JP6866827B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
1.内燃機関の制御装置は、複数の気筒から排出された排気を浄化する排気浄化装置と、前記複数の気筒毎に設けられた燃料噴射弁と、を備える内燃機関を制御対象とし、前記複数の気筒のうちの一部の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とすべく、前記燃料噴射弁を操作するディザ制御処理と、各気筒において1燃焼サイクル内に燃料を複数回噴射するマルチ噴射処理と、を実行し、前記ディザ制御処理は、前記マルチ噴射処理が実行されているときに前記リッチ燃焼気筒とする気筒を変更する場合、前記リッチ燃焼気筒から前記リーン燃焼気筒に変更される気筒における進角側の燃料噴射量の当該変更に起因した減少量を遅角側の燃料噴射量の当該変更に起因した減少量よりも大きくする処理、および前記リーン燃焼気筒から前記リッチ燃焼気筒に変更される気筒における進角側の燃料噴射量の当該変更に起因した増加量を遅角側の燃料噴射量の当該変更に起因した増加量よりも大きくする処理の少なくとも1つの処理を含む。
図1に示す内燃機関10において、吸気通路12から吸入された空気は、過給機14を介して気筒#1〜#4のそれぞれの燃焼室16に流入する。気筒#1〜#4のそれぞれには、燃料を噴射する燃料噴射弁18と、火花放電を生じさせる点火装置20とが設けられている。燃焼室16において、空気と燃料との混合気は、燃焼に供され、燃焼に供された混合気は、排気として、排気通路22に排出される。排気通路22のうちの過給機14の下流には、酸素吸蔵能力を有した三元触媒24が設けられている。
ベース噴射量算出処理M10は、クランク角センサ46の出力信号Scrに基づき算出された回転速度NEと吸入空気量Gaとに基づき、燃焼室16における混合気の空燃比を目標空燃比に開ループ制御するための操作量である開ループ操作量として、ベース噴射量Qbを算出する処理である。
フィードバック処理M14は、フィードバック制御量である空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量KAFを算出する処理である。本実施形態では、目標値Af*と空燃比Afとの差を入力とする比例要素、積分要素、および微分要素の各出力値の和を、ベース噴射量Qbの補正比率δとし、フィードバック操作量KAFを、「1+δ」とする。
分割比率算出処理M18は、回転速度NEおよび負荷率KLによって規定される内燃機関10の動作点に基づき、要求噴射量Qdの分割比率Kを算出する処理である。ここで、分割比率Kは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値である。分割比率Kが「1」の場合、要求噴射量Qdの燃料が燃料噴射弁18から1回の燃料噴射によって噴射される。これに対し、分割比率Kが「1」よりも小さい場合、要求噴射量Qdの燃料が燃料噴射弁18による2回の燃料噴射によって噴射される。
CPU32は、マルチ噴射をする場合、リッチ燃焼気筒の進角側噴射の噴射量指令値Q*を「(K+α)・Qd」とし、リーン燃焼気筒の進角側噴射の噴射量指令値Q*を「{K−(α/3)}・Qd」とする。また、CPU32は、リーン燃焼気筒とリッチ燃焼気筒との双方において、遅角側噴射の噴射量指令値Q*を、「(1−K)・Qd」とする。ここで、リッチ燃焼気筒の進角側噴射に関する分割された要求噴射量「K・Qd」の増量補正比率は、「(K・Qd・α)/(K・Qd)=α」である。また、リーン燃焼気筒の進角側燃料噴射に関する分割された要求噴射量「K・Qd」の減量補正比率は、「{K・Qd・(α/3)}/(K・Qd)=α/3」である。また、遅角側噴射に関する分割された要求噴射量「(1−K)・Qd」のリッチ燃焼気筒の増量補正比率やリーン燃焼気筒の減量補正比率は、「0」である。このように、本実施形態では、分割された要求噴射量に対する増量補正比率や減量補正比率は、進角側噴射よりも遅角側噴射の方が小さい値となっている。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]排気浄化装置は、三元触媒24に対応し、ディザ制御処理は、噴射量補正要求値αがゼロよりも大きい場合における、乗算処理M36、ディザ補正量算出処理M38、ディザ補正処理M40、ディザ補正量算出処理M32、ディザ補正処理M34、噴射量操作処理M42に対応する。