JP6434475B2 - 外装端部用キャップ及びワイヤハーネス - Google Patents
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Description
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
図1(a)及び図2において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末(ハーネス端末13)にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14(外部接続手段)とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するためのクランプCと、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
図2及び図3において、ハーネス本体21は、二本の長尺な導電路22と、この二本の導電路22を収容・保護する外装部材23と、二本の導電路22が引き出される外装部材23の端部24に対し取り付けられる本発明の外装端部用キャップ25とを備えて構成される。尚、導電路22の本数は一例であり、少なくとも二本あるものとする。
図2及び図3において、導電路22は、導電性の導体26と、この導体26を被覆する絶縁性の絶縁体27と、シールド機能を発揮させるための編組28(シールド部材)とを備えて構成される。すなわち、導電路22は、シースの存在しないものが採用される(一例であるものとする)。導電路22は、これにシースが存在しないことから、その分、軽量になるのは勿論である(導電路22は長尺であることから、従来例に比べ大幅に軽量化を図ることができるのは勿論である)。
図3及び図4において、導体26は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体26に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば丸単心となる導体構造であり、この場合、導電路自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体26は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体27が押出成形される。
図3及び図4において、絶縁体27は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体26の外周面に押出成形される。絶縁体27は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体27は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
図3及び図4において、編組28は、導電路22の最外層として設けられる。このような編組28は、導電性を有する極細の素線を編んで筒状に形成される。また、編組28は、絶縁体27の一端から他端にかけて外周面全体を覆うような形状及びサイズに形成される。尚、編組28に限らず金属箔等をシールド部材として用いてもよいものとする。
図2及び図3において、外装部材23は、絶縁性を有する樹脂の成形にて一本の真っ直ぐな管体形状のものに形成される(使用前は真っ直ぐである)。また、外装部材23は、腹割きなしの形状に形成される(別な言い方をすれば、スリットのない形状に形成される(割チューブでない形状に形成される))。さらに、外装部材23は、導電路22の形状に合わせて断面円形状に形成される。
図2及び図3において、可撓管部29は、車両取付形状(ワイヤハーネス配索先の形状。後述する取付対象49の形状)に合わせて配置される。また、可撓管部29は、車両取付形状に合わせた長さにも形成される。可撓管部29の長さは一定でなく、車両取付形状に合わせて必要な長さにそれぞれ形成される。このような可撓管部29は、ワイヤハーネス9の梱包状態や輸送時、さらには車両への経路配索時に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるように形成される。すなわち、可撓管部29は、撓ませて曲げ形状にすることができるとともに、真っ直ぐな元の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるように形成される。本実施例の可撓管部29は、蛇腹凹部及び蛇腹凸部を有する蛇腹管形状に形成される(一例であるものとする)。
図2及び図3において、ストレート管部30は、可撓管部29のような可撓性を持たない部分として形成される。また、ストレート管部30は、梱包状態や輸送時、さらには経路配索時において曲がらない部分としても形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である)。ストレート管部30は、長い直管形状に形成される。このようなストレート管部30の外周面は、凹凸のない形状に形成される(一例であるものとする)。
図3ないし図10において、外装端部用キャップ25は、例えば耐候性や耐熱性等を有する樹脂材料を用いてなる樹脂成形品であって、二本の導電路22に対し取り付けられるとともに、この導電路22が引き出された外装部材23に対しても取り付けられる。本実施例においては、外装部材23に対しガタツキなく取り付けられる(若干の圧入状態であってもよいものとする)。外装端部用キャップ25は、例えば砂等が外部から外装部材23の内側(内部)に侵入しようとしてもこれを阻止するために備えられる。また、外装部材23内での導電路22の損傷を防止するためにも備えられる。このような外装端部用キャップ25には、外側露出部31と、この外側露出部31に連続する内側挿入部32とが形成される。本実施例の外装端部用キャップ25は、二つ割りの構造で且つヒンジ33にて繋がれるような状態に形成される。
