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JP7342783B2 - フロントデフロスタノズル - Google Patents

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Description

本発明は、フロントデフロスタノズルに関する。
従来、フロントウインドシールド(以下、適宜「ウインドシールド」と称す。)の着霜及び結露を防ぎ、曇りを除去するフロントデフロスタノズル(以下、適宜「デフロスタノズル」と称す。)が広く用いられている。デフロスタノズルは、空調装置からの乾燥した温風をウインドシールドへ吹き付けるための吹出開口部を、インストルメントパネル上に有している。
ところで近年、自動車の電動化に伴い、ヘッドアップディスプレイなど、インストルメントパネル内に設けられる電装部品が増加傾向にあり、デフロスタノズルの配置空間が狭くなっている。よって、デフロスタノズルの小型化が求められている。
ここで、ウインドシールドの曇りを広範囲で除去するためには、デフロスタノズルの吹出開口部から吹き出された風を、ウインドシールドの車両幅方向両端部まで広く行き渡らせる必要がある。しかしながら、小型のデフロスタノズルでは、従来のデフロスタノズルのように吹出開口部の車両幅方向の長さを長く設定することができず、側面部の曲率が大きくなってしまう。このため、小型のデフロスタノズルでは、ウインドシールドの車両幅方向両端部まで風を行き渡らせることが困難となる。
そこで、下記特許文献1には、風を車両幅方向両端部まで送るために、吹出開口部にガイドフィンを設けたデフロスタノズルが開示されている。この特許文献1ではさらに、ガイドフィンを設けたことによるウインドシールド上部への送風不足を解消するため、吹出開口部が前後方向で2分割されている。すなわち、ウインドシールドの車両幅方向両端部への送風と車両幅方向中央部への送風を分けることで、風の干渉を抑制し、ウインドシールド全面へ広く送風する構成とされている。
特開2015-003605号公報
しかしながら、上記先行技術では、複数のガイドフィン及び前後に2分割された吹出開口部が必要とされ、デフロスタノズルが複雑な構造となる。
本発明は上記事実を考慮し、小型であっても簡素な構造で、ウインドシールドの曇りを広く除去可能なフロントデフロスタノズルを提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、自動車のフロントウインドシールドの車両幅方向中央部における車両下方側で空調装置に接続され、当該空調装置から車両上方側へ延在する接続部と、前記接続部に接続され、当該接続部の車両上方側において、車両上方側へ向かうにつれて車両前方側へ傾斜して設けられたノズル下部と、前記ノズル下部に接続され、当該ノズル下部の車両上方側において、車両上方側へ向かうにつれて車両後方側へ傾斜して設けられると共に、上端部には、車両幅方向に延在しインストルメントパネルに開口された吹出開口部を備えると共に、車両幅方向両端部と車両幅方向中央部との間に左右一対の徐変部を備えたノズル上部と、を有し、車両側断面視で、前記吹出開口部の車両前後方向の中央部における風のベクトル方向の延長線と前記フロントウインドシールドとがなす吹出角は、車両幅方向両端部における前記吹出角が一定の角度とされ、前記車両幅方向中央部における前記吹出角が前記車両幅方向両端部における前記吹出角よりも大きな一定の角度とされ、前記徐変部における前記吹出角が、前記車両幅方向両端部における前記吹出角と前記車両幅方向中央部における前記吹出角との間で連続的に変化するように設定されている
請求項1に記載の本発明によれば、車両幅方向両端部における吹出角は、車両幅方向中央部における吹出角よりも大きい。これにより、車両幅方向両端部では、吹出開口部から送風された風がウインドシールドに衝突し易くなる。この結果、車両幅方向両端部では、ウインドシールド上で風が車両幅方向へ広がる。一方、車両幅方向中心部における吹出角は、車両幅方向両端部における吹出角よりも小さい。このため、車両幅方向中央部では、風がウインドシールドに沿って流れ易く、ウインドシールド上方へ効率よく送られる。よって、請求項1に記載の本発明によれば、ウインドシールドの広範囲に効率よく送風することができる
また、ノズル上部において、車両幅方向両端部と車両幅方向中央部との間はなだらかに連結されている。これにより、ノズル上部における車両幅方向両端部と車両幅方向中央部との間に渦が発生して圧力損失が生じるのを抑制することができる。よって、ノズル上部は、空調装置から送られる風の空気流れを阻害することなく、より一層スムーズに送風できる。