マルチ噴射処理は、分割比率Kが「1」よりも小さいときにおける分割比率算出処理M18、進角側噴射量算出処理M20、遅角側噴射量算出処理M22および噴射量操作処理M42に対応する。また、リッチ燃焼気筒の変更は、図4に示してある。[2]要求噴射量算出処理は、ベース噴射量算出処理M10、目標値設定処理M12、フィードバック処理M14、およびベース噴射量補正処理M16に対応する。[3]遅角側噴射量算出処理M22が出力する値「(1−K)・Qd」が噴射量補正要求値αに応じて補正されずに噴射量指令値Q*とされることに対応する。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態では、マルチ噴射処理として、1つの気筒において1燃焼サイクルに2回、燃料噴射を実行する処理を例示したが、これに限らない。たとえば、図5に示すように3回の燃料噴射を実行する処理等、3回以上の燃料噴射を実行する処理であってもよい。また、たとえば下記「そのほか」の欄に記載したように、燃料噴射弁としてポート噴射弁を備えるものである場合、1つの気筒において1燃焼サイクルにポート噴射弁から2回の燃料噴射を実行する処理であってもよい。さらに、たとえば下記「そのほか」の欄に記載したように、ポート噴射弁と筒内噴射弁とを備えるものである場合、1つの気筒において1燃焼サイクル内にポート噴射弁からの1回以上の燃料噴射と筒内噴射弁からの1回以上の燃料噴射とを実行する処理であってもよい。
たとえば、図5に示すように、3回の燃料噴射を実行する場合において、最進角側の噴射量である第1回目の噴射量Q1と第2回目の噴射量Q2とのそれぞれを、噴射量補正要求値αに応じて補正してもよい。これは、たとえば、以下のようにして行うことができる。なお、図5に示すように、第1回目の噴射量Q1と第2回目の噴射量Q2と第3回目の噴射量Q3との和は要求噴射量Qdであり、各噴射量は、分割比率K1,K2,K3(K1+K2+K3=1)を要求噴射量Qdに乗算することによって算出される。
図2に示した処理では、1つの気筒における1燃焼サイクル内の要求噴射量Qdの算出回数について特に述べなかったが、1回に限らない。たとえば、マルチ噴射処理が実行される場合、進角側の噴射の開始タイミングと遅角側の噴射の開始タイミングとの間において最新の吸入空気量Gaや回転速度NE等に基づき把握される最新の筒内充填空気量に応じたベース噴射量Qbを算出し、これに応じて遅角側の燃料噴射のための要求噴射量Qdを算出してもよい。またたとえば、マルチ噴射処理が実行される場合、進角側の噴射の開始タイミングと遅角側の噴射の開始タイミングとの間において最新のフィードバック操作量KAFを算出し、これに基づき遅角側の燃料噴射のための要求噴射量Qdを算出してもよい。こうした場合には、要求噴射量Qdを分割する分割比率Kによって単一のタイミングにおいて算出された要求噴射量Qdが分割されるわけではないが、分割比率Kによって要求噴射量Qdが分割されていることには相違ない。
上記実施形態では、回転速度NEおよび負荷率KLに応じて噴射量補正要求値αを算出したが、これに限らない。たとえば、基本値α0を上限とし水温THWに応じて可変設定される値に、回転速度NEおよび負荷率KLに基づき可変設定される補正係数を乗算した値を、噴射量補正要求値αとしてもよい。
上記構成では、排気浄化装置として、三元触媒24を例示したがこれに限らない。たとえば、三元触媒24の下流にガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)を備えてもよい。またたとえばGPFのみであってもよい。ただし、その場合、ディザ制御による昇温効果を高めるうえでは、GPFに、酸素吸蔵能力を付与することが望ましい。
昇温要求としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、「排気浄化装置について」の欄に記載したように、GPFを備えるものにあっては、GPFが捕集した粒子状物質を燃焼させるためにGPFの温度を上昇させる要求であってもよい。ちなみに、三元触媒24の下流にGPFを備える場合、リッチ燃焼気筒から排出された未燃燃料とリーン燃焼気筒から排出された酸素とを三元触媒24にて反応させ、その反応熱によって三元触媒24の下流の排気温を上昇させることによって、GPFを昇温させてもよい。またたとえば、排気通路22への凝縮水の付着を抑制すべく排気通路22を昇温するためにディザ制御による排気の昇温要求を生じさせてもよい。
