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JP7016267B2 - 柱状ハニカム成形体の乾燥方法及び柱状ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

柱状ハニカム成形体の乾燥方法及び柱状ハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は柱状ハニカム成形体の乾燥方法に関する。また、本発明は柱状ハニカム構造体の製造方法に関する。
流体の流路となる複数のセルにより形成されたハニカム構造を有するセラミックス製の構造体が、熱交換部材、触媒担体、及びフィルタ等として用いられている。このようなハニカム構造体は一般に、セラミックス原料に水や各種添加剤を加えて混練した後、押出成形して柱状ハニカム成形体とし、次いで、乾燥工程及び焼成工程を経て製造される。
ハニカム成形体の乾燥工程においては、ハニカム成形体に曲がりやねじれなどの変形が生じやすい。また、ハニカム成形体を複数のハニカム構造のセグメントに分割し、これを接合一体化させた構造とする場合がある。このような場合に各セグメントに曲がりやねじれなどの変形が生じると接合が困難になるという問題も生じる。このため、従来、乾燥時の変形を抑制する方法として各種の方法が提案されている。
特開平6-298563号公報には、誘電電極と並行にターンテーブルの回転中心軸とハニカム構造体の長手方向軸が一致するようテーブルの上にハニカム構造体を載置し、この状態でハニカム構造体を回転させながら誘電乾燥を行う方法が記載されている。
特開2000-044326号公報には、セラミック成形体にマイクロ波を照射しながら、熱風をセラミック成形体の貫通孔に吹き込むセラミック成形体の乾燥方法が記載されている。
特開2001-130970号公報には、セラミック成形体をマイクロ波により乾燥するマイクロ波乾燥工程と、マイクロ波により乾燥した形成体を、さらに熱風により乾燥する熱風乾燥工程とを組み合わせた乾燥方法が記載されている。
特開2012-223920号公報には、炭化ケイ素質の成形体を、樹脂製ラップで露出の無いように包み、50~70℃で維持して前記成形体全体を均温化した後、乾燥矯正冶具にて保持して、さらに50~70℃で前記成形体全体を維持して乾燥する方法が記載されている。
国際公開第2008/117624号には、湿球温度が70℃以上となるように調温調湿した過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気の混合ガスがセルを通過することにより、ハニカム成形体を乾燥させる方法が記載されている。
特開2003-285312号公報には、外周壁と接触しないように又は外周壁と接触するように外周壁を覆うガイドを用いて、外周壁の少なくとも一部を覆った状態で乾燥を開始する乾燥工程を含むことを特徴とするハニカム成形体の乾燥方法が記載されている。当該公報には、乾燥中に外周壁とガイドとが接触する場合におけるガイドから外周壁への加圧力が0.2MPa未満とすることや、マイクロ波乾燥と熱風乾燥とを組み合わせることが好ましいことが記載されている。
特開2001-130973号公報には、マイクロ波により乾燥したセラミック成形体を、さらに熱風により乾燥するセラミック成形体の乾燥方法において、圧力印加手段を備えた上治具と下治具とからなる乾燥用治具を用いてセラミック成形体を上下から密着状態で包囲し、かつ、前記セラミック成形体に0.4~0.6MPaの圧力を加えながら乾燥する方法が記載されている。
特開2001-19533号公報には、2個の分離した治具からなる乾燥用治具を用いて、ハニカム構造を有するセラミック成形体の長手方向に平行な側面のほぼ全面を密着状態で包囲した状態で、マイクロ波を照射してセラミック成形体を乾燥する方法が記載されている。
特開平6-298563号公報 特開2000-044326号公報 特開2001-130970号公報 特開2012-223920号公報 国際公開第2008/117624号 特開2003-285312号公報 特開2001-130973号公報 特開2001-19533号公報
熱交換部材に使用する柱状ハニカム成形体は、熱交換性能の観点から高い熱伝導度、耐久信頼性の観点から高強度である事が求められている。このため、Si含浸焼成する事により、内部の気孔率をほぼゼロの状態にコントロールする事で、この特性を実現している。一方で、Si含浸後の気孔率は、セラミックス部材の含浸前の気孔率(乾燥体の気孔率)、Si含浸時の熱膨張量、Si含浸量で決まるため、乾燥工程においては乾燥体内の気孔率を均一化させる乾燥方法が必要となる。
しかしながら、熱交換部材に使用する柱状ハニカム成形体は他用途の柱状ハニカム成形体と比べて、外側壁が厚く(例:1.5mm以上)、従来使われてきた電磁波を用いた乾燥手法(マイクロ波乾燥や誘電乾燥)では、外側壁のみに電磁波が吸収され易く、乾燥速度が遅くなる。更には、乾燥時間が長くなるだけでなく、外側壁と内部の乾燥速度差による収縮量の差が生まれ、内部の気孔率バラツキに加えて、寸法精度の悪化(例:真円度悪化、外径バラツキ増大)を招いていた。更には、熱交換部材に使用する柱状ハニカム成形体は、セルの流路方向に垂直な方向の長さに対するセルの流路方向の長さ(L/D)が大きい事(L/D=2~5)で、長手方向での乾燥速度差も生じ易く、曲がりやすいという問題があった。
先行技術文献中には、乾燥時、マイクロ波を照射することに加えてハニカム成形体を乾燥用治具に接触させることで変形を抑制する手法も提案されているが、依然として上記問題を解決することはできない。
先行技術文献中には、炭化ケイ素質の成形体を、樹脂製ラップで露出の無いように包み、50~70℃で維持して前記成形体全体を均温化した後、乾燥矯正冶具にて保持して、さらに50~70℃で前記成形体全体を維持して乾燥する方法も提案されているが、乾燥時間が非常に長くなるという問題が生じる。また、樹脂製ラップを用いて成形体全体を均温化する必要があり、乾燥工程に手間を要するという問題もある。
先行技術文献中には、湿球温度が70℃以上となるように調温調湿した過熱水蒸気、又は水蒸気と加熱空気の混合ガスがセルを通過するように乾燥する手法も提案されているが、気孔率の均一性や変形防止の観点では未だ改善の余地が残されている。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、変形及び気孔率バラツキを抑制しつつ、短時間で乾燥可能な柱状ハニカム成形体の乾燥方法を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような乾燥方法を用いた柱状ハニカム構造体の製造方法を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、乾燥前の柱状ハニカム成形体を矯正型に収容する事で乾燥時の変形を抑えると共に、電磁波を柱状ハニカム成形体に照射することによる加熱を行うことなく、柱状ハニカム成形体のセル内に直接熱風を通すことで、急速に乾燥する方法が有効であることを見出した。
柱状ハニカム成形体のセル内に直接熱風を通すことで、セルの流路に垂直な方向の乾燥速度差が低減されるのに加えて、セルの流路方向の乾燥速度差も低減され、変形し難くなると共に、内部から乾燥が進むために、短時間で乾燥できる。熱風は、湿球温度をセラミックスに含まれるバインダーのゲル化温度近傍まで上げて高湿度化することで、バインダーのゲル化が促進されて強度が増し、乾燥時の乾燥収縮が抑えられて、矯正された状態を保持し易くなることが分かった。本発明は斯かる知見に基づいて完成したものであり、以下のように例示される。
本発明は一側面において、
セラミックス原料、水、及び熱ゲル化性バインダーを含有する原料組成物からなり、外側壁の内側に第一の底面から第二の底面に貫通する流路を有する複数のセルが隔壁によって区画形成されている未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法であって、
該ハニカム成形体の外側面形状に対応した内側面形状を有する矯正型によって、該ハニカム成形体の外側面が囲われた状態で、前記バインダーのゲル化温度をT1(℃)、熱風の湿球温度をT2(℃)とすると、0.8≦T2/T1≦3.3の条件を満たす熱風が、第一の底面から入り第二の底面から出るように前記複数のセルの流路を通過することにより該ハニカム成形体を乾燥する工程を含み、当該乾燥する工程において該ハニカム成形体の外側面の少なくとも一部が該矯正型の内側面から圧力を受けることで形状矯正を受ける方法である。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の一実施形態においては、熱風の乾球温度をT3(℃)とすると、T1≦T3であり、且つ、T3はバインダー熱分解開始温度より低い。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の別の一実施形態においては、前記乾燥する工程を実施する前の前記ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面積S1と、前記矯正型のセルの流路方向に垂直な内断面積S2の比が、0.96≦S1/S2≦1.04となるように、矯正型によって前記ハニカム成形体の外側面が囲まれた状態で前記乾燥する工程が実施される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、セルの流路を通過する熱風の風速を2.0m/s以上として前記乾燥する工程が実施される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部に熱風が入り込むのを防止するための邪魔板を第一の底面の上流側に配置した状態で、前記乾燥する工程が実施される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記邪魔板は、前記ハニカム成形体の外側壁、前記ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部、及び、最外周に配置されたセルから内側のセルに向かって、全セルの5~30%の数のセルが隠れるように、第一の底面の上流側に配置される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、原料組成物中の水分量は、セラミックス原料の質量を100質量%として、17.0質量%~26.0質量%である。