以下、一実施形態について、図1〜図25に基づいて、説明する。
図1には、一実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向(Z方向)、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向をY軸方向(Y方向)、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向(X方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された露光部200と、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された計測部300と、ベース盤12上で独立してXY平面内で2次元移動するウエハステージWST及び計測ステージMSTと、これらの制御系等とを備えている。以下においては、説明の便宜上、露光部200、計測部300のそれぞれの場所を示す用語として、露光部、計測部と同一の符号を用いて、露光ステーション200、計測ステーション300と称するものとする。
ベース盤12は、床F上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成る。なお、図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWSTが位置しており、ウエハステージWST(より詳細には後述するウエハテーブルWTB)上にウエハWが保持されている。また、露光ステーション200の近傍に計測ステージMSTが位置している。
露光部200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で設定(制限)されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図7参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図7参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、後述するボディ400の一部を構成する第1メトロロジーフレーム(以下、適宜、第1メトロフレーム又はメトロフレームと称する)MF1によってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWST(より正しくは、ウエハWを保持する後述する微動ステージWFS)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
局所液浸装置8は、露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図7参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持する第1メトロフレームMF1に吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図4参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図7参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図7参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図7参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図7参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
計測部300は、図1に示されるように、後述するボディ400の一部を構成する第2メトロロジーフレーム(以下、適宜、第2メトロフレーム又はメトロフレームと称する)MF2に吊下げ支持されたアライメント装置99、及び第2メトロフレームMF2に設けられた多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)90(図1では不図示、図4参照)等を備えている。
アライメント装置99は、図4に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に沿って配置されている。
各セカンダリアライメント系AL2n(n=1〜4)は、駆動機構60n(図7参照)を介して、その一部の構成部材を駆動することで、その検出領域(又は検出中心)の位置を独立にX軸方向及びY軸方向に関して調整可能である。従って、プライマリアライメント系AL1及びセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はX軸方向及びY軸方向に関してその検出領域の相対位置が調整可能となっている。
5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれとしては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24からの撮像信号は、主制御装置20に供給される(図7参照)。なお、アライメント装置99の詳細構成は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されている。
多点AF系90としては、図4に示されるように、送光系90a及び受光系90bから成る斜入射方式の多点AF系が設けられている。多点AF系90と同様の構成は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されている。本実施形態では、一例として、送光系90aと受光系90bとは、プライマリアライメント系AL1の検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LAの+Y側に同一距離離れた位置に、基準軸LVに関して対称に配置されている。送光系90aと受光系90bとのX軸方向の間隔は、後述するウエハテーブルWTB上に設けられた一対のスケール391、392(図2参照)の間隔より広く設定されている。
図4では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、送光系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、この検出領域AFは、Y軸方向に関して、投影光学系PL(露光領域IA)とアライメント系(AL1、AL21,AL22,AL23,AL24)の検出領域との間に配置されているので、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。
ウエハステージWSTは、図1に示されるように、粗動ステージWCSと、粗動ステージWCSに非接触状態で支持され、粗動ステージWCSに対して相対移動可能な微動ステージWFSとを有している。ウエハステージWST(粗動ステージWCS)は、粗動ステージ駆動系51A(図7参照)により、X軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともにθz方向に微小駆動される。また、微動ステージWFSは、微動ステージ駆動系52A(図7参照)によって粗動ステージWCSに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に駆動される。
微動ステージWFS(ウエハステージWST)の位置情報は、後述するエンコーダシステム150(図7参照)によって計測される。エンコーダシステム150は、図7に示されるように、第1〜第5エンコーダシステム80A〜80Eを含む。なお、エンコーダシステム150の詳細な説明は、ステージ系の構成の後に説明する。
計測ステージMSTは、計測ステージ駆動系51B(図7参照)により、X軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともにθz方向に微小駆動される。計測ステージMST(より正確には、後述する計測テーブルMTB)の位置情報は、後述する第6エンコーダシステム80F(図7参照)によって計測される。なお、第6エンコーダシステム80Fの詳細な説明は、ステージ系の構成の後に説明する。
ここで、ステージ系の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWSTについて説明する。
粗動ステージWCSは、上面及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い直方体形状を有している。粗動ステージWCSの底面にはXY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル17を含む、コイルユニットが収納されている。
粗動ステージWCSに設けられた磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示される電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51A(図7参照)を構成している。コイルユニットを構成する各コイル17に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20(図7参照)によって制御される。
粗動ステージWCSの底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。粗動ステージWCSは、複数のエアベアリングによって、ベース盤12の上方に所定の隙間(クリアランス、ギャップ)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成し、該平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動できるようにしても良い。この場合、粗動ステージWCSの底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
粗動ステージWCSには、微動ステージWFSを駆動するための複数のコイルから成る一対のコイルユニット(不図示)がX軸方向の両側壁に設けられている。各コイルユニットを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
微動ステージWFSは、板状部材から成る本体部(不図示)と、該本体部の上面に一体的に固定された板状部材から成るウエハテーブルWTBと、を備えている。本体部は、ウエハテーブルWTBと熱膨張率が同じ又は同程度の素材で形成されることが望ましく、その素材は低熱膨張率であることが望ましい。
微動ステージWFSには、粗動ステージWCSに設けられた一対のコイルユニットのそれぞれに対応して、コイルユニットの上下に非接触で対向する各一対の磁石ユニット(不図示)が、設けられている。本実施形態では、上記一対のコイルユニットと、上記二対の磁石ユニットと、を含んで、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して非接触状態で浮上支持するとともに、非接触で6自由度方向へ駆動する微動ステージ駆動系52A(図7参照)が構成されている。微動ステージ駆動系52Aは、例えば米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書に開示される微動ステージ駆動系と同様に構成されている。
なお、粗動ステージ駆動系51A(図7参照)として、磁気浮上型の平面モータを用いる場合、該平面モータによって粗動ステージWCSと一体で微動ステージWFSを、Z軸、θx及びθyの各方向に微小駆動可能となるので、微動ステージ駆動系52Aは、X軸、Y軸及びθzの各方向、すなわちXY平面内の3自由度方向に微動ステージWFSを駆動可能な構成にしても良い。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されていても良いし、ウエハテーブルWTBに対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。ここで、微動ステージWFSの本体部には、ウエハホルダに設けられた孔を介して上下動可能な例えば3本の上下動ピンが設けられている。
ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、液体Lqに対する撥液化処理が施されている。具体的には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成されている。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるようにウエハテーブルWTBの上面に固定されている。
プレート28は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中央に位置し、その中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28aと、該第1撥液領域28aをX軸方向に挟んでウエハテーブルWTBの+X側端部、−X側端部に位置する長方形の一対の第2撥液領域28bと、を有する。なお、本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1撥液領域28a及び第2撥液領域28bをそれぞれ第1撥水板28a及び第2撥水板28bとも呼ぶ。
第1撥水板28aの+Y側の端部近傍には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、該基準マークFMを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部(後述する計測ステージMSTに設けられる受光系)に導く送光系(不図示)が設けられている。
一対の第2撥水板28bには、それぞれ、後述する第1ないし第5エンコーダシステム80A〜80Eのためのスケール391,392が形成されている。詳述すると、スケール391,392はそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする回折格子とX軸方向を周期方向とする回折格子とが組み合わされた(同一領域に形成された)、反射型の二次元回折格子によって構成されている。二次元回折格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmと設定されている。なお、図2では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。
なお、回折格子を保護するために、撥水性を備えた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(面位置)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
