以下に、本願の開示する制御方法、制御装置および制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの権利範囲が限定されるものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
(実施例1のシステムの全体の構成)
図1は、実施例1のシステムの全体構成の例を示す図である。図1の例に示すように、制御システム1は、監視システム10と、ネットワーク50と、管理者端末60a〜60cと、制御装置100とを有する。監視システム10は、ネットワーク50を介して制御装置100に接続される。また、制御装置100は、ネットワーク50を介して管理者端末60a〜60cと接続される。
監視システム10は、センサ11と、ベッド12と、識別子読取装置13とを有する。監視システム10は、例えば1つのベッドに対して1つ設置される。なお、図1には、制御システム1に1つの監視システム10が示されるが、制御システム1に複数の監視システムが存在してもよい。センサ11は、ベッド12にいる患者や被介護者を監視し、インシデントを検知する。以下の説明において、患者や被介護者を含め医療や介護を受ける側である人を指して、ケア対象者と記載する場合がある。インシデントとは、例えばセンサ11によって検知されたケア対象者の異常である。例えば、センサ11は、ケア対象者が転倒したり、ベッド12から転落したり、痛みで暴れだしたりしたことを検知した場合をインシデントとする。センサ11は、検知したインシデントの情報をメモリに記憶する。
ベッド12は、ケア対象者ごとに割り当てられる病室内のベッドである。以下の説明において、病室と記載する場合、病室には、病室や介護施設の居室を含めてよい。また、病院と記載する場合、病院には、病院や介護施設を含めてよい。個室の病室には、一部屋に一つのベッドが設置され、大部屋の病室には一部屋に複数のベッドが設置される。ベッド12には、病院内の他のベッドと一意に識別しうる識別子が付される。
識別子読取装置13は、ベッドに存在するケア対象者、ベッド周囲に存在する医師、看護師などの医療スタッフ、介護に関するスタッフ等の識別子を読み取る装置である。以下の説明において、医療従事者と記載する場合、医療従事者には医療スタッフや介護スタッフを含めてよい。また単にスタッフと記載する場合も、スタッフには医療スタッフや介護スタッフを含めてよい。識別子読取装置13は、例えば施設内の各スタッフが有するカード型のIC(Integrated Circuit)タグから識別子を読み取る。
監視システム10は、識別子読取装置13によって読み取られた各識別子を、ネットワーク50を介して制御装置100に送信する。
制御装置100は、あるケア対象者のベッドの周辺エリア内に存在する1又は複数の者の識別情報を取得する取得部を有する。制御装置100は、取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報とケア対象者の識別情報とを含む場合に、取得した1又は複数の者の識別情報がケア対象者の識別情報のみを含む場合には通知対象とするケア対象者を監視する監視装置によって検出された複数の種類のインシデントのうちの一部のインシデントを通知対象とし、他のインシデントを通知対象としない制御を行う制御部を有する。なお、監視システム10は、監視装置の一例である。
制御装置100は、あるケア対象者のベッドの周辺エリア内に存在する1又は複数の者の識別情報を取得する取得部を有する。制御装置100は、取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含む場合と、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報を含む場合と、ケア対象者の識別情報のみを含む場合とで、ケア対象者を監視する監視装置によって検出されたインシデントのうち、ケア対象者の周辺エリアで取得された医療従事者とも該ケア対象者と対応付けられている医療従事者とも異なる医療従事者である、特定の医療従事者に対して通知対象とするインシデントのグループを異なるものにそれぞれ制御する制御部を有する。なお、監視システム10は、監視装置の一例である。
制御部は、取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含む場合には、第1のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。また、制御部は、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報を含む場合には、第1のインシデントのグループを包含する第2のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。また、制御部は、ケア対象者の識別情報のみを含む場合には、第2のインシデントのグループを包含する第3のインシデントのグループに含まれる第3のインシデントを通知対象とする。
制御装置100は、医療従事者若しくはケア対象者の親族の顔画像を登録した記憶装置を有する。制御部は、取得した1又は複数の者の顔画像が、記憶装置120に登録された医療従事者若しくはケア対象者の親族に対応する顔画像を含まず、第三者の顔画像のみを含む場合には、第1および第2のインシデントのグループと、第3のインシデントのグループの全部又は一部とを通知対象とする。
図2〜図4を用いて、制御装置100が通知の対象とする各インシデントのグループの具体例について説明する。図2〜図4の例は、制御装置100が、報知レベルに応じてスタッフへの通知対象とするインシデントのグループを制御する内容を示す。
図2は、制御部が通知の対象とするインシデントのグループの第1の例を示す図である。図2の例に示される表10aの各行は、報知レベルに対応する。図2の例では、報知レベルは、「0」「1」「2」「3」の4段階に分けられる。例えば、制御装置100は、監視システム10において取得された識別情報にケア対象者が含まれない場合、報知レベルを「0」とする。また、制御装置100は、監視システム10において取得された識別情報にケア対象者およびスタッフの識別情報が含まれる場合、報知レベルを「1」とする。また、制御装置100は、監視システム10において取得された識別情報にケア対象者および親族の識別情報が含まれる場合、報知レベルを「2」とする。制御装置100は、監視システム10において取得された識別情報にケア対象者のみが含まれる場合、報知レベルを「3」とする。なお、報知レベルの設定は、図3の例でも同じである。
表10aの各列は、インシデントを通知する対象のスタッフを表す。「担当スタッフ&同室スタッフ」の列は、「担当スタッフ」および「同室スタッフ」に対応する。「担当スタッフ」は、インシデントに対応するケア対象者を担当するスタッフである。「同室スタッフ」は、インシデントに対応するケア対象者と同じ室内に在室している、「担当スタッフ」とは異なるスタッフである。また、「その他のスタッフ」の列は、「担当スタッフ」および「同室スタッフ」以外のスタッフに対応する。なお、「その他のスタッフ」は、特定の医療従事者(ケア対象者の担当である医療従事者とも、ケア対象者が存在する室内にいる医療従事者とも異なる医療従事者)の一例である。
図2に示す「種類1」および「種類2」は、インシデントの分類例である。例えば、「種類1」のインシデントは、危険度が所定値以上であるインシデントである。また、例えば、「種類2」は、危険度が所定値未満であるインシデントである。インシデントの危険度とは、インシデントの緊急性の高さを示す。緊急性が高いインシデントほど高い危険度が設定される。
例えば、センサ11は、ケア対象者が転倒する、痛みで暴れだす等のケア対象者の症状の悪化を検知した場合に、緊急性が高いインシデントが発生したと判定し、インシデントに高い危険度を設定する。一方、センサ11は、一時的に気分が悪くなってしゃがみこんだ等のケア対象者の不調の兆候を検知した場合に、緊急性が低いインシデントが発生したと判定し、インシデントに低い危険度を設定する。なお、インシデントの危険度、インシデントを危険度に応じて分類する際の所定値、ならびに、インシデントを危険度に応じて分類する際のインシデントの種類の数は、適宜変更可能である。
制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「0」のとき、「担当スタッフ&同室スタッフ」および「その他のスタッフ」のいずれにも、インシデントが通知されない制御を行う。また、制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「1」のとき、「担当スタッフ&同室スタッフ」には「種類1」および「種類2」のインシデントが通知される制御を行う。また、制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「1」のとき、「その他のスタッフ」にはいずれのインシデントも通知されない制御を行う。また、制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「2」のとき、「担当スタッフ&同室スタッフ」には「種類1」および「種類2」のインシデントが通知される制御を行う。また、制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「2」のとき、「その他のスタッフ」には「種類1」のインシデントが通知される制御を行う。また、制御装置100は、図2に示すように、報知レベル「3」のとき、「担当スタッフ&同室スタッフ」および「その他のスタッフ」に「種類1」および「種類2」のインシデントが通知される制御を行う。
