JP6736437B2 - イムノクロマトグラフィー検出キット - Google Patents
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Description
ここで、イムノクロマトグラフィーを利用した検出におけるコンジュゲートの存在様式としては、テストストリップ(典型的にはサンプルパッド上)のサンプル供給部より下流側にコンジュゲート部として存在する様式がある。あるいは、テストストリップとは別にコンジュゲートチップなど、コンジュゲート試薬として存在する様式がある(特許文献1)。コンジュゲートチップとは、検体液を濾過するフィルターにコンジュゲートが塗布されたものである。
前者の、コンジュゲートがテストストリップの一部として存在する場合には、サンプル供給部にサンプルが滴下されると、サンプルは、サンプル供給部の下流のコンジュゲート部に到達したときから、サンプル中の被検出物質である抗原とコンジュゲートとの結合反応が開始することになる。したがって、コンジュゲート部のコンジュゲートがすべて流れきってしまうことにより、捕捉部位(検出部位)における発色強度の増強は停止することになる。
一方、コンジュゲートチップとして存在する場合、サンプルを当該チップで濾過した液体をテストストリップのサンプルパッドに滴下すると、サンプルおよびコンジュゲートの混合物である液体がサンプルパッドの全体に一気に分散することになる。したがって、滴下直後からサンプル中の抗原とコンジュゲートの結合反応が開始し、混合物の液体の流れが平衡に達するまで捕捉部位(検出部位)の発色強度は増強し続けることになる。
イムノクロマトグラフィーを利用した検出における感度の調節方法としては、例えば特許文献2が知られている。特許文献2には、分析対象成分を減らすために、分析対象試料を感度調節物質と反応させる方法が開示されている。具体的には、感度調節物質は、識別可能物質で標識した抗体とは別の、識別不能標識(例えば、テストストリップと区別できないような白色物質)で標識した抗体であり、これを、標識可能物質で標識した抗体の固定化部よりも上流に保持させて、分析を行う。分析対象成分は、一部は感度調節物質と反応しながらクロマトグラフ担体を移動し、感度調節物質と反応しない分析対象成分は、標識物質と反応し、検出部で固定されることになる。
本方法では、分析対象物を減らすという一定の効果は期待できるものの、標識抗体の存在様式は、上記存在様式のテストストリップの一部として存在する場合に相当し、そもそも発色強度の増強が液体サンプルの流れが平衡に達するまで続くという問題は生じない。
また、特許文献3には、糞便潜在血液のような被検体のイムノクロマトグラフィー検出において、あらかじめ所定量の被検体をサンプルパッドに固定化された抗体と接触させて結合させてから、未結合の検体を着色ラテックスに結合された抗体と結合させ、検出する方法が開示されている。
本方法も、特許文献2と同様に、標識抗体の存在様式は、上記存在様式のテストストリップの一部として存在する場合に相当し、そもそも発色強度の増強が液体サンプルの流れが平衡に達するまで続くという問題は生じない。
このように、コンジュゲートチップなどを使って、コンジュゲートを液体サンプルと混合した状態で、テストストリップに供給する場合に、検出部位における発色強度が長時間上がり続けることを抑制するような方法はこれまで存在しなかった。
その結果、特定の高分子粘性物質をサンプル供給部の下流側に存在させることで、抗原が結合したコンジュゲート(複合体)の流れを抑制し、不要な複合体の検出部位での捕捉を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
<1>以下を含むイムノクロマトグラフィーを利用した検出キット。
(1)被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が標識体に固定化されたコンジュゲート試薬
(2)サンプルを展開させることによりサンプル中の被検出物質を検出する不溶性担体を備えたイムノクロマトグラフィー用テストストリップであって、
前記不溶性担体は、上流から順に
サンプルを供給するサンプル供給部、
高分子粘性物質が担持された高分子粘性物質担持部、
および
被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化された検出部、
を含む、前記テストストリップ
<2>高分子粘性物質が分子量6000以上、かつ、粘度が4〜1000mPa・Sである<1>に記載の検出キット。
<3>高分子粘性物質担持部は、不溶性担体上にサンプルの展開方向と直行するようにライン状に形成されている<1>または<2>に記載の検出キット。