なお、各第2撥水板28bのスケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査することで検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。また、上述の如く、本実施形態では、微動ステージWFSがウエハテーブルWTBを備えているので、以下の説明では、ウエハテーブルWTBを含む微動ステージWFSを、ウエハテーブルWTBとも表記する。
次に、計測ステージMSTについて説明する。図3(A)、図3(B)及び図3(C)には、計測ステージMSTの正面図(−Y方向から見た図)、側面図(+X方向から見た図)、及び平面図(+Z方向から見た図)が、それぞれ示されている。これら図3(A)〜図3(C)に示されるように、計測ステージMSTは、直方体部材から成るステージ本体92と、ステージ本体92上に支持され、計測テーブル駆動系52B(図7参照)を介して例えば6自由度方向(又はXY平面内の3自由度方向)に微小駆動される長方形板状の計測テーブルMTBとを備えている。
ステージ本体92の底面には、不図示ではあるが、ベース盤12のコイルユニット(コイル17)と共に、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る計測ステージ駆動系51B(図7参照)を構成する、複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。ステージ本体92の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。計測ステージMSTは、前述のエアベアリングによって、ベース盤12の上方に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、計測ステージ駆動系51Bによって、X軸方向及びY軸方向に駆動される。なお、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとは、コイルユニットを共通とするが、本実施形態では、説明の便宜上から、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとを別々に観念している。実際問題としても、コイルユニットの異なるコイル17が、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとの駆動にそれぞれ用いられるので、このように観念しても問題はない。
計測テーブルMTBには、その−Y側端部の帯状部分(以下、適宜、受け渡し部とも称する)を除く部分の+X側の半部に、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図3(C)に示されるように、照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97、照度モニタ98などが設けられている。また、計測テーブルMTBには、前述の一対の送光系(不図示)に対向する配置で、一対の受光系(不図示)が設けられている。本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置45(図7参照)が構成される。
計測テーブルMTBの受け渡し部を除く部分の−X側の半部にX軸方向及びY軸方向を周期方向とする2次元グレーティング69が設けられている。計測テーブルMTBの上面には、2次元グレーティング69及び各種計測用部材を覆う状態で、その表面が撥液膜(撥水膜)で覆われた透明部材から成るプレート63が、固定されている。プレート63は、前述のプレート28と同様の素材によって形成されている。
なお、計測ステージ駆動系51Bを、磁気浮上型の平面モータで構成する場合には、例えば計測ステージを6自由度方向に可動な単体のステージにしても良い。
また、計測テーブルMTBは、粗動ステージWCSに支持されているウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)に+Y側から例えば300μm程度以下の距離まで近接又は接触可能であり、その近接又は接触状態では、ウエハテーブルWTBの上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図18参照)。計測ステージMST(計測テーブルMTB)は、主制御装置20により、計測ステージ駆動系51Bを介して駆動され、ウエハテーブルWTBとの間で液浸領域(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTBとの間の液浸領域(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
ここで、ウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の位置情報の計測に用いられるエンコーダシステム150について説明する。
まず、ウエハステージWSTが露光ステーション200内にあるとき、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する第1エンコーダシステム80Aの構成等について説明する。
露光装置100では、図4に示されるように、投影ユニットPU(ノズルユニット32)の+X側、−X側に、一対のヘッド部62A、62Cが、それぞれ配置されている。ヘッド部62A,62Cは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材(不図示)を介して、後述するボディ400の一部を構成する第1メトロフレームMF1(図4では不図示、図1、図5等参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。
ヘッド部62A、62Cは、図4に示されるように、各5つの4軸ヘッド651〜655,641〜645を備えている。4軸ヘッド651〜655の筐体の内部には、X軸方向及びZ軸方向を計測方向とするXZヘッド65X1〜65X5と、Y軸方向及びZ軸方向を計測方向とするYZヘッド65Y1〜65Y5とが収納されている。同様に、4軸ヘッド641〜645の筐体の内部には、XZヘッド64X1〜64X5と、YZヘッド64Y1〜64Y5とが収納されている。XZヘッド65X1〜65X5及び64X1〜64X5、並びにYZヘッド65Y1〜65Y5及び64Y1〜64Y5のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5(より正確には、XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、投影光学系PLの光軸AX(本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつX軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上に、所定間隔WDで配置されている。また、YZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5(より正確には、YZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LHに平行であり且つ基準軸LHから−Y側に所定距離離間する直線LH1上に、対応するXZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5と同じX位置に、配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5、及びYZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5を、それぞれ、XZヘッド65X,64X、及びYZヘッド65Y,64Yとも表記する。
ヘッド部62A,62Cは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸方向の位置(X位置)及びZ軸方向の位置(Z位置)を計測する多眼(ここでは5眼)のXZリニアエンコーダ、及びY軸方向の位置(Y位置)及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド65X、64X、YZヘッド65Y、64Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ65X、64X、及びYZリニアエンコーダ65Y、64Yと表記する(図8参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ65XとYZリニアエンコーダ65Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ65が構成される(図8参照)。同様に、XZリニアエンコーダ64XとYZリニアエンコーダ64Yとによって、ウエハテーブルWTB1のX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ64が構成される(図8参照)。
ここで、ヘッド部62A,62Cがそれぞれ備える5つのXZヘッド65X,64X(より正確には、XZヘッド65X,64Xが発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)及び5つのYZヘッド65Y,64Y(より正確には、YZヘッド65Y,64Yが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、スケール391,392のX軸方向の幅より狭く設定されている。従って、露光の際などには、それぞれ5つのXZヘッド65X,64X,YZヘッド65Y,64Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。また、間隔WDが、スケール391,392のX軸方向の幅よりも狭く設定されているので、主制御装置20は、ウエハステージWSTをX軸方向に駆動する際、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測するXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yを、隣のXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yに順次、かつ円滑に切り換えることができる。ここで、スケールの幅とは、回折格子(又はこの形成領域)の幅、より正確にはヘッドによる位置計測が可能な範囲を指す。
従って、4軸エンコーダ65と4軸エンコーダ64とによって、ウエハステージWSTが露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第1エンコーダシステム80Aが構成される。
本実施形態では、さらに、ヘッド部62A、62Cそれぞれの−Y側に、4軸ヘッド651、641等と同様に構成された一対の4軸ヘッド656、646が、基準軸LVに関して対称に配置されている。一対の4軸ヘッド656、646は、第1メトロフレームMF1(図4では不図示、図1、図5等参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。4軸ヘッド656を構成するXZヘッド65X6及びYZヘッド65Y6は、XZヘッド65X3と同じX位置に、配置されている。4軸ヘッド646を構成するXZヘッド64X6及びYZヘッド64Y6は、XZヘッド64X3と同じX位置に、配置されている。
一対の4軸ヘッド656、646は、後述する計測テーブルMTBとウエハテーブルWTBとの近接又は接触状態(スクラム)の開始時から第1エンコーダシステム80AによるウエハテーブルWTBの位置計測が開始されるまでの間、一対のスケール391、392を用いてウエハテーブルWTBの6自由度方向に関する位置情報を計測する一対の4軸エンコーダ656、646を構成し(図8参照)、該一対の4軸エンコーダ656、646によって第2エンコーダシステム80B(図7参照)が構成される。
第1エンコーダシステム80A、第2エンコーダシステム80Bを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図7、図8等参照)。
次に、ウエハステージWSTが計測ステーション300にあるとき、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する第3エンコーダシステム80Cの構成等について説明する。
露光装置100では、図4に示されるように、ヘッド部62C、62Aそれぞれの−Y側でかつアライメント系AL1、AL21〜AL24とほぼ同一のY位置に、ヘッド部62E、62Fが、それぞれ配置されている。ヘッド部62E,62Fは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、後述するボディ400の一部を構成する第2メトロフレームMF2(図4では不図示、図1、図5等参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。
ヘッド部62F、62Eは、図4に示されるように、各5つの4軸ヘッド681〜685,671〜675を備えている。4軸ヘッド681〜685の筐体の内部には、前述の4軸ヘッド651等と同様に、XZヘッド65X1等と同様に構成されたXZヘッド68X1〜68X5と、YZヘッド65Y1等と同様に構成されたYZヘッド68Y1〜68Y5とが収納されている。同様に、4軸ヘッド671〜675の筐体の内部には、XZヘッド67X1〜67X5と、YZヘッド67Y1〜67Y5とが収納されている。
XZヘッド67X1〜67X4,68X2〜68X5(より正確には、XZヘッド67X1〜67X4,68X2〜68X5が発する計測ビームのスケール392、391上の照射点)は、前述の基準軸LAに沿って、XZヘッド64X1〜64X4、65X2〜65X5のそれぞれとほぼ同じX位置に、配置されている。
YZヘッド67Y1〜67Y4,68Y2〜68Y5(より正確には、YZヘッド67Y1〜67Y4,68Y2〜68Y5が発する計測ビームのスケール392、391上の照射点)は、基準軸LAに平行であり且つ基準軸LAから−Y側に所定距離離間する直線LA1上に、対応するXZヘッド67X1〜67X4,68X2〜68X5と同じX位置に、配置されている。
また、残りのXZヘッド67X5、68X1、及びYZヘッド67Y5、68Y1は、XZヘッド64X5、65X1のそれぞれとほぼ同じX位置で、セカンダリアライメント系AL21、AL24それぞれの検出中心の−Y側に、基準軸LA及び直線LA1から同じ距離だけ−Y方向にずれて配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド68X1〜68X5,67X1〜67X5、及びYZヘッド68Y1〜68Y5,67Y1〜67Y5を、それぞれ、XZヘッド68X,67X、及びYZヘッド68Y,67Yとも表記する。