このように、制御装置100は、例えば、報知レベル「3」の場合、すなわち取得した1又は複数の者の識別情報がケア対象者の識別情報のみを含む場合には、「その他のスタッフ」に対して「種類1」および「種類2」のインシデントが通知される制御を行う。一方、制御装置100は、報知レベル「2」の場合、すなわち取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報とケア対象者の識別情報とを含む場合に、「その他のスタッフ」に対して、「種類1」および「種類2」のインシデントのうち一部のインシデントである「種類1」は通知され、他のインシデントである「種類2」は通知されない制御を行う。このように、制御装置100によれば、ケア対象者の周囲にいる人の種類とインシデントの内容とに応じて、スタッフの呼び出しを抑制できる。例えば、ケア対象者の親族がいる場合には、「その他のスタッフ」に対する「種類2」に相当するインシデントの通知を抑制できる。
ところで、インシデントの種類の所定の組み合せにより定まるインシデントの集合が、インシデントを複数にグループ分けした場合のインシデントのグループである。図2の例においては、「種類1」および「種類2」のいずれのインシデントも含まないインシデントの空集合が、第1のインシデントのグループ11aである。また、図2の例においては、「種類1」の全てのインシデントを含み、「種類2」のインシデントを含まないインシデントの集合が、第2のインシデントのグループ11bである。また、図2の例においては、「種類1」および「種類2」の全てのインシデントを含むインシデントの集合が、第3のインシデントのグループ11cである。
なお、インシデントのグループ分けは、第1、第2、第3の順序で、危険度がより低いインシデントを含む、すなわち、第1よりも第2の方が、第2よりも第3のほうが、より危険度の低いインシデントを含むものであれば、いかなるものであってもよい。また、グループ分けしたインシデントのグループの数も、適宜変更可能である。
このように、制御装置100は、報知レベル「1」の場合、すなわち取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含む場合には、特定の医療従事者に対して第1のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。つまり、図2に示すように、報知レベル「1」の場合は、「その他のスタッフ」に対しては、第1のインシデントのグループ11aのインシデントを通知対象とする。この例では、結果的に、いずれのインシデントも通知されない制御を行うことになる。
さらに、制御装置100は、報知レベル「3」の場合、すなわちケア対象者の識別情報のみを含む場合)には、特定の医療従事者に対して第2のインシデントのグループを包含する第3のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。つまり、図2に示すように、報知レベル「3」の場合は、「その他のスタッフ」に対しては、第3のインシデントのグループ11cのインシデントを通知対象とする。この例では、「種類1」および「種類2」のインシデントが通知される制御を行うことになる。このように、制御装置100によれば、ケア対象者の周囲にいる人の種類とインシデントの内容とに応じて、また、危険度の高低に応じて、スタッフの呼び出しを抑制できる。例えば、医療スタッフがいる場合には、「その他のスタッフ」に対して「種類1」および「種類2」の通知を抑制でき、ケア対象者の親族がいる場合には、「その他のスタッフ」に対して「種類1」よりも危険度が低い「種類2」の通知を抑制できる。
図3は、制御装置が通知の対象とするインシデントのグループの第2の例を示す図である。インシデントのグループの第2の例は、インシデントのグループの第1の例と比較して、「担当スタッフ&同室スタッフ」を「担当スタッフ」と「同室スタッフ」とへ分けた点が異なる。また、通知されるインシデントのグループについて、「特定の医療従事者」に対する制御として、「同室スタッフ」と「その他のスタッフ」とに対する制御を同様に行う点が異なる。
すなわち、図3の表10bに示すように、インシデントのグループの第2の例では、インシデントに対応するケア対象者の病室が大部屋である場合等において、偶然居合わせた「同室スタッフ」を「その他スタッフ」と同等に扱う。よって、ケア対象者の周囲におけるスタッフまたは親族の存在に応じて「同室スタッフ」および「その他スタッフ」へ通知されるインシデントの数が制御されるので、「同室スタッフ」および「その他のスタッフ」がインシデントの頻繁な通知に煩わされることを抑止できる。
図4は、制御装置100が通知の対象とするインシデントのグループの第3の例を示す図である。図4の例においては、制御装置100は、インシデントの種類および報知レベルに応じてインシデントの通知対象とするスタッフを制御する。
図4に示すインシデントのグループの第3の例は、インシデントのグループの第2の例と比較して、報知レベル「1」、「2」をそれぞれ「1A」「1B」、「2A」「2B」へ分ける。報知レベル「1A」は、「ケア対象者&熟練スタッフ」に対応する。「熟練スタッフ」は、ケア対象者に対するケアの練度が所定以上のスタッフである。報知レベル「1B」は、「ケア対象者&新人スタッフ」に対応する。「新人スタッフ」は、ケア対象者に対するケアの練度が所定未満のスタッフである。また、報知レベル「2A」は、「ケア対象者&親族」に対応する。報知レベル「2B」は、「ケア対象者&ゲスト」に対応する。
そして、インシデントのグループの第3の例では、通知されるインシデントのグループについて、報知レベル「ケア対象者&新人スタッフ」「ケア対象者&親族」を同等に、報知レベル「ケア対象者&&ゲスト」「ケア対象者のみ」を同等に取り扱う点が異なる。すなわち、ケア対象者に対していかに適切なケアを行い得るかという観点から、「新人スタッフ」と「親族」とを同等に取り扱い、「ゲスト」はケア対象者の周囲に存在しないものとして取り扱う。
すなわち、図4の表10cに示すように、インシデントのグループの第3の例では、報知レベルを細分化して、インシデントに対応するケア対象者の周囲に存在する人間がケア対象者に対して適切なケアを行い得る程度に応じて、報知レベルに対応する「担当スタッフ」、ならびに、「同室スタッフ」および「その他スタッフ」へ通知されるインシデントのグループが制御される。よって、ケア対象者の周囲に存在する人がケア対象者に対していかに適切なケアを行い得るかという実態に即して、通知されるインシデントのグループが制御されるので、ケア対象者のケアのために呼び出すスタッフに対してインシデントを適切に通知することができる。
ここで、監視システム10の他の構成を説明するため、図1の説明に戻る。管理者端末60a〜60cは、センサ11によって検知されたケア対象者の異常を病院内のスタッフに通知するための端末である。管理者端末60a〜60cは、制御装置100からインシデント発生の通知を受信して、例えば画面上にインシデントを表示することで病院内のスタッフにインシデント発生を通知する。管理者端末60a〜60cは、例えば携帯電話、タブレットPC等の各種無線端末である。管理者端末60a〜60cは、病院内の各スタッフが一つ以上所持する。なお、以降では複数の管理者端末60a〜60cをまとめて管理者端末60と表す。
(監視システムの構成)
図1に示す監視システム10の適用例として、図5を用いて監視システム10aの構成について説明する。図5は、監視システムのシステム構成の例を示す図である。図5の例に示すように、監視システム10aは、センサ11aと、ベッド12aと、識別子読取装置13aとを有する。ベッド12aに対するセンサ11aおよび識別子読取装置13aの配置位置は、ベッド12aおよびその周辺について、少なくとも互いに同じ検出範囲をカバーできれば、図5に示す以外の配置位置でも構わない。
センサ11aは、例えば一点鎖線で表された撮影範囲14内を撮影し、ケア対象者の挙動からインシデント発生を検知する画像センサである。例えば、センサ11aは、インシデントとしてケア対象者のベッド12からの転落、暴れるといった挙動を検知する。センサ11aは、検知したインシデントをメモリに記憶する。なお、センサ11aは、画像センサ以外に、ケア対象者が転倒および転落した際に発生する音を検知する音響センサや、ケア対象者が立ち上がったことを検知するマット型の圧力センサ等であってもよいし、それらを併用してもよい。
