以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す斜視図である。
図1に表したように、手乾燥装置10は、本体部12を備える。本体部12は、使用者の手を挿入可能にした凹状の手挿入部14を有する。手乾燥装置10は、例えば、トイレ室の壁面などに取り付けて使用される。手乾燥装置10は、手挿入部14に挿入された手を検出し、手挿入部14内の手に風を吹き付ける。これにより、手乾燥装置10は、例えば、トイレ使用後の手洗いなどで濡れた手を乾燥させる。
手挿入部14は、例えば、上方に開口する。本体部12は、例えば、上方に開口した開口箱状である。従って、使用者は、上方から下方に向かって手挿入部14に手を挿入する。手挿入部14の開口する向きは、上方に限ることなく、例えば、前方や前方側斜め上方などでもよい。手挿入部14の開口する向きは、使用者が手を挿入し易い任意の方向でよい。
また、手挿入部14の開口形状は、横長である。手挿入部14の開口部の横方向の長さは、手挿入部14の開口部の前後方向の長さよりも長い。これにより、手乾燥装置10では、左右の手を横方向に並べた状態で、上方から手挿入部14に挿入することができる。すなわち、使用者は、両手を下方に垂らして手挿入部14に挿入すればよく、自然な姿勢で手の乾燥を行うことができる。
本体部12は、前面部12aと、背面部12bと、一対の側面部12c、12dと、を有する。この例において、本体部12は、略矩形の箱状である。手挿入部14は、例えば、前面部12a、背面部12b、及び各側面部12c、12dによって、前方、後方、及び両側方を囲まれた略矩形の凹部である。
手挿入部14は、前面部12aによって形成される前面側の内側面と、背面部12bによって形成される背面側の内側面と、各内側面の下端に連続する底面と、を有する。また、各内側面及び底面のそれぞれの両側端は、各側面部12c、12dによって塞がれる。手挿入部14は、濡れた手から吹き飛ばされた水滴を各面で受ける。
本体部12及び手挿入部14の形状は、これに限ることなく、手を挿入可能な任意の形状でよい。例えば、各側面部12c、12dは、省略してもよい。すなわち、手挿入部14は、上方及び両側方が開放された溝状の形状でもよい。このように、手挿入部14の形状は、手を挿入する開口部以外の一部が開放された形状でもよい。
本体部12は、手挿入部14内に風を吹き出すための複数の吹き出し口15を有する。各吹き出し口15は、例えば、略円形の開口である。各吹き出し口15は、前面部12aの前面側の内側面と、背面部12bの背面側の内側面と、に設けられる。各吹き出し口15は、例えば、各内側面において横方向(水平方向)に略一直線状に並べて設けられる。
各吹き出し口15は、例えば、各内側面の上端(開口端)付近に設けられ、斜め下方に向けて風を吹き出す。すなわち、各吹き出し口15は、手挿入部14の底面側に向けて水滴を吹き飛ばす。これにより、吹き飛ばされた水滴が、使用者にかかってしまうことを抑制することができる。
吹き出し口15の形状は、任意の形状でよい。吹き出し口15の数は、任意の数でよい。例えば、横方向に延びるスリット状の1つの吹き出し口を本体部12に設けてもよい。吹き出し口は、手挿入部14に挿入された手に対して適切に風を吹き付けることができる任意の形状及び数でよい。
本体部12は、例えば、各側面部12c、12dに設けられた一対の通気口18を有する。各通気口18は、各吹き出し口15から吹き出された風を手挿入部14の外部に抜けさせる。これにより、例えば、水滴を含んだ風が手挿入部14内で折り返され、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。換言すれば、吹き飛ばされた水滴が、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。
手乾燥装置10は、水受けトレー20をさらに備える。水受けトレー20は、例えば、本体部12の底部に着脱自在に取り付けられる。本体部12は、図示を省略した排水溝を有し、手挿入部14の各面で受けた水滴を排水溝を介して水受けトレー20に送る。これにより、水受けトレー20は、手挿入部14内で吹き飛ばされた水滴を回収する。
図2は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表すブロック図である。
図2に表したように、手乾燥装置10は、吸込口22と、風路24と、ファンモータユニット26と、加熱部28と、手検出部30と、照明部32と、操作部34と、制御部36と、をさらに備える。
吸込口22は、例えば、本体部12の底部に設けられる。吸込口22は、外部から本体部12内に気体(空気)を取り込むための開口である。風路24は、吸込口22と各吹き出し口15とを接続する。風路24は、例えば、複数のダクトなどによって構成され、吸込口22から取り込まれた気体を各吹き出し口15に送る。
ファンモータユニット26は、風路24の経路上に設けられる。ファンモータユニット26は、各吹き出し口15に気体を供給し、各吹き出し口15から風を吹き出させる。ファンモータユニット26を動作させることにより、吸込口22から気体が吸い込まれ、風路24を介して各吹き出し口15に供給される。これにより、ファンモータユニット26の動作に応じて各吹き出し口15から風が吹き出す。ファンモータユニット26の動作は、制御部36によって制御される。
加熱部28は、風路24の経路上において、ファンモータユニット26と各吹き出し口15との間に設けられる。加熱部28は、ファンモータユニット26から各吹き出し口15に向かう気体を加熱することにより、各吹き出し口15から吹き出される気体を温める。これにより、手乾燥装置10では、加熱部28によって温められた温風を各吹き出し口15から吹き出すことができる。これにより、例えば、使用者の手の乾燥性能を向上させることができる。例えば、非加熱の風を吹き出す場合に比べて、より短時間で使用者の手を乾燥させることができる。
加熱部28の動作は、制御部36によって制御される。加熱部28は、必要に応じて設けられ、省略可能である。手乾燥装置10は、ファンモータユニット26から供給される非加熱の風を各吹き出し口15から吹き出してもよい。加熱部28には、例えば、フィンヒータが用いられる。加熱部28は、ファンモータユニット26から各吹き出し口15に向かう気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。
