JP6990679B2 - ノンフライ中華麺及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、ノンフライ中華麺及びその製造方法に関する。

従来、即席麺の製造方法としては、フライ（油揚げ）麺とノンフライ麺に大別することができる。フライ麺は、α化処理した麺を１５０℃前後の油でフライ処理して乾燥させた麺である。一方、ノンフライ麺とは、α化した麺を、油で揚げる以外の乾燥方法により乾燥させた麺であり、幾つか方法があるが、７０～１００℃程度で風速５ｍ／ｓ以下程度の熱風を当てて３０分から９０分程度乾燥させる熱風乾燥方法が一般的である。

熱風乾燥によるノンフライ麺は、フライ麺よりも麺線が緻密であり、フライ麺よりも製造時に変色しにくく、かんすいを多く添加でき、特に中華麺においてはより風味良好で本格的な麺が得られやすい。しかしながら、かんすいを多く入れるほど、中華麺独特の風味は強くなるが、保存中に麺が経時的に褐色に変色しやすく、また、麺の食感も経時的に表面が硬く、芯に粘りのない堅脆い食感となるといった課題があった。

ノンフライ麺の変色を改善する方法として、特許文献１及び特許文献２の方法が知られている。特許文献１は、蒸煮工程において起きる「かんすい焼け」の抑制方法として、ノンフライ即席麺の製造工程において、原料粉に対して１．２～２．５重量％のかんすいを添加して製麺し、麺線を蒸煮する工程中において、麺線に水分を付与する水分供給処理を１回以上行なってα化させ、乾燥させる方法が記載されている。

また、特許文献２には、かんすい臭が強く風味豊かで、且つ麺線の褐変が抑制された即席麺の提供として、１）穀粉、かんすい原料及びアルコールを用いて麺生地を得る工程と、２）該麺生地を製麺して生麺線を得、該生麺線をα化してα化麺を得る工程と、３）該α化麺を乾燥する工程とを有する即席麺の製造方法、並びに１）穀粉及びかんすい原料を用いて麺生地を得る工程と、２）該麺生地を製麺して生麺線を得、該生麺線にアルコールを付与する工程と、３）アルコールが付与された該生麺線をα化してα化麺を得る工程と、４）該α化麺を乾燥する工程とを有する即席麺の製造方法が開示されている。

しかしながら、何れの文献も製造工程中の変色防止について記載されており、保存中の経時的な変色防止については記載されていない。

また、即席麺にリン酸一水素カルシウムを使用する技術については、特許文献３及び特許文献４に記載されているが、何れもフライ麺のアクリルアミド生成を抑制する技術であり、ノンフライ麺に対する技術ではなく、二価の陽イオンとしての添加物の一例として挙げられているのみである。

特開２０１２－６０９９８号公報 特開２０１７－２９０５６号公報 特開２００５－２７８４４８号公報 特開２００５－２１１５２号公報

本発明は、経時的な劣化が抑制されたノンフライ中華麺を提供することを目的とする。

発明者は保存中の劣化抑制方法について鋭意研究した結果、偶然にも本発明を見出し本発明に至った。

すなわち、麺原料に炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムと、リン酸一水素カルシウムの水和物と、を含むことを特徴とするノンフライ中華麺である。

また、本発明に係るノンフライ中華麺においては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量とリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記の数式１を満たすことが好ましい。０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））

また、本発明に係るノンフライ中華麺においては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量とリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記数式２を満たすことが好ましい。１．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））

また、本発明に係るノンフライ中華麺においては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５～１５ｇであることが好ましい。

また、本発明に係るノンフライ中華麺の製造方法としては、主原料粉に対してリン酸一水素カルシウムの水和物を加え粉体混合した粉体に、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムを溶解した練り水を加えてミキサーで混捏し、麺生地を作製した後、製麺し、蒸煮し、乾燥して製造することが好ましい。

また、本発明に係るノンフライ中華麺の製造方法としては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量とリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記の数式１を満たすことが好ましい。０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））

また、本発明に係るノンフライ中華麺の製造方法としては、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記数式２を満たすことが好ましい。 １．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））

また、本発明に係るノンフライ中華麺の製造方法としては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５～１５ｇであることが好ましい。

