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JP7342346B2 - 光学素子および光学装置 - Google Patents

光学素子および光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子および光学装置に係り、特に、所定の段付き形状を有する光学素子および光学装置に関する。
光ファイバを用いた光学装置において光ファイバと受発光素子との光学的結合に用いられる光学素子として、光入出面にレンズを有する光学素子が知られている。この光学素子により、光学装置の低背化ができるとされている。
このような光学素子に一体的にレンズ機能を設ける場合、モールドプレスにより形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-248312号公報
しかしながら、モールドプレスにて光学素子を形成する場合、成形時の素材の収縮等により、高精度の光学素子を得ることが難しい。例えば、プリズムのような高い角度精度が求められる用途においては、求められる光学機能が十分でない可能性がある。
また、モールドプレスにて成形すると、精度を高めるために加工する際、レンズを設けた面は、加工することが非常に難しく、光学素子において最も重要なレンズ部分に不備があると、それ以外の部分に問題が無くても光学素子自体が使用できないことになる。
また、光学素子は、使用時に固定される際、例えば、ホルダ等に保持されるが、通常、光学素子はホルダ等と接着剤にて固定される。このとき、光軸を正確に設定するため、光学素子とホルダとは、その大きさを厳密に合わせている。そのため、光学素子とホルダとの隙間が非常に狭く、接着剤が過剰に塗布されると、接着面から光学面にはみ出して、製品品質に影響を与えるおそれがあり、塗布する接着材量の厳密な管理が求められる。
そこで、上記のような状況に鑑み、本発明は、簡便な操作で、かつ、良好な形状精度を備えた、レンズ機能を有する光学素子および光学装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、モールドプレスのように加熱加工処理を経ずに、光学機能とレンズ機能とを一体的に有し、使用時において他部材と固定する際に、使用する接着剤が光学面にはみ出して影響を与えるような事態を生じさせないようにできる光学素子およびこのような光学素子を用いた光学装置を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光学素子は、光学部材と、レンズチップとを積層した光学素子であって、前記光学素子の側面に段付き部を備えることを特徴とする。
また、本発明の光学装置は、本発明の光学素子と、該光学素子を保持するホルダと、を備え、前記ホルダの内面と前記光学素子の段付き部とで形成される空間に接着剤を有することを特徴とする。
本発明の光学素子によれば、良好な形状精度を備えるとともに、光学素子の側面に段付き部を有するため、使用する接着剤が光学面へはみ出すことを抑制できる。
本発明の光学装置によれば、製造時に使用した接着剤が光学面、特に、レンズの表面に流れ出すことを抑制でき、所定の機能を良好に発揮できる。
第1の実施形態の光学素子の概略構成を説明する側面図である。 第1の実施形態の光学素子の概略構成を説明する側面図である。 第1の実施形態の光学素子をホルダに装着した側面図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第1の実施形態の光学素子の製造方法を説明する図である。 第2の実施形態の光学素子の概略構成を示した断面図である。 第2の実施形態の光学素子の概略構成を示した断面図である。 第2の実施形態の光学素子の概略構成を示した断面図である。 第3の実施形態の光学素子の概略構成を示した断面図である。 第3の実施形態の光学素子の概略構成を示した断面図である。
以下、本発明の光学素子について、実施形態を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変形して実施できる。
(第1の実施形態)
[光学素子]