請求項2に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項1に記載の発明において、前記ノズル上部は、車両側断面視で直線状に形成されており、前記ノズル上部の車両前後方向に対する仰角は、前記車両幅方向両端部における前記仰角の方が前記車両幅方向中央部における前記仰角よりも大きくなるように設定されており、前記徐変部における前記仰角は、前記車両幅方向両端部における前記仰角と前記車両幅方向中央部における前記仰角との間で連続的に変化するように設定されている
請求項2に記載の本発明によれば、ノズル上部は車両側断面視で直線状に形成されている。このとき、車両側断面視で吹出開口部から吹き出される風の方向は、ノズル上部の向きと略同等になる。すなわち、吹き出される風の車両前後方向に対する仰角は、ノズル上部の仰角で近似される。ノズル上部がこのように直線状に形成されていることによって、空調装置からの空気流れを阻害することなく、ウインドシールドへスムーズに送風できる。ただし、ここでいう「直線状」とは、若干湾曲した形状を含めた概念である。
請求項に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ノズル下部は、車両前方側へ傾斜されており、前記ノズル下部の車両上方側には、車両前方側へ凸となる屈曲部が形成されており、前記屈曲部の屈曲角は、前記車両幅方向両端部における前記屈曲角の方が前記車両幅方向中央部における前記屈曲角よりも大きくなるように設定されている。
請求項に記載の本発明によれば、屈曲角が大きくなるように形成された車両幅方向両端部へ風が流れ易くなる。
請求項に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項3に記載の発明において、前記ノズル上部の車両側面視での流路断面の流路幅は、前記車両幅方向両端部における前記流路幅の方が前記車両幅方向中央部における前記流路幅よりも大きくなるように設定されている。
請求項に記載の本発明によれば、ノズル上部において、流路幅が大きくなるように形成された車両幅方向両端部へ風が流れ易くなる。
また、請求項5に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項4に記載の発明において、前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風の流速は、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風の流速よりも速い。
さらに、請求項6に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項4に記載の発明において、前記ノズル上部は、前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風が、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風よりも車両前方側で前記フロントウインドシールドに当たるように構成されており、前記吹出開口部から吹き出された風が前記フロントウインドシールドに当たるまでの距離は、前記車両幅方向両端部における前記距離が前記車両幅方向中央部における前記距離よりも短くなるように構成されている。
さらにまた、請求項7に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項4に記載の発明において、前記吹出開口部は平面視で矩形状に形成されており、前記ノズル上部は、前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風が、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風よりも車両前方側で前記フロントウインドシールドに当たるように構成されており、前記吹出開口部から吹き出された風の前記フロントウインドシールド上での流速分布は、半円状となっている。
また、請求項8に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記車両幅方向中央部における前記吹出角は30度よりも小さく、車両幅方向両端部における前記吹出角は45度よりも大きい。
