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JP7078200B1 - ランダムエステル交換油 - Google Patents

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Abstract

耐熱性に優れた油性食品を提供することを課題とする。原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有するランダムエステル交換油。

Description

本発明は、耐熱性に優れた油性食品を提供することができるランダムエステル交換油に関する。
耐熱性や保型性が求められる油性食品としては、小麦粉、食用油脂、調味料などを加熱混合して得られる、カレー、ハヤシ、シチューなどの加工食品に使用される固形ルウ、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物等が挙げられる。
カレー、ハヤシ、シチューなどの加工食品に使用される固形ルウの耐熱保形性に関して、特許文献1~2が開示されている。
特開2009-81999号公報 国際公開第2016/121604号
夏場の高温時や、東南アジア等熱帯地域における商品展開の際、流通時や保管時に雰囲気温度が上昇する場合があり、かかる環境下においても保形性を有していること、液油成分がしみ出さないこと等が求められ、耐熱性に優れた油性食品が望まれる。
本発明者らは、油性食品の耐熱性の向上について考察した。使用する油脂の硬さが油性食品の耐熱性に影響するが、高温では油脂が融解し、形状を維持できなくなる場合がある。
高温での耐熱性を向上させるために、使用する油脂の融点を高めたり、融点の高い油脂の配合量を増加することで耐熱性を向上させることができる。しかしながら、油脂の融点を高めたり高融点油脂の配合量を増加すると、油性食品を使用した加工食品の食感が悪化する等の問題を引き起こす場合がある。
特許文献1は、固形ルウに用いる油脂に関して、牛脂または豚脂の部分硬化油との対比でより優れた保型性、溶解性を示すものであるが、極度硬化油含有量が比較的高いことから、調理中において溶け残りが発生する、あるいは喫食中に固化が生じるため食感が劣るものであった。
特許文献2は、砂糖、マルトース、トレハロース、フルクトース、パラチノース、還元パラチノース、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール及びソルビトールから選択される糖類1種または2種以上を1~20重量%含有する固形ルウ用生地を、100~160℃で加熱処理を必須とするものであった。
本発明の油性食品における課題は、まずは耐熱性を十分に向上させることにある。ただし耐熱性を向上させようとして、融点の高い油脂を使用すると、油性食品を使用した加工食品の食感が悪化する場合があり、耐熱性と、食感を両立させることが困難であった。
そこで本発明の目的は、耐熱性に優れ、油性食品を使用した加工食品の食感も優れた、油性食品を提供することにある。
本発明者は、上記のような事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有させることで、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1) ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、下記(A)~(D)を全て満たす、ランダムエステル交換油、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(D)上昇融点が50℃以上60℃以下
(2) パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~10である、(1)のランダムエステル交換油、
(3) 40℃10分間保持SFCが15%以下である、(1)または(2)のランダムエステル交換油、
(4) 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、(1)または(2)のランダムエステル交換油、
(5) 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、(3)のランダムエステル交換油、
(6) (1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油を使用した、油性食品、
(7) (1)または(2)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(8) (3)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(9) (4)または(5)のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法、
(10) (6)の油性食品を使用した、加工食品の食感を向上する方法、
(11) 固形ルウである、(6)の油性食品、
(12) 可塑性油脂組成物に使用するハードストックである、(1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油、
(13) (1)~(5)のいずれかのランダムエステル交換油30~5質量%、および液体油70~95質量%含有する、可塑性油脂組成物、である。
本発明により、耐熱性に優れ、油性食品を使用した加工食品の食感も優れた、油性食品を提供することができる。
好ましい態様として、本発明により、夏場の保型性、液油成分のしみ出し耐性、表面の白色変化耐性に優れた油性食品を提供することができる。
さらに好ましい態様として、固形ルウに使用した場合、固形ルウの高温、特に50℃以上の環境下での耐熱性を向上することができる。固形ルウを使用して作製した加工食品は喫食時の流動性が良好であって、喫食時において良好な食感を維持することができる。