本発明により、経時的な劣化が抑制されたノンフライ中華麺を提供することができる。

本発明に係るノンフライ中華麺のかんすい（炭酸ナトリウムと炭酸カリウム）の添加量とリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量との関係を示したグラフである。

以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。

１．麺原料配合
本発明に係るノンフライ中華麺には、通常の即席麺の原料が使用できる。すなわち、主原料粉としては、小麦粉、大麦粉及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉が挙げられ、単独で使用しても、または混合して使用してもよい。前記澱粉として、生澱粉、α化澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉、及び架橋澱粉等の加工澱粉を使用することもできる。

また、本発明では、これら主原料粉に対して即席麺の製造において一般に使用されている食塩、かんすいなどのアルカリ剤、各種増粘剤、グルテン、卵白、麺質改良剤、食用油脂、カロチン色素等の各種色素及び保存料等を添加することができる。これらは、主原料粉と一緒に粉体で添加しても、練り水に溶かすか懸濁させて添加してもよい。

このうち本発明においては、かんすいとして、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムを使用する。これらの資材は、練り水に溶解して添加する。特に中華麺の場合には、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムと、小麦粉などの主原料粉とが混捏されることで中華麺独特の風味、いわゆるかんすい臭が発生する。炭酸ナトリウムと炭酸カリウムはかんすい臭の点ではほぼ堂々の効果があり、麺の求める食感に合わせて単独、または混合して使用することができる。炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの使用量としては、ノンフライ中華麺の場合、主原料粉１ｋｇに対して５～１５ｇの範囲で使用することが好ましい。この範囲であれば、中華麺独特の風味が良好なノンフライ中華麺を得ることができる。５ｇ未満であるとノンフライ中華麺の風味が弱くなるが、風味を気にしなければ、５ｇ未満の添加量であっても構わない。逆に１５ｇよりも多くなると、風味が強すぎるだけでなく製造中から変色が目立つようになるが、風味や製造中の変色が問題なければ、１５ｇよりも多い添加量でも構わない。求める商品設計に合わせて炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量を設定すればよい。

また、本発明においては、リン酸一水素カルシウムの水和物を使用する。リン酸一水素カルシウムの水和物は、水にほとんど溶解しないため、主原料粉と一緒に粉体混合して麺に添加することが好ましい。リン酸一水素カルシウムは、無水物と水和物（二水和物）とが存在するが、原因は不明だが、無水物には変色や食感変化といった経時的な劣化に対して抑制効果はなく、水和物のみに抑制効果がある。また、様々なカルシウム塩を検討した結果、経時的な変色を抑制する効果があるものは存在するものの、食感への影響やかんすい臭などの風味への影響があったり、経時的な食感の劣化を抑えられず、リン酸一水素カルシウムの水和物が、食感や風味への影響が少なく、経時的な変色や食感劣化を抑える上で最も効果的であった。

リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量に対して、下記の数式１の範囲であることが好ましい。０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））。リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）が０．８Ｘ－２未満（つまりＹ＜０．８Ｘ－２）となると、良好な経時的な食感劣化の抑制効果が得られにくくなる。逆にリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）が２Ｘよりも大きく（つまりＹ＞２Ｘ）となると、かん水臭などの風味が弱くなり、リン酸一水素カルシウムの水和物を大量に添加することによって食感が軟化する。

また、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量を炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量に対して、下記の数式２の範囲にすることがより好ましい。１．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））。リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量をＹ≧１．８Ｘ－７とすることにより、良好な経時的な変色抑制効果を得ることができる。

２．混捏工程
本発明に係る麺生地（ドウ）の作製方法は、常法に従って行えばよい。すなわち、バッチミキサー、フロージェットミキサー、真空ミキサー等で、主原料粉とリン酸一水素カルシウムの水和物を含む粉体と炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムを溶解した練り水とが均一に混ざるように混捏すればよく、そぼろ状のドウを作製すればよい。

