Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPH06172489A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH06172489A
JPH06172489A JP32785892A JP32785892A JPH06172489A JP H06172489 A JPH06172489 A JP H06172489A JP 32785892 A JP32785892 A JP 32785892A JP 32785892 A JP32785892 A JP 32785892A JP H06172489 A JPH06172489 A JP H06172489A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
weight
polyphenylene ether
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32785892A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
Haruo Omura
治夫 大村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Petrochemical Co Ltd filed Critical Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Priority to JP32785892A priority Critical patent/JPH06172489A/ja
Publication of JPH06172489A publication Critical patent/JPH06172489A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリフェニレンスルフィドと変性剤(例えば
4,4′−ジチオジ(n−ブチル酸))を溶融反応させ
て得たカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹
脂(a)と、エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
脂(b)とエポキシ硬化促進触媒(c)をブレンドし、
相溶性、機械的特性の優れた樹脂組成物を得る。 【効果】 樹脂組成物は、分散粒径が微細化し、機械的
強度の優れた成形品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度、耐熱剛性
および成形品の外観が優れたエンジニアリングプラスチ
ック工業材料、例えばコネクター、イグニッションマニ
フォールド、歯車、バンパー、コイル封止材等を与える
ポリフェニレンスルフィドを含有する可塑性樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドは、流動性、
耐有機溶剤性、電気特性、難燃性などが優れた高融点の
耐熱樹脂として知られている。しかしながら成形材料と
して用いた場合、重合度が低く、押出成形安定性、射出
成形安定性が劣る欠点がある。また、ガラス転移温度が
約90℃とそれほど高くないため、高温における成形品
の剛性の低下が大きい。そのためガラス繊維、炭素繊
維、タルク、シリカなどの無機充填剤との複合化による
性能向上が実施されているが、この場合、成形品の外観
が悪化したり、成形品にソリが生じ易いなどの問題点が
ある。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテルは、優れた
耐熱性、寸法安定性、非吸湿性、電気特性などを有する
エンジニアリングプラスチックとして認められている
が、溶融流動性が悪く、成形加工が困難であり、かつ、
耐油性、耐衝撃性が劣るという欠点がある。そこで両者
の長所を損なわずに欠点を相補った成形材料を提供する
目的で種々の組成物が提案されている。
【0004】例えば、ポリフェニレンエーテルにポリフ
ェニレンスルフィドをブレンドすることにより、ポリフ
ェニレンエーテルの成形加工性を改良する技術が開示さ
れている(特公昭56−34032号公報)。しかしな
がら成形加工性の改善はみられるものの、ポリフェニレ
ンエーテルとポリフェニレンスルフィドとは本来相溶性
が悪く、このような単純なブレンド系では界面における
親和性が乏しく、成形時に相分離が生じ、機械的強度が
優れた成形体は得られない。
【0005】そこで両者の相溶性を向上させうる技術と
して、特開平1−259060号公報には、官能基を導
入した変性ポリフェニレンエーテル(A)、具体的には
無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
グリシジルメタクリレート等の官能性単量体とポリフェ
ニレンエーテルを溶融変性して得られる酸変性ポリフェ
ニレンエーテル、水酸基変性ポリフェニレンエーテルま
たはエポキシ基変性ポリフェニレンエーテルと、同様の
官能基により変性されたポリフェニレンスルフィド
(B)との組み合わせによって機械的強度が優れた成形
品を与える組成物が得られることが開示されている。
【0006】また、特開平4−227636号公報に
は、アミノ基、アルコール性水酸基またはカルボキシル
基を含有したポリフェニレンスルフィド(A)とエポキ
シ基を含有するポリフェニレンエーテル(B)の組成物
が開示されている。しかし、これらいずれの方法によっ
ても、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンスルフ
ィドの混和性は十分ではなく、衝撃強度、外観に劣る成
形品しか得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフェニ
レンスルフィドとポリフェニレンエーテルの混和性が極
めて優れ、成形品の外観、機械的強度、耐溶剤性が優
れ、成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、 成分(a) 分子中にカルボキシル基と、メルカプト基
またはジスルフィド基を有する化合物から選ばれた変性
剤でポリフェニレンスルフィドを変性して得られるカル
ボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂 成分(b) エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
脂 成分(c) エポキシ硬化促進触媒 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
分(c)が0.01〜10重量部の割合で配合されてな
る熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0009】さらに本発明の第2は、 成分(a) 分子中にカルボキシル基と、メルカプト基
またはジスルフィド基を有する化合物から選ばれた変性
剤でポリフェニレンスルフィドを変性して得られるカル
ボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂 成分(b) エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
脂 成分(c) エポキシ硬化促進触媒 成分(d) 熱可塑性エラストマー 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
分(c)が0.01〜10重量部、成分(d)が2〜4
0重量部の割合で配合されてなる熱可塑性樹脂組成物を
提供するものである。
【0010】
【作用】成分(c)の硬化促進触媒の存在下で成分
(a)の樹脂のカルボキシル基と成分(b)の樹脂のエ
ポキシ基が反応し、相溶性の優れたポリマーアロイを与
える。以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】(a)カルボキシル基含有ポリフェニレン
スルフィド樹脂 成分(a)のカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は、分子中にカルボキシル基とメルカプト基ま
たはジスルフィド基を有する化合物から選ばれた変性剤
と、ポリフェニレンスルフィドとを反応させて得られる
カルボキシル基を導入した変性ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂であって、例えば、ポリフェニレンスルフィドと
前記変性剤を溶融状態または有機溶剤中でポリフェニレ
ンスルフィドと反応させることにより製造できる。
【0012】(i)ポリフェニレンスルフィド 変性に用いる原料のポリフェニレンスルフィドは、一般
式(1)
【0013】
【化1】
【0014】で示される繰り返し単位を主構成要素とし
て含有する結晶性樹脂である。本発明では、上記の繰り
返し単位を主構成要素とするもの、すなわち上記繰り返
し単位からなるホモポリマー、または、これを主構成成
分(80モル%以上、より好ましくは90モル%以上)
とし、例えば下記の(II)〜(VIII)ような繰り返し単
位の一種または二種以上を20モル%以下の割合で有す
るコポリマーを使用することができる。
【0015】
【化2】
【0016】(式中、Rはアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基である)このポリフェニレンスルフィドは、
実質的に線状構造であるものが、成形物の物性などの観
点から好ましい。この物性を実質的に低下させない範囲
において、例えば重合時に有効量の架橋剤(例えばトリ
ハロベンゼン)を用いて得た重合架橋物、あるいはポリ
