JP7265498B2 - 地盤の改良工法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、工事対象地盤から掘削された現場発生土に、木質系チップ材、及びセメント並びに水1000重量部に対して、塩化カルシウム20~40重量部、塩化マグネシウム30~50重量部、塩化アルミニウム15~30重量部、塩化コバルト0.1~3重量部を含有する硬化剤水溶液を添加、混合した後、この混合物を掘削された工事対象地盤に補填することを特徴とする工法が開示されている。
(A)成分:水中で、アルミニウムイオン及び/又はカルシウムイオンと、塩化物イオンとを放出する供給源となる1種以上の化合物(但し、水硬性粉体は除く)
本発明の地盤の改良工法は、土壌が、強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌であっても効果が発現する。
また本発明の地盤の改良工法は、土壌が、強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌であり、地盤工学会基準JGS0211-2009で規定される方法によって測定される土懸濁液のpHが6以下である土壌であっても効果が発現する。
また土壌に含まれる有機質としては、フミン酸、ヒューミン、ビチューメン、フルボ酸から選ばれる1種以上の有機物が挙げられる。
性粉体の量に算入する(但し、後述する(B)成分の量は除かれる)。
アルミニウムイオンを放出する供給源となる化合物としては、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ミョウバン、及び硝酸アルミニウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
カルシウムイオンを放出する供給源となる化合物としては、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
塩化物イオンを放出する供給源となる化合物としては、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
(A1)成分:20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるカルシウム塩化物塩もしくはアルミニウム塩化物塩から選ばれる1種以上の化合物
(A2)成分:(A21)アルカリ金属塩化物塩、及びアルカリ土類金属塩化物塩から選ばれる1種以上の化合物(以下、(A21)成分という)と、(A22)20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるアルミニウム塩(但し、(A21)成分を除く、以下、(A22)成分という)
(A2)成分中、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、(A22)成分は、乳酸アルミニウム、ミョウバン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムから選ばれる1種以上が挙げられ、ソイルセメントの強度向上の観点から、好ましくはミョウバン、及び硫酸アルミニウムから選ばれる1種以上である。
本発明の地盤の改良工法では、(A)成分として(A2)成分を用いる場合、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、(A21)成分を、水硬性粉体に対して、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、そして、好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは4.0質量%以下で、(A22)成分を、水硬性粉体に対して、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、そして、好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは4.0質量%以下で混合する。
本発明の地盤の改良工法では、(A)成分として(A2)成分を用いる場合、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、(A21)成分と(A22)成分を、(A21)成分と(A22)成分との質量比(A21)/(A22)が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは3.0以下、より更に好ましくは2.0以下となるように混合する。
本発明の地盤の改良工法では、(B)成分を用いる場合、ソイルセメントの初期強度向上の観点から、(B)成分を、水硬性粉体に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは5.0質量%以上、より更に好ましくは7.0質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下で混合する。
<方法(I)>
水と、水硬性粉体と、(A)成分と、任意に(B)成分とを含有するスラリーであって、(A)成分を水硬性粉体に対して0.5質量%以上10質量%以下含有するスラリーを、土壌と混合する方法。
方法(I)では、土壌1m3あたりのスラリーの混合量が酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、150kg以上800kg以下であることが好ましい。
また、方法(I)では、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、ソイルセメント中の水硬性粉体/土壌の質量比が0.01以上0.6以下であることが好ましい。