３．製麺工程
次いで作製したドウから麺線を作製する。作製方法としては、常法に従って行えばよく、エクストルーダ等を用いてドウを押し出して麺線を作製する方法や、ドウをロールにより粗麺帯とした後、複合等により麺帯化し、さらにロールにより複数回圧延し、所定の麺帯厚とした後、切刃と呼ばれる切出しロールにより麺帯を切出し、麺線を作製する方法が挙げられる。麺帯を作製してから麺線を作製する場合、エクストルーダを用いて麺帯を作製した後、圧延、切出しを行ってもよく、また、複数の麺帯を合わせて多層構造を持つ麺帯を作製した後、圧延、切出しを行ってもよい。エクストルーダ等を用いて押出し麺帯又は押出し麺線を作製する場合は、減圧下で行うことが好ましい。

リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ食感が若干硬くなる傾向があり、多層構造を持つ麺帯を作製する場合には、外層に多く添加すると表面の硬さが目立つため、内層に多く添加することが好ましい。この場合、内層のみにリン酸一水素カルシウムの水和物を添加したとしても経時的な変色の抑制や食感の劣化については、麺全体に均質に添加した場合と比べても差がほとんどない。

４．蒸煮工程
製麺工程で得られた麺線を、常法により蒸煮し麺線をα化する。蒸煮条件は、麺の種類、麺の太さにより好ましい条件が異なるため、目的とする食感に合わせて、好ましい条件を適宜設定すればよい。蒸煮の方法としては、ボイルや飽和水蒸気による加熱だけでなく、過熱水蒸気により加熱することもでき、シャワーや浸漬などの水分補給工程を組み合わせることもできる。調理された麺は必要により、調味液浸漬やほぐれ剤の添加を行うこともできる。

５．乾燥工程
１食分に麺線をカット、計量し、乾燥用のリテーナと呼ばれる容器に充填し、乾燥する。乾燥方法は、フライ乾燥以外であれば特に限定はなく、熱風乾燥やマイクロ波乾燥、真空凍結乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥すればよい。このうちノンフライ麺の乾燥方法としては、熱風乾燥が一般的であり、熱風乾燥の場合は、６０～１５０℃の熱風を用いて乾燥すればよい。乾燥工程は、複数の条件を組み合わせて行ってもよく、乾燥後の水分が１４．５重量％以下、好ましくは水分が６～１２重量％となるように乾燥すればよい。例えば、熱風乾燥においては、５０～１００℃程度で風速１～５ｍ／ｓの熱風により水分が８～１２重量％程度となるまで乾燥することが一般的であるが、このように乾燥した後にさらに１０５～１３０℃程度で風速３０～７０ｍ／ｓの熱風または蒸気で調湿した熱風を乾燥した麺に短時間当てることで膨化処理を行うこともできる。

６．その他
乾燥したノンフライ中華麺は、冷却後、スープや具材と共に蓋とカップに入れ、即席カップめんとしてもよく、スープと共に袋に入れて即席袋めんとしてもよい。

以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。

＜実験１＞スクリーニングテスト
（試験例１－１～１－１３）
中力粉９００ｇ、アセチル化タピオカ澱粉１００ｇからなる主原料粉１Ｋｇにそれぞれ試験例１－２～１－１３のスクリーニング用のカルシウム塩３０ｇを粉体混合し（試験例１－１は、比較のための試験でありカルシウム塩の添加なし、試験例１－２～１－１３のカルシウム塩については表１参照）、食塩１５ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）２０ｇを水４００ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、ドウを作製した。

作製したドウを複合して麺帯を作製し、１５分熟成した後、ロール圧延にて１．１ｍｍまで麺帯を圧延し、１６番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。

次いで作製した麺線を飽和蒸気の流量が２４０ｋｇ／ｈとなるように調整した蒸気庫内で1分４０秒蒸煮し、１Ｌ当たり食塩１０ｇ、アラビアガム５ｇ溶解した着味液に５秒浸漬し、約３０ｃｍに切断した後、１食当たり１４０ｇの麺を略深皿形のステンレス製の乾燥用容器（リテーナ）に充填した。