<4>不溶性担体は、少なくともサンプルパッドおよびサンプルパッドとは別体のメンブレンパッドを含み、
サンプルパッドは、サンプル供給部及び高分子粘性物質担持部を有し、
メンブレンパッドは、検出部を有する<1>〜<3>のいずれかに記載の検出キット。
<5>高分子粘性物質担持部が、サンプルパッドのサンプル供給部の下流側に配置されている<4>に記載の検出キット。
<6>(1)の標識体が着色ラテックス又は金コロイドである<1>〜<5>のいずれかに記載の検出キット。
<7>被検出物質がヘモグロビンであり、第一及び第二の抗体が抗ヘモグロビン抗体である<1>〜<6>のいずれかに記載の検出キット。
<8>イムノクロマトグラフィーを利用した検出方法であって、以下の工程を含む検出方法。
(A)被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が標識体に固定化されたコンジュゲート試薬、検体および検体希釈液を混合し、これらの混合物からなるサンプルを得る工程
(B)下記イムノクロマトグラフィー用テストストリップのサンプル供給部に(A)で得られたサンプルを滴下し、不溶性担体中を展開させる工程
イムノクロマトグラフィー用テストストリップ;
前記不溶性担体を備え、上流から順に
サンプルを供給するサンプル供給部、
高分子粘性物質が担持された担持部、及び
被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化された検出部、を含む、前記テストストリップ
(C)サンプル中の被検出物質とコンジュゲートの複合体、を検出部において検出する工程
<9>高分子粘性物質が分子量6000以上、かつ、粘度が4〜1000mPa・Sである<8>に記載の検出方法。
<10>高分子粘性物質の担持部は、不溶性担体上にサンプルの展開方向と直行するようにライン状に形成されている<8>または<9>に記載の検出方法。
<11>不溶性担体は、少なくともサンプルパッドおよびサンプルパッドとは別体のメンブレンパッドを含み、
サンプルパッドは、サンプル供給部及び高分子粘性物質担持部を有し、
メンブレンパッドは、検出部を有する<8>〜<10>のいずれかに記載の検出方法。
<12>高分子粘性物質担持部が、サンプルパッドのサンプル供給部の下流側に配置されている<11>に記載の検出方法。
<13>(1)の標識体が着色ラテックス又は金コロイドである<8>〜<12>のいずれかに記載の検出方法。
<14>被検出物質がヘモグロビンであり、第一及び第二の抗体が抗ヘモグロビン抗体である<8>〜<13>のいずれかに記載の検出方法。
<15>検体が、糞便である、<8>〜<14>のいずれかに記載の検出方法。
本発明において、サンプルとしては、血液、尿、痰、唾液、鼻汁、その他の体液、糞便等の生体試料を用いる。生体試料は、そのままサンプルとして用いてもよく、適宜希釈液によって希釈したり、ろ過してサンプルとしてもよい。
本発明の被検出物質としては、サンプルである生体試料中に含まれ、抗原抗体反応を利用して検出し得るものであればいずれでもよく、ウイルス、細菌、寄生虫、タンパク質などが挙げられる。
被検出物質となるウイルスとしてインフルエンザウイルス、被検出物質となるタンパク質としては、糞便潜在血液中のヒトヘモグロビン、B型肝炎ウイルス抗体、C型肝炎ウイルス抗体、ヒト免疫不全ウイルス抗体等が挙げられる。
本発明のイムノクロマトグラフィーを利用した検出キットは、
(1)被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が標識体に固定化されたコンジュゲート試薬、及び
(2)サンプルを展開させることによりサンプル中の被検出物質を検出する不溶性担体を備えたイムノクロマトグラフィー用テストストリップであって、
前記不溶性担体は、上流から順に
サンプルを供給するサンプル供給部、
高分子粘性物質が担持された高分子粘性物質担持部、
および
被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化された検出部、
を含む、前記テストストリップ
を含むものであればよい。
本検出キットは、他に検出に必要な試薬、サンプルの希釈液、試験用チューブ、便採取用の綿棒、取扱い説明書、テストストリップ格納用のハウジングなどを含んでもよい。
本発明のテストストリップにおいて、上記サンプルを供給するサンプル供給部は、サンプルパッドとして、検出部を備えた不溶性メンブレンと別個に存在する場合、または、前記不溶性メンブレンと同一メンブレン上に、検出部の上流側のサンプル供給部として存在する場合等がある。このうちでもサンプルパッドとして存在する場合が望ましい。
