以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
《第1の実施形態》
(シート装置1の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシート装置1の構成について、図1~図17を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」等、各方向に「シート」を付して示す場合には、後述するシート装置1の向きを基準とした方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1~図17のいずれかの図を適宜参照するものとする。
図1に示すように、本実施形態に係るシート装置1は、自動車のフロアF上に設置される1人掛け用の右側座席として構成される。上記シート装置1は、着座者の背凭れ部を成すシートバック2と、着座部を成すシートクッション3と、頭凭れ部を成すヘッドレスト4と、を備える。
シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、それぞれ、電動式のリクライニング機構5を介してシートクッション3の左右両サイドの後端部に連結されている。それにより、シートバック2は、各リクライニング機構5の動作に伴って、シートクッション3に対する背凭れ角度をシート前後方向に自由に調節することができる構成とされる。
上記シートバック2とシートクッション3との各連結部には、それぞれ、樹脂製のサイドシールド6A,6Bがシート幅方向の外側から被せ付けられている。右側のサイドシールド6Aは、左側のサイドシールド6Bよりも前方に長く延出して、シートクッション3の右側部も覆う構成とされる。
シートクッション3は、その左右両側部が、それぞれ、電動式のリフタ機構7を介してフロアFと連結された構成とされる。それにより、シートクッション3は、各リフタ機構7の動作に伴って、そのフロアFに対する高さを自由に調節することができる構成とされる。上記シートクッション3は、その前部の座面角度を調節することが可能なチルト機構8を備える。
上記シートバック2とシートクッション3とは、それぞれ、着座者の荷重を弾性的に支持するクッション体20,40が、シート幅方向に3分割された3つの分割要素から成る構成とされる。具体的には、シートバック2は、その着座者の背部を弾性的に支持するクッション体20が、シート幅方向の中央部分を成す天板メイン部21と、シート幅方向の両サイド部分を成す各天板サイド部22と、の3つの分割要素から成る構成とされる。ここで、天板メイン部21と各天板サイド部22とが、それぞれ、本発明の「分割クッション」に相当する。
天板メイン部21は、その着座者の背部と接するシート表面が、前方を向く比較的平坦な面形状から成り、着座者の背部を後方から真っ直ぐ弾性支持することができる構成とされる。各天板サイド部22は、その着座者の背部と接するシート表面が、シート幅方向の内側から外側に向かって前方に斜めに張り出す土手状の張出し形状とされる。それにより、各天板サイド部22は、着座者の背部をシート幅方向の外斜め後方から弾性支持することができる構成とされる。
シートクッション3も同様に、その着座者の尻部を弾性的に支持するクッション体40が、シート幅方向の中央部分を成す天板メイン部21と、シート幅方向の両サイド部分を成す各天板サイド部42と、の3つの分割要素から成る構成とされる。ここで、天板メイン部41と各天板サイド部42とが、それぞれ、本発明の「分割クッション」に相当する。
天板メイン部21は、その着座者の尻部と接するシート表面が、上方を向く比較的平坦な面形状から成り、着座者の尻部を下方から真っ直ぐ弾性支持する構成とされる。各天板サイド部42は、その着座者の尻部と接するシート表面が、シート幅方向の内側から外側に向かって上方に斜めに張り出す土手状の張出し形状とされる。それにより、各天板サイド部42は、着座者の尻部をシート幅方向の外斜め下方から弾性支持する構成とされる。
上記シートバック2のクッション体20は、その天板メイン部21と各天板サイド部22とを、それぞれ、シートバック2の骨格を成すバックフレーム10に対して、前方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる(図2~図8参照)。また、シートクッション3のクッション体40も同様に、その天板メイン部41と各天板サイド部42とを、それぞれ、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム30に対して、上方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる(図9~図16参照)。
上記シート装置1は、上記のような組み付け構造とされていても、シートバック2のクッション体20やシートクッション3のクッション体40をバックフレーム10やクッションフレーム30に対して適切に固定することができる構成とされる。以下、シートバック2及びシートクッション3の各部の具体的な構成について詳しく説明する。ここで、バックフレーム10とクッションフレーム30が、それぞれ、本発明の「シートフレーム」に相当する。
(シートバック2)
先ず、図2~図8を用いて、シートバック2の構成について説明する。シートバック2は、図2~図3に示すように、その内部骨格を成す金属製のバックフレーム10と、バックフレーム10に組み付けられて着座者の荷重を弾性的に支持するクッション体20と、を有する。
また、図示は省略されているが、シートバック2は、その背面を覆う樹脂製のバックボードを有する。バックフレーム10は、図4~図5に示すように、正面視が縦長な枠形状に組まれた構成とされる。
具体的には、バックフレーム10は、シートバック2の左右両側部に沿った縦長状の骨格を成す左右一対のサイドフレーム11を有する。また、バックフレーム10は、シートバック2の上側部に沿った横長状の骨格を成すアッパフレーム12を有する。また、バックフレーム10は、シートバック2の下側部に沿った横長状の骨格を成すロアフレーム13を有する。
各サイドフレーム11は、それぞれ、高さ方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。各サイドフレーム11は、互いにシート幅方向に対向する向きに配設されている。各サイドフレーム11は、それぞれ、各々の前縁と後縁とがシート幅方向の内側に折り曲げられた横断面U字状のフレーム形状とされる。
アッパフレーム12は、シート幅方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。アッパフレーム12は、後向きに開口する横断面U字状のフレーム形状とされる。アッパフレーム12は、各サイドフレーム11の上端部間に架橋されてこれらに一体的に溶接されている。
ロアフレーム13は、シート幅方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。ロアフレーム13は、下端部が前方に湾曲する横断面J字状のフレーム形状とされる。ロアフレーム13は、各サイドフレーム11の下端部間に架橋されてこれらに一体的に溶接されている。詳しくは、ロアフレーム13は、各サイドフレーム11の下部後縁のシート幅方向の内側に折り曲げられたフランジ部と、下部前縁のシート幅方向の内側に折り曲げられたフランジ部と、の間に跨って溶接されている。
クッション体20は、シートバック2のシート幅方向の中央部分のクッション構造を成す天板メイン部21と、シート幅方向の両サイド部分のクッション構造を成す各天板サイド部22と、の3つの分割要素から成る。これら天板メイン部21と各天板サイド部22とは、互いが完全に分離された構成とされて、それぞれが個別にバックフレーム10に前方から組み付けられて固定される構成とされる。
(天板メイン部21)
図3、図5及び図6に示すように、天板メイン部21は、発泡ウレタン製のメインパッド21Aと、メインパッド21Aの表面全体に被せられるファブリック製のメインカバー21Bと、を有する。また、天板メイン部21は、メインパッド21Aの上部裏面(後面)に沿って積層状に設けられる樹脂製のメインパネル21Cを有する。
ここで、メインパッド21Aが、本発明の「シートパッド」に相当する。また、メインカバー21Bが、本発明の「シートカバー」に相当する。なお、図3、図5及び図6では、メインカバー21Bが細線により外形ラインのみが示され、メインカバー21Bにより覆われた内部構造が可視化されて示されている。
メインパッド21Aは、バックフレーム10のアッパフレーム12とロアフレーム13とに跨って前方から被せられる形にセットされる、高さ方向に長尺なパッド形状に形成されている。詳しくは、メインパッド21Aは、バックフレーム10の各サイドフレーム11の間の枠内領域をシート幅方向の大部分の領域に亘って前方から覆うことが可能な幅広なパッド形状に形成されている。
また、メインパッド21Aは、その上縁部と下縁部とがそれぞれ後方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。上記メインパッド21Aは、その後方に張り出す上縁部と下縁部とが、アッパフレーム12の天板上とロアフレーム13の底板下とにも前方から被せられる構成とされる。