ヘッド部62F、62Eは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のXZリニアエンコーダ、及びY位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド68X、67X、YZヘッド68Y、67Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ68X、67X、及びYZリニアエンコーダ68Y、67Yと表記する(図8参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ68XとYZリニアエンコーダ68Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ68が構成される(図8参照)。同様に、XZリニアエンコーダ67XとYZリニアエンコーダ67Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ67が構成される(図8参照)。
ここで、前述と同様の理由により、アライメント計測の際などには、それぞれ5つのXZヘッド68X,67X、YZヘッド68Y,67Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。従って、4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67とによって、ウエハステージWSTが計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第3エンコーダシステム80Cが構成される。
第3エンコーダシステム80Cを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図7、図8等参照)。
次に、後述するフォーカスマッピング時に、必要に応じて、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する第4エンコーダシステム80Dの構成等について説明する。
第4エンコーダシステム80Dは、図4に示されるように、基準軸LVに関して対称に配置された一対の4軸ヘッド661、662を含む。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれ4軸ヘッド683の+Y側の位置、4軸ヘッド673の+Y側の位置に配置され、支持部材(不図示)を介して、後述するボディ400の一部を構成する第2メトロフレームMF2(図4では不図示、図1、図5等参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれは、前述の4軸ヘッド64i、65i、67i、68i(i=1〜5)と同様に、Y軸方向に沿ってそれぞれの検出点が配置されたXZヘッド66X1及びYZヘッド66Y1とXZヘッド66X2及びYZヘッド66Y2とを含む。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれが有するXZヘッド66X1、66X2の検出点のY位置がAFビームの検出中心のY位置に一致している。また、XZヘッド66X2の検出点のX位置は、XZヘッド67X3の検出点より幾分+X側に位置し、XZヘッド66X1の検出点のX位置は、XZヘッド68X3の検出点より幾分−X側に位置している。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれスケール391、392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向の位置情報を計測する一対の4軸エンコーダ661、662を構成する。以下では、4軸ヘッド661、662と同一の符号を用いて、4軸エンコーダ661、662と表記する。この一対の4軸エンコーダ661、662によって、第4エンコーダシステム80Dが構成される(図8参照)。
第4エンコーダシステム80Dを構成する各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図7、図8等参照)。
ただし、後述するフォーカスマッピング時には、ウエハステージWSTは、計測ステーション300にあり、フォーカスマッピングと並行してウエハアライメント計測が行われている。このウエハアライメント計測が終了するまでの間は、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の6自由度方向の位置は、主制御装置20によって、第3エンコーダシステム80Cの計測値に基づいて、サーボ制御される。また、本実施形態では、ウエハアライメント計測が終了した時点では、次に述べる第5エンコーダシステム80Eによって、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置計測が可能になっており、第3エンコーダシステム80Cの計測範囲からウエハテーブルWTBが外れてからフォーカスマッピングが終了するまでの間は、主制御装置20によって、第5エンコーダシステム80Eの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの駆動(位置のサーボ制御)が行われる。従って、第4エンコーダシステム80Dの計測値は、主としてフォーカスマッピングの計測データとして用いられる。
本実施形態では、ウエハステージWSTが、計測ステーション300と露光ステーション200との間を移動する際に、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する第5エンコーダシステム80E(図7参照)が設けられている。例えば、ウエハステージWSTが、ウエハアライメント計測の終了位置から露光位置(投影光学系PL直下近傍)まで移動する際(フォーカスマッピングの続行中を含み)、及びウエハステージWSTが、ウエハの露光が終了した位置から後述するアンローディングポジションに戻る際などに、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置が、第5エンコーダシステム80E(図7参照)によって計測される。
第5エンコーダシステム80Eは、図4に示されるように、Y軸方向に関して露光部200と計測部300との中間の位置に、Y軸方向に関して所定距離離間して配置されたヘッド部71Aとヘッド部71Bとを含む。ヘッド部71A、71Bは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含む。ヘッド部71Aは、ヘッド部71Bの+Y側に所定距離隔てて配置されている。ヘッド部71Aに属する複数のヘッド72(図8参照)は、支持部材(不図示)を介して、後述するボディ400の一部を構成する第1メトロフレームMF1(図1、図5参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。一方、ヘッド部71Bに属する複数のヘッド73(図8参照)は、支持部材を介して、後述するボディ400の一部を構成する第2メトロフレームMF2(図1、図5参照)に吊り下げ状態で固定(支持)されている。図4中には、第1メトロフレームMF1と、第2メトロフレームMF2との境界線BLのみが示されている。図4からは、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2とは、境界線BLを境として接しているように示されているが、実際には、後述するようにY軸方向に関して所定間隔を隔てている。
ヘッド部71A,71Bは、図4に示されるように、各3つのヘッド721〜723,731〜733を備えている。ヘッド721、722は、基準軸LVに関して対称に配置されている。ヘッド721、722それぞれの筐体の内部には、Y軸方向に隣接して配置されたZヘッド72Z1及びXYヘッド72X1、並びにZヘッド72Z2及びXYヘッド72X2が、それぞれ収納されている。このうち、XYヘッド72X1及びXYヘッド72X2が、前述したYZヘッド64Y6、65Y6から−Y側に同一の所定距離離れた位置に配置されている。また、Zヘッド72Z1及びZヘッド72Z2は、それぞれXYヘッド72X1及びXYヘッド72X2の−Y側に配置されている。XYヘッド72X1及びXYヘッド72X2としては、二次元格子を検出対象とし、その格子の周期方向を計測方向とする周知の二次元ヘッドを用いることができる。
ヘッド723は、ヘッド722の+Y側に隣接して配置されている。ヘッド723の筐体の内部には、X軸方向に関してXYヘッド72X2と同じ位置に配置されたZヘッドが収納されている。以下では、このZヘッドを、ヘッド723と同じ符号を用いてZヘッド723と表記する。
ヘッド731、732は、基準軸LVに関して対称に、かつそれぞれヘッド722、721の−Y側に所定距離隔てて配置されている。ヘッド731、732それぞれの筐体の内部には、Y軸方向に隣接して配置されたZヘッド73Z1及びXYヘッド73X1、並びにZヘッド73Z2及びXYヘッド73X2が、それぞれ収納されている。このうち、Zヘッド73Z1及びZヘッド73Z2が、前述したZヘッド72Z2、72Z1から−Y側に同一の所定距離離れた位置に配置されている。また、XYヘッド73X1及びXYヘッド73X2は、それぞれZヘッド73Z1及びZヘッド73Z2の−Y側に配置されている。
ヘッド733は、ヘッド732の−Y側に隣接して配置されている。ヘッド733の筐体の内部には、X軸方向に関してXYヘッド73X2と同じ位置に配置されたZヘッドが収納されている。以下では、このZヘッドを、ヘッド733と同じ符号を用いてZヘッド733とも表記する。
ヘッド部71Aが有するXYヘッド72X1、72X2、及びヘッド部71Bが有するXYヘッド73X1、73X2は、それぞれ、スケール391又はスケール392を用いて、ウエハテーブルWTBのX位置及びY位置を計測するXYリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのXYリニアエンコーダを、対応するXYヘッドと同一の符号を用いてXYリニアエンコーダ72X1、72X2、73X1、73X2(図8参照)と表記する。
また、ヘッド部71Aが有するZヘッド72Z1、72Z2、723、及びヘッド部71Bが有するZヘッド73Z1、73Z2、733は、それぞれスケール391又はスケール392を用いて、ウエハテーブルWTBのZ位置を計測するZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのZリニアエンコーダを、対応するZヘッドと同一の符号を用いてZリニアエンコーダ72Z1、72Z2、723、73Z1、73Z2、733(図8参照)と表記する。
第5エンコーダシステム80Eを構成する上記各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図7、図8等参照)。主制御装置20は、XYリニアエンコーダ72X1、72X2及びZリニアエンコーダ72Z1、72Z2、723の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を求め、XYリニアエンコーダ73X1、73X2及びZリニアエンコーダ73Z1、73Z2、733の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を求める。
次に、計測テーブルMTB(計測ステージMST)の位置情報を計測する第6エンコーダシステム80F(図7参照)について説明する。
第6エンコーダシステム80Fは、計測テーブルMTB(計測ステージMST)が図19に示される待機位置から後述するスクラム位置まで移動する際、又はその反対にスクラム位置から待機位置まで戻る際の計測テーブルMTBの6自由度方向の位置情報を計測する。第6エンコーダシステム80Fは、図4及び図19等に示されるように、待機位置にある計測ステージMSTが備える計測テーブルMTB上面の2次元グレーティング69(図3(C)参照)に対向し得る位置にX軸方向に隣接して配置された一対の4軸ヘッド741、742、該一対の4軸ヘッド741、742の−Y方向に所定距離隔てて配置された一対の4軸ヘッド743、744、及び該一対の4軸ヘッド743、744と前述したヘッド部62Cの2つの4軸ヘッド644、645との中間の位置に、X軸方向に隣接して配置された一対の4軸ヘッド745、746を含む。
一対の4軸ヘッド741、742、一対の4軸ヘッド743、744、及び一対の4軸ヘッド745、746は、それぞれ支持部材(不図示)を介して、後述するボディ400の一部を構成する第1メトロフレームMF1に吊り下げ状態で固定(支持)されている。
4軸ヘッド741、742、743、744、745、746のそれぞれは、前述の4軸ヘッド64、65、67、68と同様に、Y軸方向に沿ってそれぞれの検出点が配置された各1つのXZヘッドとYZヘッドとを含む。一対の4軸ヘッド741、742、一対の4軸ヘッド743、744、及び一対の4軸ヘッド745、746は、それぞれ、計測テーブルMTBに設けられた2次元グレーティング69を用いて、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置情報を計測する一対の4軸エンコーダを構成する。これらの4軸エンコーダによって、第6エンコーダシステム80Fが構成される。第6エンコーダシステム80Fを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図7参照)。
次に、ボディ400について説明する。ボディ400は、図1及び図5に示されるように、床F上に複数の防振ユニットを介して設置された一対の支持部材48、及び該一対の支持部材48によって水平に支持されたベース部材BF等を備えている。
ベース部材BFは、図1及び図5に示されるように、Y軸方向に並んでかつ接触して配置され、例えば不図示の連結部材及びボルトなどを用いて締結され、一体化された、一対のベースフレームBF1、BF2から成る。一対のベースフレームBF1、BF2それぞれは、ベースフレームBF1が+Y側、ベースフレームBF2が−Y側に位置するよう、互いに接触した状態でY軸方向に並んで配置されている。ベース部材BFは、Y軸方向を長手方向とする板状の外形形状を有している。このベース部材BFの長手方向の一端部と他端部とが、X軸方向を長手方向としXZ平面に平行に配置された板状部材から成る一対の支持部材48のそれぞれによって下方から支持されている。一対の支持部材48のそれぞれは、複数の防振ユニットを介して、床F上に設置されている。一対の支持部材48のそれぞれは、ベース盤12から離間している。
一対のベースフレームBF1、BF2それぞれは、図5に示されるように、平面視において中央部に矩形の段付き開口44が形成された外形が矩形の枠状部材から成る。一対のベースフレームBF1、BF2それぞれに形成された段付き開口44の内部には、図5及び図6(A)に示されるように、前述の第1メトロフレームMF1、及び第2メトロフレームMF2が、それぞれ収納されている。メトロフレームMF1、MF2のそれぞれは、図6(A)に示されるように、上端部に他の部分より周囲全体に渡って水平面内外側に突出した庇部46を有する段付きの矩形板状部材から成る。