リテーナに充填した麺を７０℃で風速３ｍ／ｓの熱風で６０分間乾燥した。

乾燥したノンフライ中華麺を発泡ポリスチレンのカップに入れ、アルミが張られた紙製の蓋で密封し、試験サンプル（即席カップめん）とした。試験サンプルは、作製後すぐに４℃の冷蔵庫で保存したサンプル（強制劣化前）と、４０℃湿度７５％の恒温恒湿下で２週間強制劣化させたサンプル（強制劣化後）とに分けて、それぞれをサンプルの外観、食感を確認することで評価した。なお、４０℃湿度７５％の恒温恒湿下で２週間強制劣化することで、常温２５℃で４か月相当の保存したのと同質の劣化条件となる。また、本実験はスクリーニング試験のため、かんすい（炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム）の添加量をノンフライ中華麺に添加する一般的な量よりも多く添加して、劣化を早める条件にて試験サンプルのスクリーニングを行った。

試験サンプルの評価については、色の変化については、強制劣化前のサンプルと強制劣化後のサンプルとの色の差を目視で評価を行い、試験例１－１の劣化具合を基準として、色の劣化が抑えられ非常に良好なものを◎、変色が認められるが変色が抑えられ概ね良好なものを○、試験例１－１よりも変色が抑えられているが、不十分なものを△、試験例１－１と同程度に変色しているものを×とした。

試験サンプルの食感及び風味の評価については、強制劣化前のサンプルと強制劣化後のサンプルに沸騰水を４８０ｍｌ入れ、５分間調理し、醤油ラーメン用の液体スープを添加して喫食し、評価を行った。食感、風味の評価については強制劣化前の試験サンプルについては、試験例１－１を基準として、各資材の影響を評価し、試験例１－１と同等なものを◎、試験例１－１と僅かに異なるが良好なものを○、試験例１と異なり劣るものを△、試験例１－１から異なり著しく劣るものを×とした。また、経時的な食感の変化については、試験例１－１の経時変化による劣化具合（表面の硬化や堅脆い食感）を基準として、劣化がなく非常に良好なものを◎、劣化が認められるが劣化が抑えられ概ね良好なものを○、試験例１－１よりも劣化が抑えられているが、不十分なものを△、試験例１－１と同程度に劣化しているものを×とした。

実験１の評価結果について、下記表１に示す。

実験１の結果より、食感、風味への影響が少なく、経時的な変色や食感の劣化を抑えられる物質として、リン酸一水素カルシウムの水和物が特に優れていることが判明した。

＜実験２＞リン酸一水素カルシウムの水和物とかんすい（炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム）との関係
（試験例２－１）
中力粉１０００ｇからなる主原料粉１Ｋｇに、食塩１５ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）５ｇを水３５０ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、ドウを作製した。

作製したドウを複合して麺帯を作製し、１５分熟成した後、ロール圧延にて１．１ｍｍまで麺帯を圧延し、２２番丸のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。

次いで作製した麺線を飽和蒸気の流量が２４０ｋｇ／ｈとなるように調整した蒸気庫内で２分１５秒蒸煮した後、蒸した麺を２つ折りにして１食当たり１１７ｇの麺を箱型のステンレス製の乾燥用容器（リテーナ）に充填した。

リテーナに充填した麺を８５℃で風速１ｍ／ｓの熱風で６０分間乾燥した。

乾燥したノンフライ中華麺をアルミ蒸着したポリプロピレン製の袋に密封し、試験サンプル（即席袋めん）とした。試験サンプルは、作製後すぐに４℃の冷蔵庫で保存したサンプル（強制劣化前）と、４０℃湿度７５％の恒温恒湿下で２週間強制劣化させたサンプル（強制劣化後）とに分けて、それぞれを試験区の評価サンプルとした。

（試験例２－２）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を２ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－３）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を５ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－４）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を１０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－５）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を１５ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－６）
かん水製剤の添加量を１０ｇとする以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－７）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を６ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－６の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－８）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を１１ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－６の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－９）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を２０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－６の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１０）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を３０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－６の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１１）
かん水製剤の添加量を１５ｇとする以外は、試験例２－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１２）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を１０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１３）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を２０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１４）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を３０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例２－１５）
主原料粉にリン酸一水素カルシウムの水和物を４０ｇ添加し粉体混合する以外は、試験例２－１１の方法に従って評価サンプルを作製した。