手検出部30は、手挿入部14に挿入された手を検出する。手検出部30は、制御部36に接続されている。手検出部30は、手の検出結果を制御部36に入力する。手検出部30には、例えば、透過型の光センサ(フォトインタラプタ)が用いられる。手検出部30は、これに限ることなく、使用者の手を検出可能な任意のセンサでよい。手検出部30は、例えば、反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、又はマイクロ波センサなどでもよい。
照明部32は、手挿入部14内を照明する。照明部32は、例えば、手挿入部14内に手が挿入された際に、手挿入部14内に向けて光を照射し、手挿入部14内を照明する。また、照明部32は、例えば、所定のパターンで点滅することにより、手乾燥装置10の動作状態を報知する報知部として機能させることもできる。このように、照明部32に報知部としての機能も持たせる。これにより、例えば、手乾燥装置10の部品点数を削減することができるとともに、報知部の追加にともなう手乾燥装置10のデザイン性の低下なども抑制することができる。
操作部34は、制御部36に接続されている。操作部34は、使用者の操作を受け、使用者の操作指示を制御部36に入力する。制御部36は、入力された操作指示に応じて手乾燥装置10の各部の動作を制御する。操作部34は、例えば、本体部12の底部など、使用者による操作が可能で、かつ目立たない位置に配置される。
操作部34は、例えば、手乾燥装置10の運転モードの切り替えに用いられる。手乾燥装置10は、例えば、強運転モードと弱運転モードとを有する。弱運転モードは、強運転モードよりも各吹き出し口15から吹き出す風の風量を小さくした運転モードである。
操作部34は、強運転モードと弱運転モードとの切り替えの操作指示を制御部36に入力する。制御部36は、例えば、操作部34からの操作指示に応じてファンモータユニット26の動作を制御することにより、各吹き出し口15から吹き出される風の風量を調節する。これにより、手乾燥装置10において、強運転モードと弱運転モードとが切り替えられる。操作部34は、換言すれば、各運転モードを設定するための設定スイッチである。
図3は、第1の実施形態にかかるファンモータユニットを表す説明図である。
図3に表したように、ファンモータユニット26は、ファン50と、ブラシモータ52と、ディフューザ54と、を有する。
ブラシモータ52は、ファン50を回転駆動する。ファン50は、例えば、複数枚の羽根を有する。ファン50は、ブラシモータ52に回転可能に支持され、ブラシモータ52の動作に応じて回転することにより、風を生じさせる。ファン50は、ブラシモータ52の側に向けて風を生じさせる。ファン50は、図3の紙面上方に向けて風を生じさせる。ディフューザ54は、ファン50の排気側に設けられる。ディフューザ54は、ファン50によって加速された気体の流れを整流し、ブラシモータ52を通してスムーズに気体が排出されるようにする。ブラシモータ52を通過する気体は、ブラシモータ52で発生するジュール熱を冷却する作用も有する。
ブラシモータ52は、ケース60と、回転子61と、固定子62と、整流子63と、ブラシ64と、を有する。回転子61は、回転軸61aと、回転軸61aに取り付けられた本体部61bと、を有する。回転軸61aには、本体部61bを挟むように配置された一対のベアリング65が取り付けられている。回転子61は、回転軸61a及び各ベアリング65を介してケース60に回転可能に支持される。これにより、回転子61は、回転軸61aを軸に回転する。本体部61bは、鉄心部と、鉄心部に巻き付けられた複数のコイル部と、を有する。
固定子62は、複数設けられる。この例において、ブラシモータ52は、2つの固定子62を有する。固定子62の数は、3つ以上でもよい。固定子62の数は、例えば、回転子61のコイル部の数に応じて設定される。各固定子62は、例えば、鉄心部と、鉄心部に巻き付けられたコイル部と、を有する。各固定子62は、コイル部に電流を流すことにより、回転子61に対して磁界を印加する。
整流子63は、回転子61に設けられている。整流子63は、例えば、回転子61のコイル部に接続された複数の導電部と、各導電部間を絶縁する複数の絶縁部と、を有する。整流子63の各導電部及び各絶縁部の数は、例えば、回転子61のコイル部の数に応じて設定される。
ブラシモータ52は、2つのブラシ64を有する。各ブラシ64は、ケース60に設けられたブラシホルダ60a内に設けられ、バネ66によって整流子63に押し付けられる。各ブラシ64は、回転子61の回転に応じて、整流子63の各導電部のいずれかに接触する。また、各ブラシ64は、図示を省略した配線などを介して電源に接続される。これにより、各ブラシ64及び整流子63を介して回転子61のコイル部に電流が流れるとともに、回転子61の回転角に応じて、回転子61のコイル部に流れる電流の向きが切り替えられる。
また、ブラシモータ52では、各ブラシ64が、各固定子62のコイル部と電気的に接続されている。回転子61のコイル部は、整流子63及び各ブラシ64を介して各固定子62のコイル部と直列に接続され、図示を省略した配線を介して電源に接続される。
ブラシモータ52では、各固定子62のコイル部と、これらと直列に接続された各ブラシ64を介して、回転子61のコイル部に交流電圧を印加する。これにより、各固定子62が励磁され、回転子61に磁界が印加されるとともに、回転子61のコイル部に電流が流れ、磁界の向き及び回転子61のコイル部の電流の向きに応じて、回転子61が回転する。ブラシモータ52は、換言すれば、交流整流子電動機である。
ファン50は、回転子61の回転軸61aの一端に取り付けられている。これにより、回転子61の回転に応じて、ファン50も回転する。すなわち、ブラシモータ52を動作させることにより、ファンモータユニット26から各吹き出し口15に気体が供給され、各吹き出し口15から風が吹き出す。
ブラシモータ52に印加する電圧は、交流電圧に限ることなく、直流電圧でもよい。この場合、各固定子62は、永久磁石でもよい。ブラシモータ52は、上記の構成に限ることなく、整流子とブラシとを有し、整流子及びブラシを介して回転子のコイル部に電流を流すことにより、回転子が回転する任意のモータでよい。