マーを酸素の存在下等で加熱処理して架橋させた熱架橋
物も使用可能である。
【0017】このポリフェニレンスルフィドは、300
℃、せん断速度103 sec-1での溶融粘度が100〜
100,000ポイズ、好ましくは、500〜50,0
00ポイズ、さらに好ましくは、500〜30,000
ポイズの範囲のものが好ましい。溶融粘度が100ポイ
ズ未満では、流動性が高すぎて成形が困難であって好ま
しくない。また、溶融粘度が100,000ポイズ超過
でも逆に流動性が低すぎて、成形が困難である。
【0018】このポリフェニレンスルフィドは、任意の
方法により製造することができるが、例えば、特公昭4
5−3368号公報で開示されたような比較的分子量の
小さい重合体の製造法、特公昭52−12240号公報
で開示されたような線状の比較的高分子量の重合体の製
造法又は低分子量重合体を酸素存在下で加熱して架橋体
を得る方法に従って、あるいはこれらに必要な改変を加
えて、製造することができる。
【0019】(ii)カルボキシル基含有ポリフェニレン
スルフィド樹脂 官能化剤とポリフェニレンサルファイドとの反応により
得られるカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド
樹脂は、例えば、以下に示す方法により製造することが
できる。すなわち、ポリフェニレンスルフィドと、一般
式(IX)及び一般式(X)
【0020】 HS−R1 −COOR2 (IX)
【0021】 R2 OOC−R1 −S−S−R1 −COOR2 (X)
【0022】(ここでR1 は、炭素数1〜10の脂肪族
または脂環式残基、あるいは、炭素数6〜12の芳香族
残基を表す。R2 は、水素原子、炭素数1〜10の炭化
水素またはアルカリ金属原子を表す。)で示されるメル
カプト化合物またはジスルフィド化合物である変性剤と
を反応させる製造方法である。
【0023】変性剤の具体例を挙げると、チオリンゴ
酸、メルカプト安息香酸、5,5’−ジチオビス(2−
ニトロ安息香酸)、4,4’−ジチオジ(n−ブチル
酸)、ジチオジ酢酸、2,2’−ジチオジプロピオン
酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、メルカプト酢
酸、2−メルカプトプロピオン酸、メルカプト吉草酸、
ジチオジ安息香酸、チオサリチル酸、3−(p−メルカ
プトフェニル)プロピオン酸及びそれらのアルキルエス
テル、アルカリ金属塩等がある。特に好ましくは、チオ
リンゴ酸、4,4’−ジチオジ(n−ブチル酸)、ジチ
オジ安息香酸及びそれらのカルボキシル基誘導体であ
る。
【0024】カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は、ポリフェニレンスルフィドと変性剤とをポ
リフェニレンスルフィドが溶解可能または一部溶解可能
な有機溶媒中、ポリフェニレンスルフィドと変性剤(ポ
リフェニレンスルフィドに対して0.1〜100重量
部、好ましくは1〜20重量部)とを170℃〜300
℃で加熱、反応させることにより容易に製造できる。
【0025】ここで使用される有機溶媒は、原料である
ポリフェニレンスルフィドを溶解可能であることが望ま
しいがポリフェニレンスルフィドを一部膨潤させること
の可能な有機溶媒もまた使用可能である。具体的には、
ジフェニル、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、クロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等の
ハロゲン化芳香族溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、
ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ス
ルホラン等の非プロトン性の極性溶媒が挙げられる。
【0026】さらに、本発明のカルボキシル基含有ポリ
フェニレンスルフィド樹脂は、前記ポリフェニレンスル
フィドに変性剤をポリフェニレンスルフィドに対して
0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部
混合した後に、押出機、混練機を用いて150〜350
℃の温度範囲で、好ましくは280℃〜340℃の温度
範囲で溶融混練することにより反応させても製造でき
る。
【0027】(b)エポキシ基含有ポリフェニレンエー
テル樹脂 成分(b)のエポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
脂は、ポリフェニレンエーテルの末端フェノール性水酸
基またはポリフェニレンエーテル主鎖中に官能化剤によ
りエポキシ基を付加した変性ポリフェニレンエーテル樹
脂であって、具体的には、ポリフェニレンエーテルと官
能化剤とを、ポリフェニレンエーテルを溶解できる有機
溶媒の存在下、又は非存在下で、塩基性触媒を用いて5
0〜200℃の温度で反応させることにより得ることが
できる。
【0028】(i)ポリフェニレンエーテル 原料のポリフェニレンエーテルは、一般式(XI)
【0029】
【化5】
【0030】(式中、Q1 は各々、ハロゲン原子、第一
級もしくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアル
キル基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基、又はハロ
炭化水素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハロゲ
ン原子、第一級もしくは第二級アルキル基、ハロ炭化水
素基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。)で示される
構造を有する単独重合体、又は共重合体である。Q1
よびQ2 の第一級アルキル基の好適な例は、メチル、エ
チル、n−プロピル、n−ブチル、n−アミル、イソア
ミル、2−メチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2
−、3−もしくは4−メチルペンチル、又はヘプチルで
ある。第二級アルキル基の例はイソプロピル、sec−
ブチル又は1−エチルプロピルである。多くの場合、Q
1 はアルキル基又はフェニル基、特に炭素数1〜4のア
ルキル基であり、Q2 は水素原子である。
【0031】具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノー
ル/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,
6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェ
ノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプ
ロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール
共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共
重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−ト
リメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合
したグラフト共重合体等が挙げられる。
【0032】好適なポリフェニレンエーテルの単独重合
体としては、例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル単位構造からなるものである。好適な共
重合体としては、2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテルと2,3,6−トリメチル−1,4−フェニ
レンエーテルとのランダム共重合体である。多くの好適
な、単独共重合体またはランダム共重合体が、特許、文
献に記載されている(USP3422062号、同33
06874号、同3257358号)。例えば、分子
量、溶融粘度および/または衝撃強度等の特性を改良す
る分子構造部分を含むポリフェニレンエーテルも、また
好適である。
【0033】ポリフェニレンエーテルの分子量は通常ク
ロロホルム中、30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl
/g程度のものである。ポリフェニレンエーテルは、通
常前記のモノマーの酸化カップリングにより製造され
る。ポリフェニレンエーテルの酸化カップリング重合に
関しては、数多くの触媒系が知られている。触媒の選択
に関しては特に制限はなく、公知の触媒のいずれも用い
ることができる。例えば、銅、マンガン、コバルト等の
重金属化合物の少なくとも一種を通常は種々の他の物質
との組み合わせで含むもの等である。
【0034】(ii)エポキシ基含有ポリフェニレンエー
テル樹脂の製法 官能化剤とポリフェニレンエーテルとを反応することに
よりエポキシ基含有ポリフェニレンエーテルは製造され
る。例えば、以下の(A)〜(C)に示す方法により製
造することができる。
【0035】(A)ポリフェニレンエーテルとエポキシ
基を持つ物質(変性剤)とを加熱下に接触することによ
り、ポリフェニレンエーテルの末端フェノール性水酸基
に変性剤のエポキシ基が付加反応した末端エポキシ化ポ
リフェニレンエーテル樹脂が製造できる(特開昭63−
125525号公報)。具体的には、エポキシ基を持つ
物質が反応温度において液体であり、かつポリフェニレ
ンエーテルを溶液とすることが可能であれば、エポキシ
基を持つ物質を溶剤兼反応物質として用いることができ
る。また、エポキシ基を持つ物質が反応温度において固
