以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す斜視図である。
図2は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す縦断面図である。
図1及び図2に表したように、手乾燥装置10は、本体部12を備える。本体部12は、使用者の手を挿入可能にした凹状の手挿入部14を有する。図2は、手乾燥装置10(本体部12)の横方向の中央付近の縦断面を表している。また、図2では、風(気体)の流れを矢印で示している。
手乾燥装置10は、例えば、トイレ室の壁面などに取り付けて使用される。手乾燥装置10は、手挿入部14に挿入された手を検出し、手挿入部14内の手に風を吹き付ける。これにより、手乾燥装置10は、例えば、トイレ使用後の手洗いなどで濡れた手を乾燥させる。
手挿入部14は、例えば、上方に開口する。本体部12は、例えば、上方に開口した開口箱状である。従って、使用者は、上方から下方に向かって手挿入部14に手を挿入する。手挿入部14の開口する向きは、上方に限ることなく、例えば、前方や前方側斜め上方などでもよい。手挿入部14の開口する向きは、使用者が手を挿入し易い任意の方向でよい。
また、手挿入部14の開口形状は、横長である。手挿入部14の開口部の横方向の長さは、手挿入部14の開口部の前後方向の長さよりも長い。これにより、手乾燥装置10では、左右の手を横方向に並べた状態で、上方から手挿入部14に挿入することができる。すなわち、使用者は、両手を下方に垂らして手挿入部14に挿入すればよく、自然な姿勢で手の乾燥を行うことができる。
本体部12は、前面部12aと、背面部12bと、一対の側面部12c、12dと、を有する。この例において、本体部12は、略矩形の箱状である。手挿入部14は、例えば、前面部12a、背面部12b、及び各側面部12c、12dによって、前方、後方、及び両側方を囲まれた略矩形の凹部である。
手挿入部14は、前面部12aによって形成される前面側の内側面14aと、背面部12bによって形成される背面側の内側面14bと、各内側面14a、14bの下端に連続する底面14cと、を有する。また、内側面14a、14b及び底面14cのそれぞれの両側端は、各側面部12c、12dによって塞がれる。手挿入部14は、濡れた手から吹き飛ばされた水滴を各面で受ける。
本体部12及び手挿入部14の形状は、これに限ることなく、手を挿入可能な任意の形状でよい。例えば、各側面部12c、12dは、省略してもよい。すなわち、手挿入部14は、上方及び両側方が開放された溝状の形状でもよい。このように、手挿入部14の形状は、手を挿入する開口部以外の一部が開放された形状でもよい。
本体部12は、手挿入部14内に風を吹き出すための複数の吹き出し口15、16を有する。吹き出し口15は、内側面14aに設けられる。吹き出し口16は、内側面14bに設けられる。各吹き出し口15、16は、例えば、略円形の開口である。また、各吹き出し口15、16のそれぞれは、本体部12に複数設けられる。複数の吹き出し口15は、横方向(水平方向)に略一直線状に並べて内側面14aに設けられる。複数の吹き出し口16は、横方向に略一直線状に並べて内側面14bに設けられる。
各吹き出し口15、16は、例えば、内側面14a、14bの上端(開口端)付近に設けられ、斜め下方に向けて風を吹き出す。すなわち、各吹き出し口15、16は、底面14c側に向けて水滴を吹き飛ばす。これにより、吹き飛ばされた水滴が、使用者にかかってしまうことを抑制することができる。
吹き出し口15、16の形状は、任意の形状でよい。吹き出し口15、16の数は、任意の数でよい。例えば、横方向に延びるスリット状の1つの吹き出し口を本体部12に設けてもよい。吹き出し口は、手挿入部14に挿入された手に対して適切に風を吹き付けることができる任意の形状及び数でよい。
本体部12は、例えば、各側面部12c、12dに設けられた一対の通気口18を有する。各通気口18は、各吹き出し口15、16から吹き出された風を手挿入部14の外部に抜けさせる。これにより、例えば、水滴を含んだ風が手挿入部14内で折り返され、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。換言すれば、吹き飛ばされた水滴が、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。また、各通気口18には、複数のルーバー18aが設けられている。各ルーバー18aは、例えば、水滴が各通気口18を介して外部に漏れ出てしまうことを抑制する。
手乾燥装置10は、水受けトレー20と、ファンモータユニット22と、送風ダクト23、24と、フィンヒータ26と、フィルタ28と、吸気ダクト30と、吸音材32と、照明部34と、手検出部40と、をさらに備える。ファンモータユニット22、送風ダクト23、24、フィンヒータ26、フィルタ28、吸気ダクト30、吸音材32、照明部34、及び手検出部40の各部は、本体部12内に設けられる。
水受けトレー20は、例えば、本体部12の底部に着脱自在に取り付けられる。本体部12は、図示を省略した排水溝を有し、手挿入部14の各面で受けた水滴を排水溝を介して水受けトレー20に送る。これにより、水受けトレー20は、手挿入部14内で吹き飛ばされた水滴を回収する。
ファンモータユニット22は、各吹き出し口15、16のそれぞれに気体を供給し、各吹き出し口15、16から風を吹き出させる気体供給部である。ファンモータユニット22は、回転駆動軸22aを有する。ファンモータユニット22の回転駆動軸22aは、本体部12の前面部12a及び背面部12bに対して垂直な方向に延びるように配置されている。
また、ファンモータユニット22のケーシングの上流端には、吸込口22bが設けられている。ファンモータユニット22の下流端には、吹き出し口22cが設けられている。吹き出し口22cは、上方に開口するように形成されている。各吹き出し口15、16への気体の供給は、ファンモータユニット22に限ることなく、気体の供給が可能な任意のファンやポンプなどを用いればよい。
送風ダクト23は、本体部12の前面側に設けられ、ファンモータユニット22から供給された気体を前面側の各吹き出し口15に送る。送風ダクト24は、本体部12の背面側に設けられ、ファンモータユニット22から供給された気体を背面側の各吹き出し口16に送る。すなわち、送風ダクト23は、吹き出し口22cと各吹き出し口15との間を接続し、送風ダクト24は、吹き出し口22cと各吹き出し口16との間を接続する。これにより、ファンモータユニット22から供給された気体が各吹き出し口15、16に送られ、各吹き出し口15、16から吹き出す。
各送風ダクト23、24は、例えば、手乾燥装置10の使用時において、前面側(掌側)に供給する風量が背面側(甲側)に供給する風量よりも大きくなるように、流路断面積が設定されている。流路断面積とは、送風ダクト23、24において、気体が通過する開口部分の断面積である。例えば、送風ダクト23の最小の流路断面積は、送風ダクト24の最小の流路断面積よりも大きい。これにより、送風ダクト23側に流れる気体の流量が、送風ダクト24側に流れる気体の流量よりも多くなり、前面側の風量が背面側の風量よりも大きくなる。
フィンヒータ26は、ファンモータユニット22の吹き出し口22cに設けられている。フィンヒータ26は、吹き出し口22cから吹き出される気体(空気)を温める加熱部である。手乾燥装置10では、フィンヒータ26によって温められた温風を各吹き出し口15、16から吹き出すことができる。これにより、例えば、使用者の手の乾燥性能を向上させることができる。例えば、非加熱の風を吹き出す場合に比べて、より短時間で使用者の手を乾燥させることができる。フィンヒータ26は、必要に応じて設けられ、省略可能である。手乾燥装置10は、ファンモータユニット22から供給される非加熱の風を各吹き出し口15、16から吹き出してもよい。ファンモータユニット22から供給される気体を温める加熱部は、フィンヒータ26に限ることなく、気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。
