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JP7381642B2 - 固化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固化処理方法に関する。
従来、様々な土質改良材が提案されている。
例えば、熱帯性泥炭等の高有機質土、マリンクレイ等の高含水土等の各種土質の固化、改良処理に使用するセメント系固化材として、例えば、特許文献1には、普通セメント、高炉セメント、早強セメント、アーウイン系セメントの1種または2種以上を100重量部および石膏を3~100重量部含むことを特徴とするセメント系固化材が記載されている。
また、有機酸(フミン酸やフルボ酸等の腐植物質)の含有量、及び、含水比が高い高有機質土(例えば、泥炭等)を固化できる固化材として、特許文献2には、セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとを含む高有機質土または腐植土用固化材であって、前記セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとの合計量に対する前記高炉スラグ微粉末と無水石こうの合計量が15~40質量%であり、かつ前記セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとの合計量に対して高炉スラグ微粉末を10質量%以上含むことを特徴とする高有機質土または腐植土用固化材が記載されている。
特開2002-137950号公報 特開2018-193515号公報
有機物を多く含む土を、温度が高い環境下等で固化処理を行った場合、固化処理後の土(以下、「固化改良土」ともいう。)の強度(例えば、一軸圧縮強さ)が低下するという問題がある。
本発明の目的は、有機物を含む土(例えば、有機炭素含有量が5質量%以上であり、かつ、強熱減量が10質量%以上)であり、かつ、温度が高い環境下(具体的には、未改良土に対する土質改良材の供給後、7日間経過するまでの固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値が24℃以上)であっても、固化処理後の固化改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)を大きくすることができる固化処理方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、未改良土に対して、土質改良材を供給し混合して、固化改良土を得る方法であって、土質改良材が、セメント系固化材及び硬化促進剤を含むものであり、かつ、粉体又はスラリーであって、未改良土に対する土質改良材の供給後、7日間経過するまでの固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値が24℃以上である方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供するものである。
[1] 有機物を含む未改良土に対して、土質改良材を供給し、混合して、固化改良土を得る固化処理方法であって、上記土質改良材が、セメント系固化材及び硬化促進剤を含むものであり、かつ、粉体又はスラリーであって、上記未改良土に対する上記土質改良材の供給後、7日間経過するまでの上記固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値が24℃以上であることを特徴とする固化処理方法。
[2] 上記土質改良材の固形分100質量%中、上記セメント系固化材の割合が、70~99質量%で、かつ、上記硬化促進剤の割合が1~30質量%である前記[1]に記載の固化処理方法。
[3] 上記セメント系固化材が、セメント、及び石膏を含み、かつ、高炉スラグ微粉末を含まないもの、又は、セメント、石膏、及び高炉スラグ微粉末を含むものであり、上記セメント系固化材中、上記セメントの割合が20~90質量%、上記石膏の割合が無水物換算で5~30質量%、上記高炉スラグ微粉末の割合が0~60質量%である前記[1]又は[2]に記載の固化処理方法。
[4] 上記硬化促進剤が、硫酸塩系、塩化物系、亜硝酸塩系、アルミナ系、チオシアン酸塩系、チオ硫酸塩系、及び炭酸塩系の中から選ばれる1種以上の硬化促進剤である前記[1]~[3]のいずれかに記載の固化処理方法。
[5] 上記未改良土は、「JGS 0231-2020(土の有機炭素含有量試験方法)」における、有機炭素含有量が5質量%以上であり、かつ、強熱減量が10質量%以上である前記[1]~[4]のいずれかに記載の固化処理方法。
[6] 上記未改良土の含水比が100%以上である前記[1]~[5]のいずれかに記載の固化処理方法。
[7] 上記未改良土1mに対する上記土質改良材の供給量が、固形分で、200kg以上である前記[1]~[6]のいずれかに記載の地盤の改良方法。