メトロフレームMF1、MF2それぞれは一対のベースフレームBF1、BF2には非接触状態で、庇部46の下面が複数、例えば3つの除振装置54によって下方から支持されている。メトロフレームMF1,MF2は、それぞれ3つの除振装置54に支持された状態で、その上面が一対のベースフレームBF1、BF2の上面とほぼ同一面にあり、下面が一対のベースフレームBF1、BF2の下面から幾分下方に露出している。
図5及び図6(A)に示されるように、ベースフレームBF1では、一例として段付き開口44の段部のうち+Y側のX軸方向中央位置、及び−Y側のX軸方向両端の位置に、それぞれ除振装置541、542、543が配置され、ベースフレームBF2では、一例として段付き開口44の段部のうち−Y側のX軸方向中央位置、及び+Y側のX軸方向両端の位置に、それぞれ除振装置544、545、546が配置されている。なお、除振装置541〜543、544〜546の配置は、これに限らず、各ベースフレームBF1、BF2に3つ配置され、3つの除振装置54のほぼ中心にメトロフレームMF1、MF2の重心位置がくれば、どのような配置でも良い。
各除振装置54は、能動型振動分離システム(いわゆるAVIS(Active Vibration Isolation System))であり、加速度計、変位センサ(例えば静電容量センサなど)、及びアクチュエータ(例えばボイスコイルモータなど)等を備え、ベースフレームBF1、BF2に対するメトロフレームMF1、MF2の比較的高周波領域の振動をアクチュエータにより除振(制振)する。
これをさらに詳述すると、図9に示されるように、除振装置541は、Xアクチュエータ86X1、Zアクチュエータ86Z1、X加速度センサ82X1、Z加速度センサ82Z1、X変位センサ84X1、及びZ変位センサ84Z1を含む。また、除振装置542は、Yアクチュエータ86Y1、Zアクチュエータ86Z2、Y加速度センサ82Y1、Z加速度センサ82Z2、Y変位センサ84Y1、及びZ変位センサ84Z2を含む。また、除振装置543は、Yアクチュエータ86Y2、Zアクチュエータ86Z3、Y加速度センサ82Y2、Z加速度センサ82Z3、Y変位センサ84Y2、及びZ変位センサ84Z3を含む。
同様に、除振装置544は、Xアクチュエータ86X2、Zアクチュエータ86Z4、X加速度センサ82X2、Z加速度センサ82Z4、X変位センサ84X2、及びZ変位センサ84Z4を含む。また、除振装置545は、Yアクチュエータ86Y3、Zアクチュエータ86Z5、Y加速度センサ82Y3、Z加速度センサ82Z5、Y変位センサ84Y3、及びZ変位センサ84Z5を含む。また、除振装置546は、Yアクチュエータ86Y4、Zアクチュエータ86Z6、Y加速度センサ82Y4、Z加速度センサ82Z6、Y変位センサ84Y4、及びZ変位センサ84Z6を含む。なお、上記各変位センサとしては、例えば静電容量センサが用いられ、上記各加速度センサとしては、例えば半導体式の加速度センサが用いられる。
本実施形態では、制御系内に、変位センサ84X1、84Y1、84Y2、84Z1、84Z2、84Z3、及び加速度センサ82X1、82Y1、82Y2、82Z1、82Z2、82Z3の出力に基づいて、第1メトロフレームMF1の振動を抑制するようにアクチュエータ86X1、86Y2、86Y3、86Z1、86Z2、86Z3を駆動制御する第1振動制御系が構築されている。第1振動制御系としては、例えば位置ループのマイナーループとして速度制御ループを有する多重ループ制御系を用いることができる。また、制御系内に、変位センサ84X2、84Y3、84Y4、84Z4、84Z5、84Z6、及び加速度センサ82X2、82Y3、82Y4、82Z4、82Z5、82Z6の出力に基づいて、第2メトロフレームMF2の振動を抑制するようにアクチュエータ86X2、86Y3、86Y4、86Z4、86Z5、86Z6を駆動制御する、上述と同様の第2振動制御系が構築されている。
本実施形態では、上記各アクチュエータに加えて、ベースフレームBF1と第1メトロフレームMF1との間に、複数、例えば3つの空気ばねなどを有する空気ダンパなどが設けられており、これらの空気ダンパにより第1メトロフレームMF1の低周波領域の振動を除振するとともに、制御系が、空気ばねの内圧を制御することで、例えば変位センサ84Z1、84Z2、84Z3の計測値に基づいて、ベースフレームBF1に対する第1メトロフレームMF1の姿勢を制御できるように構成されている。同様に、ベースフレームBF2と第2メトロフレームMF2との間に、複数、例えば3つの空気ばねなどを有する空気ダンパなどが設けられており、これらの空気ダンパにより第2メトロフレームMF2の低周波領域の振動を除振するとともに、制御系が、空気ばねの内圧を制御することで、例えば変位センサ84Z4、84Z5、84Z6の計測値に基づいて、ベースフレームBF2に対する第2メトロフレームMF2の姿勢を制御できるように構成されている。
上述したように、本実施形態では、第1メトロフレームMF1、第2メトロフレームMF2それぞれは、振動制御(及び姿勢制御)が行われる。しかしながら、メトロフレームMF1、メトロフレームMF2のいずれにも、前述したエンコーダシステム150を構成する一部のヘッドがそれぞれ支持されている。このため、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との間の位置関係が、初期の位置関係からずれると、例えばメトロフレームMF1、MF2のそれぞれに対するウエハステージWSTの姿勢変化等が生じ、ヘッド部がメトロフレームMF1に支持されているエンコーダシステムとヘッド部がメトロフレームMF2に支持されているエンコーダシステムとの間にウエハテーブルWTBの位置の計測誤差が生じる。特に、第5エンコーダシステム80Eでは、ヘッド部71Aが第1メトロフレームMF1に支持され、ヘッド部71Bが第2メトロフレームMF2に支持されているため、ウエハテーブルWTBの位置を、ヘッド部71Aに属する各ヘッドで計測する際と、ヘッド部71Bに属する各ヘッドで計測する際とで計測誤差が発生する。これによりヘッド部71Aに属する各ヘッドとヘッド部71Bに属する各ヘッドとの間のつなぎ処理(これについては、さらに後述する)を、所望の精度で行うことが困難になるおそれがある。その理由は、上記の計測誤差が、各ヘッド(エンコーダ)の計測単位(計測ピッチともいう、1フリンジの長さ、例えば250nm)の1/2以上となってフリンジ跳びが発生するおそれがあるからである。
そこで、本実施形態では、かかる事態の発生を未然に防止すべく、メトロフレームMF1、MF2相互間には、両者間の距離を測定する複数、例えば6つのセンサを含むセンサ群57(図7参照)が設けられている。そして、これらのセンサの計測値を用いて、ヘッド部71Aに属する各ヘッドとヘッド部71Bに属する各ヘッドとの間のつなぎ処理に際してのフリンジ跳びが生じないようにしている。これについては、後述する。
センサ群57に属する各センサとしては、例えば分光干渉計が用いられている。分光干渉計に限らず、レーザ変位計、静電容量センサその他のセンサを用いても良い。
センサ群57に属する6つのセンサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57czは、図5のA−A線断面図である図6(A)及び図6(A)のB−B線断面図である図6(B)に示されるように、メトロフレームMF2の+Y側端部に取付部材55a〜55cをそれぞれ介して取付けられている。取付部材55aは、メトロフレームMF2の+Y側端部上面のX軸方向中央位置に固定され、取付部材55bは、メトロフレームMF2の+Y側端部下面の−X側端部に固定され、取付部材55cは、メトロフレームMF2の+Y側端部下面の+X側端部に固定されている。
図6(B)に示されるように、取付部材55aには、ターゲット(反射面)との間のY軸方向の距離を測定するYセンサ57ayが固定され、取付部材55bには、ターゲット(反射面)との間のX軸方向の距離を測定するXセンサ57bx、ターゲット(反射面)との間のY軸方向の距離を測定するYセンサ57by及びターゲット(反射面)との間のZ軸方向の距離を測定するZセンサ57bzが固定され、取付部材55cには、ターゲット(反射面)との間のY軸方向の距離を測定するYセンサ57cy及びターゲット(反射面)との間のZ軸方向の距離を測定するZセンサ57czが固定されている。
一方、メトロフレームMF1の−Y側端部には、図6(A)及び図6(C)に示されるように、各取付部材55a〜55c(各センサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)に対向する位置にターゲット部材56a〜56cが固定されている。ここで、図6(A)及び図6(B)では図示の便宜上から各取付部材55a〜55c及び各ターゲット部材56a〜56cは直方体部材として図示されているが、実際には図6(C)に、取付部材55b及びターゲット部材56bを代表的に取り上げて示されるように、各センサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)が、ターゲット部材の一部に対向するように、取付部材55a〜55cと、対応するターゲット部材56a〜56cの先端とが入れ子状になっている。各センサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)に対向するターゲット部材56a〜56cの面は、各センサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)の測長軸に直交する反射面となっており、該反射面によって、各センサのターゲットが構成されている。
センサ群57に属する各センサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)として、本実施形態では、例えば非常停止又は停電等の際の再起動後に原点復帰を要しない、換言すれば自身が位置検出の原点を有する絶対位置検出型のセンサが用いられている。
センサ群57に属する各センサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)による計測値は、主制御装置20に送られる(図7、図9参照)。
本実施形態に係る露光装置100では、図4に示されるように、計測ステーション300内の4軸ヘッド681、675の−Y側に、基準軸LVを挟んでローディングポジションLPとアンローディングポジションUPとが設定されている。
図7には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置100の構成各部を統括制御する。図8には、図7のエンコーダシステム150の具体的構成の一例が示されている。また、図9には、図7のセンサ群及び除振装置の具体的構成が示されている。
次に、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、説明するのに先立って、例えばデバイスメーカの半導体製造工場内で露光装置100の立ち上げ時、またはメンテナンス時などに実施されるボディ400の組立調整工程について簡単に説明する。以下の作業は、複数の作業者によって行われる。
a. まず、床F上で一対の支持部材48及びこれらを支持する複数の防振ユニット、並びに一対のベースフレームBF1、BF2から成る構造物を組み立てる。この組立は、クレーン、各種工具などを用いるとともに、それぞれの部材同士をボルトで締結するなどによって行われる。その組立後、メトロフレームMF1、MF2が、一対のベースフレームBF1、BF2のそれぞれに組み付けられる。このとき、ベースフレームBF1、BF2には、各3つの除振装置541〜543、544〜546が、既に取付けられている。その後、メトロフレームMF1に対する投影ユニットPUの組み付け、メトロフレームMF2に対するアライメント装置99及び多点AF系90の取付け、エンコーダシステム150の各エンコーダシステム80A〜80E及びエンコーダシステム80Fの、メトロフレームMF1又はメトロフレームMF2に対する取付けなどが行われる。
b. そして、ベース部材BF(ベースフレームBF1、BF2が一体化されて成る)の上面が床Fに対して平行になるように、各防振ユニットのエアマウントの内圧が調整される。
c. 次に、作業者は、前述した各センサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz、取付部材55a〜55c、ターゲット部材56a〜56cを、メトロフレームMF1、MF2の前述した位置にそれぞれ固定する。これらの部材の取付けは、ネジ止め等で行われるので、その取り付け位置の再現性は非常に高い。
d. 次に、メトロフレームMF1、MF2が個別に初期位置に調整される。具体的には、作業者が主制御装置20に対しZ変位センサ84Z1〜84Z3それぞれの目標値(この目標値は、例えば予め露光装置メーカ内で露光装置の組み立て時などに得られた各変位センサの中立位置に一致する)を入力すると、制御系がZ変位センサ84Z1〜84Z3の計測値をモニタしつつ、ベースフレームBF1と第1メトロフレームMF1との間に設けられた3つの空気ダンパの空気ばねに空気を入れて、ベースフレームBF1に対するメトロフレームMF1の姿勢をラフに調整する。次に、作業者が主制御装置20に入力した6自由度方向の位置の目標値に応じて、前述の第1振動制御系によって除振装置541〜543の各アクチュエータが駆動される。これにより、ベースフレームBF1に対するメトロフレームMF1の6自由度方向の位置が、ファインに調整され、メトロフレームMF1が初期位置に設定される。なお、この場合の目標値は、例えば、予め露光装置メーカ内で露光装置の組み立て時などに求められた、メトロフレームMF1の初期位置に対応する値が用いられる。ただし、除振装置541〜543の各アクチュエータの発生する推力が極力小さくなるように、上記の各空気ダンパの空気ばねの空気圧が再度調整される。
e. 詳細は省略するが、上記と同様の手順で、ベースフレームBF2に対するメトロフレームMF2の6自由度方向の位置の調整、すなわちメトロフレームMF2の初期位置設定が行われる。
本実施形態では、上述のように、調整に際しての各目標値として、予め露光装置メーカ内で露光装置の組み立て時などに得られた値が用いられるので、メトロフレームMF1、MF2の初期位置は、簡単に再現可能である。