さらに、請求項9に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、請求項8に記載の発明において、前記車両幅方向中央部における前記吹出角は25度とされており、車両幅方向両端部における前記吹出角は50度とされている。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、小型であっても簡素な構造で、ウインドシールドの曇りを広く除去できるという優れた効果を有する。また、吹出開口部における風速を、より一層確保できるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、吹出開口部における風速を確保し、かつウインドシールドへ吹き付ける風の方向をノズル上部の仰角でコントロールすることができるという優れた効果を有する。
請求項に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、吹出開口部の車両幅方向両端部から吹き出される風量を多くすることができるという優れた効果を有する。
請求項に記載の本発明に係るフロントデフロスタノズルは、吹出開口部の車両幅方向両端部から吹き出される風量を多くすることができるという優れた効果を有する。
本実施形態に係るデフロスタノズルが適用された車両の要部を拡大して示す側断面図である。 本実施形態に係るデフロスタノズルの斜視図である。 図2に示されるデフロスタノズルを車両前方側から見た正面図である。 図2に示されるデフロスタノズルを車両左側から見た側面図である。 (A)は、図3のA-A線断面を含む車両の幅方向左中央部における要部の側断面図であり、(B)は、図3のB-B線断面を含む車両の幅方向左サイド部における要部の側断面図である。 本実施形態に係るデフロスタノズルの車両幅方向中央からの距離と吹出角との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るデフロスタノズルを適用した場合の吹出開口部における流速分布図である。 (A)は、図3のA-A線断面における流速分布図であり、(B)は、図3のB-B線断面における流速分布図である。 (A)は、比較例のデフロスタノズルを適用した場合のウインドシールド上の流速分布図であり、(B)は、本実施形態に係るデフロスタノズルを適用した場合のウインドシールド上の流速分布図である。
以下、図1~図9を用いて、本発明の一実施形態に係るフロントデフロスタノズルについて説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印RHは車両幅方向右側を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両左右方向(車両幅方向)の左右をそれぞれ示すものとする。
図1に示されるように、車両10の前部において、フロントウインドシールド12(以下、「ウインドシールド12」と称す。)の下方には、インストルメントパネル14が設けられている。インストルメントパネル14のさらに下方には、空調装置としてのHVAC(Heating, Ventilating and Air-Conditioning Unit)16及びフロントデフロスタノズル18(以下、「デフロスタノズル18」と称す。)が設けられている。
デフロスタノズル18は、車両幅方向中央部に設けられてHVAC16に接続されており、上方へ延在された接続部20と、接続部20の上方に設けられ、側面視で略L字状に形成された風向調整部22とを有している。図1及び図4に示されるように、風向調整部22は、車両前方側へ凸となるように屈曲形成された屈曲部24を備えている。屈曲部24の下側には、車両前方側へ傾斜されたノズル下部26が設けられており、屈曲部24の上側には、車両後方側へ傾斜されたノズル上部28が設けられている。図1に示されるように、ノズル上部28は、上端部に形成された吹出開口部30によって、インストルメントパネル14上に開口されている。
図2及び図3に示されるように、デフロスタノズル18は、正面視で上方に向かうにつれて車両幅方向の長さが長くなる末広がりの形状に形成されている。図2に示されるように、吹出開口部30は車両幅方向に延在されており、平面視で略矩形状に形成されている。吹出開口部30の車両幅方向の長さは、インストルメントパネル14(図1参照)の車両幅方向の長さの略3分の1程度に形成されている。本実施形態では、一例として、吹出開口部30の車両幅方向の長さが450mmとされている。
図2に示されるように、ノズル上部28には、3つのリブ32が形成されている。車両幅方向中央に設けられた中央リブ32Aは、右側に設けられた右リブ32B及び左側に設けられた左リブ32Cよりも大きく形成されている。吹出開口部30は、中央リブ32A、右リブ32B及び左リブ32Cによって、車両幅方向に略4等分されている。また、右リブ32B及び左リブ32Cは、ノズル下部26側へ延在されており、ガイドフィンとして機能している。