また、センサ11aは、顔画像を撮影することで利用者情報を取得する機能を有する。利用者情報とは、利用者ID、もしくは利用者IDを特定する際に用いる利用者に関連する情報である。センサ11aは、各利用者の顔画像を撮影し、自センサが対応づけられているベッドIDと利用者の顔画像とを制御装置100に送信する。なお、センサ11aは、後述する識別子読取装置13aがベッド周囲に存在する利用者全員の識別子を読み取ることができた場合、利用者の顔画像を制御装置100に送信しなくてもよい。
センサ11aは、識別子読取装置13aが利用者IDを読み取ることができない利用者が一人でも含まれる場合は、ベッド周囲に存在する利用者全員の顔画像を取得して制御装置100に送信する。例えば、センサ11aは撮影した画像からベッド周囲に利用者が3人存在していると判定したが、識別子読取装置13aが2人分の利用者IDしか読み取ることができなかった場合に、センサ11aは3人分の顔画像を撮影して制御装置100に送信する。制御装置100は、送信された3人分の顔画像を用いて識別子読取装置13aが読み取ることができなかった1人分の利用者IDを特定する。なお、利用者IDの特定に関する詳細は後述する。
なお、センサ11aは、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)タグやID(Identification)カードに書かれている名前等の文字情報、着衣や腕章等に描かれている図形やQRコード(登録商標)を撮影して利用者情報を取得してもよい。
ベッド12aは、病院内のケア対象者ごとに割り当てられる。ベッド12aには、他のベッドと識別するためのベッドIDが付される。センサ11aおよび識別子読取装置13aのメモリには、ベッドIDが設定されている。
識別子読取装置13aは、ベッド周囲に存在するケア対象者および人物の識別子である利用者IDを読み取る装置である。識別子読取装置13aは、例えば、監視システム10aの点線で示される読取範囲内に存在する人物が携帯しているICタグから利用者IDを読み取り、自識別子読取装置が対応付けられているベッドIDと、利用者IDとを制御装置100に送信する。
図5の例に示すように、例えば、識別子読取装置13aは、読取範囲内に人物1Aが存在するので、人物1AのICタグから利用者IDを読み取り、利用者IDとベッドIDとを制御装置100に送信する。一方、識別子読取装置13aは、読み取り範囲外に存在する人物1Bについては、利用者IDを読み取らない。このように識別子読取装置13aは、ベッド周囲の読取範囲内に存在する人物の利用者IDを読み取る。このように、識別子読取装置13aは、読取範囲内に存在する人物の利用者IDを読取ることで、ベッド周囲に存在する人物に係る情報を取得する。
以上説明したように監視システム10aは、制御装置100に、ベッド周囲に存在する人物の利用者IDまたは顔画像を送信する。識別子読取装置13aは、人物が有するICタグ等から利用者IDを読み取ることができる場合、利用者IDを読み取り、制御装置100に送信する。一方、センサ11aは、人物から利用者IDを読み取ることができない場合、ベッド周囲に存在する人物の顔画像を撮影し、撮影した顔画像を制御装置100に送信する。
(記憶部の構成)
図6は、実施例1の制御装置の構成の一例を示す図である。制御装置100は、入力部101と、出力部102と、制御部110と、記憶部120とを有する。記憶部120は、利用者IDデータベース121と、ベッドIDデータベース122と、読取ログ123と、アドレスデータベース124とを有する。記憶部120は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置に対応する。以下、記憶部120の各構成について詳細に説明する。
図7を用いて利用者IDデータベース121のデータ構造の例について説明する。図7は、利用者IDデータベースの一例を示す図である。図7の例に示すように、利用者IDデータベース121は、利用者IDと、種別と、画像識別子とを対応付ける。「利用者ID」は、医師、新人医師、研修医、看護師、親族およびケア対象者等を含む本システムの利用者である人物に一意に付された識別番号である。「種別」は、医師、新人医師、研修医、看護師、親族およびケア対象者等の利用者の種別を表す情報である。もちろん、上記以外の種別を含んでも構わない。「画像識別子」は、各利用者を撮影した画像である。例えば、各利用者の顔画像である。「画像識別子」は、センサ11から送信された顔画像を用いて各利用者の利用者IDを特定する際に用いられる。なお、画像識別子に基づく利用者IDの特定に関する詳細は、後述する。また、図7に示した例では、各項目のデータがレコードとして関連づけられて記憶されている例を示したが、上記説明において互いに関連づけられた項目どうしの関係が保たれれば、データは他の記憶のされ方をしても構わない。後述する図8のベッドIDデータベース122a、図9の読取ログ123および図10のアドレスデータベース124についても同様である。
図8を用いてベッドIDデータベース122aのデータ構造の例について説明する。図8は、ベッドIDデータベースの第1の例を示す図である。図8の例に示すように、ベッドIDデータベース122aは、ベッドIDと、ケア対象者とを対応付ける。「ベッドID」は、病院内の各ベッドに一意に付された識別番号である。「ケア対象者」は、ケア対象者の利用者IDである。このように「ベッドID」および「ケア対象者」は、ベッドIDに示されるベッドを利用するケア対象者の利用者IDを、1対1に対応付ける。
図9を用いて読取ログ123のデータ構造の例について説明する。図9は、読取ログの一例を示す図である。図9の例に示すように、読取ログ123は、読取時刻と、ベッドIDと、読取利用者IDと、報知レベルとを対応付ける。「読取時刻」は、識別子読取装置13がベッド周囲で利用者IDを読み取った時刻である。「ベッドID」は、識別子読取装置13が設置されたベッド12に係るベッドIDである。「読取利用者ID」は、ベッド12の周囲で読み取られた利用者の利用者IDである。「報知レベル」は、ケア対象者のインシデントを通知する通知対象者の範囲を制御する際に用いられる基準である。「報知レベル」は、例えば0〜3までの4段階で付与される。報知レベルの具体例は、例えば、図2〜図4の例に示される。なお、「報知レベル」は、判定部112によって報知レベルが判定された後に入力されるものであり、報知レベルが判定されるまでは空欄となる。
図10を用いてアドレスデータベース124のデータ構造の例について説明する。図10は、アドレスデータベースの一例を示す図である。図10の例に示すように、アドレスデータベース124は、利用者IDと、ベッドIDと、アドレスとを対応付ける。「利用者ID」は、各利用者に一意に付された識別番号である。「利用者ID」は、例えば、各医師、看護師等の人物の利用者IDである。「ベッドID」は、利用者IDに対応する人物が看護を担当するベッドのベッドIDである。「アドレス」は、各利用者IDに示される人物が有する管理者端末60のIPアドレスである。「アドレス」に含まれる「x1〜x6」および「y1〜y6」は、各アドレスに対応する数値である。なお、アドレスデータベース124において、利用者IDとベッドIDとが対応付けられることで、各ベッドを担当する人物が利用する管理者端末60のアドレスを検索することが可能となる。
(制御部の構成)
図6の例に示されるように、制御装置100の制御部110は、取得部111と、判定部112と、設定部113と、送信部114とを有する。制御部110の各機能は例えば、CPU(Central Processing Unit)が所定のプログラムを実行することで実現することができる。また、制御部110の各機能は例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現することができる。また、制御装置100は、入力部101と、出力部102とを有する。
入力部101は、監視システム10から送信された利用者IDまたは顔画像等の利用者情報、インシデントの内容、報知レベル、ベッドID等を取得部111に入力する。入力部101は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。入力部101は、ネットワーク50を介して監視システム10と接続され、監視システム10との間で情報の通信を司る通信インターフェースである。
なお、入力部101は、監視システム10から情報を受信する都度、受信した情報を取得部111に入力する。監視システム10から情報が送信されてくるのが、例えば10秒毎であれば、入力部101から取得部111への入力も10秒毎に行われることになる。また監視システム10は、識別子読取装置13により読み取った情報またはセンサ11により検知した情報に変化があった場合のみ入力部101へ情報を送信しても構わない。その場合には、入力部101による情報の受信や、入力部101から取得部111への情報の入力は、不定期に実行されることになる。
