JP6736444B2 - 海島型複合繊維及びそれを用いた布帛 - Google Patents
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Description
また、特許文献3、4では、パラフィンワックス組成物を芯成分として用いた温度調節性能に優れる複合繊維に関する技術も提案されている。
また、特許文献5では、芯成分と鞘成分の界面において突起部を形成することで両成分の接触面積が増加し、効率的に熱を移動させることのできる芯鞘型複合繊維に関する技術も提案されている。
特許文献3、4のように、相転移材料としてパラフィンワックス組成物を芯成分として用いた複合繊維は、繊維作製時に熱などによりパラフィンワックスが飛散する等により、繊維の製造に困難が伴い、また得られた繊維は優れた温度調節性能が発揮されない等の問題があった。
特許文献5に記載の繊維は、曲げ応力が大きく加わった際、芯鞘界面の剥離が生じやすい問題がある。
すなわち、本発明は、海部と7個以上の島部からなり、島部は、式1に示す結晶性ポリαオレフィン及びポリプロピレンを含む樹脂組成物からなり、海部は、繊維形成樹脂であり、結晶性ポリαオレフィンは、融点が、20℃以上、50℃以下、凝固点が、15℃以上、45℃以下である相転移材料であることを特徴とする海島型複合繊維である。
また、上記海島型複合繊維は、島部及び海部における繊維形成樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びこれらの樹脂の共重合体の少なくとも1つから選ばれる樹脂であることが好ましく、特にポリアミドであることが好ましい。
また、結晶性ポリαオレフィンの凝固点は、良好な温度調節性能を備える点から、15℃以上、45℃以下である。より好ましくは、17℃以上、40℃以下である。
特に、結晶性ポリαオレフィンが繊維形成樹脂へ分散し易い点から、ポリプロピレンが好適である。
特に、衣料用途に用いる場合は、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂が好適である。
まず、海部及び島部に使用する繊維形成樹脂、結晶性ポリαオレフィンを準備する。島部の繊維形成樹脂と結晶性ポリαオレフィンを、結晶性ポリαオレフィンが均一に混合されるよう溶融混練し、島部に用いる樹脂組成物を得る。その後、島部に用いる樹脂組成物、海部に用いる繊維形成樹脂を、それぞれ溶融し、口金から吐出し、溶融紡糸することによって、本発明の海島型複合繊維を得ることができる。
以下に示す、融点、凝固点、融解熱量(ΔHm)、凝固熱量(ΔHc)は、示差走査熱量計(Diamond DSC:パーキンエルマージャパン社製)を用いて測定した。示差走査熱量計の測定は以下の条件で行った。
サンプルパン:Al
パージガス:N2
温度範囲:−30℃〜60℃
加熱冷却速度:10℃/min
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の作製
ポリプロピレンを、フィーダーによって16.0kg/hrで二軸押出混練機に供給し、融点34℃、凝固点23℃、融解熱量(ΔHm)が77.1 J/g、凝固熱量(ΔHc)が78.5J/gの上記式1の結晶性ポリαオレフィンを、4.0kg/hrにて同時添加し、240℃にて溶融混練し、索状溶融物を水冷してペレタイザーによりペレット化してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
ここで得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、示差走査熱量計を用いて測定したところ、ポリプロピレン系樹脂組成物中に含まれる結晶性ポリαオレフィンの融点が29.7℃、凝固点が24.3℃、ポリプロピレン系樹脂組成物は、融解熱量(ΔHm)が11.8 J/g、凝固熱量(ΔHc)が12.0 J/gであった。
前記ポリプロピレン系樹脂組成物及びポリアミド6を紡糸原料としてエクストルーダ型複合紡糸機を用いて温度250℃で複合紡糸を行った。
紡糸に際しては、ポリプロピレン系樹脂組成物を島部(島数は7)、ポリアミド6が海部となるように別々に溶融してから250℃の温度で海島型紡糸用口金より紡出し、冷却、オイリングしつつ紡速800m/分で捲取った。その後、延伸機を使用して80℃で3.0倍に熱延伸し、プレートヒーターにて150℃で熱セットし、78dtex/24fの延伸糸である海島型複合繊維を得た。この海島型複合繊維の海島比率は、50:50(質量比)である。
得られた繊維を、示差走査熱量計を用いて測定したところ、融解熱量(ΔHm)が 4.1J/g、凝固熱量(ΔHc)が3.1J/gであり、繊維中に含まれる結晶性ポリαオレフィンの融点が31.7℃、凝固点が25.6℃であった。
得られた繊維を、筒編試験機(英光産業株式会社製CR−B、径3.5インチ、針数260本)にて幅8cmの筒編地を作製した。その筒編地を長さ10cmにカットした部材を2枚作製し、得られた2枚の部材を重ねて、筒編布部材とした。
海島型複合繊維の島数を、19と変更する以外は、実施例1と同様に紡糸して海島型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
海島型複合繊維の海部をポリエチレンテレフタレートに変更し、繊度を84dtex/24f、海島比率(質量比)を海:島=60:40、紡糸温度を285℃に変更した以外は、実施例1と同様に紡糸して海島型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