図4は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の一部の電気的構成を表すブロック図である。
図4に表したように、手乾燥装置10は、電源回路40と、電流検出部42と、をさらに備える。電源回路40は、制御部36とファンモータユニット26のブラシモータ52とに接続されるとともに、外部の電源2に接続される。この例において、電源2は、交流電源である。電源2は、例えば、交流の商用電源である。電源2の交流電力は、例えば、単相交流電力である。電源2の交流電力は、例えば、三相交流電力などでもよい。電源回路40(手乾燥装置10)は、例えば、コンセントなどを介して電源2に着脱可能に接続される。
電源回路40は、電源2から入力された交流電力をブラシモータ52に供給する。電源回路40の動作は、制御部36によって制御される。電源回路40は、制御部36の制御に基づいて、ブラシモータ52への電力の供給及び停止を切り替える。ブラシモータ52は、電源回路40からの電力の供給に応じて回転子61を回転させ、電源回路40からの電力供給の停止に応じて回転子61の回転を停止させる。制御部36は、電源回路40の動作を制御することにより、ブラシモータ52の回転を制御する。
電源回路40は、例えば、双方向サイリスタ(トライアック)を用いた位相制御回路である。制御部36は、サイリスタのオンタイミングを制御することにより、ブラシモータ52に供給する交流電力の大きさを制御する。ブラシモータ52に供給する交流電力の大きさにより、ブラシモータ52の回転数を制御することができる。換言すれば、ブラシモータ52に供給する交流電力の大きさにより、各吹き出し口15から吹き出される風の風量を制御することができる。
制御部36は、ブラシモータ52に供給する交流電力の大きさを制御することにより、強運転モードと弱運転モードとを切り替える。例えば、強運転モードにおいては、サイリスタのオンタイミングを80%に設定し、弱運転モードにおいては、サイリスタのオンタイミングを40%に設定する。これにより、弱運転モードの風量を、強運転モードの風量の約半分にすることができる。
電流検出部42は、制御部36に接続されている。電流検出部42は、電源回路40からブラシモータ52に供給される交流電流を計測し、計測値を制御部36に入力する。
なお、ブラシモータ52が直流駆動のモータである場合、電源回路40は、ブラシモータ52に直流電力を供給し、電流検出部42は、ブラシモータ52に供給される直流電流を計測する。この場合、電源2は、直流電源でもよい。電源2から供給された交流電力を電源回路40において直流電力に変換してもよい。
制御部36は、異常火花検出部44を有する。異常火花検出部44は、電流検出部42から入力された交流電流の計測値を基に、ブラシモータ52から異常な火花が発生したか否かの検出を行う。異常火花検出部44は、より詳しくは、ブラシモータ52の整流子63とブラシ64との摺動部(接触部)において発生する火花を検出する。
異常な火花とは、例えば、通常時に発生する火花よりも大きな火花である。換言すれば、異常な火花とは、通常の火花よりも発光輝度の高い火花である。また、通常の火花とは、例えば、整流子とブラシの接触境界部でチリチリと光る程度の火花である。異常な火花とは、例えば、整流子とブラシの接触境界部から継続的に外部へ大きく飛び出すように見える火花である。ここで、「継続的に」とは、肉眼で観察した時に連続的に発光しているように観察される状態であり、肉眼で認識できない程度に高速で点滅している場合も含むものとする。異常な火花とは、例えば、放出される光の輝度及び放出される時間の少なくとも一方が通常の火花を超える状態である。
図5(a)〜図5(d)は、異常火花検出部の動作の一例を表すグラフ図である。
図5(a)は、正常時(異常な火花が発生していない時)の交流電流の計測値の一例を表す。
図5(b)は、異常時(異常な火花が発生している時)の交流電流の計測値の一例を表す。
図5(c)は、正常時の交流電流の計測値と基準波形との差分の算出結果の一例を表す。
図5(d)は、異常時の交流電流の計測値と基準波形との差分の算出結果の一例を表す。
図5(a)〜図5(d)に表したように、異常火花検出部44は、電流検出部42で検出された交流電流の計測値と、交流電流の基準波形と、の差分ΔIを算出する。異常火花検出部44は、例えば、所定の周期で差分ΔIの算出を行う。
異常火花検出部44は、例えば、基準波形の情報を記憶している。あるいは、別の記憶部などに記憶された基準波形の情報を読み出すことにより、記憶部などから基準波形の情報を取得する。例えば、電源回路40の位相制御において出力を100%とした場合、基準波形は、図5(a)及び図5(b)に表したように、電源2の交流電力の周波数及び振幅に対応した正弦波である。
異常火花検出部44は、差分ΔIに対して閾値ThΔI(基準値)を設定する。ブラシモータ52において火花が発生すると、ブラシモータ52に流れる交流電流が変動する。交流電流の変動は、発生した火花の大きさ及び時間に相関し、大きな火花や放出される時間の長い火花が発生する程、交流電流の変動が大きくなる。従って、異常火花検出部44は、差分ΔIが閾値ThΔI以上か否かを判定し、差分ΔIが閾値ThΔI以上である場合に、異常な火花の発生を検出する。
制御部36は、所定の運転条件でブラシモータ52を動作させた時に、ブラシモータ52から異常な火花が発生したか否かを検出する異常火花検出動作を実行する。制御部36は、所定の運転条件でブラシモータ52を動作させるとともに、異常火花検出部44を動作させることにより、異常な火花の発生を検出する。
制御部36は、例えば、電源回路40の出力(サイリスタのオンタイミング)を100%に設定し、ブラシモータ52を1秒以上動作させた時に、異常な火花の検出を行う。この例において、所定の運転条件は、例えば、電源回路40の出力が100%で、かつブラシモータ52の動作時間が1秒以上である。
このように、異常火花検出動作においては、通常の運転モード(強運転モード)よりもブラシモータ52への印加電圧を高くする。これにより、ブラシモータ52の回転数を上昇させることができ、整流子63とブラシ64との間における電流変化が大きくなる。これにより、例えば、異常な火花が発生し易くなり、異常な火花の検出精度を向上させることができる。例えば、異臭や黒粉の発生など、使用者への悪影響が顕在化する前に異常な火花の発生の予兆をとらえて対処することが可能となる。