また、方法(I)では、スラリーの調製に用いる水は、真水、海水の何れも用いることが出来る。スラリーの水の少なくとも一部が海水であってもよい。
スラリーを地盤に注入する方法として、例えば、噴射撹拌工法(一相流方式、二相流方式、三相流方式)や機械撹拌工法(CDM工法など)、さらに地中連続壁工法(SMW工法、TRD工法など)などが挙げられる。さらに水硬性粉体に(A)成分と任意に(B)成分とをドライブレンドした系では、粉体混合方式のDJM(Dry Jet Mixing)工法やスタビライザなどを使用した浅層改良などにも使用できる。
<工程1>
水と、水硬性粉体と、(A)成分と、任意に(B)成分とを混合してスラリーを調製する工程であって、(A)成分を水硬性粉体に対して0.5質量%以上10質量%以下となるように混合してスラリーを調製する工程
<工程2>
工程1で得られたスラリーを地盤に注入してスラリーと土壌とを混合して混合物を得る工程であって、土壌1m3あたりのスラリーの混合量が150kg以上800kg以下であり、混合物中の水硬性粉体/土壌の質量比が0.01以上0.6以下である工程
<工程3>
工程2で得られたスラリーと土壌の混合物を固化させる工程
本発明の地盤改良用添加剤組成物は、(A)成分を含有する、地盤改良用添加剤組成物であって、前記地盤の土壌が強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌に用いられる地盤改良用添加剤組成物である。
本発明の地盤改良用添加剤組成物は、更に(B)成分を含有することができる。本発明の地盤改良用添加剤組成物は、(A)成分、及び(B)成分からなるものであってもよい。
本発明の地盤改良用添加剤組成物の使用量は、地盤改良材の種類、土壌(地盤)の種類などを考慮して設定できるが、本発明の地盤の改良工法や本発明の地盤改良体で述べた量となることが好ましい。本発明の地盤の改良工法で述べた事項は、適宜、本発明の地盤改良用添加剤組成物に適用することができる。
本発明の地盤改良用スラリーは、水と、水硬性粉体と、(A)成分とを含有する地盤改良用スラリーであって、(A)成分を水硬性粉体に対して0.5質量%以上10質量%以下で含有し、前記地盤の土壌が強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌に用いられる地盤改良用スラリーである。当該スラリーは、水/水硬性粉体の質量比が好ましくは40質量%以上150質量%以下である。本発明の地盤改良用スラリーは、水と、水硬性粉体と、本発明の地盤改良用添加剤組成物とを混合してなる地盤改良用スラリーであってよい。本発明の地盤改良用スラリーは、本発明の地盤の改良工法に好ましく用いられる。また、本発明の地盤改良用スラリーは、更に(B)を含有することができる。本発明の地盤の改良工法、地盤改良用添加剤組成物で述べた事項は、適宜、本発明の地盤改良用スラリーに適用することができる。
本発明の地盤改良用スラリーの使用量は、地盤改良用スラリーの組成、土壌(地盤)の種類などを考慮して設定できるが、本発明の地盤の改良工法や本発明の地盤改良体で述べた量となることが好ましい。
本発明の地盤改良用スラリーは、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、土壌1m3あたり好ましくは150kg以上、より好ましくは200kg以上、更に好ましくは250kg以上、そして、好ましくは800kg以下、より好ましくは500kg以下、更に好ましくは400kg以下で土壌と混合して用いられる。また、本発明の地盤改良用スラリーは、該スラリー中の水硬性粉体と土壌とが、水硬性粉体/土壌の質量比が好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.25以上、そして、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.45以下で土壌と混合して用いられる。
本発明の地盤改良体は、強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌、水硬性粉体、水、及び(A)成分を含有する地盤改良体であって、(A)成分を水硬性粉体に対して0.5質量%以上10質量%以下で含有する地盤改良体である。この地盤改良体は、酸性土を含むソイルセメントの強度向上の観点から、好ましくは水硬性粉体/土壌の質量比が0.01以上0.6以下である。この地盤改良体は、前記土壌と、水と、水硬性粉体と、(A)成分とを含有するスラリーを硬化させてなる地盤改良体であってよい。
本発明の地盤改良体は、前記土壌と、本発明の地盤改良用スラリーとを混合してなる、地盤改良体であってよい。
本発明の地盤改良体における、水硬性粉体、(A)成分、(B)成分、土壌などの具体例、好ましい態様や、各質量比などの量的な規定も、それぞれ、本発明の地盤の改良工法、地盤改良用添加剤組成物、地盤改良用スラリーと同じである。
以下の実施例、比較例、参考例で用いた成分を以下に示す。
(A)成分
(A1)成分
・塩化カルシウム:富士フィルム和光純薬株式会社製、20℃における水への溶解度74.5g/100ml
・塩化アルミニウム:富士フィルム和光純薬株式会社製、20℃における水への溶解度45.8g/100ml
(A2)成分
(A21)成分
・塩化ナトリウム:富士フィルム和光純薬株式会社製
・塩化カルシウム:富士フィルム和光純薬株式会社製
(A22)成分
・硫酸アルミニウム:富士フィルム和光純薬株式会社製、20℃における水への溶解度87g/100ml
・乳酸アルミニウム:富士フィルム和光純薬株式会社製、20℃における水への溶解度30.8g/100ml
・ミョウバン:富士フィルム和光純薬株式会社製、20℃における水への溶解度40.9g/100ml