本発明の第1の実施形態に係る光学素子は、上記の構成を有しており、光学部材と、レンズチップとを積層して構成される。そして、この光学素子の側面には、段付き部が形成されている。このような光学素子としては、例えば、図1A及び図1Bに示したように、光学部材2と、レンズチップ3と、接着剤層4と、を積層して一体化した光学素子1が挙げられる。以下、図1Aに示した光学部材に段付き部を有する場合を例として詳細に説明する。
〈光学部材〉
本実施形態に用いられる光学部材2は、所定の光学機能を有する部材であり、公知の光学部材を特に制限なく用いることができる。この光学部材2としては、その目的に応じて所定の形状や特性を有する部材が用いられ、例えば、プリズム、光学フィルタ、偏光板、回折光学素子(DOE)等が挙げられる。
光学部材2は、所定の光学特性を有するものであればよく、その材料は特に限定されずに公知の材料が挙げられる。光学部材2の材料としては、例えば、ガラス、樹脂、水晶等が挙げられ、一般に、この光学部材2に使用される材料の屈折率は1.4~2.25が用いられ、典型的には1.5~2.1である。
そして、本実施形態の一例として図1Aに示した光学部材2は、その側面に段付き部5を有する。光学部材2は、使用にあたって装置と組付ける際に、一般には、ホルダ等の他の部材に固定されて用いられる。このとき、段付き部5は、その固定の際に使用される接着剤を接着面から周囲(特に、光学面)にはみ出さないようにする作用を奏する。なお、光学部材2の側面とは、レンズチップ3が積層された面を含まない外周面をいう。例えば、光学部材2のレンズチップ3が積層された面に直交する外周面や光学部材2のレンズチップ3が積層されていない光入射/光出射面であってもよく、これに限られるものではない。
具体的には、図2に示したように、光学素子1をホルダ100に固定する場合、光学素子1のうち、光学部材2の側面において、段差の高い部分がホルダ100と密接し、この部分が接着面として接着剤により接着、固定される。通常、光学素子1はレンズの光軸を合わせるためにその位置が厳密に管理されるため、ホルダ100との接合部分においてもその大きさは同等であり間隔が非常に狭い。
そのため、このホルダ100との接着において、必要な接着剤の使用量は少量で十分であり、その塗布量も厳密に管理されなければならない。ところが、上記のように間隔が非常に狭いためその許容する幅も狭く、所定の塗布量とするのが難しい場合が多かった。ここで、塗布量が多くなってしまった場合、段付き部5がないとその余剰の接着剤は光学素子1とホルダ100の間から外部、具体的には、光学素子1の上面や下面にはみ出すこととなる。接着剤が上面にはみ出し、光学面にまで広がってしまった場合、光学特性に影響を与え、所望の光学素子を得ることができなくなってしまう。
一方、本実施形態の光学素子1によれば、上記のように光学部材2の側面に段付き部5を有しており、光学素子1とホルダ100との間に隙間101を設けることができる。したがって、余剰の接着剤があった場合でも、この隙間101に収容でき、接着面の周囲へはみ出すことを抑制できる。
すなわち、段付き部5は、光学部材2の側面において、ホルダ等の他の部材と接合するために、当該部材と直接接触する高い部分(径の大きい部分;接着面)と、当該部材と隙間を形成する低い部分(径の小さい部分)と、で形成されている。図1Aでは、光学部材2に段付き部5が形成され、レンズチップ3まで連続して低い部分が形成されており、接着剤のはみ出しを抑制するのに効果的である。なお、段付き部は、レンズチップ3に形成されていても、光学部材2とレンズチップ3の両方にまたがって形成されていてもよいし、図1Bに示したように、光学部材2とレンズチップ3の一方を他方の外形よりも一回り小さく形成して段付き部を備える構成としてもよく、低い部分の領域が接着剤のはみ出しを抑制し得る程度に形成されていれば十分である。
光学部材2およびレンズチップ3のいずれかの側面に段付き部5を有すると、図1Aに示すように段付き部5は一方の部材の側面のみに形成されることになる。この場合、2つの部材の外形寸法の相違で段付き部5を形成する(図1Bに示す形態)と比較し、光学素子に光軸と直交する方向の力が作用した際に、段付き部5が光学部材2およびレンズチップ3の積層面からずれていることにより、段付き部5からの破損が抑制されるため好ましい。また、光学部材2およびレンズチップ3のいずれかの側面に段付き部5を有すると、段付き部5が面取り形状となり、段付き部5からの破損が抑制されるため好ましい。