本発明のランダムエステル交換油は、ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有する。本発明における中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)は、構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の脂肪酸を主成分とする油脂である。
本発明のランダムエステル交換油は、下記(A)~(D)を全て満たす。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(D)上昇融点が50℃以上60℃以下
本発明のランダムエステル交換油は、(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%、好ましくは、0.5~8質量%である。かかる数値範囲とすることで、油性食品を使用した加工食品において良好な食感を得ることができる。
本発明のランダムエステル交換油は、(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%である。かかる数値範囲とすることで、油性食品において良好な耐熱性と、油性食品を使用した加工食品において良好な食感を得ることができる。
本発明のランダムエステル交換油は、(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15、好ましくは、0.5~10である。かかる数値範囲とすることで、油性食品において良好な耐熱性と、油性食品を使用した加工食品において良好な食感を得ることができる。
本発明のランダムエステル交換油は、(D)上昇融点が50℃以上60℃以下である。かかる数値範囲とすることで、油性食品において良好な耐熱性を得ることができる。
本発明のランダムエステル交換油は、好ましくは、40℃で10分間保持したSFCが15%以下である。かかる数値範囲とすることで、油性食品を使用した加工食品において良好な食感を得ることができる。
好ましい態様として、40℃で10分間保持したSFCにより、油性食品を使用して作製した加工食品の喫食時の物性を評価することができる。
加工食品がカレーの場合、40℃で10分間保持したSFCが15%以下であると、作製したカレーは喫食時の流動性が良好であって、喫食時において良好な食感を維持することができる。
本発明のランダムエステル交換油は、好ましくは、構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%、より好ましくは、2~30質量%、さらに好ましくは、2~20質量%である。かかる数値範囲とすることで、油性食品において良好な耐熱性と、油性食品を使用した加工食品において良好な食感を得ることができる。
本発明の固形油性食品用油脂組成物は、前記した条件に従って調整すれば良いが、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)以外に、エステル交換油の原材料として使用することができる油脂類としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂、および乳脂、牛脂、豚脂等の動物脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、の植物油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
より好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、パーム油、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
さらに好ましくは、大豆油、菜種油、ひまわり油、パーム油、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
最も好ましくは、大豆油極度硬化油、菜種油極度硬化油、ひまわり油、パーム油、パーム分別油、パーム極度硬化油を使用することが好ましい。
菜種極度硬化油及びパーム極度硬化油を40質量%~70質量%、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を1質量%~10質量%、ひまわり油及びパーム分別油を15質量%~45質量%の範囲内で配合することがより好ましい。
本発明のランダムエステル交換油は、ナトリウムメチラート等の金属触媒やランダム化エステル交換リパーゼによる非選択的エステル交換により調製される。
本発明のランダムエステル交換油は、耐熱性が求められる油性食品に使用することができる。油性食品としては、カレー、ハヤシ、シチューなどの加工食品に使用される固形ルウ、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物に用いるハードストックが例示できる。
カレー、ハヤシ、シチューなどの加工食品に使用される固形ルウは、常温で固形状のものであり、調理における簡便性から家庭用やレストラン、給食などの業務用として幅広く利用されているものである。
固形ルウに使用するランダムエステル交換油の配合量は特に限定はないが、固形ルウに含まれる油脂中に好ましくは20~100質量%、より好ましくは25~75質量%である。20質量%より少ないと固形ルウの耐熱性が損なわれるため好ましくない。
固形ルウに使用する他の成分は、カレー等の香辛料、カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダー、ヨーグルトパウダーなどの乳製品、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品等の食品素材、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤等が例示できる。かかる食品素材や食品添加物を単独または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記乳化剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が例示できる。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉等が例示できる。
