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JP6391558B2 - 熱処理装置、基板を熱処理する方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

熱処理装置、基板を熱処理する方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本開示は、熱処理装置、基板を熱処理する方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
特許文献1は、基板を加熱する熱板と、基板を冷却する冷却板とを備える熱処理装置を開示している。当該熱処理装置は、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて基板を微細加工する際に、基板の表面に塗布されたレジスト液の溶剤を蒸発させるための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)や、露光処理後に、基板上面の塗布膜の化学反応を促進させるための加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)や、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)などを実施する。
特開2007−294753号公報
現在、フォトリソグラフィ技術を用いて凹凸パターン(例えば、レジストパターン)を基板(例えば、半導体ウエハ、ガラスウエハその他の各種ウエハ)の表面に形成するための微細加工プロセスが、広く一般に行われている。特に近年、凹凸パターンの更なる微細化に伴い、基板表面上に配置された各種材料を基板の表面内において均一に熱処理する要求が高まっている。
ところが、基板に反りが生じていたり、基板と熱板又は冷却板との間に微小な異物が存在していることがある。これらの場合、熱板又は冷却板との間で授受する熱量が基板の面内において均一でなくなる。そのため、基板を熱板又は冷却板に載置した直後又は載置してからしばらくの間、基板の面内温度分布が不均一となる。従って、基板表面上に配置された各種材料の化学反応にばらつきが生じ、凹凸パターンの線幅が不均一となる虞がある。
そこで、本開示は、基板の面内温度分布をより均一に制御することが可能な熱処理装置、基板を熱処理する方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
本開示の一つの観点に係る熱処理装置は、基板に熱を付与するように構成された熱板と、熱板を加熱するように構成されたヒータと、熱板に対して基板を移送可能に構成された移送板と、移送板の複数の領域ごとに独立して温度調節可能に構成された複数の温調部材と、制御部とを備え、制御部は、ヒータを制御して、全面が所定の初期温度に設定された第1の基板を熱板によって加熱する第1の処理と、第1の処理の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第2の処理と、複数の温調部材を制御して、第2の処理において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせ、第2の基板の面内温度分布を移送板によって調節する第3の処理と、ヒータを制御して、第3の処理において温調された第2の基板を熱板によって加熱する第4の処理とを実行する。
本開示の一つの観点に係る熱処理装置では、制御部が、複数の温調部材を制御して、第2の処理において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせ、第2の基板の面内温度分布を移送板によって調節する第3の処理を実行している。換言すれば、第3の処理において第2の基板が移送板によって温調される際には、第2の基板のうち熱板によって加熱されやすい領域の温度が予め相対的に低く設定され、第2の基板のうち熱板によって加熱されにくい領域の温度が予め相対的に高く設定される。そのため、続く第4の処理を制御部が実行し、第2の基板が熱板に載置された直後又は載置されてからしばらくの間であっても、第2の基板の面内温度分布が均一化される。従って、基板の面内温度分布をより均一に制御することが可能となるので、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
第1の基板には、第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、制御部は、第2の処理において、第1の処理の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得してもよい。この場合、第1の基板を温度測定用の基板として利用することができるので、第1の処理において面内温度分布を取得するために製品用の基板を浪費せずにすむ。そのため、より低コストで基板を熱処理できる。
制御部は、第1の処理において加熱された第1の基板を、全面が所定の冷却温度に設定された移送板によって冷却する第5の処理と、第5の処理の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第6の処理と、複数の温調部材を制御して、第6の処理において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせ、第4の処理において加熱された後の第2の基板を移送板によって冷却する第7の処理とをさらに実行してもよい。この場合、第7の処理において第2の基板が移送板によって冷却される際には、第2の基板のうち移送板によって冷却されやすい領域の温度が予め相対的に高く設定され、第2の基板のうち移送板によって冷却されにくい領域の温度が予め相対的に低く設定される。そのため、第2の基板が移送板に載置された直後又は載置されてからしばらくの間であっても、基板の面内温度分布が均一化される。従って、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
