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JPH06143722A - 回転検出装置及び記録装置 - Google Patents

回転検出装置及び記録装置

Info

Publication number
JPH06143722A
JPH06143722A JP32626192A JP32626192A JPH06143722A JP H06143722 A JPH06143722 A JP H06143722A JP 32626192 A JP32626192 A JP 32626192A JP 32626192 A JP32626192 A JP 32626192A JP H06143722 A JPH06143722 A JP H06143722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
sheet
ink sheet
roller
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32626192A
Other languages
English (en)
Inventor
Keizo Sasai
敬三 笹井
Masakatsu Iwata
正勝 岩田
Hirohisa Sawada
宏久 沢田
Fumihiko Nakamura
中村  文彦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP32626192A priority Critical patent/JPH06143722A/ja
Publication of JPH06143722A publication Critical patent/JPH06143722A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転体の回転方向を検出でき、低コストで制
御が容易な回転検出装置を提供すること。 【構成】 回転体の回転方向に追従して回動アームが回
転し、該回動アームの位置を検出手段によって検出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録紙やフィルム等のシ
ート材を搬送するローラー、モーター,ギヤ等の回転体
の回転状態を検出する回転検出装置、及び該回転検出装
置を有する記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来、記録紙やフィルム等のシート材を搬送する
ローラー、モーター,ギヤ等の回転体の回転状態を検出
する回転検出装置が様々な装置に組み込まれている。例
えば、図18に示すプリンタに組み込んだ例を参照して説
明する。111は熱により発色する感熱紙を巻回した記
録紙である。記録紙111は、図中時計回り方向に回転
するプラテンローラ112によって搬送されつつ、記録
ヘッド113によって画像記録が行われ、更にカッター
114によって頁単位る切断された後、排出される。1
15はジャム(紙詰まり)センサーであって、記録紙1
11の先端及び後端を検出するものである。
【0003】上記ジャムセンサー115は、記録途中で
搬送不良が生じた場合(例えば破線のようにプラテンロ
ーラ112に記録紙111が巻き付いた場合)、1頁分
の記録を終了して排出するまで不良を検出することがで
きない。この間プラテンローラローラ112は回転不良
状態が続くため、記録ヘッド113の破損、モーターの
異常発熱等の重大なトラブルを生ずるおそれがある。
【0004】この対策として従来は、円周方向にスリッ
ト116aを穿設したスリット円板116を上記プラテ
ンローラ112と同軸に設けており、該プラテンローラ
112と一体的に回転するように構成されている。11
7はセンサーであって、上記スリット円板116の円板
部116bを光照射してその反射により得られる出力差
をパルスとして制御部に取り込むことで、プラテンロー
ラ112の回転状態を検出していた。
【0005】(2)また今日情報処理システムの発達に
伴い、種々の情報処理機器が開発され実用化されてい
る。これらの機器のうち、ファクシミリ装置やプリンタ
等の記録装置は、オフィスのみならず一般過程において
も広く使用されるようになっている。
【0006】これら記録装置にあっては、小型化を容易
にするために、加熱により発色する感熱シートを使用し
た所謂感熱記録方式が一般的に使用されているが、近年
ではインクシートを使用した所謂熱転写記録方式を使用
した記録装置も開発され実用化されている。例えば図19
に示すファクシミリ装置の記録部を参照して説明する。
【0007】図19に示すようにベースフィルムにインク
を塗布したインクシート121を供給リール122a及
び巻取リール122bに巻き付けて装置本体に装填す
る。上記供給リール122aに巻き付けられたインクシ
ート121は、巻取リール122bに巻き取られるよう
に搬送される。またロール状に巻き付けられた記録シー
ト125は、プラテンローラ126によって搬送され、
記録ヘッド124によってインクシート121と記録シ
ート125が重畳して押圧されるように構成されてい
る。記録に際しては、前記インクシート121を、回転
駆動する搬送ローラ123aとピンチローラ123bの
協働作用により搬送すると共に、記録シート125をプ
ラテンローラ126で搬送する。そして記録ヘッド12
4によって画像情報に応じて記録シート125に画像が
記録され、記録終了後の記録シート125はカッター1
27で頁単位に切断され排出される。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
(1)しかしながら、上記従来の回転検出装置は、以下
に述べる欠点を有している。 制御が複雑である。正常回転時でも、フォトセンサー
の出力は変化するため、制御部は取り込んだパルスのタ
イミングを常に計測している必要があり、回転不良が生
じた場合には、そのパルスタイミングを正常回転時のパ
ルスタイミングと比較することでようやく不良と認識す
ることができ、回転不良が生じてからその検出までに時
間がかかってしまう。 コストが高い。検出精度を高めるためには、スリット
円板の切欠の数を増やしていくことが必要であり、加工
が難しくコストが高くなる。 回転方向を検出できない。回転不良状態が正常時の回
転方向(以下、『正転』と言う)とは、反対方向(以
下、『逆転』と言う)に回転した場合、パルスタイミン
グは正常時も不良時も同一であり不良検出が不可能であ
る。特に回転体をステップモーターで駆動した場合、回
転不良時の脱調現象により逆転が生じ易い。これによっ
て記録紙の逆搬送ジャムのみならず種々のトラブルを引
き起こすおそれがある。例えば、ファクシミリ装置で、
1つのモーターとクラッチを用いて正転でスキャナロー
ラーを、逆転でカッターを駆動させる構成においては、
スキャナローラーの回転不良によるモーターの脱調逆転
がカッターを動作させてしまい、異常切断という二重の
トラブルを生ずる。よって、回転体の逆転は即座に検出
する必要があった。
【0009】(2)また前記熱転写記録装置において
は、記録ヘッド124の誤動作等によりインクが過剰溶
融した場合等には、インクシート121が記録シート1
25に重畳してインクを転写した後、剥離できずに接着
する『貼り付き』現象が生ずるおそれがある。例えば図
に示すように、インクシート121を記録シート12
5と同一方向に搬送する場合には、貼り付きを生じたイ
ンクシート121は点線に示すように記録シート125
と共に搬送され、カッター127によって切断されてし
まう。
【0010】またインクシート121を記録シート12
5と反対方向に搬送する場合には、記録シート125が
インクシート121と共に戻され、巻き取られているイ
ンクシート125を破損してしまうおそれがある。また
従来の記録装置はこのような貼り付き現象を検出するこ
とが不可能であり、こうしたトラブルが生じた場合には
装置本体が修復不可能となるおそれがあった。
【0011】本発明の目的は、上記従来技術の課題
(1)を解決し、回転体の回転方向を検出でき、低コス
トで制御が容易な回転検出装置を提供することにある。
【0012】また本発明の目的は、上記従来技術の課題
(2)を解決し、インクシートと被記録材との貼り付き
現象を防止して装置の信頼性,安全性を向上させた記録
装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題
(1)を解決し、以下に述べる実施例に適用される代表
的な手段は、回転体と、前記回転体が正転方向から逆転
方向へ回転を始めたとき、前記回転体の回転に追従して
前記逆転方向へ所定量回動可能な回動部材と、前記回動
部材の回動位置を検出するための検出手段と、を有する
ことを特徴とする。
【0014】上記従来技術の課題(2)を解決し、以下
に述べる実施例に適用される代表的な手段は、被記録材
を搬送するための被記録材搬送手段と、インクシートを
搬送するためのインクシート搬送手段と、前記インクシ
ートに作用して前記被記録材に画像を記録する記録手段
と、前記被記録材搬送手段又はインクシート搬送手段の
少なくとも一方に設けられた前記回転検出装置と、前記
回転検出装置の出力信号に応じて前記被記録材搬送手段
及びインクシート搬送手段の駆動を夫々制御する制御手
段と、を有することを特徴とする。
【0015】
【作用】上記手段(1)によれば、回転体の回転方向に
追従して回動アームが回転し、該回動アームの位置を検
出手段によって検出する。
【0016】また上記手段(2)によれば、被記録材搬
送手段又はインクシート搬送手段の少なくとも一方に受
けた回転検出装置によって被記録材とインクシートの貼
り付きを検出すると、制御手段によって前記被記録材搬
送手段及びインクシート搬送手段の駆動を夫々制御す
る。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して前記手段を適用した記
録装置の一実施例について説明する。
【0018】〔第一実施例〕この実施例に係る記録装置
Bはファクシミリ装置の記録系として構成されており、
一般に熱転写記録装置と称されるものである。図1は前
記ファクシミリ装置の全体構造説明図、図2はその外観
斜視図、図3はインクシートの断面説明図、図4はイン
クシートカートリッジの展開説明図、図5は供給リール
側の滑りクラッチの構成説明図、図6は巻取リール側の
滑りクラッチの構成説明図、図7はインクシート搬送経