評価サンプルの評価については、色については、強制劣化前後のサンプルの色の差を目視で確認し、変色抑制効果について評価を行うだけでなく、色彩色差計（コニカミノルタ製：型番ＣＲ－４１０）でa値を測定し、劣化前後の差を測定し、数値として変色が抑えられているかを確認した。目視による変色抑制評価は、かんすいの添加量によって変色具合が異なるため、劣化前後の試験例２－１、試験例２－６、試験例２－１１の評価サンプルを基準として同一のかんすい添加量のものの変色抑制効果を評価し、基準と比べ変色抑制効果がないものを×、変色抑制効果が認められるが弱いものを△、変色抑制効果が認められ良好なものを○、ほとんど変色がなく変色抑制効果が非常に良好なものを◎とした。

試験サンプルの食感及び風味の評価については、強制劣化前後のサンプルを５００ｍｌの沸騰水中で３分間調理し、醤油ラーメン用の粉末スープを添加して喫食し、評価を行った。

風味については、強制劣化前のサンプルで評価を行い、かんすいの添加量によって風味に差があるため、強制劣化前の試験例２－１、試験例２－６、試験例２－１１の評価サンプルを基準として同一のかんすい添加量のものの風味を評価し、基準と同程度に風味があるものを◎、基準よりも劣るが良好なものを○、基準より劣り弱いが風味を感じるものを△、風味が全くないものを×とした。

食感については、強制劣化前後のサンプルで評価を行い、かんすいの添加量によって食感が異なるため、劣化前の試験例２－１、試験例２－６、試験例１１のサンプルを基準にして同一のかんすい添加量のものの食感を評価し、食感が基準サンプルと同等に非常に良好なものを◎、基準サンプルより劣るが概ね良好なものを○、食感が基準サンプルよりも劣るものを△、食感が基準サンプルよりも著しく劣るものを×とした。

評価結果を下記表２に示す。

実験２で示すように、かんすいの添加量によってリン酸一水素カルシウムの水和物の好ましい添加量が変わるため、かんすいの添加量ごとに実験２の結果について記載する。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇの場合、試験例２－１～試験例２－５で示すようにリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、変色抑制効果が認められる。色差系で測定したa値は赤みを示す値であり、値が大きい程赤みを帯びている結果となるが、強制劣化前後の分析値の差を見ればわかるようにリン酸一水素カルシウムの水和物を添加することで劣化前後のa値の差が少なくなっていることから劣化が抑えられていることがわかる。以上より、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して２ｇ以上添加することで、良好な経時的な変色を抑制する効果を得ることができると考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇの場合、試験例２－１～試験例２－５で示すようにリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、かんすい臭が弱くなっていくことがわかる。リン酸一水素カルシウムの添加量が、主原料粉に１ｋｇに対して１５ｇとなるとかんすい臭が弱く風味が悪くなることから、風味の点では、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して１０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇの場合、劣化前の食感は、試験例２－２～２－４で示すようにリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなるにつれ、若干食感が硬くなる傾向があったが、試験例２－５で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなりすぎると逆に食感が急に柔らかくなった。また、試験例２－１～試験例２～４で示すように、劣化後の食感は、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなるにつれて、劣化後の表面が硬くなり、芯に粘りがなくなるような劣化した食感が改善し、表面が柔らかさや、芯の粘りを維持した食感となった。試験例２－５については、劣化前の柔らかい食感が少し硬くなり、全体としては食感が良好となった。以上の結果から、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、良好な経時的な食感の劣化を抑制する効果を得るという点において、主原料粉に１ｋｇに対して２ｇ以上となるように添加することが好ましいと考える。また、リン酸一水素カルシウムの水和物を添加することによる食感への影響を考えると主原料粉に１ｋｇに対して１０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１０ｇの場合、試験例２－６～試験例２－１０で示すようにリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇの場合と同様に変色抑制効果が認められる。しかしながら、かんすいの添加量が多いため、経時的に変色する度合いが強く、試験例２－７で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物を主原料粉に１ｋｇに対して６ｇ添加する試験区では、変色抑制効果は僅かであり、試験例２－８で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物を主原料粉に１ｋｇに対して１１ｇ添加する試験区で変色抑制効果が良好となった。以上より、良好な経時的な変色を抑制する効果を得るという点においては、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して１１ｇ以上添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１０ｇの場合、試験例２－６～試験例２－１０で示すように、かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇの場合と同様にリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、かんすい臭が弱くなっていくことがわかる。リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が、主原料粉に１ｋｇに対して３０ｇとなるとかんすい臭が弱く風味が悪くなることから、風味の点では、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して２０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１０ｇの場合、試験例２－１０で示すように、試験例２－５と同様に、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多すぎると食感が急に柔らかくなった。また、試験例２－６で示すように、かんすいの添加量が多くなると試験例２－１と比較して劣化後の食感は、表面が硬くなり、芯に粘りがなくなるような劣化した食感が強くなったが、試験例２－７～試験例２－９で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなるにつれ、劣化した食感が改善し、表面が柔らかさや、芯の粘りを維持した食感となった。試験例２－１０についても、試験例２－５と同様に劣化前の柔らかい食感が少し硬くなり、全体としては食感が良好となった。以上の結果から、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、良好な経時的な食感の劣化を抑制する効果を得るという点においては、主原料粉に１ｋｇに対して６ｇ以上となるように添加することが好ましいと考える。また、リン酸一水素カルシウムの水和物を添加することによる食感への影響を考えると主原料粉に１ｋｇに対して２０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１５ｇの場合、試験例２－１１～試験例２－１５で示すようにリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇや１０ｇの場合と同様に変色抑制効果が認められる。しかしながら、かんすいの添加量が多いため、経時的に変色する度合いが強く、試験例２－１２で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物を主原料粉に１ｋｇに対して１０ｇ添加する試験区では、変色抑制効果は僅かであり、試験例２－１３で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物を主原料粉に１ｋｇに対して２０ｇ添加する試験区で変色抑制効果が良好となった。以上より、良好な経時的な変色を抑制する効果を得るという点においては、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して２０ｇ以上添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１５ｇの場合、試験例２－１１～試験例２－１５で示すように、かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して５ｇや１０ｇの場合と同様にリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が増えるにつれ、かんすい臭が弱くなっていくことがわかる。リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が、主原料粉に１ｋｇに対して４０ｇとなるとかんすい臭が弱く風味が悪くなることから、風味の点では、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、主原料粉に１ｋｇに対して３０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