制御装置としては、CPU32とROM34とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
内燃機関としては、4気筒の内燃機関に限らない。たとえば直列6気筒の内燃機関であってもよい。またたとえば、V型の内燃機関等、第1の排気浄化装置と第2の排気浄化装置とを備え、それぞれによって排気が浄化される気筒が異なるものであってもよい。
燃料噴射弁としては、燃焼室16に燃料を噴射するものに限らず、たとえば吸気通路12に燃料を噴射するものであってもよい。また、たとえば燃焼室16内に燃料を噴射する燃料噴射弁である筒内噴射弁と、吸気通路12に燃料を噴射する燃料噴射弁であるポート噴射弁との双方を備えてもよい。ディザ制御の実行時に空燃比フィードバック制御をすることは必須ではない。リッチ燃焼気筒を周期的に変更する狙いについては、上記実施形態において例示したものに限らない。
Claims (3)
- 複数の気筒から排出された排気を浄化する排気浄化装置と、前記複数の気筒毎に設けられた燃料噴射弁と、を備える内燃機関を制御対象とし、
前記複数の気筒のうちの一部の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるリッチ燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるリーン燃焼気筒とすべく、前記燃料噴射弁を操作するディザ制御処理と、
各気筒において1燃焼サイクル内に燃料を複数回噴射するマルチ噴射処理と、を実行し、
前記ディザ制御処理は、前記マルチ噴射処理が実行されているときに前記リッチ燃焼気筒とする気筒を変更する場合、前記リッチ燃焼気筒から前記リーン燃焼気筒に変更される気筒における進角側の燃料噴射量の当該変更に起因した減少量を遅角側の燃料噴射量の当該変更に起因した減少量よりも大きくする処理、および前記リーン燃焼気筒から前記リッチ燃焼気筒に変更される気筒における進角側の燃料噴射量の当該変更に起因した増加量を遅角側の燃料噴射量の当該変更に起因した増加量よりも大きくする処理の少なくとも1つの処理を含む内燃機関の制御装置。 - 燃焼室に充填される空気量に基づき、要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行し、
前記マルチ噴射処理は、前記要求噴射量を分割して複数回に分けて噴射する処理であり、
前記ディザ制御処理は、前記要求噴射量を増量補正したものを前記リッチ燃焼気筒の噴射量とし、前記要求噴射量を減量補正したものを前記リーン燃焼気筒の噴射量とする処理と、前記複数の気筒のうちの一部の気筒を前記リッチ燃焼気筒とし、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒を前記リーン燃焼気筒とする期間を設けつつ、該期間を含んだ所定期間を用いて、前記リッチ燃焼気筒における前記進角側の燃料噴射に関する分割された前記要求噴射量の増量補正比率よりも前記遅角側の燃料噴射に関する分割された前記要求噴射量の増量補正比率を小さい値に設定し、前記リーン燃焼気筒における前記進角側の燃料噴射に関する分割された前記要求噴射量の減量補正比率よりも前記遅角側の燃料噴射に関する分割された前記要求噴射量の減量補正比率を小さい値に設定しつつも、前記リッチ燃焼気筒に対する前記要求噴射量の増量補正比率の前記所定期間において利用された回数分の和と前記リーン燃焼気筒に対する前記要求噴射量の減量補正比率の前記所定期間において利用された回数分の和とが等しくなるように設定する処理と、を含む請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記ディザ制御処理は、前記マルチ噴射処理によって吸気行程と圧縮行程とのそれぞれにおいて燃料噴射がなされることを条件に、前記圧縮行程における燃料噴射について前記リッチ燃焼気筒に対する分割された前記要求噴射量の増量補正比率および前記リーン燃焼気筒に対する分割された前記要求噴射量の減量補正比率をゼロとする処理を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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