取得部111は、入力部101から受け付けた利用者IDおよびベッドIDを、読取ログ123に格納する処理部である。取得部111は、識別子読取装置13が読み取った各利用者IDと、利用者IDが読み取られた読取時刻と、ベッドIDとを対応づけて読取ログ123に格納する。
一方、取得部111は、センサ11が撮影した顔画像を受け付けた場合、受け付けた顔画像を、利用者IDデータベース121の画像識別子の各画像と照合することで、撮影された利用者の利用者IDを特定する。図7の利用者IDデータベース121の例を用いて画像識別子による利用者IDの特定に関して説明する。取得部111は、例えば、受け付けた顔画像が「image401」の「親族」の顔画像に一致すると判定した場合、利用者IDが「0401」であると特定する。また、取得部111は、受け付けた顔画像が「image300」の「看護師」の顔画像に一致すると判定した場合、利用者IDが「0300」であると特定する。なお、取得部111は、例えば顔画像の判定に固有顔、隠れマルコフモデル等の各種顔認証アルゴリズムを用いてもよい。
取得部111は、センサ11が撮影した複数の利用者のうち、識別子読取装置13が利用者IDを読み取れない利用者が含まれる場合に、受け付けた各利用者の顔画像を用いて、識別子読取装置13が読み取れなかった利用者の利用者IDを特定する。例えば、取得部111は、センサ11が撮影した利用者が3人で、識別子読取装置13が読み取れた利用者IDが2つの場合に、3人分全員の利用者の顔画像を受け付ける。次いで、取得部111は、3人分の顔画像をそれぞれ利用者IDデータベース121と照合し、識別子読取装置13が読み取れなかった1人分の利用者IDを特定する。そして、取得部111は、各利用者IDと、読取時刻と、ベッドIDとを対応づけて読取ログ123に記憶する。
取得部111は、受け付けた利用者の顔画像が利用者IDデータベース121の画像識別子に格納されていない場合、利用者の種別を「ゲスト」であると判定する。ゲストとは例えば、ケア対象者の友人、上司等の知人であって親族ほどケア対象者の様態を把握していないことが多い第三者である。取得部111は、利用者がゲストである場合、利用者にゲスト用の利用者IDを割り当てて、ゲスト用の利用者IDを読取利用者IDとし、読取利用者IDを読取時刻およびベッドIDに対応づけて読取ログ123に記憶する。
判定部112は、読取ログ123に格納されている各利用者の利用者IDを用いて報知レベルを判定する処理部である。判定部112は、以下のようにして報知レベルを判定する。まず、判定部112は、読取ログ123の最新のレコードに格納されている利用者IDのそれぞれについて利用者IDデータベース121を参照し、ベッド周囲に存在する各利用者の種別を判定する。
図7の利用者IDデータベース121の例を用いて利用者の種別の判定の具体例について説明する。判定部112は、例えば、受け付けた利用者IDが「0300」の場合、利用者が「看護師」であると判定する。また、判定部112は、受け付けた利用者IDが「0401」の場合、利用者が「親族」であると判定する。また、判定部112は、利用者IDが「0931」で利用者データベース121に登録されていないゲスト用の利用者IDの場合、利用者が「ゲスト」であると判定する。
次いで、判定部112は、ベッドIDデータベース122aを用いて、ベッドにケア対象者がいるか否かを判定する。例えば、判定部112は、ベッドIDデータベース122aを参照し、ベッドIDに対応するケア対象者の利用者IDを抽出する。判定部112は、抽出したケア対象者の利用者IDが、読取ログ123の最新のレコードに含まれるか否かを判定する。判定部112は、読取ログ123にケア対象者の利用者IDが含まれない場合、ケア対象者が不在であると判定し、報知レベルを「0」と判定する。
判定部112は、読取ログ123の最新のレコード中の読取利用者IDの中にケア対象者の利用者IDが含まれ、ケア対象者がベッドにいると判定した場合、読取ログ123の同じレコードに医師または看護師等、スタッフの利用者IDが含まれるか否かを判定する。判定部112は、同じレコードにスタッフの利用者IDが含まれる場合、報知レベルを「1」と判定する。なお、実施例1においては、判定部112は、「新人医師」および「研修医」の利用者IDが含まれる場合も、スタッフの利用者IDが含まれると判定してもよい。
判定部112は、読取ログ123の最新のレコード中にレコードの中にケア対象者の利用者IDは含まれるが、スタッフの利用者IDが含まれない場合、読取ログ123の同じレコードに親族またはゲストの利用者IDが含まれるか否かを判定する。判定部112は、同じレコードに親族またはゲストの利用者IDが含まれる場合、報知レベルを「2」と判定する。
判定部112は、読取ログ123の最新のレコード中にケア対象者の利用者IDのみが含まれる場合、報知レベルを「3」と判定する。そして、判定部112は、上述のようにして判定した報知レベルを読取ログ123の処理対象としたレコードの「報知レベル」の項目に格納する。
設定部113は、センサ11に報知レベルを設定する処理部である。設定部113は、判定部112により「報知レベル」の項目が格納された読取ログ123のレコードからベッドIDと、報知レベルとを取得する。設定部113は、出力部102を介してベッドIDに対応するセンサ11に報知レベルを送信することで、センサ11に報知レベルを設定する。
出力部102は、報知レベルをセンサ11に出力する。出力部102は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。出力部102は、ネットワーク50を介してセンサ11と接続され、センサ11との間で情報の通信を司る通信インターフェースである。
なお、センサ11は、設定部113から送信された報知レベルを受信することで報知レベルを更新する。センサ11は、メモリ内にインシデントが含まれるか否かを判定する。センサ11は、メモリ内にインシデントが含まれる場合、インシデントの情報、報知レベルおよびベッドIDを含む情報を制御装置100に送信する。インシデントの情報は、例えば、室内でケア対象者が転倒した、ケア対象者がベッドから転落した等のセンサ11が検知したケア対象者の異常に関する情報を含んでもよい。
送信部114は、報知レベルに応じて選択された各管理者端末60に、インシデントの情報を送信する処理部である。送信部114は、入力部101を介してセンサ11からインシデントの情報、報知レベルおよびベッドIDを含む情報を受信する。送信部114は、受信した報知レベルに応じてインシデントを通知する管理者端末60を選定する。例えば、センサ11は、報知レベルが「3」の場合、全ての管理者端末60を選定する。
また、送信部114は、報知レベルが「2」の場合、受信したインシデントの情報の危険度に応じて通知する管理者端末60を選定する。例えば、送信部114は、報知レベルが「2」で、インシデントの情報の危険度が所定値以上の場合、全ての管理者端末60を選定する。一方、送信部114は、報知レベルが「2」で、インシデントの情報の危険度が所定値未満の場合、ケア対象者の病室内に在室しているスタッフと対応付けられた管理者端末60およびケア対象者を担当するスタッフと対応付けられた管理者端末60を選定する。すなわち、送信部114は、同室スタッフおよび担当スタッフに対応付けられた管理者端末60を選定する。
また、送信部114は、報知レベルが「1」の場合、ケア対象者の病室内に在室しているスタッフと対応付けられた管理者端末60およびケア対象者を担当するスタッフと対応付けられた管理者端末60を選定する。また、送信部114は、報知レベルが「0」の場合、いずれの管理者端末60も選定しない。
なお、送信部114がインシデントを通知するスタッフを選定する場合の例は、図2〜図4にも示される。
次いで、送信部114は、利用者IDデータベース121から選定した各管理者端末60に係るアドレス情報を取得する。例えば、送信部114は、全ての管理者端末60を選定した場合、アドレスデータベース124から全ての管理者端末60のIPアドレスを取得する。
また、送信部114は、ケア対象者が在室している部屋内の看護師が所持する管理者端末60を選定した場合、アドレスデータベース124から部屋内に在室している看護師が所持する管理者端末60のIPアドレスを取得する。例えば、別途定義されている、部屋とベッドIDとの対応関係が定義されている記憶部120、即ち、同じ部屋に存在するベッドIDが参照可能な記憶部120を参照し、同室のベッドIDのそれぞれについて読取ログ123に記録されている最新のレコードを参照する。そして、参照した各レコードに含まれるスタッフのIDを特定することで、ケア対象者が在室している部屋内の看護師を特定できる。特定した看護師のIDに基づいてアドレスデータベース124を参照することで、ケア対象者と同じ部屋内の担当スタッフの管理者端末60のIPアドレスを取得する。