しかし、このようにして、個別に初期位置に調整されたメトロフレームMF1、MF2相互間の位置関係は、各部材の製造誤差、取付誤差などにより、必ずしも要求される仕様を満足している保証はない。そこで、作業者は、メトロフレームMF1、MF2相互間の位置関係を調整するための、調整指令及びメトロフレーム間位置調整目標値(以下、調整目標値と略記する)を、主制御装置20に入力する。この入力に応答して、主制御装置20により、6つのセンサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57czの計測値が、調整目標値に一致するように、除振装置544、545、546が備える合計6つのアクチュエータ(Xアクチュエータ86X2、Zアクチュエータ86Z4、Yアクチュエータ86Y3、Zアクチュエータ86Z5、Yアクチュエータ86Y4及びZアクチュエータ86Z6)が制御され、その結果、位置関係が仕様値を満足するようにメトロフレームMF1に対するメトロフレームMF2の6自由度方向の位置が調整される。
その理由は、上記の調整目標値を、次のf.〜h.の手順で求めているからである。
f. 露光装置メーカの工場内で上記a.〜e.の手順に従って、メトロフレームMF1、MF2を個別に初期位置に調整する。
g. その後、仕様値を満足するように、メトロフレームMF1とメトロフレームMF2との位置関係を、所定の計測装置(例えば、デジタルマイクロメータなど)を用いて調整する。
h. その状態で6つのセンサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57czの計測値を、上記調整目標値として取得する。
半導体製造工場での露光装置100の立ち上げ後、時間の経過とともに、例えば一対のベースフレームBF1、BF2の変形、及びボディ400が設置された床Fの変形(歪み)等により、メトロフレームMF1、MF2相互間に位置ずれ(長時間に渡る非常にゆっくりとしたベースフレームBF1、BF2の変形(低周波振動)に起因する位置ずれ)が起こる。そこで、主制御装置20は、かかるメトロフレームMF1、MF2相互間の位置ずれを補正する。
低周波領域の振動、すなわち非常にゆっくりとしたベースフレームBF1、BF2の変形に起因するメトロフレームMF1、MF2相互間の位置ずれの補正は、例えば、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTの停止中、又はメンテナンス時など、メトロフレームMF1、MF2のいずれにも高周波領域の振動が発生していないときに、メトロフレームMF1,MF2間の距離の変化をセンサ群57に属する6つのセンサ(57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)で計測することで行われる。すなわち、主制御装置20は、所定のインターバルで(例えばウエハの1ロット毎(1ロットのウエハの処理が終わる度毎)、若しくは数ロット毎、又は1日毎に)センサ群57に属する6つのセンサを用いてメトロフレームMF1,MF2間の距離を測定し、その測定結果から例えば単位時間当たりのメトロフレームMF1,MF2間の距離の変位量を算出する。そして、主制御装置20は、除振装置544、545、546が備える合計6つのアクチュエータを介して単位時間当たりのメトロフレームMF1,MF2間の距離の変位量が相殺されるような変位が単位時間にメトロフレームMF1,MF2間に生じるような力をメトロフレームMF2に非常にゆっくりとした速度で与える。これによって、低周波領域の振動、すなわち非常にゆっくりとしたベースフレームBF1、BF2の変形に起因するメトロフレームMF1、MF2相互間の位置ずれを補正する。
次に、本実施形態に係る露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図10〜図25に基づいて説明する。本実施形態に係る露光装置100では、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書の実施形態中に開示されている手順と同様の手順に従って、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを用いた並行処理が、主制御装置20によって実行される。なお、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。なお、図10以降の各図では、計測ステージMSTは簡略化して示されている。
また、第1ないし第6エンコーダシステム80A〜80Fの各ヘッド、多点AF系、アライメント系などは、それらを使用するとき、又はその使用の少し前にオフ状態からオン状態に設定されるが、以後の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
図10には、ウエハステージWSTがローディングポジションLPにあり、計測ステージMSTが、投影光学系PLの直下にある状態が示されている。このとき、計測テーブルMTBと投影光学系PLとの間に液体Lqによる液浸領域14が形成されている。ローディングポジションLPで、新たな露光前のウエハW1(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、不図示のロボットアームから成るウエハロード部材と前述の上下動部材とによってウエハステージWST上にロードされる。図10には、ウエハW1がウエハテーブルWTB上にロードされた後の状態が示されている。
本実施形態では、図10に示されるように、ローディングポジションLPは、一例として計測プレート30上の基準マークFMが、セカンダリアライメント系AL24にほぼ対向する位置に設定されているが、これに限らず、ローディングポジションLPは、プライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置(すなわち、後述するプライマリアライメント系AL1のベースライン計測(Pri−BCHK)の前半の処理を行う位置)に設定しても良い。この場合、ウエハWのロード動作と少なくとも一部並行してPri−BCHKの前半の処理を行うことが可能になる。ウエハステージWSTがローディングポジションLPにあるときウエハテーブルWTBの位置情報は、第3エンコーダシステム80Cによって計測されている。
ウエハのロード後、主制御装置20は、図10中に黒矢印で示されるように、ウエハステージWSTを−X方向に所定距離駆動して計測プレート30上の基準マークFMを、プライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めした後(図11参照)、Pri−BCHKの前半の処理を行う。すなわち、主制御装置20は、前述した計測プレート30の中央に位置する基準マークFMを、プライマリアライメント系AL1で検出(観察)し、そのプライマリアライメント系AL1の検出結果とその検出時における第3エンコーダシステム80Cの計測値とを対応付けてメモリに記憶する。
次に、主制御装置20は、第3エンコーダシステム80Cの計測値に基づいて、粗動ステージWCSを駆動するとともに、ウエハテーブルWTBの位置をサーボ制御しつつ、ウエハステージWSTの図11に示される位置から露光ステーション200へ向けての+Y方向の移動動作を開始する。このウエハステージWSTの+Y方向の移動は、まず、例えば3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、ファーストアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けて開始される。なお、粗動ステージWCSは、露光ステーション200、計測ステーション300及びその間のいずれの領域でも、エンコーダシステム150の各エンコーダシステムで計測されたウエハテーブルWTBのXY平面内の位置情報に基づいて、XY平面内で駆動されるが、以下においては、この点に関する説明は省略する。
そして、+Y方向への移動中に、図12に示される位置、すなわち計測プレート30に送光系90aからの検出ビームが照射される位置にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTを停止して、フォーカスキャリブレーション前半の処理を行う。
すなわち、主制御装置20は、前述した第4エンコーダシステム80Dの一対のXZヘッド66X1、66X2によって検出されるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報(スケール391、392のZ位置情報)を検出しつつ、それらの情報から得られる基準平面を基準として、多点AF系(90a,90b)を用いて前述の計測プレート30表面の面位置情報を検出する。これにより、前述の基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係が求まる。このとき、ウエハテーブルWTBの位置は、主制御装置20により第3エンコーダシステム80Cの計測値に基づいて、サーボ制御されている。
また、本実施形態では、上述のフォーカスキャリブレーション前半の処理が行われるウエハテーブルWTBの位置と、3つのファーストアライメントマークを検出する処理が行われるウエハテーブルWTBの位置とが一致しているので、主制御装置20は、フォーカスキャリブレーション前半の処理と並行して、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのファーストアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図12中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第3エンコーダシステム80Cの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
次に、主制御装置20によって、ウエハステージWSTの+Y方向への移動(例えば5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、セカンドアライメントマークと略称する)を検出する位置に向かってのステップ移動)が開始される。
そして、ウエハステージWSTが+Y方向へ更に移動し、図13に示される位置に到達すると、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのセカンドアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図13中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第3エンコーダシステム80Cの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
また、本実施形態では、図13からわかるように、このセカンドアライメントマークを検出した直後に、送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始める。そこで、セカンドアライメントマークの検出後、主制御装置20は、第4エンコーダシステム80Dの4軸ヘッド661、662、並びに多点AF系(90a,90b)を用いたフォーカスマッピングを開始する。このフォーカスマッピングに際しては、主制御装置20は、例えば図13に示されるように、スケール391,392にそれぞれ対向する第3エンコーダシステム80Cの2つの4軸ヘッド683、673の計測値に基づいてウエハテーブルWTBのXY平面内の位置を管理している。この図13の状態では、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBの中心(ウエハW1の中心にほぼ一致)を通るY軸に平行な直線(センターライン)が一致した状態となっている。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWSTが+Y方向へ進行している間に、2つの4軸ヘッド661、662のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB表面(プレート28表面)のX軸方向両端部(一対の第2撥水板28b)のY軸方向及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系(90a,90b)で検出される複数の検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、所定のサンプリング間隔で取り込み、その取り込んだ各情報を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
フォーカスマッピングの進行の途中(具体的には、ウエハアライメント計測が終了した時点)で、図15に示されるように、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bに属する3つのヘッド731〜733の全てが、ウエハテーブルWTB(スケール391,392)に同時に対向するようになる。図15に示される位置にウエハステージWSTがあるとき、第3エンコーダシステム80Cの一対の4軸ヘッド683、673も依然として、スケール391,392にそれぞれ対向している。そこで、主制御装置20は、ウエハアライメント計測が終了後、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる計測装置を、第3エンコーダシステム80Cから第5エンコーダシステム80Eに切り換え、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bに属する3つのヘッド731〜733の計測値に基づいてウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御を行う。
そして、多点AF系(90a,90b)の検出ビームがウエハWに掛からなくなると、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるように、多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだ2つの4軸ヘッド661、662それぞれで計測されたZ軸方向に関する位置情報を基準とするデータに換算する。
並行動作の説明に戻る。上記のサンプリングの終了に先立ち、フォーカスマッピングのためのウエハステージWSTの+Y方向への移動により、ウエハステージWSTが、図14に示される位置に達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをその位置で停止させる。そして、主制御装置20は、例えば5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのサードアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、サードアライメントマークと略称する)をほぼ同時にかつ個別に検出し(図14中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第3エンコーダシステム80Cの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。また、この時点でも、フォーカスマッピングは続行されている。