第1の基板には、第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、制御部は、第2の処理において、第1の処理の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得すると共に、第6の処理において、第5の処理の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得してもよい。この場合、第1の基板を温度測定用の基板として利用することができるので、第1及び第6の処理において面内温度分布を取得するために製品用の基板を浪費せずにすむ。そのため、より低コストで基板を熱処理できる。
制御部は、第7の処理の際に、複数の温調部材を制御して、第6の処理において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせた後に、複数の領域をいずれも所定の目標温度に向けて変化させてもよい。ところで、基板表面上に配置される材料によっては、基板の温度がある程度降下しても化学反応が停止しないものもある。しかしながら、この場合、移送板による第2の基板の冷却中に第2の基板の面内温度分布が徐々に均一化される。そのため、基板の温度がある程度降下した場合でも、基板表面上に配置される材料の化学反応が均一に進行しやすくなる。従って、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
複数の温調部材はそれぞれペルチェ素子であってもよい。この場合、ペルチェ素子は温度応答性に優れるので、移送板の各領域の温度を素早く変化させることが可能となる。
本開示の他の観点に係る基板を熱処理する方法は、全面が所定の初期温度に設定された第1の基板を熱板によって加熱する第1の工程と、第1の工程の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第2の工程と、複数の温調部材によってそれぞれ独立して温度調節可能に構成された複数の領域を有する移送板に対し、第2の工程で取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を生じさせ、第2の基板の面内温度分布を移送板によって調節する第3の工程と、第3の工程において温調された第2の基板を熱板によって加熱する第4の工程とを含む。
本開示の他の観点に係る基板を熱処理する方法では、第3の工程において、第2の工程で取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせ、第2の基板の面内温度分布を移送板によって調節している。換言すれば、第3の処理において第2の基板が移送板によって温調される際には、第2の基板のうち熱板によって加熱されやすい領域の温度が予め相対的に低く設定され、第2の基板のうち熱板によって加熱されにくい領域の温度が予め相対的に高く設定される。そのため、第2の基板を熱板によって加熱する第4の工程において、第2の基板が熱板に載置された直後又は載置されてからしばらくの間であっても、第2の基板の面内温度分布が均一化される。従って、基板の面内温度分布をより均一に制御することが可能となるので、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
第1の基板には、第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、第2の工程では、第1の工程の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得してもよい。この場合、第1の基板を温度測定用の基板として利用することができるので、第1の工程において面内温度分布を取得するために製品用の基板を浪費せずにすむ。そのため、より低コストで基板を熱処理できる。
本開示の他の観点に係る基板を熱処理する方法は、第1の工程において加熱された第1の基板を、全面が所定の冷却温度に設定された移送板によって冷却する第5の工程と、第5の工程の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第6の工程と、第6の工程において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせ、第4の工程において加熱された後の第2の基板を移送板によって冷却する第7の工程とをさらに含んでもよい。この場合、第7の工程において第2の基板が移送板によって冷却される際には、第2の基板のうち移送板によって冷却されやすい領域の温度が予め相対的に高く設定され、第2の基板のうち移送板によって冷却されにくい領域の温度が予め相対的に低く設定される。そのため、基板が移送板に載置された直後又は載置されてからしばらくの間においても、基板の面内温度分布が均一化される。従って、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
第1の基板には、第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、第2の工程では、第1の工程の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得し、第6の工程では、第5の工程の際に第1の基板に生ずる面内温度分布を測温部材によって取得してもよい。この場合、第1の基板を温度測定用の基板として利用することができるので、第1及び第6の工程において面内温度分布を取得するために製品用の基板を浪費せずにすむ。そのため、より低コストで基板を熱処理できる。