図3に示されるように、デフロスタノズル18は、正面視で、左右方向中央部に設けられた中央部34と、左右方向両端部に設けられた一対のサイド部36と、中央部34とサイド部36とを互いに連結する左右一対の徐変部38とを備えている。右側に設けられた右サイド部36A、右徐変部38A及び右中央部34Aは、デフロスタノズル18の右側を車両幅方向に略3等分してそれぞれ形成されている。同様に、左側に設けられた左サイド部36B、左徐変部38B及び左中央部34Bは、デフロスタノズル18の左側を車両幅方向に略3等分してそれぞれ形成されている。
図4には、デフロスタノズル18の左側面図が示されている。この図に示されるように、吹出開口部30は、接続部20よりも車両前方側に設けられている。また、風向調整部22の屈曲部24は、吹出開口部30よりも車両前方側に設けられている。
以下、デフロスタノズル18の中央部34、サイド部36及び徐変部38の形状の違いについて詳細に説明する。なお、本実施形態におけるデフロスタノズル18は、左右対称に形成されているため、左側のみについて説明し、右側の説明を省略する。
図5(A)には、図3の左中央部34BにおけるA-A線断面を含む車両10の要部の側断面が示されており、図5(B)には、図3の左サイド部36におけるB-B線断面を含む車両10の要部の側断面が示されている。これらの図に示されるように、ノズル上部28及びノズル下部26は、それぞれ車両側断面視で略直線状に形成されている。図5(A)、(B)では、風向調整部22における側断面視での流路中心線は一点鎖線で示され、車両前後方向は二点鎖線で示されている。
ここで、ノズル上部28の車両前後方向に対する仰角をαとすると、図5(B)に示される左サイド部36Bにおける仰角αは、図5(A)に示される左中央部34Bにおける仰角αよりも、大きくなるように設定されている(α>α)。
また、ウインドシールド12の車両前後方向に対する傾きを傾斜角βとする。ウインドシールド12は、車両幅方向に若干湾曲されているものの、略平面状に形成されている。このため、図5(A)に示される車両幅方向中央部における傾斜角βと、図5(B)に示される車両幅方向両端部における傾斜角βとは、略等しい角度に形成されている(β≒β)。
したがって、吹出開口部30から吹き出される風の方向とウインドシールド12とがなす角度、すなわち、ノズル上部28とウインドシールド12とがなす角α―βは、図5(B)に示される左サイド部36Bにおける角α―βの方が、図5(A)に示される左中央部34Bにおける角α―βよりも大きくなるように設定されている(α―β>α―β)。具体的には、図5(A)に示されるように、左中央部34Bにおいてノズル上部28とウインドシールド12とがなす角α―βは、30°よりも小さく形成されている(α―β<30°)。一方、図5(B)に示されるように、左サイド部36Bにおいてノズル上部28とウインドシールド12とがなす角α―βは、45°よりも大きくなるように設定されている(α―β>45°)。
このとき、ノズル上部28は、車両側断面視で略直線状に形成されているため、車両側断面視で吹出開口部30から吹き出される空調風Hの方向は、ノズル上部28の向きと略同等になる。すなわち、吹き出される空調風Hの車両前後方向に対する図示しない仰角α′は、ノズル上部28の仰角αで近似される(α′≒α)。よって、吹出開口部30から吹き出された空調風Hの向きとウインドシールド12とがなす角α′-β(以下、「吹出角」と称す。)は、ノズル上部28の流路中心線とウインドシールド12とがなす角α―βで近似される(α′―β≒α―β)。
そこで、以下、α―βを吹出角として、図6を用いて吹出角の変化について詳述する。図6には、デフロスタノズル18の左右中央からの距離Lと吹出角α―βとの関係がグラフで示されている。本実施形態では、一例として、左中央部34Bにおけるセンタ吹出角α―βは、α―β=25°に形成されており、左サイド部36Bにおけるサイド吹出角α―βは、α―β=50°に形成されているものとする。この図に示されるように、左中央部34Bと左サイド部36Bとの間に設けられた左徐変部38Bは、その徐変吹出角α―βが、センタ吹出角α―βとサイド吹出角α―βとの間で連続的に変化するように形成されている。上述の通り、ウインドシールド12の傾斜角βは略一定であるので、左徐変部38Bにおける仰角αは、α<α<αとなるように形成されている。
ここで、図5(A)、(B)に示されるように、屈曲部24の屈曲角(側断面視でノズル上部28とノズル下部26とのなす角)をγとする。このとき、図5(B)に示される左サイド部36Bにおける屈曲角γは、図5(A)に示される左中央部34Bにおける屈曲角γよりも大きくなるように設定されている。