本発明の固化処理方法によれば、有機物を含む土(例えば、有機炭素含有量が5質量%以上であり、かつ、強熱減量が10質量%以上)であり、かつ、温度が高い環境下(具体的には、未改良土に対する土質改良材の供給後、7日間経過するまでの固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値が24℃以上)であっても、固化処理後の固化改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)を大きくすることができる。
本発明の固化処理方法は、有機物を含む未改良土(以下、単に「未改良土」ともいう。)に対して、土質改良材を供給し、混合して、固化改良土を得る固化処理方法であって、土質改良材が、セメント系固化材及び硬化促進剤を含むものであり、かつ、粉体又はスラリーであって、未改良土に対する土質改良材の供給後、7日間経過するまでの固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値が24℃以上であるものである。
本発明において、固化処理の対象となる未改良土は、有機物(例えば、腐植物質)を含むものである。
通常、有機物は、セメントの水和反応を阻害するため、セメント系固化材を用いて、有機物を含む未改良土(土壌)の固化処理を行う場合(特に、高温の環境下で行う場合)、固化改良土(固化処理後の土壌)の強度を十分に大きくすることができない場合がある。
有機物を含む土の例としては、泥炭、黒ボク土、水田土、黒泥土、及びポトゾル等が挙げられる。
未改良土の「JGS 0231-2020(土の有機炭素含有量試験方法)」における、有機炭素含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。なお、有機炭素含有量とは、土の炉乾燥質量に対する、有機物に由来する炭素質量の比率であり、上記有機炭素含有量が多い程、未改良土中の有機物の量が多いと判断することができる。
本発明の方法によれば、有機炭素含有量が5質量%以上であるような有機物の量が多い未改良土であっても、固化改良土の強度を大きくすることができる。なお、有機炭素含有量が5質量%未満である場合、一般的な土質改良材を用いた固化処理方法でも、固化改良土の強度を十分に大きくすることができるため、本発明の方法を行う必要性が乏しくなる。
未改良土の強熱減量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。なお、強熱減量とは、土の炉乾燥質量に対する、750±50℃で強熱したときの減少質量の比率をいう。上記強熱減量が多い程、未改良土中の有機物の量が多いと判断することができる。
本発明の方法によれば、強熱減量が10質量%以上であるような有機物の量が多い未改良土であっても、固化改良土の強度を大きくすることができる。なお、強熱減量が10質量%未満である場合、一般的な土質改良材を用いた固化処理方法でも、固化改良土の強度を十分に大きくすることができるため、本発明の方法を行う必要性が乏しくなる。
未改良土の含水比は、好ましくは100%以上、より好ましくは150~1,000%、さらに好ましくは300~900%、さらに好ましくは500~850%、特に好ましくは650~800%である。
一般的に、未改良土の含水比が100%以上である場合、土質改良材の強度発現性が小さくなるが、本発明の方法によれば、含水比が100%以上であるような未改良土であっても、固化改良土の強度を大きくすることができる。なお、有含水比が100%未満である場合、一般的な土質改良材を用いた固化処理方法でも、固化改良土の強度を十分に大きくすることができるため、本発明の方法を行う必要性が乏しくなる。
なお、「含水比」(単位:%)とは、未改良土に含まれる固体の質量に対する、未改良土に含まれる水の質量の百分率((水/固体)×100%)をいう。
本発明で用いられる土質改良材は、セメント系固化材及び硬化促進剤を含むものである。
本明細書中、セメント系固化材とは、セメントを含み、かつ、任意に配合可能な混和材を含む、粉体状のものをいう。
セメント系固化材に用いられるセメントの例としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメントや、エコセメントや、白色セメントや、超速硬セメント等が挙げられる。
中でも、強度発現性等の観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントが好ましい。
セメント系固化材中のセメントの割合は、好ましくは20~90質量%、より好ましくは23~85質量%、さらに好ましくは25~70質量%、さらに好ましくは25~60質量%、特に好ましくは25~35質量%である。上記割合が20質量%以上であれば、固化改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)をより大きくすることができる。また、上記割合が90質量%以下であれば、材料にかかるコストをより低減し、廃棄物由来の原料の使用量をより多くすることができる。