また、送信部114は、ケア対象者を担当する担当スタッフが所持する管理者端末60を選定した場合、別途定義されている、ベッドIDと担当スタッフの利用者IDとの対応関係が定義されている記憶部120において、ベッドIDを用いて担当スタッフの利用者IDを検索する。送信部114は、担当スタッフの利用者IDに基づいてアドレスデータベース124を参照することで、担当スタッフの管理者端末60のIPアドレスを取得する。なお、ケア対象者を担当するスタッフの特定に関しては後述する。
そして、送信部114は、アドレスデータベース124から取得したIPアドレスに基づいて、選定された各管理者端末60にインシデントの情報を送信する。
(実施例1のシステムに係る処理フロー)
図11を用いて実施例1のシステムに係る全体の処理の流れについて説明する。図11は、実施例1のシステムに係る全体の処理フローの例を示す図である。図11の例に示すように、センサ11は、例えば、定期的に撮影範囲内にいる全ての利用者の顔画像を撮影することにより利用者情報読取処理を行う(ステップS10)。利用者情報とは、利用者ID、もしくは利用者IDを特定できる情報である。利用者IDを特定できる情報とは、例えば、スタッフやケア対象者等の顔画像である。なお、ステップS10において識別子読取装置13が、各利用者が有するICタグから利用者IDを読み取ってもよい。
センサ11は、利用者情報が読み取れたか否かを判定する(ステップS11)。センサ11は、利用者情報が読み取れた場合(ステップS11Yes)、ステップS12の処理に移る。センサ11は、読み取った利用者情報を制御装置100に送信する(ステップS12)。一方、センサ11は、利用者情報が読み取れなかった場合(ステップS11No)、ステップS10の処理に戻り、再度利用者情報読取処理をおこなう。
なお、センサ11と識別子読取装置13とは、利用者情報を所定の時間間隔で定期的に読み取り、制御装置100に送信する処理をおこなってもよい。センサ11と識別子読取装置13とは、例えば、互いに同期を取って同じタイミングで読み取りを実行してもよい。また例えば、人間の動きより十分短い一定間隔でそれぞれ定期的に読み取りを実行してもよい。また例えば、センサ11と識別子読取装置13のどちらか一方で変化を検出した場合に、両方の装置で読み取りを実行しても良い。
また、センサ11もしくは識別子読取装置13のいずれかで読み取った利用者情報に変化があった場合に、ステップS12の利用者情報送信処理を実行してもよい。また、センサ11や識別子読取装置13は、利用者情報とともに、読取が実行された時刻に関する情報を送信してもよい。
制御装置100は、センサ11が読み取った利用者情報を受信する。制御装置100内の取得部111は、利用者情報として受け付けた各利用者の顔画像を利用者IDデータベース121に照合する利用者ID照合処理を行い(ステップS13)、利用者の利用者IDを特定する。判定部112は、取得部111が特定した利用者IDを用いて報知レベルを判定する報知レベル判定処理を行う(ステップS14)。設定部113は、判定部112が判定した報知レベルを、ネットワーク50を介してセンサ11に設定する報知レベル設定処理を行う(ステップS15)。
センサ11は、設定部113によって設定された報知レベルが1以上か否かを判定する(ステップS16)。センサ11は、報知レベルが1以上の場合(ステップS16Yes)、インシデントの情報、報知レベル、ベッドID等のインシデント情報を制御装置100に送信する(ステップS17)。一方、センサ11は、報知レベルが0の場合(ステップS16No)、処理を終了させる。なお、例えば、ケア対象者が不在の場合に報知レベルが0となる。
送信部114は、センサ11から受信した情報によって管理者端末60のアドレスを検索し、検索された各管理者端末60にインシデントの情報を報知する報知処理をおこなう(ステップS18)。なお、センサ11は、ステップS17のインシデント情報送信処理をステップS10〜S15までの一連の処理後におこなってもよいが、ステップS17のインシデント情報送信処理を、ステップS10〜S15とは別のタイミングで独立して行ってもよい。例えば、センサ11は、ステップS10の利用者情報読取処理を5秒毎に行い、ステップS17のインシデント情報送信処理を2秒毎に行ってもよい。このように、センサ11のインシデント情報送信処理の頻度を増やすことでケア対象者の異常を早くスタッフに通知することができる。
(利用者ID照合処理の処理フロー)
次に、図12を用いてステップS13に係る利用者ID照合処理について説明する。図12は、利用者ID照合処理の処理フローの例を示す図である。取得部111は、センサ11から受信した利用者情報に顔画像を受信したか否かを判別する(ステップS20)。取得部111は、顔画像を受信していない場合(ステップS20No)、ステップS25の処理に移行する。一方、取得部111は、顔画像を受信した場合(ステップS20Yes)、センサ11によって検出された顔画像が、利用者IDデータベース121に登録されているか否かを判定する(ステップS21)。取得部111は、顔画像が利用者IDデータベース121に登録されている場合(ステップS21Yes)、利用者IDデータベース121から顔画像に対応する利用者IDを取得し、ベッドIDと利用者IDとを読取ログ123に記録する(ステップS22)。一方、取得部111は、顔画像が利用者IDデータベース121に登録されていない場合(ステップS21No)、利用者にゲスト用利用者IDを割り当て、ベッドIDとゲスト用利用者IDとを読取ログ123に記録する(ステップS23)。
なお、ステップS22またはS23において、読取ログ123に新たなレコードを記録する際に、センサ11から利用者情報とともに読取時刻を受信していれば、受信した読取時刻を同じレコードに記録する。また、センサ11から読取時刻を受信していない場合は、制御装置100がセンサ11から利用者情報を受信した時刻を、同じレコードの読取時刻の項目に記録する。
取得部111は、ステップS25において、ベッドIDと利用者IDとを読取ログ123に記録し(ステップS25)、処理を終了させる。なお、ステップS20において、顔画像がない場合とは、例えば、識別子読取装置13によってベッド周囲に存在する利用者全員の利用者IDが取得されていた場合がある。
次いで、取得部111は、ベッド周囲にいる全ての利用者の顔画像を利用者IDデータベース121に照合したか否かを判定する(ステップS24)。取得部111は、全ての顔画像を利用者IDデータベース121に照合した場合(ステップS24Yes)、処理を終了させる。一方、取得部111は、全ての顔画像を利用者IDデータベース121と照合していない場合(ステップS24No)、ステップS21の処理に戻る。
なお、ステップS20において、識別子読取装置13によってベッド周囲に存在する利用者全員の利用者IDが取得されていた場合は、センサ11から受信する利用者情報には顔画像は含まれていない(ステップS20No)。その場合は、ステップS25に処理を移行する。
次に、図13〜15を用いてステップS14に係る報知レベル判定処理について説明する。図13は、報知レベル判定処理の全体の処理フローの例を示す図である。判定部112は、ステップS13により新たに登録された読取ログ123の最新のレコードからベッド周囲にいる利用者の利用者IDの数をカウントする(ステップS30)。
判定部112は、利用者IDの数が1であるか否かを判定する(ステップS31)。判定部112は、利用者IDの数が1である場合(ステップS31Yes)、報知レベル判定1の処理を行う(ステップS32)。一方、判定部112は、利用者IDの数が1より大きい場合(ステップS31No)、報知レベル判定2の処理を行う(ステップS33)。
(報知レベル判定処理1の処理フロー)
図14を用いてステップS32の報知レベル判定1の処理フローについて説明する。図14は、報知レベル判定1の処理フローの例を示す図である。判定部112は、利用者IDにケア対象者のものであるか否かを判定する(ステップS40)。判定部112は、利用者IDがケア対象者のものである場合(ステップS40Yes)、報知レベルが「3」と判定する(ステップS41)。一方、判定部112は、利用者IDにケア対象者のものでない場合(ステップS40No)、報知レベルが「0」と判定する(ステップS42)。そして、判定部112は、判定した報知レベルを読取ログ123に書き込む(ステップS43)。
(報知レベル判定2の処理フロー)
図15を用いてステップS33の報知レベル判定2の処理フローについて説明する。図15は、報知レベル判定2の処理フローの例を示す図である。図15の例に示すように、判定部112は、利用者IDにケア対象者のものが含まれているか否かを判定する(ステップS50)。判定部112は、利用者IDにケア対象者が含まれている場合(ステップS50Yes)、ステップS51の処理に移る。一方、判定部112は、利用者IDにケア対象者が含まれていない場合(ステップS50No)、報知レベルが「0」と判定する(ステップS56)。