路の説明図、図8はサーマルヘッドの構成説明図、図9
は駆動伝達構成の説明図、図10及び図11は回転検出部の
詳細図、図12は記録制御系のブロック図、図13は制御系
と記録系との電気的接続を示す説明図、図14は記録動作
を示すタイムチャート、図15は回転検出部の動作を示す
タイムチャートである。
【0019】(ファクシミリ全体説明)先ず、図1及び
図2によりファクシミリ装置の全体構成を説明する。こ
のファクシミリ装置は図1に示すように記録シートを供
給する給紙系Aと、記録装置としての記録系Bと、原稿
に記載された画像を読み取るための読取系Cと、操作部
Dと、装填されたインクシートカートリッジEとによっ
て構成されている。
【0020】給紙系Aは、給紙カセット1に載置された
記録シート2を、給紙ローラ3とこれに圧接する給紙片
4とからなる給紙部で一枚ずつ分離給送し、その記録シ
ート2をフィードローラ対5a,5bによって搬送し、
後述する記録系Bに供給する。また、記録シート2の搬
送経路はガイド6a,6bによって記録シート2の上下
を裏返す半円形の経路を形成している。更に、記録系B
の手前近傍には、記録シート2の先端位置を検出するフ
ォトセンサ,マイクロスイッチ等の記録シート先端セン
サ7が設けられている。前記給紙カセット1は装置本体
8に対して着脱可能に設けられており、また給紙ローラ
3、給紙片4、フィードローラ対5a,5b、ガイド6
a,6b、記録シート先端センサ7は夫々装置本体8に
設けられている。
【0021】記録系Bは他機から送信された画信号、或
いは後述する読取系Cから転送された画信号に応じて、
給紙系Aにより供給された記録シート2に画像を記録す
るものである。即ち、重合した記録シート2とインクシ
ート9とを後述する記録手段10を構成する記録ヘッド10
aによってプラテンローラ10b側に押圧し、プラテンロ
ーラ10bを図1の矢印方向へ駆動回転させることで記録
シート2を矢印a方向へ搬送すると共に、後述する駆動
機構によってインクシート9を矢印b方向へ搬送する。
前記記録シート2及びインクシート9の搬送と同期して
記録ヘッド10aを画信号に応じて発熱させてインクシー
ト9に塗布したインクを溶融(昇華を含む、以下同じ)
させ、溶融したインクを記録シート2に転写して画像を
形成するものである。
【0022】そして所定の画像を形成した記録シート2
を更に矢印a方向に搬送し、排出ガイド11a,11bによ
って形成された経路を通り、排出ローラ対12a,12bに
よって搬送して装置外へ排出する。また、排出ローラ対
12a,12b手前近傍には記録シート2の通過を検出する
フォトセンサ,マイクロスイッチ等の記録シート排出セ
ンサ13が設けられている。また前記プラテンローラ10b
の端部には、後述する回転検出部Fが設けられている。
前記プラテンローラ10b、排出ガイド11a,11b、排出
ローラ対12a,12b、記録シート排出センサ13は夫々装
置本体8に設けられている。
【0023】またインクシート9は、本実施例では後述
する構成よりなるインクシートカートリッジEに収納さ
れており、このインクシートカートリッジEは装置本体
8の所定位置に装填され、また前記記録ヘッド10aは回
動軸14を介して回動可能に構成された蓋体としての記録
カバー15の所定位置に設けられている。
【0024】一方、読取系Cは原稿16に光を照射してそ
の反射光を電気信号に変換し、この信号を操作モードに
応じて他機に送信し、或いは自己の記録系Bに転送する
ものである。即ち、記録カバー15の上面に形成された原
稿載置台15aに原稿16を複数枚載置し、この原稿16を予
備搬送ローラ17a及び押圧片17bで予備搬送すると共
に、分離ローラ18a及びこれに圧接する圧接片18bによ
って一枚ずつ分離給送し、その原稿16を搬送ローラ対19
a,19b及び排出ローラ対20a,20bによって搬送して
排出トレイ21へ排出するように構成している。そして前
記原稿16が搬送される間にコンタクトセンサ等の光電変
換素子22で画情報を読み取り、その画信号をコピーモー
ドの場合には自己の記録系に転送し、送信モードの場合
は他機の記録系に送信するように構成している。
【0025】操作部Dは、図2に示すように前記モード
切り換え操作、コピー操作、送信操作等の操作を行うた
めのパネルであり、各種操作に応じたキーが設けられて
いる。この操作部Dは、読取系Cに於ける原稿搬送機構
の上部に設けられており、装置本体8に対して回動可能
に構成されている。尚、操作部Dの一方端側には送信・
受信を行う電話機のハンドセット23が装備されている。
尚、図1に於いて、24a,24bは電装基板である。
【0026】次に上記給紙系A,記録系B及びインクシ
ートカートリッジE等の各部の構成について具体的に説
明する。
【0027】(給紙カセット)給紙カセット1は、複数
枚の記録シート2を収容する箱形状をしたオケ1aと中
板1b、上ガイド1c、フタ1dとからなり、記録シー
ト2は中板1bと上ガイド1cとの間に所定量載置され
る。中板1bは載置された記録シート2の下面に一端を
支点として回動自在に設けられており、後述する押し上
げ板25によって押し上げられ、最上部の記録シート2を
給紙ローラ3に圧接させるものである。また、上ガイド
1cは所定位置で固定されており、最上部の記録シート
2を常に所定位置に保っている。
【0028】前記押し上げ板25は、装置本体8に回動自
在に支持されており、更に図示しないバネ等の力により
中板1bを押し上げる方向に回転力が付与されている。
従って、載置された記録シート2の枚数が少なくなるに
従って、押し上げ板25の回転力により中板1bが回動
し、最上部の記録シート2が順次搬送される。フタ1d
はオケ1aの上面に着脱可能に設けられており、記録シ
ート2へゴミ付着を防止すると共に、記録が終了し装置
外へ排出された記録シート2を載置するトレイとしても
機能する。図2に示す如く、フタ1dの端部及び側部は
記録シート2の載置を安定させるための傾斜がつけられ
ており、またその中央部は給紙カセット1の着脱の際に
オケ1aを持ち易くするために切り欠きが設けられてい
る。
【0029】また、給紙カセット1は装置本体8に対し
て着脱可能に設けられており、図1の左方向へ引き出す
ことで装置本体8から外れ、開口部8aから図1の右方
向へ挿入しつつガイド部8b,8cとで案内され、装置
本体8の所定位置(図1に示す位置)へ装着される。
【0030】(給紙部)給紙ローラ3はシリコンゴム等
の摩擦係数の高い材質からなるローラであって、円弧部
3aと平面部3bとを形成してなり、図1の矢印方向に
回転することで給紙カセット1内の最上部の記録シート
2を繰り出す。また給紙ローラ3の両側端には、円弧部
3aと略同じ外径を持つ円形のコロ(図示せず)が設け
られている。給紙片4は、コルクを含有したウレタンゴ
ム等のシート部4aをアーム部4bで回動可能に支持し
ており、図示しないバネ等により給紙ローラ3方向へ押
圧されている。従って、円弧部3aがシート部4aと対
向する位置にある時は、給紙片4は給紙ローラ3の円弧
部3aと圧接している。一方、平面部3bがシート部4
aと対向する位置にある時は、給紙片4は前述した給紙
ローラ3a両端の円形コロ(図示せず)に圧接してお
り、給紙ローラ3と給紙片4との間には記録シート2が
通過する空間が形成される。
【0031】記録待機状態に於いて給紙ローラ3は、そ
の平面部3bが記録シート2及び給紙片4に対向した位
置(図1に示す位置、以下給紙待機位置という)にあ
る。後述する駆動源により給紙ローラ3が図1の矢印方
向に回転すると、その円弧部3aが記録シート2に接す
ることで最上部の記録シート2を一枚繰り出す。この
時、複数枚の記録シート2が繰り出された場合、下部の
記録シート2はシート部4aとの接触摩擦で搬送を阻止
されるため、最上部の記録シート2のみ一枚がフィード
ローラ対5a,5bへと送られ、以後記録シート2はフ
ィードローラ対5a,5bにより搬送される。給紙ロー
ラ3は電磁クラッチ等のクラッチ手段によって1回転
し、その後前述した給紙待機位置で回転を停止する。そ
のため、記録シート2は給紙ローラ3と接することな
く、フィードローラ対5a,5bにより記録系Bへと搬
送されるのである。
【0032】(記録シート)記録シート2としては、普
通紙やプラスチックシート等及びその他の材質であっ
て、インクを転写し得るものを用いることが可能であ
る。本実施例では、B4サイズ又はA4サイズにカット
された普通紙を記録シート2として用いる。そして記録
シート2を収納した給紙カセット1は装置本体8の所定
位置(図1に示す位置)に収納している。また本実施例
ではランニングコストの低減を図るために記録シート2
の搬送速度よりも、インクシート9の搬送速度を遅くし
て記録を行う所謂マルチプリント方式を採用している。
このマルチプリント方式は、記録時における記録シート
2の搬送長さLよりも、インクシート9の搬送長さlを
短く、(L/l=n>1)として記録を行うものであ
る。このようにすると、記録シート2とインクシート9
の搬送長さを同じにした従来の記録方式(L/l=1)
に比べてインクシート9の使用効率をn倍にすることが
出来る。
【0033】(インクシート)インクシート9は前述し
た如くマルチプリントを行うために、同一部分でn回分
のインク転写が可能となるように構成している。そのた
め、本実施例では図3に示すように第1層の耐熱コート
層9a、第2層のベースフィルム層9b、第3層のイン
ク層9c、第4層のトップコーティング層9dの4層で
構成してなる。
【0034】前記耐熱コート層9aはサーマルヘッドで
ある記録ヘッド10aの熱からベースフィルム層9bを保
護するものである。この耐熱コート層9aは同一箇所に
nライン分の熱エネルギーが印加される可能性のある
(発熱情報が連続したとき)マルチプリントには好適で
あるが、この耐熱コート層9aを設けるか否かは記録方
式に応じて適宜選択すれば良い。尚、ポリエステルフィ
ルムのように比較的耐熱性の低いベースフィルムには前
記耐熱コート層9aを設けることは有効である。
【0035】第2層のベースフィルム層9bはインクシ
ート9の支持体となるものであり、マルチプリントの場
合、同一箇所に何回も熱エネルギーが印加されるため、
耐熱性の高い芳香族ポリアミドフィルムやコンデンサ紙
が有利であるが、従来のポリエステルフィルムでも使用
に耐える。これらの厚さは、媒体という役割からなるべ
く薄い方が印字品質の点で有利となるが、強度の点を加
味しなければならず、大体3μm〜8μm程度が好まし
