JP4562571B2 - 乳化油脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
油脂組成物において、この技術を利用したものとして、例えば、特許文献1には、油脂を乳製品粉末、糖類およびアミノ酸類の存在下に加熱することを特徴とする焦がしバター風味を有する風味油の製造方法が開示されている。さらにこの風味油をマーガリン、ショートニングなどに使用することも記載されている。
しかし、特許文献1では、油脂に糖類およびアミノ酸類を分散させており、糖類およびアミノ酸類は主に水溶性であるため、油脂中における糖類とアミノ酸類の接触効率が悪く、添加量に対する風味発現性が低いという欠点があった。また、特許文献1の風味油を加熱処理することにより、風味油が褐変してしまうという欠点があった。
しかし、特許文献2では、風味物質である6−デオキシ−アルドヘキソースとα−アミノ酸のアマドリ転位化合物をマーガリンに配合するため、保存中に風味がなくなりやすく、そのため長期間風味を維持することが困難である。
この特許文献3は保存性を改良する乳化食品に関するものであり、風味改良効果についての記載はない。また、この特許文献3では、水相に糖類とアミノ酸を一緒に添加しているため、糖類とアミノ酸のメイラード反応により得られるフレーバーが期待される組み合わせを選んで乳化食品を製造したとしても、乳化食品の水相にははじめからメイラード反応物が含まれていることとなる。そのため長期間風味を維持することが困難であった。
本発明の乳化油脂組成物は、図1に示すように、連続した油相2中に、糖類を含有する水相または水中油型乳化物3と、アミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物4とが、実質的にそれぞれ独立して存在する乳化油脂組成物1である。
本発明でいう「糖類を含有する水相または水中油型乳化物と、アミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物とが、実質的にそれぞれ独立して存在する」とは、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上の、糖類を含有する水相または水中油型乳化物とアミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物とがそれぞれ独立して存在するということである。
上記油脂としては、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、カカオ脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の食用天然油脂、該食用天然油脂に水素添加、分別およびエステル交換といった処理を1種または2種以上施した食用加工油脂が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。また、上記油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
上記の直接β型の油脂結晶とは、油脂結晶を融解し、冷却し、結晶化したときに、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂結晶のことである。この際、上記の結晶化条件は如何なる結晶化条件であってもよく、テンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
上記の油脂結晶がβ型結晶であることを確認する方法としては、例えば、X線回析測定において、以下のように短面間隔を測定する方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)および4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
尚、従来のマーガリンやショートニング等の可塑性油脂に用いられている油脂結晶を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。また、主にチョコレート等の油脂性菓子に用いられるカカオ脂も、70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。
上記の直接β型の油脂結晶の結晶サイズが20μmを越えた油脂結晶であると、該油脂結晶を含有する乳化油脂組成物を口にしたり、触った際にザラつきを感じやすい。
なお、「実質的に」とは、全ての直接β型の油脂結晶のうち微細結晶を90質量%以上含有することを指す。
上記の直接β型の油脂結晶の1つめの例として、StEE(St:ステアリン酸、E:エライジン酸)で表されるトリグリセリド(以下StEEとする)の油脂結晶が挙げられる。
StEEの油脂結晶は、本発明の乳化油脂組成物の油相中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上30質量%以下、最も好ましくは5質量%以上20質量%以下となるように含有させる。
本発明の乳化油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、StEEの油脂結晶を含有させるために、本発明ではStEEを含有する油脂を用いることができる。
上記のStEEを含有する油脂としては、例えば、大豆油、ひまわり油、シア脂、サル脂の中から選ばれた1種または2種以上に水素添加および分別から選択される1または2種類の処理を施した加工油脂を用いることができる。さらに好ましくは、ハイオレイックひまわり硬化油、シア分別軟部油の硬化油またはこの硬化油の分別硬部油、サル分別軟部油の硬化油またはこの硬化油の分別硬部油を用いることが望ましい。
上記のS1 MS2 のS1 およびS2 並びにMS3 MのS3 は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、さらに好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸である。また、本発明において、上記のS1 、S2 およびS3 が、同じ飽和脂肪酸であるのが最も好ましい。
また、上記のS1 MS2 のMおよびMS3 MのMは、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
上記のS1 MS2 とMS3 Mとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1 MS2 1分子とMS3 M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。
また、本発明の乳化油脂組成物の油相中、上記のS1 MS2 の含有量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、最も好ましくは2.5質量%以上10質量%以下であり、上記のMS3 Mの含有量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、最も好ましくは2.5質量%以上10質量%以下である。
さらに、本発明の乳化油脂組成物において、MS3 Mのモル数/S1 MS2 のモル数が、好ましくは0.4〜7.0、さらに好ましくは0.8〜5.0となるように含有させる。
上記のS1 MS2 を含有する油脂としては、例えば、パーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モーラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並びに下記に記載するエステル交換油、該エステル交換油を分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、上記の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加および/または分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加および/または分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