また、ブラシモータ52の動作開始直後は、整流子63とブラシ64との接触が不安定になり易い。また、前述のように、通常の火花は、1秒未満でおさまり、異常な火花は、1秒以上継続される。従って、しばらくブラシモータ52を動作させてから異常な火花の検出を行う。これにより、誤検知のリスクを抑えることができる。
この例では、異常火花検出部44を制御部36内に設けている。換言すれば、この例において、異常火花検出部44は、制御部36に設けられた1つの制御ブロックである。異常火花検出部44は、制御部36と別に設けてもよい。例えば、制御部36と別に設けた異常火花検出部44を制御部36に接続し、異常な火花の検出結果を制御部36に入力してもよい。
異常火花検出動作における所定の運転条件は、上記に限ることなく、例えば、異常な火花が発生し易い任意の運転条件でよい。また、異常な火花の検出方法は、上記に限るものではない。例えば、差分ΔIの単位時間あたりの積算値を算出し、この積算値が基準値以上となった場合に、異常な火花の発生を検出してもよい。
この例では、交流電流の計測値を基に、異常な火花の発生を検出している。これに限ることなく、例えば、ブラシモータ52から放出される光の輝度を計測し、輝度が基準値以上となった場合に、異常な火花の発生を検出してもよいし、ブラシモータ52の周囲の温度を計測し、温度が基準値以上となった場合に、異常な火花の発生を検出してもよい。
このように、制御部36は、異常火花検出動作において火花の発生と相関する所定の物理量を計測し、物理量の計測値と所定の基準値との比較によって異常な火花の発生を検出すればよい。物理量は、例えば、交流電流値、輝度、又は温度など、火花の発生と相関する任意の物理量でよい。
図6は、第1の実施形態に係る手乾燥装置の動作の一例を表すフローチャートである。 図6に表したように、手乾燥装置10の制御部36は、電源の投入などにともなって動作を開始すると、まず異常火花検出モードを実行する(図6のステップS01)。異常火花検出モードは、異常火花検出動作を実行するモードである。制御部36は、異常火花検出モードにおいては、上述のように、所定の運転条件でブラシモータ52を動作させ、異常火花検出部44に異常な火花の発生を検出させる。
制御部36は、異常火花検出動作を実行すると、照明部32を動作させることにより、異常火花検出動作の実行を使用者などに報知する(図6のステップS02)。制御部36は、例えば、所定の点灯パターンで照明部32を点灯させることにより、異常火花検出動作の実行を報知する。すなわち、この例では、照明部32がモード報知部として機能する。照明部32の点灯パターンとは、例えば、点灯及び消灯の切り替えのタイミングである。また、照明部32の点灯パターンは、点滅でもよいし、明滅でもよい。
異常火花検出動作を実行した場合においても、ブラシモータ52の動作にともなって各吹き出し口15から風が吹き出される。すなわち、使用者の意図とは関係なく、各吹き出し口15から風が吹き出される。従って、上記のように報知を行うことにより、例えば、異常火花検出動作の実行にともなって使用者の意図と異なる動作となった場合などにも、使用者に違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
異常火花検出動作の実行の報知は、照明部32の点灯パターンの制御に限るものではない。例えば、照明部32から通常時とは異なる色の光を照射することによって、報知を行ってもよい。また、異常火花検出動作の実行の報知は、光の点灯に限ることなく、例えば、音声の出力や文字の表示などで行ってもよい。モード報知部は、例えば、文字や図柄などを表示するディスプレイや、音声を出力するスピーカなどでもよい。また、報知は、異常火花検出動作を実行する直前から開始してもよい。これにより、例えば、各吹き出し口15から急に風が吹き出して、使用者に驚きを与えてしまうことを抑制することができる。
制御部36は、異常火花検出動作の実行の後、異常火花検出部44によって異常な火花の発生が検出されたか否かを判定する(図6のステップS03)。
制御部36は、異常火花検出動作において異常な火花の発生が検出されなかった場合、異常火花検出モードから通常モードに移行する(図6のステップS04)。通常モードは、手検出部30が使用者の手を検出している時にブラシモータ52を動作させるモードである。すなわち、通常モードは、使用者の手の検出に応じて各吹き出し口15から風を吹き出すことにより、使用者の手を乾燥させるモードである。
制御部36は、通常モードの動作を開始すると、手検出部30によって使用者の手が検出されたか否かを判定する(図6のステップS05)。例えば、使用者の手が所定期間検出されなかった場合には、ステップS01に戻り、定期的に異常火花検出モードを実行してもよい。
制御部36は、手検出部30によって使用者の手が検出されると、ブラシモータ52を動作させ、ファン50を回転させる(図6のステップS06の「ファンON」)。これにより、制御部36は、各吹き出し口15から使用者の手に向けて風を吹き付け、使用者の手を乾燥させる。この際、制御部36は、必要に応じて加熱部28を動作させることにより、各吹き出し口15から温風を吹き出させる。
また、制御部36は、操作部34から入力された操作指示に応じて電源回路40の動作を制御することにより、強運転モードと弱運転モードとを切り替える。換言すれば、制御部36は、操作部34で設定された運転モードに応じて各吹き出し口15から吹き出される風の風量を切り替える。
このように、制御部36は、通常モードにおいては、ブラシモータ52の運転条件を使用者の設定に応じて変更可能とし、異常火花検出モードにおいては、異常な火花が発生し易い運転条件でブラシモータ52を動作させる。これにより、異常火花検出モードにおいて異常な火花を精度よく検出することができる。
制御部36は、手検出部30による使用者の手の検出が停止されるまで、ステップS06の動作を繰り返す(図6のステップS07)。すなわち、制御部36は、使用者の手が非検出となるまで、各吹き出し口15から風を吹き出し続ける。
そして、制御部36は、手検出部30による使用者の手の検出状態の停止に応じて、ブラシモータ52の動作を停止させ、ファン50の回転を停止させる(図6のステップS08の「ファンOFF」)。
