JP6646526B2 - 水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置 - Google Patents
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Description
図1の当該水素ガス製造装置は、触媒存在下の加熱により有機ハイドライドAの脱水素反応を行う反応器1と、反応器1から排出される芳香族化合物及び水素の混合ガスから冷却により芳香族化合物を気液分離する分離器2と、分離器2で分離した混合ガス(水素リッチガスB)を精製する主吸着塔3と、水素リッチガスBの精製停止後の主吸着塔3内から排出される残留ガスを含む排出ガスCを精製し、高純度水素ガスを得る残留ガス用吸着塔4とを主に備える。また、当該水素ガス製造装置は、分離器2より排出される水素リッチガスBを貯蔵する水素リッチガスバッファタンク5と、排出ガスCの水素ガス以外のガス濃度によって排出ガスCの残留ガス用吸着塔4への供給を停止する制御機構(図示省略)とをさらに備える。
反応器1は、触媒存在下の加熱により有機ハイドライドAの脱水素反応を行う脱水素反応器である。具体的には、反応器1は、有機ハイドライドAの脱水素反応を促進する脱水素反応触媒を有し、有機ハイドライドAを加熱すると共に脱水素反応触媒と接触させることによって、有機ハイドライドAから水素を分離する酸化反応を生じさせる。これにより、芳香族化合物及び水素の混合ガスが発生する。なお、有機ハイドライドAとしてMCHを用いた場合には、混合ガス中に未反応のMCHや副生物であるメタン、ベンゼン等も含まれる可能性がある。
分離器2は、反応器1から排出される芳香族化合物及び水素の混合ガスを冷却により芳香族化合物及び水素の混合ガスに気液分離し、水素リッチガスBを得る。分離器2は、内部に流通するガスを冷却する冷却機構を有する。分離器2の内部でガスが冷却されることで、沸点が比較的高いMCH、芳香族化合物等が混合ガスから分離し易くなり、分離後のガス中のトルエンを含む芳香族化合物濃度が低減される。液体として分離された芳香族化合物は、分離器2からドレンDとして排出される。
水素リッチガスバッファタンク5は、分離器2より排出される水素リッチガスBを一次貯蔵して流量の変動を吸収し、主吸着塔3に安定して供給するために水素リッチガス供給ライン101に設けられる。具体的には、分離器2より排出される水素リッチガスBはコンプレッサ(図示省略)で圧縮され、水素リッチガスバッファタンク5に貯蔵される。水素リッチガスバッファタンク5内の圧力の下限としては、絶対圧で5気圧が好ましく、8気圧がより好ましい。一方、水素リッチガスバッファタンク5内の圧力の上限としては、20気圧が好ましく、10気圧がより好ましい。上記圧力が上記下限より小さいと、水素リッチガスBの主吸着塔3への供給が容易でなくなるおそれがある。逆に、上記圧力が上記上限を超えると、装置及び運転コストが過大となるおそれがある。
主吸着塔3は、分離器2で分離された混合ガス(水素リッチガスB)を精製し、水素リッチガスBよりも純度の高い高純度の水素ガスを製品ガスEとして得る。具体的には、主吸着塔3にはTSA法又はPSA法で再生可能な吸着剤が充填されており、有機ハイドライドからの脱水素反応において生成する副反応物の炭化水素ガスなど、水素リッチガスB中に含まれる不純物を吸着除去する。また、装置を小型化する観点から主吸着塔3はPSA型とすることが好ましい。
(1)4つの主吸着塔3の内の1つ(主吸着塔3a)に水素リッチガスBを供給することにより、不純物を吸着除去して高純度水素ガスを製造する吸着ステップ
(2)吸着ステップを終了した主吸着塔3a内に残存するガスの一部を後述する第2均圧ステップの終了した主吸着塔3cに移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3cとの内圧を均圧にする第1均圧ステップ
(3)第1均圧ステップでの均圧状態を保持する保持ステップ
(4)保持ステップが終了した主吸着塔3a内に残存するガスの一部を、主吸着塔3dに移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3dとの内圧を均圧にする第2均圧ステップ
(5)第2均圧ステップを終了した主吸着塔3a内に残存するガスをオフガスバッファタンク7に移送し、内圧を大気圧まで減圧する第1減圧ステップ