上記の構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドは、構成脂肪酸の全てがパルミチン酸であるトリグリセリドを好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含有するものが望ましい。上記の3飽和トリグリセリドを含有することにより、結晶性が良好であり、結晶安定性の面で十分に満足の得られる乳化油脂組成物を得ることが可能となる。
パームステアリンは、パーム油からパームオレインを分別採取する際の副生物として得られる。
このパームステアリンは、脂肪酸組成として、飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含み、上昇融点が44〜56℃、ヨウ素価が20〜50であり、食用油脂としては融点が高いため口溶けが大変悪く、また硬くて使用しづらいため、食用油脂や食品への配合量も限られた量に制限せざるを得ず、油脂組成物への使用用途は硬さの調整用の用途に限られていた。
また、このような硬さの調整等にパームステアリンを使用した油脂組成物、特に可塑性油脂組成物や、該可塑性油脂組成物を使用して製造された食品は、保管条件によっては経時的にグレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成し、表面が白色化したり、ザラつきや触感の悪さを呈し製品価値の全くないものになってしまう問題があった。
本発明の乳化油脂組成物では、このように可塑性油脂に用いるには不適であるとされていたパームステアリンを使用しながら、良好な可塑性を示し、且つ経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる。
3飽和トリグリセリドの起源としては、このようなパームステアリンをそのまま使用することができるが、パームステアリンにランダムエステル交換を行なった油脂、更にはパームステアリンにパーム核軟部油やパーム油等の他の油脂を添加してランダムエステル交換した油脂を使用することもでき、また、パームステアリンに、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを添加してランダムエステル交換を行なった油脂を使用することもできる。
これらのランダムエステル交換反応を行なうことにより、さらに結晶性が良好で、経日的なブルームを起こさない乳化油脂組成物を得ることができる。
まず、第1の方法として、乳化油脂組成物の油相のトリグリセリド組成を分析し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、またはS1 MS2 およびMS3 Mの油相中の含有量を測定し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリドが油相中に含有されていること、好ましくはその含有量が前記範囲内にあることを確認することにより、乳化油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
また、第2の方法として、油相中に上記直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、またはS1 MS2 およびMS3 Mを含有している油脂が配合されていること、好ましくは上記StEE、またはS1 MS2 およびMS3 Mが油相中に前記範囲内の含有量となるように配合されていることを確認する方法が挙げられる。
なお、第3の方法において、乳化油脂組成物の油相の油脂結晶が下に示すような微細結晶であることが確認された場合は、油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認することができる。この場合、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ましいが、5℃で4日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが一層好ましく、5℃で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに一層好ましく、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが最も好ましい。
上記の第3の方法において、乳化油脂組成物中の直接β型の油脂結晶の含有量が多いほど、5℃での保持時間が短くても、得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
本発明の乳化油脂組成物の油相の油脂結晶のサイズが20μmを越えた油脂結晶であると、乳化油脂組成物を口にしたり触った際にザラつきを感じやすく、また、液状油成分を保持することが困難となり、乳化油脂組成物が油にじみを起こしやすく、水相成分および油脂結晶により形成される3次元構造中に維持できにくくなる。
本発明の乳化油脂組成物は、直接β型結晶を得る際に、StEEではなく、S1 MS2 とMS3 Mとからなるコンパウンド結晶を使用し、S1 MS2 やMS3 Mを含有する油脂として、上述したように、植物油脂や、植物油脂のエステル交換油脂を使用することにより、簡単に、実質的にトランス酸を含まない乳化油脂組成物を得ることができる。
糖類を含有する水相または水中油型乳化物は、糖類を水相または水中油型乳化物中、好ましくは0.1〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは20〜40質量%含有する。
糖類を含有する水相または水中油型乳化物は、水を水相または水中油型乳化物中、好ましくは50〜99.8質量%、さらに好ましくは60〜99質量%、最も好ましくは70〜90質量%含有する。
糖類を含有する水中油型乳化物とする場合は、油脂を水中油型乳化物中、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜30質量%、最も好ましくは10〜20質量%含有する。
上記水としては、天然水、水道水等の水や、牛乳、卵類、クリーム類等の水分を含む食品に由来する水分を含むものとする。
上記油脂としては、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、カカオ脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の食用天然油脂、該食用天然油脂に水素添加、分別およびエステル交換といった処理を1種または2種以上施した食用加工油脂が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。また、上記の油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
アミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物は、アミノ酸を水相または水中油型乳化物中、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜40質量%、最も好ましくは20〜30質量%含有する。
アミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物は、水を水相または水中油型乳化物中、好ましくは50〜99.8質量%、さらに好ましくは60〜99質量%、最も好ましくは70〜80質量%含有する。
アミノ酸を含有する水中油型乳化物とする場合は、油脂を水中油型乳化物中、好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜30質量%、最も好ましくは10〜20質量%含有する。
上記水としては、天然水、水道水等の水や、牛乳、卵類、クリーム類等の水分を含む食品に由来する水分を含むものとする。
上記油脂としては、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、カカオ脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の食用天然油脂、該食用天然油脂に水素添加、分別およびエステル交換といった処理を1種または2種以上施した食用加工油脂が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。また、上記の油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