また、作業性がより向上する観点から、セメント系固化材としては、混和材として石膏を含むものが好ましい。セメント系固化材中の石膏の割合は、無水物換算で、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~28質量%、特に好ましくは10~25質量%である。
なお、上記石膏の割合には、セメントに含まれている石膏は含まれないものとする。
上記石膏の例としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏、又はこれらの混合物等が挙げられる。
セメント系固化材は、固化改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)をより大きくする観点や、材料にかかるコストを低減し、高炉スラグ微粉末の利用を促進する等の観点から、混和材として、高炉スラグ微粉末を含んでいてもよい。セメント系固化材の固形分100質量%中の高炉スラグ微粉末の割合(セメント系固化材が水を含まない場合の高炉スラグ微粉末の割合)は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは10~58質量%、さらに好ましくは20~55質量%、特に好ましくは30~50質量%である。上記割合が60質量%以下であれば、相対的にセメントの量が多くなるため、固化改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)をより大きくすることができる。
なお、セメント系固化材に含まれるセメントが高炉セメントである場合、高炉セメントに含まれる高炉スラグ微粉末は、上記割合に含まれるものとする。
石膏及び高炉スラグ微粉末以外の混和材の例としては、生石灰、消石灰、フライアッシュ、石灰石微粉末、及びシリカフューム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セメント系固化材中の石膏及び高炉スラグ微粉末以外の混和材(二種以上の混和材を含むものは、その合計)の割合は、相対的にセメントの割合が多くなり、固化改良土の強度をより大きくすることができる等の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
本明細書中、「硬化促進剤」とは、「JIS A 6204:2011(コンクリート用化学混和剤)」に規定されているものをいう。より具体的には、セメントの水和を早め、初期材齢の強度を大きくするための化学混和剤であって、上記硬化促進剤を用いていない場合の圧縮強度を100%としたときに、材齢1日で120%以上、材齢2日で130%以上、材齢28日で90%以上の各値を満たすものをいう。ここで、「圧縮強度」とは、「JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に規定する方法で測定された値をいう。
硬化促進剤の例としては、硫酸塩系、塩化物系、亜硝酸塩系、アルミナ系、チオシアン酸塩系、チオ硫酸塩系、及び炭酸塩系等の硬化促進剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫酸塩系硬化促進剤の例としては、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
塩化物系硬化促進剤の例としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
亜硝酸塩系硬化促進剤の例としては、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
アルミナ系硬化促進剤の例としては、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、カルシウムハロアルミネート、カルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート及びこれらの水和物等が挙げられる。
中でも、固化改良土の強度をより大きくすることができる観点から、塩化カルシウムが好ましい。
なお、硬化促進剤は、通常、粉体である。
土質改良材の固形分100質量%中、セメント系固化材の割合は、好ましくは70~99質量%、より好ましくは75~97質量%、さらに好ましくは82~94質量%、特に好ましくは86~92質量%である。上記割合が70質量%以上であれば、固化改良土の強度をより大きくすることができる。上記割合が99質量%以下であれば、相対的に硬化促進剤の割合が大きくなるため、未改良土の含水比が大きい場合や、温度が高い環境下等で固化処理を行った場合であっても、固化改良土の強度をより大きくすることができる。