図3ないし図10において、外側露出部31は、外装部材23の外側に露出する略円柱状(又は略円盤状)の部分に形成される。外側露出部31は、この直径が外装部材23の端部24の外径以上になるような大きさに形成される。また、外側露出部31は、作業者が手でもって外装部材23への挿入作業をし易くすることができるような厚みにも形成される。このような外側露出部31には、二本の導電路22に対する導電路用貫通部34a、34bと、外装部材23の端部24に当接してこれを塞ぐ第一塞ぎ部35a、35bとが形成される。尚、引用符号がa、bに分かれるのは、外装端部用キャップ25が上記の如く二つ割りの構造であり、そのため外側露出部31も二つ割りの構造(二分割構造)になるからである。外側露出部31においては、引用符号36aが上側の分割部分、引用符号36bが下側の分割部分を示す。上側の分割部分36a及び下側の分割部分36bは、それぞれ半円形状(図中A視方向から見た形状)に形成され、ヒンジ33にて繋がれる。二つ割りの構造にて生じる分割面37a、37bには、係合部38a、38bが形成される。
図4、及び図6〜図8において、外側露出部31は、二本の導電路22を隣り合わせで並べた状態にし、そして、この状態で挟み込むことができる形状に形成される。また、導電路用貫通部34a、34bは、導電路22の最外層(編組28)に対して接触(密着)する形状に形成される。そのため導電路用貫通部34a、34bは、それぞれ半円状の凹部となる形状に形成される。導電路用貫通部34a、34bは、二本の導電路22にガタツキを生じさせないような部分に形成される。尚、引用符号39a、39bは、第二塞ぎ部延長部分を示す。
図3、図4、図6、及び図8において、第二塞ぎ部延長部分39a、39bは、後述する第二塞ぎ部41a、41bを外側露出部31の位置まで延長してなる部分であって、並んだ二本の導電路22の隙間(二本並べた時にこれらの間に生じる断面略イチョウ形の隙間)に合わせた凸形状に形成される。第二塞ぎ部延長部分39a、39bは、後述する第二塞ぎ部41a、41bと同じ機能部分として形成される。尚、後述する第二塞ぎ部41a、41bがあることから、第二塞ぎ部延長部分39a、39bの形成は任意であるものとする(あった方が好ましいのは勿論である)。
図3ないし図7において、第一塞ぎ部35a、35bは、本発明の特徴部分であって、外装部材23の端部24に対向する側に配置される。第一塞ぎ部35a、35bは、上述の如く端部24に当接してこれを塞ぐ部分として形成される。第一塞ぎ部35a、35bは、環状の平面に形成される(面形状に形成される。この他、端部24を差し込むことができる環状溝形状や段差形状であってもよいものとする)。
図4ないし図8において、係合部38a、38bは、分割面37a、37bに配置される凹凸形状の部分であって、凹と凸とが例えば圧入で係合しあうことにより、分割面37a、37bの面接触状態が維持されるように形成される。係合部38a、38bは、仮にヒンジ33の破損があっても外側露出部31が分割状態に戻らないようにするための部分として形成される(分割状態に戻らないようにすることができれば、外装部材23内への砂等の混入防止を維持することができる)。尚、係合部38a、38bの図示形状は一例であるものとする。分割状態に戻らなければ特に形状は限定されないものとする。本実施例の係合部38a、38bは、ヒンジ33から離れた反対側の位置に形成される。
図3ないし図10において、内側挿入部32は、外側露出部31に連続し且つ外側露出部31よりも小径となる略円柱状の部分に形成される。また、内側挿入部32は、この直径が外装部材23の端部24の内径に合わせた大きさで、且つ、外装部材23の内側に挿入される部分として形成される。このような内側挿入部32には、二本の導電路22に対する導電路用貫通部40a、40bと、この導電路用貫通部40a、40bに連続する第二塞ぎ部41a、41bと、一対の導電路露出用スリット42a、42bとが形成される。尚、引用符号がa、bに分かれるのは、外装端部用キャップ25が上記の如く二つ割りの構造であり、そのため内側挿入部32も二つ割りの構造(二分割構造)になるからである。内側挿入部32においては、引用符号43aが上側の分割部分、引用符号43bが下側の分割部分を示す。上側の分割部分43a及び下側の分割部分43bは、例えば略半円柱形状にそれぞれ形成される。
図5ないし図8において、内側挿入部32は、二本の導電路22を隣り合わせで並べた状態にし、そして、この状態で挟み込むことができる形状に形成される。また、導電路用貫通部40a、40bは、導電路22の最外層(編組28)に対して接触(密着)するような形状に形成される。導電路用貫通部40a、40bは、それぞれ半円状の凹部となる形状に形成される。また、導電路用貫通部40a、40bは、二本の導電路22にガタツキを生じさせない保持部分になる形状にも形成される。
図3、及び図5〜図8において、第二塞ぎ部41a、41bは、本発明の特徴部分であって、上述の如く導電路用貫通部40a、40bに連続するように配置形成される。また、外側露出部31における第二塞ぎ部延長部分39a、39bが連続するようにも形成される。第二塞ぎ部41a、41bは、並んだ二本の導電路22の隙間(二本並べた時にこれらの間に生じる断面略イチョウ形の隙間)に合わせた凸形状に形成される。第二塞ぎ部41a、41bは、例えば砂等が外部から(上記隙間から)外装部材23の内側(内部)に侵入しようとしてもこれを阻止する部分として形成される。
