JP6979165B2 - 水性インクジェットインク組成物及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
本実施形態の水性インクジェットインク組成物は、顔料と、プロピレングリコールと、水と、を含有し、20℃における粘度が3.0mm2/s以上10.0mm2/s以下であり、pHが7以上であり、前記顔料の含有量が、水性インクジェットインク組成物の総量に対して、5.5質量%以上9質量%以下であり、前記プロピレングリコールの含有量が、前記顔料100質量部に対して、8質量部以上100質量部以下である。
顔料としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。なお、顔料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。下記の中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。
本実施形態の水性インクジェットインク組成物において、顔料に対して所定量のプロピレングリコールを用いることで、顔料含有量が多い場合においても間欠印字性が確保でき、発色性と間欠印字性の両立を図ることができる。この理由は、特に限定されないが、所定量のプロピレングリコールが顔料に対して、分散助剤のように作用するためと推察される。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。
本実施形態の水性インクジェットインク組成物は、樹脂をさらに含んでもよい。樹脂は、例えば、溶媒中にポリマー成分をエマルションの形態で分散もしくは溶解させたものを用いることができる。このなかでも、エマルションの形態で分散もしくは溶解させたものが好ましい。
本実施形態の水性インクジェットインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
本実施形態の水性インクジェットインク組成物の20℃における粘度は、3.0mm2/s以上10.0mm2/s以下であり、好ましくは3.5mm2/s以上7.5mm2/s以下であり、より好ましくは3.5mm2/s以上5.0mm2/s以下である。水性インクジェットインク組成物の粘度が3.0mm2/s以上であることにより、ノズルからインク組成物の溶媒が揮発しにくくなり、間欠安定性がより向上する。また、水性インクジェットインク組成物の粘度が10.0mm2/s以下であることにより、ノズルから吐出されるインク滴量が増えるため、得られる画像の発色性がより向上する。なお、粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の水性インクジェットインク組成物のpHは、7以上であり、7以上11以下がより好ましく、7.5以上10以下がさらに好ましく、8以上9.5以下がよりいっそう好ましい。pHが上記範囲であることにより、間欠印字性がより向上する傾向にある。pHの調整方法は特に制限されず、公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、上記水性インクジェットインク組成物を被記録媒体上に吐出するシリアルヘッドもしくはラインヘッドを有する。水性インクジェットインク組成物を吐出する場合は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。このなかでもピエゾ方式が好ましい。ピエゾ方式を用いることで熱によるコゲ発生や材料に対するダメージがなく、顔料の高濃度化や多様な材料の利用が可能となる。
上記インクジェット記録方法を利用して、インク組成物が被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。上記インクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
<自己分散型カーボンブラック分散液>
ファーネス法で調製したカーボンブラック原末500g(一次粒子径=18nm、BET比表面積=180m2/g、DBP吸収量=186mL/100g)を、イオン交換水3750gに加え、ディゾルバーで攪拌しながら、50℃まで昇温した。その後、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルにより、粉砕しながらこれに、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度=12%)の水溶液5300gを50〜60℃で3.5時間かけて滴下した。引き続きサンドミルにより30分間粉砕し続け、自己分散型カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュの金網で濾過し、ジルコニアビーズ及び未反応カーボンブラックと、反応液とを分別した。分別して得た反応液に、水酸化カリウム5%水溶液を加えて、pH=7.5に調整した。液の電導度が1.5mS/cmになるまで限外濾過膜により、脱塩及び精製を行なった。電気透析装置を用いて液の電導度が1.0mS/cmになるまでさらに脱塩及び精製を行った。その液を、自己分散型カーボンブラックの濃度が17重量%になるまで濃縮した。この濃縮液を、遠心分離機にかけ粗大粒子を取り除き、0.6μmフィルターで濾過した。得られた濾液にイオン交換水を加え、自己分散型カーボンブラックの濃度が15重量%になるまで希釈し、分散させて、自己分散型カーボンブラック分散液を得た。
顔料としてのピグメントレッド122 15質量部に対して、分散剤としてのスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(重量平均分子量10000、ポリマー成分15%)30質量部及びイオン交換水55質量部を加えて十分に混合した後、この混合物をサンドミル(株式会社安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量)とともに2時間分散した。分散後、ガラスビーズを取り除き、樹脂分散ピグメントレッド122分散液を得た。
グリセリン
1,2−ヘキサンジオール
2−ピロリドン
トリエチレングリコール
トリメチロールプロパン
オレイン酸
プロピレングリコール
〔pH調整剤〕
水酸化カリウム
トリエタノールアミン
〔界面活性剤〕
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製)
各材料を下記の表1〜2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、下記の表1〜2中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。なお、以下、便宜的に、自己分散型カーボンブラック分散液を用いたインクをブラックインク、樹脂分散ピグメントレッド122分散液を用いたインクをマゼンタインクともいう。
作製したブラックインクを超遠心分離装置(日立工機製、製品名CS150GXII)を用いて超遠心分離を行った上澄み液(ブランク)と、超遠心分離を行わないブラックインクと、を用意して、パルスNMR装置(Xigo社製、製品名Acron Drop)を用いて、CPMGパルスシーケンス法に基づいて横緩和時間T2を測定し、顔料の比表面積を算出した。その結果を以下に示す。
自己分散型カーボンブラック:比表面積 25m2/g
各実施例及び各比較例のインクの粘度を、20℃で、離合社製の自動粘度測定装置VMC−252を用いて、キャノン・フェンスケ逆流型粘度計で測定した。
上記のようにして得られた水性インクジェットインク組成物を、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、型番PX−G930)に充填し、日本製紙社製フルカラーインクジェット対応フォーム用紙「Next−IJ」紙にベタパターンを印刷した。得られたベタパターンのOD値をSpectrolino(XRite社製)を用いて測定した。OD値の測定結果に基づいて発色性を以下の評価基準で評価した。
(ブラックインクの評価基準)
A:最大OD値1.30以上
B:最大OD値1.25以上1.30未満
C:最大OD値1.20以上1.25未満
D:最大OD値1.20未満
(マゼンタインクの評価基準)
A:最大OD値1.2以上
B:最大OD値1.1以上1.2未満
C:最大OD値1.0以上1.1未満
D:最大OD値1.0未満
上記のようにして得られた水性インクジェットインク組成物を、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、型番PX−G930)に充填し、0.7秒ごとに吐出回数を固定したフラッシングを17分連続で行った後の印字着弾ズレがない吐出回数を評価した。
(評価基準)
A:3回吐出のフラッシングで着弾ズレなし
B:5回吐出のフラッシングで着弾ズレなし
C:6回吐出のフラッシングで着弾ズレなし
D:6回吐出のフラッシングでも着弾ズレあり
Claims (4)
- 顔料と、プロピレングリコールと、水と、を含有し、
20℃における粘度が3.0mm2/s以上7.5mm2/s以下であり、
pHが7以上であり、
前記顔料の含有量が、水性インクジェットインク組成物の総量に対して、5.5質量%以上9質量%以下であり、
前記プロピレングリコールの含有量が、前記顔料100質量部に対して、8質量部以上100質量部以下である、
水性インクジェットインク組成物。 - 前記顔料のパルスNMRにより測定される比表面積が、20m2/g以上55m2/g以下である、
請求項1に記載のインクジェットインク組成物。 - 前記顔料が、カーボンブラックである、
請求項1又は2に記載の水性インクジェットインク組成物。 - 前記顔料が、自己分散型顔料である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク組成物。
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