また、段付き部5と光学部材2やレンズチップ3の側面(高い部分)の接続部において、段付き部5の面と側面とのなす角が鈍角または直角であることが好ましい。ここで、鈍角とは、その断面の角度が90°超となる角部をいう。このようにすることで、接続部での割れや欠け等の発生を抑制できる。特に、段付き部5の面と側面とのなす角が鈍角あると、接続部での割れや欠け等の発生を抑制する効果が高く好ましい。
なお、図1A及び図2では、段付き部5がレンズチップ3との接合面寄りに形成されている例を示しているが、光学部材2において該接合面とは対向する面寄りに形成してもよい。
〈レンズチップ〉
本実施形態に用いられるレンズチップ3は、上記光学部材2と組合わせて用いられ、その組み合わせによって所定の特性を発揮できる光学特性を有するものである。すなわち、レンズチップ3は、求められる特性に応じて所定のレンズ機能を有すればよい。
このレンズチップ3は、平板状の透明基板の表面にレンズ形状を有する形状からなり、透明基板3Aとレンズ形状であるレンズ3Bとを有している。すなわち、平面視したとき、その内側にレンズ3Bが、そしてレンズ3Bの周囲に透明基板3Aからなる平坦部が設けられた構造となっている。レンズ3Bと透明基板3Aとは、これらは同一の材料で一体的に形成されていても、同一の材料又は異なる材料で別々に形成され、それらを接合したものでもよい。レンズ3Bのレンズ形状は、凸状、凹状、それらの組合せのいずれであってもよい。
このレンズチップ3は、所定の光学特性を有するものであればよく、その材料は特に限定されずに公知の材料で形成されていればよい。レンズチップ3の材質としては、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられ、透明基板3Aとレンズ3Bとを、一方をガラス、他方を樹脂等のように異なる材料で形成することもできる。
このとき、レンズチップ3を形成する材料としては、求められる光学機能によっても影響されるが、例えば、その屈折率が1.4~2.25の材料が使用でき、この屈折率は1.4~2.1が好ましい。さらに、このレンズチップ3を形成する材料として樹脂を用いる場合、1.4~1.7が好ましい。
また、透明基板3Aとレンズ3Bとを異なる材料で形成する場合には、透明基板3Aを形成する材料は、上記レンズチップ3を形成する材料と同様に、その屈折率が1.4~2.25が好ましく、1.4~2.1が好ましい。これに対して、レンズ3Bを形成する材料としては、その屈折率が1.4~2.25が好ましく、1.4~2.1が好ましい。そして、これら透明基板3Aとレンズ3Bとは、それらの屈折率差が0.4以内が好ましく、0.3以内がより好ましい。
このレンズチップ3の透明基板3Aの厚さは、プリズム2の全反射光の利用や光路延長の効果を低減しない点で、0.02~3mmが好ましく、0.02~0.5mmがより好ましい。この厚みが0.02mm未満であると、作製時や使用時においてハンドリング性が低下し、光学素子の生産性が低下してしまい、3mm超であると、レンズ面とプリズムとの距離が離れ、光学素子および光学素子を用いる光学装置の低背化を阻害するおそれがある。
そして、このレンズチップ3は、光学素子2の光学面に設けられる。すなわち、光学素子2の光入射面又は光出射面に設けられる。レンズチップ3は、光学素子2の光学面に、後述する接着剤層により所定の光学特性を発揮できるように接着、固定される。
レンズチップ3は、平面視したとき、光学部材2との接合部分と同一の大きさ、形状を有してもよいし、光学部材2との接合部分よりも小さくてもよい。すなわち、図1Aに示したように、上記した光学部材2の段付き部5の段の低い部分(径の小さい部分)と同じか、それよりも小さい大きさが好ましい。ただし、段の形成はこれに限定されずに種々の形状を取り得るため、レンズチップ3において、段付き部を有し、段の高い部分と低い部分を有してもよいし、段の高い部分で形成され、光学部材2とはこの高い部分で接続され、光学部材2において段付き部を有する構成でもよい。また、レンズチップ3と光学部材2の外形を異なるものとして、これらの接合部分において段付き部を形成してもよい。