第7の工程では、第6の工程において取得された面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を移送板に生じさせた後に、複数の領域をいずれも所定の目標温度に向けて変化させてもよい。ところで、基板表面上に配置される材料によっては、基板の温度がある程度降下しても化学反応が停止しないものもある。しかしながら、この場合、移送板による第2の基板の冷却中に第2の基板の面内温度分布が徐々に均一化される。そのため、基板の温度がある程度降下した場合でも、基板表面上に配置される材料の化学反応が均一に進行しやすくなる。従って、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
複数の温調部材はそれぞれペルチェ素子であってもよい。この場合、ペルチェ素子は温度応答性に優れるので、移送板の各領域の温度を素早く変化させることが可能となる。
本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上述の方法を熱処理装置に実行させるためのプログラムを記録している。本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、上記の方法と同様に、基板の面内温度分布をより均一に制御することが可能となる。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
本開示に係る熱処理装置、基板を熱処理する方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、基板の面内温度分布をより均一に制御することが可能となる。
図1は、基板処理システムを示す斜視図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、図2のIII−III線断面図である。 図4は、熱処理ユニットを側方から見た断面図である。 図5は、熱処理ユニットを上方から見た断面図である。 図6は、冷却板を上方から見た図である。 図7は、熱処理ユニット及びコントローラを示すブロック図である。 図8は、コントローラのハードウェア構成を示す概略図である。 図9は、測温用ウエハによって面内温度分布を取得する方法を説明するためのフローチャートである。 図10(a)は、測温用ウエハの昇温過程を示すグラフであり、図10(b)は、測温用ウエハの降温過程を示すグラフである。 図11は、測温用ウエハの面内温度分布の一例を示す図である。 図12は、ウエハを熱処理する方法を説明するためのフローチャートである。 図13は、ウエハの面内温度分布の一例を示す図である。
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、露光装置3と、コントローラ10(制御部;熱処理装置)とを備える。露光装置3は、ウエハW(第2の基板)の表面に形成されたレジスト膜R(図4参照)の露光処理(パターン露光)を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜R(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウエハWの表面にレジスト膜Rを形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜Rの現像処理を行う。ウエハWは、円板状を呈してもよいし、円形の一部が切り欠かれていてもよいし、多角形など円形以外の形状を呈していてもよい。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。ウエハWの直径は、例えば200mm〜450mm程度であってもよい。
図1〜図3に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
キャリアブロック4は、図1及び図3に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
処理ブロック5は、図1及び図2に示されるように、BCTモジュール14と、HMCTモジュール15と、COTモジュール16と、DEVモジュール17とを有する。BCTモジュール14は下層膜形成モジュールである。HMCTモジュール15は中間膜(ハードマスク)形成モジュールである。COTモジュール16はレジスト膜形成モジュールである。DEVモジュール17は現像処理モジュールである。これらのモジュールは、床面側からDEVモジュール17、BCTモジュール14、HMCTモジュール15、COTモジュール16の順に並んでいる。
BCTモジュール14は、ウエハWの表面上に下層膜を形成するように構成されている。BCTモジュール14は、複数の塗布ユニット(図示せず)と、複数の熱処理ユニット(図示せず)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA2(図2参照)とを内蔵している。塗布ユニットは、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面に塗布して塗布膜を形成するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。BCTモジュール14において行われる熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
HMCTモジュール15は、下層膜上に中間膜を形成するように構成されている。HMCTモジュール15は、複数の塗布ユニット(図示せず)と、複数の熱処理ユニット(図示せず)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA3(図2参照)とを内蔵している。塗布ユニットは、中間膜形成用の塗布液をウエハWの表面に塗布して塗布膜を形成するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。HMCTモジュール15において行われる熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