本発明のテストストリップには、コンジュゲートパッドが存在せず、コンジュゲートはテストストリップとは別に、コンジュゲート試薬として存在する。コンジュゲート試薬は、例えば、フィルター中にコンジュゲートが含浸されたコンジュゲートチップの形態、凍結乾燥試薬の形態、凍結試薬の形態、乾燥試薬の形態等、検体希釈液等の液体にあらかじめ添加されている液状試薬の形態が挙げられる。コンジュゲートチップは、フィルターそのままであってもよいし、ハウジングに内蔵されていてもよい。このようなコンジュゲートチップを使って、検体希釈液を濾過して通過させることでチップ内のコンジュゲートと被検出物質が結合し、複合体を形成することができる。凍結乾燥試薬の形態、凍結試薬の形態、乾燥試薬の形態の場合は、使用直前に、被検出物質、又は検体希釈液に添加して使用することができる。
本発明のイムノクロマトグラフィーテストストリップがサンプルパッドを含む場合、サンプルパッドとはサンプルを受け入れる部位(サンプル供給部)を有するパッドであればよく、パッドに成型された状態で液体のサンプルを吸収し、液体と検出対象物とが通り抜けることができるどんな物質及び形態をも含む。サンプルパッドに適した材料の具体例として、ガラス繊維(グラスファイバー)、アクリル繊維、親水性ポリエチレン材、乾燥紙、紙パルプ、織物等が含まれるが、これらに限定されない。好適には、グラスファイバー製パッドが用いられる。サンプルパッドには、後述する抗体固定化メンブレンにおける非特異的反応(吸着)を防止・抑制する目的で、通常使用されるブロッキング試薬を含ませることができる。
本発明のテストストリップに担持させる高分子粘性物質は、サンプル中の抗原とコンジュゲートの複合体を凝集させ、検出部への流れをコントロールできる作用があるものであればよく、粘度は4〜1000mPa・Sが好ましい。4mPa・S未満では、前記複合体を凝集させる能力に乏しく、また1000mPa・Sより大きいと、前記複合体を速く凝集させてしまい、検出部において必要な感度が得られないからである。また、分子量は6000以上が好ましい。さらに好ましくは、粘度が4〜1000mPa・Sで、かつ、分子量が6000以上である。粘度は、5〜500mPa・Sがより好ましく、10〜200mPa・Sがさらにいっそう好ましい。分子量は、20000以上がより好ましく、20000以上〜400000以下が更にいっそう好ましい。具体的には、分子量が6000以上のポリエチレングリコール(PEG)、プルラン、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP)等から選ばれるいずれか1以上が好ましい。
また、担持部は、流れ方向に直行するようにライン状に形成されることが望ましく、ラインの幅は、1〜10mmが好ましく、2〜8mmがより好ましく、3〜5mmがよりいっそう好ましい。
不溶性メンブレンには、その一部に被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化されているため、該複合体は第二の抗体に結合して固定化されることになる。固定化された複合体は、コンジュゲートの標識物質に由来する吸光度、反射光、蛍光、磁気等を検出する手段により検出される。
ここで、本発明の作用について説明する。サンプル供給部に供給されたサンプルはメンブレン上で四方に拡散することから、下流に展開するものと、上流に回り込んでしまうものがある。このうち上流に回り込んでしまうものは、その後遅れて展開し、検出部における発色強度を長く増強させる原因となる。本発明の高分子粘性物質の作用は、おそらく、この上流に回り込んでしまうサンプルとコンジュゲートと反応することで、これらの複合体が凝集してしまい、それ以上下流側に流れなくなり、コンジュゲートの下流への供給が停止される。つまり、高分子粘性物質担持部位で複合体は捕捉されることから、捕捉されずに通過した分のみが検出部で結合されることになる。したがって、検出部での結合を抑制することができると思われる。
サードパッドは、試料の性状等により必要に応じて配置されることが望ましく、サンプル中の被検出物質とコンジュゲートの複合体を透過させることができるものであればいずれでもよい。具体的には、ガラス繊維(グラスファイバー)、アクリル繊維、親水性ポリエチレン材、乾燥紙、紙パルプ、織物等が含まれるが、特に、ポリスルホンまたはセルロースアセテートからなる多孔質性の部材であることが望ましい。
また、本発明の多孔質性サードパッドの孔径は、平均孔径で1〜100μmであることが望ましく、より望ましくは10〜100μm、よりいっそう望ましくは20〜80μmであり25〜70μmがもっとも望ましい。1μm未満では詰まりの原因となり、検体の流れ自体が不良となるからであり100μmより大きいと前記非特異反応物質を捕捉することができないためと思われるからである。