上記メインパッド21Aは、図2及び図8に示すように、その着座者の背部と接するシート表面が、前方を向く比較的平坦な面形状とされ、着座者の背部を後方から真っ直ぐ弾性支持することができる構成とされる。それにより、メインパッド21Aは、着座者の背部をバックフレーム10の枠内領域において後方から広く弾性支持することができる構成とされる。
図6を参照して、上記メインパッド21Aは、その発泡成形時に、成形型内にメインパネル21Cがセットされて発泡成形されることにより、メインパネル21Cと一体に接合された状態に成形されている。メインパネル21Cは、メインパッド21Aの上部領域、詳しくは、図5に示すように、メインパッド21Aのアッパフレーム12に前方から被せられる上部領域の裏面(後面)に沿って積層状に設けられる。
図5~図6に示すように、上記メインパネル21Cには、その裏面上の左右2箇所の位置に、後方に向かって台座状に突出する取付座21C1がそれぞれ形成されている。各取付座21C1には、それぞれ、樹脂製のクリップCLがシート幅方向の内側から差し込まれて一体的に装着されている。上記装着により、各クリップCLは、それらの先端部を各取付座21C1から後方に突出させた状態として、各取付座21C1に一体的に固定されている。
各クリップCLは、図5に示すように、天板メイン部21をバックフレーム10に組み付ける際、アッパフレーム12の前板部に形成された対応する各クリップ嵌合孔12A内にそれぞれ前方から差し込まれる。それにより、各クリップCLが、アッパフレーム12の各クリップ嵌合孔12A内に弾性変形を伴いながら差し込まれて、復元に伴う弾発力により各クリップ嵌合孔12Aの周縁に引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
上記スナップフィット嵌合により、メインパッド21Aが、アッパフレーム12とロアフレーム13とに跨って前方から被せられた状態にセットされる。上記メインパネル21Cには、その中央上縁部に沿って、後方に向かって庇状に張り出す庇部21C2が形成されている。
上記庇部21C2は、メインパッド21Aの後方に張り出す上縁部の下面と面一状を成すようにシート幅方向に板状に延びる形状とされる。上記庇部21C2は、メインパネル21Cの各クリップCLがアッパフレーム12の各クリップ嵌合孔12A内に前方から差し込まれて組み付けられることにより、アッパフレーム12の天板上に乗り上がる形にセットされる。それにより、メインパネル21Cは、天板メイン部21に掛けられる重力方向の荷重を庇部21C2からアッパフレーム12の天板上に伝達して、アッパフレーム12により下方から支持される構成とされる。
上記メインパネル21Cには、その左右両縁と庇部21C2の後縁とに、それぞれ、各縁に沿って筋状に延びる形に窪んだカバー固定溝21C3が形成されている。これらカバー固定溝21C3は、後向きに開口するスリット形状とされ、メインカバー21Bのメインパッド21Aの上面や左右両側面に被せられた先の各端末を固定するための部位とされる。具体的には、カバー固定溝21C3は、メインカバー21Bの各端末に沿って結合された不図示の樹脂プレートをこれらの内部に後方から差し込むことで、各樹脂プレートをメインカバー21Bの張設に伴うテンションにより後方に抜けないように引掛けて固定する構成とされる。
メインカバー21Bは、メインパッド21Aの表面全体に前方から被せられて、その上下左右の各周縁側の端末が、メインパッド21Aの上下左右の各周囲面を通ってシート裏側(後側)へと引き込まれている。そして、メインカバー21Bは、そのメインパッド21Aの上面や左右両側面に被せられた先の各端末が、前述した不図示の樹脂プレートにより、メインパネル21Cの裏側の各カバー固定溝21C3に止着されている。
また、メインカバー21Bのメインパッド21Aの下面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、ロアフレーム13のシート裏側部(後部)に形成された不図示の引掛溝に引掛けられることで止着されている。また、メインカバー21Bのメインパッド21Aの左右両側面に被せられた先の端末は、上記不図示の樹脂プレートが結合されていない箇所では、メインパッド21Aの裏面(後面)に不図示の面ファスナ等の結合具により結合されることで止着されている。
(天板サイド部22)
図3、図5及び図6に示すように、各天板サイド部22は、それぞれ、発泡ウレタン製のサイドパッド22Aと、サイドパッド22Aの表面全体に被せられるファブリック製のサイドカバー22Bと、を有する。また、各天板サイド部22は、それぞれ、サイドパッド22Aの裏面(後面)に沿った高さ方向の広い領域に亘って積層状に設けられる樹脂製のサイドパネル22Cを有する。
ここで、各サイドパッド22Aが、それぞれ、本発明の「シートパッド」に相当する。また、各サイドカバー22Bが、それぞれ、本発明の「シートカバー」に相当する。なお、図3、図5及び図6では、各サイドカバー22Bが細線により外形ラインのみが示され、各サイドカバー22Bにより覆われた内部構造が可視化されて示されている。
各サイドパッド22Aは、それぞれ、バックフレーム10の各サイドフレーム11の高さ方向の全域に亘って前方から被せられる形にセットされる、高さ方向に長尺なパッド形状に形成されている。詳しくは、各サイドパッド22Aは、メインパッド21Aとシート幅方向に隙詰めされて横並び状に並ぶ形にセットされるパッド形状とされる。
各サイドパッド22Aは、それらの上縁部と下縁部とがそれぞれ後方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。各サイドパッド22Aは、それらの後方に張り出す上縁部と下縁部とが、バックフレーム10のアッパフレーム12の天板上とロアフレーム13の底板下とにも前方から被せられる構成とされる。
また、各サイドパッド22Aは、それらのシート幅方向の内縁部と外縁部ともそれぞれ後方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。各サイドパッド22Aは、それらの後方に張り出す内縁部と外縁部とが、各サイドフレーム11のシート幅方向の内側面と外側面とにも前方から被せられる構成とされる。
各サイドパッド22Aは、図2及び図8に示すように、それらの着座者の背部と接するシート表面が、メインパッド21Aのシート表面と並んで、シート幅方向の内側から外側に向かって前方に斜めに張り出す土手状の張出し形状を備えた構成とされる。それにより、各サイドパッド22Aは、着座者の背部をシート幅方向の外斜め後方から弾性支持することが可能なサイドサポート機能を備えた構成とされる。
図6を参照して、各サイドパッド22Aは、それらの発泡成形時に、成形型内に対応する各サイドパネル22Cがセットされて発泡成形されることにより、対応する各サイドパネル22Cと一体に接合された状態に成形されている。各サイドパネル22Cは、図5に示すように、各サイドパッド22Aの各サイドフレーム11に被せられる高さ方向の大部分の裏面領域に沿って積層状に設けられる。
詳しくは、各サイドパネル22Cは、図8に示すように、各サイドパッド22Aの裏面の肉抜きされた凹面形状に沿って、これらの凹面形状に沿ったU字状の横断面を成す形で高さ方向に延びる形に設けられている。各サイドパッド22Aの裏面の肉抜き形状は、各サイドパッド22Aの土手状に張り出すシート表面形状に沿った土手状の肉抜き形状とされる。
したがって、これらサイドパッド22Aの土手状の凹面形状に沿って積層状に設けられる各サイドパネル22Cにより、各サイドパッド22Aの土手状の張り出し部分が、各々の土手の各斜面に沿ってシート裏側からそれぞれ面状に強く支持されることとなる。それにより、各サイドパッド22Aが、各サイドパネル22Cによって、それらの土手状の張り出し部分がシート幅方向の内外に倒されにくくなるようにシート裏側から強く支持される。
詳しくは、各サイドパッド22Aは、各サイドパネル22Cによりシート裏側から面状に支持されることで、着座者の背部から受ける荷重を広く体圧分散させて受け止めることができる構成とされる。そのようなことから、各天板サイド部22は、着座者の背部をシート幅方向の外斜め後方から適切な硬さで弾性支持することができる構成とされる。また、各天板サイド部22は、着座者がシート装置1に対して横方向から乗降する際に、シート幅方向の内外に押し込まれる力を受けても、それらの土手形状がシート幅方向の内外に倒れにくくなっている。
各サイドパネル22Cは、各サイドフレーム11に前方から組み付けられることで、それらのU字の横断面が各サイドフレーム11を前方とシート幅方向の内外方とからそれぞれ覆った状態にセットされる。各サイドパネル22Cには、図5~図6に示すように、それらの裏面上の高さ方向の複数箇所に板状のリブ22C1が間隔を空けて並んで形成されている。
各リブ22C1は、それぞれ、各サイドパネル22CのU字の内部に板状に張り出す形に形成されている。詳しくは、各リブ22C1は、各サイドパネル22CのU字の横断面の内側壁と前壁と外側壁とにそれぞれ繋がる後向きに開口したU字板状に張り出す形に形成されている。
図6を参照して、各リブ22C1は、各サイドパネル22Cが各サイドフレーム11に前方から組み付けられることにより、それらのU字の前辺部分が、各サイドフレーム11の前縁部分、すなわちシート幅方向の内側に折り曲げられた前縁側のフランジ部分に前方から臨む形にセットされる。
