JP6497990B2 - 地盤安定化用液体混和剤、地盤安定化材料、およびそれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの超高圧噴流注入工法用セメント添加剤は、砂質土や砂分の多いシルト地盤では、その効果がある程度認められるものの、粘性土地盤においては、粘性低下の効果が小さいために多量に添加する必要があり、強度発現性が向上しにくいという課題があった。
一方、混合土の粘性を低下させるものとして、粉体のものとしては、リン酸塩、アルカリ金属含有物(硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩等)、有機酸、およびアンモニウム塩等を含有する物質を組み合わせたものが知られている(特許文献2〜7参照)。
特許文献8は、CaとSを含む化合物である多硫化カルシウムに生石灰などの固定化材に担持させて、改良処理土の強度の低下をもたらすことなく、有害重金属溶出を著しく抑制する機能を付加した地盤改良材を提供することを目的としている。この文献には、固定化材である生石灰に担持させた後、セメントやセッコウと混合する技術が開示されている。
特許文献9は、Ca8S5(S2O3)(OH)12・20H2O及び水酸化カルシウムを主成分とする重金属固定化剤であり、多硫化カルシウムとして市販の石灰硫黄合剤を用いることが記載されている。
しかしながら、これら文献では、混合土の粘性を低下させる効果が少なく、高い粘性低減効果の付与と六価クロムの溶出量を抑えることが可能となるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
ナフタレン類、メラミン類、アミノスルホン酸類、ポリカルボン酸類またはポリエーテル類としては、分子量や重合度など特に限定されるものではない。
さらに、スライムの粘性を低下させるものとしてリン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、オキシカルボン酸類があり、これらを併用することも可能である。
本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、および中庸熱などの各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュまたはシリカを混合した各種混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、ならびに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのポルトランドセメント、ならびに、市販されている微粒子セメントなどが挙げられ、これらのうちの一種または二種以上が使用可能である。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏など)量を増減して調整されたものも使用可能である。
本発明の地盤安定化用液体混和剤は、粘性土に限らず、砂質土や腐食土等の土に対しても優れた効果がある。
この工法は、地中にセメントミルクを噴射する管を挿入し、管を回転させながら管先端付近からセメントミルクを高圧噴射し、地中の土を切削すると同時に、切削された土とセメントミルクとが混合された混合土を別の管内を通して地上へ排出しながら、一定速度で管を上昇させ、地中を、セメントミルクと土との混合物で置換して硬化させ、地盤を安定化させる工法である。
本発明の混合や攪拌の条件は、地中に高圧噴射する前に本液体混和剤と水とが混合されていれば特に限定するものではないが、本液体混和剤と水とを、回転数10〜1000rpm 程度で回転するグラウトミキサーにより混合するバッチ混合方式や、管内に羽根を設置しているラインミキサーにより混合する連続混合方式等により混合や攪拌が可能である。
まず、地盤改良が必要な箇所を削孔する。削孔径は特に限定されるものではないが注入ロッドが挿入できる大きさであればよい。
削孔の深さは、改良したい領域により変更し特に限定することはできないが、10〜50m程度が通常である。
次に、二重管や三重管構造の注入ロッドを挿入し、セメントスラリーをグラウトポンプ、超高圧ポンプ、又はコンプレッサーなどを用いて圧送し、二重管または三重管のノズルから噴射する。
セメントミルクの圧送圧力は大きい方が好ましいが、二重管、三重管、またはこれらのノズルの磨耗等を考慮すると50〜700kg/cm2程度が通常である。