判定部112は、利用者IDにスタッフのものが含まれるか否かを判定する(ステップS51)。判定部112は、利用者IDにスタッフのものが含まれる場合(ステップS51Yes)、報知レベルが「1」と判定する(ステップS52)。一方、判定部112は、利用者IDにスタッフのものが含まれない場合(ステップS51No)、ステップS53の処理に移る。
判定部112は、利用者IDに親族またはゲストのものが含まれるか否かを判定する(ステップS53)。判定部112は、利用者IDに親族またはゲストのものが含まれる場合(ステップS53Yes)、報知レベルが「2」と判定する(ステップS54)。一方、判定部112は、利用者IDに親族またはゲストのものが含まれない場合(ステップS53No)、報知レベルが「3」と判定する(ステップS55)。なおステップS55は例えば、ベッド付近で人が検出されたものの、その人の利用者IDも顔もシステムに登録されておらず、その人種別を特定できない人であった場合に、通る処理である。
そして、判定部112は、判定した報知レベルを読取ログ123に格納する(ステップS57)。
(報知レベル設定処理の処理フロー)
図16を用いてステップS15に係る報知レベル設定処理の処理フローについて説明する。図16は、報知レベル設定処理の処理フローの例を示す図である。図16の例に示すように、まず、設定部113は、ステップS15により報知レベルが格納された読取ログ123の最新のレコードに記憶されている報知レベルとベッドIDとを読み取る(ステップS60)。次いで、設定部113は、読取ログ123から読み取ったものと同じベッドIDに対応付けられて記憶されているセンサ11を特定する(ステップS61)。設定部113は、特定されたセンサ11に報知レベルを送信する(ステップS62)。なお、センサ11は、送信された報知レベルで、センサ11内のメモリに格納されている報知レベルを更新する。
(報知処理の処理フロー)
図17を用いてステップS18に係る報知処理の処理フローについて説明する。図17は、報知処理の処理フローの例を示す図である。図17の例に示すように、送信部114は、センサ11から受信した報知レベルに基づいて、センサ11に設定されている報知レベルが「3」であるか否かを判定する(ステップS70)。送信部114は、報知レベルが「3」である場合(ステップS70Yes)、全ての管理者端末に全てのインシデントグループについてインシデント発生を通知する(ステップS71)。例えば、図2の例で言えば、種類1および種類2の両方のインシデントを、全ての管理者端末に通知する。一方、送信部114は、報知レベルが「3」でない場合(ステップS70No)、ステップS72の処理に移る。
送信部114は、センサ11から受信した報知レベルに基づいて、センサ11に設定されている報知レベルが「2」であるか否かを判定する(ステップS72)。送信部114は、報知レベルが「2」である場合(ステップS72Yes)、ステップS73の処理に移る。一方、送信部114は、報知レベルが「2」でない場合(ステップS72No)、すなわち、報知レベルが「1」である場合、同室スタッフと担当スタッフの管理者端末に、全てのインシデントグループについてインシデント発生を通知する(ステップS75)。例えば、図2の例で言えば、種類1および種類2の両方のインシデントを、同室スタッフと担当スタッフの管理者端末に通知する。一方、その他のスタッフの管理者端末には種類1、種類2いずれのインシデントも通知しない。
送信部114は、センサ11で検知したインシデントの危険度が所定値以上か否かを判定する(ステップS73)。送信部114は、センサ11で検知したインシデントの危険度が所定値以上の場合(ステップS73Yes)、全ての管理者端末にインシデント発生を通知する(ステップS74)。例えば、図2の例で言えば、種類1のインシデントを、全ての管理者端末に通知する。一方、送信部114は、センサ11で検知したインシデントの危険度が所定値未満の場合(ステップS73No)、同室スタッフおよび担当スタッフの管理者端末にインシデント発生を通知する(ステップS76)。例えば、図2の例で言えば、種類2のインシデントは同室スタッフおよび担当スタッフの管理者端末に通知し、その他のスタッフの管理者端末へは通知しない。なお、危険度の判定は後述する。
以上のように実施例1の制御装置100は、例えば、ケア対象者の周囲に存在する人物の種別に応じて、ケア対象者の担当スタッフともケア対象者のベッド周囲に居るスタッフとも異なるその他のスタッフに対して、通知対象とするインシデントのグループを制御する。そのため、センサ11がインシデント発生をスタッフに過剰に通知すされることを抑止できる。
例えば、従来技術では、複数のケア対象者が在室する大部屋において在室しているスタッフは通知対象から除外される。この場合、スタッフが大部屋内の他のケア対象者Bをケアしていると、異常を示したケア対象者Aの最も近くに存在しているスタッフに、ケア対象者Aの異常を知らしめることができず、ケア対象者Aへのケアが遅れる場合がある。実施例1では、異常を示したケア対象者と同じ室内などの近傍に在室しているスタッフを通知の対象とするので、大部屋に在室しているケア対象者のケアが遅れる事態を防ぐことができる。
(報知処理の具体例)
図18〜図20を用いて報知処理について具体例を挙げて説明する。図18は、報知処理の第一の例を示す図である。図18の例に示すように、施設は、部屋A1〜A4で構成される。部屋A1〜A3には、それぞれ4人分のベッドが配置されている。部屋A4は、スタッフが待機する部屋である。部屋A1には、ベッドA1(1)〜A1(4)の4台が配置される。また、ベッドA1(4)の周囲にはスタッフbが存在する。部屋A2には、ベッドA2(1)〜A2(4)の4台が配置される。また、ベッドA2(3)の周囲には親族eが存在する。部屋A3には、A3(1)〜A3(4)の4台が配置される。部屋A4には、スタッフcおよびスタッフdが待機している。また、部屋A1〜A4内のスタッフそれぞれが有する管理者端末60と無線で通信可能な位置に無線ルータB1が設置されている。図18〜図20の例では、通信機器として無線ルータB1が用いられているが、他の通信機器を用いてもよい。なお、図19〜図20のスタッフおよび親族の場所、ベッドの配置は、図18と同一である。
また、スタッフb、スタッフcおよびスタッフdは、それぞれ管理者端末60を所持する。スタッフbは、部屋A2の担当スタッフである。スタッフcは、部屋A1の担当スタッフである。スタッフdは、部屋A3の担当スタッフである。親族eは、ベッドA2(3)にいるケア対象者の親族である。
図18に示す例では、判定部112は、インシデントが発生したベッドA3(1)の周囲にケア対象者以外の利用者が存在しない。そのため、報知レベルは「3」と判定される。設定部113は、部屋A3のベッドA3(1)に設置されるセンサ11に報知レベル「3」を設定する。センサ11から何らかのインシデントの情報を受信した送信部114は、無線ルータB1を介してスタッフb、スタッフcおよびスタッフdの管理者端末60にインシデント発生を通知する。すなわち、送信部114は、報知レベルが「3」の場合に全てのスタッフに対してインシデント発生を通知する。このように、送信部114は、ケア対象者にインシデントが発生した時にベッド周囲にケア対象者以外の利用者が存在しない場合に、呼び出すスタッフの範囲を広くすることで、ケア対象者のインシデントに即座に対応することができる。
図19は、報知処理の第二の例を示す図である。図19に示す例では、判定部112は、インシデントが発生したベッドA2(3)の周囲に親族eが存在する。そのため、報知レベルは「2」と判定される。設定部113は、部屋A2のベッドA2(3)に設置されるセンサ11に報知レベル「2」を設定する。ベッドA2(3)に対応するセンサ11からインシデントの情報を受信した送信部114は、検知されたインシデントの内容に基づいてケア対象者の危険度を求める。送信部114は、ケア対象者の危険度が所定値以上と判定した場合、無線ルータB1を介してスタッフb、スタッフcおよびスタッフdの管理者端末60にインシデント発生を通知する。すなわち、送信部114は、報知レベルが「2」でケア対象者の危険度が高いと判定した場合に全てのスタッフに対してインシデント発生を通知する。このように、送信部114は、ケア対象者の危険度が高い場合に呼び出すスタッフの範囲を広くすることで、ケア対象者のインシデントに即座に対応することができる。
図20は、報知処理の第三の例を示す図である。図20に示す例では、判定部112は、インシデントが発生したベッドA2(3)の周囲に親族eが存在する。そのため、報知レベルは「2」と判定される。設定部113は、部屋A2のベッドA2(3)に設置されたセンサ11に報知レベル「2」を設定する。ベッドA2(3)に対応するセンサ11からインシデントの情報を受信した送信部114は、検知したインシデントの内容に基づいて危険度を判定する。送信部114は、ケア対象者の危険度が所定値未満と判定した場合、無線ルータB1を介して部屋A2(またはA2(3)のベッドID)を担当するスタッフbの管理者端末60にインシデント発生を通知する。すなわち、送信部114は、報知レベルが「2」でケア対象者の危険度が低いと判定した場合に、担当スタッフに対してインシデント発生を通知する。このように、送信部114は、ケア対象者の危険度が低い場合に呼び出すスタッフの範囲を狭くすることで、施設内のスタッフに対して過剰な呼び出しを抑止することができる。