COTモジュール16は、中間膜上に熱硬化性且つ感光性のレジスト膜Rを形成するように構成されている。COTモジュール16は、図2及び図3に示されるように、複数の塗布ユニットU1と、複数の熱処理ユニットU2(熱処理装置)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液(レジスト剤)を中間膜の上に塗布して塗布膜を形成するように構成されている。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。COTモジュール16において行われる熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜Rとするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。熱処理ユニットU2の詳細については後述する。
DEVモジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成されている。DEVモジュール17は、複数の現像ユニット(図示せず)と、複数の熱処理ユニット(図示せず)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している。現像ユニットは、レジスト膜Rを部分的に除去してレジストパターンを形成するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。DEVモジュール17において行われる熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、図2及び図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面からHMCTモジュール15に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面からDEVモジュール17の上部に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10の詳細については後述する。
[熱処理ユニットの構成]
次に、熱処理ユニットU2の構成について、図4〜図7を参照してさらに詳しく説明する。なお、本明細書ではCOTモジュール16の熱処理ユニットU2の構成を説明しているが、BCTモジュール14、HMCTモジュール15及びDEVモジュール17の熱処理ユニットの構成も熱処理ユニットU2と同等である。
熱処理ユニットU2は、図4及び図5に示されるように、筐体100内に、ウエハWを加熱する加熱部110と、ウエハWを冷却する冷却部120とを有する。筐体100のうち冷却部120に対応する部分の両側壁には、ウエハWを筐体100の内部に搬入すると共にウエハWを筐体100外へと搬出するための搬入出口101が形成されている(図5参照)。
加熱部110は、蓋部111(収容筐体)と、熱板収容部112(収容筐体)とを有する。蓋部111は、熱板収容部112の上方に位置しており、熱板収容部112から離間した上方位置と熱板収容部112上に載置される下方位置との間で上下動が可能である。蓋部111は、下方位置にあるときに熱板収容部112とともに処理室PRを構成する。蓋部111の中央には、処理室PRから気体を排気するための排気部111aが設けられている。
熱板収容部112は、円筒状を呈しており、その内部に熱板113を収容している。熱板113の外周部は、支持部材114によって支持されている。支持部材114の外周は、筒状を呈するサポートリング115によって支持されている。サポートリング115の上面には、上方に向けて開口したガス供給口115aが形成されている。ガス供給口115aは、処理室PR内に不活性ガスを噴き出すように構成されている。
熱板113は、図5に示されるように、円形状を呈する平板である。熱板113の外形は、ウエハWの外形よりも大きい。熱板113には、その厚さ方向に貫通して延びる貫通孔HLが3つ形成されている。熱板113の上面には、ウエハWを支持する少なくとも3つの支持ピンPNが立設されている。支持ピンPNの高さは、例えば100μm程度であってもよい。熱板113の下面には、熱板113を加熱するように構成されたヒータ116が配置されている。熱板113の内部には、図4に示されるように、熱板113の温度を測定するように構成された温度センサ117が配置されている。
熱板113の下方には昇降機構119が配置されている。昇降機構119は、筐体100外に配置されたモータ119aと、モータ119aによって上下動する3つの昇降ピン119bとを有する。昇降ピン119bはそれぞれ、対応する貫通孔HL内に挿通されている。昇降ピン119bの先端が熱板113及び支持ピンPNよりも上方に突出している場合、昇降ピン119bの先端上にウエハWを載置可能である。昇降ピン119bの先端上に載置されたウエハWは、昇降ピン119bの上下動に伴い昇降する。
冷却部120は、図4及び図5に示されるように、加熱部110に隣接して位置している。冷却部120は、載置されたウエハWを冷却する冷却板(移送板)121を有する。冷却板121は、図5に示されるように、略円形状を呈する平板であり、ウエハWを移送可能に構成されている。
冷却板121は、加熱部110側に向かって延伸するレール123に取付けられている。冷却板121は、駆動部124により駆動され、レール123上を水平移動可能である。加熱部110側まで移動した冷却板121は、熱板113の上方に位置する。そのため、冷却板121は、熱板113の上方位置と熱板113からの離間位置との間で移動可能である。
冷却板121には、図5及び図6に示されるように、レール123の延在方向に沿って延びる2本のスリット125が形成されている。スリット125は、冷却板121における加熱部110側の端部から冷却板121の中央部付近まで延びるように形成されている。スリット125により、加熱部110側に移動した冷却板121と熱板113上に突出した昇降ピン119bとの干渉が防止される。そのため、冷却板121は、ウエハWを熱板113に受け渡し且つウエハWを熱板113から受け取ることが可能である。