本発明に用いられる不溶性メンブレンは、被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が固定化された少なくとも1つの検出部を有する。被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体の不溶性メンブレン担体への固定化は、従来公知の方法で実施することができる。ラテラルフロー式のイムノクロマト試薬の場合には、上記の抗体を所定の濃度で含有する液を調製し、ノズルから液を一定の速度で吐出しながら水平方向に移動させることのできる機構を有する装置などを用いて、上記液をライン状に不溶性メンブレン担体に塗布し、乾燥させることにより固定化させることができる。上記液の抗体の濃度は0.1〜5mg/mLが好ましく、0.5〜2mg/mLがさらに好適である。また、抗体の不溶性メンブレン担体への固定化量は、ラテラルフロー式の場合には上記の装置のノズルからの吐出速度を調節することによって最適化でき、0.5〜2μL/cmが好適である。
なお、上記ラテラルフロー式のイムノクロマト試薬を用いた測定方法は、サンプルが毛細管現象により不溶性メンブレン担体に対して並行方向に移動するように展開する方式の測定方法である。
また、上記の抗体を所定の濃度で含有する液は、緩衝液に抗体を添加することにより調製することができる。該緩衝液の種類としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。緩衝液のpHは6.0〜9.5の範囲が好ましく、6.5〜8.5がより好ましく、7.0〜8.0がさらに好ましい。緩衝液には、さらに塩化ナトリウムなどの塩類、スクロースなどの安定剤や保存剤、プロクリン(登録商標)などの防腐剤等を含んでもよい。塩類は塩化ナトリウムなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する目的で添加するものも含まれる。
不溶性メンブレンに抗体を固定化した後、さらに、通常使用されるブロッキング剤を溶液あるいは蒸気状にして抗体を固定化した部位以外を被覆し、ブロッキングを行うこともできる。
なお、不溶性メンブレンには、従来からイムノクロマト試薬で用いられているコントロール捕捉試薬を固定化してもよい。該コントロール捕捉試薬は、アッセイの信頼性を担保するための試薬であって、コンジュゲート試薬に含ませたコントロール試薬を捕捉するものである。例えば、コンジュゲート試薬に標識されたKLHをコントロール試薬として含む場合には、抗KLH抗体などがコントロール捕捉試薬に該当する。コントロール捕捉試薬を固定化する位置は、アッセイ系の設計に適合するよう適宜選択することができる。
本発明で用いられる被検出物質に対して免疫学的に反応する第一及び第二の抗体は、被検出物質に結合可能な抗体であり、後述する標識体および検出部に固定化される。
また、第一及び第二の抗体は別のものであることが好ましい。上記抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよい。また、機能性抗体断片、Fab、Fabプライム等であってもよい。
本発明で用いられる標識体は、従来からイムノクロマトグラフィー用テストストリップに用いられている公知の標識体を用いることができる。例えば、金コロイド粒子や白金コロイド粒子などのコロイド状金属粒子、着色ラテックス粒子、磁性粒子、蛍光粒子などが好ましく、特に金コロイド粒子、着色ラテックス粒子が好ましい。
本発明で用いられるコンジュゲートは、上記のような標識体に被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体が固定化されたものである。被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体を標識体へ固定化させる方法としては、物理吸着、化学結合等が挙げられ、物理吸着により固定化させるのが一般的である。本発明におけるコンジュゲートは、テストストリップとは別に、検体と混合されるように個別のコンジュゲート試薬として存在する。コンジュゲート試薬は、コンジュゲートそのままであってもよいし、必要に応じてコンジュゲート以外の他の成分や構成を含むものであってもよい。例えば、フィルター中にコンジュゲートが含浸されたコンジュゲートチップの形態が挙げられる。コンジュゲートチップを使って、検体希釈液を濾過することでコンジュゲートと被検出物質が結合し、複合体を形成することができる。
コンジュゲートチップは、検体希釈液容器と嵌合する開口部及びノズルを備えたキャップに内蔵されていることが望ましい。このようなコンジュゲートチップを特にコンジュゲートキャップということがある。コンジュゲートキャップを使ったろ過方法が次の通りである。コンジュゲートキャップを検体希釈液容器の開口部に嵌合し、検体希釈液容器を逆さにして、容器を圧迫することにより、希釈液がコンジュゲートキャップ内のコンジュゲートチップを通過する。その結果、コンジュゲートを含む希釈液がノズルから排出されることなる。これをイムノクロマトグラフィーテストストリップのサンプル供給部に提供する。