い。
【0036】また第3層のインク層9cは記録シート2
にn回分の転写が可能な量のインクを含有した層であ
る。このインク成分は、接着剤としてのEVA等の樹
脂、着色のためのカーボンブラックやニグロシン染料、
バインディング材としてのカルナバワックス、パラフィ
ンワックス等を主成分として同一箇所でn回の使用に耐
えるように配合されている。このインク層9cの塗布量
によって感度や濃度が異なり、これは任意に選択すれば
良いが、4g/m2 〜9g/m2 程度が好ましい。
【0037】また第4層のトップコーティング層9dは
記録しない部分で記録シート2に第3層のインク層9c
が圧力転写されるのを防止するためのものであり、一般
に透明なワックス等で構成される。これにより、非記録
部分で記録シート2に圧力転写されるのは透明なトップ
コーティング層9dだけとなり、記録シート2の地汚れ
が防止されるものである。
【0038】尚、インクシート9の構成はこの実施例の
ものに限定されるものでなく、例えば支持体となるベー
ス層及びベース層の片側に設けられたインクが含有され
た多孔性インク保持層とからなるものでも良く、またベ
ースフィルム上に微細多孔質網状構造を有する耐熱性イ
ンク層を設け、そのインク層内にインクを含有させたも
のでも良い。またベースフィルム層9bの材質として
は、例えばポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル、
ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース、ナイロン等
からなるフィルム、或いは紙であっても良い。更に耐熱
コート層9aは必ずしも必要でないが、その材質として
は、例えばシリコン樹脂やエポキシ樹脂、フッ素樹脂、
エトロセルロース等であっても良い。また熱昇華性イン
クを有するインクシート9の一例としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族
ポリアミドフィルム等で形成された基材上に、グアナミ
ン系樹脂とフッ素系樹脂で形成したスペーサ粒子及び染
料を含有する色材層を設けたインクシートが挙げられ
る。本実施例にあっては前記インクシート9の取り扱い
を容易にするために、これをインクシートカートリッジ
Eに装填している。
【0039】{インクシートカートリッジ}インクシー
トカートリッジEの構成は、図4に示すように第一巻回
部材となる供給リール26及び第二巻回部材となる巻取リ
ール27及びインクシート搬送手段となるキャプスタンロ
ーラ32を枠体28の所定位置に平行に且つ回動可能に装着
すると共に、供給リール26に巻き付けたインクシート9
を巻取リール27側に張り渡すことによってインクシート
9を装填している。このインクシートカートリッジEを
用いることによって、記録系Bに対するインクシート9
を極めて簡単に、且つ確実に安定した状態で装填し得る
ものである。前記インクシートカートリッジEはインク
シート9が使い終わると、そのインクシート9と共に廃
棄される。即ち、インクシートカートリッジEは使い捨
てとなるために、安価に提供し得ることが要求される。
次に前記インクシートカートリッジEの各部の構成につ
いて具体的に説明する。
【0040】(枠体)本実施例に於ける枠体28は第一筐
体28a,第二筐体28bが超音波溶着されている。即ち、
図4に示すように第一筐体28aと第二筐体28bとの連結
部の溶着部28c1,28c2を超音波溶着し、第一筐体28aと
該筐体28aの略先端及び側端に形成した溶着部28a1,28
a4と、第二筐体28bの略先端及び側端に形成した溶着部
28b1,28b6とを超音波溶着することによって構成してい
る。前記溶着部28a1,28b1及び28c1,28c2は全長にわた
って形成しても良く、インクシート幅方向へ所定の長さ
を持って断続的に形成しても良い。前記枠体28の成形材
料としては、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等の樹脂
を用いることが可能である。前記枠体28に於いて、第一
筐体28aの略中央には図4に示すように記録ヘッド10a
を挿入するための窓28dが形成されており、第二筐体28
bの略中央にはプラテンローラ10bを挿入するための窓
28eが形成されており、この窓28eに連続してプラテン
ローラ10bの軸部10b1(図1参照)を逃げるための切欠
28e1が形成されている。
【0041】また前記第一筐体28a及び第二筐体28bの
両側面には、夫々側板28a2,28b2が起立形成されてお
り、溶着部28c1,28c2側及び開放側は夫々1/4円の曲
面が形成されている。そして第一筐体28aの開放側曲面
端部に形成された溶着部28a1には嵌入孔28a3が穿孔さ
れ、第二筐体28bの開放側曲面端部に形成された溶着部
28b1には前記嵌入孔28a3に嵌入する嵌入突起28b3が形成
されている。更に第二筐体28bの開放側曲面には、イン
クシートカートリッジEを装置本体8に装着した際に、
該本体8に設けた図示しないコ字形溝と係合する係止突
起28b4が形成されている。前記第二筐体28bの側板28b2
の両側所定位置には、インクシートカートリッジEを装
置本体8に装着する際のガイドとなるガイドピン28fが
形成されている。
【0042】前記側板28a2,28b2の所定位置には、供給
リール26の一方端に装着した軸受29aと嵌合するU溝28
g1と、後述するように供給リール26の他方端に取り付け
る滑りクラッチ30の軸30aを固定支持するための角溝28
g2が形成されている。また側板28a2,28b2には巻取リー
ル28の一方端に装着した軸受29bと嵌合するU溝28g3
と、後述するように巻取リール27の他方端に取り付ける
滑りクラッチ31の軸部31aが嵌合するU溝28g4が形成さ
れている。更に前記側板28a2,28b2には後述するインク
シート搬送部材となるキャプスタンローラ32の軸受32a
が嵌合するU溝28g5,28g6が形成されている。更に第二
筐体28bには巻取リール27のリールギア33を露出するた
めの開口28hが形成されている。
【0043】(供給リール及び滑りクラッチ)供給リー
ル26はインクシート9を巻き付けるためのものである。
これは図4に示すようにインクシート9の幅寸法と略同
一の長さを有するリール軸26aの両端にフランジ26b1,
26b2が設けられ、一方のフランジ26b1側には軸受29aが
装填され、他方のフランジ26b2側にはテンション付与手
段である滑りクラッチ30が取り付けられている。前記滑
りクラッチ30は供給リール26から引き出されるインクシ
ート9にバックテンションを付与するためのものであ
る。この滑りクラッチ30の構成は、図5(a)の分解図
及び図5(b)の断面図に示すように二方取りされた端
部を有する軸30aにスプリングバネ30bが締めつけるよ
うに取り付けられ、このバネ30bにフック部30b1が形成
されている。そして前記バネ30bを取り付けた軸30aを
鍔30cの貫通孔30c1に挿通し、Eリング30dを軸30aの
先端に取り付けて抜け止めする。このとき前記スプリン
グバネ30bのフック部30b1が貫通孔30c1に形成した凹部
30c2に係止するように取り付ける。更に前記鍔30cを中
空状のリール軸26aに嵌入し、鍔30cの外周部に突設し
た凸部30c3をリール軸26aの端部に形成したコ字形溝26
cに嵌入係止して取り付ける。
【0044】前記構成に於いて、供給リール26を枠体28
に取り付けた状態でインクシート9が引き出されると、
供給リール26が図5(a)の矢印c方向(インクシート
9を繰り出す方向)に回転する。このとき軸30aは枠体
28の角溝28g2に嵌入して回転不能状態にあるために、軸
30aを締めつけているスプリングバネ30bはゆるみ方向
に回転力を受け、軸30aの外周とスプリングバネ30bの
内周との間に摩擦負荷が発生する。この摩擦負荷はイン
クシート9が搬送力を受け、供給リール26が所定トルク
以上の回転力を受けると、スプリングバネ30bが軸30a
の外周を前記所定トルクを受けながら滑る。従って、供
給リール26からインクシート9を引き出す場合には常に
一定の負荷がかかり、これによってインクシート9にバ
ックテンションが付与されるものである。尚、前記スプ
リングバネ30bのゆるみトルク負荷は値が安定している
ために、インクシート9には安定したバックテンション
が付与されるものである。
【0045】(巻取リール及び滑りクラッチ)次に巻取
リール27は記録に際して供給リール26から引き出された
インクシート9を巻き取るものである。これは図4に示
すように前述した供給リール26と同様にインクシート9
の幅寸法と略同一の長さを有するリール軸27aの両端に
フランジ27b1,27b2が設けられ、一方のフランジ27b1側
には軸受29bが装填され、他方のフランジ27b2側には回
転力伝達制限手段(トルク伝達手段)である滑りクラッ
チ31が取り付けられている。前記滑りクラッチ31は巻取
リール27に一定の回転トルクを付与するためのものであ
る。この滑りクラッチ31の構成は、図6(a)の分解図
及び図6(b)の断面図に示すようにDカット嵌合部31
a1を有する軸部31aにスプリングバネ31bが締めつける
ように取り付けられ、このバネ31bにフック部31b1が形
成されている。そして前記バネ31bを取り付けた軸部31
aにリールギア33を遊嵌すると共に、この軸部31aを鍔
31cの貫通孔31c1に挿通し、Eリング31d,31eを軸部
31aの端部に取り付けて抜け止めする。このとき前記ス
プリングバネ31bのフック部31b1がリールギア33に形成
した凹部33aに係止するように取り付ける。更に前記鍔
31cを中空状のリール軸27aに嵌入し、鍔31cの外周部
に突設した凸部31c2をリール軸27aの端部に形成したコ
字形溝27cに嵌入係止して取り付ける。
【0046】前記構成に於いて、後述する駆動系によっ
てリールギア33が図6(a)の矢印d方向(巻取リール
27がインクシート9を巻き取る方向)に回転すると、軸
部31aを締めつけているスプリングバネ31bはゆるみ方
向に回転力を受け、軸部31aの外周とスプリングバネ31
bの内周との間に摩擦負荷が発生する。この摩擦負荷を
受けて巻取リール27が図6(a)の矢印d方向に回転し
てインクシート9を巻き取るものである。前記スプリン
グバネ31bは所定以上のトルクを受けると軸部31aの外
周を前記所定トルクを付与しながら滑る。従って、巻取