図4に示されるように、冷却板121の下方には昇降機構126が配置されている。昇降機構126は、筐体100外に配置されたモータ126aと、モータ126aによって上下動する3つの昇降ピン126bとを有する。昇降ピン126bはそれぞれ、スリット125を通過可能に構成されている。昇降ピン126bの先端が冷却板121よりも上方に突出している場合、昇降ピン126bの先端上にウエハWを載置可能である。昇降ピン126bの先端上に載置されたウエハWは、昇降ピン126bの上下動に伴い昇降する。
冷却板121内には、図4に示されるように、冷却部材(温調部材)122が設けられている。冷却部材122は、図6に示されるように、5つの領域R1〜R5を有している。1つの領域R1は、上方から見て円形状を呈し、冷却部材122の中心部を構成する。4つの領域R2〜R5は、扇形状を呈しており、領域R1の周囲を囲むように配置されている。より具体的には、領域R2は、領域R3,R5と隣り合うと共に、領域R1を間において領域R4と対向している。本実施形態においては、領域R1,R2,R5には2つのスリット125が存在している。特に、領域R5は、2つのスリット125によって、独立した3つの部分に分割されている。
領域R1〜R4の内部にはそれぞれ、ペルチェ素子122a〜122aが配置されている。領域R5のうち分割された3つの部分にはそれぞれ、ペルチェ素子122aが配置されている。これらのペルチェ素子122a〜122aは、対応する領域R1〜R5の温度を独立して調節することが可能である。
領域R1〜R4の下面又は内部にはそれぞれ、温度センサ122b〜122b(測温部材)が配置されている。領域R5のうち分割された3つの部分にはそれぞれ、温度センサ122b(測温部材)がそれぞれ配置されている。これらの温度センサ122b〜122bは、対応する領域R1〜R5の温度を独立して測定することが可能である。
[コントローラの構成]
コントローラ10は、図7に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み取られたプログラム、温度センサ117から入力された熱板113の温度、温度センサ122b〜122bから入力された各領域R1〜R5の温度の他、熱板113によってウエハWを加熱する際の加熱設定温度、冷却板121によってウエハWを冷却する際の冷却設定温度、測温用ウエハが取得した面内温度分布(詳しくは後述する)、等を記憶する。
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、基板処理システム1の各部(例えば、ヒータ116,昇降機構119,126、駆動部124、ペルチェ素子122a〜122a)を動作させるための信号を生成する。
指示部M4は、処理部M3において生成された信号を基板処理システム1の各部(例えば、ヒータ116,昇降機構119,126、駆動部124、ペルチェ素子122a〜122a)に送信する。具体的には、指示部M4は、ヒータ116にON/OFF信号を送信し、ヒータ116への通電を切り替える。指示部M4は、モータ119aに上昇信号又は下降信号を送信し、昇降ピン119bを昇降させる。指示部M4は、モータ126aに上昇信号又は下降信号を送信し、昇降ピン126bを昇降させる。指示部M4は、駆動部124に駆動信号を送信し、冷却板121が熱板113の上方に位置する第1の位置と、冷却板121が熱板113から離れる第2の位置との間で冷却板121をレール123に沿って水平移動させる。指示部M4は、ペルチェ素子122a〜122aに制御信号を送信し、対応する領域R1〜R5の温度をそれぞれ独立して調節する。
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば図8に示される回路10Aを有する。回路10Aは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路10Aは、具体的には、プロセッサ10Bと、メモリ10Cと、ストレージ10Dと、ドライバ10Eと、入出力ポート10Fとを有する。プロセッサ10Bは、メモリ10C及びストレージ10Dの少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート10Fを介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。ドライバ10Eは、基板処理システム1の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポート10Fは、ドライバ10Eと基板処理システム1の各種装置との間で、信号の入出力を行う。
本実施形態では、基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路10A)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路10A)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路10A)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ10Bを有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサ10Bによって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサ10Bの組み合わせによって実現されていてもよい。
[測温用ウエハによる面内温度分布の取得方法]