本体部12の底部には、前述のように、水受けトレー20が着脱自在に取り付けられる。また、本体部12の底部には、外部から気体を取り込むための吸気口12eが設けられている。吸気口12eは、本体部12の底部において、水受けトレー20の背面側に設けられている。フィルタ28は、吸気口12e内に設けられている。フィルタ28は、本体部12内への塵埃などの侵入を抑制する。
吸気ダクト30は、吸気口12eに接続されている。吸気ダクト30の上流端30aは、吸気口12eのフィルタ28の上に配置されている。吸気ダクト30は、上流端30aと吸気口12eとを連通させ、上流端30aから本体部12の背面部12bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。
吸音材32は、吸気ダクト30内の上部において、ファンモータユニット22の吸込口22bに隣接して設けられている。吸音材32は、ファンモータユニット22の作動中に吸込口22bから漏出した音を吸収する。
手乾燥装置10は、ファンモータユニット22を動作させることにより、本体部12の外部の空気を吸気口12eから取り込み、フィルタ28を介して吸気ダクト30に吸い込む。そして、吸い込んだ空気をファンモータユニット22から各送風ダクト23、24を介して各吹き出し口15、16に供給する。これにより、各吹き出し口15、16から風が吹き出される。
照明部34は、手挿入部14内を照明する。照明部34は、例えば、手挿入部14内に手が挿入された際に、手挿入部14内に向けて光を照射し、手挿入部14内を照明する。また、照明部34は、例えば、所定のパターンで点滅することにより、手乾燥装置10の動作状態を表示する表示部として機能させることもできる。このように、照明部34に表示部としての機能も持たせる。これにより、例えば、手乾燥装置10の部品点数を削減することができるとともに、表示部の追加にともなう手乾燥装置10のデザイン性の低下なども抑制することができる。
この例では、本体部12の背面部12bに2つの照明部34が設けられている(図1参照)。2つの照明部34は、横方向に並べて背面部12bに配置されている。照明部34の数及び配置は、これに限ることなく、手挿入部14内を適切に照明可能な任意の数及び配置でよい。
手検出部40は、手挿入部14に挿入された手を検出する。手検出部40は、例えば、発光部41と、受光部42と、を有する。発光部41は、前面部12aに設けられている。受光部42は、背面部12bに設けられている。例えば、発光部41は、各吹き出し口15の下方に配置され、受光部42は、各吹き出し口16の下方に配置される。発光部41及び受光部42は、手挿入部14を挟んで互いに対向する位置に配置される。発光部41及び受光部42の配置は、これに限ることなく、手を検出可能な任意の配置でよい。例えば、上記とは反対に、前面部12aに受光部42を設け、背面部12bに発光部41を設けてもよい。
発光部41は、例えば、受光部42に向けて赤外光を検出光として照射する。受光部42は、発光部41から照射された赤外光を受光し、赤外光の受光量(輝度)に応じた電圧を出力する。発光部41には、例えば、発光ダイオードやレーザダイオードなどが用いられる。受光部42には、例えば、フォトダイオードが用いられる。発光部41の照射する検出光は、赤外光に限ることなく、可視光などでもよい。
手検出部40は、受光部42の受光レベル(出力電圧)により、使用者の手を検出する。手検出部40においては、例えば、受光部42の受光レベルが閾値以上の時に、手が挿入されていないと検出することができる。そして、手挿入部14に挿入された手によって発光部41から照射された光が遮られ、受光部42の受光レベルが閾値未満になった時に、手が挿入されたと検出することができる。
この例において、手検出部40は、いわゆる透過型の光センサ(フォトインタラプタ)である。手検出部40は、これに限ることなく、手挿入部14に挿入された手を検出可能な任意のセンサでよい。手検出部40は、例えば、反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、又はマイクロ波センサなどでもよい。
図3は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す平面図である。
図3に表したように、この例において、手検出部40は、第1発光部41a〜第3発光部41cの3つの発光部41を有している。第1発光部41aは、前面部12aの横方向の中央付近に配置されている。第2発光部41bは、前面部12aの横方向の一端付近に配置されている。第3発光部41cは、前面部12aの横方向の他端付近に配置されている。第2発光部41bは、使用者側から見て前面部12aの左端付近に配置され、第3発光部41cは、前面部12aの右端付近に配置されている。
各発光部41a〜41cは、受光部42と対向する。各発光部41a〜41cは、検出光を受光部42に入射させる。受光部42は、各発光部41a〜41cのそれぞれの検出光を受光する。手検出部40では、3つの各発光部41a〜41cのいずれかの検出光が遮られた際に、手挿入部14に手が挿入されたと検知する。
このように、手検出部40に3つの発光部41a〜41cを設ける。これにより、横長の開口形状を有する手挿入部14への手の挿入を、より適切に検出することができる。また、3つの各発光部41a〜41cに対して1つの受光部42を共通に用いる。これにより、挿入された手の検出性能を高めつつ、部品点数の増加を抑制することができる。このように、手検出部40は、複数の発光部41により、複数の検出位置で手挿入部14に挿入された手の検出を行う。換言すれば、手検出部40は、複数の検出エリアを有する。発光部41の数は、3つに限ることなく、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよい。手検出部40の検出位置(検出エリア)は、1箇所でもよい。
図4は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の電気的構成を表すブロック図である。
図4に表したように、手乾燥装置10は、制御部44と、電源回路46と、ゼロクロス検知部48と、をさらに備える。
電源回路46は、一対の入力端子46a、46bを有し、各入力端子46a、46bを介して交流電源2に接続される。交流電源2は、例えば、商用電源である。交流電源2は、交流電力を手乾燥装置10に供給する。
電源回路46は、電荷蓄積素子50と、整流部52と、電力変換部54と、を有する。電荷蓄積素子50は、各入力端子46a、46bの間に接続されている。電荷蓄積素子50は、例えば、ノイズカットフィルタとして機能し、交流電源2から供給された交流電力に含まれるノイズを抑制する。
整流部52は、交流電源2から供給された交流電力を整流する。整流部52は、例えば、交流電源2の交流電力を脈流電力に変換する。電力変換部54は、整流部52によって整流された電力を制御部44などに対応した直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部44などに供給する。整流部52及び電力変換部54は、例えば、AC100V(実効値)の交流電力を5V〜15V程度の直流電力に変換する。制御部44は、電源回路46からの電力供給によって駆動される。
制御部44には、EEPROM60と、ヒータ入切スイッチ61と、風量切替スイッチ62と、電源スイッチ63と、が接続されている。各スイッチ61〜63は、例えば、使用者が操作可能な操作部を有し、操作部を本体部12の外部に露呈させた状態で、本体部12に設けられる。
EEPROM60には、手乾燥装置10の制御に必要な各種のプログラムやデータなどが記憶されている。制御部44は、例えば、EEPROM60から各種のプログラムを読み出し、逐次処理を行うことによって、手乾燥装置10の各部を統括的に制御する。