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、乾燥後のハニカム成形体の水分量が、前記乾燥後のハニカム成形体1g当たり0.07g以下となるように前記乾燥する工程が実施される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記ハニカム成形体のセルの流路方向の長さをL、前記ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な方向の長さをDとすると、L/D≦15である。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記ハニカム成形体の外側壁の厚みが0.2mm以上である。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記矯正型がセルの流路の方向に沿って分割された半割れ状の一対の部材によって構成される。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記矯正型のセルの流路方向に垂直な内断面積S2は、第一の底面側から第二の底面側に向かって大きくなる。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記乾燥する工程において、負圧状態に維持された前記複数のセルの流路を熱風が通過することを含む。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記乾燥する工程において、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の風量よりも、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の風量の方が大きい。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記乾燥する工程において、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の少なくとも一部を循環させて、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の一部又は全部として利用する。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、
熱風は送風ファンにより供給される乾燥用ガスをヒータで加熱することで発生し、
前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の経路は、循環経路を介して、前記乾燥用ガスの経路に前記送風ファンの上流側の合流点で連通しており、
前記乾燥用ガスの経路の途中と、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の経路の途中に、それぞれバルブが設置されている。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記乾燥する工程の途中において、熱風が前記複数のセルの流路を通過する方向を、熱風が第二の底面から入り第一の底面から出るように反転させることを含む。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記乾燥する工程の後、熱風の代わりに冷風が、第一の底面から入り第二の底面から出るように、前記複数のセルの流路を通過することにより該ハニカム成形体を冷却する工程を更に含む。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、前記冷却する工程は、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の経路の途中に設置されたバルブを閉じた状態とし、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る冷風の経路の途中に設置されたバルブを開いた状態として実施することを含む。
本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法の更に別の一実施形態においては、
熱風の経路が途中で分岐されて、複数の前記ハニカム成形体の第一の底面に連通しており、且つ、
分岐されたそれぞれの熱風の経路の途中に設置されたバルブの開閉を操作することにより、複数の前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風を切り替えることを含む。
本発明は別の一側面において、
セラミックス原料、水、及び熱ゲル化性バインダーを含む原料を混練して混合物を得る工程と、
前記混合物を押出成形して、第一の底面から第二の底面に貫通する流路を有する複数のセルが隔壁によって区画形成されている未焼成の柱状ハニカム成形体を得る工程と、
前記ハニカム成形体に対して本発明に係る未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法を実施して乾燥する工程と、
上記乾燥する工程を経たハニカム成形体を焼成する工程と、
を含むセラミックス製ハニカム構造体の製造方法である。
本発明によれば、変形及び気孔率バラツキを抑制しつつ、短時間で柱状ハニカム成形体を乾燥することができる。このため、本発明は柱状ハニカム構造体の生産性向上や品質安定性の向上に資する。
本発明に係るハニカム成形体の乾燥方法に用いられるハニカム成形体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るハニカム成形体の乾燥方法に用いられるハニカム成形体の別の一例を示す斜視図である。 外側壁にスリットが形成されたハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面構造の一例である。 底面視ドーナツ状のハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面構造の一例である。 セルが放射状に配列されたハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面構造の一例である。 矯正型に囲われた一つの円柱状のハニカム成形体を横置きしたときの熱風発生機の配置例及び上流側底面への邪魔板の配置例を示す。 矯正型に囲われた複数の円柱状のハニカム成形体を横置きしたときの熱風発生機の配置例及び上流側底面への邪魔板の配置例を示す。 矯正型に囲われた一つの円柱状のハニカム成形体を縦置きしたときの熱風発生機の配置例及び上流側底面への邪魔板の配置例を示す。 湿球温度を変化させる方法の一例を説明する模式図である。 実施例において、ハニカム成形体が矯正型に挟み込まれた状態を底面側から観察したときの模式図である(邪魔板無し)。 実施例において、ハニカム成形体が矯正型に挟み込まれた状態をハニカム成形体の上流側底面から観察したときの模式図である(邪魔板有り)。 内断面積が下流側に向かって大きくなる矯正型に囲われた一つの円柱状のハニカム成形体を横置きしたときの熱風発生機の配置例を示す。 本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの一実施形態を模式的に示す。 本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの別の一実施形態を模式的に示す。 本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態を模式的に示す。 本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態を模式的に示す。 本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態を模式的に示す。
(1)乾燥工程
本発明は一側面において、セラミックス原料、水、及び熱ゲル化性バインダーを含有する原料組成物からなり、外側壁の内側に第一の底面から第二の底面に貫通する流路を有する複数のセルが隔壁によって区画形成されている未焼成の柱状ハニカム成形体を乾燥する方法を提供する。
セラミックス原料としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックス等を挙げることができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、熱交換部材へ適用する場合には、熱伝導率が高い炭化珪素が好ましい。
セラミックス原料は粉末の形態で提供されることが好ましい。この場合、セラミックス原料粉末の粒度分布はタップ密度が高くなるように設定するのが、ハニカム構造体の製造コストの観点から好ましい。
原料組成物中の水分量、すなわち乾燥工程が実施される前のハニカム成形体の水分量は、セラミックス原料の質量を100質量%として、17.0~26.0質量%であることが好ましく、19.5~22.5質量%とすることがより好ましく、19.5~20.5質量%とすることが更により好ましい。原料組成物中の水分量が、セラミックス原料を100質量%としたときに17.0質量%以上であることで、坏土の品質が安定し易いという利点が得られやすい。原料組成物中の水分量が、セラミックス原料を100質量%としたときに24.5質量%以下であることで、乾燥時の収縮料が小さくなり、変形を抑制することができる。本明細書において、原料組成物中の水分量は、乾燥減量法により測定される値を指す。