他の試薬としては、例えば、非特異反応を防止するブロッキング剤が挙げられる。
他の構成としては、例えば、不溶性メンブレンを移動・通過したサンプルを吸収することにより、サンプルの展開を制御する吸収パッドが挙げられる。
本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製は実施例に記載の方法を適宜、修飾・改変して行うことができる。
本明細書中、上流または下流という意味は、サンプルの流れる方向の上流側、下流側という意味で用いる。すなわち、本発明のテストストリップで上からサンプルパッド、サードパッド、不溶性メンブレンが一部で重なるように積層されている場合、サンプルパッドがもっとも上流であり、不溶性メンブレンが下流ということになる。また、不溶性メンブレンの下流側端部が重なるように上に吸収パッド(エンドパッドともいう)が積層されることがあるが、この場合、吸収パッドがもっとも下流である。
また、本明細書中の検体希釈液は、検体抽出液ともいう。また、検体希釈液は検体を展開する作用も有することから、展開液と表現されることもある。
サンプルパッドのサンプル供給部の下流側に高分子粘性物質を溶出可能に含ませて、ヘモグロビンの検出反応における制御効果を確認した。以下、着色ラテックス標識抗ヘモグロビン抗体は、マウスモノクローナル抗体を、サンプルパッド及びテストストリップの抗ヘモグロビン抗体は、ヤギポリクローナル抗体をそれぞれ使用した。
1.コンジュゲートチップの作製
コンジュゲート(着色ラテックス標識抗ヘモグロビン抗体)及びコントロール試薬としてGSA(Goat Serum Albumin)感作ラテックスを焼結フィルターに含浸して乾燥し、コンジュゲートチップを作製した。
(1)本発明のサンプルパッドの作製
下記に示す高分子粘性物質を1%、5%、10%の濃度で含む10mMリン酸緩衝生理食塩溶液(pH7.2)(以下、PBS溶液という)を、10μL/cmでサンプルパッドのサンプル供給部(図11の(g))より下流側の表面に塗布し乾燥させて、高分子粘性物質の担持部を有する本発明のサンプルパッドを作製した。高分子粘性物質を含まないPBS溶液のみを塗布して乾燥させたサンプルパッドも作製した。また、上記高分子粘性物質を含む溶液をスクロース(33%)、グリセロール(30%)に代えたサンプルパッドも作製した。各高分子粘性物質及び高分子物質の各濃度における粘度(mPa・s)を粘度計を用いて測定した結果を表1に示す。
<高分子粘性物質>
PEG 2K(和光純薬工業)
PEG 4K(和光純薬工業)
PEG 6K(和光純薬工業)
PEG 20K(和光純薬工業)
プルラン(林原生物化学研究所製)
デキストラン 40K(和光純薬工業)
デキストラン 200K(和光純薬工業)
PVP K−25(和光純薬工業)
PVP K−90(和光純薬工業)
図11に、本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの模式構成図を示した。
プラスチックバッキングシート(a)に抗体固定化メンブレン(b)を貼り、その上に上記(1)で作製した高粘性物質の担持部(d)を有する本発明のサンプルパッド(e)を装着し、反対側の端には吸収パッド(f)を配置装着した。抗体固定化メンブレンは、不溶性メンブレンに、抗ヘモグロビン抗体およびコントロール試薬が流れ方向に対して垂直にライン状に固定化されている。各パッドは、上下のパッドとその一部が接するように積層して配置される。抗ヘモグロビン抗体からなるラインをテストライン(c1)、コントロール試薬からなるラインをコントロールライン(c2)という。
このように各構成要素を重ね合わせた構造物を一定幅に切断してイムノクロマトグラフィー用テストストリップを作製した。
テストストリップをサンプル添加窓部及び検出窓部(図示せず)を有するプラスチック製ハウジングに収容し、テストデバイスを作製した。
10mM PBSを含む検体希釈液に、ヒトヘモグロビンを120ng/mLとなるように添加し、測定サンプルとした。
測定サンプルをコンジュゲートチップでろ過して、テストデバイスのサンプル添加窓部よりサンプルパッドのサンプル供給部上に5滴滴下した。滴下後2.5,5,7.5,10、15,20,30分の各時点でラインの発色強度を測定し、数値化した。サンプル中のヘモグロビンは、コンジュゲートチップ内部のフィルターを通過し、通過途中で着色ラテックス標識抗ヘモグロビン抗体と複合体を形成する。複合体は、メンブレンを展開し、テストラインに固定化された抗ヘモグロビン抗体と結合し、検出される。