ヒータ入切スイッチ61は、フィンヒータ26の使用の有無を示す信号を制御部44に入力する。制御部44は、フィンヒータ26の使用を示す信号がヒータ入切スイッチ61から入力された場合には、ファンモータユニット22を駆動する際に、フィンヒータ26を駆動し、各吹き出し口15、16から温風を吹き出す。一方、制御部44は、フィンヒータ26の非使用を示す信号がヒータ入切スイッチ61から入力された場合には、ファンモータユニット22を駆動する際にも、フィンヒータ26を駆動せず、各吹き出し口15、16から非加熱の風を吹き出す。
風量切替スイッチ62は、各吹き出し口15、16から吹き出す風の風量の設定を示す信号を制御部44に入力する。制御部44は、例えば、風量切替スイッチ62の設定に応じて、ファンモータユニット22の駆動条件を変化させることにより、各吹き出し口15、16から吹き出す風の風量を段階的又は連続的に変化させる。
電源スイッチ63は、手乾燥装置10への電源のオン・オフを切り替える。例えば、電源スイッチ63をオンに切り替えると、電源回路46が動作を介して制御部44に電力を供給し、制御部44が動作を開始する。すなわち、手乾燥装置10が使用可能な状態になる。なお、電源スイッチ63は、各入力端子46a、46bと電荷集積端子50の間に設けて交流電源2からの電力を直接オン、オフさせてもよい。
ゼロクロス検知部48は、切替スイッチ70を介して各入力端子46a、46bの間に接続されている。換言すれば、ゼロクロス検知部48は、電源回路46に並列に接続されている。これにより、切替スイッチ70をオン状態にすることにより、交流電源2から供給された交流電力がゼロクロス検知部48に入力される。
ゼロクロス検知部48は、交流電源2から供給された交流電力のゼロクロスを検知し、ゼロクロスの検知信号を制御部44に入力する。ゼロクロス検知部48は、例えば、入力された交流電圧の絶対値を所定の閾値と比較し、交流電圧の絶対値が閾値以下の時に、ゼロクロスを検知する。
ファンモータユニット22は、切替スイッチ71を介して各入力端子46a、46bの間に接続されている。これにより、切替スイッチ71をオン状態にすることにより、交流電源2から供給された交流電力がファンモータユニット22に入力され、ファンモータユニット22が駆動される。すなわち、切替スイッチ71をオン状態にすることにより、各吹き出し口15、16から風が吹き出す。
フィンヒータ26は、切替スイッチ72を介して各入力端子46a、46bの間に接続されている。これにより、切替スイッチ72をオン状態にすることにより、交流電源2から供給された交流電力がフィンヒータ26に入力され、フィンヒータ26が駆動される。
照明部34は、切替スイッチ73を介して電力変換部54の出力に接続されている。これにより、切替スイッチ73をオン状態にすることにより、電力変換部54から出力された直流電力が照明部34に供給され、照明部34が点灯する。
手検出部40は、切替スイッチ74を介して電力変換部54の出力に接続されている。これにより、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、電力変換部54から出力された直流電力が手検出部40に供給され、手検出部40が駆動される。すなわち、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、手検出部40が手挿入部14に挿入された手を検出可能な状態になる。また、手検出部40は、制御部44に接続されており、手挿入部14に挿入された手の検出結果(手検出信号)を制御部44に入力する。
例えば、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、各発光部41a〜41cに直流電力が供給され、各発光部41a〜41cから検出光が照射される。また、受光部42のフォトダイオードに逆バイアス電圧が印加される場合には、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、受光部42に逆バイアス電圧が印加される。これにより、検出光の受光量に応じた電圧が、手検出信号として受光部42から制御部44に出力される。
各切替スイッチ70〜74は、制御部44に接続されている。各切替スイッチ70〜74のオン・オフは、制御部44によって切り替えられる。
図5(a)〜図5(f)は、第1の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図5(a)〜図5(f)は、制御部44による手検出部40の制御態様の一例を表している。
図5(a)、図5(c)、図5(e)では、手検出部40のオン状態及びオフ状態を表している。一方、図5(b)、図5(d)、図5(f)では、手検出部40から制御部44に出力される手検出信号のオン状態及びオフ状態を表している。
ここで、手検出部40のオン状態とは、手検出部40が手挿入部14に挿入された手を検出可能な状態である。この例では、切替スイッチ74をオン状態にし、手検出部40に直流電力が供給された状態である。そして、手検出部40のオフ状態とは、手検出部40が手挿入部14に挿入された手の検出機能を喪失した状態である。この例では、切替スイッチ74をオフ状態にし、手検出部40への直流電力の供給を停止した状態である。
手検出部40のオフ状態は、例えば、発光部41への電力供給のみを停止し、受光部42は正常に動作している状態でもよい。反対に、受光部42への電力供給のみを停止し、発光部41は正常に動作している状態(検出光を照射している状態)でもよい。このように、手検出部40のオフ状態とは、手検出部40の少なくとも一部への電力供給を停止し、手の検出機能を喪失した状態であればよい。
また、手検出信号のオン状態とは、手挿入部14に挿入された手が検出された状態である。手検出信号のオフ状態とは、手挿入部14に挿入された手が検出されていない状態である。すなわち、手検出信号のオン状態とは、手の検出状態であり、手検出信号のオフ状態とは、手の非検出状態である。
この例では、各発光部41a〜41cのそれぞれの検出光を受光部42が受光している時に、手検出信号がオフ状態となり、各発光部41a〜41cのそれぞれの検出光のいずれかが遮られた時に、手検出信号がオン状態となる。また、手検出部40がオフ状態の時には、手検出信号はオフ状態である。このように、手検出部40は、手挿入部14に挿入された手の検出を行い、手の非検出を表すオフ状態(非検出状態)と、手の検出を表すオン状態(検出状態)と、を有する手検出信号を制御部44に出力する。
図5(a)及び図5(b)は、制御部44が通常時に行う通常モードの動作の一例を表している。図5(a)及び図5(b)に表したように、制御部44は、手検出信号がオフ状態の時には、手検出部40のオン状態とオフ状態とを周期的に繰り返す。これにより、手検出部40を常にオン状態にしている場合に比べて、手検出部40における消費電力を抑えることができる。
制御部44は、手検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わった場合、所定時間の計時を開始する。制御部44は、手検出信号のオン状態が所定時間継続された場合に、手挿入部14に手が挿入されたと判断する。換言すれば、手の検出を確定させる。制御部44は、手検出信号がオン状態になった場合、手検出信号がオフ状態になるまで、手検出部40のオン状態を継続させる。
制御部44は、手検出信号のオン状態が所定時間継続された後、切替スイッチ71をオン状態にしてファンモータユニット22を駆動し、各吹き出し口15、16から風を吹き出すとともに、切替スイッチ73をオン状態にして照明部34を点灯させることにより、手挿入部14内を照明する。また、制御部44は、ヒータ入切スイッチ61でフィンヒータ26がオンに設定されている場合には、手検出信号のオン状態が所定時間継続された後、切替スイッチ72をオン状態にしてフィンヒータ26を駆動し、各吹き出し口15、16から温風を吹き出す。すなわち、制御部44は、手検出信号がオン状態に切り替わったタイミングから、ファンモータユニット22の駆動を所定時間遅らせる。