また、レンズチップ3の外周は、表面粗さRaが0.1~10μmの粗面であることが好ましい。ここで外周とは、レンズチップ3の光の透過面ではなく、側面を意味する。このようにレンズチップ3の外周を粗面とすることで、レンズチップの内部に入射した光が散乱し、迷光となりにくくなる。
この表面粗さRaが0.1μm未満であると、光を散乱させる効果が十分でないおそれがあり、10μmを超えると、光学素子の搬送中にレンズチップ3の外周から屑が発生し、光学素子の光透過性を低下させるおそれがある。
なお、本明細書において、表面粗さRaは、JIS B 0601:1999の規定に準じるものである。
〈接着剤層〉
本実施形態に用いられる接着剤層4は、上記のように、光学素子2とレンズチップ3とを貼り合わせる接着剤である。この接着剤層4としては、所望の光学特性が得られるように、硬化後において光透過性を有する接着剤からなる層が好ましく、従来、光学素子の作製に用いられている公知の接着剤をそのまま用いることができる。
この接着剤層4に用いられる接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の接着剤が挙げられる。その硬化系としては、光硬化型、熱硬化型等が挙げられるが、光硬化型が好ましく、なかでも紫外線硬化型がより好ましい。光硬化型とすることで、製造時に、光学素子2やレンズチップ3への熱によるダメージを与えることがなく、製品特性を良好に保持できる。
この接着剤層4の屈折率は、1.4~1.6が好ましい。さらに、レンズチップ3の屈折率と接着剤層4の屈折率とは、それらの屈折率差が0.4以内であることが好ましく、0.3以内であることがより好ましい。なお、レンズチップ3が、透明基板3Aとレンズ3Bとを異なる材料で形成している場合、透明基板3Aの屈折率と接着剤層4の屈折率とを上記の関係(屈折率差が0.4以内)とすることが好ましい。
なお、本明細書において、「屈折率」は、d線(波長:587.57nm、励起媒体元素:He)に対する屈折率(nd)を表す。
[光学素子の製造方法]
本実施形態の光学素子の製造方法は、まず、透明基板の表面に複数のレンズを形成してレンズ基材を得る工程を行う。次に、レンズ基材のレンズに対応する位置に光学部材を積層してレンズ積層体とする工程を行う。最後に、レンズ積層体を切断して、光学部材にレンズチップが積層された光学素子とする工程を行う。
以下、各工程について詳細に説明する。
(レンズ基材の形成工程)
まず、レンズ基材を形成するにあたっては、透明基板30Aを用意する(図3A)。この透明基板30Aは、後述する切断工程により切断され、レンズチップ3の透明基板3Aとなるものである。
この透明基板30Aの表面に、レンズ3Bを複数個設け、レンズ基材を形成する(図3B,3C)。レンズ3Bの形成にあたっては、格子状に整列して形成することが好ましい。図3Bでは、レンズ基材の側面図、図3Cでは、図3Bのレンズ基材の平面図を概略的に示している。ここで、形成するレンズの個数は使用する透明基板30Aの大きさ、形成するレンズの大きさ等に応じて、適宜設定できる。
このレンズ基材を作成するには、機械加工、モールド成形、射出成型、3次元造形等により透明基板30Aとレンズ3Bとを一体的に成形してもよいし、インプリント成形により透明基板30Aの表面にレンズ3Bを成形したり、個別に透明基板30Aとレンズ3Bを形成しておき、透明基板30Aの表面にレンズ3Bを接着する等、の方法が挙げられる。なかでも、平板状の透明基板30Aに、インプリント成形によってレンズ3Bを形成することが、製造の容易さ、コストの低減、小径レンズの製造対応、レンズ機能に応じた材料選択幅の広さ、レンズ表面形状精度等の点で好ましい。
(積層工程)
次いで、得られたレンズ基材に対して、光学部材を積層してレンズ積層体とする(図3D)。このとき用いる光学部材は、直方体で棒状の光学部材2A又は個片の光学部材2が好ましい。棒状の光学部材2Aは、長手方向に垂直となる面で切断することで、光学部材2となり、光学素子1を構成する要素とできる。
ここでは、光学部材として棒状の光学部材2Aを用い、透明基板30Aに形成されたレンズ3Bの位置に合わせて配置する例について説明する。