そして、各リブ22C1のU字の内側辺部分(サイド当接部22C2)が、各サイドフレーム11の前縁側のフランジ部分の折り曲げられた先のエッジ部分にシート幅方向の内側から臨む形にセットされる。更に、各リブ22C1のU字の外側辺部分が、各サイドフレーム11の外側面に臨む形にセットされる。上記組み付けにより、各サイドパネル22Cは、各リブ22C1が形成された領域では、各サイドフレーム11に対して、前方とシート幅方向の内外方とからそれぞれ当接して荷重伝達することができる構成とされる。
図5~図6に示すように、各サイドパネル22Cには、それらの裏面上の高さ方向の3箇所の位置に、後方に向かって台座状に突出する取付座22C3がそれぞれ形成されている。各取付座22C3には、それぞれ、樹脂製のクリップCLが下側、上側、或いはシート幅方向の内側から差し込まれて一体的に装着されている。上記装着により、各クリップCLは、それらの先端部を各取付座22C3から後方に突出させた状態として、各取付座22C3に一体的に固定されている。
各クリップCLは、図5に示すように、各天板サイド部22をバックフレーム10に組み付ける際、各サイドフレーム11に結合された対応する各ブラケット11Aのクリップ嵌合孔11B内にそれぞれ前方から差し込まれる。それにより、各クリップCLが、各ブラケット11Aのクリップ嵌合孔11B内に弾性変形を伴いながら差し込まれて、復元に伴う弾発力により各クリップ嵌合孔11Bの周縁に引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
上記スナップフィット嵌合により、各サイドパッド22Aが、対応する各サイドフレーム11にそれぞれ前方から被せられた状態にセットされる。ここで、各サイドパネル22Cの高さ方向に並ぶ各3つの取付座22C3のうち、上側と下側に配置される各2つの取付座22C3は、それぞれ、各サイドパネル22CにおけるU字の横断面の外側壁及び外側壁と繋がる対応するリブ22C1と繋がる外寄りの位置に配置されている。
また、高さ方向の中間側に配置される各1つの取付座22C3は、それぞれ、各サイドパネル22CにおけるU字の横断面の内側壁の後縁からシート幅方向の内側に延出する後面部上となる内寄りの位置に配置されている。このように、各取付座22C3は、上下2つに対して中間側の1つがシート幅方向の内側にずれて配置された千鳥配置となっている。それにより、各取付座22C3に装着される各クリップCLの配置も、シート幅方向にずれた千鳥配置となっている。
各サイドパネル22Cには、それらのU字の横断面の内側壁の後縁と外側壁の後縁とに、それぞれ、各縁に沿って筋状に延びる形に窪んだカバー固定溝22C4が形成されている。これらカバー固定溝22C4は、後向きに開口するスリット形状とされ、各サイドカバー22Bの各サイドパッド22Aの左右両側面に被せられた先の各端末を固定するための部位とされる。具体的には、各カバー固定溝22C4は、各サイドカバー22Bの各端末に沿って結合された不図示の樹脂プレートをこれらの内部に後方から差し込むことで、各樹脂プレートを各サイドカバー22Bの張設に伴うテンションにより後方に抜けないように引掛けて固定する構成とされる。
図5に示すように、各サイドパネル22Cには、それらの各サイドパッド22Aの上縁部に沿って後方に庇状に張り出す上壁部に、下方に向かって台座状に突出するボス22C5が形成されている。各ボス22C5は、各天板サイド部22をバックフレーム10に組み付ける際、アッパフレーム12の天板の左右両端部に形成された対応する各ボス孔12B内にそれぞれ上方から通されて嵌合される部位とされる。
上記嵌合により、各サイドパネル22Cの上壁部が、アッパフレーム12に対してそれぞれ前後左右に当接して移動規制される状態にセットされる。したがって、各ボス22C5をアッパフレーム12の各ボス孔12B内に上方から通した後、上述した各クリップCLを対応する各ブラケット11Aのクリップ嵌合孔11B内に前方から差し込んでスナップフィット嵌合させることで、各ボス22C5がアッパフレーム12の各ボス孔12Bから上方に抜けない状態に固定される。
各サイドカバー22Bは、対応する各サイドパッド22Aの表面全体に前方から被せられて、それらの上下左右の各周縁側の端末が、対応する各サイドパッド22Aの上下左右の各周囲面を通ってシート裏側(後側)へと引き込まれている。そして、各サイドカバー22Bは、それらの各サイドパッド22Aの左右両側面に被せられた先の各端末が、前述した不図示の樹脂プレートにより、対応する各サイドパネル22Cの裏側の各カバー固定溝22C4に止着されている。
また、各サイドカバー22Bの各サイドパッド22Aの上面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、アッパフレーム12のシート裏側部(後部)に結合された不図示の引掛部に引掛けられることで止着されている。また、各サイドカバー22Bの各サイドパッド22Aの下面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、ロアフレーム13のシート裏側部(後部)に結合された不図示の引掛部に引掛けられることで止着されている。
(天板メイン部21と各天板サイド部22の組み付け)
上記クッション体20を構成する天板メイン部21と各天板サイド部22とは、次の手順により、バックフレーム10に対して前方から組み付けられる。先ず、クッション体20は、各天板サイド部22が天板メイン部21よりも先にバックフレーム10に前方から順に組み付けられる。
各天板サイド部22は、それぞれ、各サイドパッド22Aに対応する各サイドカバー22Bが被せられて、各サイドカバー22Bの端末に結合された不図示の樹脂プレートが各サイドパネル22Cの裏側の各カバー固定溝22C4に止着されてモジュール化された状態として、バックフレーム10に組み付けられる。また、天板メイン部21も、メインパッド21Aにメインカバー21Bが被せられて、メインカバー21Bの端末に結合された不図示の樹脂プレートがメインパネル21Cの裏側の各カバー固定溝21C3に止着されてモジュール化された状態として、バックフレーム10に組み付けられる。
具体的には、先ず、各天板サイド部22をバックフレーム10に前方から近づけ、各サイドパネル22Cの上壁部に形成された各ボス22C5をアッパフレーム12の左右両端部に形成された対応する各ボス孔12B内に上方から順に通して嵌合させる。これにより、各天板サイド部22のボス22C5が、アッパフレーム12の左右両端部にそれぞれ係合される。
次に、これらボス22C5の嵌合部分を支点に、各サイドパネル22Cを各サイドフレーム11に前方から順に押し付ける。それにより、各サイドパネル22Cの裏面に装着された各クリップCLを、各サイドフレーム11に結合された対応する各ブラケット11Aのクリップ嵌合孔11B内にそれぞれ前方から差し込んで一体的にスナップフィット嵌合させる。
上記組み付けにより、各天板サイド部22が、バックフレーム10に対してそれぞれ一体的に組み付けられる。次に、各天板サイド部22のサイドカバー22Bの上縁側の端末をアッパフレーム12の裏側へと引き込んで、不図示の引掛部に引掛けて止着する。そして、各天板サイド部22のサイドカバー22Bの下縁側の端末をロアフレーム13の裏側へと引き込んで、不図示の引掛溝に引掛けて止着する。
上記組み付けにより、各天板サイド部22が、各サイドフレーム11に対して一体的に組み付けられる。このように、各天板サイド部22は、バックフレーム10に対して、一部、後方に手を伸ばす必要はあるものの、前方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる。
上記組み付けにより、各天板サイド部22は、各サイドフレーム11によってそれぞれシート裏側から硬く支持される状態とされる。詳しくは、各天板サイド部22は、各サイドフレーム11に対して、それぞれ、高さ方向の3箇所の部位に千鳥配置された各クリップCLにより一体的に固定される。
また、各天板サイド部22は、各サイドパネル22Cのサイド当接部22C2が、各サイドフレーム11に対してシート幅方向の内側からそれぞれ当接して荷重伝達することができる状態にセットされる。したがって、各天板サイド部22は、着座者の背部から受けるシート幅方向の内側から外側へ向けた横方向の荷重を、千鳥配置とされた各クリップCLの固定構造により強く支持することができると共に、各サイド当接部22C2からも各サイドフレーム11に適切に伝達して、広く荷重分散して受け止めることができる。
次に、天板メイン部21をバックフレーム10に前方から組み付ける。具体的には、先ず、天板メイン部21をバックフレーム10に前方から近づけ、メインパネル21Cの左右2箇所に装着された各クリップCLを、アッパフレーム12の前板部に形成された対応する各クリップ嵌合孔12A内にそれぞれ前方から差し込んで一体的にスナップフィット嵌合させる。
上記組み付けに際しては、天板メイン部21は、先にバックフレーム10に組み付けられた各天板サイド部22の間に前方から嵌め込まれるようにセットされることで、各天板サイド部22により概ねの組み付け位置がガイドされる。上記組み付けにより、天板メイン部21のメインパッド21Aが、アッパフレーム12とロアフレーム13とに跨って前方から被せられた状態にセットされる。また、メインパネル21Cの庇部21C2が、アッパフレーム12の天板上に乗り上がる形にセットされる。
次に、メインカバー21Bの下縁側の端末をロアフレーム13の裏側へと引き込んで、不図示の引掛溝に引掛けて止着する。上記組み付けにより、天板メイン部21が、アッパフレーム12とロアフレーム13とに跨って一体的に組み付けられる。このように、天板メイン部21も、バックフレーム10に対して、一部、後方に手を伸ばす必要はあるものの、前方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる。
