JP7177009B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
(1)トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有する空気入りタイヤであって、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝を有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。
これによれば、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、新品時から摩耗初期において、排水性と耐摩耗性とを高い次元で両立させることができる。
また、「周方向主溝」とは、トレッド周方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
また、「トレッド端」とは、上記トレッド踏面のタイヤ幅方向両側の最外側点をいう。
また、「幅方向溝」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上のものをいう。
また、後述の「幅方向サイプ」とは、トレッド幅方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm未満のものをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
この構成によれば、交差部におけるクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
一例として、タイヤ径方向内側領域において、グリップ性能の高い(例えば硬度の小さい)トレッドゴムを用いることで、摩耗進展時のウェット性能をさらに向上させることができる。
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。
これによっても、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、新品時から摩耗初期において、排水性と耐摩耗性とを高い次元で両立させることができる。
前記2本の分岐サイプがなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みを有することが好ましい。
この構成によれば、交差部におけるクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
一例として、タイヤ径方向内側領域において、グリップ性能の高い(例えば硬度の小さい)トレッドゴムを用いることで、摩耗進展時のウェット性能をさらに向上させることができる。
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝及びトレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。
これによれば、摩耗進展時の排水性を向上させつつも、新品時から摩耗初期において、排水性と耐摩耗性とをより高い次元で両立させることができる。
この構成によれば、タイヤ径方向の剛性段差を低減することができる。
前記2本の分岐溝がなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みを有することが好ましい。
この構成によれば、分岐溝部分の交差部におけるクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
この構成によれば、分岐サイプ部分の交差部におけるクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
この構成によれば、分岐サイプ部分の交差部におけるクラックの発生を有効に抑制することができる。
前記分岐サイプ部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置又は該タイヤ径方向位置よりタイヤ径方向外側の位置を境界とした、タイヤ径方向外側領域と、タイヤ径方向内側領域とで、トレッドゴムの種類が異なることが好ましい。
一例として、タイヤ径方向内側領域において、グリップ性能の高い(例えば硬度の小さい)トレッドゴムを用いることで、摩耗進展時のウェット性能をさらに向上させることができる。
ここで、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の内部構造等については、従来のものと同様の構造とすることができる。一例としては、該タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有するものとすることができる。また、該タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有するものとすることができる。
以下、特に断りのない限り、寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷状態とした際の寸法等を指す。
ここで、幅方向溝4の溝幅(開口幅(平面視において、溝の延在方向に対して垂直に測った開口幅))は、幅方向溝4の本数にもよるため特には限定されないが、例えば5~10mmとすることができる。同様に、幅方向溝4の溝深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば14~20mmとすることができる。
なお、図示例では、各陸部3において、幅方向溝4がトレッド幅方向に対して傾斜して延びているが、幅方向溝4は、各陸部3において、トレッド幅方向に沿って延びていても、傾斜して延びていても良い。幅方向溝4がトレッド幅方向に傾斜して延びている場合には、幅方向溝4は、トレッド幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、図示のように、陸部3間で幅方向溝4のトレッド幅方向に対する傾斜角度を異ならせることもできる(本例では、陸部3a、3eにおける幅方向溝4aのトレッド幅方向に対する傾斜角度は、陸部3b、3c、3dにおける幅方向溝4bのトレッド幅方向に対する傾斜角度より小さい)。また、陸部3内でも複数本の幅方向溝4のトレッド幅方向に対する傾斜角度を同じとすることもでき、あるいは、異ならせることもできる。