熱ゲル化性バインダーというのは、温度上昇に伴いゲル化し、粘度が上昇する性質(熱ゲル化性)を有するバインダーのことである。熱ゲル化性バインダーとしては、限定的ではないが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等を挙げることができる。このうち、メチルセルロースが最も一般的に用いられる。これらの熱ゲル化性バインダーのゲル化温度は、その種類によって異なるが、50~90℃程度であり、例えばメチルセルロースの場合は約55℃である。また、異種の熱ゲル化性バインダーを混合して用いることも可能である。
原料組成物中の熱ゲル化性バインダーの添加量は、セラミックス原料100質量%に対して、3~15質量%が好ましく、7~10質量%がより好ましい。熱ゲル化性バインダーの添加量を3質量%以上とすることで、成形体の変形を抑えられるという利点が得られやすい。熱ゲル化性バインダーの濃度を15質量%以下とすることで、乾燥時の収縮量を抑えられ、乾燥体の形状精度を高められるという利点が得られやすい。
本明細書において、熱ゲル化性バインダーのゲル化温度は、バインダー水溶液の粘度を測定しながら、10℃から90℃くらいまで、1℃/min.で昇温し、その後10℃まで0.5℃/min.で冷却した際に、粘度が急激に変化したときの温度を指す。
図1及び図2にはハニカム成形体の構造例が示してある。ハニカム成形体1は外側壁4の内側に第一の底面5から第二の底面6に貫通する流路を有する複数のセル3が隔壁2によって区画形成されている。
ハニカム成形体の形状は、例えば、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状等の任意の形状とすることができる。図1のハニカム成形体は底面が長方形の柱状であり、図2のハニカム成形体は底面が円形の柱状である。耐熱衝撃性を高めるために、図3に示すように複数のスリットをセルの流路方向に沿って外側壁4に形成することも可能である。また、径方向における乾燥速度差を減らすために、図4に示すように、ハニカム成形体の中心軸付近を空洞とした底面視ドーナツ状の柱状とすることも可能である。
ハニカム成形体のセルの流路方向の長さをL、ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な方向の長さをDとすると、L/D≦15、好ましくはL/D≦6にすることで、工数を削減でき、ハニカム成形体を安価に製造できる。また、本発明によれば、長手方向の乾燥速度差を小さくすることができるため、L/Dを大きくしても均一性の高い乾燥が可能であり、乾燥時の変形量を少なくすることができる。例えば、2≦L/Dとすることができ、3≦L/Dとすることもできる。本明細書において、ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な方向の長さDは、ハニカム成形体の底面形状が円形の場合はその直径を指す。ハニカム成形体の底面形状が円形以外の場合は、一つの底面の面積と同一面積の円がもつ直径を指すこととする。
ハニカム成形体のセルの流路方向の長さLは、限定的ではないが、大きい方が量産性は高いことから、60mm≦Lであることが好ましく、140mm≦Lでよりあることが好ましい。一方で、Lが大きくなると、熱風の送風側と排気側、すなわちセルの流路方向に乾燥速度差が生じ易く、内部の気孔のバラツキが生じ易くなるため、L≦400mmであることが好ましく、L≦300mmであることがより好ましい。ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な方向の長さDは、限定的ではないが、大きい方が流体の流量を大きくすることができることから、30mm≦Dであることが好ましく、40mm≦Dでよりあることが好ましい。一方で、ハニカム成形体の中心軸付近と外側壁付近の間で乾燥速度に差が出来易く、乾燥切れが発生し易くなることから、D≦150mmとすることが好ましく、D≦120mmとすることがより好ましい。
セルの流路方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。図1及び図2に示すハニカム成形体においては、セルの流路方向に垂直な断面におけるセルの形状は長方形である。これらのなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム成形体にガスを流したときの圧力損失を小さくすることができる。また、図5に記載のように、複数の同心円と中心軸から延びた放射状の直線を組み合わせて、円弧と直線で形成されたセルを放射状に配列することも可能である。
ハニカム成形体は、セルの流路方向に垂直な断面において、セル密度が4~186セル/cm2であることが好ましく、6~62セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度を4セル/cm2以上とすることで、高い熱回収性能が得られやすい。セル密度を186セル/cm2以下とすることで、圧損の上昇を抑えられるという利点が得られやすい。セル密度は、外側壁部分を除くハニカム成形体の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
ハニカム成形体における隔壁の厚みは、0.05~1.5mmであることが好ましく、0.2~0.5mmであることが好ましい。熱交換部材として使用する場合、隔壁の厚みが0.05mm以上であることで、高い熱回収性能が得られやすく、隔壁の厚みが1.5mm以下であることで、低圧損を保つ事ができる。本明細書において、各隔壁の厚みは、ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面において、隣接する二つのセルの重心同士を線分で結んだときに当該線分が隔壁を横切る長さとして定義される。
ハニカム成形体における外側壁の厚みは、0.2mm以上であることが好ましく、熱交換部材として使用する場合には1.0mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上とすることも可能である。外側壁の厚みが1.0mm以上であることで、熱交換部材としての機械的強度を高める事ができる。また、ハニカム成形体における外側壁の厚みは、熱交換部材として使用する場合、20mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。外側壁の厚みが20mm以下であることで、押出成形が可能になる。本明細書において、外側壁の厚みは、外側壁の外面に対する法線方向の厚みとして定義される。
原料組成物中には界面活性剤や造孔材等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。
未焼成の柱状ハニカム成形体は、原料混合物を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形することにより所望の柱状ハニカム成形体に成形することができる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。
次に、得られた未焼成の成形体について、乾燥を行なって水分を除去する。本発明に係る乾燥方法の一実施形態においては、ハニカム成形体の外側面形状に対応した内側面形状を有する矯正型によって、ハニカム成形体の外側面が囲われた状態で、前記バインダーのゲル化温度をT1(℃)、熱風の湿球温度をT2(℃)とすると、0.8≦T2/T1≦3.3の条件を満たす熱風が、第一の底面から入り第二の底面から出るように前記複数のセルの流路を通過することにより該ハニカム成形体を乾燥する工程を含む。そして、乾燥工程においては、ハニカム成形体の外側面が該矯正型の内側面から圧力を受けることで形状矯正を受ける。本明細書において、熱風の湿球温度は乾湿計により測定される値を指す。
乾燥後のハニカム成形体の形状を鑑みて、矯正型の内側面形状は、ハニカム成形体の外側面形状に対応した形状であるという制約の下で、内側面形状を適宜変更しても良い。例えば、局所的に収縮が大きい箇所がある場合には、その箇所での矯正型とのクリアランス量が広くなるように、内側面形状を設定する事で、局所的な収縮を低減できる。ここで、矯正型の内側面形状がハニカム成形体の外側面形状に対応した形状であるというのは、矯正型の内側面とハニカム成形体の外側面の間のクリアランスが常に1mm以下であることを意味する。また、矯正型の内側面とハニカム成形体の外側面の間のクリアランスが常に1mmであるとは、乾燥工程を実施する前にハニカム成形体を矯正型内に配置したときに、ハニカム成形体の外側面の何れの地点からも矯正型の内側面までの最短距離が1mm以下であることを指す。
このように、本実施形態によれば、柱状ハニカム成形体のセル内に直接熱風を通すため、急速な乾燥が行われる。そして、柱状ハニカム成形体のセル内に直接熱風を通すことで、セルの流路に垂直な方向の乾燥速度差が低減されるのに加えて、セルの流路方向の乾燥速度差も低減され、変形し難くなると共に、柱状ハニカム成形体の内部から乾燥が進むために、短時間での乾燥が可能となる。また、熱風は、湿球温度をセラミックスに含まれるバインダーのゲル化温度近傍まで上げて高湿度化されているため、バインダーのゲル化が促進されて強度が増し、乾燥時の乾燥収縮が抑えられて、矯正された状態を保持し易くなる。更に、本実施形態によれば、柱状ハニカム成形体を矯正型で囲うことで、乾燥時の変形を抑える効果を高めることができる。つまり、本実施形態においては、矯正型による形状矯正効果、セルを通過する熱風乾燥による短時間での均一加熱効果、及び、高湿度の熱風による変形抑制効果が相まって、変形及び気孔率バラツキが高度に抑制された乾燥を短時間で実現することができる。