体であるか、またはエポキシ基を持つ物質がポリフェニ
レンエーテルを溶解しない場合は、ポリフェニレンエー
テル及びエポキシ基をもつ物質の双方の良溶媒であり、
かつ、反応に関与しない溶剤、例えば、ベンゼン、トル
エンのごとき芳香族炭化水素化合物、クロロホルムのご
ときハロゲン化炭化水素化合物、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼンのごときのハロゲン化芳香族炭化水素化合
物を添加して反応を容易とさせる。
【0036】エポキシ基を持つ物質としては、片末端が
ハロゲン化物であるエポキシ化合物か、または両末端エ
ポキシ化が好ましく、前記片末端エポキシ化合物として
は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、2−メ
チルエピクロロヒドリンが、両末端エポキシ化合物とし
ては、2,2−ビス(4−グリシジルフェニルエーテ
ル)プロパンやビスフェノール類のグリシジルエーテ
ル、ノボラック樹脂のグリシジルエーテルが好ましい。
【0037】エポキシ基を持つ物質と、ポリフェニレン
エーテルの量比については、ポリフェニレンエーテルの
末端フェノール性水酸基1モルに対し、エポキシ基のモ
ル数で1モル以上、好ましくは2〜5モルである。ま
た、反応の促進に使用される塩基性化合物については、
特に種類を制限しないが、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメトキ
サイド、ナトリウムエトキサイド等のアルコラート等が
好ましい。その添加量としては、エポキシ化合物のエポ
キシ基1当量に対して、1.0等量以上、好ましくは
1.2〜3当量以上、特に好ましくは1.5〜2当量用
いられる。
【0038】反応温度については、80〜120℃付近
が好適であり、反応時間は、通常1〜8時間程度であ
る。反応後は、系を冷却し、メタノールのごとき、ポリ
フェニレンエーテルの貧溶媒中に反応混合物を注ぎ込む
ことにより、沈澱が生成し、末端がエポキシ化したポリ
フェニレンエーテル樹脂が得られる。
【0039】反応後は、沈澱を濾過し、その後水及びメ
タノールで洗浄し、未反応のエポキシ化合物やアルカリ
化合物を除去する。洗浄後沈澱物を濾別し、80℃〜1
10℃で減圧または常圧乾燥し、末端エポキシ化ポリフ
ェニレンエーテルが得られる。 (B)主鎖中にエポキシ基を含有するポリフェニレンエ
ーテル樹脂は、例えば一般式
【0040】
【化6】
【0041】(式中、R6 は水素原子またはメチル基を
表す。)で示されるアクリレートまたはメタクリレー
ト、具体的にはグリシジルメタクリレートまたはグリシ
ジルアクリレートをポリフェニレンエーテルに溶液また
は溶融グラフト反応させて一般式
【0042】
【化7】
【0043】(式中、R6 は、前記式(XII)と同じ)
で示される構造単位でポリフェニレンエーテルの主鎖が
変性されたエポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂
を製造する(特開平1−259060号公報)。(C)
主鎖中にエポキシ基を含有するポリフェニレンエーテル
は、また、一般式
【0044】
【化8】
【0045】(式中、R7 は、水素原子またはメチル基
を表す。Arは、グリシジルオキシ基を少なくとも1つ
有する炭素数6〜10のアリール基を示す。)で示され
るアクリレートまたはメタクリレート、例えば、N−
〔4−(2,3−エポキプロポキシ)−3,5−ジメチ
ルフェニルメチル〕アクリルアミドを、ポリフェニレン
エーテルに溶液または溶融グラフト反応させることによ
り、一般式
【0046】
【化9】
【0047】(式中、R7 およびArは、前記式(XI
V)と同じ。)で示される構造単位でポリフェニレンエ
ーテルの主鎖が変性されたエポキシ基含有ポリフェニレ
ンエーテル樹脂が製造される。成分(b)のエポキシ基
含有ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独またはエポキ
シ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂と未変性ポリフェ
ニレンエーテルの混合物であってもよい。エポキシ基含
有ポリフェニレンエーテル樹脂と未変性ポリフェニレン
エーテルとの混合割合は、ポリフェニレンスルフィドと
の混合比により設定される。通常、エポキシ基含有ポリ
フェニレンエーテル樹脂の80重量%までを未変性のポ
リフェニレンエーテルで置き代えることができる。
【0048】(c)エポキシ硬化促進触媒 エポキシ硬化促進触媒としては、通常、エポキシ樹脂と
硬化剤の硬化反応の際に用いられる触媒が使用できる。
具体的には、 三級アミン類、例えば、ベンジルジメチルアミン、ト
リブチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェ
ノール、p−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリフェニ
ルアミン等;
【0049】第四級アンモニウム化合物類、例えば、
テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド、テトラ
エチルアンモニウムフルオライド、アルキル(炭素数8
〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベ
ンジルセチルジメチルエチルアンモニウムクロライド、
ベンジルジメチルアルキル(炭素数8〜18)アンモニ
ウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニ
ウムクロライド、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウ
ムクロライド、(3−クロロ−2−ヒドロキシ−n−プ
ロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、n−デシ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチ
ルアンモニウムクロライド、ジメチルベンジルフェニル
アンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチル
アンモニウムクロライド、n−オクチルトリメチルアン
モニウムクロライド、フェニルトリエチルアンモニウム
クロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、テトラ−n−アミルアンモニウムクロライド、
テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、n−テト
ラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラエ
チルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウ
ムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロラ
イド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ト
リオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルト
リ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチ
ルアンモニウムブロマイド、n−デシルトリメチルアン
モニウムブロマイド、ジラウリルジメチルアンモニウム
ブロマイド、ジステアリルジメチリウアンモニウムブロ
マイド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロ
マイド、n−ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド、n−オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、
フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリ
ルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブ
チルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−デシルアン
モニウムブロマイド、n−テトラデシルトリメチルアン
モニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマ
イド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラ−
n−プロピルアンモニウムブロマイド、テトラエチルベ
ンジルアンモニウムブロマイド、エチルトリメチルアン
モニウムアイオダイド、エチルトリ−n−プロピルアン
モニウムアイオダイド、フェニルトリエチルアンモニウ
ムアイオダイド、フェニルトリメチルアンモニウムアイ
オダイド、テトラ−n−アミルアンモニウムアイオダイ
ド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド、テ
トラエチルアンモニウムアンモニウムアイオダイド、テ
トラ−n−オクチルアンモニウムオイオダイド、テトラ
−n−プロピルアンモニウムアイオダイド、トリエチル
ベンジルアンモニウムアイオダイド等;
【0050】ホスホニウム化合物類、例えば、アリル
トリフェニルホスホニウムブロマイド、アリルトリフェ
ニルホスホニウムクロライド、n−アミルトリフェニル
ホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホ
ニウムクロライド、ブロモメチルトリフェニルホスホニ
