽出されずに水相中に残った塩化脂
肪族不純物を含む重質画分を分離することができる。こ
の軽い画分は管14を通して処理ユニットに排出し、通
常そこで例えば燃焼等により分解する。重質画分は管1
6を通して抽出ゾーン6にリサイクルする。本発明に係
わるこの好ましい具体例では、この重質画分はリサイク
ルした1,2,3−トリクロロプロパンに富む有機抽出
溶媒を構成する。さらに、この重質画分をリサイクルす
ることで、脱塩酸の工程で加水分解されずに粗エピクロ
ロヒドリン中に残ったジクロロプロパノール類を回収す
ることが可能となる。一般的に、この重質画分は1,
2,3−トリクロロプロパン以外に、0.5〜60重量
%のジクロロプロパノール類及び0.1〜5重量%の塩
化脂肪族不純物を含むが、ジクロロプロパノール類は1
〜40%、塩化脂肪族不純物は0.5〜3%であること
が好ましい。
【0020】精製されたエピクロロヒドリンだけが管1
5を通して工程から排出される。抽出ゾーン6で得られ
た有機相は、一方で管16を通して抽出ゾーン6にリサ
イクルされた有機抽出溶媒から得られ、他方で反応ゾー
ン4で塩化アリルの次亜塩素化の過程で生成した1,
2,3−トリクロロプロパン、及び塩化アリルの次亜塩
素化の過程で生成した塩化脂肪族不純物、塩化脂肪族エ
ーテル類及びアルコール類を含む。しかし、有機相は、
抽出工程6で有機抽出溶媒により粗ジクロロプロパノー
ル類の水溶液から抽出されたかなりの量のジクロロプロ
パノール類ならびに少量の塩化アリルに由来する不純物
及び多分反応ゾーン4で変換されなかった塩化アリル等
も含む。
5を通して工程から排出される。抽出ゾーン6で得られ
た有機相は、一方で管16を通して抽出ゾーン6にリサ
イクルされた有機抽出溶媒から得られ、他方で反応ゾー
ン4で塩化アリルの次亜塩素化の過程で生成した1,
2,3−トリクロロプロパン、及び塩化アリルの次亜塩
素化の過程で生成した塩化脂肪族不純物、塩化脂肪族エ
ーテル類及びアルコール類を含む。しかし、有機相は、
抽出工程6で有機抽出溶媒により粗ジクロロプロパノー
ル類の水溶液から抽出されたかなりの量のジクロロプロ
パノール類ならびに少量の塩化アリルに由来する不純物
及び多分反応ゾーン4で変換されなかった塩化アリル等
も含む。
【0021】抽出ゾーン6で得られた有機相中のジクロ
ロプロパノール類を回収するため、この有機相は管17
を通して洗浄ゾーン18に転送し、そこで水洗する。こ
の洗浄ゾーン18では、従来の液/液抽出装置を用い、
管17を通して導入した有機相と管19を通して導入し
た水を十分に接触させることにより、一段又は多段で洗
浄を行う。この洗浄を行うに必要な水の量は、使用する
装置の効率によって異なる。この洗浄は、連続的または
非連続的に行うことができるが、好ましくは連続的に行
う。この場合、導入する洗浄水と有機抽出溶媒の流量の
比は、一般に5:1〜20:1の範囲である。洗浄後液
相分離した洗浄水は、通常1,2,3−トリクロロプロ
パンで飽和され、1〜10重量%のジクロロプロパノー
ル類を含んでいる。これを管21、バルブ22及び管2
3を通して反応ゾーン4に送り、そこで管3を通して導
入する水の1部とする。この洗浄水中のジクロロプロパ
ノール類の濃度が十分高い場合には、管21、バルブ2
4及び管25を通して直接抽出ゾーン6に送るのが好ま
しい。
ロプロパノール類を回収するため、この有機相は管17
を通して洗浄ゾーン18に転送し、そこで水洗する。こ
の洗浄ゾーン18では、従来の液/液抽出装置を用い、
管17を通して導入した有機相と管19を通して導入し
た水を十分に接触させることにより、一段又は多段で洗
浄を行う。この洗浄を行うに必要な水の量は、使用する
装置の効率によって異なる。この洗浄は、連続的または
非連続的に行うことができるが、好ましくは連続的に行
う。この場合、導入する洗浄水と有機抽出溶媒の流量の
比は、一般に5:1〜20:1の範囲である。洗浄後液
相分離した洗浄水は、通常1,2,3−トリクロロプロ
パンで飽和され、1〜10重量%のジクロロプロパノー
ル類を含んでいる。これを管21、バルブ22及び管2
3を通して反応ゾーン4に送り、そこで管3を通して導
入する水の1部とする。この洗浄水中のジクロロプロパ
ノール類の濃度が十分高い場合には、管21、バルブ2
4及び管25を通して直接抽出ゾーン6に送るのが好ま
しい。
【0022】ゾーン18の排出口において、水洗浄後の