続いて、図9を参照して、測温用ウエハ(第1の基板)による面内温度分布の取得方法を説明する。測温用ウエハは、ウエハWの複数箇所に測温部材(例えば熱電対)が埋め込まれたものであり、測温用ウエハの面内温度分布を取得可能に構成されている。まず、コントローラ10は、駆動部124及び昇降機構119,126を制御して、測温用ウエハを冷却板121から熱板113に搬送する(ステップS11;第1の処理;第1の工程)。このとき、熱板113は、ヒータ116によって所定の加熱設定温度(例えば、70℃〜130℃程度)に温調されている。また、測温用ウエハは全体的に(全面的に)所定の初期温度(例えば、常温)とされており、測温用ウエハの面内温度分布が略均一となるように設定されている。
測温用ウエハが熱板113上(支持ピンPN上)に載置されると、測温用ウエハが熱板113によって加熱される。測温用ウエハの測温部材は、このときの測温用ウエハの面内温度分布を経時的に取得して、そのデータをコントローラ10に送信する(ステップS12;第2の処理;第2の工程)。このとき、測温用ウエハの温度は、例えば、図10(a)に示される実線のように変化する。一方、測温用ウエハの面内温度分布のばらつき(3σ)は、例えば、図10(a)に示される破線のように変化する。図10(a)によれば、測温用ウエハの面内温度分布のばらつきは、測温用ウエハが熱板113に載置されてから約3秒後に最も大きくなり、最大で例えば±2℃〜3℃程度の温度差を示す。ばらつき(3σ)が最大のときの測温用ウエハの面内温度分布の例を、図11(a)に示す。なお、図11及び後述の図13においては、濃色が高温を示し、淡色が低温を示す。
次に、コントローラ10は、ステップS12で取得したデータに基づいて、測温用ウエハに生じた面内温度分布の不均一(ばらつき)を相殺するような温度分布(昇温用温度分布)を算出する(ステップS13)。具体的には、例えば、ばらつき(3σ)が最大のときの測温用ウエハの面内温度分布、測温用ウエハによって取得された面内温度分布の平均分布などを用いて、当該分布の各点の値を各点の値の平均値からそれぞれ減算する。これにより、平均値と同じ値を示す点では0、平均値よりも大きな値を示す点では負、平均値よりも小さな値を示す点では正の補正分布が得られる。続いて、補正分布の各点に、冷却板121によるウエハWの冷却設定温度(例えば、23℃程度)を加算する。これにより、昇温用温度分布が算出される。
次に、コントローラ10は、駆動部124及び昇降機構119,126を制御して、測温用ウエハを熱板113から冷却板121に搬送する(ステップS14;第5の処理:第5の工程)。このとき、冷却板121は、冷却部材122(ペルチェ素子122a〜122a)によって所定の冷却設定温度(例えば、20℃〜35℃程度)に温調されている。また、測温用ウエハは全体的に(全面的に)、ステップS11において熱板113の加熱設定温度にまで加熱されており、測温用ウエハの面内温度分布が略均一となるように設定されている。
測温用ウエハが冷却板121上に載置されると、測温用ウエハが冷却板121によって冷却される。測温用ウエハの測温部材は、このときの測温用ウエハの面内温度分布を経時的に取得して、そのデータをコントローラ10に送信する(ステップS15;第6の処理;第6の工程)。このとき、測温用ウエハの温度は、例えば、図10(b)に示される実線のように変化する。一方、測温用ウエハの面内温度分布のばらつき(3σ)は、例えば、図10(b)に示される破線のように変化する。図10(b)によれば、測温用ウエハの面内温度分布のばらつきは、測温用ウエハが冷却板121に載置されてから約134秒後に最も大きくなり、最大で例えば±2℃〜3℃程度の温度差を示す。ばらつき(3σ)が最大のときの測温用ウエハの面内温度分布の例を、図11(b)に示す。
次に、コントローラ10は、ステップS15で取得したデータに基づいて、測温用ウエハに生じた面内温度分布の不均一(ばらつき)を相殺するような温度分布(降温用温度分布)を算出する(ステップS16)。降温用温度分布の算出方法は、ステップS13における昇温用温度分布の算出方法と同様である。
[ウエハの熱処理方法]
続いて、図12を参照して、熱処理ユニットU2におけるウエハWの熱処理方法について説明する。なお、本明細書では、レジスト膜Rが表面に形成されたウエハWをCOTモジュール16の熱処理ユニットU2により熱処理する方法を説明しているが、各種膜が表面に形成されたウエハWをBCTモジュール14、HMCTモジュール15及びDEVモジュール17において熱処理する方法も下記と同様である。
まず、コントローラ10は、ステップS13で算出した昇温用温度分布に基づいて冷却部材122(ペルチェ素子122a〜122a)を制御し、冷却板121の各領域R1〜R5に所定の温度分布を生じさせる(ステップS21)。このときの冷却板121の温度分布の一例を図13(a)に示す。図13(a)に示される例は、図11(a)に対して濃淡が反転している。
次に、コントローラ10は、基板処理システム1の各部を制御して、表面にレジスト膜Rが形成されたウエハWを冷却板121に載置させる(ステップS22;第3の処理;第3の工程)。これにより、冷却板121の各領域R1〜R5の温度分布がウエハWにも生ずる。
次に、コントローラ10は、駆動部124及び昇降機構119,126を制御して、ウエハWを冷却板121から熱板113に搬送する(ステップS23;第4の処理;第4の工程)。このとき、ウエハWは熱板113により所定の加熱設定温度にまで加熱される。熱板113によるウエハWの加熱時間は、例えば、40秒〜120秒程度であってもよい。熱板113によるウエハWの加熱中に、コントローラ10は、ステップS16で算出した降温用温度分布に基づいて冷却部材122(ペルチェ素子122a〜122a)を制御し、冷却板121の各領域R1〜R5に所定の温度分布を生じさせる(ステップS24)。
次に、コントローラ10は、駆動部124及び昇降機構119,126を制御して、ウエハWを熱板113から冷却板121に搬送する(ステップS25;第7の処理;第7の工程)。このとき、ウエハWは冷却板121により冷却される。冷却板121によるウエハWの冷却時間は、例えば、5秒〜30秒程度であってもよい。