次に、主制御装置20は、例えば3つのフォースアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、フォースアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向への移動を開始する。このとき、フォーカスマッピングは続行されている。
そして、ウエハステージWSTが図15に示される位置に到達すると、主制御装置20は、直ちにウエハステージWSTを停止させ、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、ウエハW上の3つのフォースアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図15中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第3エンコーダシステム80Cの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このフォースアライメントマークの検出終了後、直ちに、主制御装置20は、前述の如く、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる計測装置を、第3エンコーダシステム80Cから第5エンコーダシステム80Eに切り換える。この時点以降、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bに属する3つのヘッド731〜733の計測値に基づいてウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御が行われる。
そして、主制御装置20は、上述のようにして得た合計16個のアライメントマークの検出結果と対応する第3エンコーダシステム80Cの計測値とを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書に開示されているEGA方式にて統計演算を行って、EGAパラメータ(Xオフセット、Yオフセット、直交度、ウエハ回転、ウエハXスケーリング、ウエハYスケーリングなど)を算出する。
上述のウエハアライメント(少なくともフォースアライメントマークの位置計測までの処理)が終了した後、主制御装置20は、図17に示される位置、すなわちウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、Y軸方向に関して、接触或いは例えば300μm程度の離間距離を挟んで近接する状態(以下、接触又は近接する状態(又はスクラム状態)と称する)の開始位置へウエハステージWSTを移動させる。この移動は、主制御装置20により、ウエハテーブルWTBに液体が触れることがない状態で、+Y方向に一気に長ストロークでウエハステージWSTを高速移動させることで行われる。
主制御装置20は、上述の長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動の開始直後は、第5エンコーダシステムのヘッド部71Bの各ヘッドの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御を行いつつ、フォーカスマッピングを続行する。そして、多点AF系(90a,90b)からの検出ビームがウエハW表面から外れると、フォーカスマッピングを終了する。
そして、フォーカスマッピング終了後、ウエハステージWSTの+Y方向へさらに移動させると、この移動の途中で、ウエハステージWSTが第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bの計測範囲から外れるので、主制御装置20は、それに先立って、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71B、71Aが同時にウエハテーブルWTBに対向した位置、例えばウエハステージWSTが図16に示される位置に位置したときに、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御のために用いるヘッドを、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bからヘッド部71Aに切り換える、ヘッドの切り換え、すなわちヘッド間の計測値のつなぎ処理を実行する。このつなぎ処理として、主制御装置20は、例えば米国特許出願公開第2009/0040488号明細書に開示されるのと同様の位相つなぎを実行する。
ここで、説明は前後するが、位相つなぎの説明に先立って、その位相つなぎを説明するための前提となる事項、具体的には、エンコーダによる変位の計測値(フリンジ成分のオフセットと位相成分のオフセット)及び位相オフセット、該位相オフセットを決定するためのエンコーダセット及び座標つなぎについて説明する。なお、ここでは、一例として、XY平面内の位相つなぎを説明するための前提となる事項について説明する。
例えばエンコーダによる変位ΔXの計測値CΔXは、フリンジ成分のオフセットと位相成分のオフセットとの和で表すことができる。ここで、フリンジ成分のオフセットは、計測単位(計測ピッチ)δとカウント値cΔX(すなわち、計測値CΔXを計測単位δで除した商cΔX)との積cΔX×δである。位相成分のオフセットは、上述の計測値CΔXを計測単位δで除した剰余であり、エンコーダで実測される位相φ’、及び位相オフセットと呼ばれる定位相項φ0(但し、0≦φ0<2π)を用いて、δ×(φ’−φ0)/2πで表すことができる。すなわち、計測値CΔXは、次式(1)で表される。
CΔx=δ×cΔX+δ×(φ’−φ0)/2π……(1)
エンコーダシステム150に属する最初のヘッド(エンコーダ)の位相オフセットφ0は、エンコーダセットと呼ばれる、エンコーダ座標の原点をステージセットの基準(例えば、ステージ座標系の原点)に合わせる処理により決定される。本実施形態では、ステージ座標系の原点は、一例としてプライマリアライメント系AL1の検出中心に前述した計測プレート30の中央に位置する基準マークFMが一致する位置に、定められているものとする。従って、主制御装置20では、オペレータからのエンコーダセットの指令に応じて、前述したPri−BCHKの前半の処理を行う位置に、ウエハステージWSTを位置決めし、プライマリアライメント系AL1を用いて基準マークFMを検出し、その検出結果に基づいて、プライマリアライメント系AL1の検出中心に基準マークFMが一致する位置にウエハステージWSTを位置決めする。これにより、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の位置は、座標(X,Y,θz)=(0,0,0)に設定される。以下では、このウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)が座標(0,0,0)に設定された状態を、便宜上、基準状態と呼ぶ。そして、主制御装置20は、基準状態でスケール391,392に対向している4つのヘッド、すなわちXZヘッド68X3、67X3、及びYZヘッド68Y3、67Y3の計測値(予想計測値、すなわち理論上の計測値)を、それぞれ、各ヘッドのステージ座標系上でのX座標値又はY座標値(例えば設計値)に初期設定することで、エンコーダセットを行う。
ところで、例えば前述の米国特許出願公開第2009/0040488号明細書などにも開示されているように、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)が座標(X,Y,θz)に位置する場合、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の位置を計測する、ステージ座標系上での位置座標が、(p1,q1)、(p2,q2)、(p3,q3)でそれぞれ表される例えば2つのYエンコーダ及び1つのXエンコーダそれぞれの計測値Cy1、Cy2及びCx1は、理論上、次式(2a)〜(2c)で表すことができることが知られている。
Cy1=−(p1−X)sinθz+(q1−Y)cosθz …(2a)
Cy2=−(p2−X)sinθz+(q2−Y)cosθz …(2b)
Cx1= (p3−X)cosθz+(q3−Y)sinθz …(2c)
ここで、例えば、XZヘッド68X3、67X3、及びYZヘッド68Y3、67Y3のステージ座標系上での位置座標が、それぞれ(p1、0)、(p2、0)、及び(p1、q1)、(p2、q1)であるものとする。この場合、XZヘッド68X3及び67X3のX位置の計測値C1及びC2は、基準状態では、式(2c)の左辺のCx1を、C1又はC2で置き換え、右辺におけるX、Y、θzに0をそれぞれ代入するとともに、(p3、q3)に(p1、0)又は(p2、0)を代入することで、それぞれC1=p1、C2=p2と初期設定される。同様に、YZヘッド68Y3、Y3のY位置の計測値C3及びC4は、式(2a)又は式(2b)を用いてC3=q1、C4=q1と初期設定される。
ここで、例えばC1=p1を、前述した式(1)の左辺に代入することで、
C1=p1=δ(c68X3+(φ’−φ0,68X3)/2π)
として、XZヘッド68X3のフリンジ成分のオフセットδ×c68X3と、位相成分のオフセットδ×/(φ’−φ0,68X3)/2πが定まり、これより、XZヘッド68X3固有の位相オフセットφ0,68X3(0≦φ0,68X3<2π)が求められる。ここで、位相オフセットφ0,68X3は、XZヘッド68X3による位相の実測値φ’と、XZヘッド68X3の予想計測値C1=p1に含まれる位相成分(すなわち2πdC1/δ)との差である。ここで、dC1は、微小量であり、C1をδで除した剰余とは、異なり得る。ウエハステージWSTの位置座標の算出に際して、算出誤差が生じ得るからである。
上記と同様にして、その他のヘッド67X3、68Y3、67Y3についても、フリンジ成分のオフセット及び位相成分のオフセット、並びに固有の位相オフセットが求められる。
しかしながら、これに限らず、主制御装置では、オペレータからのエンコーダセットの指令に応じて、前述したPri−BCHKの前半の処理を行う位置に、ウエハステージWSTを位置決めし、プライマリアライメント系AL1を用いて基準マークFMを検出し、その位置にウエハステージWSTを位置決めしたまま、プライマリアライメント系AL1の検出結果(Δx、Δy)を、各ヘッドのステージ座標系上でのX座標値又はY座標値に加算したC1=p1+Δx、C2=p2+Δx、C3=q1+Δy、C4=q1+Δyを、XZヘッド68X3、67X3、及びYZヘッド68Y3、67Y3の計測値として初期設定しても良い。この場合も、前述と同様にして、各ヘッドについて、フリンジ成分のオフセット及び位相成分のオフセット、並びに固有の位相オフセットが求められる。
上記4つのヘッド68X3、67X3、68Y3及び67Y3以外のヘッドについては、前述の米国特許出願公開第2009/0040488号明細書などに詳細に開示される座標つなぎにより、位相オフセットが定められる。ここで、座標つなぎとは、エンコーダシステムの少なくとも2つのヘッドを用いて、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸及びθzの各方向の位置情報(X、Y、θz)を計測している状態で、そのとき同時にスケール391又は392に対向しており、新たに使用が開始される他のヘッドの初期値として、例えば、前述した式(2a)又は(2c)などと同様の式に、上記位置情報(X、Y、θz)の計測値及び各ヘッドのステージ座標系上での位置座標を、代入することで得られる前記他のヘッドの予想計測値を、設定する処理を意味する。
例えば、XZヘッド68X4の位相オフセットを求めるための座標つなぎに際しては、主制御装置20は、上述のようにしてエンコーダセットを行った後、上記4つのヘッドがいずれも対向するスケール391又は392から外れない範囲で、図11に示される状態から、ウエハステージWSTを+X方向に所定距離移動させ、XZヘッド68X4及びYZヘッド68Y4をスケール391に対向させ、その位置にウエハステージWSTを位置決めする。そして、主制御装置20は、上記4つのヘッドのうち、任意の3つ、例えばYZヘッド68Y3、67Y3及びXヘッド68X3(又は67X3)の計測値を用いて、連立方程式(2a)〜(2c)と同様の連立方程式を解いて、ウエハテーブルWTBの位置情報(X、Y、θz)を求める。そして、その位置情報及びXZヘッド68X4のXY座標値を、式(2c)と同様の関係式に代入することで得られるXZヘッド68X4の計測値の予想値C5を、計測単位δの離散値、すなわちδ×c5(ここで、c5はカウント値)に変換する。そして、この離散値と微小量dC5の和δ×c5+dC5を、上記関係式に代入し、該関係式と、任意の3つのヘッドのうちの任意の2つについての同様の関係式とから成る連立方程式を解いて、位置座標を逆算する。ここで求まる位置座標(X’,Y’,θz’)が、先に求められた位置座標(X,Y,θz)に一致するように、微小量dC5を決定する。そして、XZヘッド68X4に対し、離散値δ×c5(カウント値c5)を初期値として設定する。それと同時に、位相φ’68X4を微小量dC5に相当する位相2πdC5/δに補正するために、位相オフセットをφ0、68X4=φ’68X4−2πdC5/δ(0≦φ0,68X5<2π)と設定する。
YZヘッド68Y4を含み、エンコーダシステム150の残りの他のヘッドについても、同様にして、少なくとも1回座標つなぎを行うことで、それぞれのヘッドについて、位相オフセットが求められる。
ここで、並行処理の説明、すなわち第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bからヘッド部71Aに切り換える、ヘッドの切り換えの説明に戻る。この場合のヘッドの切り換えでは、前述の如く、位相つなぎが採用されている。この位相つなぎでは、位相オフセットを再設定せず、すでに設定されている位相オフセットを引き続き使用する。すなわち、位相つなぎ法では、フリンジ成分のオフセット(カウント値)のみを再設定する。この場合、エンコーダの切り換え前後で、算出されるウエハステージWSTの位置座標は不連続となり得る。しかし、位相オフセットが正確に設定されている場合には、カウント値の設定ミスが生じない限り、誤差は発生しない。このことは、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との間の位置ずれに起因するフリンジ跳びが発生し得る構成の本実施形態においても同様である。
そこで、主制御装置20は、カウント値の設定ミスを防止すべく、すなわちフリンジ跳びの発生を防止すベく、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bからヘッド部71Aへの切り換え(ヘッド間の計測値のつなぎ処理)における新たに使用が開始される各XYヘッド72X1、72X2の初期値(この場合、フリンジ成分、すなわち前述のカウント値)の決定に際して、主制御装置20は、後述するようにセンサ群57に属する各センサの計測値を用いている。