本発明のランダムエステル交換油を使用した固形ルウは、カレー、ホワイトソース、ハヤシソース、デミグラスソースなどの各種ソース類、カレーシチュー、ホワイトシチュー、デミグラスシチューなどの各種シチュー類、パン用フィリング類、トッピング類などの加工食品に幅広く利用することができる。
本発明のランダムエステル交換油は、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物のハードストックに使用することができるが、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンなどの乳化剤を適宜添加して使用することができる。
本発明のランダムエステル交換油を使用して得られるハードストックは、液体油を配合することによってマーガリン、ファットスプレッドのような可塑性油脂組成物を製造することができる。液体油としては、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、カポック油、胡麻油、月見草等の単独または混合油が例示でき、これらの何れを用いてもよい。
可塑性油脂組成物を製造する方法を例示すると、前記ハードストックを10~50重量%に、液体油50~90重量%を配合した混合油を常法に従い急冷混捏することによって製造することができる。ハードストックの配合割合が上記の範囲より少なすぎると、高温での液体油のシミ出し耐性が悪くなり、多すぎると低温でのスプレッド性および口溶け性が悪くなる傾向を示す。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも質量基準を意味する。
(分析方法)
(上昇融点)
日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2(上昇 融点)に規定の方法に準じて測定した。
(脂肪酸組成)
日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.4.1. 2メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)に規定の方法に準じて測定した。
(SFC測定方法)
(各温度のSFC)及び(40℃保持SFC)の測定において、SFCは、IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION IN FATS BY NMRに準じて測定する。分析装置はBruker社製“minispec mq20”を使用する。
(各温度のSFC Parallel measurements)
溶解特性を評価するため、油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、0℃に1時間保持して固化させる。さらに、所定の温度(10℃、20℃、20℃、30℃、35℃、40℃)に30分保持した後にSFC(固体脂含量)を測定する。
(40℃保持SFC)
油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、40℃で保持し、3分後~30分後のSFC(固体脂含量)を測定する。本発明では40℃で、10分経過後のSFCを、40℃10分間保持SFCと表記する。
中鎖脂肪酸結合油脂として、n-オクタン酸(炭素数8)n-デカン酸(炭素数10)を構成脂肪酸とし、これらの重量比が60:40であるMCT-64(不二製油株式会社製)を使用した。他の原料油脂を配合して、配合した油脂1.0kgに、ナトリウムメチラートを触媒として1.5g添加し、80℃にて30分ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行いランダムエステル交換油を得た。得られたエステル交換油の脂肪酸組成を表1に示す。
Figure 0007078200000001
各種分析値を表2にて比較し評価した。
Figure 0007078200000002
(ランダムエステル交換油の評価-1)
耐熱性に優れた油性食品を得るため、ランダムエステル交換油の上昇融点50℃以上60℃以下にすることを目標品質とし、下記(A)~(C)の数値範囲を指標とした。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
(B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
(C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
(表2の考察)
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油は、ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、前記(A)~(C)の数値範囲を全て満たし、上昇融点が50℃以上60℃以下の目標品質が得られた。
・前記(A)及び(C)を満たさない、比較例1の上昇融点は47.0℃で、目標品質が得られなかった。
40℃保持SFCを測定し表3にて比較した。
Figure 0007078200000003
(ランダムエステル交換油の評価-2)
ランダムエステル交換油を使用した油性食品の良好な食感や良好な口溶けの指標として、40℃で10分間保持したSFCが15%以下であることを、目標品質とした。
(表3の考察)
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油は、40℃で10分間保持したSFCが15%以下で目標品質が得られた。
・ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有せず、前記(A)を満たさない比較例2は、40℃で10分間保持したSFCが21.5%で、目標品質が得られなかった。
分析値を表4にて比較した。
Figure 0007078200000004
(ランダムエステル交換油の比較)
(表4の比較)
・表5より、実施例1~実施例3が満たす、本発明の好ましい態様は、