ステップS25において、コントローラ10は、冷却部材122(ペルチェ素子122a〜122a)を制御し、冷却板121によるウエハWの冷却開始後に冷却板121の各領域R1〜R5の温度をいずれも所定の冷却設定温度に向けて変化させてもよい。コントローラ10によって当該制御が行われると、例えば、冷却板121の各領域R1〜R5のうち冷却設定温度よりも温度が高い領域は冷却設定温度となるように徐々に降温していき、冷却板121の各領域R1〜R5のうち冷却設定温度よりも温度が低い領域は冷却設定温度となるように徐々に昇温していく。コントローラ10による当該制御は、冷却板121によるウエハWの冷却開始直後に実行してもよいし、冷却板121によるウエハWの冷却開始から5秒〜15秒程度後に実行してもよい。この場合、冷却板121によるウエハWの冷却中にウエハWの温度が徐々に冷却設定温度に均一化される。そのため、ウエハWの表面に配置された材料(本実施形態ではレジスト膜R)がある程度低い温度でも化学反応が進行する場合でも、ウエハWの冷却中に当該材料の化学反応が均一に進行しやすくなる。従って、凹凸パターンの線幅がより均一化しやすくなる。
次に、コントローラ10は、基板処理システム1の各部を制御して、ステップS25において冷却設定温度まで冷却されたウエハWを熱処理ユニットU2から搬出させる(ステップS26)。以上により、ウエハWの熱処理が完了する。
[作用]
以上のような本実施形態では、ステップS12で取得された面内温度分布のデータに基づいて、測温用ウエハに生じた面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を冷却板121に生じさせ(ステップS21)、ウエハWの温度を冷却板121によって加熱している(ステップS22)。換言すれば、ステップS21においてウエハWが冷却板121によって温調される際には、ウエハWのうち熱板113によって加熱されやすい領域の温度が予め相対的に低く設定され、ウエハWのうち熱板113によって加熱されにくい領域の温度が予め相対的に高く設定される。そのため、続くステップS23において熱板113によるウエハWの加熱が開始され、ウエハWが熱板113に載置された直後又は載置されてからしばらくの間であっても、ウエハWの面内温度分布が均一化される(図13(b)参照)。従って、ウエハWの面内温度分布をより均一に制御することが可能となるので、凹凸パターンの線幅のさらなる均一化が図られる。
本実施形態では、ステップS15で取得された面内温度分布のデータに基づいて、測温用ウエハに生じた面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を冷却板121に生じさせ(ステップS24)、ウエハWの温度を冷却板121によって冷却している(ステップS25)。換言すれば、ステップS25においてウエハWが冷却板121によって温調される際には、ウエハWのうち冷却板121によって冷却されやすい領域の温度が予め相対的に高く設定され、ウエハWのうち冷却板121によって冷却されにくい領域の温度が予め相対的に低く設定される。そのため、ウエハWが冷却板121に載置された直後又は載置されてからしばらくの間であっても、ウエハWの面内温度分布が均一化される。従って、ウエハWの面内温度分布をより均一に制御することが可能となるので、凹凸パターンの線幅の一層の均一化が図られる。
本実施形態では、面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられた測温用ウエハを用いて、予め昇温用温度分布及び降温用温度分布が取得される(ステップS13,S16)。そのため、昇温用温度分布及び降温用温度分布を取得するにあたり製品用のウエハWを浪費せずにすむ。従って、より低コストでウエハWを熱処理できる。
本実施形態では、冷却板121の各領域R1〜R5の温度をそれぞれペルチェ素子122a〜122aによって温調している。ペルチェ素子122a〜122aは温度応答性に優れるので、冷却板121の各領域R1〜R5の温度を素早く変化させることが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、冷却板121の各領域R1〜R5の温調は、ペルチェ素子122a〜122aに限定されず、水冷等の他の手段を用いてもよい。
冷却板121は、独立して温度調節可能な複数の領域を有していればよく、5つの領域R1〜R5に限定されない。
予め昇温用温度分布及び降温用温度分布が取得するために、上記の実施形態では測温用ウエハを用いていたが、測温用ウエハを用いなくてもよい。この場合、複数箇所に測温部材(例えば熱電対)が埋め込まれた熱板113を用いて、熱板113によるウエハWの加熱時にウエハWの面内温度分布を取得してもよい。
1…基板処理システム、10…コントローラ(制御部;熱処理装置)、100…筐体、110…加熱部、113…熱板、116…ヒータ、120…冷却部、121…冷却板(移送板)、122…冷却部材(温調部材)、122a〜122a…ペルチェ素子(温調部材)、122b〜122b…温度センサ(測温部材)、R…レジスト膜、R1〜R5…領域、RM…記録媒体、U2…熱処理ユニット(熱処理装置)、W…ウエハ(基板)。

Claims (13)

  1. 基板に熱を付与するように構成された熱板と、
    前記熱板を加熱するように構成されたヒータと、
    前記熱板に対して基板を移送可能に構成された移送板と、
    前記移送板の複数の領域ごとに独立して温度調節可能に構成された複数の温調部材と、
    制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記ヒータを制御して、全面が所定の初期温度に設定された第1の基板を前記熱板によって加熱する第1の処理と、
    前記第1の処理の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第2の処理と、