矯正型の形状や寸法は、ハニカム成形体の外側面形状に対応した内側面形状を有し、乾燥工程において、ハニカム成形体の外側面の少なくとも一部が該矯正型の内側面から圧力を受けることができる限り特に制限はない。従って、一実施形態においては、乾燥工程を実施する前にハニカム成形体の外側面を矯正型で囲う際には、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面を全面的に又は部分的に接触させることができる。また、別の一実施形態においては、乾燥工程を実施する前にハニカム成形体の外側面を矯正型で囲う際には、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面が全く接触していない状態とすることができる。ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面が全く接触しておらず、両者の間にクリアランスが存在していても、乾燥時にハニカム成形体が若干変形することによって少なくとも部分的に矯正型へ接触することにより矯正型から圧力を受け、ハニカム成形体がそれ以上変形しないように矯正型による変形抑制作用を受けることができればよい。但し、前記クリアランスが大きすぎると、乾燥時にもハニカム成形体と矯正型が全く接触しない又は接触部分が少なくなるため、矯正型による矯正効果が小さい。
従って、好ましい実施形態においては、乾燥工程を実施する前のハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面積(ハニカム成形体の一つの底面の面積に相当する。)S1と、矯正型のセルの流路方向に垂直な内断面積S2の比が、0.96≦S1/S2≦1.04となるように、望ましくは0.98≦S1/S2≦1.04となるように、矯正型によって前記ハニカム成形体の外側面が囲まれた状態で前記乾燥する工程が実施される。S1/S2=1のとき、乾燥工程を実施する前のハニカム成形体の外側面と、矯正型の内側面が密接した状態となる。S1/S2を上記範囲とすることで、乾燥時に矯正型により適切な圧力がハニカム成形体へ印加されやすく、優れた変形抑制効果を得ることができる。また、乾燥時の変形抑制効果をより高めるという観点からは、乾燥工程を実施する前から、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面を全面的に接触させてハニカム成形体を潰し気味にしたほうがよい。そこで、1.00≦S1/S2≦1.04とすることがより好ましく、1.01≦S1/S2≦1.04とすることが更により好ましい。
また、図12に示すように、矯正型の内断面積S2を上記S1/S2の範囲で、熱風の下流側に向かって大きくしても良い。内側面がセルの流路方向に平行に延び、内断面積S2が一定の矯正型ではセルの流路方向の乾燥速度の違いにより、ハニカム成形体の外径は熱風の上流側より下流側のほうが小さくなる傾向にある。このため、内断面積S2が第一の底面側から第二の底面側に向かって(熱風の下流側にむかって)大きくなる矯正型でハニカム成形体を形状矯正することで、乾燥工程を実施した後のハニカム成形体の外径均一性を高めることができる。
この場合、矯正型の上流側端部の内断面積をS3、下流側端部の内断面積をS4とした時に、0.92≦S3/S4≦1.00とするのが効果的である。S3=S4の時には乾燥後ハニカム成形体の外径は熱風の上流側より下流側の方が小さくなるが、S3/S4を小さくする事で下流側の収縮量を抑制でき、上流側と下流側の外径差を小さくできる。ハニカム成形体の高さ(流路方向の長さ)Lが長いほど上流側と下流側の外径差が大きくなるため、Lに合せて、S3/S4を設定することが好ましい。60mm≦L<200mmでは、0.94≦S3/S4≦1.00の範囲がより好ましく、200mm≦Lでは、0.92≦S3/S4<0.98の範囲がより好ましい。
なお、S1及びS2はハニカム成形体を矯正型で囲う前にレーザー変位計及び三次元測定器によって測定される値とする。また、矯正型が複数の部品に分割されたタイプ(例:半割れ型)である場合には、S2はハニカム成形体無しで各部品を組み合わせたときに測定される値とする。
矯正型の材質としては、限定的ではないが、例えば、アルミ、ステンレス、鉄、樹脂、セラミックなどが挙げられ、板金で作る場合には、鉄が好ましい。
好ましい実施形態においては、矯正型はセルの流路の方向に沿って分割された半割れ状の一対の部材によって構成することができる。矯正型をこのような構成とすることは、ハンドリングの観点で有利である。
ハニカム成形体中のバインダーのゲル化温度をT1(℃)、熱風の湿球温度をT2(℃)とすると、0.8≦T2/T1≦3.3の条件を満たす熱風を用いてハニカム成形体を乾燥することにより、乾燥時の収縮を抑えられ、乾燥体の形状精度バラツキや内部の気孔率バラツキを低減する事ができるという利点が得られる。バインダーのゲル化は実際にはゲル化温度T1より若干低い温度から始まることから、湿球温度T2はゲル化温度T1より若干低くてもゲル化は十分に進行する。更に、乾燥時間を短縮するという観点からは、0.8≦T2/T1≦2.2が好ましく、0.8≦T2/T1≦1.0がより好ましい。例えば、50℃≦T1≦90℃、40℃≦T2≦300℃とする事ができる。
乾燥時には、熱風乾燥と組み合わせて通風乾燥を行ってもよい。例えば、熱風乾燥の前に通風乾燥を実施した後、熱風乾燥を実施することができる。また、熱風乾燥の後に通風乾燥を実施してもよい。通風乾燥というのは周囲温度の空気をハニカム成形体のセル内に通すことで乾燥する方法である。しかしながら、マイクロ波乾燥や誘電乾燥等の電磁波をハニカム成形体に照射することは、外側壁を局所的に加熱することになって変形を生じやすくするため、好ましくない。
好ましい実施形態においては、熱風の乾球温度をT3(℃)とすると、T1≦T3であり、且つ、T3はハニカム成形体中のバインダーの熱分解開始温度よりも低い。熱風の乾球温度をバインダーのゲル化温度以上とすることは乾燥速度を短く、かつ乾燥時の変形を抑制し易い点で有利である。また、熱風の乾球温度がバインダーの熱分解開始温度より低いことは乾燥体の強度を保つ事ができる点で有利である。より好ましい実施形態においては、熱風の乾球温度をT3(℃)とすると、120℃≦T3≦170℃であり、且つ、T3はバインダー熱分解開始温度よりも5℃以上低い。
また、熱風の乾球温度T3(℃)と熱風の湿球温度T2(℃)については、乾燥時間を短縮するという観点からは、T3-T2>0が好ましく、T3-T2≧60がより好ましく、T3-T2≧90が更により好ましい。T3とT2の差が大きい方が乾燥速度が大きくなり、乾燥時間の短縮に寄与する。
本明細書において、熱風の乾球温度は熱電対により測定される値を指す。本明細書において、熱分解開始温度はTG-DTA(熱重量示差熱分析装置)にて測定される値を指す。
熱風の風速は高い方が、乾燥時間が短くなり、ハニカム成形体の変形を抑制しやすい。そこで、セルの流路を通過する熱風の風速は好ましくは2.0m/s以上であり、より好ましくは4.0m/s以上である。また、風速を高めることによる乾燥時間短縮効果には限度があるため、経済性を考えると、セルの流路を通過する熱風の風速は好ましくは10m/s以下であり、より好ましくは9m/s以下である。本明細書において、セルの流路を通過する熱風の風速は、JIS T8202-1997に準拠した熱式風速計により測定される値とする。
乾燥時、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部に熱風が入り込まないほうが、乾燥による変形を抑制する効果が高くなる。そこで、好ましい実施形態においては、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部に熱風が入り込むのを防止するための邪魔板を第一の底面の上流側に配置した状態で、乾燥する工程を実施する。
乾燥は、ハニカム成形体の第二の底面から出た直後の熱風の圧力(P2)(絶対圧)が、100kPa以下であり、且つ、ハニカム成形体の第一の底面に入る直前の熱風の圧力(P1)と同じかそれよりも低い状態で実施することが好ましい。外気の流入が防止され、また、水蒸気分圧が低下することにより、乾燥速度を高めることができるためである。すなわち、乾燥時、P2≦100kPaであり、且つ、0≦P1-P2であることが好ましい。但し、P2は小さくなりすぎると熱風の流れ方が変化し、乾燥速度を高める効果が小さくなる。このため、10Pa≦P2であることが好ましい。
邪魔板は、ハニカム成形体の外側壁、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部、及び、最外周に配置されたセルから内側のセルに向かって、全セルの5~30%の数のセルが隠れるように、好ましくは全セルの15~30%の数のセルが隠れるように、より好ましくは全セルの20~30%の数のセルが隠れるように、第一の底面の上流側に配置されるのが熱風の上記境界への入り込みを防止する上で望ましい。
邪魔板の材質としては、限定的ではないが、例えば、アルミ、ステンレス、鉄、樹脂、セラミックなどが挙げられる。
図6には、矯正型101に囲われた一つの円柱状のハニカム成形体102の第一の底面104の上流側に配置された邪魔板106が模式的に示されている。図6においては、ハニカム成形体102はセル108の流路方向が水平になるように横置きされている。熱風の流れは矢印107で示してある。熱風発生機103から発生した熱風は、邪魔板106の中央部に設けられた円形状の開口部112を通り、矯正型101に囲われたハニカム成形体102の第一の底面104から複数のセル108内に流入し、第二の底面105から流出する。邪魔板106は矯正型101の上流側端部に固定されている。固定方法は特に問わないが、例えば、ネジ締結や溶接が挙げられる。邪魔板106は、ハニカム成形体の外側壁109、ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部110、及び、最外周に配置されたセルから内側のセルに向かって所定割合のセル108が隠れるように、配置されている。邪魔板106の開口部112の中心位置が、ハニカム成形体の中心軸と一致しており、これにより、熱風がハニカム成形体102の中心軸付近から外側壁109に向かって均一に乾燥が進みやすくなり、乾燥時の変形抑制効果が高くなる。