また、図示例では、幅方向溝4は、いずれも、トレッド幅方向に真っ直ぐ延びているが、少なくとも1本の幅方向溝4が、屈曲した部分を有していても良い。
ここで、幅方向溝4は、排水性を向上させる観点から、例えば図示例のように、トレッド端TE及び/又は周方向主溝2に開口していることが好ましい。一方で、陸部3の剛性を高めるために、幅方向溝4は、トレッド端TE及び周方向主溝2のいずれにも開口せず、両端が陸部3内で終端するものとすることもできる。また、トレッド幅方向に隣接する2本の周方向主溝2間に区画される陸部3においては、幅方向溝4は、該2本の周方向主溝2のうちいずれの方に開口していても良い。
ここで、幅方向サイプ5のサイプ幅(開口幅(サイプの延在方向に対して垂直に測った開口幅))は、幅方向サイプ5の本数にもよるため特には限定されないが、例えば0.6~1.2mmとすることができる。同様に、幅方向サイプ5のサイプ深さ(最大深さ)は、特には限定されないが、例えば14~20mmとすることができる。
なお、図示例では、各陸部3b、3c、3dの各サイプ5は、トレッド幅方向に対して傾斜して延びている幅方向サイプであるが、トレッド幅方向に沿って延びている幅方向サイプであっても良い。幅方向サイプ5が、トレッド幅方向に対して傾斜して延びている場合には、トレッド幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、また、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましい。また、陸部3間で幅方向サイプ5のトレッド幅方向に対する傾斜角度を異ならせることもできる(本例では、陸部3b、3c、3dにおける幅方向サイプ5のトレッド幅方向に対する傾斜角度は同じである)。また、陸部3内でも複数本の幅方向サイプ5のトレッド幅方向に対する傾斜角度を同じとすることもでき、あるいは、異ならせることもできる。
また、図示例では、幅方向サイプ5は、いずれも、トレッド幅方向に真っ直ぐ延びているが、少なくとも1本の幅方向サイプ5が、屈曲した部分を有していても良い。
ここで、幅方向サイプ5は、排水性を向上させる観点から、トレッド端TE及び/又は周方向主溝2に開口していることが好ましい。一方で、陸部3の剛性を高めるために、幅方向サイプ5は、トレッド端TE及び周方向主溝2のいずれにも開口せず、両端が陸部3内で終端するものとすることもできる。また、トレッド幅方向に隣接する2本の周方向主溝2間に区画される陸部3においては、幅方向サイプ5は、該2本の周方向主溝2のうちいずれの方に開口していても良い。
また、図示例では、陸部3bにおける幅方向サイプ5と、陸部3cにおける幅方向溝4bと、陸部3dにおける幅方向サイプ5とが、連通している。これにより、排水性を向上させつつも、全て幅方向溝4が連通する場合と比較して陸部3の剛性の低下を抑えることができる。また、図示例では、陸部3b、3dにおける幅方向サイプ5と、陸部3cにおける幅方向溝4とのトレッド幅方向に対する傾斜方向が逆になっており、これによって陸部の剛性のバランスをより適正化することができる。
一方で、隣接する陸部3間で、幅方向溝4と幅方向サイプ5とは必ずしも連通している必要はない。また、隣接する陸部3間で、幅方向溝4と幅方向サイプ5とのトレッド幅方向に対する傾斜方向を同じとすることもできる。
図3に示すように、本実施形態において、幅方向溝4は、トレッド踏面1からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分4aと、該溝幅漸減部分4aからタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分4bと、該溝幅一定部分4bからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分4cと、を有している。
また、図示例では、トレッド周方向一方側の溝壁と他方側の溝壁とが対称な形状をなしているが、異なる形状をなしていても良く、トレッド周方向一方側の溝壁のタイヤ径方向に対する傾斜角度を、トレッド周方向他方側の溝壁のタイヤ径方向に対する傾斜角度より大きくすることも小さくすることもできる。
幅方向溝4全体の深さ方向の延在長さに対して、溝幅漸減部分4aの溝深さ方向の延在長さは、25~50%とすることができる。
また、図示例では、溝幅一定部分4bは、この断面視で、トレッド踏面1に対して垂直な方向に沿って延びているが、トレッド踏面1に対して垂直な方向に対して傾斜して延びていても良い。
幅方向溝4全体の深さ方向の延在長さに対して、分岐溝部分4cの延在方向に沿った長さは、25~50%とすることができる。分岐溝4c1、4c2の溝幅は、溝幅一定部分4bの溝幅と同じとすることができるが、溝幅一定部分4bの溝幅より大きくすることも小さくすることもできる。
図示例では、分岐溝4c1は、タイヤ径方向外側から内側に向かって、トレッド周方向の一方側に傾斜し、また、分岐溝4c2は、タイヤ径方向外側から内側に向かって、トレッド周方向の他方側に傾斜している。このように、2本の分岐溝を有する場合、2本の分岐溝間で、タイヤ径方向外側から内側に向かう、トレッド周方向に対する傾斜角度の方向を異ならせることが好ましい。
また、図示例では、分岐溝4c1、4c2は、上記のタイヤ径方向外側から内側に向かう、トレッド周方向に対する傾斜角度の方向を除いては、同様の形状をなしている。一方で、分岐溝間で形状を異ならせることもでき、溝幅、延在長さ、拡幅部の有無、その他の形状等のいずれか1つ以上を異ならせることができる。
なお、この断面視で、溝幅漸減部分4aと溝幅一定部分4bとがなす鈍角の溝壁部分や、溝幅一定部分4bと分岐溝4c1、4c2とがなす鈍角の溝壁部分も、丸みを有するものとすることができる。これによれば、当該部分でのクラックの発生を抑制してタイヤ耐久性を向上させることができる。