つなぎ処理は、具体的には、次のようにして行われる。すなわち、主制御装置20は、図16に示されるように、ヘッド部71Bの各ヘッド731〜733を構成する各ヘッドを用いて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置をサーボ制御(ここでは、一例としてθx、θy及びθzは共に零となるように制御)しつつ、XYヘッド72X1、72X2それぞれの計測値(この場合、計測値のフリンジ成分、すなわちカウント値)を求め直し、エンコーダ座標原点を復帰する。なお、各Zヘッドの計測値としては、ヘッド部71Bの各Zヘッドと同じ値(所定値又は零)が設定される。
このとき、主制御装置20は、XYヘッド72X1、72X2それぞれについてフリンジ成分(すなわちカウント値)を求めるに際し、ウエハテーブルWTBの位置(X、Y、θz)に基づき、計算で得られるXYヘッド72X1、72X2それぞれの予想計測値のフリンジ成分をベースとし、予想計測値の位相成分と、XYヘッド72X1、72X2それぞれにより実測された位相成分とを比較して、予想計測値の位相成分と実測された位相成分がより近くなるように、フリンジ成分を決定する。
このフリンジ成分の決定に際し、そのつなぎ(この場合、位相つなぎ)を行う時点におけるセンサ群57に属する各センサの計測値から得られる、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2のXY平面内の位置ずれを、各XYヘッドの予想計測値にオフセットとして加える。
従って、本実施形態では、ウエハテーブルWTBの位置(X、Y、θz)に基づき、計算で得られるXYヘッド72X1、72X2それぞれの予想計測値に第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2のXY平面内の位置ずれが含まれ、その予想計測値のフリンジ成分をベースとして、予想計測値の位相成分と実測された位相成分がより近くなるように、フリンジ成分が決定される。これにより、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との位置ずれに起因して、フリンジ跳びが生ずるのを防止して、XYヘッド72X1、72X2それぞれのフリンジ成分を精度良く再設することが可能になる。
なお、上では、説明の複雑化を防止するため、XY平面内方向(X、Y、θz)についてフリンジ跳びを防止する方法を説明したが、実際には、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bからヘッド部71Aに切り換えに際して、Z方向(Z、θx、θz)についてもフリンジ跳びが発生しないように、ヘッド部71Bの各ヘッド731〜733を構成する各ヘッドについて、フリンジ成分を決定することもできる。この場合、主制御装置20により、切り換え直前のウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置(X、Y、Z、θx、θy、θz)が維持されるように、ヘッド部71Bの各ヘッド731〜733を用いてサーボ制御が行われ、上述と同様、所定の演算によって各ヘッドについて、フリンジ成分が決定される。Z方向(Z、θx、θz)についてもフリンジの成分の決定に際しては、ウエハテーブルWTBの位置に基づき、計算により、Zヘッド72Z1、72Z2及びヘッド723の予想計測値が求められるが、その予想計測値に、センサ群57に属する各センサの計測値から得られる、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2のZ方向(Z、θx、θz)の位置ずれ(に対応するZ位置ずれ)が、オフセットとして加えられる。そして、その予想計測値のフリンジ成分をベースとして、予想計測値の位相成分と実測された位相成分がより近くなるように、フリンジ成分が決定される。これにより、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との位置ずれに起因して、フリンジ跳びが生ずるのを防止して、XYヘッド72X1、72X2、並びにZヘッド72Z1、72Z2及びヘッド723それぞれのフリンジ成分を精度良く再設することが可能になる。
上述したように、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Bからヘッド部71Aに切り換えた後、ヘッド部71Aの各ヘッドによりウエハステージWSTの6自由度方向の位置は計測される。そして、前述した長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動により、図17に示される位置にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の第5エンコーダシステム80Eから一時的に第2エンコーダシステム80Bに切り換える。以後、ウエハテーブルWTBの位置の制御は、第2エンコーダシステム80Bによる計測値に基づいて行われる。また、図17に示される位置までウエハステージWSTが移動した状態では、ウエハテーブルWTBは、液浸領域の受け渡しのため、計測テーブルMTBに対してY軸方向に関して接触又は近接する状態(スクラム状態)となっている。
次いで、主制御装置20は、図17中に黒色矢印及び白色矢印でそれぞれ示されるように、ウエハテーブルWTBと計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を維持したまま、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、+Y方向に駆動する。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLとウエハテーブルWTBとによって液浸領域14(液体Lq)が保持されるようになる(図18参照)。
上記の液浸領域14の受け渡しが終了した時点では、ヘッド部62A、62Cが、スケール391、392に対向する状態になっている(図18参照)。すなわち、ウエハテーブルWTBの位置が、第2エンコーダシステム80Bとともに第1エンコーダシステム80Aによっても計測可能となる。そこで、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBの位置制御に用いる計測系を、第2エンコーダシステム80Bから第1エンコーダシステム80Aに切り換える。
そして、両ステージWST,MSTが、図18に示される計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置に到達すると、主制御装置20は、両ステージWST,MSTを停止し、Pri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。ここで、Pri−BCHK後半の処理とは、投影光学系PLによって投影されたレチクルR(又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板)上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、計測プレート30を含む前述した空間像計測装置45を用いて計測する処理を意味する。また、フォーカスキャリブレーション後半の処理とは、一対のXZヘッド65X3、64X3によって計測されるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハテーブルWTB)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置45を用いて、レチクルR上の計測マークの空間像をスリットスキャン方式で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する処理を意味する。
このとき、液浸領域14が投影光学系PLと計測プレート30(ウエハテーブルWTB)との間に形成されているので、上記の空間像の計測は、投影光学系PL及び液体Lqを介して行われる。また、空間像計測装置45の計測プレート30などはウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)に搭載され、受光素子などは計測ステージMSTに搭載されているので、上記の空間像の計測は、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触又は近接状態を保ったままで行われる。
上記の測定により、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X3、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)が求まる。この計測値は、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応している。
上述のPri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行なった後、主制御装置20は、前述のPri−BCHKの前半の処理の結果とPri−BCHKの後半の処理の結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。また、これとともに、主制御装置20は、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理で得られた基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係と、上述のフォーカスキャリブレーション後半の処理で得られた投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X3、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)とに基づいて、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセットを求め、そのオフセットが零になるように前述の光学的手法により多点AF系の検出原点を調整する。
この場合において、スループット向上の観点から、上述のPri−BCHKの後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理の一方のみを行っても良いし、両方の処理を行うことなく、次の処理に移行しても良い。勿論、Pri−BCHKの後半の処理を行わない場合には、前述のPri−BCHKの前半の処理を行う必要もない。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、図18に示されるように、計測ステージMSTを、−X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST,MSTの接触又は近接状態を解除する。
そして、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW上にレチクルパターンを転写する。この露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(EGA)の結果(算出されたウエハ上のすべてのショット領域の配列座標)及びアライメント系AL1(及びAL21〜AL24)の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)Lqを保持した状態で行われる。
また、本実施形態では、一例として最初に露光される第1ショット領域が、ウエハWの−X側半部の+Y端部に位置するショット領域に定められているため、まず、その加速開始位置へ移動するため、ウエハステージWSTが、図18中に黒矢印で示されるように、+X方向かつ+Y方向に移動される。
そして、図19に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハの−X側半部の領域を+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光する。
主制御装置20は、図20、図21中に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハWの+X側半部の領域を−Y側のショット領域から+Y側のショット領域の順で露光する。これにより、ウエハW上の全てのショット領域の露光が終わった時点では、ウエハステージWSTは、露光開始前の位置とほぼ同一位置に戻っている。
本実施形態では、上述したショット領域の露光順序を採用しているが、その露光のためにウエハステージWSTが移動する経路の全体長さは、同じ大きさのウエハを同一のショットマップに従って露光するとした場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される従来の液浸スキャナなどと大差ない。なお、従来の液浸スキャナで採用されるショット領域の露光順序を採用しても勿論構わない。
上記の露光中、第1エンコーダシステム80Aの計測値、すなわちスケール391,392にそれぞれ対向する4軸ヘッド65、64の計測値(ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報の計測結果)が主制御装置20に供給され、その計測結果から得られるウエハテーブルWTBの6自由度方向に関する位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御が行われる。また、この露光中のウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われた前述のフォーカスマッピングの結果に基づいて行われる。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWSTがX軸方向に移動すると、その移動に伴って、第1エンコーダシステム80Aの前述のヘッドの切り換え(複数のヘッド間における計測値の引き継ぎ)が行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用する第1エンコーダシステム80Aのエンコーダを適宜切り換えて、ステージ制御を実行している。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、第6エンコーダシステム80Fの計測値に基づいて、計測ステージMSTを、図21中に白矢印で示されるように、XY平面内で駆動することで、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、前述の接触又は近接する状態に移行させる。
そして、主制御装置20は、図22に示されるように、上記の接触又は近接する状態を保って、両ステージWST,MSTを−Y方向に移動させる。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、ウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上に受け渡される(図23参照)。