土質改良材の固形分100質量%中、硬化促進剤の割合は、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、さらに好ましくは6~18質量%、特に好ましくは8~14質量%である。上記割合が1質量%以上であれば、未改良土の含水比が大きい場合や、温度が高い環境下で固化処理を行った場合であっても、固化改良土の強度をより大きくすることができる。上記割合が30質量%以下であれば、相対的にセメント系固化材の割合が大きくなるため、固化改良土の強度をより大きくすることができる。
土質改良材は、粉体の状態で添加し、混合してもよく(ドライ添加方法)、スラリーの状態で添加し、混合してもよい(スラリー添加方法)。
例えば、未改良土の含水比が小さい場合(例えば、含水比が300%未満である場合)や、未改良土に含まれる有機物の量が大きい場合(土質有機炭素含有量が25質量%以上であり、かつ、強熱減量が70質量%以上である場合)、未改良土からなる層の厚みが大きく、中層混合処理工法や、真相混合処理工法を用いて固化処理を行う場合、未改良土に土質改良材をより均一に混合したい場合等には、固化改良土の強度をより大きくする観点から、スラリーの状態の土質改良材を、未改良土に供給することが好ましい。この場合、セメント系固化材と硬化促進剤と水を予め混合し、スラリーの形態とした後、該スラリーを未改良土に供給する。
また、粉体状の土質改良材と水を別々に未改良土に供給してもよい。なお、粉体状の土質改良材は、通常、水を除く粉状の各材料を混合することで得ることができる。
土質改良材をスラリーの状態で用いる場合、水粉体比(水と粉体(セメント系固化材と硬化促進剤の混合物)の質量比(水/粉体)を百分率で表したもの)は、土質改良材の強度発現性や、未改良土との混合の容易性等の観点から、好ましくは50~200%、より好ましくは60~150%、特に好ましくは70~120%である。
有機物を含む未改良土に対して、土質改良材を供給し、混合することで、固化改良土を得ることができる。
未改良土に対する土質改良材の供給後、7日間経過するまでの固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度の平均値は、24℃以上、好ましくは25℃以上、より好ましくは28℃以上である。上記平均値が24℃未満である場合、一般的な土質改良材を用いた固化処理方法でも、固化改良土の強度を十分に大きくすることができるため、本発明の方法を行う必要性が乏しくなる。
なお、固化改良土の表面の上方かつ近傍の温度とは、固化改良土の表面から鉛直上向きの方向の高さの値として、好ましくは5cm以内、より好ましくは0.5~4cm、特に好ましくは1~3cmにおいて測定された温度である。
また、土質改良材を供給し、混合した直後の固化改良土の温度は、好ましくは24℃以上、より好ましくは26℃以上、特に好ましくは28℃以上である。上記温度が24℃未満である場合、一般的な土質改良材を用いた固化処理方法でも、固化改良土の強度を十分に大きくすることができるため、本発明の方法を行う必要性が乏しくなる。
本発明の固化処理方法によれば、改良土の強度(例えば、一軸圧縮強さ)を大きくすることができる。
未改良土1mに対する土質改良材の供給量は、対象となる未改良土の性状、施工条件、並びに、処理後に得られる固化改良土に求められる強度等によっても異なるが、未改良土1mに対して、固形分で、好ましくは200kg以上、より好ましくは250~600kg、より好ましくは300~500kg、特に好ましくは320~450kgである。
上記供給量が200kg以上であれば、固化改良土の強度をより大きくすることができる。上記供給量が600kg以下であれば、コストの過度な増加を防ぐことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)セメント1;太平洋セメント社製、普通ポルトランドセメント
(2)セメント2;太平洋セメント社製、早強ポルトランドセメント
(3)高炉スラグ微粉末(表2~3中、「高炉スラグ」と示す。);デイ・シイ社製、商品名「セラメント」
(4)石膏1;無水石膏(表2~3中、「無水」と示す。)
(5)石膏2;半水石膏(表2~3中、「半水」と示す。)
(6)石膏3;二水石膏(表2~3中、「二水」と示す。)
(7)硬化促進剤A;硫酸第一鉄
(8)硬化促進剤B;塩化カルシウム
(9)硬化促進剤C;カルシウムアルミネート系水和物
(10)硬化促進剤D;亜硝酸カルシウム
(11)有機質土1~2;詳細は表1に示す。
Figure 0007381642000001
[実施例1~4]
材料として、普通ポルトランドセメント、表2に示す種類の石膏、及び高炉スラグ微粉末を含み、セメント系固化材中の各材料の割合が表2に示す割合であるセメント系固化材と、表2に示す種類の硬化促進剤を、表2に示す質量比となる量で混合して粉体状の土質改良材を得た。なお、表2中の石膏の割合は、無水物換算の値である。
26℃の環境下で、有機質土1に、有機質土1m当たりの土質改良材の添加量が400kgとなる粉体状の土質改良材を添加して混合し、固化改良土を得た。混合直後の固化改良土の温度(表2中、「練上がり温度」と示す。)を測定した。