図3Dでは、3個のレンズ3Bに対して、光学部材2Aを平面的に位置が重なるように配置しているが、このとき、図面の奥行方向にも3個ずつレンズ3Bが一列に整列して形成されており、一列のレンズ3Bに対して、1つの光学部材2Aが重なるように配置されている。
光学部材2Aは隣接して配置することが好ましく、光学部材2A同士の間隔が、後述する切断工程で用いるカッター110の刃の厚さよりも小さいことがより好ましい。このように間隔を狭めて配置することで、切断時に光学部材2Aもカッター110により削られるため、本実施形態の段を形成するために利用することもでき、この段がこの製造工程を用いたことの識別にも利用できる。
なお、この積層工程においては、レンズ基材と光学部材2Aとを接着剤層4を介して積層するが、この積層においては互いに固着して、積層するものである。ここで、固着するには、光学素子の製造に用いられる公知の接着剤を用いることができ、求める光学特性を阻害しない限り特に限定されずに使用できる。
(切断工程)
次に、レンズ積層体に対して、切断することで光学素子1を得る(図3E,3F)。このとき、切断は、図3Eに示したように、レンズ3Bを1つずつ切り離すように、切断線に沿って、公知の方法で行えばよく、例えば、カッター110を用いて透明基板30A及び光学部材2Aを切断すればよい。切断方法としては、ダイシング加工やワイヤーソー等を用いることができる。カッター110とは、これら切断方法に用いられるダイシングブレードやワイヤーソーを含む切断に用いる加工治具をいう。この切断によって、接着剤層4はトリミングされ、透明板30Aの切断形状と揃うため、例えば、上記図2で示したようにホルダ100に取付ける際に、隙間101を有効にかつ安定して形成することもできる。
なお、このとき、光学部材2Aとそれに隣接している光学部材2Aとの間の切断では、透明基板30Aを切断するだけで光学部材2A同士を切り離すことができる。したがって、図3Fに示しているように、このときカッター110は、光学部材2Aの側面に段付き部5が形成されるように、上下方向(図面の上下方向)において途中でカッター110の進行を止め、水平方向に切り離す、いわゆるハーフカットとすることが好ましい。
このようにハーフカットすることで、カッターの刃により段付き部5が形成され、その表面形状は切断におけるカッター110の刃の形状を反映したものとなり、段付き部5の断面形状が鋭角な角部を有することがないため、改めて面取りを行わなくてもよい。
なお、上記のように、この切断工程で段付き部5を形成することが好ましいが、切断は全て同じ高さの側面となるように切断し、後から段付き部5を加工して形成してもよい。また、光学部材とレンズチップとの外形を異なるように切断した場合、その外形の差を段付き部とできる。さらに、他の方法としては、光学部材とレンズチップとをそれぞれ外形が異なるように個片化しておき、これらを接合するだけで、段付き部が得られるように製造することもできる。
また、切断後には、切断により形成された稜線等に対して、面取りを行ってもよい。面取りを行うことで、割れや欠け等を抑制できる。
なお、光学部材として、図3A~3Fを参照した上記では、直方体棒状の光学部材2Aを例に説明したが、上記のように光学部材としてプリズムを用いることもできる。なお、プリズムとして三角柱状のプリズムを用いる場合、その切断で段付き部を形成する面が光学面として利用されるため、図3Gに示したように、光学特性に影響のないようにカッター110の上方方向における停止位置を決めることが好ましい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、光学部材2と、透明基板3Aとレンズ3Bとを有するレンズチップ3とを積層して構成され、段付き部5を有すると共に、さらに遮光性を有する材料で形成された遮光膜を有する光学素子である。
この遮光膜は、光学素子の光学面部分において、光学有効面外の外周部(コバとも呼ばれる)に形成され、中心部が開口して設けられる。このように中心部を開口させて光を透過でき、周囲を遮光することで、内面反射等の影響によるフレアやゴーストなどの現象を抑制できる。また、遮光膜は、絞り機能を奏することもできる。
この実施形態は、第1の実施形態において、さらに遮光膜を設けた構成であり、第1の実施形態と共通の構成は説明を省略し、以下、相違点についてのみ説明する。この第2の実施形態においては、上記の通り、第1の実施形態の光学素子1に対して、さらに遮光膜を追加して設けたものである。