また図20の状態において、インシデントが発生したA2(3)と同じ部屋A2内の他ベッドの付近にいずれかのスタッフが存在している場合は、A2(3)の担当スタッフであるスタッフbに通知するとともに、部屋A2内に存在するスタッフを通知の送信先としてもよい。インシデントが発生したケア対象者のベッドと同室内に存在するスタッフを、該ケア対象者の担当スタッフと同様に通知の送信先とすれば、ケア対象者の近くに存在するスタッフが迅速にインシデントに対して対応できるようになる。
(実施例1の効果)
制御装置100は、あるケア対象者のベッドの周辺エリア内に存在する1又は複数の者の識別情報を取得する取得部を有する。制御装置100は、取得した1又は複数の者の識別情報が、医療従事者の識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報とケア対象者の識別情報とを含む場合に、取得した1又は複数の者の識別情報がケア対象者の識別情報のみを含む場合には通知対象とするケア対象者を監視する監視装置によって検出された複数の種類のインシデントのうちの一部のインシデントを通知対象とし、他のインシデントを通知対象としない制御を行う制御部を有する。これにより、利用者の周囲にいる人の種類とインシデントの内容とに応じて、スタッフの呼び出しを抑制できる。
すなわち、制御装置100は、ケア対象者の周囲にスタッフが存在しない場合においても、各管理者端末60に送信するインシデントの種類を選定し、選定した種類に係るインシデントをスタッフに通知する。一方、制御装置100は、選定しなかった種類に係るインシデントを送付しない。これにより、スタッフに対する呼び出し頻度を減らし、スタッフへの業務負担を軽減する。
制御装置100は、あるケア対象者のベッドの周辺エリア内に存在する1又は複数の者の識別情報を取得する取得部を有する。制御装置100は、取得した1又は複数の者の識別情報が、スタッフの識別情報に対応する識別情報を含む場合と、スタッフの識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報を含む場合と、ケア対象者の識別情報のみを含む場合とで、ケア対象者を監視する監視装置によって検出されたインシデントのうち、通知対象とするインシデントのグループを異なるものにそれぞれ制御する制御部を有する。これにより、在室している人の種別に応じて、通知対象とするインシデントを変化させるので、施設内のスタッフに対する過剰な呼び出しを抑制できる。
制御部は、取得した1又は複数の者の識別情報が、スタッフの識別情報に対応する識別情報を含む場合には、第1のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。制御部は、スタッフの識別情報に対応する識別情報を含まず、ケア対象者の親族に対応する識別情報を含む場合には、第1のインシデントのグループを包含する第2のインシデントのグループに含まれるインシデントを通知対象とする。制御部は、ケア対象者の識別情報のみを含む場合には、第2のインシデントのグループを包含する第3のインシデントのグループに含まれる第3のインシデントを通知対象とする。これにより、取得した識別情報に応じて呼び出すスタッフを詳細に設定することができる。
制御装置100は、スタッフ若しくはケア対象者の親族の顔画像を登録した記憶装置を有する。制御部は、取得した1又は複数の者の顔画像が、記憶装置に登録されたスタッフ若しくはケア対象者の親族に対応する顔画像を含まず、第三者の顔画像のみを含む場合には、第1および第2のインシデントのグループと、第3のインシデントのグループの全部又は一部とを通知対象とする。このように、ケア対象者の状況に親族ほど詳しくない第三者がケア対象者の側にいる場合に、呼び出すスタッフの範囲を広げることで、ケア対象者への対応を早めることができる。
制御部による通知処理の内容は、識別情報がスタッフの識別情報である場合、該識別情報と対応付けられている端末へ、通知処理を行う。これにより、ケア対象者の近くに存在するスタッフを呼び出し対象とすることで、ケア対象者の異常に適切に対応できる。
(詳細な報知レベルの判定の第1の例)
実施例1では、判定部112は、報知レベルを0〜3の4段階で判定したが、判定する報知レベルの段階数を増やしてもよい。例えば、判定部112は、ケア対象者のベッド周囲に存在する利用者がスタッフのうち、医師、新人医師、研修医のいずれであるかに基づいて、報知レベルをより詳細に判定してもよい。
図7の例を用いてケア対象者のベッド周囲に存在する利用者が医師、新人医師、研修医のいずれであるかの判定に関して説明する。取得部111は、センサ11によって撮影された画像を利用者IDデータベース121に基づいて利用者IDを特定する。取得部111は、特定した利用者IDを読取ログ123に出力する。
判定部112は、受け付けた利用者IDのそれぞれを利用者IDデータベース121に照合し、ベッド周囲に存在する各利用者の種別を判定する。例えば、図7の例に示すように、判定部112は、利用者IDが「0001」の場合、利用者が医師であると判定する。また、判定部112は、利用者IDが「0100」の場合、利用者が新人医師であると判定する。また、判定部112は、利用者IDが「0201」の場合、利用者が研修医であると判定する。
次いで、判定部112は、ケア対象者以外の利用者が医師であると判定した場合に報知レベルが「1A」と判定する。一方、判定部112は、ケア対象者以外の利用者が新人医師または研修医であると判定した場合に報知レベルが「1B」と判定する。設定部113は、報知レベルが「1A」と判定された場合、センサ11に報知レベル「1A」を設定する。また、設定部113は、判定部112が、報知レベルが「1B」と判定された場合、センサ11に報知レベル「1B」を設定する。次いで、センサ11は、インシデント、報知レベルおよびベッドIDを送信部114に送信する。
センサ11からインシデントの情報を受信した送信部114は、例えば、報知レベル「1A」が設定された場合、ケア対象者のベッド周囲にいる医師および看護師にのみインシデント発生を通知する。一方、送信部114は、例えば、報知レベル「1B」が設定された場合、ケア対象者のベッド周囲にいる医師および看護師に加え、ケア対象者の担当医師および看護師にインシデント発生を通知する。
なお、上述では、ケア対象者のベッド周囲に存在する利用者が医師、新人医師、研修医のいずれであるかの判定に関して説明したが、これに限定されない。例えば、判定部112は、勤続年数の長いスタッフ、新人スタッフのいずれであるかに応じて報知レベルを判定してもよい。
(詳細な報知レベルの判定の第2の例)
また、判定部112は、ケア対象者のベッド周囲に存在する利用者が親族、ゲストのいずれであるかに基づいて報知レベルをより詳細に判定してもよい。図7および図21の例を用いてケア対象者のベッド周囲に存在する利用者が親族、ゲストのいずれであるかの判定に関して説明する。
図21は、ベッドIDデータベースの第2の例を示す図である。ベッドIDデータベース122bは、ベッドIDと、ケア対象者と、担当医師と、担当看護師1〜3と、親族1〜4とを対応づける。「ベッドID」は、病院内の各ベッドに一意に付された識別番号である。「ケア対象者」は、ケア対象者の利用者IDである。「担当医師」は、ケア対象者の治療を担当する医師の利用者IDである。「担当看護師1〜3」はそれぞれ、ケア対象者の看護を担当する看護師の利用者IDである。「親族1〜4」はそれぞれ、ケア対象者の親族の利用者IDである。
取得部111は、センサ11によって撮影された画像を利用者IDデータベース121に基づいて利用者IDを特定する。取得部111は、特定した利用者IDを読取ログ123に出力する。
判定部112は、読取ログ123に出力された利用者IDのそれぞれを利用者IDデータベース121に照合し、ベッド周囲に存在する各利用者の種別を判定する。例えば、図7の例に示すように判定部112は、利用者IDが「0400」の場合、利用者が施設内のいずれかのケア対象者の親族であると判定する。なお、判定部112は、利用者IDが利用者IDデータベース121に登録されていない場合、利用者がゲストであると判定する。
さらに、判定部112は、いずれかのケア対象者の親族と判定された利用者IDをベッドIDデータベース122bと照合し、親族1〜4に該当するか否かを判定する。判定部112は、利用者IDデータベース121に一致する利用者IDがある場合は、利用者がケア対象者の親族であると判定する。一方、判定部112は、利用者IDデータベース121に一致する利用者IDがない場合は、利用者がゲストであると判定する。