また、本発明の乳化油脂組成物において、上記糖類と上記アミノ酸の質量比率は、好ましくは400:1〜1:50、さらに好ましくは100:1〜1:3、最も好ましくは12:1〜3:2である。
上記の副原料として、例えば、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、牛乳・練乳・脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・乳脂肪球皮膜蛋白質・バター・クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・発酵乳等の乳や乳製品、糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白卵および各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の乳化油脂組成物において、これらの副原料は使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではない。また、これらの副原料の配合量は、乳化油脂組成物中、好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
上記の合成乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。
本発明の乳化油脂組成物を流通させる場合は、常温、冷蔵、冷凍いずれでも構わないが、長期間保持するために、冷蔵で、直射日光等の当たらない暗所で流通させることが好ましい。
特に風味が失われやすい冷蔵、冷凍生地に本発明の乳化油脂組成物を用いることにより、食品の風味を強化することが可能である。
また、上記用途における本発明の乳化油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.5質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物1を得た。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性乳化油脂組成物1の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1質量%未満であった。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.5質量部とプロリン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物2を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4質量部とプロリン0.5質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物3を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.25質量部とプロリン0.25質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物4を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.5質量部とプロリン0.25質量部とリジン0.25質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物5を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.375質量部とプロリン0.125質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物6を得た。
パーム油と、菜種油とを、70/30の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水15質量部とグルコース5質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4質量部とプロリン0.5質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物7を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水19質量部とグルコース5質量部とプロリン0.5質量部とリジン0.5質量部を混合した水相25質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物8を得た。
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水20質量部とグルコース5質量部を混合した水相25質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物9を得た。
実施例1〜7および比較例1〜2で得られた可塑性乳化油脂組成物1〜9を用いて、以下の配合と製法によりロールパンを製造した。得られたロールパンの風味の評価を表1に示した。
(配合)
強力粉 80質量部
薄力粉 20
イースト 3
上白糖 15
食塩 1.2
脱脂粉乳 2
可塑性乳化油脂組成物 10
水 65
(製法)
ミキシング :L3M2H1のあと可塑性乳化油脂組成物を加え、L3M3H2
捏上温度 :26℃
発酵 :28℃ 90分(パンチ60分)
分割 :90g
成形 :モルダー成形
ホイロ条件 :38℃ 85 50分
焼成条件 :180℃ 20分
実施例1〜7および比較例1〜2で得られた可塑性乳化油脂組成物1〜9を用いて、以下の配合と製法によりロールパンを製造した。得られたロールパンの風味の評価を表2に示した。
(配合)
強力粉 80質量部
薄力粉 20
イースト 3
上白糖 12
食塩 1.6
脱脂粉乳 2
可塑性乳化油脂組成物 10
水 65
(製法)
ミキシング :L3M2H1のあと可塑性油脂組成物を加え、L3M2
捏上温度 :20℃
分割 :60g
成形 :モルダー成形
フリーザー :−40℃で60分のあと−20℃で保管
解凍 :20℃ 120分
ホイロ条件 :38℃ 85 50分
焼成条件 :180℃ 16分
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の質量比で配合した混合油を油相として溶解し、この油相75質量部に、水18.75質量部とグルコース1.25質量部を混合した水相20質量部を加えて乳化し、約90℃で殺菌した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却した。これに水4.375質量部とプロリン0.125質量部とリジン0.5質量部を混合した水相5質量部を加え、縦形ミキサーで均一に混合し、純植物性マーガリンタイプの可塑性乳化油脂組成物10を得た。
[上掛け生地の配合と製法]
(配合)
薄力粉 100質量部
全卵(正味) 60
グラニュー糖 50
可塑性乳化油脂組成物 100
ベーキングパウダー 0.5
(製法)
1 可塑性乳化油脂組成物とグラニュー糖を均一になるまで混合する。
2 全卵を1に加えて、混合する。
3 薄力粉とベーキングパウダーを混合し、篩っておいたものを2に加え、混合する。
Claims (4)
- 連続した油相中に、糖類を含有する水相または水中油型乳化物と、アミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物とが、実質的にそれぞれ独立して存在する乳化油脂組成物を製造する方法であって、油相と糖類を含有する水相または水中油型乳化物とを乳化し、殺菌処理を施した後、冷却し、これにアミノ酸を含有する水相または水中油型乳化物を添加し、均一に混合することを特徴とする乳化油脂組成物の製造方法。
- 上記冷却を、油相中の配合油脂の融点より10〜30℃低い温度まで行う請求項1記載の乳化油脂組成物の製造方法。
- 上記乳化油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有する請求項1または2記載の乳化油脂組成物の製造方法。
- 上記乳化油脂組成物が可塑性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化油脂組成物の製造方法。
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