・無水石膏:サンエス石膏株式会社製
・二水石膏:富士フィルム和光純薬株式会社製
・普通ポルトランドセメント:太平洋セメント株式会社製
表1の土壌を用いてソイルセメントを調製し、ソイルセメントに対する評価を以下のように行った。結果を表2、表3に示す。
まず、セメントミルクを次の手順で調製した。500mlプラスチックカップ(500mLディスポカップ、ニッコー・ハンセン株式会社)内で水硬性粉体と(A)成分と、(B)成分を混合した。その混合物に水を加えハンドミキサーにて1分間混練してセメントスラリーを調製した。
セメントスラリーを調製するための水は上水道水を用いた。水硬性粉体と水は、水/水硬性粉体の質量比が60質量%となるように用いた。
(A)成分、(B)成分は、水硬性粉体に対する添加量が表2、3の通りとなるように用いた。
その後、別の500mlプラスチックカップ内に、土壌を投入し、セメントスラリーを、表2、3に記載の注入量となるように投入し(水硬性粉体/土壌の質量比=0.38)、ハンドミキサーにて3分間撹拌してソイルセメントを調製した。攪拌後、振動を与えて上面を均し、ラップフィルムで封をして所定時間まで22℃で静置した。
調製したソイルセメントを用いて得た地盤改良体の強度を次の方法で評価した。ソイルセメントを、型枠(直径50mm×高さ100mm)に充填した。充填は、テーブルバイブレータで30秒の2層詰めとした。供試体は2本作製した。前記で得た供試体の硬化体(地盤改良体)の20℃気中7日強度を、一軸圧縮試験機により測定した。表2、3には、2本の供試体の強度の平均値を7日強度として示した。
また表3の結果から、有機物を含まない土壌であるスミクレー泥水に、水硬性粉体と(A)成分を添加しても、ソイルセメントの7日強度を向上させることはなく、本発明の地盤の改良工法は、特定の土壌に対してだけ、効果があることが分かる。
Claims (13)
- 強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌に、水硬性粉体と、水と、下記の(A)成分とを混合する、地盤の改良工法であって、
水硬性粉体が、ポルトランドセメントであり、
水硬性粉体と水とを、水/水硬性粉体の質量比が、40質量%以上120質量%以下で混合し、且つ、
(A)成分を水硬性粉体に対して2.0質量%以上8.0質量%以下となるように混合する、地盤の改良工法。
(A)成分:下記(A1)成分又は(A2)成分
(A1)成分:20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるカルシウム塩化物塩
(A2)成分:(A21)アルカリ金属塩化物塩、及びアルカリ土類金属塩化物塩から選ばれる1種以上の化合物(以下、(A21)成分という)と、(A22)20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるアルミニウム塩(但し、(A21)成分を除く、以下、(A22)成分という) - 前記土壌が、地盤工学会基準JGS0211-2009で規定される方法によって測定される土懸濁液のpHが6以下である、請求項1に記載の地盤の改良工法。
- 前記土壌と、水硬性粉体と、水と、(A1)成分を混合する、請求項1又は2に記載の地盤の改良工法。
- (A1)成分が塩化カルシウムである、請求項3に記載の地盤の改良工法。
- (A1)成分を、水硬性粉体に対して、2.0質量%以上8.0質量%以下で混合する、請求項3又は4に記載の地盤の改良工法。
- 前記土壌と、水硬性粉体と、水と、(A2)成分を混合する、請求項1又は2に記載の地盤の改良工法。
- (A21)成分が、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化カルシウムから選ばれる1種以上であり、(A22)成分が、乳酸アルミニウム、ミョウバン、及び硫酸アルミニウムから選ばれる1種以上である、請求項6に記載の地盤の改良工法。
- (A2)成分を、水硬性粉体に対して、2.0質量%以上8.0質量%以下で混合する、請求項6又は7に記載の地盤の改良工法。
- (A21)成分と(A22)成分の質量比(A21)/(A22)が0.1以上10以下である、請求項6~8の何れか1項に記載の地盤の改良工法。
- 更に(B)無水石膏、二水石膏、半水石膏および硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種以上の化合物(以下、(B)成分という)を混合する、請求項1~9の何れか1項に記載の地盤の改良工法。
- (B)成分を、水硬性粉体に対して、0.1質量%以上30質量%以下で混合する、請求項10に記載の地盤の改良工法。
- 前記土壌が泥炭である、請求項1~11の何れか1項に記載の地盤の改良工法。
- 強熱減量法によって求められる有機質分量が30%以上である土壌、水硬性粉体、水、及び下記の(A)成分を含有する地盤改良体であって、
水硬性粉体が、ポルトランドセメントであり、
水/水硬性粉体の質量比が、40質量%以上120質量%以下であって、
(A)成分を水硬性粉体に対して2.0質量%以上8.0質量%以下で含有する地盤改良体。
(A)成分:下記(A1)成分又は(A2)成分
(A1)成分:20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるカルシウム塩化物塩
(A2)成分:(A21)アルカリ金属塩化物塩、及びアルカリ土類金属塩化物塩から選ばれる1種以上の化合物(以下、(A21)成分という)と、(A22)20℃における水への溶解度が20g/100ml以上であるアルミニウム塩(但し、(A21)成分を除く、以下、(A22)成分という)
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