結果を図1〜図10に示す。
図3、図8より、PEG 6K、PVP K−25は、10%の濃度(粘度5.44、4.36)でわずかにヘモグロビンの検出反応抑制効果が認められた。
特に、図4、図5、図7、図9より、PEG 20Kは5%(粘度4.14)、10%(粘度11.4)、プルランは5%(粘度14.0)、10%(粘度86.8)で、デキストラン 200Kは5%(粘度4.34)、10%(粘度13.0)、PVP K−90は5%(粘度30.3)、10%(粘度160.0)、でヘモグロビンの検出反応抑制効果が認められた。
一方、 図1、図2、図6、より、PEG 2K、PEG 4K、デキストラン 40K、は、いずれの濃度でも(粘度それぞれ、1.0〜2.14、1.03〜2.68、1.11〜3.85)、ヘモグロビンの検出反応抑制効果が認められなかった。
また、図10より、スクロースとグリセロールは濃度30%以上(粘度それぞれ3.27、2.08)でもヘモグロビンの検出反応抑制効果は認められなかった。
これより、検出反応抑制効果を得るためには、高分子粘性物質は、粘度は4.0以上必要であることがわかった。
(b)抗体固定化メンブレン
(c1)テストライン
(c2)コントロールライン
(d)高分子粘性物質の担持部
(e)サンプルパッド
(f)吸収パッド
(g)サンプル供給部
Claims (11)
- 以下を含むイムノクロマトグラフィーを利用した検出キット。
(1)被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が標識体に固定化されたコンジ ュゲート試薬
(2)サンプルを展開させることによりサンプル中の被検出物質を検出する不溶性担体を備えたイムノクロマトグラフィー用テストストリップであって、 前記不溶性担体は、上流から順にサンプルを供給するサンプル供給部、分子量6000以上、かつ、粘度が4〜1000mPa・Sである高分子粘性物質が担持された高分子粘性物質担持部、
および
被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化された検出部、
を含み、
高分子粘性物質担持部は、不溶性担体上にサンプルの展開方向と直交するようにライン状に形成されている、前記テストストリップ - 不溶性担体は、少なくともサンプルパッドおよびサンプルパッドとは別体のメンブレンパッドを含み、
サンプルパッドは、サンプル供給部及び高分子粘性物質担持部を有し、 メンブレンパッドは、検出部を有する請求項1に記載の検出キット。 - 高分子粘性物質担持部が、サンプルパッドのサンプル供給部の下流側に配置されている請求項2に記載の検出キット。
- (1)の標識体が着色ラテックス又は金コロイドである請求項1〜3のいずれかに記載の検出キット。
- 被検出物質がヘモグロビンであり、第一及び第二の抗体が抗ヘモグロビン抗体である請求項1〜4のいずれかに記載の検出キット。
- イムノクロマトグラフィーを利用した検出方法であって、以下の工程を含む検出方法。 (A)被検出物質に対して免疫学的に反応する第一の抗体が標識体に固定化されたコンジュゲート試薬、検体および検体希釈液を混合し、これらの混合物からなるサンプルを得る工程
(B)下記イムノクロマトグラフィー用テストストリップのサンプル供給部に(A)で得られたサンプルを滴下し、不溶性担体中を展開させる工程
イムノクロマトグラフィー用テストストリップ;
前記不溶性担体を備え、上流から順に
サンプルを供給するサンプル供給部、
分子量6000以上、かつ、粘度が4〜1000mPa・Sである高分子粘性物質が担持された担持部、及び
被検出物質に対して免疫学的に反応する第二の抗体が固定化された検出部、を含み、高分子粘性物質の担持部は、不溶性担体上にサンプルの展開方向と直交するようにライン状に形成されている前記テストストリップ
(C)サンプル中の被検出物質とコンジュゲートの複合体、を検出部において検出する工程 - 不溶性担体は、少なくともサンプルパッドおよびサンプルパッドとは別体のメンブレンパッドを含み、
サンプルパッドは、サンプル供給部及び高分子粘性物質担持部を有し、
メンブレンパッドは、検出部を有する請求項6に記載の検出方法。 - 高分子粘性物質担持部が、サンプルパッドのサンプル供給部の下流側に配置されている請求項7に記載の検出方法。
- (A)の標識体が着色ラテックス又は金コロイドである請求項6〜8のいずれかに記載 の検出方法。
- 被検出物質がヘモグロビンであり、第一及び第二の抗体が抗ヘモグロビン抗体である請求項6〜9のいずれかに記載の検出方法。
- 検体が、糞便である、請求項6〜10のいずれかに記載の検出方法。
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