・(a)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%、より好ましくは2~35質量%、さらに好ましくは2~30質量%、さらにより好ましくは2~25質量%である。
・(b)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が10~60質量%、より好ましくは15~60質量%、さらに好ましくは20~60質量%、さらにより好ましくは30~60質量%である。
・前記(a)と(b)の合計が45質量%~75質量%、より好ましくは45~70質量%、さらに好ましくは50~70質量%、さらにより好ましくは50~65質量%である。
・(c)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が45~85質量%、より好ましくは45~80質量%、さらに好ましくは50~80質量%である。
・(d)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が20~50質量%、より好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは25~45質量%である。
(50℃耐熱性評価)
・50℃における耐熱性を評価するために、下記配合と方法に従って固形ルウを作製し評価を行なった。
Figure 0007078200000005
(固形ルウの作製方法と50℃耐熱性評価方法)
・鉄製乳鉢に食塩、グルタミン酸ナトリウムを入れ粉砕する。
・レシチン以外を55℃に保温する。
・油脂、レシチン以外をケンウッドミキサーに入れる。
・攪拌しながらエステル交換油及び菜種油を少しずつ入れる。
・材料が纏まったら、残りのエステル交換油及び菜種油でレシチンを溶かし加え、攪拌する。
・攪拌後、プラスチック製容器に50 g 充填する。
・5℃で急冷 固化(1 時間)した後、15℃でエージング (Over night)。
・50℃のインキュベーターに2時間保存後、プラスチック製容器を90°転倒させて油脂の状態を下記評価基準で評価した。評価結果を表6に記載した。
(50 ℃耐熱性評価基準)
〇:固形ルウが完全に固化しており、流動性が無く垂れない。
△:固形ルウは変色し始めている部分も観察されるが、流動性は無く垂れない。
×:固形ルウが一部融解し流動性が有るため垂れる。
Figure 0007078200000006
(表6の考察)
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油を用いた固形ルウは、50℃耐熱性評価において良好な結果が得られた。
・比較例1は、50℃耐熱性が劣る結果であった。
(加工食品での評価)
ランダムエステル交換油を使用して加工食品を作製し、食感を評価した。
(カレーの作製)
・加工食品としてカレーを下記配合と作製方法に従って作製し、評価結果を表8に記載した。
Figure 0007078200000007
(カレーの作製方法)
・溶解した状態で、市販品の固形ルウとランダムエステル交換油を混合し、ルウ組成物を得た。
・水にルウ組成物、コンソメを配合に従い添加した後、攪拌しながら80℃まで加熱した。
・80℃に達してから10分間、温度を保持したまま攪拌を続けた後、検討油脂を配合に従い
添加した。
・80℃で5分間攪拌を続けた後、試食を行い食感、風味を評価した。
(カレーの食感評価基準)
〇:油性感が殆ど感じられず、フレーバーリリースとも良好。
△:油性感が若干感じられ、フレーバーリリースが若干悪い。
×:油性感が感じられ、フレーバーリリースが明らかに悪い。
Figure 0007078200000008
(表8の考察)
・実施例1~実施例3のランダムエステル交換油を使用したカレーの食感は良好な評価結果が得られた。
・比較例2は、カレーの食感が劣る結果であった。
・実施例1~実施例3は、50℃耐熱性、カレーの食感共に良好な結果が得られた。
本発明により、耐熱性に優れた油性食品を提供することができる。

Claims (10)

  1. ランダムエステル交換の原材料として中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)を含有し、下記(A)~(D)を全て満たす、ランダムエステル交換油。
    (A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.5~10質量%
    (B)構成脂肪酸組成中、ベヘン酸の含有量が0.5~5質量%
    (C)パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~15
    (D)上昇融点が50℃以上60℃以下
  2. パルミチン酸に対するステアリン酸の含有質量比が0.5~10である、請求項1に記載のランダムエステル交換油。
  3. 40℃10分間保持SFCが15%以下である、請求項1又は請求項2に記載のランダムエステル交換油。
  4. 構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が2~40質量%である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油を使用した、油性食品。
  6. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油を使用した、油性食品の耐熱性を向上する方法。
  7. 請求項5に記載の油性食品を使用した、加工食品の食感を向上する方法。
  8. 固形ルウである、請求項5に記載の油性食品。
  9. 可塑性油脂組成物に使用するハードストックである、請求項1~4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油。
  10. 請求項1~4のいずれか1項に記載のランダムエステル交換油30~5質量%、及び液体油70~95質量%含有する、可塑性油脂組成物。
JP2022507375A 2020-09-25 2021-09-24 ランダムエステル交換油 Active JP7078200B1 (ja)

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