リール27には常に一定のトルクで回転力が付与されるも
のである。尚、前記スプリングバネ31bのゆるみトルク
負荷は値が安定していることは供給リール26の滑りクラ
ッチ30の場合と同様である。
【0047】本実施例にあっては供給リール26に滑りク
ラッチ30を内蔵し、また巻取リール27に滑りクラッチ31
を内蔵することにより、前記滑りクラッチ30,31を設け
るための特別なスペースが不要となる。このため駆動系
の設計に於けるギア等の配置を容易なものとし、組立性
の向上が図れるものである。また前記クラッチ30,31は
インクシートカートリッジEと共に交換されるため、イ
ンクシート一巻分の耐久性があれば足りることになる。
更に前記クラッチ30,31は構造が簡単であるために、市
販されているパウダークラッチと比較して安価に製造し
得る等の利点がある。
【0048】ここで本実施例にあっては前記巻取リール
27にインクシート9を巻き取る場合、インクシート9の
端部であってベースフィルム9b側をテープ等によって
巻取リール27のリール軸27a外周面に貼り付け、インク
シート9のインク塗布面側が巻取ロールの内側を向くよ
うに巻取リール27を回転させるものである。
【0049】(キャプスタンローラ)次にキャプスタン
ローラ32はインクシート9に搬送力を付与するインクシ
ート搬送手段であり、本実施例にあっては図4に示すよ
うにインクシートカートリッジE内に収納されている。
このキャプスタンローラ32は金属材料で構成された芯部
32bの外周面に、液状シリコンゴム等のゴム部32cを吹
きつけ塗装し、表面状態は鏡面仕上げとなっており、且
つ芯部32bの端部にギア32dを固着して構成している。
前記キャプスタンローラ32は枠体28のU溝28g5,28g6に
軸受32aを嵌入して取り付けるが、枠体28内に収納する
インクシート9のベースフィルム9b面側に位置するよ
うに取り付ける。そしてインクシートカートリッジEを
記録系Bに装填して記録を行う場合、図1に示すように
インクシート9の記録搬送方向(図1の矢印b方向)に
於いて、記録手段10よりも下流側であって巻取リール27
よりも上流側でキャプスタンローラ32がインクシート9
のベースフィルム層9b側に接触するように構成してい
る。
【0050】記録に際してインクシート9は図1の矢印
方向に回転するキャプスタンローラ32によって搬送され
るものである。本実施例のように記録シート2とインク
シート9とを逆方向へ搬送しながら記録を行うマルチプ
リント方式にあっては、インクシート9を搬送する力と
して最大15kg程度の力が必要とされている。そのた
め、本実施例ではキャプスタンローラ32とインクシート
9のベースフィルム9b間の摩擦係数が10〜20の範囲に
なるように設定すると、両者間でのスリップを防止する
ことが出来る。尚、本実施例では前記摩擦係数を約14程
度に設定している。
【0051】また図7に示すようにキャプスタンローラ
32に対するインクシート9の巻付角θが大きい程キャプ
スタンローラ32とインクシート9との間の接触面積が増
すため、前記キャプスタンローラ32にスリップが生じ難
くなる。そこで本実施例では巻取リール27にインクシー
ト9が全く巻き付いていない状態(巻取ロール径最小)
で前記巻付角θが約30°となるように設定している。そ
して図1からも明らかなようにインクシート9のインク
面が内側に向かって巻き取られ、且つキャプスタンロー
ラ32がベースフィルム面側に接触するように位置してい
るために、インクシート9が巻取リール27に巻き取ら
れ、巻取ロール径が大きくなると、前記巻付角θも大き
くなる。従って、インクシート9が巻取リール27に巻き
取られる程にキャプスタンローラ32によって確実にイン
クシート搬送力が付与されるものである。前記巻付角θ
は、基本的にはキャプスタンローラ32が接触していれば
良いのであるが、前記装置本体8及びインクシートカー
トリッジE等の寸法精度のバラツキを考慮すれば、キャ
プスタンローラ径にもよるが、5°≦θ≦ 180°の範囲
に設定すると良い。尚、本実施例では巻取ロール径の変
化によって前記巻付角θが30°〜90°の範囲で変化する
ように構成している。
【0052】前記の如くインクシート9に対して高摩擦
係数のキャプスタンローラ32が所定の巻付角θで巻き付
くようにすることにより、インクシート9への搬送力付
与をキャプスタンローラ32のみで行うことが可能とな
り、従来の如きピンチローラが不要となる。尚、前記イ
ンクシート9の搬送精度を高めるためにはキャプスタン
ローラ32のゴム部32cの変形が少ない方が良い。そのた
め本実施例では前記ゴム部32cの厚さが約75μm程度と
なるように薄く構成している。これによりキャプスタン
ローラ32のローラ部が変形し難くなり、インクシート9
の搬送精度が高まるものである。
【0053】更に本実施例に於いてはキャプスタンロー
ラ32をインクシートカートリッジE内に設けたために、
該カートリッジEを交換するとキャプスタンローラ32も
交換される。従って、キャプスタンローラ32の耐久性は
インクシート一巻分で良いため、キャプスタンローラ32
の製造が容易となる。またキャプスタンローラ32を一定
速度で回転した場合、インクシート9の搬送量はキャプ
スタンローラ32のローラ径に依存する。従って、特にマ
ルチプリントの場合、記録n値(記録シート2の搬送量
に対するインクシート9の搬送量の値)は所望のローラ
径を有するキャプスタンローラ32を収納してあるインク
シートカートリッジEを選択することにより、容易に対
応し得るものである。
【0054】(インクシートカートリッジの組立)次に
前記インクシートカートリッジEを組立るには、図4に
示すインクシート9を巻き付けた供給リール軸26aの一
方端に軸受29aを取り付け、該軸受29aを第二筐体28b
に形成したU溝28g1に嵌合すると共に、滑りクラッチ30
の二方取りされた軸30aを角溝28g2に嵌合する。更に巻
取リール軸27aの一方端に軸受29bを取り付け、該軸受
29bを第二筐体28bのU溝28g3に嵌合すると共に、滑り
クラッチ31の軸部31aに取り付けた図示しない軸受をU
溝28g4に嵌合する。そしてキャプスタンローラ32の軸受
32aを第二筐体28bに形成したU溝28g5,28g6に嵌合す
る。次に第一筐体28aを第二筐体28bと対向させ、溶着
部28a1,28b1と溶着部28a4,28b6を夫々超音波溶着する
ことで、インクシート9及びキャプスタンローラ32を装
填したインクシートカートリッジEを組み立てる。
【0055】(インクカートリッジの装填方法)上記イ
ンクシートカートリッジEの装填方法は、図1に示すよ
うに、先ず記録系Bに於ける記録カバー15を回動軸14を
中心として開き、カートリッジ元部のガイドピン28fを
装置本体8に形成された図示しない案内カードレールに
沿って挿入し、且つカートリッジ先端部の係止突起28b4
を装置本体8に形成された図示しないコ字形溝と係止す
ることにより、記録系Bに装填するものである。
【0056】{記録構成}記録系Bに於ける記録は前記
の如くしてインクシートカートリッジEを装填し、記録
手段10によって熱転写記録を行うものである。
【0057】(記録手段)次に記録手段10について図1
及び図8を参照して説明する。本実施例で用いている記
録ヘッド10aはヘッド基板10a1上に通電により発熱する
複数の発熱素子10a2が一列に配列されている共に、この
発熱素子10a2に対して画信号に応じて選択的に通電を行
うためのヘッドドライバー素子10a3及び記録シート2の
幅方向全体にわたり前記ヘッドドライバー素子10a3を囲
って保護する保護カバー10a4を取り付けてなるライン型
のサーマルヘッドである。
【0058】このサーマルヘッドである記録ヘッド10a
に対する前記発熱素子10a2の配列位置は、図8に示すよ
うに該発熱素子10a2から記録ヘッド10aの短手方向の一
端部までの距離をL1、他端部までの距離をL2とした
場合、前記距離の関係がL1<L2となる位置(例えば
本実施例ではL1=5mm,L2=20mm)に配設され
ている。前記発熱素子10a2を有する記録ヘッド10aは、
図1に示すように発熱素子10a2が記録シート2の搬送方
向上流側に位置するように記録カバー15に設けたヘッド
支持部10cに揺動可能に取り付けられ、更に図9に示す
如く記録ヘッド10aの長手方向両側には位置決めピン10
a5が設けられている。この位置決めピン10a5は、記録カ
バー15を閉めた際に、プラテンローラ10bの軸部10b1を
回動可能に軸支する位置決め部材8dに設けてあるU字
溝8d2に入り込むことにより、プラテンローラ10bに対
する記録ヘッド10aの位置を設定するための位置決め機
能を有するものである。また本実施例で用いている記録
ヘッド10aは、発熱素子の配列順を従来とは逆にするこ
とにより記録ヘッドの構成を変えるだけで従来通りの画
像を再現している。
【0059】次に、プラテンローラ10bに対する記録ヘ
ッド10aの押圧力を調整する駆動機構を図9を用いて説
明する。前記プラテンローラ10bは装置本体8に対して
回転可能に取り付けられた軸部10b1に記録シート2の幅
寸法よりも軸方向に長いローラ部10b2が形成され、前記
軸部10b1の一端には図9に示す如くプラテンギア48が固
着されている。また記録ヘッド10aのプラテンローラ10
bと反対側には、押圧てこ34a,34b,34cが、回転可
能に支持された軸35を回動中心として回動可能に設けら
れており、押圧てこ34a,34b,34cは各々バネ36a,
36b,36cにより図9の矢印c方向に回転力が付与され
ている。また押圧てこ34a,34b,34cには溝部34a1,
34b1,34c1が設けてあり、溝部34a1,34b1,34c1は軸35
に固着されたピン35a,35b,35cと所定のガタをもっ
て接するように構成されている。更に軸35の一端にはア
ーム37が固着されている。
【0060】従って、軸35の位置が図1に示す位置(即
ちピン35a,35b,35cが各々溝部34a1,34b1,34c1と
接していない位置)にある時、押圧てこ34a,34b,34
cは各々バネ36a,36b,36cの力で図9の矢印c方向
へ回動し記録ヘッド10aと接することで、記録ヘッド10
aをプラテンローラ10bへ圧接するものである(以下、
この時の押圧てこ34a,34b,34cの位置を記録位置と
言う)。一方、軸35が図1に示す位置から反時計周りに
所定角度回転すると、ピン35a,35b,35cと溝部34a