ウムブロマイド、3−ブロモプロピリルトリフェニルホ
スホニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルホスホ
ニウムブロマイド、4−カルボキシブチルトリフェニル
ホスホニウムブロマイド、クロロメチルトリフェニルホ
スホニウムクロライド、シンナミルトリフェニルホスホ
ニウムブロマイド、2−ジメチルアミノエチルトリフェ
ニルホスホニウムブロマイド、2−(1,3−ジオキサ
ン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロマ
イド、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル
トリフェニルホスホニウムブロマイド、4−エトキシベ
ンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エトキシ
カルボキシルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロ
マイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、
(フォルミルメチル)トリフェニルホスホニウムクロラ
イド、n−ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、n−ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロ
ライド、メチルトリフェニルホスホニウムアイオダイ
ド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、μ−
オキソ−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウ
ム〕ビス(テトラフルオロボレイト)、フェナシルトリ
フェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチル
ホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブ
ロマイド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウ
ムサルフェイト、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホス
ホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロ
マイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テト
ラフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニル
ホスホニウムテトラフェニルボレイト、2−(トリメチ
ルシリル)エトキシメチルトリフェニルホスホニウムク
ロライド等;
【0051】ピリジニウム化合物類、例えば、1−ア
セトニルピリジニウムクロライド、1−(アミノホルミ
ルメチル)ピリジニウムクロライド、1−ピリジニウム
アイオダイド、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテ
トラフルオロボレイト、4−ブロモピリジンハイドロボ
レイト、4−ブロモピリジンハイドロクロライド、N−
n−ブチルピリジニウムクロライド、3−カルバミル−
1−メチルピリジニウムクロライド、2−(クロロメチ
ル)ピリジンハイドロクロライド、3−(クロロメチ
ル)ピリジンハイドロクロライド、4−(クロロメチ
ル)ピリジンハイドロクロライド、2−クロロ−1−メ
チルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチ
ルピリジニウムp−トルエンスルフォネート、4−クロ
ロピリジンハイドロクロライド、セチルピリジニウムク
ロライドモノハイドラート、1−(シアノメチル)ピリ
ジニウムクロライド、N,N’−ジベンジル−4,4′
−ビピリジニウムジクロライド、1,1′−ジ−n−ヘ
プチル−4,4′−ビピリジニウムジブロマイド、2,
6−ジヒドロキシピリジンハイドロクロライド、4−ジ
メチルアミノ−1−ネオペンチルピリジニウムクロライ
ド、4−ジメチルアミノピリジニウムブロマイドパーブ
ロマイド、1,1′−ジメチル−4,4′−ジピリジニ
ウムジクロライド、2,6−ジメチルピリジニウムp−
トルエンスルフォネート、N,N′−ジ−オクチル−
4,4′−ビピリジニウムジブロマイド、2,6−ジフ
ェニル−4−ピリジニオ)フェノレート、ドデシルピリ
ジニウムクロライド、1−(エトキシカルボニルメチ
ル)ピリジニウムクロライド、1−エチル−4−メトキ
シカルボニルピリジニウムアイオダイド、1−エチルピ
リジニウムブロマイド、2−フルオロ−1−メチルピリ
ジニウムp−トルエンスルフォネート、ヘキサデシルピ
リジニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジニウムクロ
ライド、イソニコチノイルクロライドハイドロクロライ
ド、1−メチル−4−〔4−(4−アミノナフチルア
ゾ)フェニルアゾ〕ピリジニウムアイオダイド、1−メ
チル−4−(4−ジエチルアミノフェニルアゾ)ピリジ
ニウムアイオダイド、N−メチルピリジニウム−2−ア
ルドオキシム−クロライド、1−(4−ニトロベンジ
ル)−4−(4−ジエチルアミノフェニルアゾ)ピリジ
ニウムブロマイド、1−オクタデシル−4−(4−フェ
ニル−1,3−ブタジエニル)ピリジニウムブロマイ
ド、N−(10,12−ペンタコサジニル)ピリジニウ
ムブロマイド、1−フェナシルピリジニウムブロマイ
ド、N−フェニルニコチンアミドハイドロクロライド、
ピコリニックアシドハイドロクロライド、ピコリノイル
クロライドハイドロクロライド、ピリジンポリフルオラ
イドハイドロフルオライド、ピリジニウムクロロクロメ
ート、ピリジニウムジクロメート、ピリジニウムフルオ
ロクロメート、ピリジニウムハイドロブロマイドパーブ
ロマイド、ピリジニウムm−ニトロベンゼンスルフォネ
ート、ピリジニウムp−トルエンスルフォネート、ピリ
ドオキサミンジハイドロクロライド、ピリドオキシハイ
ドロクロライド、2−ピリジルアセティックアシドハイ
ドロクロライド、3−ピリジルアセティックアシドハイ
ドロクロライド、1−(4−ピリジル)−ピリジニウム
クロライドハイドロクロライド、テトラキス(1−メチ
ルピリジニウム−4−イル)ポルフィンp−トルエンス
ルフォネート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp
−トルエンスルフォネート等;
【0052】イミダゾール類、例えば、イミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾー
ル、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイ
ミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエ
チル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2
−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチ
ル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−
メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチ
ル)−2−メチルイミダゾール、N−(2−メチルイミ
ダゾリル−1−エチル)−ウレア、1−シアノエチル−
2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−
メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル
−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、1−シア
ノエチル−2−エチル−4(5)−エチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダ
ゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデ
シル−イミダゾールトリメリテート、2,4−ジアミノ
−6−〔2′−メチルイミダゾリル−(1′)〕−エチ
ル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2′−
ウンデシルイミダゾリル−(1′)〕−エチル−S−ト
リアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2′−エチル−
4′メチルイミダゾリル−(1′)〕エチル−S−トリ
アジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミ
ダゾリウムクロライド、N,N′−ビス−(2−メチル
イミダゾリル−1−エチル)−ウレア、N,N′−〔2
−メチルイミダゾリル−(1)−エチル〕−アジポイル
ジアミド、2,4−ジアルキルイミダゾール−5−ジチ
オカルボキシリックアシド、1,3−ジベンジル−2−
メチルイミダゾリウムクロライド、2−フェニル−4,
5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチ
ル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチ
ル)イミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダ
ゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、
2−メチルイミダゾールアジン等;
【0053】ホスフィン類、例えば、トリフェニルホ
スフィン、トリシクロホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、アリルジフェニルホスフィン、トリベンジルホスフ
ィン、トリトリルホスフィン等が挙げられる。
【0054】好ましくは、n−アミルトリフェニルホス
ホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウ
ムクロライド、ブロモメチルトリフェニルホスホニウム
ブロマイド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロ
マイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、
n−ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n
−ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メチ
ルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、メチルトリ
フェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチル
ホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブ
ロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テ
トラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニル
ホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウ
ムテトラフェニルボレイトのホスホニウム化合物;1−
アセトニルピリジニウムクロライド、1−(アミノホル
ミルメチル)ピリジニウムクロライド、N−n−ブチル
ピリジニウムクロライド、3−カルバミル−1−メチル
ピリジニウムクロライド、1−(シアノメチル)ピリジ
ニウムクロライド、N,N′−ジベンジル−4,4′−
ビピリジニウムジクロライド、1,1′−ジ−n−ヘプ
チル−4,4′−ビピリジニウムジブロマイド、4−ジ
メチルアミノ−1−ネオペンチルピリジニウムクロライ
ド、1,1′−ジメチル−4,4′−ジピリジニウムジ
クロライド、N,N′−ジ−オクチル−4,4′−ビピ
リジニウムジブロマイド、1−(エトキシカルボニルメ
チル)ピリジニウムクロライド、1−エチル−4−メト
キシカルボニルピリジニウムアイオダイド、1−エチル
ピリジニウムブロマイド、2−フルオロ−1−メチルピ
リジニウムp−トルエンスルフォネート、1−オクタデ
シル−4−(4−フェニル−1,3−ブタジエニル)ピ
リジニウムブロマイド、1−フェナシルピリジニウムブ
ロマイドのピリジニウム化合物;2−エチル−4(5)
−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル
−4(5)−エチルイミダゾールのイミダゾール類;ト
リフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンのホスフ
ィン類が挙げられる。
【0055】さらに好ましくは、テトラ−n−ブチルホ
スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブ
ロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニル
ボレイト、N−n−ブチルピリジニウムクロライド、1
−(シアノメチル−1−メチルピリジニウムクロライ
ド、N,N′−ジベンジル−4,4′−ビピリジニウム
ジクロライド、4−ジメチルアミノ−1−ネオペンチル
ピリジニウムクロライド、1−エチルピリジニウムブロ
マイド、1−フェナシルピリジニウムブロマイド、が挙
げられる。
【0056】(d)熱可塑性エラストマー 本発明の成分(d)の熱可塑性エラストマーは、室温に
おける弾性率が108(dyn/cm2 )以下の重合体
であり、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ジエ
ン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリ
アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、
ポリウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマー、
シリコン系エラストマー等公知のものが挙げられる。好
ましくは、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エ
ラストマー、ポリスチレン系エラストマーが挙げられ
る。
【0057】ポリオレフィン系エラストマーとしては、
例えば、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、
エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン
−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリ
シジルメタクリレート共重合体、エチレン−マレイン酸
共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げ
られる。
【0058】ジエン系エラストマーとしては、例えば、
ポリブタジエンおよびその水素化物、ポリイソプレンお
よびその水素化物、ブタジエン−スチレンランダム共重
合体およびその水素化物等が挙げられる。ポリスチレン
系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物と共役ジ
エン化合物のブロック共重合体またはこのブロック共重
合体の水素添加物(以下、水添ブロック共重合体と略記
する)が挙げられ、具体的には少なくとも1個のビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくと
も1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
とからなるブロック共重合体およびこのブロック共重合
体を水素添加し、このブロック共重合体中の共役ジエン
化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも80%を水
素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0059】ブロック共重合体を構成するビニル芳香族
化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、
1,1−ジフェニルエチレン等の内から1種または2種
以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役
ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン等の内から1種または2種以上が選ばれ、
中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わ
せが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造を
任意に選ぶことができ、例えばポリブタジエンブロック
においては、1,2−ビニル結合構造が5〜65%、好
ましくは10〜50%のものが好ましい。
【0060】ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、
分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのい
ずれであってもよい。これらのブロック共重合体の製造
方法としては上記した構造を有するものであればどのよ
うな構造方法で得られるものであってもよい。例えば、
特公昭40−23798号公報に記載された方法により
リチウム触媒を用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合
物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を合成すること
ができる。
【0061】また、水添ブロック共重合体とは、上記の
かかるビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体を水素添加することによって得られるものであ
る。この水添ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−66
36号公報に記載された方法で得ることもできる。特
に、得られる水添ブロック共重合体の耐熱性、耐熱劣化
性に優れた性能を発揮するチタン系水添触媒を用いて合
成された水添ブロック共重合体が最も好ましく、例え
ば、特開昭59−133203号公報、特開昭60−7
9005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中
でチタン系水添触媒の存在下に、上記した構造を有する
ブロック共重合体を水素添加して得ることができる。そ
の際、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体の共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合は