上記組み付けにより、天板メイン部21は、その上部と下部とがアッパフレーム12とロアフレーム13とによってそれぞれシート裏側から硬く支持される状態とされる。また、天板メイン部21は、上記アッパフレーム12とロアフレーム13との間の枠内領域では、これらの間に架橋される不図示のコンタマットによりシート裏側から面状に弾性支持されるようになっている。それにより、天板メイン部21は、上記アッパフレーム12とロアフレーム13との間の枠内領域では、着座者の背部から受ける荷重をシート裏側から柔らかく支持できるようになっている。
このように、クッション体20は、その構成要素となる天板メイン部21と各天板サイド部22とを、それぞれ、バックフレーム10に対して、組み付けの作業者がバックフレーム10の後方に回り込むことなく、前方からのアクセスのみにより簡便に組み付けることができる構成とされる。したがって、クッション体20のバックフレーム10に対する組み付け方向が統一され、組み付けの作業性を向上させることができる。
上記クッション体20を構成する天板メイン部21と各天板サイド部22とは、互いが完全に分離された構成とされて、それぞれが個別に着座者の背部を弾性支持する構成とされる。そのため、クッション体20は、車両の後部衝突の発生時に、着座者の背部がシートバック2に前方から強く押し付けられて天板メイン部21が後方に強く押し込まれたとしても、各天板サイド部22が天板メイン部21により後方に引張られることがない。
したがって、各天板サイド部22が天板メイン部21と繋がっている構成と比べて、天板メイン部21を着座者の背部から受ける荷重に対してより大きく後方に沈み込ませることができる。そのようなことから、車両の後部衝突の発生時には、着座者の背部の沈み込みが比較的早期に食い止められてしまうような構成と比べて、頭部が背部を支点に鞭打ち状に後傾するような動作を生じさせにくくすることができる。
図8に示すように、上記天板メイン部21と各天板サイド部22との境界面である各分割面Mは、次のような折れ曲がり状の分割面形状とされる。すなわち、各分割面Mは、シート表側からシート裏側へ向かって延びる第1分割面M1と、第1分割面M1のシート裏側へ延びた先からシート幅方向の内側に斜めに折れ曲がってシート裏側へと延びる第2分割面M2と、を有する面形状とされる。
このような構成とされることで、天板メイン部21と各天板サイド部22との間にシート表側から異物や使用者の指が入り込んだとしても、第1分割面M1と第2分割面M2との間の屈曲部において、異物や使用者の指の奥深くへの入り込みが規制されやすくなる。各分割面Mは、詳しくは、それぞれの第1分割面M1が第2分割面M2よりも前後方向に立ち上がる向きでシート表側からシート裏側へと延びる面形状とされる。
また、各分割面Mの第2分割面M2が第1分割面M1の延びた先から折れ曲がる位置は、天板メイン部21の厚さ方向(前後方向)の中央よりもシート裏側寄りの位置とされる。上記天板メイン部21は、上記分割構造により、その左右両側の第2分割面M2において、各天板サイド部22によりシート裏側から斜めに支持され得る構成とされる。
各天板サイド部22のサイドパッド22Aは、天板メイン部21のメインパッド21Aよりも硬質な発泡ウレタンから成る構成とされる。そのようなことから、クッション体20は、天板メイン部21において着座者の背部を後方から比較的柔らかく支持しつつ、各天板サイド部22により着座者の背部を適切な硬さでサイドサポートすることができる構成とされる。
詳しくは、クッション体20が上記分割構造とされることで、天板メイン部21と各天板サイド部22とに、互いに硬度の異なる発泡ウレタンを境界部分で混ざり合わせることなく適切に区切って設けることができる。また、各天板サイド部22が天板メイン部21よりも硬くなっていることで、第1分割面M1と第2分割面M2との間の屈曲部において、異物や使用者の指の奥深くへの入り込みの規制をより適切に行うことができる。
天板メイン部21のメインカバー21Bは、そのシート表面に張られる天板カバーピースB1と、左右の各分割面Mに張られる各分割面カバーピースB3と、が1枚に縫合された構成とされる。天板カバーピースB1は、その左右各側の周縁に各分割面Mの第1分割面M1にも張られるように延びる延長部位B2を有し、各第1分割面M1上で各延長部位B2の縁部と各分割面カバーピースB3の縁部とが縫合される縫合部B4を有する構成とされる。
各天板サイド部22のサイドカバー22Bも同様に、そのシート表面に張られる天板カバーピースB1と、天板メイン部21との間の分割面Mに張られる分割面カバーピースB3と、が1枚に縫合された構成とされる。各天板カバーピースB1は、上記分割面Mの第1分割面M1にも張られるように延びる延長部位B2を有し、各第1分割面M1上で各延長部位B2の縁部と各分割面カバーピースB3の縁部とが縫合される縫合部B4を有する構成とされる。このように、各縫合部B4がシート表面から外れた分割面M上に設けられることで、クッション体20の座り心地及び外観品質を損ないにくくすることができる。
(シートクッション3)
次に、図9~図16を用いて、シートクッション3の構成について説明する。シートクッション3は、図9~図10に示すように、その内部骨格を成す金属製のクッションフレーム30と、クッションフレーム30に組み付けられて着座者の荷重を弾性的に支持するクッション体40と、を有する。クッションフレーム30は、図11~図12に示すように、平面視が縦長な枠形状に組まれた構成とされる。
具体的には、クッションフレーム30は、シートクッション3の左右両側部に沿った前後方向に長尺な骨格を成す左右一対のロアアーム31を有する。また、クッションフレーム30は、各ロアアーム31の前部上に高さ方向に回転可能なように組み付けられた左右一対の前後方向に長尺なチルトアーム32を有する。また、クッションフレーム30は、各チルトアーム32の前端部間に一体的に架橋された横長状のパネル材から成るチルトパネル33を有する。チルトパネル33は、シートクッション3の前側部に沿った横長状の骨格を成す。
チルトパネル33は、各チルトアーム32が不図示の駆動ユニットにより各ロアアーム31に対して高さ方向に回転駆動されることで、各ロアアーム31に対する起立角度(座面角度)が変えられる構成とされる(チルト機構8)。具体的には、チルトパネル33は、各チルトアーム32と共に各ロアアーム31の上面と面一状を成す平坦位置と、この平坦位置から各チルトアーム32の引き上げ回転により各ロアアーム31に対して前上がり状の角度を成す傾斜位置と、に切り替え可能な構成とされる。
また、クッションフレーム30は、各ロアアーム31の前部間に一体的に架橋されるフロントパイプ34と、各ロアアーム31の後部間に一体的に架橋されるリヤパイプ35と、を有する。各ロアアーム31は、それぞれ、前後方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。各ロアアーム31は、互いにシート幅方向に対向する向きに配設されている。各ロアアーム31は、それぞれ、各々の上縁と下縁とが右側に折り曲げられた横断面U字状のフレーム形状とされる。
各チルトアーム32も、それぞれ、前後方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。各チルトアーム32は、横断面階段状のフレーム形状を成す構成とされる。具体的には、各チルトアーム32は、それぞれ、第1天板部32Aと、第1側板部32Bと、第2天板部32Cと、第2側板部32Dと、を有する形状とされる。
各第1天板部32Aは、各ロアアーム31の上面に沿って前後方向に長尺状に延びる板形状とされる。各第1天板部32Aは、各ロアアーム31の上面よりもシート幅方向の外側に張り出す板形状とされる。
各第1側板部32Bは、各第1天板部32Aのシート幅方向の内側の縁部から垂下状に延びる板形状とされる。各第1側板部32Bは、各ロアアーム31とシート幅方向の内側から対向し、それらの後端部が各ロアアーム31に対して回転可能なようにピン接合された構成とされる。各ピン接合により、各チルトアーム32が各ロアアーム31に対して高さ方向に回転可能なように連結されている。
各第2天板部32Cは、各第1側板部32Bの下側の縁部からシート幅方向の内側に向かって折れ曲がり状に延びる板形状とされる。各第2天板部32Cは、各ロアアーム31よりもシート幅方向の内側かつ低い位置で前後方向に長尺状に延びる板形状とされる。各第2側板部32Dは、各第2天板部32Cのシート幅方向の内側の縁部から垂下状に延びる板形状とされる。
チルトパネル33は、シート幅方向に長尺状に延びる形に成形された金属板のプレス成型品から成る。チルトパネル33は、各チルトアーム32の第1天板部32Aの前端部間に架橋されてこれらに一体的に溶接されている。
クッション体40は、シートクッション3のシート幅方向の中央部分のクッション構造を成す天板メイン部41と、シート幅方向の両サイド部分のクッション構造を成す各天板サイド部42と、の3つの分割要素から成る。これら天板メイン部41と各天板サイド部42とは、互いが完全に分離された構成とされて、それぞれが個別にクッションフレーム30に上方から組み付けられて固定される構成とされる。
(天板メイン部41)