1,34b1,34c1とが接するため、押圧てこ34a,34b,3
4cはバネ36a,36b,36cの力に打ち勝ち、図9の矢
印d方向に回動することで記録ヘッド10aのプラテンロ
ーラ10bへの圧接力を弱める(或いは無くす)ものであ
る(以下、この時の押圧梃子34a,34b,34cの位置を
待機位置と言う)。待機位置は押圧てこ34a,34b,34
cが記録ヘッド10aと接しない位置であることが望まし
い。また、本実施例では軸35に対して押圧てこ34a,34
b,34cが各々独立して回動可能に構成してあるため、
バネ36a,36b,36cのバネ力を変えることで押圧てこ
34a,34b,34cの記録ヘッド10aへの圧接力を記録ヘ
ッド10aの幅方向で差を持たせ、印字品質を高めること
ができる。
【0061】(駆動伝達構成)次に、前記記録シート2
とインクシート9の搬送駆動機構について図9を参照し
て説明する。図9において、装置本体8にはカセットモ
ータ38、プラテンモータ39及びインクシートモータ40が
取り付けられている。
【0062】前記カセットモータ38は、一方向の回転で
給紙ローラ3、フィードローラ5a、排出ローラ12aを
回転させ、他方向の回転で後述する手段により記録ヘッ
ド10aのプラテンローラ10bへの圧接力を調整するもの
である。前記カセットモータ38のモータギア38aはクラ
ッチギア41a,41bと噛合しており、クラッチギア41
a,41bは各々バネクラッチ42a,42bを介してボスギ
ア43a,43bと接している。バネクラッチ42a,42bは
線材を巻き回した一方向クラッチである。ボスギア43a
はフィードローラ5aのローラギア5cと噛み合い、ロ
ーラギア5cは中間ギア44と、中間ギア44は給紙ローラ
3のローラギア3c噛み合う。また、フィードローラ5
aの回転はローラプーリ5d、ベルト45、ローラプーリ
12cを介して排出ローラ12aへと伝達される。一方、ボ
スギア43bはカム46のカムギア46aと噛合している。こ
のカム46はアーム37と接しており、回転位置に応じてア
ーム37を揺動させる。ここで、カム46の形状は、カム46
の半径最小部46bがアーム37と接している時、押圧てこ
34a,34b,34cは前述の記録位置にあり、カム46の半
径最大部46cがアーム37と接している時、押圧てこ34
a,34b,34cは前述の待機位置にあるよう構成してあ
る。尚、カム46の回転位置はカムセンサ47によって検出
する。
【0063】前記構成により、カセットモータ38を駆動
してモータギア38aを実線矢印方向に回転する(以下、
正転という)と、クラッチギア41a,41bが回転する
が、この回転方向ではバネクラッチ42aがロックする一
方、バネクラッチ42bが空転するように構成してあるた
め、ボスギア43aが実線矢印方向に回転する一方、ボス
ギア43bは停止している。従って、給紙ローラ3、フィ
ードローラ5a、排出ローラ12aが実線矢印方向に回転
し、記録シート2を矢印a方向に搬送する。また、この
時カム46は停止している。一方、カセットモータ38を駆
動してモータギア38aを破線矢印方向に回転する(以
下、逆転という)と、クラッチギア41a,41bが回転す
るが、この回転方向ではバネクラッチ42aが空転する一
方、バネクラッチ42bがロックするように構成してある
ため、ボスギア43aが停止する一方、ボスギア43bが破
線矢印方向に回転し、カム46が破線矢印方向に回転す
る。従って、カムセンサ47の出力(カム46の位置)に応
じた所定ステップだけカセットモータ38を逆転すること
で、カム46、アーム37、軸35を介して押圧梃子34a,34
b,34cを記録位置又は待機位置へ移動させ、記録ヘッ
ド10aのプラテンローラ10bへの圧接力を強めたり弱め
たりするのである。
【0064】また、前記プラテンモータ39はプラテンロ
ーラ10bを駆動回転する駆動源であり、モータギア39a
とプラテンギア48とが噛合しており、該モータ39を駆動
してモータギア39aを実線矢印方向へ回転することによ
りプラテンギア48を介してプラテンローラ10bが駆動回
転し、記録シート2を矢印a方向へ搬送するものであ
る。
【0065】一方、インクシートカートリッジEを装填
し、記録カバー15を閉じると、インクシートモータ40の
モータギア40aにキャプスタンローラ32のギア32dが噛
合し、且つ前記ギア32dに巻取リール27のリールギア33
が噛合する。従って、前記インクシートモータ40を駆動
してモータギア40aを実線矢印方向へ回転させると、キ
ャプスタンローラ32のギア32dが実線矢印方向へ回転す
ると共に、巻取リール27のリールギア33が実線矢印方向
へ回転する。従って、前記キャプスタンローラ32の回転
によってインクシート9が供給リール26から引き出され
て矢印b方向へ搬送され、搬送されたインクシート9は
巻取リール27に巻き取られるものである。
【0066】また、前記キャプスタンローラ32の回転周
速度よりも巻取リール27の回転周速度が速くなるように
ギア比が設定してあり、巻取リール27は滑りクラッチ31
による滑りを生じながら回転するように構成されてい
る。そして前記滑りによりインクシート9はフロントテ
ンションを付与されつつ巻取リール27に巻き取られるも
のである。尚、前記インクシート9に搬送力を付与する
キャプスタンローラ32をプラテンローラ10bの近くに配
置することにより、インクシート9の伸びを少なくし、
より正確な搬送を行うことが出来る。
【0067】(回転検出部)図10(a)は図1に示す回
転検出部Fの詳細図、図10(b)はその側断面説明図で
ある。プラテンローラ10bは、軸受70を介して本体8に
回転自在に取り付けられており、軸部10b1にはワッシ
ャ71,スプリング72,センサーアーム73が夫々貫通して
おり、止め輪74で抜け止めをしている。上記センサーア
ーム73の両脇にはセンサー75,ストッパー76が設けられ
ている。
【0068】上記センサーアーム73は振子形状を成して
おり、スプリング72及び止め輪74と接するクラッチ部73
aと、フォトセンサー75のハウジング75aに当接する位
置決め部73bと、フォトセンサー75の発光部75bと受光
部75cとの間を遮るシャッター部73cとからなる。スプ
リング72はワッシャ71とセンサーアーム73との間で所定
のバネ力を発生する様に圧縮して取り付けてある。従っ
て、センサーアーム73はスプリング72のバネ力により図
10(b)左側へ押し付けられ、止め輪74と接することで
滑りクラッチを構成している。よって、センサーアーム
73はフォトセンサー75とストッパー76との間に位置して
いる時は、プラテンローラ10bと一体となって同方向に
連れ回る。
【0069】図10(a)において、プラテンローラ10b
が時計回り方向に回転するとセンサーアーム73は軸部10
b1を中心として時計回り方向に回転し、ストッパー76
に当接した位置で停止する。またプラテンローラ10bが
反時計回り方向に回転すると、センサーアーム73は同様
に反時計回り方向に回転し、フォトセンサー75と当接し
た位置で停止する。
【0070】上記フォトセンサー75は、いわゆるフォト
インタラプタ型のセンサーであり、発光部75bから照射
された光を受光部75cで受けるものである。上記発光部
75bと受光部75cとの間に遮蔽物があるとき、フォトセ
ンサー75は後述する制御部50に出力Lを、また遮蔽物が
ないとき出力Hを送るものである。例えば、シャッター
部73cは図10(a)の位置(位置決め部73bがハウジン
グ75aに当接する位置)にあるとき、発光部75bと受光
部75cとの間の光軸を遮っているため、フォトセンサー
75の出力はLであり、この位置からセンサーアーム73が
時計回り方向に回転すると、遮蔽を解除してセンサー出
力はHとなる。即ち、フォトセンサー75は、センサーア
ーム73の位置を検出するものである。
【0071】次にフォトセンサー75の光軸中心に対する
位置決め部73b,シャッター73cの位置関係について詳
述する。図11(a)(b)は図10(b)におけるG−G
断面説明図である。プラテンローラ10bが図1に示す反
時計回り方向に回転(以下『正転』と言う)していると
き、センサーアーム73は図11(a)に示す位置(位置決
め部73bがハウジング75aに当接している位置)にあ
る。このときシャッター部73cは、フォトセンサー75の
光軸に対し所定量(図中n)だけ覆い隠す位置にある。
従って、この時フォトセンサー75の出力はLである。
【0072】一方、この位置からプラテンローラ10bが
時計回り方向に回転(以下『逆転』と言う)すると、セ
ンサーアーム73も同方向に連れ回る。このときシャッタ
ー部73cが所定量(ほぼ2n)移動した時に、図11
(b)に示すフォトセンサー75の光軸を遮らない位置に
達すると、フォトセンサー75の出力はHとなる。更に同
方向に所定量m回転したセンサーアーム75は、ストッパ
ー76に当接した位置で停止する。
【0073】更に再びプラテンローラ10bが反時計回り
方向に回転すると、シャッター部73cがフォトセンサー
75の光軸を遮る位置に達した時点で、フォトセンサー75
の出力はHからLに変化する。即ち、フォトセンサー75
の出力がLからHに変化したのを検出することでプラテ
ンローラ10bが逆転したと認識し、またHからLに変化
したのを検出することでプラテンローラ10bが正転した
と認識することができる。
【0074】本実施例では、プラテンローラ10bの逆転
は即時に、また正転は所定時間の遅れを持って検出され
ることが好ましい。従って、シャッター部73cが光軸の
遮蔽を解除してからストッパー76に当接するまでの移動
量mはある程度大きく設定されている。例えば、m=5
mm,n=1mmである。またプラテンローラ10bの半
径r=8mm,光軸を遮る位置のセンサーアーム73の回
動半径R=40mmに設定してある。上記m=5mm,n
=1mm,r=8mm,R=40mmの設定においては、
フォトセンサー75がプラテンローラ10bの逆転を検出す
るまでに、センサーアーム73は光軸中心で2nの移動量
を必要とする。そのときのセンサーアーム73の回動角度
θは、θ=2n/2πR×360°≒2.86°とな
る。この時のセンサーアーム73の回動はプラテンローラ
10bと一体となって回動することから、θはプラテンロ
ーラ10bの逆転角度に相当する。従って、このときプラ
テンローラ10b円周上の移動距離、即ち記録シート2の
逆方向への搬送量Pは、P=2πr×θ/360=0.