一方、制御部36は、異常火花検出動作において異常な火花の発生が検出された場合、異常な火花の発生を検出したことを使用者などに報知する(図6のステップS09)。制御部36は、例えば、照明部32の動作を制御し、異常火花検出動作の実行の報知とは異なる点灯パターンで照明部32を点灯させることにより、異常な火花の検出を報知する。すなわち、この例では、照明部32が検出報知部としても機能する。このように、異常な火花の検出を報知することにより、例えば、ブラシモータ52の修理が必要な状態であることを使用者などに認識させることができる。異常な火花の検出の報知は、上記に限ることなく、音声の出力や文字などの表示によって行ってもよい。
また、制御部36は、異常な火花の発生を検出すると、動作を停止し、使用者による手の乾燥行為を行えないようにする(図6のステップS10)。換言すれば、制御部36は、異常な火花が検出された場合には、通常モードに移行しないようにする。
整流子63とブラシ64との間に異常な火花が発生する状態になると、各吹き出し口15から吹き出す風の温度が必要以上に高くなったり、風と共にブラシ64の粉(黒粉)が吹き出したり、焦げ臭がするようになる。このような事象は使用者に不安感を与えてしまうため、装置の動作を停止させ、報知を行うなどしてブラシモータ52の交換や修理を促すことが好ましい。
一方、異常な火花の発生を検出した場合に、動作を完全に停止させてしまうと、使用者に不便さを感じさせてしまう可能性がある。そこで、異常な火花の発生を検出した場合に、例えば、弱運転モードなど、通常時よりも回転数の低い運転条件でブラシモータ52を動作させるようにしてもよい。これにより、例えば、異常な火花の発生にともなう悪影響を抑制しつつ、ブラシモータ52の交換や修理までの間の不便さを緩和させることができる。
このように、本実施形態に係る手乾燥装置10では、異常火花検出動作を実行する。これにより、1回の使用時間や運転モードなどの運転条件の影響を受けることなく、異常な火花を適切に検出することができる。また、所定の運転条件に応じた適切な基準値を設定することができ、異常な火花の発生の誤検出を抑制することもできる。
また、手乾燥装置10では、異常火花検出動作を実行する異常火花検出モードを、通常モードとは別に実行可能としている。これにより、使用者の通常の使用にともなう運転条件の影響を受けることなく、異常火花検出動作を実行することができる。例えば、最適な運転条件で異常火花検出動作を実行することができ、異常な火花の検出精度を向上させることができる。また、ブラシモータ52がしばらく動作してから異常な火花の検出を行うことにより、誤検出のリスクをより低減させることができる。
通常モードと異常火花検出モードとを分けることなく、例えば、通常モードの動作の中で異常火花検出動作を実行するようにしてもよい。例えば、強運転モードが設定され、使用者が手の乾燥を1秒以上行っている場合など、所定の運転条件に合致している時に、異常火花検出動作を実行してもよい。例えば、1回の使用時間が所定の時間に満たない場合には、手が非検出になった後にもブラシモータ52の動作を所定の時間まで延長させることにより、手の乾燥が行われる毎に異常火花検出動作を実行してもよい。
図7は、第1の実施形態に係る手乾燥装置の異常火花検出モードの動作の一例を表すフローチャートである。
図7に表したように、手乾燥装置10の制御部36は、ブラシモータ52への通電回数を積算して記憶する(図7のステップS21)。この際、制御部36は、ブラシモータ52の運転条件に応じて積算回数の増分に重み付けを行う。制御部36は、例えば、強運転モードの運転では1回の手乾燥を1回とカウントし、弱運転モードの運転では1回の手乾燥を0.5回とカウントする。
例えば、強運転モードでは、弱運転モードに比べて、整流子63やブラシ64の摩耗が進みやすい。すなわち、ブラシモータ52の回転数やブラシモータ52に入力する電流値の高い運転条件では、回転数や電流値の低い運転条件に比べて、整流子63やブラシ64の摩耗が進みやすい。従って、上記のように重み付けを行うことにより、整流子63やブラシ64の摩耗の程度をよりよく反映した通電回数の積算が可能となる。なお、ブラシモータ52の通電回数の積算、及び重み付けの処理は、図7に表したように、異常火花検出モードの処理として行ってもよいし、通常モードにおいてブラシモータ52を通電する毎に行ってもよい。
制御部36は、異常火花検出モードにおいて、例えば、ブラシモータ52への通電の積算回数が、所定の積算回数に達したか否かを判定する。制御部36は、例えば、積算回数が42万カウントに達したか否かを判定する(図7のステップS22)。
制御部36は、42万カウントに達していないと判定した場合、異常火花検出動作を実施することなく通常モードの動作(図6のステップ04)に移行する(図7のステップS23)。
一方、制御部36は、42万カウントに達していると判定した場合、続いて、積算回数が70万カウントに達したか否かを判定する(図7のステップS24)。制御部36は、70万カウントに達していないと判定した場合、1週間に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する(図7のステップS25)。すなわち、制御部36は、積算回数が42万カウント以上70万カウント未満である場合、1週間に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する。
一方、制御部36は、70万カウントに達していると判定した場合、続いて、積算回数が90万カウントに達したか否かを判定する(図7のステップS26)。制御部36は、90万カウントに達していないと判定した場合、1日に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する(図7のステップS27)。すなわち、制御部36は、積算回数が70万カウント以上90万カウント未満である場合、1日に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する。
制御部36は、90万カウントに達していると判定した場合、同様の処理を繰り返し、通電回数が増える程、異常火花検出動作の頻度が高くなるようにする。また、例えば、ブラシモータ52の通電回数に寿命を設定している場合には、寿命の到達時に動作を停止させ、ブラシモータ52を交換するように報知を行ってもよい。