例えば、図21の例に示されるように、判定部112は、ベッドIDが「0002」の場合、利用者IDが「0400」は「親族1」に一致するので、利用者がケア対象者の親族であると判定する。また、例えば、判定部112は、ベッドIDが「0002」で利用者IDが「0461」の場合、利用者IDが親族1〜4のいずれにも一致しないので、利用者がゲストであると判定する。
判定部112は、ケア対象者以外の利用者がケア対象者の親族である場合に報知レベルが「2A」と判定する。一方、判定部112は、ケア対象者以外の利用者がゲストであると判定した場合に報知レベルが「2B」と判定する。設定部113は、報知レベルが「2A」と判定した場合、センサ11に報知レベル「2A」を設定する。また、設定部113は、報知レベルが「2B」と判定した場合、センサ11に報知レベル「2B」を設定する。次いで、センサ11は、インシデント、報知レベルおよびベッドIDを送信部114に送信する。
ここで、送信部114は、図17に示す報知処理を実行する際に、ケア対象者に発生したインシデントの危険度を判定する。送信部114には、ケア対象者の危険度を判定する際に用いる閾値として、設定値Aと、設定値Aより低い値の設定値Bとがあらかじめ設定されているものとする。送信部114は、受信したインシデントに基づいてケア対象者の危険度を算出する。例えば、センサ11が転倒を検知する画像センサであり、センサ11から受信したインシデントの情報に、動きの速さを示す情報が含まれていれば、転倒が発生した時の画像上のケア対象者の動きの速さをもとにして危険度を算出しても良い。動きの速さは例えばオプティカルフロー等公知の画像処理技術によって算出する事が出来る。求めた動きの速さが大きければ、例えばつまずいた事が原因で転んだ可能性があり、これにより起こる負傷等、ケア対象者の危険度が高くなる。逆に動きの速さが小さければ、例えば一時的に気分が悪くなった等でしゃがみこんだ可能性があり、ケア対象者の危険度は前者と比較すると低くなる。このように動きの速さによってインシデントの危険度を判定する事が出来る。さらに送信部114は、算出されたケア対象者の危険度と、設定値Aおよび設定値Bとをそれぞれ比較する。
送信部114は、例えば、報知レベル「2A」が設定され、ケア対象者の危険度が設定値A以上の場合、全てのスタッフに対してインシデント発生を通知する。一方、送信部114は、報知レベル「2A」が設定され、ケア対象者の危険度が設定値A未満の場合、ケア対象者の担当医師および担当看護師にインシデント発生を通知する。併せて、ケア対象者のベッド周囲にいる医師および看護師にインシデント発生を通知してもよい。
なお、送信部114における危険度の判定は、前述したセンサ11で検知した一つの物理量をもとに閾値で算出する方法に限る必要はない。例えば、センサ11が画像によってケア対象者の起床、離床、および転倒など、ケア対象者の行動の複数の事象を検知できるセンサであれば、例えば設定値Aを転倒、設定値Bを離床のように設定値とセンサで検知できる特定の行動とを対応させておき、それぞれ該当するケア対象者の挙動がセンサ11より通知されたときに、該当する危険度に到達したと判定しても良い。さらに複数の事象を検知するセンサは、それぞれ単独の事象を検出するセンサを複数組み合わせて構成してもよい。
このように、制御装置100は、ケア対象者の側にいる利用者の詳細な種別を判別することで、インシデントに関する緊急度を詳細に把握することができ、把握した緊急度によって呼び出すスタッフの範囲を適正に制御できる。
なお、判定部112は、図21の例に示されるベッドIDデータベース122bを用いて、利用者IDがケア対象者を担当する看護師のものであるか、担当以外の看護師のものであるかに基づいて報知レベルを詳細に判定してもよい。
(実施例1に関連する他の態様)
以下、上述の実施形態における変形例の一部を説明する。下記の変形例のみでなく、本開示の技術の本旨を逸脱しない範囲の設計変更は適宜行われうる。
センサ11は、ケア対象者の重大なインシデントを検知した場合に、ケア対象者のベッド周囲に利用者が存在するか否かに関わらず、例えば、報知レベルを最高の「3」に変更してもよい。
実施例1では、病院にシステムを適用した場合の例について説明したが、これに限定されない。例えば、介護施設やケア付きの住宅に実施例1のシステムを適用してもよい。
実施例1では、ベッドごとに利用者IDを取得する旨を説明したが、これに限定されない。例えば、センサ11および識別子読取装置13は、部屋単位で利用者IDを取得してもよい。
管理者端末60は、送信部114からインシデント発生が送信された場合に、アラームを鳴らしてもよい。また、管理者端末60は、インシデントの種類もしくは報知レベルに応じて、アラームの有無を変更してもよい。
センサ11aは、送信部114へのインシデント等の情報の送信を停止する機能を有してもよい。例えば、センサ11aは、インシデント等の情報の送信が停止された場合に、制御装置100から報知レベルの設定を受けても、制御装置100にインシデント等の情報を送信しない。これにより、例えば看護師等がケア対象者をケアしている場合に、センサ11aのインシデント等の情報の送信を停止することで、制御装置100における処理負荷を軽減することができる。
実施例1では、センサ11は制御装置100から報知レベルを受信し、該受信した報知レベルをもとに、センサ11でインシデントを検知した場合にインシデント情報を制御装置100に送信するかを判定していたが、この判定は行わずに、センサ11はインシデントを検知した場合には、全てのインシデント情報を制御装置100に送るだけとしてもよい。この場合、制御装置100からセンサ11に報知レベルを送信しなくてよく、制御装置100にてセンサ11に対して設定する報知レベルを記憶しておけばよい。
上述した制御装置100は、1台のコンピュータで実現されてもよく、また、複数台のコンピュータによるクラウドで実現されてもよい。例えば、制御装置100は、クラウドシステムに含まれる複数台のコンピュータが、図6に示した取得部111、判定部112、設定部113および送信部114と同様の機能を発揮する。
また、実施例1に示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
(情報処理装置のハードウェア構成)
図22は、実施例1の制御装置のハードウェア構成を示す図である。図22の例が示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、他の装置と接続するためのインターフェース装置205と、他の装置と無線により接続するための無線通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201〜208は、バス209に接続される。
ハードディスク装置208には、例えば図6に示した取得部111、判定部112、設定部113および送信部114の各処理部と同様の機能を有する情報処理プログラムが記憶される。さらに、ハードディスク装置208には、取得部111、判定部112、設定部113および送信部114の各処理部と同様の機能を有する情報処理プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、情報処理プログラムを実現するための各種データが記憶される。
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで各種の処理を行う。これらのプログラムは、コンピュータ200を、例えば図6に示した取得部111、判定部112、設定部113および送信部114として機能させることができる。さらに、これらのプログラムは、コンピュータ200を、取得部111、判定部112、設定部113および送信部114として機能させることができる。
なお、上記の情報処理プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)等に接続された装置にこのプログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
図23は、コンピュータで動作するプログラムの構成例を示す図である。コンピュータ200において、図24に示すハードウェア群26(201〜209)の制御を行なうOS(オペレーティング・システム)27が動作する。OS27に従った手順でCPU201が動作して、ハードウェア群26の制御・管理が行なわれることにより、アプリケーションプログラム29やミドルウェア28に従った処理がハードウェア群26で実行される。さらに、コンピュータ200において、ミドルウェア28またはアプリケーションプログラム29が、RAM207に読み出されてCPU201により実行される。
CPU201により報知レベル設定機能が呼び出された場合、ミドルウェア28またはアプリケーションプログラム29の少なくとも一部に基づく処理を行なうことで、制御部110の機能が実現される。報知レベル設定機能は、それぞれアプリケーションプログラム29自体に含まれてもよいし、アプリケーションプログラム29に従って呼び出されることで実行されるミドルウェア28の一部であってもよい。