40mmとなる。すなわち記録シート2がわずか0.4
0mm逆走しただけでフォトセンサー75の出力変化(L
→H)より、プラテンローラ10bの回転不良、即ち記録
シート2の搬送不良を検出することができる。尚、P=
2πr×θ/360=2πr×1/360×2n/2π
R×360=rn/Rで表され、プラテンローラ10bの
半径が一定であれば、シャッター部73cの光軸遮蔽量n
を小さく、センサーアーム73の回動半径Rを大きく設定
すれば、センサー75がプラテンローラ10bの逆転を検出
するまでの時間を短縮でき、その間に記録シート2が逆
走する量を小さく抑えることができるため、装置本体が
受ける被害は最小限で済む。一方、プラテンローラ10b
の正転の検出においては、 θ=m+2n/2πR×360=10.03° P=2πr×θ/360=1.40mm となる。
【0075】またクラッチ部73aでは滑りクラッチを構
成しているが、センサーアーム73が軸部10cに連れ回る
に要する必要トルクはセンサーアーム73の自重を連れ回
すトルクがあれば良く、本実施例においては滑りクラッ
チのトルク値は100gcm程度である。プラテンロー
ラ10cは記録シート2を搬送するために約4000gc
mのトルクを発生するようにプラテンモーター39の出力
・ギヤ比を設定してある。上記滑りトルクは、プラテン
ローラ10bに発生するトルクに対して十分小さいため、
記録シート2の搬送に対して何ら悪影響を及ぼすもので
はない。
【0076】また前述したように、本実施例においては
プラテンローラ10bの回転不良検出時間を短くするため
にシャッター部73cの光軸遮蔽量nを小さくすれば良
く、即ちシャッター部73c外径寸法の一部分だけ加工精
度を高めれば良い。従来の回転検出装置におけるスリッ
ト円板の多数のスリット精密加工・エンコーダの位置決
め調整等の特殊工程が不要となり、大幅なコストダウン
を実現できる。
【0077】(制御系の説明)次に前記各部材を駆動制
御する制御系について図12に示すブロック図を参照して
説明する。図12において、50は前記ファクシミリ装置の
制御部を示しており、装置全体に電力を供給する電源部
51、モデム基板ユニット52、ハンドセット23を接続する
NCU基板ユニット54、更には操作部Dから入力した内
容等を表示する表示部55等が配置されている。
【0078】前記制御部50は、記録装置全体の制御を行
うCPU50aと、各種プログラムや各種データ等を格納
したROM50bと、上記CPU50aのワークエリアとし
て使用されると共に、記録枚数等の各種データの一時保
存を行うRAM50c等を有する。また、50dは画像デー
タの各ラインのイメージを格納するラインメモリであっ
て、原稿の送信若しくはコピーの場合は原稿読取系Cか
らの1ライン分のイメージデータが格納され、画像デー
タの受信の場合は復号された1ライン分のデータが格納
される。そして上記ラインメモリ50dに格納された各種
データは、記録系Bに出力されることによって、画像記
録が行われる。また、50eは送信する画像情報をMH符
号化等により符号化したり、受信した符号化画像データ
を復号化してイメージデータに変換する符号化/復号化
部である。50fは送受信された符号化画像データを格納
するバッファメモリである。
【0079】次に図13を参照して、前記記録系Bと制御
部50との電気系接続について説明する。記録ヘッド10a
は前記制御部50より1ライン分のシリアル記録データ56
aを入力するためのシフトレジスタ57、ラッチ信号56b
により上記シフトレジスタ57のデータをラッチするラッ
チ回路58、1ライン分の発熱抵抗体からなる発熱素子10
a1を装備している。上記発熱素子10a1はm個のブロック
(10a1−1〜10a1−m)に分割されて駆動されるもので
ある。また上記記録ヘッド10aには、温度を検出するた
めの温度センサ59を装備しており、この温度センサ59の
出力信号56cは、制御部50内でA/D変換されて前記C
PU50aに入力される。これによって、前記CPU50a
は記録ヘッド10aの温度を検出して、その温度に応じて
ストローブ信号56dのパルス幅を変更したり、或いは記
録ヘッド10aの駆動電圧等を変更して、インクシート9
の特性に応じて記録ヘッド10aへの印加エネルギーを変
更している。前記インクシート9の種類(特性)は、操
作部Dから入力する等により選択されているが、インク
シート9に印刷されたマーク等を検出してその種類や特
性を判別することも可能である。またインクシート9を
収納するカートリッジに付されたマークや切欠或いは突
起等を判別することも可能である。
【0080】60は前記制御部50より記録ヘッド10aの駆
動信号を入力し、上記記録ヘッド10aを各ブロック単位
で駆動するストローブ信号56dを出力する記録ヘッド駆
動回路である。この記録ヘッド駆動回路60は前記制御部
50の指示により、記録ヘッド10aの発熱素子10a1に電流
を供給するための電源線56eに出力する電流の制御時間
を変更することによって、記録ヘッド10aの印加エネル
ギーを変更することができる。また、61,62,63は前記
駆動手段であるカセットモータ38、プラテンモータ39,
インクシートモータ40を夫々回転駆動するモータ駆動回
路である。尚、前記各モータ38,39,40としては、ステ
ッピングモータを使用しているが、これに限定されるも
のではなくDCモータやサーボモータ等であっても良
い。更に前記制御部50には、記録シート2の先端を検出
する記録シート先端センサ7、記録シート2の通過を検
出する記録シート排出センサ13、記録シート2の有無を
検出する記録シート有無センサS1、インクシート9の有
無を検出するインクシート有無センサS2、インクシート
9の搬送速度等を検出するインクシート速度センサS3か
らの検出信号を入力し、その検出信号に応じて表示部55
に所定表示をすると共に記録動作を制御する。
【0081】{給紙動作}次に記録に先立ち、給紙系A
により記録シート2を記録系Bに供給する動作について
図14に示すタイミングチャートを用いて説明する。以後
の説明に於いて、各モータの回転方向は、図9に示すよ
うに実線矢印方向への回転を正転、破線矢印方向への回
転を逆転とする。
【0082】(動作1)先ず、カセットモータ38が逆転
して押圧梃子34a,34b,34cを待機位置へ動かす。こ
れによりプラテンローラ10bに対する記録ヘッド10aの
圧接力が小さくなるため、後述するインクシート9の搬
送の際、記録ヘッド10aとプラテンローラ10bとに対す
るインクシート9の摩擦が小さくなり、インクシート9
の擦れによるシワやインク剥離などのトラブルを防止す
ることができる。
【0083】(動作2)記録信号が来ると、先ず記録開
始前に、インクシートモータ40が正転してキャプスタン
ローラ32を正転させて所定量インクシート9を巻き取
る。すると、供給リール26の滑りクラッチ30の作用によ
りインクシート9にバックテンションがかかり、該イン
クシート9のシワや弛み等が無くなり、記録時に於ける
記録の品質が高まる。また、キャプスタンローラ32と記
録ヘッド10aとの間でインクシート9が平らな面をなす
ことで、プラテンローラ10bとインクシート9とでくさ
び状の空間を形成する。そのため、記録シート2を記録
手段10へ供給する際、該シート2先端に折れやシワ等が
生じずにスムーズに入り込むことができる。
【0084】(動作3)次に、カセットモータ38が正転
して給紙ローラ3及びフィードローラ5aを正転させ
る。これにより給紙ローラ3及び給紙片4により給紙カ
セット1の最上部の記録シート2が繰り出されてフィー
ドローラ対5a,5bによりガイド6a,6bを介して
記録手段10へ向かって搬送される。前記記録シート2の
先端が記録シート先端センサ7に達すると、該先端セン
サ7の出力がONになる。この時点からカセットモータ
38の駆動ステップを制御部50でカウントし、所定ステッ
プa(ここでは、記録シート2の先端が、先端センサ7
を通過後、記録手段10へ至るに必要なステップ数であ
る。)回転することで、記録シート2の先端が上述した
ようにインクシート9にガイドされつつ印字位置に到達
する。
【0085】(動作4)上記所定ステップa経過後、プ
ラテンモータ39を正転してプラテンローラ10bを正転さ
せる。これにより、記録シート2の記録手段10への挿入
が容易に行われ、前記プラテンローラ10bと記録ヘッド
10aとの圧接部に記録シート2が挟み込まれて、以後は
プラテンローラ10bによって記録シート2を搬送する。
所定量プラテンモータ39を回転することで、記録シート
2の先端は記録手段10の印字位置よりも余白分下流まで
搬送され、記録待機状態となる。
【0086】(動作5)次に、カセットモータ38を逆転
して押圧梃子34a,34b,34cを記録位置へ動かし、記
録可能状態となる。
【0087】{記録動作} (動作6)記録信号が来ると、カセットモータ38、プラ
テンモータ39、インクシートモータ40が正転し、フィー
ドローラ5a、プラテンローラ10b、キャプスタンロー
ラ32を正転させる。これにより、記録シート2が矢印a
方向に搬送されると共に、インクシート9が記録シート
2の搬送方向とは反対の矢印b方向に搬送され、前記記
録シート2への記録が行われる。前述の如く記録シート
2とインクシート9とを逆方向へ搬送して記録を行うマ
ルチプリント方式を採用した場合、インク層内において
インクを剪断しつつ画像を形成することになる。従っ
て、インクシート9の搬送はインクシート9と記録ヘッ
ド10aとの摩擦力と、インクの剪断力とを加えた力が必
要となる。このためインクシート9に対する搬送力は従
来のワンタイムインクシートを用いた場合の搬送力と比
較して大きな力が必要となる。またマルチプリント記録
方式にあっては、記録シート2に1ライン分の画像を形
成する毎にインクシート9を1/nライン分だけ確実に
搬送することが必要であり(記録n値)、前記搬送を確
実に行うことによって記録画像の品質を高めることが可
能となる。前記条件を満足させるために、本実施例では
キャプスタンローラ32によりインクシート9に対して高
精度で確実な搬送力を付与するものである。
【0088】(動作7)記録シート2への記録が終了す
ると、カセットモータ38が逆転して押圧てこ34a,34
b,34cを待機位置に動かす。これによりプラテンロー
ラ10bに対する記録ヘッド10aの圧接力が弱まる。
【0089】(動作8)次に、カセットモータ38、プラ
テンモータ39が正転して、プラテンローラ10b、排出ロ
ーラ12aを正転させる。これにより、記録が終了した記
録シート2を完全に記録手段10から脱することが出来
る。
【0090】(動作9)更に、カセットモータ38を正転
して、排出ローラ12aのみを正転させる。これにより、
前記記録シート2が、該シート2を載置するトレイとし
て機能するフタ1d上へ排出される。尚、次ページの記
録信号が来ると上記動作2へ続いて、以下同じ動作を繰
り返す。また、連続ページ記録のページ間では上記動作
8,9を省略しても良い。
【0091】本実施例では、プラテンローラ10bと排出
ローラ12aとを各々別モータで駆動するよう構成してお
り、記録が終了した記録シート2を排出ローラ対12a,
12bにより排出する際に、プラテンローラ10bを余分に
回転させる必要がないため、プラテンローラ10bとイン
クシート9との接触回転を最小限に抑えることが出来、
インクシート9の擦れによるシワやインク剥離などを防
止することが出来、品質を高めることが出来る。また、