得られた固化改良土を、26℃の恒温室内で7日間養生した後、固化改良土の一軸圧縮強さを、「JIS A 1216:2020(土の一軸圧縮試験方法)」に準拠して測定した。
また、固化改良土の表面から鉛直上向きの方向の高さ2cmの位置の、2時間ごとの温度を、材齢7日まで測定し、その平均値(表2中、「平均温度」と示す。)を算出した。
[比較例1~3]
硬化促進剤を使用せず、セメント系固化材を土質改良材とする以外は実施例1と同様にして、固化改良土を得た。実施例1と同様にして、一軸圧縮強さ等を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 0007381642000002
[実施例5]
セメント系固化材中、早強ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、無水石膏の各割合が表3に示す割合であるセメント系固化材と、表3に示す種類の硬化促進剤を、表3に示す質量比となる量で混合して粉体状の土質改良材を得た。
次いで、粉体状の土質改良材と、該土質改良材と同じ質量の水を混合して、水粉体比(水と粉体状の土質改良材の質量比を100分率で表したもの)が100%であるスラリーを得た。
26℃の環境下で、有機質土2に、有機質土1m当たりの土質改良材(固形分)の添加量が350kgとなる量の上記スラリーを添加して混合し、固化改良土を得た。混合直後の固化改良土の温度(表3中、「練上がり温度」と示す。)を測定した。
得られた固化改良土を、28℃の恒温室内で、7日間養生した後、固化改良土の一軸圧縮強さを、「JIS A 1216:2020(土の一軸圧縮試験方法)」に準拠して測定した。
また、固化改良土の表面から鉛直上向きの方向の高さ2cmの位置の、2時間ごとの温度を、材齢7日まで測定し、その平均値(表3中、「平均温度」と示す。)を算出した。
[比較例4]
硬化促進剤を使用せず、セメント系固化材を土質改良材とする以外は実施例5と同様にして、固化改良土を得た。実施例5と同様にして、一軸圧縮強さ等を測定した。
[比較例5]
16℃の環境下で、固化改良土を得た後、得られた固化改良土を、16℃の恒温室内で、7日間養生した以外は比較例4と同様にして、一軸圧縮強さ等を測定した。
[比較例6]
16℃の環境下で、固化改良土を得た後、得られた固化改良土を、16℃の恒温室内で、7日間養生した以外は実施例5と同様にして、一軸圧縮強さ等を測定した。
結果を表4に示す。
Figure 0007381642000003
表2~3から、実施例1~4と比較例1~2の比較、及び、実施例5と比較例6の比較から、本発明の方法によれば、固化改良土の一軸圧縮強さをより大きくすることができることがわかる。
また、表3の比較例5と比較例6を比較すると、固化改良土の表面付近の平均温度が16℃である場合、セメント系固化材のみを用いた比較例5の固化改良土の材齢7日の一軸圧縮強さは220kN/m、材齢28日の一軸圧縮強さは390kN/mであるのに対して、セメント系固化材及び硬化促進剤を使用した比較例6の固化改良土の材齢7日の一軸圧縮強さは290kN/m、材齢28日の一軸圧縮強さは330kN/mであることがわかる。このことから、固化改良土の表面付近の平均温度が16℃である条件では、セメント系固化材及び硬化促進剤を使用した場合、セメント系固化材のみを用いた場合と比較して、材齢7日の一軸圧縮強さは大きいものの、材齢28日の一軸圧縮強さは小さいことがわかる。

Claims (3)

  1. 有機物を含む未改良土に対して、土質改良材を供給し、混合して、固化改良土を得る固化処理方法であって、
    上記未改良土は、「JGS 0231-2020(土の有機炭素含有量試験方法)」における、有機炭素含有量が5質量%以上であり、かつ、強熱減量が10質量%以上であるものであり、
    上記土質改良材が、セメント系固化材及び硬化促進剤を含むものであり、かつ、粉体又はスラリーであって、
    上記土質改良材の固形分100質量%中、上記セメント系固化材の割合が、95~99質量%で、かつ、上記硬化促進剤の割合が1~5質量%であり、
    上記セメント系固化材が、セメント、石膏、及び高炉スラグ微粉末を含むものであり、
    上記セメント系固化材中、上記セメントの割合が25~60質量%、上記石膏の割合が無水物換算で10~25質量%、上記高炉スラグ微粉末の割合が30~50質量%であり、
    上記硬化促進剤が硫酸第一鉄であり、
    上記未改良土に対する上記土質改良材の供給後、7日間経過するまでの上記固化改良土の表面から鉛直上向きの方向の高さとして2cmの位置において測定された温度の平均値が24℃以上である環境下で固化処理を行うことを特徴とする固化処理方法。
  2. 上記未改良土の含水比が100%以上である請求項1に記載の固化処理方法。
  3. 上記未改良土1mに対する上記土質改良材の供給量が、固形分で、200kg以上である請求項1又は2に記載の固化処理方法
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