有機抽出液は実質的にもはやジクロロプロパノール類を
含まず、主として1,2,3−トリクロロプロパン及び
一般に3〜25%の塩化脂肪族不純物からなっている。
この洗浄後の有機抽出液は、管20を通して蒸留ゾーン
26に転送する。このゾーンには1または数段階の分別
蒸留装置が設けてあり、洗浄後の有機抽出液は1,2,
3−トリクロロプロパン及びそれよりも軽い化合物を含
む低沸点留分、純度99%程度の1,2,3−トリクロ
ロプロパンを含む中沸点留分及び実質的に塩化脂肪族不
純物からなる高沸点留分に分離する。低沸点留分は管2
7及び11を通してエピクロロヒドリン蒸留ゾーン13
に送り、中沸点留分は排出管28を通して工程外に排出
し、高沸点留分は排出管29を通して排出する。このよ
うにして得られた塩化脂肪族不純物の濃縮物は、各種の
公知の技術、例えば燃焼によって経済的に廃棄すること
ができる。
有機抽出液は実質的にもはやジクロロプロパノール類を
含まず、主として1,2,3−トリクロロプロパン及び
一般に3〜25%の塩化脂肪族不純物からなっている。
この洗浄後の有機抽出液は、管20を通して蒸留ゾーン
26に転送する。このゾーンには1または数段階の分別
蒸留装置が設けてあり、洗浄後の有機抽出液は1,2,
3−トリクロロプロパン及びそれよりも軽い化合物を含
む低沸点留分、純度99%程度の1,2,3−トリクロ
ロプロパンを含む中沸点留分及び実質的に塩化脂肪族不
純物からなる高沸点留分に分離する。低沸点留分は管2
7及び11を通してエピクロロヒドリン蒸留ゾーン13
に送り、中沸点留分は排出管28を通して工程外に排出
し、高沸点留分は排出管29を通して排出する。このよ
うにして得られた塩化脂肪族不純物の濃縮物は、各種の
公知の技術、例えば燃焼によって経済的に廃棄すること
ができる。
【0023】図1に模式的に示した本発明に係わる製造
工程の特に好ましい具体例において、蒸留ゾーン26に
おける蒸留は、管27を通して回収した低沸点留分が少
なくとも約50%の1,2,3−トリクロロプロパンを
含むような条件で行う。特に好ましい方法において、そ
の1,2,3−トリクロロプロパン濃度は約70%以上
である。この低沸点留分における1、2、3−トリクロ
ロプロパン濃度が、80〜98%のとき、きわめて良好
な結果が得られた。この低沸点留分は、1,2,3−ト
リクロロプロパン以外に、1,2,3−トリクロロプロ
パンよりも軽い化合物、主として塩化アリル中の不純物
および次亜塩素化の工程の未反応塩化アリル等も含む。
工程の特に好ましい具体例において、蒸留ゾーン26に
おける蒸留は、管27を通して回収した低沸点留分が少
なくとも約50%の1,2,3−トリクロロプロパンを
含むような条件で行う。特に好ましい方法において、そ
の1,2,3−トリクロロプロパン濃度は約70%以上
である。この低沸点留分における1、2、3−トリクロ
ロプロパン濃度が、80〜98%のとき、きわめて良好
な結果が得られた。この低沸点留分は、1,2,3−ト
リクロロプロパン以外に、1,2,3−トリクロロプロ
パンよりも軽い化合物、主として塩化アリル中の不純物
および次亜塩素化の工程の未反応塩化アリル等も含む。
【0024】また、本発明は、塩化アリルの次亜塩素化
により得られる粗ジクロロプロパノール類水溶液中の塩
化脂肪族不純物の抽出方法であって、1,2,3−トリ
クロロプロパンに富む有機抽出溶媒をリサイクルさせて
抽出を行うことを特徴とする塩化脂肪族不純物の抽出法
に関するものである。また、本発明は、本発明の製造法
によって得られ、塩化脂肪族不純物に関して純度の高い
ジクロロプロパノール類の水溶液に関するものである。
最後に、本発明は、粗ジクロロプロパノール類溶液中の
塩化脂肪族不純物の抽出用溶媒として、1,2,3−ト
リクロロプロパンに富む抽出溶媒をリサイクルして使用
することに関するものである。 以下の実施例では、公
知の製造工程と比較し、本発明の製造法に係わる粗ジク
ロロプロパノール類水溶液の精製効率を説明する。
により得られる粗ジクロロプロパノール類水溶液中の塩
化脂肪族不純物の抽出方法であって、1,2,3−トリ
クロロプロパンに富む有機抽出溶媒をリサイクルさせて
抽出を行うことを特徴とする塩化脂肪族不純物の抽出法
に関するものである。また、本発明は、本発明の製造法
によって得られ、塩化脂肪族不純物に関して純度の高い
ジクロロプロパノール類の水溶液に関するものである。