排出センサー13が記録シート2の後端を検出することで
記録シート2の正常排出を確認する。
【0092】次に前述した記録動作中にプラテンローラ
10bの回転に異常が発生した場合の動作を説明する。例
えば、記録ヘッド10aの誤動作により多量のインクが溶
け、記録シート2上に転写した場合、インク層内の剪断
力が大きくなり、プラテンローラ10bによる記録シート
2の搬送力を上回る。本実施例においては、インクシー
ト9の搬送力を十分大きくしてあるため、記録シート2
はインク層内の剪断が不十分なまま矢印a方向には搬送
されずインクシート9と一体となり矢印b方向に搬送さ
れてしまう。従って、プラテンモーター39に脱調が生じ
ると共に、プラテンローラ10bは逆転する。更にこの状
態が続くと記録シート2がインクシートカートリッジE
内に入り込み、インクシート9を切断してしまうことに
なる。
【0093】また排出ガイド11a,11b、排出ローラ対
12a,12b付近で記録シート2に紙詰まりが生じた場
合、或いはプラテンモータ39の断線、モータ駆動回路62
の破損等が生じた場合にも、前述と同様な状態、即ち記
録シート2が矢印a方向へ搬送されず、プラテンモータ
39が脱調し、プラテンローラ10bの逆転が生じることに
なる。
【0094】次に前述したプラテンローラ10bの回転異
常発生時の回転検出部Fの動作を図11及び図15に示すタ
イミングチャートを参照して説明する。
【0095】(動作6)記録動作中においては、カセッ
トモーター38,プラテンモーター39,インクシートモー
ター40を正転させると共に、記録ヘッド駆動回路60を駆
動してインクシート9のインクを記録シート2上に転写
し画像を形成している。このとき記録シート2は図1に
示す矢印a方向に、インクシート9は矢印b方向に搬送
されており、プラテンローラ10bは矢印方向に正転して
いる。またセンサアーム73はプラテンローラ10bに連れ
回り、図11(a)の位置でクラッチ部73aに滑りを生じ
て停止している。このときフォトセンサー75の出力はL
である。
【0096】(動作6’)ここで記録シート2の搬送に
不良が生じた場合には、前述のようにプラテンローラ10
bが逆転する。プラテンローラ10bが所定角度逆転する
と、センサーアーム73が図11(b)の位置に移動し、フ
ォトセンサー75の出力がHとなる。制御部50は、上記フ
ォトセンサー75の出力変化(L→H)を検出して異常発
生と認識し、動作11〜動作15に示す回復動作を行う。
【0097】(動作11)先ず記録ヘッド駆動回路60をO
FFして記録ヘッド10aの発熱を停止させ記録を中断す
ると共に、インクの過剰溶融を防止する。同時に各モー
ターの回転を所定時間aだけ停止させる。ステッピング
モーターにおいては、回転停止と共に同一位相に通電を
続け位置を保持する。各モータ停止によって、記録シー
ト2及びインクシート9の搬送動作は停止する。このと
き仮にプラテンモーター39を停止させなかった場合、前
述のように記録シート2はインクシート9と同方向に逆
搬送されてプラテンモーター39は脱調現象により正逆回
転を繰り返すため、記録シート2,インクシート9に破
れ,しわ等の損傷が生じてしまう。更に、正逆回転が大
きくなると、プラテンローラ10bの回転に記録シート2
が追従することができずに、プラテンローラ10bと記録
シート2の接触面に滑りが生ずる。この状態で後述する
インクシート剥離搬送を行った場合、記録シート2のグ
リップが不安定となり、記録シート2はインクシート9
に連れ戻されて逆走するだけで、インクの剥離が行われ
ない。
【0098】従って、記録シート2,インクシート9の
搬送を一時停止させることで、プラテンローラ10bと記
録シート2との間、及びインクシート9とキャプスタン
ローラ32との間を静摩擦状態としてグリップを安定させ
る。また一時停止時間aは、各モーターが記録時の所定
周波数で回転している状態から停止した際に生ずる減衰
振動の収束時間(セントリングタイム)よりも長いこと
が好ましい。また本実施例では、各モーターはステップ
角7.5°のPM型ステッピングモーターを1−2相励
磁400ppsで回転させており、そのセットリングタ
イムは20/1000秒〜50/1000秒である。従
って、前記一時停止時間aは50/1000秒以上が好
ましく、本実施例においてはプラテンローラ10bのゴム
粘性変形の収束時間も考慮して一時停止時間a=500
/1000秒に設定してある。
【0099】(動作12)次に前述したように記録シート
2に貼り付いているインクシート9を剥離するため、所
定量インクシートモーター40を正転してインクシート9
を巻き取る。ここでインクシート剥離搬送量bはインク
の剪断剥離が確実に行われ、且つ次ラインの記録時、未
記録の新しいインク部分が記録位置に達する量の搬送が
必要である。本実施例における記録ヘッド10aでは、発
熱素子10a2の記録シート搬送方向の長さは約60mmで
あるため、記録シート2上に溶融転写し貼り付いている
インクシート9の長さも約50μm〜100μmである。
従って、インクシート剥離搬送量bは約100μm以上
巻き取るのが好ましく、本実施例ではb=1mmインク
シート9を巻き取るのに相当するステップ数だけインク
シートモーター40を正転させている。
【0100】(動作13)その後所定時間c(好ましくは
1〜100/1000秒,本実施例では20/1000
秒)経過後、カセットモーター38,プラテンモーター39
を所定量正転させて、記録シート2を所定の回復搬送量
dだけ搬送する。
【0101】(動作14)ここで、前述のように記録シー
ト2の搬送不良発生時、プラテンローラ10bが逆転を始
めてからフォトセンサー75の出力が変化する(制御部50
が逆転を検出する)までに、記録シート2はP=rn/
Rだけ逆方向へ戻されている。従って、前述した回復搬
送量dはPが小さい場合には、Pとほぼ同等にすること
が画像のつながりを良くするためには好ましい。またP
が大きい場合、インクの転写した記録シート2が再び記
録手段10を通過する量が大きく記録シート2の搬送負荷
も大きくなってしまう。そのため、回転搬送量dはPよ
り大きく設定して記録シート2を余分に搬送し、再度記
録を開始する時は、未転写の新しい記録シート2が記録
手段10の記録位置にあることが望ましい。
【0102】従って、回復搬送量dは搬送不良発生部分
での画像のつながりを良くして、かつ記録シート2の搬
送負荷が大きくならないように任意の値に設定すればよ
い。本実施例においては、P=0.40mmであること
から、0.010mm〜0.60mmの余分搬送を加え
て、d=0.50〜1.00mmに設定してある。
【0103】(動作15,動作6”)前述したインクシー
ト剥離搬送(動作12)によって記録シート2とインクシ
ート9とが剥離可能だった場合、記録シート2の回復搬
送(動作14)によって、プラテンローラ10bが正常に正
転するため、センサーアーム73の回動によって、フォト
センサー75の出力がHからLに変化する。また剥離不可
能であった場合、dだけ回復搬送を行っても、プラテン
ローラ10bも正転できないため、フォトセンサー75の出
力はHのままである。従って、dだけ回復搬送を行った
後、制御部50はフォトセンサー75の出力をチェックす
る。出力がLであれば搬送不良の回復が可能であったと
認識して、所定時間e経過(動作15)後、回復動作を終
了して記録を再開する(動作6”)。一方、出力がHで
あれば動作11の始めに戻り再度回復動作を繰り返す。
【0104】尚、回復搬送量dを固定値に定めず、フォ
トセンサー75の出力がLに変化してから所定量d1だけ
搬送するようにしてもよい。更には前述した回復動作の
繰り返し回数を制御部50でカウントし、所定の回数(x
回,xは自然数)回復動作を行っても、動作14において
フォトセンサー75の出力がLであった場合は、搬送不良
の回復不可能であると見なして、記録動作を中断するこ
とで装置の損傷を防止することができる。本実施例では
インクシート9の強度、記録時間等を考慮してx=10回
に設定してある。更には表示部55に記録中断を表示し、
ユーザーによるジャム処理を促す表示をすることが好ま
しい。
【0105】〔第二実施例〕次に前記第一実施例に示す
回転検出部Fの第二実施例について図16を参照して説明
する。尚、前記第一実施例と同一部材には同一番号を付
して説明を省略する。
【0106】図16において、センサーアーム73の形状を
切欠73dを持つ円板形状とし、両方向のストッパー76を
センサーアーム73上に設けている。また上記センサーア
ーム73と軸部10b1はパウダークラッチ等のトルクリミ
ッタ80により結合している。プラテンローラ10bの回転
はトルクリミッタ80を介してセンサーアーム73に伝達さ
れ、トルクリミッタ80に一定以上のトルクがかかると
(ストッパー76がフォトセンサー75に当接すると)スリ
ップするものである。
【0107】上記構成によれば、センサーアーム73を円
板形状にしたことで、重心が軸部10b1の中心とほぼ一
致するため、センサーアーム73の回動、プラテンローラ
10b回転が安定する。またトルクリミッタ80はトルク安
定性,耐久性に優れ、品質が向上する。
【0108】〔第三実施例〕次に前記第一実施例に示す
回転検出部Fの第三実施例について図17を参照して説明
する。尚、前記第一実施例と同一部材には同一番号を付
して説明を省略する。
【0109】図17において、センサーアーム73は、カム
形状をしており、軸部10b1を中心に回動可能に取り付
けられ、更にボス部73eと軸部10b2とはバネクラッチ
81が巻き付けられている。上記バネクラッチ81は、バネ
用線材をコイル状に巻き回したもので、プラテンローラ
10bの逆転時、軸部10b2との接触摩擦により巻き付け
が締まっていき、該軸部10b2とボス部73eとは一体と
なって同方向に回転し、一方プラテンローラ10bの正転
時、巻き付けが緩んで軸部10b2はボス部73eとは別体
となって回転するものである。
【0110】またセンサーアーム73のフック73fには、
引張バネ82が設けられており、センサーアーム73を図中
反時計回り方向に回転させる力を加えている。また本実
施例ではフォトセンサー75に代えてマイクロスイッチ83
を用いている。センサーアーム73の突起73gがマイクロ
スイッチ83のレバー83aを押し下げることで、該スイッ
チ83がON状態となる。上記突起73g,レバー83aが図
中の実線位置にある時、スイッチ83はOFFとなり、二
点鎖線の位置にある時はスイッチ83はONになる。上記
マイクロスイッチ83は、ON/OFF信号を制御部50に
送ることでセンサーアーム73の位置(即ち、プラテンロ
ーラ10bの回転状態)を検出するものである。
【0111】上記構成において、プラテンローラ10bが
正転すると、バネクラッチ81がゆるみ方向であるので、
センサーアーム73は軸部10b1とは結合しておらず、引
張バネ82の力によって回動し、ストッパー76に当接した
位置で停止する。この時マイクロスイッチ83の出力はO
FFである。またプラテンローラ10bが逆転すると、バ
ネクラッチ81が締り方向であるので、センサーアーム73
は軸部10b1と一体となって回動し、図中二点鎖線の位
置に達するとマイクロスイッチ83の出力がONとなる。
【0112】また上記構成において、滑りクラッチに代
えて、バネクラッチ81を用いたため、プラテンローラ10
bの正転時(記録時)は、バネクラッチ81が緩むため滑
りクラッチのように滑りトルクが加わり続けることはな
い。従って、プラテンローラ10bの回転が安定して記録