遮光膜を形成する形態としてはいくつかバリエーションがあり、例えば、図4Aに示したように、レンズチップ3の透明基板3Aの表面及びレンズ3Bの表面に、遮光膜12を設けた光学素子11、例えば、図4Bに示したように、レンズチップ3の透明基板3Aの表面及び透明基板3Aとレンズ3Bの間に、遮光膜22を設けた光学素子21、例えば、図4Cに示したように、光学部材2とレンズチップ3の透明基板3Aの間に、遮光膜32を設けた光学素子31、等が挙げられる。
このような遮光膜12,22,32は、上記のように絞り機能を得るために設けられ、遮光性を有する公知の材料を、公知の方法により特に制限されずに設けることができる。
また、これらの遮光膜12,22,32を設けた光学素子11,21,31は、第1の実施形態で説明した光学素子1の製造方法をベースとして製造でき、この光学素子1の製造方法に対して、所定のタイミングで遮光膜を形成する工程を追加すればよい。
光学素子11を製造するにあたっては、例えば、透明基板30Aにレンズ3Bを設けてレンズ基材とした後、光学部材と積層する前に、当該レンズ基材に対して遮光膜12を形成すればよい。
光学素子21を製造するにあたっては、例えば、透明基板30Aにレンズ3Bを形成する前に、透明基板30Aに対して遮光膜22を形成し、その後、レンズ3Bを形成すればよい。
光学素子31を製造するにあたっては、例えば、レンズ基材と光学部材2Aとを積層する前に、レンズ基材又は光学部材2Aに遮光膜32を形成し、その後、レンズ基材と光学部材2Aを積層すればよい。
光学素子21,31のように、レンズ基材の表面に遮光膜を形成することが、製造が容易で、形成する膜の形状精度も良好であり好ましい。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、光学部材2と、レンズチップ3とを積層して構成され、段付き部5を有すると共に、さらに光学素子の表面、もしくは光学部材2と接着剤層4との間に反射防止膜を有する光学素子である。
この実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態において、さらに反射防止膜を設けた構成であり、第1及び第2の実施形態と共通の構成は説明を省略し、以下、相違点についてのみ説明する。
この第3の実施形態においては、例えば、第1の実施形態の光学素子1に対して、さらに反射防止膜を追加して設けたものが挙げられる。例えば、図5Aに示したように、透明基板3Aの表面及びレンズ3Bの表面の光入射側全面に、反射防止膜42を設けた光学素子41が挙げられる。
また、例えば、図5Bに示すように、接着剤層4及び光学部材2との間に、反射防止膜52を設けた光学素子51が挙げられる。
反射防止膜42,52は、この光学素子1の表面の反射を低減するため、公知の材料を用い、公知の方法により形成できる。この反射防止膜42としては、例えば、高屈折率材料と低屈折率材料として、例えば、TiOとSiOとを用い、これらを交互に積層した誘電体多層膜により形成できる。また、反射防止膜52としては、Alの単層膜、中屈折率膜・高屈折率膜・中屈折率膜の3層膜等の公知の構成を用いてもよい。このような反射防止膜42を光学素子41の表面に、または反射防止膜52を光学素子51の接着剤層4と光学部材2との間に備えることで、例えば、表面の反射率を大幅に低減できる。
反射防止膜42,52は、一般的には、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空成膜により誘電体材料を形成して得られる。
また、この反射防止膜42,52を設けた光学素子41,51は、第1の実施形態で説明した光学素子1の製造方法をベースとして製造でき、この光学素子1の製造方法に対して、所定のタイミングで反射防止膜を形成する工程を追加すればよい。例えば、透明基板30Aの表面に複数のレンズ3Bを形成してレンズ基材とした後、レンズ基材を光学部材2Aと積層する前に、透明基材3Aの表面及びレンズ3Bの表面に、反射防止膜42を成膜すればよい。もしくは、透明基板30Aと光学部材2Aとを積層する前に、光学部材2Aの光入射面に反射防止膜52を成膜すればよい。