図10、図12及び図13に示すように、天板メイン部41は、発泡ウレタン製のメインパッド41Aと、メインパッド41Aの表面全体に被せられるファブリック製のメインカバー41Bと、を有する。また、天板メイン部41は、メインパッド41Aの前部裏面(下面)に沿って積層状に設けられる樹脂製のメインパネル41Cを有する。
ここで、メインパッド41Aが、本発明の「シートパッド」に相当する。また、メインカバー41Bが、本発明の「シートカバー」に相当する。なお、図10、図12及び図13では、メインカバー41Bが細線により外形ラインのみが示され、メインカバー41Bにより覆われた内部構造が可視化されて示されている。
メインパッド41Aは、クッションフレーム30のチルトパネル33とリヤパイプ35とに跨って上方から被せられる形にセットされる、前後方向に長尺なパッド形状に形成されている。詳しくは、メインパッド41Aは、クッションフレーム30の各ロアアーム31の間の枠内領域をシート幅方向の大部分の領域に亘って上方から覆うことが可能な幅広なパッド形状に形成されている。
また、メインパッド41Aは、その前縁部と後縁部とがそれぞれ下方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。上記メインパッド41Aは、その下方に張り出す前縁部と後縁部とが、チルトパネル33の前面とリヤパイプ35の後面とにも上方から被せられる構成とされる。
上記メインパッド41Aは、図9及び図15~図16に示すように、その着座者の尻部と接するシート表面が、上方を向く比較的平坦な面形状とされ、着座者の尻部を後方から真っ直ぐ弾性支持することができる構成とされる。それにより、メインパッド41Aは、着座者の尻部をクッションフレーム30の枠内領域において下方から広く弾性支持することができる構成とされる。
図13を参照して、上記メインパッド41Aは、その発泡成形時に、成形型内にメインパネル41Cがセットされて発泡成形されることにより、メインパネル41Cと一体に接合された状態に成形されている。メインパネル41Cは、メインパッド41Aの前部領域、詳しくは、図12に示すように、メインパッド41Aのチルトパネル33に上方から被せられる前部領域の裏面(下面)に沿って積層状に設けられる。
図12~図13に示すように、上記メインパネル41Cには、その裏面上の左右2箇所の位置に、下方に向かって台座状に突出する取付座41C1がそれぞれ形成されている。各取付座41C1には、それぞれ、樹脂製のクリップCLが後方からから差し込まれて一体的に装着されている。上記装着により、各クリップCLは、それらの先端部を各取付座41C1から下方に突出させた状態として、各取付座41C1に一体的に固定されている。
各クリップCLは、図12に示すように、天板メイン部41をクッションフレーム30に組み付ける際、チルトパネル33上に形成された対応する各クリップ嵌合孔33A内にそれぞれ上方から差し込まれる。それにより、各クリップCLが、チルトパネル33の各クリップ嵌合孔33A内に弾性変形を伴いながら差し込まれて、復元に伴う弾発力により各クリップ嵌合孔33Aの周縁に引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
上記スナップフィット嵌合により、メインパッド41Aが、チルトパネル33とリヤパイプ35とに跨って上方から被せられた状態にセットされる。上記メインパネル41Cには、その中央前縁部から下方に突出する形に張り出す左右一対の引掛部41C2が形成されている。
各引掛部41C2は、それぞれ、メインパッド41Aの下方に張り出す前縁部の後面と面一状を成すようにシート幅方向に板状に延びる形状とされる。各引掛部41C2は、メインパネル41Cの各クリップCLがチルトパネル33の各クリップ嵌合孔33A内に上方から差し込まれて組み付けられることにより、チルトパネル33の前縁に下方から引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
具体的には、各引掛部41C2は、上記各クリップCLの差し込みに伴い、チルトパネル33の前縁に押し当てられて弾性変形を伴いながら下方へと押し込まれ、復元に伴う弾発力によりチルトパネル33の前縁に下方から引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。それにより、メインパネル41Cは、その前縁もチルトパネル33に対して一体的に固定された状態となる。
メインカバー41Bは、メインパッド41Aの表面全体に上方から被せられて、その前後左右の各周縁側の端末が、メインパッド41Aの前後左右の各周囲面を通ってシート裏側(下側)へと引き込まれている。そして、メインカバー41Bのメインパッド41Aの左右両側面に被せられた先の端末は、メインパッド41Aの裏面(下面)に不図示の面ファスナ等の結合具により結合されることで止着されている。
また、メインカバー41Bのメインパッド41Aの前面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、チルトパネル33のシート裏側部(下部)に設けられた不図示の引掛部に引掛けられることで止着されている。また、メインカバー41Bのメインパッド41Aの後面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、リヤパイプ35とフロントパイプ34との間に架け渡される不図示のSバネに後側から引掛けられることで止着されている。
(天板サイド部42)
図10、図12及び図13に示すように、各天板サイド部42は、それぞれ、発泡ウレタン製のサイドパッド42Aと、サイドパッド42Aの表面全体に被せられるファブリック製のサイドカバー42Bと、を有する。また、各天板サイド部42は、それぞれ、サイドパッド42Aの裏面(下面)に沿った前後方向の広い領域に亘って積層状に設けられる樹脂製のサイドパネル42Cを有する。
ここで、各サイドパッド42Aが、それぞれ、本発明の「シートパッド」に相当する。また、各サイドカバー42Bが、それぞれ、本発明の「シートカバー」に相当する。なお、図10、図12及び図13では、各サイドカバー42Bが細線により外形ラインのみが示され、各サイドカバー42Bにより覆われた内部構造が可視化されて示されている。
各サイドパッド42Aは、それぞれ、クッションフレーム30の各ロアアーム31と各チルトアーム32とに跨る前後方向の全域に亘って上方から被せられる形にセットされる、前後方向に長尺なパッド形状に形成されている。詳しくは、各サイドパッド42Aは、メインパッド41Aとシート幅方向に隙詰めされて横並び状に並ぶ形にセットされるパッド形状とされる。
各サイドパッド42Aは、それらの前縁部と後縁部とがそれぞれ下方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。各サイドパッド42Aは、それらの下方に張り出す前縁部と後縁部とが、クッションフレーム30のチルトパネル33上とリヤパイプ35上とにも上方から被せられる構成とされる。
また、各サイドパッド42Aは、それらのシート幅方向の内縁部と外縁部ともそれぞれ下方に向かって庇状に張り出す形に延びる形状とされる。各サイドパッド42Aは、それらの下方に張り出す内縁部と外縁部とが、各ロアアーム31及びチルトアーム32のシート幅方向の内側面と外側面とにも上方から被せられる構成とされる。
各サイドパッド42Aは、図9及び図15~図16に示すように、それらの着座者の尻部と接するシート表面が、メインパッド41Aのシート表面と並んで、シート幅方向の内側から外側に向かって上方に斜めに張り出す土手状の張出し形状を備えた構成とされる。それにより、各サイドパッド42Aは、着座者の尻部をシート幅方向の外斜め下方から弾性支持することが可能なサイドサポート機能を備えた構成とされる。
図13を参照して、各サイドパッド42Aは、それらの発泡成形時に、成形型内に対応する各サイドパネル42Cがセットされて発泡成形されることにより、対応する各サイドパネル42Cと一体に接合された状態に成形されている。各サイドパネル42Cは、図12に示すように、各サイドパッド42Aの各ロアアーム31及びチルトアーム32に被せられる前後方向の大部分の裏面領域に沿って積層状に設けられる。
詳しくは、各サイドパネル42Cは、図15~図16に示すように、各サイドパッド42Aの裏面の肉抜きされた凹面形状に沿って、これらの凹面形状に沿ったU字状の横断面を成す形で前後方向に延びる形に設けられている。各サイドパッド42Aの裏面の肉抜き形状は、各サイドパッド42Aの土手状に張り出すシート表面形状に沿った土手状の肉抜き形状とされる。
したがって、これらサイドパッド42Aの土手状の凹面形状に沿って積層状に設けられる各サイドパネル42Cにより、各サイドパッド42Aの土手状の張り出し部分が、各々の土手の各斜面に沿ってシート裏側からそれぞれ面状に強く支持されることとなる。それにより、各サイドパッド42Aが、各サイドパネル42Cによって、それらの土手状の張り出し部分がシート幅方向の内外に倒されにくくなるようにシート裏側から強く支持される。
詳しくは、各サイドパッド42Aは、各サイドパネル42Cによりシート裏側から面状に支持されることで、着座者の尻部から受ける荷重を広く体圧分散させて受け止めることができる構成とされる。そのようなことから、各天板サイド部42は、着座者の尻部をシート幅方向の外斜め下方から適切な硬さで弾性支持することができる構成とされる。また、各天板サイド部42は、着座者がシート装置1に対して横方向から乗降する際に、シート幅方向の内外に押し込まれる力を受けても、それらの土手形状がシート幅方向の内外に倒れにくくなっている。