上記の接触又は近接する状態に移行後、液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上への移動が完了する直前に、ウエハステージWSTが、第1エンコーダシステム80Aの計測範囲から外れ、第1エンコーダシステム80AによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。その直前に、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系を、第1エンコーダシステム80Aから第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aに切り換える。
次いで、主制御装置20は、図23に示されるように、ウエハステージWSTをローディングポジションLPに向けて、ロングステップで直線的に高速駆動する。これにより、前述の接触又は近接する状態が解除された後、ウエハステージWSTは、アンローディングポジションUP1に向けて移動を開始する。この移動は、ウエハテーブルWTB上に液体Lqが触れることなく行われるので、高加速、例えば2段階の加速により短時間で行うことができる。
この駆動の途中で、ウエハステージWSTが計測範囲から外れて第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71AによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTが第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aによる計測範囲から外れる前に、例えばウエハステージWSTが図24に示される位置にあるときに、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系(ヘッド)を、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aからヘッド部71Bに切り換える。このとき、主制御装置20は、前述の位相つなぎ法を採用して、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aからヘッド部71Bへの切り換え(計測値のつなぎ処理)を行う。この際、新たに使用が開始されるXYヘッド73X1、73X2、並びにZヘッド72Z1、72Z2及びヘッド723(又はXYヘッド73X1、73X2)それぞれのフリンジ成分、すなわちカウント値(初期値)の決定に際して、主制御装置20は、そのつなぎ(この場合、位相つなぎ)を行う時点におけるセンサ群57に属する各センサの計測値から得られる、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2の6自由度方向(又はXY平面内の3自由度方向)の位置ずれを、各ヘッドの予想計測値にオフセットとして加えることとしている。そして、その予想計測値のフリンジ成分をベースとして、予想計測値の位相成分と実測値の位相成分がより近くなるように、フリンジ成分が決定される。これにより、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との位置ずれに起因して、フリンジ跳びが生ずるのを防止して、XYヘッド73X1、73X2、並びにZヘッド72Z1、72Z2及びヘッド723それぞれのフリンジ成分を精度良く再設することが可能になる。
上述したように、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aからヘッド部71Bに切り換えた後、ヘッド部71Bの各ヘッドによりウエハステージWSTの6自由度方向の位置は計測される。そして、アンローディングポジションUPにウエハステージWSTが到達する前に、ウエハステージWSTが計測範囲からはずれ、第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71BによるウエハテーブルWTBの位置情報の計測が困難となる。そこで、これに先立って、ヘッド部71Bのヘッド731、732、733とともにヘッド部62F、62Eが、スケール391、392に対向する状態になった時点で、ウエハテーブルWTBの位置制御に用いる計測系が、第5エンコーダシステム80Eから第3エンコーダシステム80Cに切り換えられる。
そして、図25に示されるように、ウエハステージWSTが、アンローディングポジションUPに到達すると、主制御装置20は、露光済みのウエハWを次のような手順で、ウエハステージWST上からアンロードする。
すなわち、主制御装置20は、ウエハホルダによる露光済みのウエハWの吸着を解除した後、3本の上下動部材を所定量上昇駆動してウエハWを持ち上げる。このときの3本の上下動部材の位置は、ローディングポジションLPにウエハステージWSTが到達し、次のウエハのロードが開始されるまで維持される。
ウエハWのアンロード後、主制御装置20は、図25中に黒矢印で示されるように、ウエハステージWSTを、所定量+X方向に駆動して、ローディングポジションLPに位置決めする(図11参照)。
これにより、1枚のウエハに対する一連(1サイクル)の処理が終了し、以降、同様の動作が繰り返し実行される。
なお、本実施形態では、前述の如く、エンコーダセット処理又は座標つなぎ処理により、エンコーダシステム150の各ヘッドについて位相オフセットが設定される。しかし、位相オフセットは、一度正確に設定したとしても、ヘッドの設置位置のずれ等が生じて、正確さを失うことがあり得る。そこで、露光装置100の起動後、初回のつなぎ処理時に座標つなぎ法を適用して位相オフセットを設定し、以降のつなぎ処理時には位相つなぎ法を適用する。そして、露光装置100のアイドル中又はロット先頭時等に、適宜、座標つなぎ法を実行して、位相オフセットを最新値に更新すると良い。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、投影光学系PLを支持する第1メトロフレームMF1と、アライメント装置99及び多点AF系90等を支持する第2メトロフレームMF2とが、物理的に分離しており、かつ個別に3つの除振装置54によって除振された状態でベース部材BF上に配置されている。このため、投影光学系PLとアライメント系等の全てが搭載された一体物のメトロフレームに比べて、メトロフレームMF1、MF2をともに小型化することができる。これにより、メトロフレームMF1、MF2の搬送に際しての大きさ及び重量面での制約を解消することができる。また、メトロフレームMF1、MF2の高い剛性を確保し、また固有振動数が高くなるので、露光動作時のメトロフレームMF1、MF2の変形を小さくすることができる。また、メトロフレームMF1、MF2には、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の位置を計測するエンコーダシステム80A〜80Eを構成するヘッド部が吊下げ支持されているので、ウエハステージWSTの位置決め精度が向上し、より精度の高い露光結果を得ることができる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、メトロフレームMF1、MF2間に両者の位置関係(6自由度方向に関する相対位置)を計測するセンサ群57(6つのセンサ57ay、57bx、57by、57bz、57cy、57cz)が設けられているので、ウエハステージWSTの駆動等の外乱によりメトロフレームMF1、MF2相互の位置関係が変動したとしても、主制御装置20は、センサ群57の各センサの計測値をオフセットとして用いることで、メトロフレームMF1、MF2間の位置ずれに起因する、メトロフレームMF1に設けられたエンコーダシステム(ヘッド)の計測値とメトロフレームMF2に設けられたエンコーダシステム(ヘッド)の計測値との間の計測誤差を補正することができる。特に、ヘッド部71Aが第1メトロフレームMF1に設けられ、ヘッド部71Bが、第2メトロフレームMF2に設けられている第5エンコーダシステム80Eでは、ヘッド部71A、71B相互間では両者間の計測値のつなぎに際して、センサ群57の各センサの計測値をオフセットして用いて計測誤差が補正される。これにより、ウエハステージWSTの位置によらず、メトロフレームMF1、MF2相互の位置関係の変動の影響を受けることなく、ウエハテーブルWTBの高い位置決め精度を確保することが可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、メトロフレームMF1、MF2はアクチュエータを備える複数の除振装置54を介して、床面に支持された一対のベースフレームBF1、BF2にそれぞれ非接触状態で支持されているので、主制御装置20は、床の歪み等による低周波領域の振動(すなわちベース部材BF(ベースフレームBF1、BF2)のゆっくりとした変形)に起因するメトロフレームMF1、MF2相互間の位置関係の変動を上述のセンサ群57で計測し、その計測結果に基づいて、除振装置54の備えるアクチュエータを介して、メトロフレームMF1に対するメトロフレームMF2の位置を調整し、両者の位置関係を初期の状態に保つことで、低周波領域の振動に起因するメトロフレームMF1、MF2相互の位置ずれの発生を防止ないしは効果的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、メトロフレームMF1、MF2間の距離(位置関係)を計測する絶対位置検出型のセンサ群57が設けられているので、例えば露光装置メーカの工場内で、出荷前に、露光装置を組み立てて各種調整を行う際に、メトロフレームMF1と、メトロフレームMF2とを個別に初期位置に調整した後、例えばデジタルマイクロメータ等で位置関係を計測しながらメトロフレームMF1、MF2の位置関係を、仕様を満足する状態に初期設定(調整)する。そして、この状態で、センサ群57の各センサの計測値を取得し記憶しておく。これにより、半導体装置メーカの半導体製造工場内で、露光装置100を組み立て、立ち上げる際に、所定の手順でメトロフレームMF1と、メトロフレームMF2とを個別に初期位置に調整した後、出荷前の露光装置の組み立て時に取得したセンサ群57の各センサの計測値を調整目標値として、メトロフレームMF1、MF2の位置関係を調整する。これにより、初期設定時のメトロフレームMF1、MF2の位置関係を容易かつ確実に再現することができ、装置の立ち上げ時間を短縮することができる。
なお、上記実施形態では、低周波領域の振動に起因するメトロフレームMF1、MF2間の位置ずれを、センサ群57の各センサの計測値を用いて補正するとともに、高周波領域の振動に起因するメトロフレームMF1、MF2間の位置ずれについては、その位置ずれに起因するメトロフレームMF1側のヘッドとメトロフレームMF2側のヘッドとの一方のヘッドの計測値を、センサ群57の各センサの計測値をオフセットとして補正するものとした。しかし、ベースフレームBF1に対するメトロフレームMF1の位置をフィードバック制御により初期位置に常時調整し、ベースフレームBF2に対するメトロフレームMF2の位置をフィードバック制御により初期位置に常時調整するのみでも良い。それぞれの調整の基準となるベースフレームBF1とベースフレームBF2とは一体化されているからである。この意味では、センサ群57は必ずしも設けなくても良い。かかる場合であっても、メトロフレームMF1、MF2の小型化に伴う、上述した効果を奏する。
また、上記実施形態では、メトロフレームMF1及びメトロフレームMF2のいずれにもウエハテーブルWTBの位置情報を計測する計測系としてのエンコーダシステムの一部(ヘッド)が設けられるものとした。しかし、これに限らず、メトロフレームMF1及びメトロフレームMF2のいずれにもウエハテーブルWTBの位置情報を計測する計測系として干渉計を設けても良い。この場合、例えばメトロフレームMF1に投影光学系PL(の光軸中心)を基準として、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する干渉計ユニットを設け、メトロフレームMF2にプライマリアライメント系AL1(の検出中心)を基準として、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する干渉計ユニットを設けることができる。あるいは、上記計測系として、エンコーダシステムを用いる場合であっても、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージに複数のエンコーダヘッドを設け、これに対向してメトロフレームMF1、MF2それぞれの下面に、個別に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。特に、ウエハステージに設けられた複数のエンコーダヘッドが、メトロフレームMF1、MF2それぞれの下面の格子部に同時に対向する場合には、前述の第5エンコーダシステム80Eのヘッド部71Aとヘッド部71Bとの切り換えと同様のつなぎ処理を行うこととしても良い。
なお、上記実施形態では、第1メトロフレームMF1をベース部材BFに対して支持する3つの除振装置541〜543を構成する各アクチュエータと、第2メトロフレームMF2をベース部材BFに対して支持する3つの除振装置544〜545を構成する各アクチュエータとが、第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との位置関係を調整可能な調整装置を兼ねる場合について説明したが、これに限らず、メトロフレームMF1、MF2をベース部材BFに対して支持する除振装置とは別に第1メトロフレームMF1と第2メトロフレームMF2との位置関係を調整可能な調整装置(少なくともアクチュエータを含む)を設けても良い。
なお、上記実施形態では、露光装置100が、液浸露光装置であるものとしたが、これに限らず、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも上記実施形態は適用できる。
また、上記実施形態では、露光装置が、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも上記実施形態は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも上記実施形態を適用できる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置にも上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態に係る露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
また、上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。