JP7078200B1 - ランダムエステル交換油 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明の目的は、耐熱性に優れ、油性食品を使用した加工食品の食感も優れた、油性食品を提供することにある。
(1) ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、下記(A)~(D)を全て満たす、ランダムエステル交換油、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(D)上昇融点が50℃以上60℃以下
(2) パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~10である、(1)のランダムエステル交換油、
(3) 40℃10分間保持SFCが15%以下である、(1)または(2)のランダムエステル交換油、
(4) 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、(1)または(2)のランダムエステル交換油、
(5) 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、(3)のランダムエステル交換油、
(6) (1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油を使用した、油性食品、
(7) (1)または(2)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(8) (3)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(9) (4)または(5)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(10) (6)の油性食品を使用した、加工食品の食感を向上する方法、
(11) 固形ルウである、(6)の油性食品、
(12) 可塑性油脂組成物に使用するハードストックである、(1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油、
(13) (1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油30~5質量%、および液体油70~95質量%含有する、可塑性油脂組成物、である。
好ましい態様として、本発明により、夏場の保型性、液油成分のしみ出し耐性、表面の白色変化耐性に優れた油性食品を提供することができる。
さらに好ましい態様として、固形ルウに使用した場合、固形ルウの高温、特に50℃以上の環境下での耐熱性を向上することができる。固形ルウを使用して作製した加工食品は喫食時の流動性が良好であって、喫食時において良好な食感を維持することができる。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(D)上昇融点が50℃以上60℃以下
好ましい態様として、40℃で10分間保持したSFCにより、油性食品を使用して作製した加工食品の喫食時の物性を評価することができる。
加工食品がカレーの場合、40℃で10分間保持したSFCが15%以下であると、作製したカレーは喫食時の流動性が良好であって、喫食時において良好な食感を維持することができる。
好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、の植物油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
より好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、パーム油、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
さらに好ましくは、大豆油、菜種油、ひまわり油、パーム油、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
最も好ましくは、大豆油極度硬化油、菜種油極度硬化油、ひまわり油、パーム油、パーム分別油、パーム極度硬化油を使用することが好ましい。
菜種極度硬化油及びパーム極度硬化油を40質量%~70質量%、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を1質量%~10質量%、ひまわり油及びパーム分別油を15質量%~45質量%の範囲内で配合することがより好ましい。
(上昇融点)
日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2(上昇 融点)に規定の方法に準じて測定した。
(脂肪酸組成)
日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.4.1. 2メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)に規定の方法に準じて測定した。
(SFC測定方法)
(各温度のSFC)及び(40℃保持SFC)の測定において、SFCは、IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION IN FATS BY NMRに準じて測定する。分析装置はBruker社製“minispec mq20”を使用する。
(各温度のSFC Parallel measurements)
溶解特性を評価するため、油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、0℃に1時間保持して固化させる。さらに、所定の温度(10℃、20℃、20℃、30℃、35℃、40℃)に30分保持した後にSFC(固体脂含量)を測定する。
(40℃保持SFC)
油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、40℃で保持し、3分後~30分後のSFC(固体脂含量)を測定する。本発明では40℃で、10分経過後のSFCを、40℃10分間保持SFCと表記する。
耐熱性に優れた油性食品を得るため、ランダムエステル交換油の上昇融点50℃以上60℃以下にすることを目標品質とし、下記(A)~(C)の数値範囲を指標とした。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油は、ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、前記(A)~(C)の数値範囲を全て満たし、上昇融点が50℃以上60℃以下の目標品質が得られた。
・前記(A)及び(C)を満たさない、比較例1の上昇融点は47.0℃で、目標品質が得られなかった。
ランダムエステル交換油を使用した油性食品の良好な食感や良好な口溶けの指標として、40℃で10分間保持したSFCが15%以下であることを、目標品質とした。
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油は、40℃で10分間保持したSFCが15%以下で目標品質が得られた。
・ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有せず、前記(A)を満たさない比較例2は、40℃で10分間保持したSFCが21.5%で、目標品質が得られなかった。
・表5より、実施例1~実施例3が満たす、本発明の好ましい態様は、
・(a)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%、より好ましくは2~35質量%、さらに好ましくは2~30質量%、さらにより好ましくは2~25質量%である。
・(b)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が10~60質量%、より好ましくは15~60質量%、さらに好ましくは20~60質量%、さらにより好ましくは30~60質量%である。
・前記(a)と(b)の合計が45質量%~75質量%、より好ましくは45~70質量%、さらに好ましくは50~70質量%、さらにより好ましくは50~65質量%である。
・(c)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が45~85質量%、より好ましくは45~80質量%、さらに好ましくは50~80質量%である。
・(d)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が20~50質量%、より好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは25~45質量%である。
・50℃における耐熱性を評価するために、下記配合と方法に従って固形ルウを作製し評価を行なった。
・鉄製乳鉢に食塩、グルタミン酸ナトリウムを入れ粉砕する。
・レシチン以外を55℃に保温する。
・油脂、レシチン以外をケンウッドミキサーに入れる。
・攪拌しながらエステル交換油及び菜種油を少しずつ入れる。
・材料が纏まったら、残りのエステル交換油及び菜種油でレシチンを溶かし加え、攪拌する。
・攪拌後、プラスチック製容器に50 g 充填する。
・5℃で急冷 固化(1 時間)した後、15℃でエージング (Over night)。
・50℃のインキュベーターに2時間保存後、プラスチック製容器を90°転倒させて油脂の状態を下記評価基準で評価した。評価結果を表6に記載した。
〇:固形ルウが完全に固化しており、流動性が無く垂れない。
△:固形ルウは変色し始めている部分も観察されるが、流動性は無く垂れない。
×:固形ルウが一部融解し流動性が有るため垂れる。
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油を用いた固形ルウは、50℃耐熱性評価において良好な結果が得られた。
・比較例1は、50℃耐熱性が劣る結果であった。
ランダムエステル交換油を使用して加工食品を作製し、食感を評価した。
・加工食品としてカレーを下記配合と作製方法に従って作製し、評価結果を表8に記載した。
・溶解した状態で、市販品の固形ルウとランダムエステル交換油を混合し、ルウ組成物を得た。
・水にルウ組成物、コンソメを配合に従い添加した後、攪拌しながら80℃まで加熱した。
・80℃に達してから10分間、温度を保持したまま攪拌を続けた後、検討油脂を配合に従い
添加した。
・80℃で5分間攪拌を続けた後、試食を行い食感、風味を評価した。
〇:油性感が殆ど感じられず、フレーバーリリースとも良好。
△:油性感が若干感じられ、フレーバーリリースが若干悪い。
×:油性感が感じられ、フレーバーリリースが明らかに悪い。
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油を使用したカレーの食感は良好な評価結果が得られた。
・比較例2は、カレーの食感が劣る結果であった。
・実施例1~実施例3は、50℃耐熱性、カレーの食感共に良好な結果が得られた。
Claims (10)
- ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、下記(A)~(D)を全て満たす、ランダムエステル交換油。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(D)上昇融点が50℃以上60℃以下 - パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~10である、請求項1に記載のランダムエステル交換油。
- 40℃10分間保持SFCが15%以下である、請求項1又は請求項2に記載のランダムエステル交換油。
- 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油。
- 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油を使用した、油性食品。
- 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法。
- 請求項5に記載の油性食品を使用した、加工食品の食感を向上する方法。
- 固形ルウである、請求項5に記載の油性食品。
- 可塑性油脂組成物に使用するハードストックである、請求項1~4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油30~5質量%、及び液体油70~95質量%含有する、可塑性油脂組成物。
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