制御部44は、手検出信号がオン状態からオフ状態に切り替わった場合に、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34の各部の動作を停止させる。この後、制御部44は、手検出部40をオン状態とオフ状態とに周期的に切り替える動作に戻る。
一方、制御部44は、所定時間の経過の前に手検出信号がオン状態からオフ状態に戻った場合、ファンモータユニット22などを駆動させることなく、手検出部40をオン状態とオフ状態とに周期的に切り替える動作に戻る。これにより、例えば、虫などの侵入にともなう誤検出を抑制することができる。例えば、手乾燥装置10の不要な動作を抑制することができる。
ここで、通常モードにおいて手検出部40のオン・オフを繰り返す際の、オン状態の時間を第1オン時間TON1とし、オフ状態の時間を第1オフ時間TOFF1とする。そして、通常モードにおいて、手検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わった際に計時する所定時間を第1オンディレイ時間Tdelay1とする。
第1オン時間TON1は、例えば、20ms(ミリ秒)である。第1オフ時間TOFF1は、例えば、200msである。第1オンディレイ時間Tdelay1は、例えば、500msである。このように、第1オフ時間TOFF1は、第1オン時間TON1よりも長い。第1オンディレイ時間Tdelay1は、第1オン時間TON1よりも長い。第1オンディレイ時間Tdelay1は、第1オフ時間TOFF1よりも長い。
例えば、手検出部40がオン状態にある状態において使用者が手挿入部14に手を挿入した場合、各吹き出し口15、16から風が吹き出るまでの使用者の待ち時間は、第1オンディレイ時間Tdelay1のみである。
一方、手検出部40がオフ状態にある状態において使用者が手挿入部14に手を挿入した場合、使用者の待ち時間は、第1オフ時間TOFF1の残り時間と第1オンディレイ時間Tdelay1との和となる。従って、通常モードにおける使用者の最大の待ち時間Tdmax1は、図5(b)に表したように、手検出部40がオフ状態に切り替わったタイミングで手を挿入した時の、TOFF1+Tdelay1の値となる。最大の待ち時間Tdmax1は、例えば、700msである。
図5(c)及び図5(d)は、制御部44の第1低消費モードにおける動作の一例を表している。第1低消費モードは、手検出部40の動作に必要な消費電力を通常モードよりも低くした動作モードである。
制御部44は、例えば、手乾燥装置10の前回の使用から所定時間経過した場合に、通常モードから第1低消費モードに切り替える。これにより、例えば、夜間など、手乾燥装置10の使用頻度の低い時間帯などにおいて、消費電力を抑えることができる。このように、制御部44は、手検出部40の動作に関し、通常モードと第1低消費モードとの2つの動作モードを有する。例えば、切替スイッチなどの操作部を設け、通常モードと第1低消費モードとを選択的に切り替えられるようにしてもよい。
図5(c)及び図5(d)に表したように、制御部44は、第1低消費モードにおいて、第2オン時間TON2と、第2オフ時間TOFF2と、第2オンディレイ時間Tdelay2と、を設定する。この例において、第2オン時間TON2は、第1オン時間TON1と同じである。一方、第2オフ時間TOFF2は、第1オフ時間TOFF1よりも長い。このように、第1低消費モードにおいては、第2オフ時間TOFF2を第1オフ時間TOFF1よりも長くする。すなわち、第1低消費モードにおいては、オフ時間の比率を通常モードよりも高くする。これにより、手検出信号がオフ状態で、手検出部40のオン・オフを周期的に繰り返す際の消費電力をより抑制することができる。
また、第2オンディレイ時間Tdelay2は、第1オンディレイ時間Tdelay1よりも短い。このように、第1低消費モードにおいては、第2オンディレイ時間Tdelay2を第1オンディレイ時間Tdelay1よりも短くする。これにより、第2オフ時間TOFF2を第1オフ時間TOFF1よりも長くした場合においても、最大の待ち時間Tdmax2が長くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。
第2オン時間TON2は、例えば、20msである。第2オフ時間TOFF2は、例えば、400msである。第2オンディレイ時間Tdelay2は、例えば、400msである。この場合、第1低消費モードにおける最大の待ち時間Tdmax2は、TOFF2+Tdelay2の800msである。
図5(e)及び図5(f)は、制御部44の動作の参考例を表している。参考例の動作では、通常モードの動作からオフ時間のみを第2オフ時間TOFF2に変更している。すなわち、参考例の動作は、オンディレイ時間を変更することなく、オフ時間のみを長くした動作である。この場合、最大の待ち時間Tdmaxは、TOFF2+Tdelay1となる。Tdmaxは、例えば、900msである。
このように、オフ時間のみを長くした動作では、非使用時の待機状態における消費電力を抑えることができる反面、使用者が手挿入部に手を挿入してから実際に動作が開始されるまでの時間が長くなってしまう可能性がある。例えば、使用者に故障の疑いを抱かせてしまう恐れがある。このように、オフ時間のみを長くした動作では、使用者に違和感を与えてしまう可能性があり、手乾燥装置の使い勝手の低下を招いてしまう。
これに対して、本実施形態に係る手乾燥装置10では、第1低消費モードにおいて、第2オフ時間TOFF2を第1オフ時間TOFF1よりも長くし、かつ第2オンディレイ時間Tdelay2を第1オンディレイ時間Tdelay1よりも短くする。これにより、手乾燥装置10では、オフ時間のみを長くする場合に比べて、最大の待ち時間Tdmax2を短くすることができる。従って、手乾燥装置10では、待機状態における消費電力を抑制し、かつ使い勝手の低下を抑制することができる。
図6及び図7は、第1の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
図6に表したように、手乾燥装置10の制御部44は、通常モードにおいて動作を開始すると、まず、手検出部40をオフ状態にする(ステップS101)。
制御部44は、手検出部40をオフ状態にした後、内部のタイマやクロックなどを用いて計時を行い、手検出部40をオフ状態にしたタイミングから第1オフ時間TOFF1が経過したか否かを判定する(ステップS102)。
制御部44は、第1オフ時間TOFF1が経過していないと判定した場合、手検出部40のオフ状態を継続させる。一方、制御部44は、第1オフ時間TOFF1が経過したと判定した場合、手検出部40をオフ状態からオン状態に切り替える(ステップS103)。
制御部44は、手検出部40をオン状態にした後、手検出信号がオン状態か否かを判定する(ステップS104)。
制御部44は、手検出信号がオン状態であると判定した場合、続いて、手検出信号のオン状態が第1オンディレイ時間Tdelay1継続されているか否かを判定する(ステップS105、S106)。
制御部44は、第1オンディレイ時間Tdelay1の経過の前に、手検出信号がオン状態からオフ状態に切り替わった場合、ステップS101の動作に戻り、手検出部40をオフ状態にする。
一方、制御部44は、手検出信号のオン状態が第1オンディレイ時間Tdelay1継続された場合、ファンモータユニット22の駆動を開始する(ステップS107)。続いて、制御部44は、フィンヒータ26の駆動を開始する(ステップS108)。これにより、制御部44は、各吹き出し口15、16から温風を吹き出し、使用者の手を乾燥させる。また、制御部44は、手検出信号のオン状態が第1オンディレイ時間Tdelay1継続された場合、照明部34を点灯させ、手挿入部14内を照明する。
制御部44は、ファンモータユニット22及びフィンヒータ26を駆動させた後、手検出信号がオフ状態に切り替わったか否かを判定し、手検出信号がオフ状態に切り替わるまでファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動状態を継続させる(ステップS109)。すなわち、制御部44は、使用者が手挿入部14から手を引き抜くまで、ファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動状態を継続させる。