なお、以上第1の実施形態をベースに説明したが、上記のように第2の実施形態に加えて反射防止膜を形成してもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の膜を有する光学素子に反射防止膜を形成してもよい。
第2の実施形態において反射防止膜を形成する場合、いずれもレンズ基材と光学部材とを積層する前に、上記説明したように反射防止膜を形成すればよい。レンズ3Bの表面に遮光膜を形成する実施形態においては、遮光膜を形成した後反射防止膜を形成することが好ましい。
1,11,21,31,41,51…光学素子、2,2A…光学部材、3…レンズチップ、3A,30A…透明基板、3B…レンズ、4…接着剤層、5…段付き部、12,22,32…遮光膜、42,52…反射防止膜、100…ホルダ、101…隙間、110…カッター

Claims (14)

  1. 光学部材と、レンズチップと、前記光学部材と前記レンズチップの間に設けられる接着剤層と、を積層した、ホルダと接着剤で固定されるために用いられる光学素子であって、
    前記光学部材の側面は、
    前記光学部材の側面のうちの前記レンズチップ側の第1側面と、
    前記光学部材の側面のうちの前記レンズチップと反対側であって、前記第1側面よりも径方向の長さが長い第2側面と、
    前記光学部材の側面のうちの、前記第1側面と前記第2側面とを接続して、前記レンズチップ側に向かうにしたがって径方向の長さが徐々に短くなる段付き部と、
    を有し、
    前記光学素子を前記光学部材の側面側から視たときに、前記第1側面、前記第2側面、及び前記段付き部は、前記レンズチップに覆われていない
    光学素子。
  2. 前記光学部材と前記レンズチップとは、前記光学素子の光軸上において、前記接着剤層を介して接触している、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記レンズチップの外周が、表面粗さRaが0.1~10μmの粗面である請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記接着剤層と前記光学部材の間に、反射防止膜を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記レンズチップの表面に、反射防止膜を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記光学部材がプリズム形状である請求項1~5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 前記光学部材は、前記レンズチップが積層されていない側の光入出射面に前記段付き部を備える請求項4に記載の光学素子。
  8. 前記光学部材は、前記レンズチップが積層された面と直交する側面に前記段付き部を備える請求項7に記載の光学素子。
  9. 前記レンズチップは、レンズの中央では光を透過し、外周で光を遮光する遮光膜を備える請求項1~8のいずれか1項に記載の光学素子。
  10. 前記接着剤層の屈折率と前記レンズチップの屈折率との差が0.4以内である請求項1~9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 前記レンズチップは、
    断面視したとき、透明基板の表面にレンズ形状であるレンズを有する形状であり、
    平面視したとき、前記レンズの周囲に前記透明基板の平坦部がある、請求項1に記載の光学素子。
  12. 前記レンズチップは、ガラス基板と、前記ガラス基板の表面に樹脂レンズまたはガラスレンズが設けられている、請求項1に記載の光学素子。
  13. 前記光学部材は、プリズム、光学フィルタ、偏光板、または回折光学素子である、請求項1に記載の光学素子。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の光学素子と、該光学素子を保持するホルダと、を備え、
    前記ホルダの内面と前記光学素子の段付き部とで形成される空間に接着剤を有することを特徴とする光学装置。
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