このように、制御部36は、ブラシモータ52への通電回数を積算し、通電回数が所定の積算回数に達した時に、異常火花検出動作を実行する頻度を変更する。制御部36は、例えば、通電回数の増加に応じて、異常火花検出動作の実行の頻度を高くする。これにより、適切な頻度で異常火花検出動作を実行することができる。例えば、ブラシモータ52の使用開始直後は、異常火花検出動作の頻度を低くし、通電回数が増えて整流子63やブラシ64の摩耗が進むのに合わせて異常火花検出動作の頻度を高くする。これにより、より適切な頻度で異常な火花の検出を行うことができる。
また、この際、運転条件に応じて積算回数の増分に重み付けを行うことにより、より適切な頻度で異常な火花の検出を行うことができる。積算回数の増分の重み付けは、必ずしも行う必要はない。制御部36は、運転条件に関係なく、ブラシモータ52に通電を行う毎に、通電回数を積算してもよい。制御部36は、例えば、ブラシモータ52の交換又は修理が行われた場合に、通電回数の積算回数をリセットする。また、例えば、積算回数を記憶する記憶部を制御部36と別に設け、制御部36の交換が行われた場合にも、積算回数がリセットされることなく、交換後の制御部36の動作に引き継がれるようにすることが好ましい。
図8は、第1の実施形態に係る手乾燥装置の異常火花検出モードの別の動作の一例を表すフローチャートである。
図8に表したように、この例において、制御部36は、ブラシモータ52への通電時間を積算して記憶する(図8のステップS41)。この際、制御部36は、ブラシモータ52の運転条件に応じて積算時間の増分に重み付けを行う。制御部36は、例えば、強運転モードの運転では1秒の手乾燥を1秒とカウントし、弱運転モードの運転では1秒の手乾燥を0.5秒とカウントする。これにより、整流子63やブラシ64の摩耗の程度をよりよく反映した通電回数の積算が可能となる。ブラシモータ52の通電時間の積算、及び重み付けの処理は、通常モードにおいてブラシモータ52を通電する毎に行ってもよい。
この例において、制御部36は、ブラシモータ52への通電の積算時間が、所定の積算時間に達したか否かを判定する。制御部36は、例えば、積算時間が420万秒に達したか否かを判定する(図8のステップS42)。
制御部36は、420万秒に達していないと判定した場合、異常火花検出動作を実施することなく通常モードの動作(図6のステップ04)に移行する(図8のステップS43)。
一方、制御部36は、420万秒に達していると判定した場合、続いて、積算時間が700万秒に達したか否かを判定する(図8のステップS44)。制御部36は、700万秒に達していないと判定した場合、1週間に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する(図8のステップS45)。すなわち、制御部36は、積算時間が420万秒以上700万秒未満である場合、1週間に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する。
一方、制御部36は、700万秒に達していると判定した場合、続いて、積算時間が90万秒に達したか否かを判定する(図8のステップS46)。制御部36は、900万秒に達していないと判定した場合、1日に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する(図8のステップS47)。すなわち、制御部36は、積算時間が700万秒以上900万秒未満である場合、1日に1回の頻度で異常火花検出動作を実施する。
制御部36は、900万秒に達していると判定した場合、同様の処理を繰り返し、通電時間が増える程、異常火花検出動作の頻度が高くなるようにする。また、例えば、ブラシモータ52の通電時間に寿命を設定している場合には、寿命の到達時に動作を停止させ、ブラシモータ52を交換するように報知を行ってもよい。
このように、制御部36は、ブラシモータ52への通電時間を積算し、通電時間が所定の積算時間に達した時に、異常火花検出動作を実行する頻度を変更する。制御部36は、例えば、通電時間の増加に応じて、異常火花検出動作の実行の頻度を高くする。これにより、適切な頻度で異常火花検出動作を実行することができる。
また、この際、運転条件に応じて積算時間の増分に重み付けを行うことにより、より適切な頻度で異常な火花の検出を行うことができる。積算時間の増分の重み付けは、必ずしも行う必要はない。制御部36は、運転条件に関係なく、ブラシモータ52に通電を行う毎に、通電時間を積算してもよい。制御部36は、例えば、ブラシモータ52の交換又は修理が行われた場合に、通電時間の積算時間をリセットする。また、例えば、積算時間を記憶する記憶部を制御部36と別に設け、制御部36の交換が行われた場合にも、積算時間がリセットされることなく、交換後の制御部36の動作に引き継がれるようにすることが好ましい。
図9は、第1の実施形態に係る手乾燥装置の別の動作の一例を表すフローチャートである。
図10は、第1の実施形態に係る制御部の別の動作の一例を表すグラフ図である。
図9に表したように、この例において、制御部36は、手検出部30によって使用者の手が検出されたか否かを判定する(図9のステップS61)。制御部36は、手が検出されたと判定すると、続いて、強運転モードに設定されているか否かを判定する(図9のステップS62)。
制御部36は、強運転モードが設定されていると判定すると、電源回路40の動作を制御し、ブラシモータ52を動作させることにより、強運転モードの回転数でファン50を回転させる(図9のステップS63)。
制御部36は、ブラシモータ52の動作を開始すると、異常火花検出部44を動作させることにより、異常火花検出動作を実行する(図9のステップS64)。図10に表したように、異常火花検出部44は、強運転モードが設定されている場合、差分ΔIに対して第1閾値ThΔI1(第1基準値)を設定する。異常火花検出部44は、差分ΔIが第1閾値ThΔI1以上か否かを判定し、差分ΔIが第1閾値ThΔI1以上である場合に、異常な火花の発生を検出する。