最後に、本発明は、粗ジクロロプロパノール類溶液中の
塩化脂肪族不純物の抽出用溶媒として、1,2,3−ト
リクロロプロパンに富む抽出溶媒をリサイクルして使用
することに関するものである。 以下の実施例では、公
知の製造工程と比較し、本発明の製造法に係わる粗ジク
ロロプロパノール類水溶液の精製効率を説明する。
【0025】
【実施例】まず、塩化アリルの次亜塩素化により得られ
た粗ジクロロプロパノルの水溶液を放置して、容易に分
離する塩化有機不純物画分を分離した。このようにして
分離した水相中の各種塩化脂肪族不純物の濃度を、その
実験式とともに表に示す。各種の異性体はガスクロマト
グラフィーにおける保持時間で区別される。この分離し
た水相1Lを25mlの1,2,3−トリクロロプロパ
ンを用い、25℃で抽出し(本発明)、比較のため別の
1Lは25mlのテトラクロロメタンで抽出した。
た粗ジクロロプロパノルの水溶液を放置して、容易に分
離する塩化有機不純物画分を分離した。このようにして
分離した水相中の各種塩化脂肪族不純物の濃度を、その
実験式とともに表に示す。各種の異性体はガスクロマト
グラフィーにおける保持時間で区別される。この分離し
た水相1Lを25mlの1,2,3−トリクロロプロパ
ンを用い、25℃で抽出し(本発明)、比較のため別の
1Lは25mlのテトラクロロメタンで抽出した。
【0026】使用した各抽出溶媒について、有機相と水
相間の分配係数の計算値を表に示す。この値は、抽出後
の有機相における各不純物の濃度と水相におけるその濃
度の比を示すものである。抽出後、水相中の不純物の濃
度が分析の検出限界以下である場合、分配係数の最低値
を表示するが、この値は有機相におけるこの不純物の濃
度と水相中におけるその検出限界の比に相当する。この
場合、値に>を表示した。
相間の分配係数の計算値を表に示す。この値は、抽出後
の有機相における各不純物の濃度と水相におけるその濃
度の比を示すものである。抽出後、水相中の不純物の濃
度が分析の検出限界以下である場合、分配係数の最低値
を表示するが、この値は有機相におけるこの不純物の濃
度と水相中におけるその検出限界の比に相当する。この
場合、値に>を表示した。
【表1】 成分 VPC 初期 分配係数 (実験式) 保持時間 濃度 トリクロロプロパン CCl4 (分) (mg/L) 抽出 抽出 C6 H11OCl3 26.53 0.9 70 30 C6 H11OCl3 26.63 0.6 ) ) 110 30 C6 H11OCl3 26.69 0.4 ) C6 H11OCl3 26.81 1.3 140 35 C6 H11OCl3 27.80 20.0 95 30 C6 H11OCl3 28.18 4.6 >350 25 C6 H10OCl4 28.48 1.8 18 10 C6 H10OCl4 28.58 6.8 >880 35 C6 H10OCl4 28.86 29.4 5350 550 1,2,3−トリクロロプロパンで抽出すると、テトラ
クロロメタンで抽出した場合に比較して、塩化脂肪族不
純物の濃度を2〜25倍低減できることが明らかとなっ
た。
クロロメタンで抽出した場合に比較して、塩化脂肪族不
純物の濃度を2〜25倍低減できることが明らかとなっ
た。
【図1】本発明の一実施態様を模式的に示す図面であ
る。
る。
1 塩化アリル供給管 2 塩素供給管 3 水供給管 4 反応ゾーン 5 粗ジクロロプロパノール類水溶液転送管 6 抽出ゾーン 7 水相転送管 8 水蒸気蒸留カラム 9 アルカリ水溶液供給管 10 水蒸気供給管 11 粗エピクロロヒドリン転送管 12 排水管 13 蒸留ゾーン 14 軽留分排出管 15 精製エピクロロヒドリン排出管 16 トリクロロプロパンリサイクル管 17 有機相転送管 18 洗浄ゾーン 19 水供給管 20 洗浄有機抽出液転送管 21、23、25 洗浄水転送管 22、24 バルブ 26 分別蒸留ゾーン 27 低沸点留分転送管 28 中沸点留分排出管 29 高沸点留分排出管
Claims (9)
- 【請求項1】 塩化アリルを次亜塩素化して粗ジクロロ
プロパノール類の水溶液を製造する工程と、この粗ジク
ロロプロパノール類の水溶液を精製して塩化有機不純物
を除去し、精製ジクロロプロパノール類水溶液を製造す
る工程と、ジクロロプロパノール類を加水分解する工程
を含み、粗ジクロロプロパノール水溶液の精製が1,