セメントミルクの送液量は特に限定されるものではないが、30〜800リットル/分程度が好ましい。
このように地中で高圧噴射されたセメントスラリーは、土と一緒に混合攪拌され、また、注入ロッドは回転しながら一定速度で地上へ上昇するので、最終的にはセメントスラリーと土とからなる円柱状の杭が地中に形成される。
この杭の直径は、地盤の硬さを示すN値等の土の条件や噴射の圧送圧力等の施工条件により変化し、特に限定されるものではないが、0.5〜20mが適当である。杭の長さは3m〜50m程度のものが形成可能である。
セメント100部に対して水150部、A〜Kに調製した地盤安定化用液体混和剤をセメント100部に対して2部混合してセメントスラリーを作製する。地盤安定化用液体混和剤GとHはセメント100部に対して4部混合してセメントスラリーを作製した。そのセメントスラリー0.5リットルに対して以下に示す土1リットルをモルタルミキサで低速1分間混合して得られたスライムの粘度、六価クロム溶出量、圧縮強度を測定した。
土:東京都町田市産粘性土、密度1.47g/ cm3、含水比85%
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
地盤安定化用液体混和剤として以下の溶液を使用した。
地盤安定化用液体混和剤A:石灰硫黄合剤、pHが11.0、酸化還元電位−540mv、MgO含有量が1.0%、T‐Ca量13%、T−S量26%。
地盤安定化用液体混和剤B:石灰硫黄合剤、pHが10.5、酸化還元電位−500mv、MgO含有量が1.0%、T‐Ca量12%、T−S量24%。
地盤安定化用液体混和剤C:石灰硫黄合剤、pHが10.0、酸化還元電位−450mv、MgO含有量が1.0%、T‐Ca量11%、T−S量22%。
地盤安定化用液体混和剤D:石灰硫黄合剤、pHが10.5、酸化還元電位−500mv、MgO含有量が0.5%。T‐Ca量10%、T−S量21%。
地盤安定化用液体混和剤E:石灰硫黄合剤、pHが10.5、酸化還元電位−500mv、MgO含有量が2.0%、T‐Ca量8%、T−S量19%。
地盤安定化用液体混和剤F:石灰硫黄合剤、pHが11.0、酸化還元電位−540mv、MgO含有量が1.0%、T‐Ca量13%、T−S量26%。
地盤安定化用液体混和剤G:ナフタレンスルホン酸塩系減水剤、電気化学工業社製、商品名「FT−500V」、ナフタレンスルホン酸含有率40%
地盤安定化用液体混和剤H:ポリカルボン酸塩系減水剤、花王社製、商品名「マイティ21P」
地盤安定化用液体混和剤I:地盤安定化用液体混和剤AとGを同量混合したもの
地盤安定化用液体混和剤J:地盤安定化用液体混和剤AとHを同量混合したもの
地盤安定化用液体混和剤K:地盤安定化用液体混和剤Iを70%にトリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムを10%ずつ混合したもの
粘度:混合したスライムの直後と30分後の粘度をB型粘度計で測定
六価クロム溶出量:混合した排泥をφ5×10cmの型枠に詰めて、水が飛ばないようにビニール袋で封緘にして20℃で材齢7日まで養生する。その後、環境庁台46号法に従って測定
圧縮強度:混合した排泥をφ5×10cmの型枠に詰めて、水が飛ばないようにビニール袋で封緘にして20℃で材齢28日まで養生後に耐圧試験機にて測定
本発明の地盤安定化用液体混和剤Aを使用し、使用量を表2に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Claims (5)
- pH10以上、酸化還元電位(ORP)が−450mv以下、MgO含有量が0.3%以上2.0%以下の溶液である石灰硫黄合剤を含有してなる地盤安定化用液体混和剤。
- セメント100質量部に対して0.01〜10質量部使用してなる請求項1に記載の地盤安定化用液体混和剤。
- さらに、ナフタレン類、メラミン類、アミノスルホン酸類、ポリカルボン酸類またはポリエーテル類の中から選ばれた1種または2種の液体減水剤を混合してなる請求項1または2に記載の地盤安定化用液体混和剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の地盤安定化用液体混和剤、水およびセメントを混合してなる地盤安定化用材料。
- 請求項4に記載の地盤安定化材料を地盤中に注入し、土と混合して粘性を低下させる地盤安定化工法。
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