かんすいの添加量が主原料粉１ｋｇに対して１５ｇの場合、試験例２－１５で示すように、試験例２－５や試験例２－１０と同様に、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなりすぎると食感が急に柔らかくなった。また、試験例２－１１で示すように、かんすいの添加量が多くなると試験例２－１や試験例２－６と比べてより劣化後の表面が硬くなり、芯に粘りがなくなるような劣化した食感が強くなったが、試験例２－１２～試験例２－１４で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が多くなるにつれ、劣化した食感が改善し、表面が柔らかさや、芯の粘りを維持した食感となった。試験例２－１５についても、試験例２－５や試験例２－１０と同様に劣化前の柔らかい食感が少し硬くなり、全体としては食感が良好となった。以上の結果から、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量としては、良好な経時的な食感の劣化を抑制する効果を得るという点においてはでは、原料粉に１ｋｇに対して１０ｇ以上となるように添加することが好ましいと考える。また、リン酸一水素カルシウムの水和物を添加することによる食感への影響を考えると主原料粉に１ｋｇに対して３０ｇ以下となるように添加することが好ましいと考える。

試験例２－１～試験例２－１５の結果をまとめると、下記表３及び図１で示すように、主原料粉１ｋｇに対するかんすいの添加量（ｇ）をＸ、リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（ｇ）をＹとした場合、良好な経時的な食感劣化の抑制効果を得る点においては、Ｙ≧０．８Ｘ－２となるようにかんすいの添加量（Ｘ）に対してリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）を調整することが好ましいことがわかる。

また、良好な風味や食感を得る点においてはＹ≦２Ｘとなるようにかんすいの添加量（Ｘ）に対してリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）を調整することが好ましいことがわかる。

また、良好な経時的な変色抑制効果を得る点においては、Ｙ≧１．８Ｘ－７となるようにかんすいの添加量（Ｘ）に対してリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）を調整することが好ましいことがわかる。

以上より、本発明に係るノンフライ中華麺の好ましいかんすい（炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム）の添加量（Ｘ）とリン酸一水素カルシウムの水和物の添加量（Ｙ）としては、下記数式（１）、より好ましくは下記数式（２）の範囲となるように調整することが好ましい。０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）。１．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）。（ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））。