また、ノズル上部28において空調風Hの流れに直交する流路断面の幅を流路幅Sとすると、図5(B)に示される左サイド部36Bにおける流路幅Sは、図5(A)に示される左中央部34Bにおける流路幅Sよりも大きくなるように設定されている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係るデフロスタノズル18によれば、左サイド部36Bにおけるサイド吹出角α―βは、45°よりも大きくなるように設定されている(α―β>45°)。また、デフロスタノズル18の左側も同様の構成とされる。これにより、右サイド部36A及び左サイド部36Bから吹き出された空調風Hは、ウインドシールド12に衝突し易くなる。よって、ウインドシールド12の車両幅方向両端部12B(図9(B)参照)では、空調風Hが車両幅方向へ広がり易くなる。
一方、左中央部34Bにおけるセンタ吹出角α―βは、30°よりも小さく形成されている(α―β<30°)。すなわち、左中央部34Bにおけるノズル上部28の仰角αは、ウインドシールド12の傾斜角βに、より近くなるように設定されている。また、デフロスタノズル18の左側も同様の構成とされる。これにより、中央部34から吹き出された空調風Hは、ウインドシールド12に沿って流れ易くなる。よって、ウインドシールド12の車両幅方向中央部12A(図9(B)参照)では、空調風Hがウインドシールド12の上方へ効率よく送られる。
また、図8(A)には、左中央部34BのA-A線断面を含む車両10の要部側断面における流速分布図が示されている。一方、図8(B)には、左サイド部36BのB-B線断面を含む車両10の要部側断面における流速分布図が示されている。色が濃淡はそれぞれ流速のレンジを表し、色が濃いほど流速が速いことを表している。図8(A)及び図8(B)でウインドシールド12付近の流速分布を比較すると、ウインドシールド12の車両幅方向端部12Bにおいて、ウインドシールド12の車両幅方向中央部12Aと同程度の風速を確保できていることが見てとれる。
さらに、図9(A)には、本実施形態に係るデフロスタノズル18の比較例として、吹出開口部の車両幅方向の長さが600mmの図示しないデフロスタノズルを適用した場合のウインドシールド12上の流速分布図が示されている。一方、図9(B)は、吹出開口部30の車両幅方向の長さが450mmの本実施形態に係るデフロスタノズル18を適用した場合のウインドシールド12上の流速分布図である。図8と同様に、色が濃いほど流速が速いことを表している。図9(A)、(B)において、ウインドシールド12の左右両端部12Bを比較すると、本実施形態に係る小型のデフロスタノズル18は、比較例の大きなデフロスタノズルよりも広く、ウインドシールド12の左右両端部12Bまで風速を確保できていることが見てとれる。よって、デフロスタノズル18は、小型かつ簡素な構造であっても、ウインドシールド12の広範囲に効率よく送風し、曇りを広く除去できる。
また、本実施形態に係るデフロスタノズル18によれば、ノズル上部28は車両側断面視で略直線状に形成されている。このとき、車両側断面視で吹出開口部30から吹き出される空調風Hの方向は、ノズル上部28の向きと略同等になる。すなわち、吹き出される空調風Hの車両前後方向に対する仰角α′は、ノズル上部28の仰角αで近似される(α′≒α)。よって、空調風Hの向きとウインドシールド12とがなす角α′-βは、ノズル上部28とウインドシールド12とがなす吹出角α―βで近似される(α′―β≒α―β)。したがって、ウインドシールド12へ吹き付ける空調風Hの方向を、ノズル上部28の仰角αでコントロールすることができる。
さらに、ノズル上部28がこのように略直線状に形成されていることによって、HVAC16からの空気流れをノズル上部28で阻害することなく、ウインドシールド12へスムーズに送風できる。したがって、吹出開口部30における風速を確保することができる。
さらにまた、ノズル上部28は、サイド部36と中央部34との間に左右一対の徐変部38を備えている。すなわち、ノズル上部28において、サイド部36と中央部34との間はなだらかに連結されている。これにより、ノズル上部28において、仰角αの大きなサイド部36と仰角αの小さな中央部34との間に渦が発生して圧力損失が生じるのを抑制することができる。よって、ノズル上部28は、HVAC16から送られる空調風Hの空気流れを阻害することなく、より一層スムーズに送風できる。したがって、吹出開口部30における風速をより一層確保できる。