ハニカム成形体102を熱風乾燥する際、図7に示すように、ハニカム成形体102をセルの流路方向に直列に複数並べてこれらを同時に乾燥することもできる。また、図8に示すように、セル108の流路方向が鉛直になるように縦置きした状態で熱風乾燥することもできる。
ハニカム成形体102を通過した熱風を循環することで湿球温度を調整することも可能である。ハニカム成形体102を通過した熱風には、ハニカム成形体102から飛散した水分が含まれる。このため、熱風を循環すると湿球温度を高めることができる。例えば、図9に示すように、ハニカム成形体102を通過して第二の底面105から排出された熱風を、再びハニカム成形体102の第一の底面104に送り込むための循環ダクト114を設置することができる。循環ダクト114の途中には排ブロア116が設置されている。ブロア116の送風機能によって熱風が循環ダクト114を通って循環可能となっている。また、排気ダクト118及び吸気ダクト120にはそれぞれ図示しない流量調整可能なバルブが設置されている。各バルブの開度を調整することで、排気ダクト118から排出される排気量及び吸気ダクト120からの吸気量が調整され、これにより湿球温度が調整される。
ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部110への熱風の入り込みを防止するため、邪魔板106はハニカム成形体102の第一の底面104とできるだけ近づけることが好ましい。具体的には、邪魔板106とハニカム成形体102の第一の底面104との間のセルの流路方向への隙間は10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、接触させることが更により好ましい。
ハニカム成形体のセルの流路方向における全細孔容積のバラツキを少なくするという観点からは、乾燥後のハニカム成形体の水分量が、乾燥後のハニカム成形体1g当たり0.07g以下となるように、好ましくは0.05g以下となるように、より好ましくは0.02g以下となるように乾燥工程を実施することが望ましい。下限は特に設定する理由はなく、乾燥後のハニカム成形体の水分量が、乾燥後のハニカム成形体1g当たり0gであってもよい。
ハニカム成形体のセル内に熱風を一方向に通過させて乾燥させると、熱風上流側のハニカム成形体の中心軸付近から順に下流側及び径方向に向かって乾燥が進んでいくため、セルの流路方向においてハニカム成形体の外径差が生じやすい。そこで、乾燥工程の途中でハニカムを反転する、又は、熱風の送風方向を反転する事が好ましい。これにより、ハニカム成形体のセルの流路方向の乾燥速度差が小さくなり、セルの流路方向においてハニカム成形体の外径差を低減できる。加えて、熱エネルギーの無駄が少なく、効率良く乾燥が進められるようになるため、乾燥時間も短縮可能となる。熱風又はハニカム成形体の反転のタイミングはハニカム成形体の寸法やセル構造により適宜設定すればよい。
<乾燥システム300>
図13には、本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの一実施形態が模式的に示されている。本実施形態に係る乾燥システム300は、乾燥用ガス303の経路を構成するダクト312と、乾燥用ガス303の経路の途中に設置され、矯正型301に囲われたハニカム成形体302と、ハニカム成形体302の第一の底面304より上流側に配置された電気ヒータ等のヒータ306と、ヒータ306より上流側に設置された送風ファン308と、ハニカム成形体302の第二の底面305より下流側に配置された排気ファン310とを備える。
本実施形態に係る乾燥システム300においては、送風ファン308を通って供給される乾燥用ガス303は、ダクト312を流れる間にヒータ306で加熱される。その後、加熱された乾燥用ガス303(熱風)は、ハニカム成形体302の第一の底面304から入り、複数のセルの流路を通過し、第二の底面305から出る。第二の底面305を出た乾燥用ガス303は排気ファン310を通って排出される。本実施形態に係る乾燥システム300において、例えば、排気ファン310の風量を送風ファン308の風量より大きくする事で、ハニカム成形体302のセルの流路内を負圧に維持する事ができる。
<乾燥システム400>
図14には、本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの別の一実施形態が模式的に示されている。本実施形態に係る乾燥システム400は、乾燥用ガス403の経路を構成するダクト412と、乾燥用ガス403の経路の途中に設置され、矯正型401に囲われたハニカム成形体402と、ハニカム成形体402の第一の底面404より上流側に配置された電気ヒータ等のヒータ406と、ヒータ406より上流側に設置された送風ファン408と、ハニカム成形体402の第二の底面405より下流側に配置された排気ファン410とを備える。
本実施形態に係る乾燥システム400においては、送風ファン408を通って供給される乾燥用ガス403は、ダクト412を流れる間にヒータ406で加熱される。その後、加熱された乾燥用ガス403(熱風)は、ハニカム成形体402の第一の底面404から入り、複数のセルの流路を通過し、第二の底面405から出る。第二の底面405を出た乾燥用ガス403は排気ファン410を通って排出される。
本実施形態に係る乾燥システム400において、ダクト412は、送風ファン408に向かって流れる乾燥用ガス403の経路を構成するダクト部分412aと、ハニカム成形体402の第二の底面405から出る熱風の経路を構成するダクト部分412bと、ダクト部分412bの分岐点416から分岐し、ダクト部分412aの合流点413に接続される循環経路を構成するダクト部分412cとを備える。従って、ハニカム成形体402の第二の底面405から出る熱風は、循環経路を介して、乾燥用ガスの経路に送風ファン408より上流側の合流点413で連通している。本実施形態に係る乾燥システム400によれば、ハニカム成形体402の第二の底面405から出る熱風の少なくとも一部を循環させて、ハニカム成形体402の第一の底面404に入る熱風の一部又は全部として利用することが可能となる。
また、本実施形態に係る乾燥システム400においては、合流点413よりもダクト部分412aの上流側にバルブ411が、分岐点416よりもダクト部分412bの下流側にバルブ415が、それぞれ設けられている。バルブ411、415の各開度を調整することで循環する熱風の風量を制御でき、これにより熱風の湿球温度を調整することができる。
また、本実施形態に係る乾燥システム400においては、ダクト部分412cにバルブ414が設けられている。バルブ414の開度を調整することでも、循環する熱風の風量を制御することができる。また、バルブ414を閉じることで循環する熱風を停止させることもできる。
バルブ411、414及び415としては、電動弁及び電磁弁等の弁開度を全開/全閉の二位置のみ取ることができるON-OFF弁、並びに、弁開度を連続的に変化させることが可能な連続制御弁が挙げられる。好ましい一実施形態においては、バルブ411及びバルブ415が連続制御弁であり、バルブ414がON-OFF弁である。
<乾燥システム500>
図15には、本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態が模式的に示されている。本実施形態に係る乾燥システム500は、乾燥用ガス503aの経路を構成するダクト512aと、乾燥用ガス503aの経路の途中に設置され、矯正型501に囲われたハニカム成形体502と、乾燥用ガス503aの流れ方向からみてハニカム成形体502の第一の底面504より上流側に配置された電気ヒータ等のヒータ506aと、乾燥用ガス503aの流れ方向からみてヒータ506aより上流側に設置された送風ファン508aと、乾燥用ガス503aの流れ方向からみてハニカム成形体502の第二の底面505より下流側に配置された排気ファン510aとを備える。
また、本実施形態に係る乾燥システム500は、乾燥用ガス503aの経路の途中であって、ハニカム成形体502の第一の底面504と送風ファン508aの間にバルブ514aを有し、また、乾燥用ガス503aの経路の途中であって、ハニカム成形体502の第二の底面505と排気ファン510aの間にバルブ516aを有する。
また、本実施形態に係る乾燥システム500では、乾燥用ガス503bの流入経路を構成するダクト512bが、バルブ516aとハニカム成形体502の第二の底面505の間でダクト512aに連通している。ダクト512bは、送風ファン508bと、乾燥用ガス503bの流れ方向からみて送風ファン508bより下流側に設置されたヒータ506bと、乾燥用ガス503bの流れ方向からみてヒータ506bの下流側に設置されたバルブ514bとを備える。
また、本実施形態に係る乾燥システム500では、乾燥用ガス503bの流出経路を構成するダクト512cが、バルブ514aとハニカム成形体502の第一の底面504の間でダクト512aに連通している。ダクト512cには、排気ファン510bと、乾燥用ガス503bの流れ方向からみて排気ファン510bより上流側に設置されたバルブ516bとを備える。