制御部36は、手検出部30による使用者の手の検出状態の停止に応じて、ブラシモータ52の動作を停止させ、ファン50の回転を停止させる(図9のステップS65、S66)。制御部36は、異常火花検出動作において異常な火花の発生が検出された場合には、上記の実施形態と同様に、使用者への報知、及び動作の停止を行う。この場合、異常な火花の検出に応答して、即座に動作を停止させてもよいし、使用中の使用者の手の乾燥が終了した後(手の非検出の後)に動作を停止させてもよい。
制御部36は、ステップS62において弱運転モードが設定されていると判定すると、電源回路40の動作を制御し、ブラシモータ52を動作させることにより、弱運転モードの回転数でファン50を回転させる(図9のステップS67)。
制御部36は、ブラシモータ52の動作を開始すると、異常火花検出部44を動作させることにより、異常火花検出動作を実行する(図9のステップS68)。図10に表したように、異常火花検出部44は、弱運転モードが設定されている場合、差分ΔIに対して第2閾値ThΔI2(第2基準値)を設定する。第2閾値ThΔI2は、第1閾値ThΔI1よりも低い。第1閾値ThΔI1は、強運転モードの回転数に対応した閾値であり、第2閾値ThΔI2は、弱運転モードの回転数に対応した閾値である。異常火花検出部44は、差分ΔIが第2閾値ThΔI2以上か否かを判定し、差分ΔIが第2閾値ThΔI2以上である場合に、異常な火花の発生を検出する。
制御部36は、手検出部30による使用者の手の検出状態の停止に応じて、ブラシモータ52の動作を停止させ、ファン50の回転を停止させる(図9のステップS69、S70)。制御部36は、異常火花検出動作において異常な火花の発生が検出された場合には、上記の実施形態と同様に、使用者への報知、及び動作の停止を行う。
このように、この例において、制御部36は、異常火花検出動作において火花の発生と相関する所定の物理量(例えば電流値)を計測し、物理量の計測値と所定の基準値との比較によって異常な火花の発生を検出するとともに、異常火花検出動作においてブラシモータの運転条件を変更可能とし、運転条件に応じて異なった基準値を適用する。
これにより、例えば、異常な火花の発生をより適切に検出することができる。例えば、通常モードにおける強運転モードと弱運転モードなど、ブラシモータ52の運転条件(例えば風量など)を変更可能とした場合、単一の基準値にて検出を行おうとすると、異常な火花の誤検出や見逃しの可能性が高くなる。従って、ブラシモータ52の運転条件を変更可能とした場合には、運転条件に応じて基準値を変更する。これにより、異常な火花の誤検出や見逃しを抑制することができる。
図11は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の変形例を表すブロック図である。
図11に表したように、手乾燥装置100は、回転数検出部102と、ダンパ104と、をさらに備える。
回転数検出部102は、ブラシモータ52の回転数を検出する。回転数検出部102は、制御部36に接続されている。回転数検出部102は、回転数の検出結果を制御部36に入力する。回転数検出部102は、例えば、エンコーダである。制御部36は、回転数検出部102の検出結果を基に、回転数が実質的に一定になるようにブラシモータ52の回転を制御する。回転数の検出方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。例えば、ブラシモータ52(電源回路40)に入力する信号を基に、ブラシモータ52の回転数を検出してもよい。この場合、回転数検出部102は、例えば、制御部36に機能ブロックとして設けてもよい。
ダンパ104は、各吹き出し口15と吸込口22との間の風路24の経路上に設けられる。ダンパ104は、風路24の少なくとも一部を開閉し、風路24に流れる気体の流量を変化させる。換言すれば、ダンパ104は、風路24の圧力損失を変化させる。ダンパ104は、制御部36に接続されている。ダンパ104の開閉は、制御部36によって制御される。
制御部36は、例えば、通常モードにおいては、ダンパ104を閉じ、風路24の圧力損失を大きくし、異常火花検出モードにおいては、ダンパ104を開いて風路24を広くし、圧力損失を低下させる。風路24の圧力損失を低下させると、風量は増加するが、回転数を一定に保つため、結果としてブラシモータ52に高い電圧が印加される。これにより、例えば、異常火花検出動作において、異常な火花をより発生させ易くすることができる。異常火花検出動作において、異常な火花が発生し易い運転条件を設定し易くすることができる。
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置を表す斜視図である。
図13は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置を表す縦断面図である。
図12及び図13に表したように、手乾燥装置200は、本体部202を備える。本体部202は、機能部204と、機能部204の下方に設けられた水受部206と、機能部204と水受部206との間に設けられた手挿入部208と、を有する。手乾燥装置200は、例えば、背面をトイレ室等の壁面に当接させた状態で、トイレ室などに設置される。
手挿入部208は、使用者の手を挿入可能にした凹状である。この例において、手挿入部208は、前方及び左右方向に開口した溝状である。従って、手乾燥装置200では、前方から後方(壁側)に向かって手挿入部208に手を挿入する。
図13に表したように、機能部204は、内部に空間を形成する第1ケース210と、第1ケース210内に設けられた内部ケース212と、内部ケース212内に設けられたファンモータユニット214及びヒータ216と、を有する。
また、第1ケース210の内部には、手検出部220と、制御部222とが内部ケース212の下方に設けられており、内部ケース212の下部にはノズル部材224が設けられている。さらに、ノズル部材224の内部に挿入されるようにして、温度センサ226が配置されている。
ファンモータユニット214は、内部に配置されるブラシモータ230と、ブラシモータ230の出力軸に接続されるファン(図示せず)を有している。ブラシモータ230は電力が供給されることによって駆動する電動機であり、この電力の供給は制御部222によって制御される。また、ブラシモータ230は、その出力軸を介してファンを回転させることで、送風機入口232から空気を吸引して内部に取り込む。取り込んだ空気はブラシモータ230側に流れ、その外側に開設された送風機出口234から外部に吹き出される。