また、図7には、吹出開口部30における流速分布図が示されている。図8及び図9と同様に、色が濃いほど流速が速いことを表す。一般的に、デフロスタノズルは正面視で略扇形状に形成されているため、サイド部よりも中央部へ送風され易く、吹出開口部においてサイド部の風量が不足してしまう問題がある。しかしながら、本実施形態に係るデフロスタノズル18によれば、左サイド部36Bにおける屈曲角γは、左中央部34Bにおける屈曲角γよりも大きくなるように設定されている。また、左サイド部36Bにおける流路幅Sは、左中央部34Bにおける流路幅Sよりも大きくなるように設定されている。よって、デフロスタノズル18は、サイド部36へ風が流れ易い構成とされている。これにより、図7に示されるように、吹出開口部30のサイド部36から吹き出される風速を速くすることができる。したがって、サイド部36から吹き出される風量を多くすることができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
上記実施形態では、ノズル上部28及びノズル下部26は、それぞれ車両側断面視で略直線状に形成されているものとして説明したが、これに限らず、例えばノズル下部は、湾曲形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、徐変部38は、その仰角αが、中央部34における仰角αとサイド部36における仰角αとの間で連続的に変化するように形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、デフロスタノズルは徐変部を備えていなくてもよい。
さらに、上記実施形態では、左サイド部36Bにおける屈曲角γは、左中央部34Bにおける屈曲角γよりも大きくなるように設定されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、左サイド部36Bにおける屈曲角γと左中央部34Bにおける屈曲角γが同じ(γ=γ)であっても、吹出角の大小関係がα―β>α―βとなっていればよい。
さらにまた、上記実施形態では、左サイド部36Bにおける流路幅Sは、左中央部34Bにおける流路幅Sよりも大きくなるように設定されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、左サイド部36Bにおける流路幅Sと左中央部34Bにおける流路幅Sが同じ(S=S)であってもよい。
また、上記実施形態では、吹出開口部30は、平面視で略矩形状かつインストルメントパネル14の車両幅方向の長さの略3分の1程度に形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、吹出開口部はサイド部が中央部よりも前方に位置するように設けられていてもよい。
さらに、上記実施形態では、ノズル上部28には、3つのリブ32が形成されているものとして説明したが、これに限らず、ノズル上部はリブを備えていなくてもよい。
さらにまた、上記実施形態では、サイドデフロスタと一体成型されていないフロントデフロスタノズル18について説明したが、これに限らず、フロントデフロスタノズルは、サイドウインドの曇りを除去するサイドデフロスタと一体成型されていてもよい。
また、上記実施形態では、左右のサイド部36A、B、徐変部38A、B、及び中央部34A、Bは、それぞれデフロスタノズル18の右側又は左側を、車両幅方向に略3等分して形成されているものとして説明した。しかしこれに限らず、サイド部、徐変部及び中央部の大きさは、デフロスタノズル全体の大きさ及び配置位置に応じて適宜変更されてよい。
さらに、上記実施形態では、デフロスタノズル18は、左右対称に形成されているものとして説明したが、これに限らず、デフロスタノズルは左右非対称に形成されていてもよい。
10 車両
12 フロントウインドシールド
14 インストルメントパネル
16 HVAC(空調装置)
18 フロントデフロスタノズル
20 接続部
24 屈曲部
26 ノズル下部
28 ノズル上部
30 吹出開口部
34 中央部(車両幅方向中央部)
36 サイド部(車両幅方向両端部)
38 徐変部
H 空調風(風)
α 仰角(ノズル上部の車両前後方向に対する仰角)
α 中央部における仰角(車両幅方向中央部における仰角)
α サイド部における仰角(車両幅方向両端部における仰角)
α―β 吹出角(吹出開口部から吹き出される風の方向とウインドシールドとがなす吹出角)
α―β センタ吹出角(車両幅方向中央部における吹出角)
α―β サイド吹出角(車両幅方向両端部における吹出角)
γ 屈曲角(屈曲部の屈曲角)
γ 中央部における屈曲角(車両幅方向中央部における屈曲角)
γ サイド部における屈曲角(車両幅方向両端部における屈曲角)
S ノズル上部において空調風の流れに直交する流路断面の幅(ノズル上部の車両側面視での流路断面の流路幅)