(6)第1減圧ステップで大気圧まで減圧した主吸着塔3aをさらに真空ポンプP1を用いて大気圧未満まで減圧する第2減圧ステップ
(7)第2減圧ステップで主吸着塔3aを大気圧未満に減圧した状態で、製品ガスバッファタンク6又は他の主吸着塔3から高純度ガスEを供給して、主吸着塔3aの吸着剤に吸着された不純物を脱着させる吸着剤再生ステップ
(8)吸着剤再生ステップで吸着剤の再生が終了した主吸着塔3aに保持ステップの終了した主吸着塔3b内に残存するガスの一部を移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3bとの内圧を均圧にする第2均圧ステップ
(9)吸着ステップの終了した主吸着塔3c内に残存するガスの一部を移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3cとの内圧を均圧にする第1均圧ステップ
(10)主吸着塔3a内に高純度水素ガスEを導入し、主吸着塔3a内の圧力を吸着ステップを行う圧力まで昇圧する昇圧ステップ
(1)3つの主吸着塔3の内の1つ(主吸着塔3a)に水素リッチガスBを供給することにより、不純物を吸着除去して高純度水素ガスを製造する吸着ステップ
(2)吸着ステップを終了した主吸着塔3a内に残存するガスの一部を後述する再生ステップの終了した主吸着塔3cに移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3cとの内圧を均圧にする均圧ステップ
(3)均圧ステップを終了した主吸着塔3a内に残存するガスをオフガスバッファタンク7に移送し、内圧を大気圧まで減圧する第1減圧ステップ
(4)第1減圧ステップで大気圧まで減圧した主吸着塔3aをさらに真空ポンプP1を用いて大気圧未満まで減圧する第2減圧ステップ
(5)第2減圧ステップで主吸着塔3aを大気圧未満に減圧した状態で、製品ガスバッファタンク6又は他の主吸着塔3から高純度ガスEを供給して、主吸着塔3aの吸着剤に吸着された不純物を脱着させる吸着剤再生ステップ
(6)吸着剤再生ステップで吸着剤の再生が終了した主吸着塔3aに吸着ステップの終了した主吸着塔3b内に残存するガスの一部を移送し、主吸着塔3aと主吸着塔3bとの内圧を均圧にする均圧ステップ
(7)主吸着塔3a内に高純度水素ガスEを導入し、主吸着塔3a内の圧力を吸着ステップを行う圧力まで昇圧する昇圧ステップ
残留ガス用吸着塔4は、水素リッチガスの精製停止後の主吸着塔3内から排出される残留ガスを含む排出ガスCを精製し、高純度水素ガスEを得る。具体的には、残留ガス用吸着塔4にはTSA法又はPSA法で再生可能な吸着剤が充填されており、排出ガス供給ライン201で供給される排出ガスC中に含まれる水素ガス以外の不純物を吸着除去する。残留ガス用吸着塔4は主に精製再開時のみ(例えば1日当たり1時間以上2時間以下)使用されるため、それ以外の時間(例えば1日当たり22時間以上23時間以下)に再生を行うことができる。そのため、残留ガス用吸着塔4の数は1台でよいが、複数台としてもよい。
当該水素ガス製造装置が備える制御機構は、水素リッチガスBの精製の停止後、精製の再開までに、主吸着塔3内から排出される残留ガスを含む排出ガスCを残留ガス用吸着塔4に供給し、さらに排出ガスCの水素ガス以外のガス濃度によって排出ガスCの残留ガス用吸着塔4への供給を停止する制御を行う。この制御は例えば排出ガス供給ライン201に設けた排出ガス制御弁V6の開閉により行うことができる。また、この制御は、水素リッチガスBの精製の再開直前に行うとよい。
次に、図1の水素ガス製造装置を用いて、当該水素ガス製造方法について説明する。
脱水素反応工程では、反応器1を用いて、触媒存在下の加熱により有機ハイドライドAの脱水素反応を行う。
気液分離工程では、分離器2を用いて、上記反応器1から排出される芳香族化合物及び水素の混合ガスを芳香族化合物及び水素を含む混合ガスに気液分離し、水素リッチガスBを得る。この気液分離は、分離器2内部に流通するガスを冷媒により冷却しながら行う。このように気液分離工程で分離器2の内部に流通するガスを冷却することで、芳香族化合物と水素とが分離し易くなり、分離後のガス中の芳香族化合物濃度が低減される。
水素リッチガス精製工程では、主吸着塔3を用いて、水素リッチガスBを精製し、高純度の水素ガスを得る。水素リッチガス精製工程では、主吸着塔3に流通するガスを冷媒により冷却しながら水素ガスの精製を行うとよい。このように吸着時に主吸着塔3内部に流通するガスを冷却することで、吸着剤による不純物の有効吸着量が増加し、吸着剤の必要量が低減され装置を小型化することができる。