手検出部220は、手挿入部208内に使用者の手が挿入されたことを検知するためのセンサである。手検出部220は、例えば、手挿入部208内に赤外線を照射するとともに、使用者の手が手挿入部208内に挿入された場合に、その使用者の手で反射した赤外線を受信することで、使用者の手を検出する。手検出部220は、例えば、赤外線が反射した反射対象物の距離に応じて使用者の手を検出する測距センサである。手検出部は、使用者の手の挿入を検出すると、手検出信号を制御部222に送信する。
ノズル部材224は、内部ケース212の下端の内部ケース出口212aに、それぞれの内部が連通するよう接続されている。ノズル部材224の下端部にはスリット状の吹き出し口224aが設けられるとともに、第1ケース210の下面から手挿入部208内に臨出している。また、ノズル部材224は、上端部から下端部にかけて、その内部の断面積が漸次小さくなるよう形成されている。このノズル部材224の内部には温度センサ226が外部から挿入されており、空気の温度を検出可能に構成されている。
ヒータ216は、内部ケース出口212aの近傍に設けられ、内部ケース出口212aからノズル部材224内へと流入する空気が、その内部を通過できるよう構成されている。また、ヒータ216は、電力の供給を受けて発熱し、その内部を通過する空気を熱伝達によって加熱することができる。この電力の供給は制御部222によって制御されており、供給される電力が大きいほどヒータ216の出力も大きくなり、通過する空気も高温となる。
水受部206は、樹脂材料で一体的に形成された第2ケース240と、第2ケース240の下方に配置される水受けトレー250とを備えている。第2ケース240は、壁面に沿って伸びる背板241と、背板241の下端から前方に延びる底板242とを有する。また、背板241と底板242の両側及び前方の端部には、連なるようにして前方又は上方に突出する側板243を有している。このように構成された第2ケース240と、第1ケース210の下面により、前面及び左右両側面が開放された手挿入部208が区画形成される。また、図12に示すように、底板242には上下方向に貫通する排水孔260が設けられている。この排水孔260から下方に排出された水は、底板242の下方に配置される水受けトレー250内に貯留されるよう構成されている。
手乾燥装置200に電力が供給されると、手検出部220は手挿入部208内に赤外線を照射し、使用者の手の挿入に待機する。そして、手挿入部208内に使用者の濡れた手が挿入され、手検出部220がそれを検出すると、手検出部220は制御部222に手検出信号を送信する。手検出信号を受信した制御部222は、ブラシモータ230及びヒータ216への電力供給を開始し、それらの駆動及び出力を開始させる。
ブラシモータ230が駆動を開始すると、その出力軸に接続されているファン(図示せず)が回転を開始する。このファンの回転により、機能部204、水受部206の背面寄りの側面にそれぞれ設けられた第1吸込口261、第2吸込口262から、矢印Faのように空気が吸い込まれる。
第1吸込口261と第2吸込口262から吸い込まれた空気は、それぞれ機能部204の背面と壁面とで形成される第1背面風路271と、水受部206の背面と壁面とで形成される第2背面風路272を、機能部204の背面下部に設けられるフィルタ部材280に向けて流れる。フィルタ部材280は、空気が通過可能なメッシュ状の部材であり、通過の際に空気中に含まれる異物を除去することが可能に構成されている。
フィルタ部材280を壁面側から前方側に通過した空気は、矢印Fbのようにその流れの向きを上方向に変えて、下流に設けられる吸気ダクト281内に流入する。そして、空気は吸気ダクト281内を流れ、壁面W側に向けて開設された内部ケース入口212bから、矢印Fcのようにその流れの向きを前方へと変え、内部ケース212内に流入する。
内部ケース212内には、ファンモータユニット214がその送風機入口232を内部ケース入口212bに対向させて収容されている。内部ケース入口212bを通過し、送風機入口232からファンモータユニット214の内部に流入した空気は、ブラシモータ230の近傍に至る。電力供給を受けて駆動しているブラシモータ230は、その巻線等においてジュール熱が生じているため、このブラシモータ230の近傍を流れる空気が加熱され、昇温する。この昇温した空気は、矢印Fdのように送風機出口234から外部に吹き出される。
送風機出口234から吹き出された空気は、ファンモータユニット214と内部ケース212との間を流れ、下方の内部ケース出口212aに至る。上記のように、内部ケース出口212aの近傍にはヒータ216が配置されており、空気はヒータ216の内部を通過してさらに下方のノズル部材224の上端へと流れる。ヒータ216は電力の供給を受けて発熱していることから、通過する空気は熱伝達により加熱され、さらに昇温してノズル部材224内に流入する。この際に温度センサ226が検知する温度は、ブラシモータ230及びヒータ216で加熱され、ノズル部材224内に流入してくる空気の温度である。
上記のように、ノズル部材224は、上端部から下端部にかけて、その内部の断面積が漸次小さくなるよう形成されている。したがって、ノズル部材224の上端部から内部に流入した空気は、加速しながらその下端部へと向かい、吹き出し口224aから矢印Feのように手挿入部208内に向けて吹き出す。手挿入部208内に挿入された使用者の濡れた手(図示せず)に付着した水滴は、吹き出し口224aから吹き出す空気によって吹き飛ばされる。これにより、手挿入部208内に挿入された使用者の濡れた手が乾燥される。
上記のように構成された手乾燥装置200において、異常火花検出動作を実行可能とする。これにより、上記各実施形態と同様に、1回の使用時間や運転モードなどの運転条件の影響を受けることなく、異常な火花を適切に検出することができる。また、所定の運転条件に応じた適切な基準値を設定することができ、異常な火花の発生の誤検出を抑制することもできる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置10、100、200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。