画像も高品質を保つことができる。更にセンサーアーム
73の位置を非接触で光学的に検出するフォトセンサー75
に代え、センサーアーム73の位置を機械的接触して電気
的に検出するマイクロスイッチ83を設けたため、誤動作
の確率が低く、装置の信頼性が向上する。
【0113】以上述べた回転検出部Fはプラテンローラ
10bに設けた例を示したが、これに限定されるものでは
なく、回転体であれば何れに設けることも可能である。
例えば、キャプスタンローラ32に設けることで、該キャ
プスタンローラ32の回転状態、即ちインクシート9の搬
送状態を検出することができる。また各モータ38,39,
40に設けても良く、その場合にはプラテンローラ10bに
比べて回転数が高いため、回転検出応答が早くなる。ま
た搬送ローラ19a,19bに設けることで、原稿16の搬送
状態を検出することができる。更には、駆動系のギヤ、
インクシート9の巻取リール27、供給リール26等に設け
ることも可能である。
【0114】また前記各実施例に示す回転検出部Fを用
いることにより、記録装置におけるインクシート9と記
録シート2との貼り付きを検出するまでの時間がたんし
ゅつすることができるが、回転検出部Fに一般的なエン
コーダを用いても前記各実施例に示した動作でインクシ
ート9及び記録シート2を搬送すればほぼ同様に貼り付
きを回復することができる。
【0115】〔他の実施例〕次に前述したインクシート
カートリッジ及び記録装置における各部の他の実施例に
ついて説明する。前述した実施例では記録シート2とイ
ンクシート9とを逆方向へ搬送して記録を行うマルチプ
リント方式を例示したが、ワンタイムインクシートを用
い、記録シートとインクシートとを同一方向へ搬送して
記録を行うワンタイムプリント方式であっても当然可能
である。
【0116】また本発明はインクシート9を用いた熱転
写記録方式の記録装置に限定されるものではなく、他の
装置、例えば感熱ロール紙を用いて記録する感熱記録方
式,レーザービーム記録方式,インクジェット記録方式
等を採用した記録装置についても適用することが可能で
ある。なぜなら、記録方式にかかわらず、シート材の搬
送状態に異常が発生した場合、ローラ,モータ等の回転
体に必ず回転不良が生ずるからである。
【0117】また前述した実施例ではキャプスタンロー
ラ32としてシリコンゴムを吹きつけてローラ部を構成す
るようにしたが、前記シリコンゴムに限定する必要がな
いことは当然である。即ち、インクシート9に対して前
述した範囲の摩擦係数が得られるものであれば良く、他
にも例えばクロロプレンゴム等の材料を使用し得る。ま
た前記材料を芯部に取り付ける方法としても、一枚の薄
板状の部材を芯部に巻き付けて取り付けるようにしても
良い。また前記材料でパイプ状の部材を構成し、芯部を
パイプ内に通して取り付けても良い。また成型によりゴ
ム部を構成しても良い。この場合、前記吹き付け行程に
よるものよりも摩擦係数が落ちるため(1.5 〜6程
度)、巻付角θ及びバックテンションを増やしてキャプ
スタンローラ32とインクシート9が滑ることがないよう
にする必要がある。実験データとしては、摩擦係数2.6
の時で巻付角45°,バックテンション400g以上でイン
クシート9の搬送不良は無かった。また前述した薄板、
パイプ、成型等の製作の場合、ゴム外周面を鏡面仕上げ
しておくことで、前述した第一実施例で使用したキャプ
スタンローラ32とインクシート9との摩擦係数に近づけ
ることが出来る。
【0118】更に前述した実施例では、キャプスタンロ
ーラ32をインクシートカートリッジEに内蔵したが、記
録装置としては前記ローラ32は必ずしもカートリッジE
に内蔵されている必要はなく、装置本体側に取り付ける
ようにしても良い。また前述した実施例では、キャプス
タンローラ32をインクシート9の搬送手段として構成し
たが、搬送ローラとピンチローラとを用いる等の他のイ
ンクシート9の搬送手段として構成しても良いことは当
然である。
【0119】また前述した実施例では、記録ヘッド10a
の発熱素子10a2の配列順を従来とは逆にすることにより
従来通りの画像を得たが、制御部50のシリアル記録デー
タ56aのデータ順列を逆にすることによっても、本発明
と同等の効果が得られる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、回転体の回転方向
に追従して回動アームが回転し、該回動アームの位置を
検出手段によって検出することにより、回転体の回転方
向が検出することができる。また前記回転体の回転不良
発生からその検出までの時間が短く、装置本体のトラブ
ルを最小限に抑えることができる。また制御が容易であ
り、回転不良発生時にのみ信号を発生するため、複雑な
制御を必要とせず、装置本体の高速化を実現できる。更
に、全体として構成が簡略であり、低コスト化を実現す
ることが可能である。
【0121】また記録装置にあっては、被記録材とイン
クシートとの貼り付き現象を即座に検出して両者を剥離
させることができる。またインクシート切れや被記録材
にジャムを引き起こす前に貼り付き現象から回復して記
録を続行することができるので、装置の信頼性,安全性
を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファクシミリ装置の全体構造説明図である。
【図2】ファクシミリ装置の外観斜視説明図である。
【図3】インクシートの断面説明図である。
【図4】インクシートカートリッジの展開説明図であ
る。
【図5】供給リール側の滑りクラッチの構成説明図であ
る。
【図6】巻取リール側の滑りクラッチの構成説明図であ
る。
【図7】インクシート搬送経路の説明図である。
【図8】サーマルヘッドの構成の説明図である。
【図9】駆動伝達構成の説明図である。
【図10】回転検出部の詳細説明図である。
【図11】回転検出部の詳細説明図である。
【図12】制御系のブロック図である。
【図13】制御系と記録系との電気的接続を示す説明図で
ある。
【図14】記録動作を示すタイムチャートである。
【図15】回転検出部の動作を示すタイムチャートであ
る。
【図16】第二実施例にかかる回転検出部の詳細説明図で
ある。
【図17】第三実施例にかかる回転検出部の詳細説明図で
ある。
【図18】従来の回転検出装置の説明図である。
【図19】従来の記録装置の説明図である。
【符号の説明】
A…給紙系 B…記録系 C…読取系 D…操作部 E…インクシートカートリッジ F…回転検出部 1…カセット 2…記録シート 3…給紙ローラ 3a…円弧部 3b…平面部 4…給紙片 4a…シート部 4b…アーム部 5a,5b…フィードローラ 5c…ローラギ
ア 5d…ローラプーリ 6a,6b…ガ
イド 7…記録シート先端センサ 8…装置本体 9…インクシート 9a…耐熱コー
ト層 9b…ベースフィルム層 9c…インク層 9d…トップコーティング層 10…記録手段 10a…記録ヘッド 10a1…ヘッド基
板 10a2…発熱素子 10a3…ヘッドド
ライバー素子 10a4…保護カバー 10b…プラテン
ローラ 10b1,10b2,31a…軸部 10c…ヘッド支
持部 11a,11b…排出ガイド 12a,12b…排
出ローラ 13…排出センサー 14…回動軸 15…記録カバー 15a…原稿載置
台 16…原稿 17a…予備搬送
ローラ 17b…押圧片 18a…分離ロー
ラ 18b…圧接片 19a,19b…搬
送ローラ 20a,20b…排出ローラ 21…排出トレイ 22…光電変換素子 23…ハンドセッ
ト 24a,24b…電装基板 25…押し上げ板 26…供給リール 26a…リール軸 26b1,26b2…フランジ 26c…コ字形溝 27…巻取リール 27a…リール軸 27b1,27b2…フランジ 27c…コ字形溝 28…枠体 28a…第一筐体 27a1, 27a4, 28b1,28b6,28c1,28c2…溶着部 27a2, 28b2…側板 27a3…嵌入孔 28b…第二筐体 28b2…側板 28b3…嵌入突起 28b4…係止突起 28d,28e…窓 28f…ガイドピ
ン 29g1,28g3,28g4,28g5,28g6…U溝 29g2…角溝 28h…開口 29a,29b,32
a,70…軸受 30,31…滑りクラッチ 30a,35…軸 30b,31b…スプリングバネ 30b1,31b1…フ
ック部 30c,31c…鍔 30c1,31c1…貫
通孔 30c2,33a…凹部 30c3,31c2…凸
部 30d,31d,31e…Eリング 31a1…Dカット
嵌合部 32…キャプスタンローラ 32b…芯部 32c…ゴム部 32d…ギア 33…リールギア 34a,34b,34
c…押圧てこ 34a1,34b1,34c1…溝部 35a,35b,35
c…ピン 36a,36b,36c…バネ 37…アーム 38…カセットモーター 38a,39a,40
a…モータギア 39…プラテンモーター 40…インクシー
トモーター 41a,41b…クラッチギア 42a,42b,81
…バネクラッチ 43a,43b…ボスギア 44…中間ギア 45…ベルト 46…カム 46a…カムギア 46b…半径最小
部 46c…半径最大部 47…カムセンサ
ー 48…プラテンギア 50…制御部 50a…CPU 50b…ROM 50c…RAM 50d…ラインメ
モリ 50e…符号化/復合化部 50f…バッファ
メモリ 51…電源部 52…モデム基板
ユニット 54…NCU基板ユニット 55…表示部 56a…シリアル記録データ 56b…ラッチ信
号 56c…出力信号 56d…ストロー
ブ信号 56e…電源線 57…シフトレジ
スタ 58…ラッチ回路 59…温度センサ
ー 60…記録ヘッド駆動回路 61,62,63…モ
ータ駆動回路 71…ワッシャー 72…スプリング 73…センサーアーム 73a…クラッチ
部 73b…位置決め部 73c…シャッタ
ー部 73d…切欠 73e…ボス部 73f…フック 73g…突起 74…止め輪 75…フォトセン
サー 75a…ハウジング 75b…発光部 75c…受光部 76…ストッパー 80…トルクリミッター 82…引張バネ 83…マイクロスイッチ 83a…レバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 文彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転体と、 前記回転体が正転方向から逆転方向へ回転を始めたと
    き、前記回転体の回転に追従して前記逆転方向へ所定量
    回動可能な回動部材と、 前記回動部材の回動位置を検出するための検出手段と、 を有する回転検出装置。
  2. 【請求項2】 インクシートの有するインクを被記録材
    に転写して記録を行う記録装置において、 前記被記録材を搬送するための被記録材搬送手段と、 前記インクシートを搬送するためのインクシート搬送手
    段と、 前記インクシートに作用して前記被記録材に画像を記録
    する記録手段と、 前記被記録材搬送手段又はインクシート搬送手段の少な
    くとも一方に設けられた請求項1記載の回転検出装置
    と、 前記回転検出装置の出力信号に応じて前記被記録材搬送
    手段及びインクシート搬送手段の駆動を夫々制御する制
    御手段と、 を有する記録装置。
JP32626192A 1992-11-12 1992-11-12 回転検出装置及び記録装置 Pending JPH06143722A (ja)

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