制御部44は、手検出信号がオン状態からオフ状態に切り替わったと判定すると、フィンヒータ26の動作を停止させるとともに、ファンモータユニット22の動作を停止させる(ステップS110、S111)。すなわち、各吹き出し口15、16からの風の吹き出しを停止させる。制御部44は、ファンモータユニット22及びフィンヒータ26を停止させた後、ステップS101の動作に戻り、手検出部40をオフ状態にする。
制御部44は、ステップS104において手検出信号がオン状態ではないと判定した場合、手乾燥装置10の前回の使用からモード切替時間が経過したか否かを判定する(ステップS112)。なお、図示しないが、ステップS112は、ステップS101とステップS102との間に設けても良い。
制御部44は、モード切替時間が経過していないと判定した場合、続いて、第1オン時間TON1が経過したか否かを判定する(ステップS113)。制御部44は、第1オン時間TON1が経過していないと判定した場合、ステップS104の動作に戻る。一方、制御部44は、第1オン時間TON1が経過したと判定した場合、ステップS101の動作に戻り、手検出部40をオフ状態にする。
そして、制御部44は、ステップS112においてモード切替時間が経過したと判定した場合、動作モードを通常モードから第1低消費モードに切り替える(ステップS114)。
図7に表したように、制御部44は、第1低消費モードの動作を開始すると、まず、手検出部40をオフ状態にする(ステップS201)。
制御部44は、手検出部40をオフ状態にした後、手検出部40をオフ状態にしたタイミングから第2オフ時間TOFF2が経過したか否かを判定する(ステップS202)。
制御部44は、第2オフ時間TOFF2が経過していないと判定した場合、手検出部40のオフ状態を継続させる。一方、制御部44は、第2オフ時間TOFF2が経過したと判定した場合、手検出部40をオフ状態からオン状態に切り替える(ステップS203)。この際、第2オフ時間TOFF2は、第1オフ時間TOFF1よりも長い。これにより、第1低消費モードでは、通常モードに比べてオフ時間の比率を高くし、通常モードに比べて待機状態における消費電力を抑えることができる。
制御部44は、手検出部40をオン状態にした後、手検出信号がオン状態か否かを判定する(ステップS204)。制御部44は、手検出信号がオン状態ではないと判定した場合、続いて、第2オン時間TON2が経過したか否かを判定する(ステップS205)。
制御部44は、第2オン時間TON2が経過していないと判定した場合、ステップS204の動作に戻る。一方、制御部44は、第2オン時間TON2が経過したと判定した場合、ステップS201の動作に戻り、手検出部40をオフ状態にする。
制御部44は、ステップS204において手検出信号がオン状態であると判定した場合、続いて、手検出信号のオン状態が第2オンディレイ時間Tdelay2継続されているか否かを判定する(ステップS206、S207)。
制御部44は、第2オンディレイ時間Tdelay2の経過の前に、手検出信号がオン状態からオフ状態に切り替わった場合、ステップS201の動作に戻り、手検出部40をオフ状態にする。
一方、制御部44は、手検出信号のオン状態が第2オンディレイ時間Tdelay2継続された場合、上記と同様に、ファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動を開始し、手検出信号がオフ状態に切り替わるまでファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動状態を継続させる(ステップS208〜ステップS212)。この際、第2オンディレイ時間Tdelay2は、第1オンディレイ時間Tdelay1よりも短い。これにより、第2オフ時間TOFF2を第1オフ時間TOFF1よりも長くした場合においても、最大の待ち時間Tdmax2が長くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。
この後、制御部44は、動作モードを第1低消費モードから通常モードに戻し、通常モードのステップS101の動作を再開する(ステップS213)。
このように、本実施形態に係る手乾燥装置10では、待機状態における消費電力を抑制し、かつ使い勝手の低下を抑制することができる。手乾燥装置10では、低い消費電力と良好な使い勝手との両立を図ることができる。
図6及び図7では、手乾燥装置10の前回の使用からモード切替時間が経過した場合に、通常モードから第1低消費モードに切り替える例を示している。通常モードから第1低消費モードへの切り替えは、モード切替時間の経過に限定されるものではない。
例えば、前述のように、操作部などを用いて各モードを選択的に切り替えられるようにしてもよい。上記の実施形態では、第1低消費モードの終了後、通常モードに戻るようにしている。例えば、操作部を用いて選択的に各モードを切り替える場合には、図7のステップS212の実行後、ステップS201に戻り、第1低消費モードでの動作を繰り返してもよい。
この例では、第2オン時間TON2を第1オン時間TON1と実質的に同じとしているが、第2オン時間TON2は、第1オン時間TON1と異なってもよい。例えば、第1低消費モードにおいては、第2オン時間TON2を第1オン時間TON1よりも短くしてもよい。これにより、例えば、待機状態における消費電力をより抑制することができる。
(第2の実施形態)
図8(a)〜図8(d)は、第2の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図8(a)及び図8(b)は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置10の通常モード時の動作の一例を表している。
図8(c)及び図8(d)は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置10の第1低消費モード時の動作の一例を表している。
なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8(a)〜図8(d)に表したように、この例において、制御部44は、第1低消費モードにおける最大の待ち時間Tdmax2が、通常モードにおける最大の待ち時間Tdmax1と実質的に同じとなるように、第1低消費モードの第2オン時間TON2と、第2オフ時間TOFF2と、第2オンディレイ時間Tdelay2と、を設定する。この例において、第1低消費モードの第2オフ時間TOFF2と第2オンディレイ時間Tdelay2との和は、通常モードの第1オフ時間TOFF1と第1オンディレイ時間Tdelay1との和と実質的に同じである。
前述のように、第1オフ時間TOFF1は、例えば、200msであり、第1オンディレイ時間Tdelay1は、例えば、500msである。この場合、例えば、第2オフ時間TOFF2を400msに設定し、第2オンディレイ時間Tdelay2を300msに設定する。これにより、通常モードの最大の待ち時間Tdmax1、及び第1低消費モードの最大の待ち時間Tdmax2のそれぞれを700msで実質的に同じとすることができる。
このように、第1低消費モードの最大の待ち時間Tdmax2が、通常モードの最大の待ち時間Tdmax1と実質的に同じとなるようにする。これにより、例えば、第1低消費モードにおける手乾燥装置10の使い勝手を、通常モードにおける使い勝手と実質的に同じとすることができる。例えば、使用者に与える違和感をより抑制することができる。使い勝手の低下をより抑制することができる。
なお、通常モードの最大の待ち時間Tdmax1と第1低消費モードの最大の待ち時間Tdmax2とは、厳密に一致していなくてもよい。例えば、Tdmax1とTdmax2との差の絶対値を10ms以下にする。これにより、Tdmax1とTdmax2との差が使用者に体感されてしまうことを抑制することができる。すなわち、使用者に与える違和感を適切に抑制し、使い勝手の低下を適切に抑制することができる。
