JPH0610035Y2 - 遮音性木質系床材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はコンクリート床材に直接施工するに適した遮音
性木質系床材に関する。

［従来技術］ 従来、中高層住宅の床は、コンクリート床にカーペット
類をフェルトを介して直接貼付けたものが多かった。し
かし、カーペット類は汚れやすいうえ、ダニの発生が問
題となっていた。

そのため、カーペット類を貼る代わりにコンクリート床
に木質系床材を直接貼付けて床を構成するように変わっ
てきたが、木質系床材はカーペット類に比べ遮音性に劣
っているため、居住性を損なうという新たな問題が生じ
た。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案者は上述した問題を解消し、遮音性のすぐれた木
質系床材を提供することを目的とするために日々研究し
た結果、木質板の裏面に緩衝性を有する発泡シート、有
孔木質板、下面に凹凸のある緩衝材を順次貼合わせた遮
音性木質系床材を考案して先に出願した。この考案は上
記考案をさらに改良したものである。

［問題を解決するための手段］ 本考案は、木質板、木質板の裏面に貼り合わせた緩衝性
を有する発泡シート、該緩衝性を有する発泡シートの裏
面に貼り合わせた有孔木質板とからなる化粧合板、およ
び該化粧合板の裏面に貼り合わせた下面に多数の独立し
た凸部を有し、かつこの凸部の先端中央部が内側に凹ん
だ緩衝材とから構成されることを特徴とする遮音性木質
系床材に係る。

以下、図面により本考案の遮音性木質系床材について詳
述する。第１図において、１は木質板であり、この木質
板１の裏面に緩衝性を有する発泡シート２、有孔木質板
３を順次貼り合わせて化粧合板を構成し、該化粧合板の
裏面に、下面に多数の独立した凸部を有する緩衝材５を
貼り合わせている。そして、この凸部４の先端中央部は
内側に凹んだ形状をしている。

上記木質板１としては、合板、パーティクルボード、ハ
ードボード、ＬＶＬ（平行合板）などをあげることがで
き、その表面に銘木単板や化粧合成樹脂シートを貼着し
たり、塗装を施して化粧層を形成してもよい。

木質板１の厚さは2.5〜3.3mmが好ましいが、これに限定
されるものではない。

木質板１の裏面に貼り合わせる緩衝性を有する発泡シー
トとしてはゴム発泡体のオレフィン系発泡体等の緩衝性
のある発泡シートであればよく、厚さは１〜2mmが好ま
しい。

さらに、中間層の有孔木質板３としては合板、パーテク
ルボード、ハードボード、ＬＶＬなどが使用できる。厚
さは2.5〜4.0mmが好ましく、孔直径は５〜15mmが好まし
いがこれらに限定されるものではない。

本考案による床材においては、前記のように中間層とし
て多数の貫通孔を有する有孔木質板３を用いたことによ
り、機械的強度を不必要に低下することなく空隙率の大
きな有孔木質板３を得ることができることから、緩衝性
を有する発泡シート２及び緩衝材４と有孔木質板３自体
を介しての上方から下方への音の伝達面積を大きく低減
することができる。

中間に位置する木質板に空隙を形成する他の方法として
木質板の幅方向に多数の切り溝を形成する方法もある
が、切り溝を形成することは全幅方向に連続した空隙を
形成することとなり、結果として、木質板の機械的強度
の低下を引き起こし、木質系床材の床面への施工後に、
床面の凹凸によって該切り溝部分においてわずかな屈曲
（いわゆる「へたり」）が発生する可能性が高くなる。

そのような屈曲により、表面材としての木質板およびそ
の裏面に貼り合わせた発泡シートにも歪みが生じ、その
歪み部分は、床材の表面に光があたった時にあたかも切
り溝の形状に沿った陰影であるかのように見えてしまう
ことから、その床材自体が不良品であるとして再施工せ
ざるを得ないことになる。

その不都合は、多数の貫通孔を形成することにより大幅
に解消される。すなわち、複数の切り溝の場合と同容積
の空隙を複数の貫通孔により形成される空隙はそれぞれ
不連続であることから、該空隙が木質板の機械的強度に
与える影響は小さい。それにより、「へたり」の発生す
る確率は大きく低減し、施工後等に不良品が発生するの
を回避することが可能となる。