少なくとも80%を水素添加せしめ、共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロックを形態的にオレフィン性化
合物重合体に変換させる必要がある。この水添ブロック
共重合体中に含まれる非水添の脂肪族二重結合の量は、
フーリエ変換赤外分光光度計、核磁気共鳴装置等により
容易に知ることができる。
【0062】さらに、ポリオレフィン系エラストマー、
ジエン系エラストマーあるいはスチレン系エラストマー
100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸およ
びその誘導体あるいはアクリルアミドおよびその誘導体
の内、一種または二種以上0.01〜10重量部を、ラ
ジカル開始剤の存在下、非存在下で反応させた変性物等
も挙げることができる。
【0063】α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導
体の具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、アクリル酸、グリシジルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル
酸、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、クロトン酸、シス−4−シクロヘキセ
ン−1,2−ジカルボン酸、およびその無水物、エンド
−シス−ビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘプテン−2,
3−ジカルボン酸、およびその無水物、マレインイミド
化合物等が挙げられる。また、アクリルアミドおよびそ
の誘導体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、N−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)
−3,5−ジメチルフェニルメチル〕アクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0064】また、この変性の際に必要に応じて用いら
れるラジカル開始剤としては公知のものが使用でき、例
えばジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパ
ーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル
パーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、n−ブ
チル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)パ
レレート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert
−ブチルパーオキシトリフェニルシランおよびtert
−ブチルパーオキシトリメチルシラン等が挙げられ、こ
れらの中から好適に一種類以上を選ぶことができる。ま
た、有機過酸化物の他のラジカル開始剤として、2,3
−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエ
チル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−
2,3−ジ(p−メチルフェニル)ブタン、2,3−ジ
メチル−2,3−ジ(ブロモフェニル)ブタン等の化合
物を用いて変性反応を行ってもかまわない。
【0065】このラジカル開始剤の使用量は、ポリオレ
フィン系エラストマー、ジエン系エラストマーあるいは
ポリスチレン系エラストマー100重量部に対して通常
0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部
である。なお変性ポリオレフィン系エラストマー、変性
ジエン系エラストマーあるいは変性スチレン系エラスト
マーの製造方法は、溶融混練変性、溶液混合変性でも実
施することができる。
【0066】好適なポリオレフィン系エラストマーの具
体的な例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、そして変性物
としては、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2
−ノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシ
クロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重
合体およびエチレン−ブテン−1共重合体等の無水マレ
イン酸グラフト変性物、グラフトメタクリレートグラフ
ト変性物およびN−〔4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−2,5−ジメチルフェニルメチル〕アクリルアミ
ド変性物等が挙げられる。
【0067】好適なジエン系エラストマーの具体的な例
としては、カルボキシル基またはエポキシ基を含有する
ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素化物およびポリ
イソプレンの水素化物の無水マレイン酸グラフト変性
物、グリシジルメタクリレート変性物およびN−〔4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフ
ェニルメチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。
【0068】好適なポリスチレン系エラストマーの具体
的な例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体およびその水添ブロック共重合体、スチレン−イソプ
レンブロック共重合体およびその水添ブロック共重合
体、そして変性物としては、スチレン−ブタジエン水添
ブロック共重合体とスチレン−イソプレン水添ブロック
共重合体の無水マレイン酸グラフト変性物、グリシジル
メタクリレートグラフト変性物およびN−〔4−(2,
3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル
メチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。熱可塑
性エラストマーは、他の熱可塑性エラストマーを1種の
みならず2種以上併用しても構わない。
【0069】付加的成分 本発明による樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の
樹脂組成物の性質を損なわない程度に、他の付加的成分
を樹脂組成物に対し、添加することができる。例えば、
無機充填剤として、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、アルミナ
等)、ケイ酸塩(カオリン、クレー、マイカ、ペントナ
イト、シリカ、タルク、ワラステナイト、モンモリロナ
イト等)、水酸化鉄、ハイドロタルサイト、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、ガラスビーズ、ガラス繊
維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、窒化ケイ素繊維、窒化ホウ素繊維、アスベスト繊
維、炭化ケイ素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、石こう繊
維、ポリアミド繊維、フェノール繊維、炭化ケイ素ウィ
スカ、チタン酸カリウムウィスカ、カーボン繊維を、
(a)成分、(b)成分および(d)成分の和100重
量部に対し、40重量部以下、さらに、各種難燃剤を2
0重量部以下、結晶化促進材(造核剤)、メルカプトシ
ラン、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン等
のシランカップリング剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫
外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色剤を5
重量部以下添加できる。ポリフェニレンスルフィドの架
橋度を目的で架橋促進剤としてチオホスフィン酸金属塩
や架橋防止剤のジアルキル錫ジカルボキシレート、アミ
ノトリアゾール等を5重量部迄添加することができる。
【0070】構成成分の組成比 湾発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(a)のカル
ボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂と成分
(b)のエポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の
組成比は、機械的強度と耐有機溶剤性のバランスから、
カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂とエ
ポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の組成比は重
量比で10対90から90対10の範囲、好ましくは2
0対80から80対20、より好ましくは、30対70
から70対30である。カルボキシル基含有ポリフェニ
レンスルフィド樹脂が10重量%未満では耐有機溶剤性
が劣り、90重量%超過では耐熱剛性が十分でない。
【0071】成分(c)のエポキシ硬化促進触媒は、成
分(a)および(b)からなる樹脂組成物100重量部
に対して、0.01〜10重量部、より好ましくは0.