各サイドパネル42Cは、各ロアアーム31及びチルトアーム32に上方から組み付けられることで、それらのU字の横断面が各ロアアーム31及びチルトアーム32を上方とシート幅方向の内外方とからそれぞれ覆った状態にセットされる。各サイドパネル42Cには、図12~図13に示すように、それらの裏面上の前後方向の複数箇所に板状のリブ42C1が間隔を空けて並んで形成されている。
各リブ42C1は、それぞれ、各サイドパネル42CのU字の内部に板状に張り出す形に形成されている。詳しくは、各リブ42C1は、各サイドパネル42CのU字の横断面の内側壁と上壁とにそれぞれ繋がるL字板状に張り出す形に形成されている。
図13を参照して、各リブ42C1は、各サイドパネル42Cが各ロアアーム31及びチルトアーム32に上方から組み付けられることにより、それらのL字の上辺部分が、各ロアアーム31及びチルトアーム32の上縁部分、すなわちシート幅方向の内側に折り曲げられた上縁側のフランジ部分に上方から臨む形にセットされる。
そして、各リブ42C1のL字の内側辺部分(サイド当接部42C2)が、各ロアアーム31及びチルトアーム32のシート幅方向の内側面に臨む形にセットされる。詳しくは、各リブ42C1のL字の内側辺部分(サイド当接部42C2)は、各チルトアーム32に対して、第1側板部32B(図15~図16参照)にシート幅方向の内側から対向する形にセットされる。上記組み付けにより、各サイドパネル42Cは、各リブ42C1が形成された領域では、各ロアアーム31及びチルトアーム32に対して、上方とシート幅方向の内方とからそれぞれ当接して荷重伝達することができる構成とされる。
図12~図13に示すように、各サイドパネル42Cには、それらの裏面上の前後方向の3箇所の位置に、下方に向かって台座状に突出する取付座42C3がそれぞれ形成されている。各取付座42C3には、それぞれ、樹脂製のクリップCLが前側或いは後側から差し込まれて一体的に装着されている。上記装着により、各クリップCLは、それらの先端部を各取付座42C3から下方に突出させた状態として、各取付座42C3に一体的に固定されている。
各クリップCLは、図12に示すように、各天板サイド部42をクッションフレーム30に上方から組み付ける際、各チルトアーム32に形成された対応する各クリップ嵌合孔32E内にそれぞれ上方から差し込まれる。それにより、各クリップCLが、各クリップ嵌合孔32E内に弾性変形を伴いながら差し込まれて、復元に伴う弾発力により各クリップ嵌合孔32Eの周縁に引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
上記スナップフィット嵌合により、各サイドパッド42Aが、対応する各ロアアーム31及びチルトアーム32に跨ってそれぞれ上方から被せられた状態にセットされる。各取付座42C3は、それぞれ、各サイドパネル42CにおけるU字の横断面の外側壁と繋がる外側縁に形成されている。したがって、各クリップCLのスナップフィット嵌合により、各サイドパネル42Cは、それらの外側縁が対応する各チルトアーム32に対して一体的に固定された状態となる。
上記各サイドパネル42Cには、それらのU字の横断面の内側壁の前後2箇所の下縁部から下方に突出する形に張り出す引掛部42C5が形成されている。各引掛部42C5は、上述した各サイドパネル42Cの各クリップCLが対応する各チルトアーム32の各クリップ嵌合孔32E内に上方から差し込まれて組み付けられることにより、対応する各チルトアーム32の第2側板部32Dに下方から引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される(図15参照)。
具体的には、各引掛部42C5は、上記各クリップCLの差し込みに伴い、各チルトアーム32の第2側板部32Dに押し当てられて弾性変形を伴いながら下方へと押し込まれ、復元に伴う弾発力により各第2側板部32Dに下方から引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。それにより、各サイドパネル42Cは、それらの内側縁も対応する各チルトアーム32に対して一体的に固定された状態となる。
図13に示すように、各サイドパネル42Cには、それらの裏面上の後ろから1番目と2番目の各取付座42C3の間に、下方に向かって円柱状に突出するボス42C6が形成されている。各ボス42C6は、図12及び図17に示すように、各天板サイド部42をクッションフレーム30に上方から組み付ける際、各チルトアーム32に形成された対応する各ボス孔32F内にそれぞれ上方から通されて嵌合される部位とされる。上記嵌合により、各サイドパネル42Cが、各チルトアーム32に対してそれぞれ前後左右に当接して移動規制される状態にセットされる。
図13~図14に示すように、左右各側のクリップCLが装着される各取付座42C3と各引掛部42C5とボス42C6とは、互いに前後方向にずれた位置に配置されている。また、左右各側の各取付座42C3とボス42C6と、各引掛部42C5とは、互いにシート幅方向にもずれた千鳥配置の関係とされている。
各サイドパネル42Cには、それらのU字の横断面の内側壁の下縁と外側壁の下縁とに、それぞれ、各縁に沿って筋状に延びる形に窪んだカバー固定溝42C4が形成されている。これらカバー固定溝42C4は、下向きに開口するスリット形状とされ、各サイドカバー42Bの各サイドパッド42Aの左右両側面に被せられた先の各端末を固定するための部位とされる。具体的には、各カバー固定溝42C4は、各サイドカバー42Bの各端末に沿って結合された不図示の樹脂プレートをこれらの内部に下方から差し込むことで、各樹脂プレートを各サイドカバー42Bの張設に伴うテンションにより下方に抜けないように引掛けて固定する構成とされる。
各サイドカバー42Bは、対応する各サイドパッド42Aの表面全体に上方から被せられて、それらの前後左右の各周縁側の端末が、対応する各サイドパッド42Aの前後左右の各周囲面を通ってシート裏側(下側)へと引き込まれている。そして、各サイドカバー42Bは、それらの各サイドパッド42Aの左右両側面に被せられた先の各端末が、前述した不図示の樹脂プレートにより、対応する各サイドパネル42Cの裏側の各カバー固定溝42C4に止着されている。
また、各サイドカバー42Bの各サイドパッド42Aの前面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、チルトパネル33のシート裏側部(下部)に設けられた不図示の引掛部に引掛けられることで止着されている。また、各サイドカバー42Bの各サイドパッド42Aの後面に被せられた先の端末は、同端末に結合された不図示のJフックが、リヤパイプ35のシート裏側部(下部)に固定された引掛部に引掛けられることで止着されている。
(天板メイン部41と各天板サイド部42の組み付け)
上記クッション体40を構成する天板メイン部41と各天板サイド部42とは、次の手順により、クッションフレーム30に対して上方から組み付けられる。先ず、クッション体40は、各天板サイド部42が天板メイン部41よりも先にクッションフレーム30に上方から順に組み付けられる。
各天板サイド部42は、それぞれ、各サイドパッド42Aに対応する各サイドカバー42Bが被せられて、各サイドカバー42Bの端末に結合された不図示の樹脂プレートが各サイドパネル42Cの裏側の各カバー固定溝42C4に止着されてモジュール化された状態として、クッションフレーム30に組み付けられる。また、天板メイン部41も、メインパッド41Aにメインカバー41Bが被せられて、メインカバー41Bの左右両側の端末がメインパッド41Aの裏面(下面)に不図示の面ファスナ等の結合具により結合されてモジュール化された状態として、クッションフレーム30に組み付けられる。
具体的には、先ず、各天板サイド部42をクッションフレーム30に上方から近づけ、各サイドパネル42Cの裏面に装着された各クリップCLを、各チルトアーム32に形成された対応する各クリップ嵌合孔32E内にそれぞれ上方からそれぞれ差し込んで一体的にスナップフィット嵌合させる。それにより、各サイドパネル42Cの内側壁の下縁に形成された各引掛部42C5も、各チルトアーム32の第2側板部32Dの下縁にそれぞれ引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
また、各サイドパネル42Cの裏面に形成された各ボス42C6も、各チルトアーム32に形成された対応する各ボス孔32F内に上方から差し込まれて嵌合される。上記組み付けにより、各天板サイド部42が、クッションフレーム30に対してそれぞれ一体的に組み付けられる。
次に、各天板サイド部42のサイドカバー42Bの前縁側の端末をチルトパネル33の裏側へと引き込んで、不図示の引掛部に引掛けて止着する。そして、各天板サイド部42のサイドカバー42Bの後縁側の端末をリヤパイプ35の裏側へと引き込んで、同リヤパイプ35に結合された引掛部に引掛けて止着する。
上記組み付けにより、各天板サイド部42が、クッションフレーム30に対して一体的に組み付けられる。このように、各天板サイド部42は、クッションフレーム30に対して、一部、下方に手を伸ばす必要はあるものの、上方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる。