緩衝材５としては、ポリオレフィン系発泡体、ゴム発泡
体等が用いられ、その中でも独立発泡体が、防水性に優
れ、連続発泡体よりもへたりにくい点で好ましい。凸部
４の直径は５〜30mm，高さは１〜5mmが好ましいが、こ
れに限定されない。また、凸部４の表面形状は円形以外
に方形，三角形，多角形いずれでもよいことはもちろん
である。この凸部４の先端中央部は内側に凹んでいる
が、この凹みは木質系床材をコンクリート床に接着剤で
接着する時の接着剤の逃げに役立っている。すなわち、
凸部４の先端が平滑であれば、接着剤が塗布されたコン
クリート床に木質系床材を当接すると、木質系床材の凸
部４によって接着剤は凸部４の周辺に逃げ、凸部４と凸
部４との隙間に入り、その空隙を埋めてしまう。一般に
床材の遮音性は、コンクリート床と木質系床材との接触
面積が小さくなる程良くなる傾向があり、このように接
着剤によってコンクリート床と木質系床材との間の空隙
を埋めることは遮音性の低下を招くのである。そのた
め、本考案では下面に多数の独立した凸部を有する緩衝
材の遮音性能を最大限に活かすため、すなわち、凸部以
外の部分が床面と接触しないようにするために、凸部の
先端中央部が内側に凹んだ構造を採用したもので、こう
することによって接着剤が必要以上に多めに塗布された
場合でも、当初の遮音性能を得られるようにしたもので
ある。

なお、第２図に示したように表層の木質板、緩衝性を有
する発泡シートおよび中間層の有孔木質板を一体化した
ものを小割して組み合わせた化粧合板の方が、小割しな
い大判サイズの化粧合板より遮音性が優れている。これ
は音が小割された部分で伝播しにくくなるためと考えら
れる。上記のように小割した木質板は、その木口面に若
干の折曲ができるようなゆるめのさね加工が施され、さ
ね継ぎによって生じる裏面の溝内に硬化後可撓性を有す
るホットメルト樹脂６を流し込んで接合され、その裏面
全体に一枚の緩衝材５が貼り合わされている。

［実施例１］ サイズ30cm×90cm、厚さ2.8mmの化粧合板、厚さ2.0mmの
ゴム発泡シート、厚さ2.7mm、孔直径10mmの有孔合板、
下面に直径10mm、高さ3mmの凸部を5,000個/m²有し、か
つこの凸部の先端中央部が内側に凹んだ厚み7.0mmのゴ
ム発泡体を貼り合わせて所望の床材を製造した。

［実施例２］ 実施例１で使用した木質板、発泡シート、有孔木質板を
順次貼り合わせて化粧合板を製造した後、これを切断し
て厚さ6.3mm、幅60mm、長さ900mmの細長い長方形板材を
製造し、これを５枚縦方向に若干ずらして、雄ざね、雌
ざねで接合した。雄ざねおよび雌ざねは接合部分で若干
の折曲ができて下地の凹凸になじみやすいようにゆるく
結合されており、また、その結合部裏面の溝内に硬化後
若干の可撓性を有するホットメルト樹脂を注入して接合
した。そしてその裏面全体に１枚のポリオレフィン系発
泡体を貼り合わせ、所望の床材を製造した。

［比較例］ 実施例１において、ゴム発泡体の下面に形成された凸部
の先端が平滑となったゴム発泡体を使用する以外は同様
にして床材を製造した。

上記実施例１、実施例２および比較例の各床材をコンク
リート床上に接着剤を介して接着した時の床衝撃音レベ
ルの測定結果を第３図に示す。

第３図において明らかなように、本考案の床材は比較例
のものに比べ若干遮音性にすぐれている。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案によって遮音性の極めてす
ぐれた木質系床材を得ることができ、かつ、施工時に接
着剤が必要以上に多めに塗布されても、凸部の先端中央
部に形成された凹みに接着剤が入るため、凸部以外の部
分が接着剤を介して床面と接触することがなく、当初の
遮音性能を確実に発揮できる。また、施工した後に床材
の表面に光があたった時でも、中間層の有孔木質板の孔
が陰影として表面から見えたりすることがなく、表面の
美麗な床面を構成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の一実施例としての遮音性木質
系床材を示す断面図、第３図は本考案実施例および比較
例の床材の遮音性を示す測定図である。 図面中１は木質板、２は緩衝性を有する発泡シート、３
は有孔木質板、４は凸部、５は緩衝材、６はホットメル
ト樹脂を示す。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】木質板、木質板の裏面に貼り合わせた緩衝
   性を有する発泡シート、該緩衝性を有する発泡シートの
   裏面に貼り合わせた有孔木質板とからなる化粧合板、お
   よび該化粧合板の裏面に貼り合わせた下面に多数の独立
   した凸部を有し、かつこの凸部の先端中央部が内側に凹
   んだ緩衝材とから構成されることを特徴とする遮音性木
   質系床材。
2. 【請求項２】化粧合板が小割りタイプの化粧板であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の遮
   音性木質系床材。