主吸着塔再生工程では、主吸着塔3を上述した均圧ライン104、洗浄ライン105及びオフガス排出ライン103と、パージガスとしての高純度の水素ガスとを用いて再生し、オフガスFを排出する。パージガスとして使用する水素ガスは、当該水素ガス製造方法で得たものでもよいし、予め用意した水素ガスであってもよい。
排出ガス精製工程は、水素リッチガスBの精製を停止した後、精製を再開するまでに、主吸着塔3内から排出される残留ガスを含む排出ガスCを残留ガス用吸着塔4により精製し、高純度水素ガスを得る。排出ガス精製工程は、水素リッチガスBの精製の再開直前に行うとよい。
残留ガス用吸着塔再生工程では、主吸着塔3と同様の手順で、残留ガス用吸着塔4を再生し、オフガスを排出する。オフガスは、真空ポンプP1の吸引によりオフガスバッファタンク7に貯留され、適宜処理される。
当該水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置によれば、水素リッチガスの精製の再開までに、吸着塔内の残留ガスを排出し、この残留ガスを含むガスを吸着塔で精製することで、排出ガスに含まれる残留ガス及び水素ガスを高純度水素ガスとして回収することができる。その結果、当該水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置は、水素ガスの回収率低下を抑制すると共に水素ガス供給までの立ち上げ時間を短縮できる。
本発明の水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置は、上記実施形態に限定されるものではない。
2 分離器
3、3a、3b、3c、3d 主吸着塔
4 残留ガス用吸着塔
5 水素リッチガスバッファタンク
6 製品ガスバッファタンク
7 オフガスバッファタンク
101 水素リッチガス供給ライン
102 製品ガス排出ライン
103 オフガス排出ライン
104 均圧ライン
105 洗浄ライン
201 排出ガス供給ライン
202 第二製品ガス排出ライン
203 第二オフガス排出ライン
A 有機ハイドライド
B 水素リッチガス
C 排出ガス
D ドレン
E 製品ガス
F オフガス
V1a、V1b、V1c、V1d 水素リッチガス供給弁
V2a、V2b、V2c、V2d 製品ガス排出弁
V3a、V3b、V3c、V3d オフガス排出弁
V4a、V4b、V4c、V4d 均圧弁
V5a、V5b、V5c、V5d 洗浄弁
V6 排出ガス制御弁
P1 真空ポンプ
Claims (4)
- 水素ガス及び水素以外の不純物ガスを含む水素リッチガスから吸着塔による精製で高純度水素ガスを製造する水素ガス製造方法であって、
上記水素リッチガスの精製を停止してから再開するまでに、上記吸着塔内から排出される残留ガスを含む排出ガスを残留ガス用吸着塔により精製する工程を備え、
触媒存在下の加熱により有機ハイドライドの脱水素反応を行う工程をさらに備え、
上記水素リッチガスが上記脱水素反応工程で排出され、
上記残留ガス用吸着塔がTSA型であり、
上記脱水素反応の熱を用いて上記残留ガス用吸着塔の再生を行うことを特徴とする水素ガス製造方法。 - 上記排出ガス精製工程で、上記排出ガスの水素ガス以外のガス濃度によって排出ガスの上記残留ガス用吸着塔への供給を停止する請求項1に記載の水素ガス製造方法。
- 上記吸着塔に充填される吸着剤が、ゼオライト、活性炭、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、又は金属有機構造体である請求項1又は請求項2に記載の水素ガス製造方法。
- 水素ガス及び水素以外の不純物ガスを含む水素リッチガスから吸着塔による精製で高純度水素ガスを製造する水素ガス製造装置であって、
上記水素リッチガスの精製停止後の上記吸着塔内から排出される残留ガスを含む排出ガスを精製する残留ガス用吸着塔と、
触媒存在下の加熱により有機ハイドライドの脱水素反応を行う反応器と
を備え、
上記残留ガス用吸着塔がTSA型であり、
上記脱水素反応の熱を上記反応器及び上記残留ガス用吸着塔で循環する熱循環部をさらに備えることを特徴とする水素ガス製造装置。
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