図4に示すように、本実施形態において、幅方向サイプ5は、トレッド踏面1からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分5aと、該サイプ幅漸減部分5aからタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、サイプ幅一定部分5bと、該サイプ幅一定部分5bからタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分5cと、を有している。
また、図示例では、トレッド周方向一方側のサイプ壁と他方側のサイプ壁とが対称な形状をなしているが、異なる形状をなしていても良く、トレッド周方向一方側のサイプ壁のタイヤ径方向に対する傾斜角度を、トレッド周方向他方側のサイプ壁のタイヤ径方向に対する傾斜角度より大きくすることも小さくすることもできる。
幅方向サイプ5全体の深さ方向の延在長さに対して、サイプ幅漸減部分5aのサイプ深さ方向の延在長さは、25~50%とすることができる。
また、図示例では、サイプ幅一定部分5bは、この断面視で、トレッド踏面1に対して垂直な方向に沿って延びているが、トレッド踏面1に対して垂直な方向に対して傾斜して延びていても良い。
図示例では、分岐サイプ5c1は、タイヤ径方向外側から内側に向かって、トレッド周方向の一方側に傾斜し、また、分岐サイプ5c2は、タイヤ径方向外側から内側に向かって、トレッド周方向の他方側に傾斜している。このように、2本の分岐サイプを有する場合、2本の分岐サイプ間で、タイヤ径方向外側から内側に向かう、トレッド周方向に対する傾斜角度の方向を異ならせることが好ましい。
また、図示例では、分岐サイプ5c1、5c2は、上記のタイヤ径方向外側から内側に向かう、トレッド周方向に対する傾斜角度の方向を除いては、同様の形状をなしている。一方で、分岐サイプ間で形状を異ならせることもでき、サイプ幅、延在長さ、拡幅部の有無、その他の形状等のいずれか1つ以上を異ならせることができる。
なお、この断面視で、サイプ幅漸減部分5aとサイプ幅一定部分5bとがなす鈍角の溝壁部分や、サイプ幅一定部分5bと分岐サイプ5c1、5c2とがなす鈍角の溝壁部分も、丸みを有するものとすることができる。これによれば、当該部分でのクラックの発生を抑制してタイヤ耐久性を向上させることができる。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
また、本実施形態の空気入りタイヤは、幅方向溝4が、トレッド踏面1からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分4aと、該溝幅漸減部分4aからタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分4bと、を有する。
これにより、溝幅漸減部分4aが露出している新品時から摩耗初期において、(例えば溝体積が同じである、溝幅が一定の溝と比較して)開口幅が大きいため排水性を向上させつつも、溝幅漸減部分4aにより区画される陸部3が断面視で鈍角に形成されるため、陸部3の剛性を確保することができ、耐摩耗性も向上させることができる。このように、新品時から摩耗初期において、排水性と耐摩耗性とを高い次元で両立させることができる。また、溝幅一定部分4bが露出している摩耗中期においては、溝幅が一定の通常の幅方向溝と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、各サイプ5が図4に示した構成を有しているが、本発明では、幅方向溝が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有する構成であって、サイプを有しない又はサイプが通常のサイプである構成とすることもできる。この場合は、幅方向溝に関する上述の作用効果を得ることができる。
また、本例では、トレッド踏面1内の全ての幅方向溝4が、図3に示した構成を有しているが、トレッド踏面1内のいずれか1本以上の幅方向溝4が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有する構成であれば、当該幅方向溝に関し、上述の作用効果を得ることができる。
例えば、いずれかの陸部のみにおいて、幅方向溝4が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有する構成とすれば、当該陸部において、幅方向溝に関し、上述の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤは、幅方向サイプ5が、トレッド踏面1からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分5aと、該サイプ幅漸減部分5aからタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分5bと、を有する。
これにより、サイプ幅漸減部分5aが露出している新品時から摩耗初期において、(例えば溝体積が同じである、サイプ幅が一定のサイプと比較して)開口幅が大きいため排水性を向上させつつも、サイプ幅漸減部分5aにより区画される陸部3が断面視で鈍角に形成されるため、陸部3の剛性を確保することができ、耐摩耗性も向上させることができる。このように、新品時から摩耗初期において、排水性と耐摩耗性とを高い次元で両立させることができる。また、サイプ幅一定部分5bが露出している摩耗中期においては、サイプ幅が一定の通常のサイプと同様の作用効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、幅方向溝4が図3に示した構成を有しているが、本発明では、幅方向サイプが、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有する構成であって、幅方向溝を有しない又は幅方向溝が通常の幅方向溝である構成とすることもできる。この場合は、幅方向サイプに関する上述の作用効果を得ることができる。
また、本例では、トレッド踏面1内の全ての幅方向サイプ5が、図4に示した構成を有しているが、トレッド踏面1内のいずれか1本以上の幅方向サイプ5が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有する構成であれば、当該幅方向サイプに関し、上述の作用効果を得ることができる。