中央部における流路幅(車両幅方向中央部における流路幅)
サイド部における流路幅(車両幅方向両端部における流路幅)

Claims (9)

  1. 自動車のフロントウインドシールドの車両幅方向中央部における車両下方側で空調装置に接続され、当該空調装置から車両上方側へ延在する接続部と、
    前記接続部に接続され、当該接続部の車両上方側において、車両上方側へ向かうにつれて車両前方側へ傾斜して設けられたノズル下部と、
    前記ノズル下部に接続され、当該ノズル下部の車両上方側において、車両上方側へ向かうにつれて車両後方側へ傾斜して設けられると共に、上端部には、車両幅方向に延在しインストルメントパネルに開口された吹出開口部を備えると共に、車両幅方向両端部と車両幅方向中央部との間に左右一対の徐変部を備えたノズル上部と、
    を有し、
    車両側断面視で、前記吹出開口部の車両前後方向の中央部における風のベクトル方向の延長線と前記フロントウインドシールドとがなす吹出角は、車両幅方向両端部における前記吹出角が一定の角度とされ、前記車両幅方向中央部における前記吹出角が前記車両幅方向両端部における前記吹出角よりも大きな一定の角度とされ、前記徐変部における前記吹出角が、前記車両幅方向両端部における前記吹出角と前記車両幅方向中央部における前記吹出角との間で連続的に変化するように設定されている、
    フロントデフロスタノズル。
  2. 前記ノズル上部は、車両側断面視で直線状に形成されており、前記ノズル上部の車両前後方向に対する仰角は、前記車両幅方向両端部における前記仰角の方が前記車両幅方向中央部における前記仰角よりも大きくなるように設定されており、前記徐変部における前記仰角は、前記車両幅方向両端部における前記仰角と前記車両幅方向中央部における前記仰角との間で連続的に変化するように設定されている、
    請求項1に記載のフロントデフロスタノズル。
  3. 前記ノズル下部は、車両前方側へ傾斜されており、
    前記ノズル下部の車両上方側には、車両前方側へ凸となる屈曲部が形成されており、
    前記屈曲部の屈曲角は、前記車両幅方向両端部における前記屈曲角の方が前記車両幅方向中央部における前記屈曲角よりも大きくなるように設定された請求項2に記載のフロントデフロスタノズル。
  4. 前記ノズル上部の車両側断面視での流路断面の流路幅は、前記車両幅方向両端部における前記流路幅の方が前記車両幅方向中央部における前記流路幅よりも大きくなるように設定された請求項3に記載のフロントデフロスタノズル。
  5. 前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風の流速が、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風の流速よりも速い、
    請求項4に記載のフロントデフロスタノズル。
  6. 前記ノズル上部は、前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風が、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風よりも車両前方側で前記フロントウインドシールドに当たるように構成されており、
    前記吹出開口部から吹き出された風が前記フロントウインドシールドに当たるまでの距離は、前記車両幅方向両端部における前記距離が前記車両幅方向中央部における前記距離よりも短くなるように構成されている、
    請求項4に記載のフロントデフロスタノズル
  7. 前記ノズル上部は、前記車両幅方向両端部において前記吹出開口部から吹き出される風が、前記車両幅方向中央部において前記吹出開口部から吹き出される風よりも車両前方側で前記フロントウインドシールドに当たるように構成されており、
    前記吹出開口部から吹き出された風の前記フロントウインドシールド上での流速分布は、半円状となっている、
    請求項4に記載のフロントデフロスタノズル。
  8. 前記車両幅方向中央部における前記吹出角は30度よりも小さく、車両幅方向両端部における前記吹出角は45度よりも大きい、
    請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のフロントデフロスタノズル。
  9. 前記車両幅方向中央部における前記吹出角は25度とされており、車両幅方向両端部における前記吹出角は50度とされている、
    請求項8に記載のフロントデフロスタノズル。
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