上記組み付けにより、各天板サイド部42は、各チルトアーム32及びロアアーム31によってそれぞれシート裏側から硬く支持される状態とされる。詳しくは、各天板サイド部42は、クッションフレーム30に対して、チルトパネル33のチルト動作に追従して動くことができるように組み付けられる。
各天板サイド部42は、各チルトアーム32に対して、それぞれ、シート幅方向にずれた千鳥配置の関係とされた各引掛部42C5と各クリップCLとボス42C6とによって一体的に固定される。また、各天板サイド部42は、各サイドパネル42Cのサイド当接部42C2が、各チルトアーム32及びロアアーム31に対してシート幅方向の内側からそれぞれ当接して荷重伝達することができる状態にセットされる。したがって、各天板サイド部42は、着座者の尻部から受けるシート幅方向の内側から外側へ向けた横方向の荷重を、千鳥配置とされた各クリップCLや引掛部42C5やボス42C6の固定構造により強く支持することができると共に、各サイド当接部42C2からも各チルトアーム32及びロアアーム31に適切に伝達して、広く荷重分散して受け止めることができる。
次に、天板メイン部41をクッションフレーム30に上方から組み付ける。具体的には、先ず、天板メイン部41をクッションフレーム30に上方から近づけ、メインパネル41Cの左右2箇所に装着された各クリップCLを、チルトパネル33に形成された対応する各クリップ嵌合孔33A内に上方から差し込んで一体的にスナップフィット嵌合させる。
上記組み付けに際しては、天板メイン部41は、先にクッションフレーム30に組み付けられた各天板サイド部42の間に上方から嵌め込まれるようにセットされることで、各天板サイド部42により概ねの組み付け位置がガイドされる。上記組み付けにより、天板メイン部41のメインパッド41Aが、チルトパネル33とリヤパイプ35とに跨って上方から被せられた状態にセットされる。また、メインパネル41Cの各引掛部41C2が、チルトパネル33の前縁に引掛けられて一体的にスナップフィット嵌合される。
次に、メインカバー41Bの前縁側の端末をチルトパネル33の裏側へと引き込んで、不図示の引掛部に引掛けて止着する。そして、メインカバー41Bの後縁側の端末をリヤパイプ35の裏側へと引き込んで、リヤパイプ35とフロントパイプ34との間に架け渡される不図示のSバネに後側から引掛けて止着する。
上記組み付けにより、天板メイン部41が、チルトパネル33とリヤパイプ35とに跨って一体的に組み付けられる。このように、天板メイン部41も、クッションフレーム30に対して、一部、下方に手を伸ばす必要はあるものの、上方からのアクセスのみにより簡便に組み付けられる構成とされる。
上記組み付けにより、天板メイン部41は、その前部と後部とがチルトパネル33とリヤパイプ35とによってそれぞれシート裏側から硬く支持される状態とされる。詳しくは、天板メイン部41は、クッションフレーム30に対して、チルトパネル33のチルト動作に追従して動くことができるように組み付けられる。
また、天板メイン部41は、上記チルトパネル33とリヤパイプ35との間の枠内領域では、これらの間に架橋される不図示の複数のSバネによりシート裏側から面状に弾性支持されるようになっている。それにより、天板メイン部41は、上記チルトパネル33とリヤパイプ35との間の枠内領域では、着座者の尻部から受ける荷重をシート裏側から柔らかく支持できるようになっている。
このように、クッション体40は、その構成要素となる天板メイン部41と各天板サイド部42とを、それぞれ、クッションフレーム30に対して、組み付けの作業者がクッションフレーム30の下方に回り込むことなく、上方からのアクセスのみにより簡便に組み付けることができる構成とされる。したがって、クッション体40のクッションフレーム30に対する組み付け方向が統一され、組み付けの作業性を向上させることができる。
上記クッション体40を構成する天板メイン部41と各天板サイド部42とは、互いが完全に分離された構成とされて、それぞれが個別に着座者の尻部を弾性支持する構成とされる。そのため、クッション体40は、車両の後部衝突の発生時に、天板メイン部41が着座者の尻部により後斜め下方に強く押し込まれたとしても、各天板サイド部42が天板メイン部41により下方に引張られることがない。
したがって、各天板サイド部42が天板メイン部41と繋がっている構成と比べて、天板メイン部41を着座者の尻部から受ける荷重に対してより大きく下方に沈み込ませることができる。そのようなことから、車両の後部衝突の発生時には、着座者の尻部の沈み込みが比較的早期に食い止められてしまうような構成と比べて、着座者の背部がシートバック2に沿って上方へと滑るような動作を生じさせにくくすることができる。
図15~図16に示すように、上記天板メイン部41と各天板サイド部42との境界面である各分割面Nは、次のような折れ曲がり状の分割面形状とされる。すなわち、各分割面Nは、シート表側からシート裏側へ向かって延びる第1分割面N1と、第1分割面N1のシート裏側へ延びた先からシート幅方向の内側に斜めに折れ曲がってシート裏側へと延びる第2分割面N2と、を有する面形状とされる。
このような構成とされることで、天板メイン部41と各天板サイド部42との間にシート表側から異物や使用者の指が入り込んだとしても、第1分割面N1と第2分割面N2との間の屈曲部において、異物や使用者の指の奥深くへの入り込みが規制されやすくなる。各分割面Nは、詳しくは、それぞれの第1分割面N1が第2分割面N2よりも高さ方向に立ち上がる向きでシート表側からシート裏側へと延びる面形状とされる。
また、各分割面Nの第2分割面N2が第1分割面N1の延びた先から折れ曲がる位置は、天板メイン部41の厚さ方向(前後方向)の中央よりもシート裏側寄りの位置とされる。上記天板メイン部41は、上記分割構造により、その左右両側の第2分割面N2において、各天板サイド部42によりシート裏側から斜めに支持され得る構成とされる。
各天板サイド部42のサイドパッド42Aは、天板メイン部41のメインパッド41Aよりも硬質な発泡ウレタンから成る構成とされる。そのようなことから、クッション体40は、天板メイン部41において着座者の尻部を下方から比較的柔らかく支持しつつ、各天板サイド部42により着座者の尻部を適切な硬さでサイドサポートすることができる構成とされる。
詳しくは、クッション体40が上記分割構造とされることで、天板メイン部41と各天板サイド部42とに、互いに硬度の異なる発泡ウレタンを境界部分で混ざり合わせることなく適切に区切って設けることができる。また、各天板サイド部42が天板メイン部41よりも硬くなっていることで、第1分割面N1と第2分割面N2との間の屈曲部において、異物や使用者の指の奥深くへの入り込みの規制をより適切に行うことができる。
天板メイン部41のメインカバー41Bは、そのシート表面に張られる天板カバーピースC1と、左右の各分割面Nに張られる各分割面カバーピースC3と、が1枚に縫合された構成とされる。天板カバーピースC1は、その左右各側の周縁に各分割面Nの第1分割面N1にも張られるように延びる延長部位C2を有し、各第1分割面N1上で各延長部位C2の縁部と各分割面カバーピースC3の縁部とが縫合される縫合部C4を有する構成とされる。
各天板サイド部42のサイドカバー42Bも同様に、そのシート表面に張られる天板カバーピースC1と、天板メイン部41との間の分割面Nに張られる分割面カバーピースC3と、が1枚に縫合された構成とされる。各天板カバーピースC1は、上記分割面Nの第1分割面N1にも張られるように延びる延長部位C2を有し、各第1分割面N1上で各延長部位C2の縁部と各分割面カバーピースC3の縁部とが縫合される縫合部C4を有する構成とされる。このように、各縫合部C4がシート表面から外れた分割面N上に設けられることで、クッション体40の座り心地及び外観品質を損ないにくくすることができる。
(まとめ)
以上をまとめると、本実施形態に係るシート装置1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
すなわち、シート装置(1)は、着座者を弾性的に支持するクッション体(20)と、クッション体(20)を支持するシートフレーム(10)と、を有する。クッション体(20)が、シート幅方向に分割された複数の分割クッション(21,22)から成る。
複数の分割クッション(21,22)が、それぞれ、シートパッド(21A,22A)と、シートパッド(21A,22A)を個別に覆うシートカバー(21B,22B)と、を有する。隣り合う分割クッション(21,22)の間の分割面(M)が、シート表側からシート裏側へ向かって延びる第1分割面(M1)と、第1分割面(M1)のシート裏側へ延びた先から第1分割面(M1)の延びる方向とは異なる方向に曲がってシート裏側へと延びる第2分割面(M2)と、を有する。
上記構成によれば、隣り合う分割クッション(21,22)の間に異物が入り込んでも、第1分割面(M1)と第2分割面(M2)との間の曲がり形状により、異物の奥深くへの入り込みが規制されやすくなる。したがって、各分割クッション(21,22)の間で異物を奥深くへと入り込ませにくくすることができる。
また、複数の分割クッション(21,22)が、シート装置(1)のシートバック(2)における、シート幅方向の中央部分を成す天板メイン部(21)と、シート幅方向の両サイド部分を成す各天板サイド部(22)と、の3つの分割要素から成る。上記構成によれば、各分割クッション(21,22)の分割ラインが天板メイン部(21)とその両サイドの各天板サイド部(22)との間に設けられるため、座り心地が損なわれにくいようにクッション体(20)をシート幅方向に適切に分割することができる。