本実施形態に係る乾燥システム500においては、バルブ514a及びバルブ516aを開き、バルブ514b及びバルブ516bを閉じた状態にあるときに送風ファン508a及びヒータ506aを稼働すると、送風ファン508aを通って供給される乾燥用ガス503aは、ダクト512aを流れる間にヒータ506aで加熱される。その後、加熱された乾燥用ガス503a(熱風)は、ハニカム成形体502の第一の底面504から入り、複数のセルの流路を通過し、第二の底面505から出る。第二の底面505から出た乾燥用ガス503aは排気ファン510aを通って排出される。
また、本実施形態に係る乾燥システム500においては、バルブ514b及びバルブ516bを開き、バルブ514a及びバルブ516aを閉じた状態にあるときに送風ファン508b及びヒータ506bを稼働すると、送風ファン508bを通って供給される乾燥用ガス503bは、ダクト512bを流れる間にヒータ506bで加熱される。その後、加熱された乾燥用ガス503b(熱風)は、ハニカム成形体502の第二の底面505から入り、複数のセルの流路を通過し、第一の底面504から出る。第一の底面504から出た乾燥用ガス503bは排気ファン510bを通って排出される。
つまり、本実施形態に係る乾燥システム500によれば、送風ファン及びバルブを切り替えることにより、熱風がハニカム成形体の複数のセルの流路を通過する方向を反転させることが可能となる。反転は乾燥途中で実施することも可能である。
バルブ514a、514b、516a及び516bとしては、電動弁及び電磁弁等の弁開度を全開/全閉の二位置のみ取ることができるON-OFF弁、並びに、弁開度を連続的に変化させることが可能な連続制御弁が挙げられる。好ましい一実施形態においては、バルブ514a、514b、516a及び516bはすべてON-OFF弁である。
<乾燥システム600>
図16には、本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態が模式的に示されている。本実施形態に係る乾燥システム600は、図14に記載した乾燥システム400と基本的な構成は同じであり、同一の符号で示された構成要素は同一の構成要素を示すため、詳細な説明を省略する。
但し、本実施形態に係る乾燥システム600は、ハニカム成形体402の第一の底面404と連通して、冷却用ガス603の供給経路を構成するダクト612を更に備えている点で図14の乾燥システム400と異なる。このため、乾燥工程の後、熱風の代わりに冷風をハニカム成形体402の第一の底面404に送ることができる。冷風はハニカム成形体402のセルの流路を通過し、第二の底面405から出て行った後、熱風と同様に、排気ファン410を通って排出される。
図14に示す乾燥システム400においては、乾燥工程を終了させるために送風ファン408及びヒータ406を停止したとしても、ハニカム成形体402を冷却するには一定の時間を要する。また、ヒータ406を停止した状態で送風ファン408を運転し続けたとしてもダクト412はすぐには冷却されないためハニカム成形体402を冷却するには一定の時間を要する。しかしながら、図16に示す乾燥システム600によれば、ヒータ406を通過しない別経路から冷却用ガス603を流すため、急速にハニカム成形体402を冷却することができる。
乾燥用ガス403の経路を構成するダクト412の途中、送風ファン408とハニカム成形体402の第一の底面404との間、典型的にはヒータ406とハニカム成形体402の第一の底面404との間にバルブ614を設置してもよい。また、冷却用ガス603の供給経路を構成するダクト612の途中、冷却用ガス603の流れ方向からみてハニカム成形体402の第一の底面404より上流側にバルブ616を設置してもよい。乾燥工程終了後、バルブ614を閉じ、バルブ616を開くことで即座に冷却用ガス603をハニカム成形体402に送ることが可能となる。
バルブ614及び616としては、電動弁及び電磁弁等の弁開度を全開/全閉の二位置のみ取ることができるON-OFF弁、並びに、弁開度を連続的に変化させることが可能な連続制御弁が挙げられる。好ましい一実施形態においては、バルブ614及び616は共にON-OFF弁である。
ダクト612は、途中でダクト412と合流させることなくハニカム成形体402の第一の底面404に直接連通してもよい。また、ダクト612を、途中でダクト412に合流地点616で合流させてもよい。後者の場合、バルブ614及び616は合流地点616より上流側に設置することが好ましい。
冷却用ガス603の温度としては、乾燥後のハニカム成形体を取り出すときの安全性を高めるため、また、冷却速度を高めるため、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更により好ましい。また、冷却用ガス603の温度としては、乾燥時に結露した水が凍結するのを防止するためにより、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
<乾燥システム700>
図17には、本発明に係るハニカム成形体を乾燥する方法を実施するための乾燥システムの更に別の一実施形態が模式的に示されている。本実施形態に係る乾燥システム700は、図14に記載した乾燥システム400と基本的な構成は同じであり、同一の符号で示された構成要素は同一の構成要素を示すため、詳細な説明を省略する。
但し、本実施形態に係る乾燥システム700においては、加熱された乾燥用ガス403(熱風)の経路が途中で分岐されて、複数のハニカム成形体402の第一の底面404に連通している点で図14の乾燥システム400と異なる。図17を参照すると、乾燥用ガスの経路を構成するダクト412は、ヒータ406より下流で分岐しており、並列配置された複数のハニカム成形体402の第一の底面404に連通している。
また、分岐されたそれぞれの熱風の経路の途中にバルブ702を設置してもよい。各バルブ702の開閉を操作することにより、複数のハニカム成形体402の第一の底面404に入る熱風を切り替えることが可能となる。例えば、複数のバルブ702のうちすべてのバルブ702を同時に開くことで複数のハニカム成形体402を同時に乾燥することができる。また、複数のバルブ702のうち一部のバルブ702を開き、残りのバルブ702を閉じることで複数のハニカム成形体402のうち一部のハニカム成形体402を選択的に乾燥することができる。一部のハニカム成形体402を乾燥中は、次に乾燥を行う予定のハニカム成形体402の設置作業を行ったり、乾燥終了後のハニカム成形体402を冷却したりすることができる。そして、当該一部のハニカム成形体402の乾燥が終わり次第、バルブ702を切り替えることで、次に乾燥を行う予定のハニカム成形体402に熱風を迅速に供給することができる。これにより、ヒータ406を休ませる必要がなくなるので、ヒータ406の稼働効率を高めることができる。
(2)乾燥後の工程
乾燥工程を実施した後は、乾燥後のハニカム成形体に対して焼成を行うことでセラミックス製ハニカム構造体を製造可能である。焼成の前にバインダーを除去するための脱脂工程を行うこともできる。また、乾燥後、必要に応じて、円筒度を高める外周研削加工を行ったり、外周壁にスリット加工を行ったりすることができる。更に、要求される仕様に応じて、所定のセルの流路方向の長さになるようにハニカム成形体を切断加工することも可能である。これらの加工は脱脂・焼成前及び脱脂・焼成後の何れのタイミングで実施しても良いが、Si含浸焼成する場合のように脱脂・焼成後の強度が高く加工難度が高い場合には、脱脂・焼成前に実施することが好ましい。脱脂条件及び焼成条件は公知の任意の条件で行えばよいが、原料系に応じて適切に温度、時間及び雰囲気を設定することが好ましい。熱交換部材を作製する場合の典型的な脱脂条件及び焼成条件を以下に例示する。
バインダー、及び成形助剤は成形時には必要であるが、最終的には不要であることから、焼成前に除去する脱脂工程を実施することが好ましい。脱脂工程におけるハニカム成形体の加熱温度はバインダーの燃焼し易さの観点から、300℃以上とすることが好ましく、350℃以上とすることがより好ましく、400℃以上とすることが更により好ましい。脱脂工程におけるハニカム成形体の加熱温度は脱脂時の製造コストを抑えるために、600℃以下とすることが好ましく、550℃以下とすることがより好ましく、500℃以下とすることが更により好ましい。
バインダーの燃焼し易さの観点から、ハニカム成形体の上記の加熱温度における加熱時間は、1時間以上とすることが好ましく、2時間以上とすることがより好ましく、3時間以上とすることが更により好ましい。脱脂時の製造コストを抑えるために、ハニカム成形体の上記の加熱温度における加熱時間は、10時間以下とすることが好ましく、8時間以下とすることがより好ましく、6時間以下とすることが更により好ましい。
脱脂工程を実施する際の雰囲気としては、例えば大気雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気とすることができる。これらの中でも、原料の酸化による焼結不足を防ぎ、また原料内に含まれる酸化物を還元し易い、不活性雰囲気かつ減圧雰囲気とすることが好ましい。
焼成方法には、限定的ではないが、反応焼結、再結晶焼結、減圧Si含浸、常圧Si含浸及びSiボンドSiCが挙げられる。反応焼結とはSiCとCからなる成形体に溶融Siを含浸し、CとSiの反応によりSiCを得る焼成方法を指す。再結晶焼結とは高密度に成形したSiC粒子を2000℃以上の高温で焼結させる焼成方法を指す。減圧Si含浸とは減圧下で金属シリコンを含浸させる焼成方法を指す。常圧Si含浸とは常圧下で金属シリコンを含浸させる焼成方法を指す。SiボンドSiCとはSiCとSiから成る原料混合物を焼成し、SiCがSiにより保持される構造を有する焼結体を得る焼成方法を指す。バインダーが除去されると成形体にはそれに対応する隙間が生じることから、金属シリコンと接触させながら焼成を行うことで、金属シリコンを溶融させて当該隙間にSiを含浸する方法が好ましい。このようなSi含浸型の焼結体とすることで機械的強度及び熱伝導率などを高めることができる。