(第3の実施形態)
図9(a)〜図9(e)は、第3の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図9(a)〜図9(e)は、第3の実施形態にかかる手乾燥装置10の通常モード時の動作の一例を表している。
図9(a)〜図9(e)に表したように、この例において、制御部44は、通常状態と、省電力状態と、を有している。通常状態とは、例えば、マイクロコンピュータにおけるアクティブモードなどであり、手乾燥装置10の各部を正常に制御可能な状態である。通常状態とは、例えば、上記各実施形態で説明した制御が可能な状態である。省電力状態とは、例えば、マイクロコンピュータにおけるSTOPモードやHALTモードなど、一部の動作を停止させ、制御部44での消費電力を通常状態よりも低下させた状態である。省電力状態とは、例えば、一部の機能の停止により、上記各実施形態で説明した制御の実行が不可能となった状態である。
制御部44は、手の挿入が検出されていない待機状態において、通常状態と省電力状態とを周期的に繰り返す。
制御部44は、例えば、通常状態において手検出部40をオン状態に設定し、第1オン時間TON1の経過の後、手検出部40をオン状態からオフ状態に切り替える。制御部44は、手検出部40をオフ状態に切り替えた後、通常状態から省電力状態に切り替わる。
そして、制御部44は、第1オフ時間TOFF1の経過の前に、省電力状態から通常状態に切り替わり、第1オフ時間TOFF1の経過に応答して手検出部40をオフ状態からオン状態に切り替える。
以下、制御部44は、待機状態においては、上記の処理を繰り返し、手検出部40をオン状態とオフ状態とに周期的に切り替えるとともに、通常状態と省電力状態とに周期的に切り替わる。一方、制御部44は、手検出部40によって手が検出された場合、通常状態及び手検出部40のオン状態を継続させ、上記各実施形態に関して説明したように、ファンモータユニット22やフィンヒータ26などの動作を制御する。
このように、制御部44は、通常状態の期間に手検出部40のオン状態の期間を重ねるとともに、手検出部40のオフ状態の期間に省電力状態の期間を重ねる。すなわち、制御部44は、通常状態の期間内において、手検出部40をオン状態に設定し、手検出部40のオフ状態の期間内において、自身を省電力状態に設定する。制御部44は、例えば、手検出部40のオン状態の期間に通常状態の期間を同期させ、手検出部40のオフ状態の期間に省電力状態の期間を同期させる。
このように、手検出部40がオフ状態の時に、制御部44を省電力状態にする。これにより、待機状態における消費電力をより抑制することができる。この例では、通常モード時に制御部44を省電力状態にする例を示しているが、制御部44は、第1低消費モードにおいても、同様に、通常状態と省電力状態とを周期的に繰り返す。これにより、消費電力をより抑制することができる。
制御部44の通常状態と省電力状態との切り替えは、通常モードと第1低消費モードとの一方のみで行ってもよい。すなわち、制御部44は、通常モードと第1低消費モードとの少なくとも一方において、通常状態と省電力状態とを切り替え可能であればよい。
制御部44は、例えば、省電力状態から通常状態に切り替わった直後に手検出部40をオフ状態からオン状態に切り替える。そして、制御部44は、例えば、手検出部40をオン状態からオフ状態に切り替えた直後に、通常状態から省電力状態に切り替わる。
制御部44の通常状態への切り替えのタイミングから手検出部40のオン状態への切り替えのタイミングまでの時間は、例えば、0.1ms以上1ms以下である。手検出部40のオフ状態への切り替えのタイミングから制御部44の省電力状態への切り替えのタイミングまでの時間は、例えば、0.1ms以上1ms以下である。これにより、手検出部40の切り替えを適切に制御しつつ、待機状態における制御部44での消費電力を適切に抑制することができる。
例えば、手検出部40のオン状態からオフ状態への切り替えと、制御部44の通常状態から省電力状態への切り替えは、実質的に同時でもよい。一方、手検出部40のオン状態への切り替えの時には、例えば、制御部44の動作の安定に必要となる時間分だけ、早く制御部44を立ち上げることが好ましい。
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態にかかる手乾燥装置の電気的構成を表すブロック図である。 図10に表したように、この例において、手乾燥装置100は、照度計64と、モード切替スイッチ65と、タイマ66と、をさらに有する。
照度計64は、制御部44に接続されている。照度計64は、例えば、少なくとも一部が外部に露呈するように本体部12に設けられ、本体部12の外側の照度を計測する。照度計64は、例えば、手乾燥装置100が設置されたトイレ室などの照度を計測する。そして、照度計64は、照度の計測結果を制御部44に入力する。
モード切替スイッチ65は、制御部44に接続されている。モード切替スイッチ65は、例えば、使用者が操作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じた切替信号を制御部44に入力する。
タイマ66は、制御部44に設けられている。タイマ66は、時刻の計時を行い、時刻情報を制御部44に入力する。タイマ66は、制御部44に外付けしてもよい。また、時刻情報は、例えば、外部の機器などから受信してもよい。
図11(a)〜図11(f)は、第4の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図11(a)〜図11(f)に表したように、この例において、制御部44は、第2低消費モードをさらに有する。制御部44は、第2低消費モードにおいて、第3オン時間TON3と、第3オフ時間TOFF3と、第3オンディレイ時間Tdelay3と、を設定する。この例において、第3オン時間TON3は、第1オン時間TON1及び第2オン時間TON2と同じである。一方、第3オフ時間TOFF3は、第2オフ時間TOFF2よりも長い。第3オフ時間TOFF3は、例えば、800ms〜1000ms程度である。
第2低消費モードにおいては、第3オフ時間TOFF3を第1低消費モードの第2オフ時間TOFF2よりもさらに長くする。すなわち、第2低消費モードにおいては、オフ時間の比率を第1低消費モードよりもさらに高くする。これにより、第2低消費モードを設定した場合には、待機状態における消費電力を第1低消費モードよりもさらに抑制することができる。
第3オンディレイ時間Tdelay3は、例えば、第2オンディレイ時間Tdelay2と同じである。従って、第2低消費モードでは、最大の待ち時間Tdmax3が、第1低消費モードの最大の待ち時間Tdmax2よりも長くなる。第2低消費モードは、例えば、待ち時間が長くなってしまうことを許容し、消費電力の抑制効果を高めた動作モードである。
第3オンディレイ時間Tdelay3は、第2オンディレイ時間Tdelay2と異なってもよい。第3オンディレイ時間Tdelay3は、第2オンディレイ時間Tdelay2より長くてもよいし、短くてもよい。第3オンディレイ時間Tdelay3は、例えば、第1オンディレイ時間Tdelay1と同じでもよい。第3オン時間TON3は、第1オン時間TON1及び第2オン時間TON2と異なってもよい。
モード切替スイッチ65は、第1低消費モードと第2低消費モードとの切り替えに用いられる。制御部44は、例えば、モード切替スイッチ65からの切替信号に応じて、第1低消費モードと第2低消費モードとを切り替える。モード切替スイッチ65は、例えば、通常モードをさらに選択できるようにしてもよい。
例えば、オフィスビルのトイレ室に設置された手乾燥装置100では、深夜や休日など、使用頻度が極端に低下する時間帯がある。このような時間帯においては、モード切替スイッチ65の操作などにより、手乾燥装置100を第2低消費モードに設定する。これにより、手乾燥装置100の使い勝手の低下を抑制しつつ、消費電力をより抑制することができる。