また、第1分割面(M1)が、第2分割面(M2)よりも厚さ方向に立ち上がる向きで延び、第2分割面(M2)が、シート幅方向の内側に斜めに曲がる。上記構成によれば、各天板サイド部(22)が天板メイン部(21)をシート裏側から支える構成となる。また、各天板サイド部(22)をシートフレーム(10)にセットした後に、これらの間に天板メイン部(21)をセットしても、その組み付けが阻害されにくくなる。
また、各天板サイド部(22)のシートパッド(22A)が、天板メイン部(21)のシートパッド(21A)よりも硬質なウレタンフォームから成る。上記構成によれば、各天板サイド部(22)の硬さにより、着座者のサイドサポート性を向上させることができる。また、各天板サイド部(22)の硬さにより、異物の入り込み規制効果を向上させることができる。
また、シートカバー(21B,22B)のシート表面に張られる天板カバーピース(B1)が、分割面(M)にも張られるように延びる延長部位(B2)を有し、分割面(M)上で分割面(M)に張られる分割面カバーピース(B3)との縫合部(B4)を有する。上記構成によれば、シートカバー(21B,22B)の縫合部(B4)がシート表面から外れた分割面(M)上に設けられることで、シート装置(1)の座り心地及び外観品質を損ないにくくすることができる。
同様に、シート装置(1)は、着座者を弾性的に支持するクッション体(40)と、クッション体(40)を支持するシートフレーム(30)と、を有する。クッション体(40)が、シート幅方向に分割された複数の分割クッション(41,42)から成る。
複数の分割クッション(41,42)が、それぞれ、シートパッド(41A,42A)と、シートパッド(41A,42A)を個別に覆うシートカバー(41B,42B)と、を有する。隣り合う分割クッション(41,42)の間の分割面(N)が、シート表側からシート裏側へ向かって延びる第1分割面(N1)と、第1分割面(N1)のシート裏側へ延びた先から第1分割面(N1)の延びる方向とは異なる方向に曲がってシート裏側へと延びる第2分割面(N2)と、を有する。
上記構成によれば、隣り合う分割クッション(41,42)の間に異物が入り込んでも、第1分割面(N1)と第2分割面(N2)との間の曲がり形状により、異物の奥深くへの入り込みが規制されやすくなる。したがって、各分割クッション(41,42)の間で異物を奥深くへと入り込ませにくくすることができる。
また、複数の分割クッション(41,42)が、シート装置(1)のシートクッション(3)における、シート幅方向の中央部分を成す天板メイン部(41)と、シート幅方向の両サイド部分を成す各天板サイド部(42)と、の3つの分割要素から成る。上記構成によれば、各分割クッション(41,42)の分割ラインが天板メイン部(41)とその両サイドの各天板サイド部(42)との間に設けられるため、座り心地が損なわれにくいようにクッション体(40)をシート幅方向に適切に分割することができる。
また、第1分割面(N1)が、第2分割面(N2)よりも厚さ方向に立ち上がる向きで延び、第2分割面(N2)が、シート幅方向の内側に斜めに曲がる。上記構成によれば、各天板サイド部(42)が天板メイン部(41)をシート裏側から支える構成となる。また、各天板サイド部(42)をシートフレーム(30)にセットした後に、これらの間に天板メイン部(41)をセットしても、その組み付けが阻害されにくくなる。
また、各天板サイド部(42)のシートパッド(42A)が、天板メイン部(41)のシートパッド(41A)よりも硬質なウレタンフォームから成る。上記構成によれば、各天板サイド部(42)の硬さにより、着座者のサイドサポート性を向上させることができる。また、各天板サイド部(42)の硬さにより、異物の入り込み規制効果を向上させることができる。
また、シートカバー(41B,42B)のシート表面に張られる天板カバーピース(C1)が、分割面(N)にも張られるように延びる延長部位(C2)を有し、分割面(N)上で分割面(N)に張られる分割面カバーピース(C3)との縫合部(C4)を有する。上記構成によれば、シートカバー(41B,42B)の縫合部(C4)がシート表面から外れた分割面(N)上に設けられることで、シート装置(1)の座り心地及び外観品質を損ないにくくすることができる。
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
1.本発明のシート装置は、自動車の他、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の車両以外の乗物に適用されるものであっても良い。また、シート装置は、乗物の他、スポーツ施設や、劇場、コンサート会場、イベント会場等の様々な施設に設置される観覧席や、マッサージシート等の非乗物用のシート装置としても適用することができるものである。
また、シート装置は、シートバック又はシートクッションのいずれかのみが分割された構成とされていても良い。また、シート装置は、シートバックとシートクッションとで、分割の数が異なる構成とされていても良い。
2.クッション体は、シート幅方向に2分割された2つの分割クッションから成るものであっても良い。また、クッション体は、シート幅方向に4分割以上分割された複数の分割クッションから成るものであっても良い。
更に、クッション体は、シート幅方向に分割されたいずれかの分割クッションが、長さ方向(シートバックにおける高さ方向、シートクッションにおける前後方向)にも分割される構成とされても良い。例えば、シートバックの各天板サイド部を高さ方向に分割する構成とすることで、シートバックの両肩口のみを、部分的に、なで肩状や角張った肩状等の所望の形状のものに変更することが可能となる。
3.隣り合う分割クッションの間の分割面は、シート表側からシート裏側へ向かって延びる第1分割面と、第1分割面のシート裏側へ延びた先から第1分割面の延びる方向とは異なる方向に曲がってシート裏側へと延びる第2分割面と、を有するものであれば良い。すなわち、第2分割面がシート幅方向の外側へ曲がるものであっても良い。また、第1分割面がシート幅方向に斜めに曲がり、第2分割面が第1分割面よりもシート表裏方向に立ち上がって延びるものであっても良い。
また、第1分割面と第2分割面とは、互いのシート表裏方向の立ち上がり角が異なる、互いに同一のシート幅方向に延びる形状から成るものであっても良い。また、第1分割面と第2分割面とは、互いに相反するシート幅方向に延びる形状から成るものであっても良い。また、第1分割面と第2分割面は、それぞれ、シート表裏方向に直線状に延びるものの他、曲線状に湾曲して延びるものであっても良い。第2分割面は、第1分割面のシート裏側へ延びた先からシート幅方向に折れ曲がって、そこから更にシート裏側へ真っ直ぐ延びる段差状の分割面形状から成るものであっても良い。
4.天板サイド部のシートパッドと、天板メイン部のシートパッドとは、互いに硬さが同一のウレタンフォームから成る構成であっても良い。また、天板メイン部のシートパッドが、天板サイド部のシートパッドよりも硬質なウレタンフォームから成る構成であっても良い。また、各分割クッション間でシートパッドの硬さを異ならせる硬さ調節は、各々のシートパッドを互いに異なる材質や密度で形成することで硬さを異ならせるものの他、各々のシートパッドの裏側に設けられる樹脂部材の大きさを互いに異ならせることで各々の厚みを変えて硬さを異ならせるものであっても良い。
5.樹脂部材は、シートパッドと一体成形されることでシートパッドと一体的に結合されるものの他、シートパッドとは一体成形されず、シートパッドに包まれるシートカバーの端末が樹脂部材に結合されることで、シートパッドと一体的に結合されるものであっても良い。
6.シートカバーは、シートパッドといわゆる表皮一体発泡工法により一体化される構成であっても良い。シートカバーは、ファブリックの他、皮革材から成るものであっても良い。シートカバーの天板カバーピースと分割面カバーピースとの縫合部は、第1分割面上に限らず、第2分割面上に位置する構成であっても良い。
7.上記実施形態では、シートバック側のサイドパネルをバックフレームに固定する固定構造が、シート幅方向にずれた千鳥配置とされた各クリップをバックフレームに差し込んでスナップフィット嵌合させる構造としたものを例示した。また、シートクッション側のサイドパネルをクッションフレームに固定する固定構造が、シート幅方向にずれた千鳥配置の関係とされた各クリップと引掛部とをクッションフレームに差し込んだり引掛けたりしてスナップフィット嵌合させる構造としたものを例示した。
しかし、シートバック側のサイドパネルをバックフレームに固定する固定構造が、上記シートクッション側のサイドパネルをクッションフレームに固定する構造(互いに千鳥配置の関係とされたクリップと引掛部とから成る構成)のようになっていても良い。また、シートクッション側のサイドパネルをクッションフレームに固定する固定構造が、上記シートバック側のサイドパネルをバックフレームに固定する構造(互いに千鳥配置の関係とされたクリップから成る構成)のようになっていても良い。
8.複数の分割クッションは、樹脂部材を備えない構成であっても良い。複数の分割クッションは、ボルト等のクリップ以外の締結手段によりシートフレームに組み付けられる構成であっても良い。