海島型複合繊維の島数を、19と変更した以外は、実施例3と同様に紡糸して海島型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
島数を、1と変更した芯鞘型複合繊維とする以外は、実施例1と同様に紡糸して芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
島数を1と変更した芯鞘型複合繊維とする以外は、実施例3と同様に紡糸して芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
芯鞘比率(質量比)を芯:鞘=7:93の芯鞘型複合繊維とする以外は、比較例1と同様に紡糸して芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
ポリアミド6を紡糸原料とし、紡糸用口金を海島型用から単独糸用に変更する以外は、実施例1と同様の条件で紡糸し、78dtex/24fのポリアミド繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
ポリエチレンテレフタレートを紡糸原料とし、紡糸用口金を海島型用から単独糸用に変更した以外は、実施例3と同様の条件で紡糸し、84dtex/24fのポリエステル繊維を得た。得られた繊維を用いて実施例1と同様に筒編布部材を作製した。
<紡糸性>
以下の基準により紡糸性評価を行った。
○:24時間連続紡糸時、糸切れが発生せず、得られた繊維について毛羽等の不良は発生しない。
△:24時間連続紡糸時、糸切れが2回以下で発生し、得られた繊維について毛羽等の不良が発生しないか、あるいは僅かに発生する。
×:24時間連続紡糸時、糸切れが3回以上で発生し、紡糸性が不良である。
<温度調節性能評価>
実施例及び比較例から得られた筒編布部材を準備した。ここで、芯鞘型複合繊維については、鞘部を海部として、以下の通り、評価する。
昇温時の温度調節性能測定では、まず、得られた繊維からなる筒編布部材と、得られた繊維の海部に用いた樹脂の単独糸からなる筒編布部材にそれぞれ温湿度センサを包んだ。2つの筒編布部材を同時に25℃、30%RHに設定された恒温恒湿機で0.5hr静置後、36℃、70%RHに設定された恒温恒湿機に筒編布部材を移動させ0.5hr静置した。その間、温湿度センサは10秒に1回、温湿度を測定、記録しており、温湿度センサにより測定された温度のデータを、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(分)のグラフにプロットし、海島型複合繊維と単独糸の2つの曲線を得た。
降温時の温度調節性能測定では、まず、得られた繊維からなる筒編布部材と、得られた繊維の海部に用いた樹脂の単独糸からなる筒編布部材にそれぞれ温湿度センサを包んだ。2つの筒編布部材を同時に36℃、70%RHに設定された恒温恒湿機で0.5hr静置後、25℃、30%RHに設定された恒温恒湿機に筒編布部材を移動させ0.5hr静置した。その間、温湿度センサは10秒に1回、温湿度を測定、記録しており、温湿度センサにより測定された温度のデータを、縦軸を温度(℃)、横軸を時間(分)のグラフにプロットし、海島型複合繊維と単独糸の2つの曲線を得た。
同一の時間での、2つの曲線の温度の差の絶対値を「性能温度差」とし、「性能温度差」が最大となる値を「最大性能温度差」、環境変化後から「性能温度差」が0℃になるまでの時間を「継続時間」とした。「最大性能温度差」は大きいほど温調性能が高く、「継続時間」は長いほど温調性能が高い。
<耐剥離性>
得られた海島型複合繊維を、海部樹脂がポリアミド6の場合はピン仮撚で1ヒーター(温度150℃)、Z撚り、3300T/mの撚りをかけ、海部樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合はピン仮撚で1ヒーター(温度170℃)、Z撚り、2000T/mの撚りをかけ、ポリエチレンにて包埋後、ミクロトームで切片を作製した。顕微鏡にて糸断面を観察し剥離状態を確認した。以下の式で示される剥離程度を求め、以下の基準により耐剥離性を評価した。
〔数1〕
剥離程度(%)=〔100−{島部面積/(海島型複合繊維全体の面積−海部面積)}×100〕
○:剥離程度が、5%未満
△:剥離程度が、5%以上、10%以下
×:剥離程度が、10%を超える
Claims (5)
- 結晶性ポリαオレフィンの融解熱量(ΔHm)は、60J/g以上、100J/g以下、凝固熱量(ΔHc)は、60J/g以上、100J/g以下である請求項1に記載の海島型複合繊維。
- 島部及び海部における繊維形成樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びこれらの樹脂の共重合体の少なくとも1つから選ばれる樹脂である請求項1又は2に記載の海島型複合繊維。
- 海部の繊維形成樹脂がポリアミド樹脂である請求項1〜3いずれか1項に記載の海島型複合繊維。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の海島型複合繊維を含む布帛。
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JP2016195285A JP6736444B2 (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | 海島型複合繊維及びそれを用いた布帛 |
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