図4〜図7、及び図9〜図10において、一対の導電路露出用スリット42a、42bは、本発明の特徴部分であって、分割面37a、37bの位置に合わせ、且つ管軸方向に沿って導電路22の最外層(編組28)の一部46を露出させることができるような部分に形成される。また、一対の導電路露出用スリット42a、42bは、外装部材23における端部24の近傍に存する内面47に対し、上記一部46を接触させることができるような部分にも形成される。一対の導電路露出用スリット42a、42bは、本実施例において、内側挿入部32の左右両側部全体の位置に配置形成される。一対の導電路露出用スリット42a、42bは、スリット状となる図示形状に形成される。このような一対の導電路露出用スリット42a、42bは、導電路22の一部46を第三塞ぎ部48として機能させるための部分に形成される。
図3、及び図5〜図8において、テーパ面44a、44bは、上記の如く外装部材23の端部24にて案内される部分であって、挿入荷重の低減に寄与することを目的として形成される。テーパ面44a、44bは、内側挿入部32の挿入先端部分において所定の角度で傾斜するように形成される。
図3〜図5、図7、及び、図9〜図10において、抜け止め部45は、上記の如く外装部材23の内面に引っ掛かる凸状の部分であって、本実施例においては半球状に形成される(引っ掛かりが生じれば特に形状は限定されないものとする)。抜け止め部45は、下側の分割部分43bの外面に一箇所だけ配置形成される。また、抜け止め部45は、外側露出部31に近い側に配置形成される。尚、抜け止め部45を一箇所としたのは、外装部材23への挿入荷重の低減を図るためである。また、半球状に形成したのも挿入荷重を低減させるためである。
図3ないし図10において、外装端部用キャップ25は、ヒンジ33を回転中心にして図の上下方向から二本の導電路22の所定位置を挟み込むような状態にして、また、挟み込みの際に分割面37a、37bの係合部38a、38bが係合するような状態にして、二本並べた導電路22に対し取り付けられる。この時、並べた状態の二本の導電路22の隙間は、内側挿入部32の第二塞ぎ部41a、41b及び外側露出部31の第二塞ぎ部延長部分39a、39bにより塞がれる。
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス9は次のようにして製造される(例えば図2及び図3参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、全体が略直線状に樹脂成形された外装部材23の一端開口から他端開口へと二本の導電路22を挿通することにより製造される。また、ワイヤハーネス9は、外装部材23の外面所定位置にクランプCやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
以上、図1ないし図10を参照しながら説明をしてきたように、外装端部用キャップ25を用いることにより、例えばテープ巻きを施すのみの場合と比べ、外装部材23内への砂等の混入をし難くすることができる。従って、本発明によれば、外装部材23内での導電路22の損傷を防止することができるという効果を奏する。
Claims (6)
- 少なくとも二本の導電路に対して取り付けられるとともに該導電路が引き出された管体形状の外装部材に対しても取り付けられる外装端部用キャップにおいて、
当該外装端部用キャップは、断面円形状の前記導電路を並べた状態で挟み込む二つ割りの構造を有する部材に形成され、
且つ当該外装端部用キャップは、外側露出部と、該外側露出部に連続する内側挿入部とを有する部材にも形成され、
前記外側露出部は、第一塞ぎ部を有するとともに前記外装部材の外側に露出する部分に形成され、
前記内側挿入部は、第二塞ぎ部を有するとともに前記外装部材の内側に挿入される部分に形成され、
且つ前記内側挿入部は、並べた前記導電路に対し取り付けられると、並べた該導電路の外面の一部を第三塞ぎ部として機能させることが可能な一対の導電路露出用スリットを有する部分にも形成され、
前記第一塞ぎ部は、前記内側挿入部が連続する側に配置されるとともに前記外装部材の端部に対して当接する面形状の部分に形成され、
前記第二塞ぎ部は、並べた前記導電路の側に配置されるとともに並べた該導電路の隙間に合わせた凸形状の部分に形成され、
前記導電路露出用スリットは、前記二つ割りの構造により生じる分割面の位置に合わせて配置されるとともに、並べた前記導電路の前記一部を前記第三塞ぎ部として機能させるために、前記一部を前記外装部材の前記端部近傍の内面に接触させることが可能なスリット状の部分に形成される
ことを特徴とする外装端部用キャップ。 - 請求項1に記載の外装端部用キャップにおいて、
当該外装端部用キャップには、前記二つ割りの構造を一つに繋いでおくためのヒンジが形成され、該ヒンジから離れた位置の前記分割面には、凹凸形状の係合部が形成される
ことを特徴とする外装端部用キャップ。 - 請求項1又は2に記載の外装端部用キャップにおいて、
前記内側挿入部の外面には、前記外装部材の前記内面に引っ掛かる抜け止め部が一箇所形成される
ことを特徴とする外装端部用キャップ。 - 請求項1、2又は3に記載の外装端部用キャップにおいて、
前記内側挿入部の前記外装部材に対する挿入先端部分には、前記外装部材の前記端部にて案内されるテーパ面が形成される
ことを特徴とする外装端部用キャップ。 - 請求項1、2、3又は4に記載の外装端部用キャップにおいて、
前記外側露出部の外面には、経路配索時に前記外装部材を構造体に固定するための固定手段が一体に設けられる
ことを特徴とする外装端部用キャップ。 - 管体形状の外装部材と、該外装部材に保護される少なくとも二本の並べた導電路と、並べた該導電路及び前記外装部材の端部に取り付けられる請求項1、2、3、4又は5に記載の外装端部用キャップとを含んで構成される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
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