焼成は原料の酸化による焼結不足を防ぎ、また原料内に含まれる酸化物を還元し易いという理由により、不活性雰囲気かつ減圧雰囲気で行うことが好ましい。不活性雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の希ガス雰囲気、又はこれらの混合ガス雰囲気が挙げられる。
焼成温度は、焼結を十分に行うために、1350℃以上とすることが好ましく、1400℃以上とすることがより好ましく、1450℃以上とすることが更により好ましい。焼成温度は、焼成時の製造コストを抑えるため、2200℃以下とすることが好ましく、1800℃以下とすることがより好ましく、1600℃以下とすることが更により好ましい。
焼結を十分に行うため、成形体の上記の焼成温度における加熱時間は、0.25時間以上とすることが好ましく、0.5時間以上とすることがより好ましく、0.75時間以上とすることが更により好ましい。焼成時の製造コストを抑えるために、成形体の上記の焼成温度における加熱時間は、5時間以下とすることが好ましく、4時間以下とすることがより好ましく、3時間以下とすることが更により好ましい。
焼成炉としては、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。
本発明に係るセラミックス製ハニカム構造体は、例えば、熱交換部材、触媒担体、及びフィルタ等として用いることができる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<試験例1.熱風の湿球温度が与える影響の検証>
炭化珪素(SiC)粉末として、双峰性粒度分布をもつ炭化珪素(SiC)粉末を用意した。
バインダーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社:“METOLOSE(登録商標)”、65SH-75000)を用意した。当該バインダーのゲル化温度は65℃であり、熱分解開始温度は200℃であった。
炭化珪素粉末、バインダー、成形助剤、及び水を混合して原料混合物とした。
原料混合物を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、各セルの断面形状が正方形の未乾燥ハニカム成形体を得た。未乾燥ハニカム成形体の目標外形寸法は、直径(D)57mm×高さ(L)165mmとした。また、目標セル密度は14セル/cm2、隔壁の目標厚みは0.38mm、外側壁の目標厚みは2.5mmとした。当該未乾燥ハニカム成形体の水分量は、原料混合物中に配合した炭化珪素(SiC)粉末の質量を100質量%とすると、20.0質量%であった。
その後、内側面が円筒状であり、セルの流路の方向に沿って分割された半割れ状の一対の部材によって構成される鉄製の矯正型で、セルの流路方向が水平になるように横置きしたハニカム成形体を上下方向から挟み込んだ(試験例1-1~試験例1-6)。S1/S2の条件は試験番号に応じて表1に記載の通りとした。ハニカム成形体102が矯正型101に挟み込まれた状態を上流底面側から観察したときの模式図を図10に示す。ハニカム成形体102の外側面が矯正型101に囲まれた状態で、熱風発生機を用いて、試験番号に応じて表1に記載の条件で、ハニカム成形体のセルの流路に熱風を流すことで乾燥を行った。一方、試験例1-7のハニカムは矯正型に収容しない状態で、熱風発生機を用いて表1に記載の条件で、ハニカム成形体のセルの流路に熱風を流すことで乾燥を行った。
表1中、「S1/S2」、「ゲル化温度(T1)」、「湿球温度(T2)」、「乾球温度(T3)」、及び「風速」の測定法は先述した通りである。この試験においては、ハニカム成形体の水分量が完全に除去される(すなわち、水分量が0g)まで熱風乾燥を行った。表1中、「絶乾までの乾燥時間」はハニカム成形体を乾燥した後の水分量が0gになるまでに要した時間を指す。絶乾までの乾燥時間は、同一製造条件で得られた別のハニカム成形体サンプルを用いて求めた乾燥時間及び重量変化の関係から決定した。
乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」を三次元測定機を用いて自動計測した。「円筒度」とは、ハニカム構造体の外側面に内接可能な最大半径の幾何学的円筒(標準円筒)及びハニカム構造体の外側面に外接可能な最小半径の幾何学的円筒(標準円筒)の半径の差で表される値であり、幾何学的円筒体であるか否かの程度を示す値である。円筒度が小さければ、幾何学的円筒により近い形状であるといえ、乾燥時の変形が少ないといえる。結果を表1に示す。
乾燥後の各ハニカム成形体について、全細孔容積のバラツキを水銀圧入法により測定した。結果を表1に示す。なお、全細孔容積のバラツキとは、前記各ハニカム成形体から、セルの流路方向の両端及び中央の計3箇所からそれぞれ15mLの試料を切り出し測定した、全細孔容積の最大値と最小値の差を指す。
Figure 0007016267000001
Figure 0007016267000002
<試験例2.邪魔板が与える影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。その後、図11に示すように、矯正型101の上流側端部に鉄製の邪魔板106をねじ締結により固定した他は、試験例1-2で使用した矯正型と同じ矯正型を用いて、セルの流路方向が水平になるように横置きしたハニカム成形体を上下方向から挟み込んだ。S1/S2は試験例1-2と同じとした。
ハニカム成形体102が矯正型101に挟み込まれた状態をハニカム成形体の上流側底面(第一の底面)から観察したときの模式図を図11に示す。図中の点線は邪魔板106によって隠れているハニカム成形体102の外側面の輪郭を指す。何れの試験例においても、邪魔板106は、ハニカム成形体102の外側壁109、並びに、ハニカム成形体102の外側面と矯正型101の内側面の間の境界部110が隠れるように設置した。この際、邪魔板106とハニカム成形体102の上流側底面(第一の底面)104との間のセルの流路方向への隙間は3mm以下とした。また、試験番号に応じて開口部112の大きさを変更することで、最外周に配置されたセルから内側のセルに向かって、全セルに対する邪魔板によって隠蔽されたセルの数の比率(表中、「隠蔽セル比率」と記載。)を変化させた。隠蔽されたセルの数は、ハニカム成形体の上流側底面側から観察したときに、完全に隠れているセルのみを対象として数えた。
ハニカム成形体の外側面が矯正型に囲まれた状態で、熱風発生機を用いて、試験例1-2と同じ湿球温度、乾球温度、風速として、ハニカム成形体のセルの流路に熱風を流すことで絶乾まで乾燥を行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。結果を表2に示す。
Figure 0007016267000003
<試験例3.風速が与える影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。風速を表3に記載の条件に変えた他は試験例1-2と同じ条件で矯正型への収容及び熱風乾燥を絶乾まで行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。結果を表3に示す。
Figure 0007016267000004
<試験例4.S1/S2が与える影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。矯正型の内断面積を変化させることで「S1/S2」を表4に記載の条件に変えた他は、試験例1-2と同じ条件で矯正型への収容及び熱風乾燥を絶乾まで行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。結果を表4に示す。
Figure 0007016267000005
<試験例5.熱風の乾球温度が与える影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。乾球温度を表5に記載の条件に変えた他は試験例1-2と同じ条件で、矯正型への収容及び熱風乾燥を絶乾まで行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。結果を表5に示す。
Figure 0007016267000006
<試験例6.マイクロ波加熱による乾燥試験(比較例)>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。当該ハニカム成形体を試験例1-2と同じ条件で矯正型内に収容した。これをセルの流路方向が水平になるように横置きした状態でマイクロ波乾燥装置に入れ、表6に記載の条件で乾燥した。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。「乾燥後水分量」は乾燥減量法により求めた。結果を表6に示す。
Figure 0007016267000007
<試験例7.乾燥後水分量による影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。乾燥時間を表7に記載の条件に変えた他は試験例1-2と同じ条件で矯正型への収容及び熱風乾燥を行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。「乾燥後水分量」は乾燥減量法により求めた。結果を表7に示す。
Figure 0007016267000008
<試験例8.S3/S4が与える影響の検証>
試験例1-2と同じ未乾燥ハニカム成形体を作製した。矯正型の上流側端部の内断面積をS3、下流側端部の内断面積をS4とすると、試験例1~7ではS3=S4であった。試験例8では、矯正型の下流側端部の内断面積に対する上流側端部の内断面積の比「S3/S4」及び「ハニカム成形体の高さ」を表4に記載の条件に変え、それ以外は、試験例1-2と同じ条件で矯正型への収容及び熱風乾燥を絶乾まで行った。乾燥後の各ハニカム成形体について「円筒度」及び「全細孔容積のバラツキ」を試験例1-2と同様の方法で求めた。結果を表8に示す。