＜実験３＞三層構造の検討
（試験例３－１）
中力粉８００ｇ、アセチル化タピオカ澱粉２００ｇからなる主原料粉１Ｋｇに、食塩２０ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）７ｇ、マリーゴールド色素０．５ｇを水４００ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、内・外層麺帯用のドウを作製した。

作製した内・外層麺帯用のドウを複合して外層麺帯及び内層麺帯を作製し、外層麺帯の厚みを内層麺帯の半分となるように圧延し、内層麺帯を外層麺帯２枚で挟む形で整形ロールを通すことにより三層麺帯を作製した。次いで三層麺帯を１５分熟成した後、ロール圧延にて１．１ｍｍまで麺帯を圧延し、１６番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。

次いで作製した麺線を飽和蒸気の流量が２４０ｋｇ／ｈとなるように調整した蒸気庫内で２分蒸煮し、１Ｌ当たり食塩１０ｇ、アラビアガム５ｇ溶解した着味液に５秒浸漬し、約３０ｃｍに切断した後、１食当たり１４０ｇの麺を略深皿形のステンレス製の乾燥用容器（リテーナ）に充填した。

リテーナに充填した麺を７０℃で風速３ｍ／ｓの熱風で６０分間乾燥した。

乾燥したノンフライ中華麺を発泡ポリスチレンのカップに入れ、アルミが張られた紙製の蓋で密封し、試験サンプル（即席カップめん）とした。試験サンプルは、作製後すぐに４℃の冷蔵庫で保存したサンプル（強制劣化前）と、４０℃湿度７５％の恒温恒湿下で２週間強制劣化させたサンプル（強制劣化後）とに分けて、それぞれをサンプルの外観、食感を確認することで評価した。

（試験例３－２）
中力粉８００ｇ、アセチル化タピオカ澱粉２００ｇからなる主原料粉１Ｋｇにリン酸一水素カルシウムの水和物を７ｇ粉体混合した粉体に、食塩２０ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）７ｇを水４００ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、内・外層麺帯用のドウを作製した。

作製した内・外層麺帯用のドウを複合して外層麺帯及び内層麺帯を作製し、外層麺帯の厚みを内層麺帯の半分となるように圧延し、内層麺帯を外層麺帯２枚で挟む形で整形ロールを通すことにより三層麺帯を作製した。次いで三層麺帯を１５分熟成した後、ロール圧延にて１．１ｍｍまで麺帯を圧延し、１６番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。

以降の操作は試験例３－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

（試験例３－３）
中力粉８００ｇ、アセチル化タピオカ澱粉２００ｇからなる主原料粉１Ｋｇにリン酸一水素カルシウムの水和物を１４ｇ粉体混合した粉体に、食塩２０ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）７ｇを水４００ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、内層麺帯用のドウを作製した。

中力粉８００ｇ、アセチル化タピオカ澱粉２００ｇからなる主原料粉１Ｋｇに、食塩２０ｇ、かんすい製剤（炭酸ナトリウム６：炭酸カリウム４）７ｇを水４００ｇに溶解した練り水を加え、常圧ミキサーにて１５分間混捏し、外層麺帯用のドウを作製した。

作製した内層及び外層用のドウを複合しての内層及び外層麺帯を作製し、外層麺帯の厚みを内層麺帯の半分となるように圧延し、内層麺帯を外層麺帯２枚で挟む形で整形ロールを通すことにより三層麺帯を作製した。次いで三層麺帯を１５分熟成した後、ロール圧延にて１．１ｍｍまで圧延し、１６番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。

以降の操作は試験例３－１の方法に従って評価サンプルを作製した。

評価サンプルの評価については、色については、実験２同様に強制劣化前後のサンプルの色の差を目視で確認し、変色抑制効果について評価を行うだけでなく、色彩色差計（コニカミノルタ製：型番ＣＲ－４１０）でa値を測定し、劣化前後の差を測定し、数値として変色が抑えられているかを確認した。目視による変色抑制評価は、試験例３－１の評価サンプルを基準として、基準と比べ変色抑制効果がないものを×、変色抑制効果が認められるが弱いものを△、変色抑制効果が認められ良好なものを○、ほとんど変色がなく変色抑制効果が非常に良好なものを◎とした。