    前記複数の温調部材を制御して、前記第2の処理において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を前記移送板に生じさせ、第2の基板の面内温度分布を前記移送板によって調節する第3の処理と、
    前記ヒータを制御して、前記第3の処理において温調された前記第2の基板を前記熱板によって加熱する第4の処理とを実行する、熱処理装置。
  2. 前記第1の基板には、前記第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、
    前記制御部は、前記第2の処理において、前記第1の処理の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を前記測温部材によって取得する、請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記制御部は、
    前記第1の処理において加熱された前記第1の基板を、全面が所定の冷却温度に設定された移送板によって冷却する第5の処理と、
    前記第5の処理の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第6の処理と、
    前記複数の温調部材を制御して、前記第6の処理において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を前記移送板に生じさせ、前記第4の処理において加熱された後の前記第2の基板を前記移送板によって冷却する第7の処理とをさらに実行する、請求項1に記載の熱処理装置。
  4. 前記第1の基板には、前記第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、
    前記制御部は、
    前記第2の処理において、前記第1の処理の際に前記第1の基板に生ずる前記面内温度分布を前記測温部材によって取得すると共に、
    前記第6の処理において、前記第5の処理の際に前記第1の基板に生ずる前記面内温度分布を前記測温部材によって取得する、請求項3に記載の熱処理装置。
  5. 前記制御部は、前記第7の処理の際に、前記複数の温調部材を制御して、前記第6の処理において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を前記移送板に生じさせた後に、前記複数の領域をいずれも所定の目標温度に向けて変化させる、請求項3又は4に記載の熱処理装置。
  6. 前記複数の温調部材はそれぞれペルチェ素子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱処理装置。
  7. 全面が所定の初期温度に設定された第1の基板を熱板によって加熱する第1の工程と、
    前記第1の工程の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第2の工程と、
    複数の温調部材によってそれぞれ独立して温度調節可能に構成された複数の領域を有する移送板に対し、前記第2の工程において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を生じさせ、第2の基板の面内温度分布を前記移送板によって調節する第3の工程と、
    前記第3の工程において温調された前記第2の基板を前記熱板によって加熱する第4の工程とを含む、基板を熱処理する方法。
  8. 前記第1の基板には、前記第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、
    前記第2の工程では、前記第1の工程の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を前記測温部材によって取得する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1の工程において加熱された前記第1の基板を、全面が所定の冷却温度に設定された前記移送板によって冷却する第5の工程と、
    前記第5の工程の際に前記第1の基板に生ずる面内温度分布を取得する第6の工程と、
    前記第6の工程において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を前記移送板に生じさせ、前記第4の工程において加熱された後の前記第2の基板を前記移送板によって冷却する第7の工程とをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  10. 前記第1の基板には、前記第1の基板の面内温度分布を取得可能な測温部材が設けられており、
    前記第2の工程では、前記第1の工程の際に前記第1の基板に生ずる前記面内温度分布を前記測温部材によって取得し、
    前記第6の工程では、前記第5の工程の際に前記第1の基板に生ずる前記面内温度分布を前記測温部材によって取得する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第7の工程では、前記第6の工程において取得された前記面内温度分布の不均一を相殺するような温度分布を前記移送板に生じさせた後に、前記複数の領域をいずれも所定の目標温度に向けて変化させる、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記複数の温調部材はそれぞれペルチェ素子である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法を熱処理装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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