例えば、第2低消費モードが設定されていることを報知するための報知部を手乾燥装置100に設け、第2低消費モードが設定されている場合には、長めに手を挿入するように使用者に促してもよい。報知部は、文字などで報知を行うディスプレイや音声で報知を行うスピーカなど、報知が可能な任意の部材でよい。例えば、照明部34を報知部として用いてもよい。
図12は、第4の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すフローチャートである。 図12において、ステップS301〜ステップS313は、上記第1の実施形態に関して説明したステップS101〜ステップS113と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
図12に表したように、制御部44は、ステップS312においてモード切替時間が経過したと判定した場合、所定の切替条件を基に、第2低消費モードに切り替えるか否かの判定を行う(ステップS314)。なお、図示しないがステップS312およびステップS314、ステップS315、ステップS316は、ステップS301とステップS302との間に設けてもよい。
制御部44は、例えば、モード切替スイッチ65の切替信号を切替条件として判定を行う。制御部44は、モード切替スイッチ65で第1低消費モードが設定されている場合には、第1低消費モードへの切り替えを判定する。一方、制御部44は、モード切替スイッチ65で第2低消費モードが設定されている場合には、第2低消費モードへの切り替えを判定する。
制御部44は、第1低消費モードへの切り替えを判定した場合、動作モードを通常モードから第1低消費モードに切り替える(ステップS315)。制御部44は、例えば、図7に関して説明した処理を第1低消費モードで実行する。
一方、制御部44は、第2低消費モードへの切り替えを判定した場合、動作モードを通常モードから第2低消費モードに切り替える(ステップS316)。第2低消費モードの処理フローは、第1低消費モードの処理フローと実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
このように、制御部44に第2低消費モードをさらに設ける。これにより、例えば、手乾燥装置100の待機状態の消費電力をより抑制することができる。また、第1低消費モードと第2低消費モードとを切り替え可能とすることで、手乾燥装置100の使い勝手をより高めることができる。
上記実施形態では、モード切替スイッチ65からの切替信号を、第2低消費モードに切り替えるか否かの切替条件としている。切替条件は、これに限ることなく、切り替えの判定が可能な任意の条件でよい。
例えば、照度計64で計測された照度が所定値未満の場合には、夜間など、使用頻度の低い時間帯であることが考えられる。そこで、ステップS314における判定において、照度計64の計測結果を切替条件とし、照度が所定値以上の場合には、第1低消費モードへの切り替えを判定し、照度が所定値未満の場合には、第2低消費モードへの切り替えを判定してもよい。
例えば、タイマ66の時刻情報を切替条件とし、日中などの第1の時間帯(例えば7時から21時)においては第1低消費モードへの切り替えを判定し、夜間などの第2の時間帯(例えば21時から翌日の7時)においては第2低消費モードへの切り替えを判定してもよい。
例えば、タイマ66の時刻情報を基に、手乾燥装置100の使用頻度をEEPROM60などの記憶部に記憶し、使用頻度の高い時間帯や使用頻度の低い時間帯を自動的に学習するようにしてもよい。例えば、手乾燥装置100の使用毎に、制御部44が、使用時刻を手乾燥装置100の使用頻度に関する使用頻度情報として記憶部に蓄積する。この使用頻度情報を基に、第2低消費モードへの切り替えを判定してもよい。すなわち、第2低消費モードに切り替えるか否かの判定を行った時刻が、使用頻度情報における使用頻度の高い時刻である場合には、第1低消費モードへの切り替えを判定し、使用頻度情報における使用頻度の低い時刻である場合には、第2低消費モードへの切り替えを判定してもよい。例えば、タイマ66の時刻情報に日付や曜日の情報を含め、日付や曜日毎に使用頻度の高い時間帯などを判別できるようにしてもよい。
例えば、第1モード切替時間と、第1モード切替時間よりも長い第2モード切替時間と、を用意し、前回の使用から第1モード切替時間が経過した場合に、第1低消費モードを設定し、前回の使用から第2モード切替時間が経過した場合に、第2低消費モードを設定してもよい。
また、低消費モードの数は、2つに限ることなく、オン時間、オフ時間、及びオンディレイ時間の設定がそれぞれ異なる3つ以上の低消費モードを設けてもよい。
(第5の実施形態)
図13及び図14は、第5の実施形態にかかる制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
図13は、第1低消費モードの動作の変形例を表す。図14は、第2低消費モードの動作の変形例を表す。このように、図13及び図14では、第1低消費モード及び第2低消費モードの動作の変形例を第5の実施形態として表す。
図13に表したように、制御部44は、手検出部40による手の検出及び第2オンディレイ時間Tdelay2の経過に応じてファンモータユニット22及びフィンヒータ26を駆動し、手検出信号のオン状態からオフ状態への変化に応じてファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動を停止させた後、ファンモータユニット22が動作を開始してから停止するまでの動作時間が所定時間以上か否かの判定を行う(ステップS413)。なお、図13において、ステップS401〜ステップS412は、図7に関して説明したステップS201〜ステップS212と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
制御部44は、例えば、ステップS408におけるファンモータユニット22の駆動開始とともに計時を開始し、ステップS412におけるファンモータユニット22の駆動停止とともに計時を停止し、計時した時間と予め決められた所定時間とを比較する。これにより、制御部44は、ファンモータユニット22の動作時間が所定時間以上か否かを判定する。
制御部44は、所定時間以上であると判定した場合、動作モードを第1低消費モードから通常モードに戻し、通常モードの動作を再開する(ステップS414)。一方、制御部44は、所定時間未満であると判定した場合、ステップS401に戻り、第1低消費モードの動作を継続する。
ファンモータユニット22の動作時間が所定時間未満である場合には、例えば、虫などが手挿入部14内に侵入した誤動作であることが考えられる。従って、ファンモータユニット22の動作時間が所定時間未満である場合には、第1低消費モードを継続する。これにより、例えば、誤動作によって通常モードに戻り、消費電力が高くなってしまうことを抑制することができる。
ファンモータユニット22の動作時間を判定する所定時間は、例えば、2秒である。制御部44は、ファンモータユニット22の動作時間が2秒以上である場合に、通常モードに戻り、ファンモータユニット22の動作時間が2秒未満である場合に、第1低消費モードを継続する。
図14に表したように、制御部44は、第2低消費モードにおいても第1低消費モードと同様に、ファンモータユニット22及びフィンヒータ26の駆動を停止させた後、ファンモータユニット22が動作を開始してから停止するまでの動作時間が所定時間以上か否かの判定を行う。そして、制御部44は、所定時間以上である場合には、動作モードを第2低消費モードから通常モードに戻し、所定時間未満である場合には、第2低消費モードの動作を継続する。これにより、第2低消費モードにおいても、誤動作に起因する消費電力の増加を抑制することができる。