2,3−トリクロロプロパンに富むリサイクル有機抽出
溶媒による抽出により行われることを特徴とする塩化ア
リルからエピクロロヒドリンを製造する方法。 - 【請求項2】 リサイクル有機抽出溶媒が少なくとも約
50重量%の1,2,3−トリクロロプロパンを含んで
いることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 以下の工程を含む請求項1または2に記
載の方法。 a)塩化アリルを次亜塩素化して、少量の塩化有機不純
物、特に1,2,3−トリクロロプロパン及び塩化脂肪
族不純物を含む粗ジクロロプロパノール類水溶液を製造
する工程。 b)1,2,3−トリクロロプロパンに富むリサイクル
した有機抽出溶媒を十分な量で用いて前記粗ジクロロプ
ロパノール類水溶液を抽出し、塩化脂肪族不純物に富む
主として1,2,3−トリクロロプロパンからなる有機
相と、ジクロロプロパノール類の大部分を含み、塩化脂
肪族不純物の濃度がきわめて低い水相を得る工程。 c)工程b)で得られた水相に塩基性化合物を導入し、
ジクロロプロパノール類を脱塩酸してエピクロロヒドリ
ンを製造し、生成したエピクロロヒドリンを水蒸気蒸留
して粗エピクロロヒドリンを得、排水を廃棄する工程。 d)工程c)で製造した粗エピクロロヒドリンの分別蒸
留による軽留分、精製エピクロロヒドリンからなる中留
分及び残留重留分に分画し、この蒸留工程から得られた
残留重留分を、抽出工程b)にリサイクルする工程(こ
こで、重留分は1,2,3−トリクロロプロパンに富む
リサイクルされた有機抽出溶媒を少なくとも部分的に構
成する。)。 e)工程b)で得られた有機相を水で洗浄し、相を分離
して、前記有機相中に存在しているジクロロプロパノー
ル類の大部分を含む洗浄水と、もとの有機相と比較して
ジクロロプロパノール類の濃度が著しく低い洗浄有機相
を得、ジクロロプロパノール類の大部分を含む洗浄水を
次亜塩素化工程a)、抽出工程b)または脱塩酸工程
c)のいずれかにリサイクルする工程。 f)洗浄工程e)から得られた前記の洗浄有機抽出液を
分別蒸留により、粗エピクロロヒドリンの蒸留分離工程
d)に送られる低沸点留分、精製1,2,3−トリクロ
ロプロパンからなる中沸点留分及び本質的に塩化脂肪族
不純物からなる高沸点部に分画する工程。 - 【請求項4】 洗浄有機抽出液の蒸留分離工程f)で得
られた中沸点留分に対応する精製1,2,3−トリクロ
ロプロパンの一部を、粗エピクロロヒドリンの蒸留分離
工程d)で得られた残留重留分に添加し、得られた混合
物を抽出工程b)にリサイクルすることを特徴とする請
求項3に記載の方法。 - 【請求項5】 粗エピクロロヒドリンの蒸留分離工程
d)に送られる低沸点留分が50〜98%の1,2,3
−トリクロロプロパンを含むように、洗浄有機抽出液の
蒸留分離工程f)における蒸留が行われることを特徴と
する請求項3又は4に記載の方法。 - 【請求項6】 1,2,3−トリクロロプロパンに富ん
だ抽出溶液の流量と粗ジクロロプロパノール類水溶液の
流量の比が約0.001以上で、かつ約0.1以下の条件
で、抽出工程b)が連続的に行われることを特徴とする
請求項3、4又は5に記載の方法。 - 【請求項7】 塩化アリルの次亜塩素化により得られた
粗ジクロロプロパノール類水溶液中の塩化脂肪族不純物
の抽出において、抽出が1,2,3−トリクロロプロパ
ンに富むリサイクルされた有機抽出溶媒により行われる
ことを特徴とする粗ジクロロプロパノール類水溶液中の
塩化脂肪族不純物の抽出方法。 - 【請求項8】 塩化脂肪族不純物に対して純度が高く、
かつ請求項7に記載の方法で得られるジクロロプロパノ
ール類の水溶液。 - 【請求項9】 1、2、3−トリクロロプロパンに富む
リサイクルされた抽出溶媒を、粗ジクロロプロパノール
類の溶液中に含まれる塩化脂肪族不純物の抽出溶媒とし
て利用する方法。
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-
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- 1993-03-12 US US08/030,559 patent/US5344945A/en not_active Expired - Fee Related
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