05〜5重量部である。エポキシ硬化促進剤が0.01
重量部未満では、耐衝撃性向上の効果が望めず、10重
量部を越えては、成形時にガスが発生し、成形品の外観
を悪化させる。成分(d)の熱可塑性エラストマーは、
成分(a)および(b)からなる樹脂組成物100重量
部に対して、耐衝撃性向上、成形性の面から2〜40重
量部、より好ましくは5〜30重量部である。
【0072】樹脂組成物の調製および成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための溶融混練の方
法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されてい
る混練方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各
成分を、必要であれば、付加的成分の項に記載の添加物
等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V
型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多
軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で混練す
る事ができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工
法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂につ
いて一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形、中
空成形、押出成形、プレス成形等の成形法が適用でき
る。
【0073】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
する。ポリフェニレンスルフィドの高温GPC測定は、
センシュー科学 VHT−GPC 7000を使用し、
カラム温度は210℃、移動相は、1−クロロナフタレ
ンを用いて実施した。
【0074】使用した各成分は次のとうりである。 ポリフェニレンスルフィド:トープレン社製ポリフェニ
レンスルフィド(商品名:トープレンP−7)を用い
た。 ポリフェニレンエーテル:日本ポリエーテル(株)社製
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエチル)
(30℃におけるクロロホルム中で測定した固有粘度
0.4dl/g)を用いた。 SEBS(部分水添スチレン−ブタジエンブロック共重
合体):シェル化学社製(商品名:クレイトンG165
1)を用いた。 EVG(エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレ
ート共重合体):住友化学社製(商品名:ボンドファー
ストBF−E)を用いた。 M−EPR(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン
共重合体):日本合成ゴム社製(商品名:T−7771
Y)を用いた。
【0075】〔製造例1〕 カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂−1 ポリフェニレンスルフィド(トープレンT−7)100
重量部に、チオリンゴ酸3重量部を加えて均一に混合し
た後、二軸押出機で310℃の温度で溶融混練しストラ
ンドに押出成形し、カッティングして、ペレットを得
た。メルトフロー値の増加はほとんど認められなかっ
た。GPCの測定結果、変性前後のポリフェニレンスル
フィドの分子量の低下はほとんど認められなかった。
【0076】得られたカルボキシル基含有ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂のペレット0.5gを1−クロロナフ
タレン20mlに220℃で溶解し、冷却後、アセトン
30mlを加え、沈澱させ、得られたポリマーを濾別、
乾燥した後に、このポリマー粉末を260℃で圧縮成形
して肉厚2mmのプレスシートを作成し、フーリエ変換
赤外分光光度計の測定を行った。その結果、1730c
-1にカルボキシル基のケトンに帰属される吸収が観測
された。
【0077】〔製造例2〕 カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂−2 変性剤として、チオリンゴ酸の代わりにジチオジ(n−
ブチル酸)を用いた以外は、製造例1と同様に実施し
た。得られたカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は、フーリエ変換赤外分光光度計において、1
735cm-1にカルボキシル基のケトンに帰属される吸
収が認められた。
【0078】〔製造例3〕 カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂−3 変性剤として、チオリンゴ酸の代わりに2,2′−ジチ
オジ安息香酸を用いた以外は、製造例1と同様に実施し
た。得られたカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は、フーリエ変換赤外分光光度計において、1
700cm-1にカルボキシル基のケトンに帰属される吸
収が認められた。
【0079】〔製造例4〕 カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂−4 変性剤として、チオリンゴ酸の代わりにメタクリル酸を
用いた以外は、製造例1と同様に実施した。得られたカ
ルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂は、フ
ーリエ変換赤外分光光度計において、1740cm-1
カルボキシル基のケトンに帰属される吸収が認められ
た。
【0080】〔製造例5〕 エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂−1 ポリフェニレンエーテル350gに、エピクロルヒドリ
ン5リットルを加え、窒素雰囲気下、100℃で攪拌し
て溶解させた。この溶液中にナトリウムエトキシド70
g及びメタノール300mlを20分間で加えた。更
に、100℃で4時間攪拌を続けた。
【0081】反応混合物を室温まで冷却後、これにメタ
ノール10リットルを加えることにより末端エポキシ化
ポリフェニレンエーテル樹脂を沈澱させた。この生成物
を濾過後、メタノール10リットルで洗浄、更に純水1
0リットルで2回洗浄し、再びメタノール10リットル
で洗浄した。得られたエポキシ化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂を80℃で減圧加熱乾燥させたところ、351g
の固体が得られた。
【0082】このものの末端基を定量したところ、原料
ポリフェニレンエーテルの末端フェノール性水酸基の9
9%が反応していることが判明した。なお、ポリフェニ
レンエーテルの末端フェノール性水酸基の反応率は、ジ
ャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス:
アプライド・ポリマー・シンポジウム(Jounal
of Applied Polymer Scienc
e:Applied Polymer Symposi
um)、34巻、(1987年)、103〜117頁に
記載の方法に準じて、反応前後の末端フェノール性水酸
基を定量して計算した。
【0083】〔製造例6〕 エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂−2 ポリフェニレンエーテル100重量部に、グリシジルメ
タクリレート3重量部を加えて均一に混合した後、二軸
押出機で260℃の温度で溶融混練し、ストランドに押
出し、カッティングしてペレットを得た。このエポキシ
基含有ポリフェニレンエーテル樹脂のペレットは、その
赤外線吸収スペクトルの1720cm-1付近にカルボニ
ル基に帰属される吸収を示した。
【0084】〔製造例7〕 エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂−3 ポリフェニレンエーテル100重量部に、N−〔4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフ
ェニルメチル〕アクリルアミド3重量部を加えて均一に
混合した後、二軸押出機で260℃の温度で溶融混練
し、ストランド状に押出成形し、カッティングしてペレ
ットを得た。このエポキシ基含有ポリフェニレンエーテ
ル樹脂のペレットは、その赤外線吸収スペクトルの16
85cm-1付近にカルボニル基に帰属される吸収を示し
た。
【0085】〔製造例8〕 エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂−4 ポリフェニレンエーテル400gをトルエン2.5リッ
トルに溶解し、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶
液19mlを添加し、次いで、少量の塩化メチレン中に
溶解した2−クロル−4−(2,4,6−トリメチルフ
ェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジ
ン20gおよびアルキル基中の炭素原子数が8〜10個
である商業的に入手し得るメチルトリアルキルアンモニ
ウムクロライドのトルエン中10%溶液の48gを添加
した。
【0086】この混合物を、30分間激しく攪拌し、そ
の後に生成物をメタノールによって沈澱させ、速やかに
濾過し、メタノールで洗浄し減圧加熱乾燥した。この生
成物は、核磁気共鳴装置により、約1.5重量%のエポ
キシトリアジン分子部分を含有することが認められた。
【0087】<実施例1>カルボキシル基含有ポリフェ
ニレンスルフィド樹脂−1の70重量部、エポキシ基含
有ポリフェニレンエーテル樹脂−1の30重量部、SE
BSΔ9重量部とテトラ−n−ブチルホスホニウムブロ
マイド0.5重量部とをドライブレンドした後、東洋精
機(株)製ラボプラストミルを用い、温度310℃、ロ
ーター回転数180rpmで5分間混練した。混練終了
後、粉砕機で粉砕して粒状とした。粒状の試料を東洋精
機(株)製圧縮成形機を用いて、温度310℃の条件
で、厚さ2mmのシートを成形した。このシートを熱風
乾燥器内で、120℃、4時間加熱し、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂の結晶化を充分に行った。このシート
より物性評価用の試験片を切削加工した。
【0088】なお、混練、成形に際して、ポリフェニレ
ンスルフィドはあらかじめ100℃、24時間真空乾燥
したものを用いた。また、物性評価用試験片は2日間、
デシケータ内に保存した後評価した。剛性は、JIS−
K−7106に準じて23℃において曲げこわさ試験を
実施した。耐衝撃強度はJIS−K−7110に準じて
2mm厚試片を3枚重ねにして、アイゾット衝撃試験機
にて測定した。分散形態は、シートの一部を切り取り、
日立製作所(株)製走査形電子顕微鏡S−2400を用
い、倍率1000倍および5000倍で観察した。観察
した形態写真から日本アビオニクス(株)製SPICC
AII型画像解析装置を用いて数平均分散粒径Dnを次式
により求めた。
【0089】Dn=Σnidi/Σni 外観は良好なものを〇、これより悪いが実用上問題ない
ものを△、疎面で実用上問題があるものを×とした。こ
れらの結果を表1に示した。
【0090】<実施例2〜21>表1〜3に示す配合で
ドライブレンドし、実施例1と同様に実施した。これら
の結果を表1〜3に示した。
【0091】<比較例1〜10>表1〜3に示す配合で
ドライブレンドし、実施例1と同様に実施した。これら
の結果を表1〜5に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
【発明の効果】カルボキシル基含有ポリフェニレンスル
フィド樹脂とエポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
脂とエポキシ効果促進触媒を用いることによりポリフェ
ニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルの相溶性を
極めて良好にすることができたので、成形品の外観と衝
撃強度を顕著に改善せしめた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成分(a) 分子中にカルボキシル基と、
    メルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物から
    選ばれた変性剤でポリフェニレンスルフィドを変性して
    得られるカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド
    樹脂 成分(b) エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
    脂 成分(c) エポキシ硬化促進触媒 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
    0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
    分(c)が0.01〜10重量部の割合で配合されてな
    る熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】成分(a) 分子中にカルボキシル基と、
    メルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物から
    選ばれた変性剤でポリフェニレンスルフィドを変性して
    得られるカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド
    樹脂 成分(b) エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹
    脂 成分(c) エポキシ硬化促進触媒 成分(d) 熱可塑性エラストマー 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
    0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
    分(c)が0.01〜10重量部、成分(d)が2〜4
    0重量部の割合で配合されてなる熱可塑性樹脂組成物。
JP32785892A 1992-12-08 1992-12-08 熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH06172489A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32785892A JPH06172489A (ja) 1992-12-08 1992-12-08 熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32785892A JPH06172489A (ja) 1992-12-08 1992-12-08 熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06172489A true JPH06172489A (ja) 1994-06-21

Family

ID=18203763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32785892A Pending JPH06172489A (ja) 1992-12-08 1992-12-08 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06172489A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001278951A (ja) * 2000-03-31 2001-10-10 Dainippon Ink & Chem Inc ポリアリーレンスルフィド組成物
JP2013112783A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Dic Corp 樹脂組成物、その製造方法、成形品およびその製造方法
WO2014156946A1 (ja) 2013-03-25 2014-10-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法およびポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
WO2015020143A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品
WO2015030136A1 (ja) * 2013-08-30 2015-03-05 Dic株式会社 水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管
JPWO2015020142A1 (ja) * 2013-08-09 2017-03-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品
JP2019137868A (ja) * 2013-09-26 2019-08-22 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品、並びに表面実装電子部品
KR20240013856A (ko) * 2013-10-01 2024-01-30 디아이씨 가부시끼가이샤 폴리아릴렌설피드 수지 조성물 및 그 성형품, 그리고 전기 자동차 부품

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001278951A (ja) * 2000-03-31 2001-10-10 Dainippon Ink & Chem Inc ポリアリーレンスルフィド組成物
JP2013112783A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Dic Corp 樹脂組成物、その製造方法、成形品およびその製造方法
WO2014156946A1 (ja) 2013-03-25 2014-10-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法およびポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
EP4029900A1 (en) * 2013-03-25 2022-07-20 DIC Corporation Method for producing polyarylene sulfide resin and polyarylene sulfide resin composition
EP2980121B1 (en) * 2013-03-25 2022-04-13 DIC Corporation Method for producing polyarylene sulfide resin, and polyarylene sulfide resin composition
JPWO2015020143A1 (ja) * 2013-08-09 2017-03-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品
WO2015020143A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品
JPWO2015020142A1 (ja) * 2013-08-09 2017-03-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品
WO2015030136A1 (ja) * 2013-08-30 2015-03-05 Dic株式会社 水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管
KR20220000985A (ko) * 2013-08-30 2022-01-04 디아이씨 가부시끼가이샤 워터 섹션 부품용 수지 조성물 및 유체용 배관
JPWO2015030136A1 (ja) * 2013-08-30 2017-03-02 Dic株式会社 水回り部品用樹脂組成物及び流体用配管
CN105492538A (zh) * 2013-08-30 2016-04-13 Dic株式会社 用水部件用树脂组合物及流体用配管
JP2019137868A (ja) * 2013-09-26 2019-08-22 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品、並びに表面実装電子部品
CN110283457A (zh) * 2013-09-26 2019-09-27 Dic株式会社 聚芳硫醚树脂组合物及其成形品、以及表面安装电子部件
JP2021113319A (ja) * 2013-09-26 2021-08-05 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形品、並びに表面実装電子部品
KR20240013856A (ko) * 2013-10-01 2024-01-30 디아이씨 가부시끼가이샤 폴리아릴렌설피드 수지 조성물 및 그 성형품, 그리고 전기 자동차 부품

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1242504B1 (en) Synthesis of poly(arylene ether)-poly(organosiloxane) copolymers
JPH0733974A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US8710119B2 (en) Process for producing polyphenylene ether composition
EP0549977A1 (en) Carboxyl-containing polyphenylene sulfide, process for producing the same, and resin composition containing the same
JPH06172489A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
EP0472960B1 (en) Thermoplastic resin composition
CN108084691B (zh) 树脂组合物
JP3361639B2 (ja) 耐光性樹脂組成物
JPH0733973A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0748505A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH06336551A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH07145310A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH05287202A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH07278427A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0718182A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0733976A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH07145309A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH06336549A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0733975A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0733972A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH093317A (ja) ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物
JPH06228429A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0726142A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH06336548A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH05279568A (ja) 熱可塑性樹脂組成物