例えば、前回の使用から第1モード切替時間が経過した場合に、第1低消費モードを設定し、第2モード切替時間が経過した場合に、第2低消費モードを設定するなどといったように、通常モードから第1低消費モードに、そして第1低消費モードから第2低消費モードに段階的に変化させることが考えられる。このような場合には、例えば、ファンモータユニット22の動作時間が所定時間以上であると判定した際に、第2低消費モードから第1低消費モードに戻るようにしてもよい。
(第6の実施形態)
図15は、第6の実施形態にかかる手乾燥装置を表す斜視図である。
図16は、第6の実施形態にかかる手乾燥装置を表す縦断面図である。
図15及び図16に表したように、手乾燥装置200は、本体部202を備える。本体部202は、機能部204と、機能部204の下方に設けられた水受部206と、機能部204と水受部206との間に設けられた手挿入部208と、を有する。手乾燥装置200は、例えば、背面をトイレ室等の壁面に当接させた状態で、トイレ室などに設置される。
手挿入部208は、使用者の手を挿入可能にした凹状である。この例において、手挿入部208は、前方及び左右方向に開口した溝状である。従って、手乾燥装置200では、前方から後方(壁側)に向かって手挿入部204に手を挿入する。
図16に表したように、機能部204は、内部に空間を形成する第1ケース210と、第1ケース210内に設けられた内部ケース212と、内部ケース212内に設けられた送風機214(気体供給部)及びヒータ216と、を有する。
また、第1ケース210の内部には、手検出部220と、制御部222とが内部ケース212の下方に設けられており、内部ケース212の下部にはノズル部材224が設けられている。さらに、ノズル部材224の内部に挿入されるようにして、温度センサ226が配置されている。
送風機214は、内部に配置されるモータ230と、そのモータ230の出力軸に接続されるファン(図示せず)を有している。モータ230は電力が供給されることによって駆動する電動機であり、この電力の供給は制御部222によって制御される。また、モータ230は、その出力軸を介してファンを回転させることで、送風機入口232から空気を吸引して内部に取り込む。取り込んだ空気はモータ230側に流れ、その外側に開設された送風機出口234から外部に吹き出される。
手検出部220は、手挿入部208内に使用者の手が挿入されたことを検知するためのセンサである。手検出部220は、例えば、手挿入部208内に赤外線を照射するとともに、使用者の手が手挿入部208内に挿入された場合に、その使用者の手で反射した赤外線を受信することで、使用者の手を検出する。手検出部220は、例えば、赤外線が反射した反射対象物の距離に応じて使用者の手を検出する測距センサである。手検出部は、使用者の手の挿入を検出すると、手検出信号を制御部222に送信する。
ノズル部材224は、内部ケース212の下端の内部ケース出口212aに、それぞれの内部が連通するよう接続されている。ノズル部材224の下端部にはスリット状の吹き出し口224aが設けられるとともに、第1ケース210の下面から手挿入部208内に臨出している。また、ノズル部材224は、上端部から下端部にかけて、その内部の断面積が漸次小さくなるよう形成されている。このノズル部材224の内部には温度センサ226が外部から挿入されており、空気の温度を検出可能に構成されている。
ヒータ216は、内部ケース出口212aの近傍に設けられ、内部ケース出口212aからノズル部材224内へと流入する空気が、その内部を通過できるよう構成されている。また、ヒータ216は、電力の供給を受けて発熱し、その内部を通過する空気を熱伝達によって加熱することができる。この電力の供給は制御部222によって制御されており、供給される電力が大きいほどヒータ216の出力も大きくなり、通過する空気も高温となる。
水受部206は、樹脂材料で一体的に形成された第2ケース240と、第2ケース240の下方に配置される水受けトレー250とを備えている。第2ケース240は、壁面に沿って伸びる背板241と、背板241の下端から前方に延びる底板242とを有する。また、背板241と底板242の両側及び前方の端部には、連なるようにして前方又は上方に突出する側板243を有している。このように構成された第2ケース240と、第1ケース210の下面により、前面及び左右両側面が開放された手挿入部208が区画形成される。また、図15に示すように、底板242には上下方向に貫通する排水孔260が設けられている。この排水孔260から下方に排出された水は、底板242の下方に配置される水受けトレー250内に貯留されるよう構成されている。
手乾燥装置200に電力が供給されると、手検出部220は手挿入部208内に赤外線を照射し、使用者の手の挿入に待機する。そして、手挿入部208内に使用者の濡れた手が挿入され、手検出部220がそれを検出すると、手検出部220は制御部222に手検出信号を送信する。手検出信号を受信した制御部222は、モータ230及びヒータ216への電力供給を開始し、それらの駆動及び出力を開始させる。
モータ230が駆動を開始すると、その出力軸に接続されているファン(図示せず)が回転を開始する。このファンの回転により、機能部204、水受部206の背面寄りの側面にそれぞれ設けられた第1吸込口261、第2吸込口262から、矢印Faのように空気が吸い込まれる。
第1吸込口261と第2吸込口262から吸い込まれた空気は、それぞれ機能部204の背面と壁面とで形成される第1背面風路271と、水受部206の背面と壁面とで形成される第2背面風路272を、機能部204の背面下部に設けられるフィルタ部材280に向けて流れる。フィルタ部材280は、空気が通過可能なメッシュ状の部材であり、通過の際に空気中に含まれる異物を除去することが可能に構成されている。
フィルタ部材280を壁面側から前方側に通過した空気は、矢印Fbのようにその流れの向きを上方向に変えて、下流に設けられる吸気ダクト281内に流入する。そして、空気は吸気ダクト281内を流れ、壁面W側に向けて開設された内部ケース入口212bから、矢印Fcのようにその流れの向きを前方へと変え、内部ケース212内に流入する。
内部ケース212内には、送風機214がその送風機入口232を内部ケース入口212bに対向させて収容されている。内部ケース入口212bを通過し、送風機入口232から送風機214の内部に流入した空気は、モータ230の近傍に至る。電力供給を受けて駆動しているモータ230は、その巻線等においてジュール熱が生じているため、このモータ230の近傍を流れる空気が加熱され、昇温する。この昇温した空気は、矢印Fdのように送風機出口234から外部に吹き出される。
送風機出口234から吹き出された空気は、送風機214と内部ケース212との間を流れ、下方の内部ケース出口212aに至る。上記のように、内部ケース出口212aの近傍にはヒータ216が配置されており、空気はヒータ216の内部を通過してさらに下方のノズル部材224の上端へと流れる。ヒータ216は電力の供給を受けて発熱していることから、通過する空気は熱伝達により加熱され、さらに昇温してノズル部材224内に流入する。この際に温度センサ226が検知する温度は、モータ230及びヒータ216で加熱され、ノズル部材224内に流入してくる空気の温度である。
上記のように、ノズル部材224は、上端部から下端部にかけて、その内部の断面積が漸次小さくなるよう形成されている。したがって、ノズル部材224の上端部から内部に流入した空気は、加速しながらその下端部へと向かい、吹き出し口224aから矢印Feのように手挿入部208内に向けて吹き出す。手挿入部208内に挿入された使用者の濡れた手(図示せず)に付着した水滴は、吹き出し口224aから吹き出す空気によって吹き飛ばされる。これにより、手挿入部208内に挿入された使用者の濡れた手が乾燥される。
上記のように構成された手乾燥装置200において、通常モードと第1低消費モードとを設ける。これにより、上記各実施形態と同様に、待機状態における消費電力を抑制し、かつ使い勝手の低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置10、100、200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。