Figure 0007016267000009
<熱交換部材としての性能の検証>
上記各試験例に記載の条件で製造したハニカム成形体を10個ずつ用意した。これらはそれぞれ加工、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体とした。脱脂の条件は、酸化雰囲気下、550℃、3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、酸化雰囲気下、1300℃、1時間とした。
得られたハニカム構造体について、以下の耐熱評価及び熱交換性能評価を行った。
(1)耐熱評価
各試験例につき5個のハニカム構造体について耐熱評価を行った。排熱回収機に上記ハニカム構造体を組込んだ後、950℃、100g/sの排気ガスを30分間排熱回収機に通気させた後に、降温し、昇降温前後でハニカム構造体に異常(クラックなど)がないか評価を行った。5個のハニカム構造体の何れも異常が見られなかった場合は○、1個でも異常が見られた場合は×と評価した。
(2)熱交換性能評価
各試験例につき5個のハニカム構造体について熱交換性能評価を行った。ハニカム構造体の外側面に熱交換媒体を流すことができるように、熱交換媒体の出入口を有するケーシングでハニカム構造体を被覆して熱交換器を組み立てた。排熱回収機にこの熱交換器を組込んだ後、排気ガスを排熱回収機に通気した。この際、熱交換媒体として水を用いた場合の、熱交換性能を測定した。熱交換性能は、排熱回収機に流入した入熱量、及び排熱回収機が回収した回収熱量を測定し、下記式より求めた。
熱交換性能(%)=回収熱量/入熱量×100
各試験例について、5個のハニカム構造体の熱交換性能を求め、熱交換性能測定値の最大値と最小値の差を熱交換性能のバラツキとして評価した。
結果を表1~表8に示す。円筒度の悪い試験例では、外側壁の厚さバラツキが大きく、耐熱評価時にクラックが発生した。このため、熱交換部材としては使用不可であった。全細孔容積のバラツキが大きいものは、耐熱評価におけるクラックの発生には影響を与えないものの、熱交換性能の製品毎のバラツキが大きく、品質安定性の観点から改善の余地がある。それに対して、円筒度も全細孔容積バラツキも良好なものでは、耐熱評価でクラックが発生せず、かつ熱交換性能のバラツキも小さく、熱交換部材として好適に使用可能である。
1 ハニカム成形体
2 隔壁
3 セル
4 外側壁
5 第一の底面
6 第二の底面
101 矯正型
102 ハニカム成形体
103 熱風発生機
104 第一の底面
105 第二の底面
106 邪魔板
107 熱風の流れ
108 セル
109 外側壁
110 境界部
112 開口部
114 循環ダクト
116 ブロア
118 排気ダクト
120 吸気ダクト

Claims (20)

  1. セラミックス原料、水、及び熱ゲル化性バインダーを含有する原料組成物からなり、外側壁の内側に第一の底面から第二の底面に貫通する流路を有する複数のセルが隔壁によって区画形成されている未焼成の柱状ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥を行うことなく乾燥する方法であって、
    該ハニカム成形体の外側面形状に対応した内側面形状を有する矯正型によって、該ハニカム成形体の外側面が囲われた状態で、前記バインダーのゲル化温度をT1(℃)、熱風の湿球温度をT2(℃)、熱風の乾球温度をT3(℃)とすると、0.8≦T2/T1≦3.3、T1≦T3、且つ、T3はバインダー熱分解開始温度よりも低いという条件を満たす熱風が、第一の底面から入り第二の底面から出るように前記複数のセルの流路を通過することにより該ハニカム成形体を乾燥する工程を含み、当該乾燥する工程において該ハニカム成形体の外側面の少なくとも一部が該矯正型の内側面から圧力を受けることで形状矯正を受ける方法。
  2. 前記乾燥する工程を実施する前の前記ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な断面積S1と、前記矯正型のセルの流路方向に垂直な内断面積S2の比が、0.96≦S1/S2≦1.04となるように、矯正型によって前記ハニカム成形体の外側面が囲まれた状態で前記乾燥する工程が実施される請求項に記載の方法。
  3. セルの流路を通過する熱風の風速を2.0m/s以上として前記乾燥する工程が実施される請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部に熱風が入り込むのを防止するための邪魔板を第一の底面の上流側に配置した状態で、前記乾燥する工程が実施される請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記邪魔板は、前記ハニカム成形体の外側壁、前記ハニカム成形体の外側面と矯正型の内側面の間の境界部、及び、最外周に配置されたセルから内側のセルに向かって、全セルの5~30%の数のセルが隠れるように、第一の底面の上流側に配置される請求項に記載の方法。
  6. 原料組成物中の水分量は、セラミックス原料の質量を100質量%として、17.0質量%~26.0質量%である請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  7. 乾燥後のハニカム成形体の水分量が、前記乾燥後のハニカム成形体1g当たり0.07g以下となるように前記乾燥する工程が実施される請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記ハニカム成形体のセルの流路方向の長さをL、前記ハニカム成形体のセルの流路方向に垂直な方向の長さをDとすると、L/D≦15である請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記ハニカム成形体の外側壁の厚みが0.2mm以上である請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記矯正型がセルの流路の方向に沿って分割された半割れ状の一対の部材によって構成される請求項1~の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記矯正型のセルの流路方向に垂直な内断面積S2は、第一の底面側から第二の底面側に向かって大きくなる請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
  12. 前記乾燥する工程において、負圧状態に維持された前記複数のセルの流路を熱風が通過することを含む請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
  13. 前記乾燥する工程において、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の風量よりも、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の風量の方が大きい請求項12に記載の方法。
  14. 前記乾燥する工程において、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の少なくとも一部を循環させて、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の一部又は全部として利用する、請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
  15. 熱風は送風ファンにより供給される乾燥用ガスをヒータで加熱することで発生し、
    前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の経路は、循環経路を介して、前記乾燥用ガスの経路に前記送風ファンの上流側の合流点で連通しており、
    前記乾燥用ガスの経路の途中と、前記ハニカム成形体の第二の底面から出る熱風の経路の途中に、それぞれバルブが設置されている請求項14に記載の方法。
  16. 前記乾燥する工程の途中において、熱風が前記複数のセルの流路を通過する方向を、熱風が第二の底面から入り第一の底面から出るように反転させることを含む請求項1~15の何れか一項に記載の方法。
  17. 前記乾燥する工程の後、熱風の代わりに冷風が、第一の底面から入り第二の底面から出るように、前記複数のセルの流路を通過することにより該ハニカム成形体を冷却する工程を更に含む請求項1~16の何れか一項に記載の方法。
  18. 前記冷却する工程は、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風の経路の途中に設置されたバルブを閉じた状態とし、前記ハニカム成形体の第一の底面に入る冷風の経路の途中に設置されたバルブを開いた状態として実施することを含む請求項17に記載の方法。
  19. 熱風の経路が途中で分岐されて、複数の前記ハニカム成形体の第一の底面に連通しており、且つ、分岐されたそれぞれの熱風の経路の途中に設置されたバルブの開閉を操作することにより、複数の前記ハニカム成形体の第一の底面に入る熱風を切り替えることを含む請求項1~18の何れか一項に記載の方法。
  20. セラミックス原料、水、及び熱ゲル化性バインダーを含む原料を混練して混合物を得る工程と、
    前記混合物を押出成形して、第一の底面から第二の底面に貫通する流路を有する複数のセルが隔壁によって区画形成されている未焼成の柱状ハニカム成形体を得る工程と、
    前記ハニカム成形体に対して請求項1~19の何れか一項に記載の方法を実施して乾燥する工程と、
    上記乾燥する工程を経たハニカム成形体を焼成する工程と、
    を含むセラミックス製ハニカム構造体の製造方法。
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