試験サンプルの食感及び風味の評価については、強制劣化前のサンプルと強制劣化後のサンプルに沸騰水を４８０ｍｌ入れ、５分間調理し、醤油ラーメン用の液体スープを添加して喫食し、評価を行った。

風味については、強制劣化前のサンプルで評価を行い、強制劣化前の試験例３－１の評価サンプルを基準として、基準と同程度に風味があるものを◎、基準よりも劣るが良好なものを○、基準より劣り弱いが風味を感じるものを△、風味が全くないものを×とした。

食感については、強制劣化前後のサンプルで評価を行い、劣化前の試験例３－１のサンプルを基準にして、食感が基準サンプルと同等に非常に良好なものを◎、基準サンプルより劣るが概ね良好なものを○、食感が基準サンプルよりも劣るものを△、食感が基準サンプルよりも著しく劣るものを×とした。

評価結果を下記表３に示す。

実験３で示すように三層麺帯においてもリン酸一水素カルシウムの水和物を添加することにより、経時的な劣化が抑えられることがわかる。色については色素を添加しているため、色差計の値として差がわかりづらいが、試験例３－２及び３－３で示すように、リン酸一水素カルシウムの水和物を内層・外層全体に均一に添加しても、内層のみ添加しても、変色抑制効果に差はなかった。

風味については、リン酸一水素カルシウムの水和物を添加することで若干弱く感じる程度で試験例３－２と試験例３－３で差は感じなかった。

食感については、外層にリン酸一水素カルシウムの水和物が含まれる試験例３－２は、試験例３－１や試験例３－３と比較して劣化前の表面が若干硬く感じたが、劣化後の食感は、試験例３－１は、表面が硬く、芯の粘りに欠けた食感となるのに対して、試験例３－２及び３－３は、ほぼ同等な食感で表面の柔らかくや芯に粘りがあり、劣化を感じなかった。

上記結果から、多層構造の麺にリン酸一水素カルシウムの水和物を添加する場合、内層、外層に均質に添加しても、内層のみに添加しても良いことがわかる。

Claims (6)

1. 麺原料に炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムと、リン酸一水素カルシウムの水和物と、を含むことを特徴とするノンフライ中華麺であって、
   炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量が主原料粉１ｋｇに対して、５～１５ｇであり、
   前記炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量と前記リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記の数式１を満たすことを特徴とするノンフライ中華麺。
   ０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）
   （ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））
2. 前記炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量と前記リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記数式２を満たすことを特徴とする請求項１記載のノンフライ中華麺。
   １．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）
   （ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））
3. 前記ノンフライ麺が外層及び内層からなる三層構造であり、前記内層の前記リン酸一水素カルシウムの水和物の含有量が前記外層の前記リン酸一水素カルシウムの水和物の含有量と同じか多いことを特徴とする請求項１または２記載のノンフライ中華麺。
4. 主原料粉に対してリン酸一水素カルシウムの水和物を加え粉体混合した粉体に、炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムを溶解した練り水を加えてミキサーで混捏し、麺生地を作製した後、製麺し、蒸煮し、乾燥することを特徴とするノンフライ中華麺の製造方法であって、
   前記炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量が主原料粉１ｋｇに対して、５～１５ｇであり、
   前記炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量と前記リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記の数式１を満たすことを特徴とするノンフライ中華麺の製造方法。
   ０．８Ｘ－２≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式１）
   （ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））
5. 前記炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの添加量と前記リン酸一水素カルシウムの水和物の添加量が下記数式２を満たすことを特徴とする請求項４記載のノンフライ中華麺の製造方法。
   １．８Ｘ－７≦Ｙ≦２Ｘ・・・（数式２）
   （ここで、Ｘ：炭酸ナトリウム又は／及び炭酸カリウムの主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ）、Ｙ：リン酸一水素カルシウムの水和物の主原料粉１ｋｇに対する添加量（ｇ））
6. 前記製麺が前記麺生地から内層麺帯と外層麺帯からなる三層麺帯を作製する工程を含み、前記内層麺帯の前記リン酸一水素カルシウムの水和物の含有量が前記外層麺帯の前記リン酸一水素カルシウムの水和物の含有量と同じか多いことを特徴とする請求項４または５記載のノンフライ中華麺の製造方法。

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