例えば、いずれかの陸部のみにおいて、幅方向サイプが、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有する構成とすれば、当該陸部において、幅方向サイプに関し、上述の作用効果を得ることができる。
なお、交差部は、面取り等により丸みを設ける他、この断面で略三角形状の切り欠き部を設ける等しても良い。
なお、交差部は、面取り等により丸みを設ける他、この断面で略三角形状の切り欠き部を設ける等しても良い。
この場合、分岐サイプ部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置が、分岐溝部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置よりタイヤ径方向外側であることがより好ましい。溝体積(サイプの体積も含む)が急激に減少することを避けることができるからである。
分岐溝の交差部及び分岐サイプの交差部におけるクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性をさらに向上させることができるからである。
分岐サイプ部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置又は該タイヤ径方向位置よりタイヤ径方向外側の位置を境界とした、タイヤ径方向外側領域と、タイヤ径方向内側領域とで、トレッドゴムの種類が異なることが好ましい。この場合、タイヤ径方向内側領域のトレッドゴムの硬度が、タイヤ径方向外側の領域のトレッドゴムの硬度より低いことが好ましい。これにより、タイヤ径方向内側領域が使用される摩耗進展時において、ウェット性能(ウェットグリップ性能)を向上させることができる。この場合、特には限定されないが、タイヤ径方向内側領域のトレッドゴムのヤング率を、タイヤ径方向外側領域のトレッドゴムのヤング率の80~90%とすることができる。なお、ヤング率は、JIS K 6254に準拠する。
2、2a、2b、2c、2d:周方向主溝、
3、3a、3b、3c、3d、3e:陸部、
4:幅方向溝、4a:溝幅漸減部分、 4b:溝幅一定部分、 4c:分岐溝部分、
4c1、4c2:分岐溝、 4d:拡幅部、 4e:交差部、
5:幅方向サイプ、 5a:サイプ幅漸減部分、 5b:サイプ幅一定部分、
5c:分岐サイプ部分、 5c1、5c2:分岐サイプ、 5d:拡幅部、
5e:交差部、
6:ブロック、
CL:タイヤ赤道面、
TE:トレッド端
Claims (6)
- トレッド踏面に、トレッド周方向に延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝のうちトレッド幅方向に隣接する前記周方向主溝間に、又は、前記周方向主溝とトレッド端とにより、区画される複数の陸部と、を有する空気入りタイヤであって、
前記陸部に、トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝及びトレッド幅方向に延びる複数本の幅方向サイプを有し、
前記幅方向溝は、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減する溝幅漸減部分と、該溝幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、溝幅が一定である、溝幅一定部分と、該溝幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐溝部分と、を有し、
前記幅方向サイプは、前記トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かってサイプ幅が漸減するサイプ幅漸減部分と、該サイプ幅漸減部分からタイヤ径方向内側に向かって延び、サイプ幅が一定である、サイプ幅一定部分と、該サイプ幅一定部分からタイヤ径方向内側に向かって分岐して延びる、分岐サイプ部分と、を有することを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記分岐溝部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置と、前記分岐サイプ部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置とが異なる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記分岐溝部分は、2本の分岐溝からなり、
前記2本の分岐溝がなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みを有する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記分岐サイプ部分は、2本の分岐サイプからなり、
前記2本の分岐サイプがなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記2本の分岐溝がなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みの曲率半径は、前記2本の分岐サイプがなすタイヤ径方向内側での交差部が丸みの曲率半径より小さい、請求項3に従属する請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記分岐溝部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置又は該タイヤ径方向位置よりタイヤ径方向外側の位置を境界とした、タイヤ径方向外側領域と、タイヤ径方向内側領域とで、又は、
前記分岐サイプ部分のタイヤ径方向最外側端のタイヤ径方向位置又は該タイヤ径方向位置よりタイヤ径方向外側の位置を境界とした、タイヤ径方向外側領域と、タイヤ径方向内側領域とで、トレッドゴムの種類が異なる、請求項3~5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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