図1に示すように、実施形態に係る情報処理装置Sは、移動可能な情報処理装置Sであって、地図情報取得手段1と、地物情報取得手段2と、判定手段3と、送信手段4と、更新手段5と、を備えて構成されている。
この構成において地図情報取得手段1は、情報処理装置Sの移動に用いられる地図情報を取得する。一方地物情報取得手段2は、情報処理装置Sの移動の際の周辺に位置する地物に対応する地物情報を、当該移動の際に取得する。
そして判定手段3は、地図情報取得手段1により取得された地図情報に含まれ且つ移動の際の周辺に位置する地物に相当する地物情報と、地物情報取得手段2により取得された地物情報と、の間に相違があるか否かを判定する。
これにより送信手段4は、判定手段3により各地物情報に相違があると判定されたとき、判定手段3による判定結果及び当該判定の対象となった地物情報を外部SVに送信する。
そして更新手段5は、地図情報取得手段1により取得される地図情報を更新する更新情報が、送信手段4により送信した地物情報に対応して外部SVから送信されてきたときのみ、更新情報を用いて、地図情報取得手段1により取得される地図情報を更新する。
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置Sによれば、情報処理装置Sの移動用の地図に含まれ且つ周辺地物に相当する地物情報と、これとは別に取得された地物情報と、の間に相違があると判定されたときに、その判定結果及び当該判定の対象となった地物情報を外部SVに送信する。そして、送信した地物情報に対応して外部SVから更新情報が送信されてきたときのみ、当該更新情報を用いて地図情報を更新する。
よって、外部SVからの更新情報を用いてのみ地図情報が更新されることで、地図情報を一元的に且つ正確に更新することができる。また、地物情報間に相違があり且つ更新情報が送信されてきたときのみ地図情報を更新するので、外部SVとの間で授受される情報の量を低減しつつ地図情報を更新することができる。更に、送信した地物情報に対応した更新情報により地図情報が更新されるので、情報処理装置Sが移動する経路や地域に応じた地図情報の更新が可能となる。
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図10を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、車両等の移動体にそれぞれ搭載又は所持されている複数のナビゲーション装置と、サーバ装置と、が、例えばインターネット等のネットワークを介して接続されてなる情報処理システムに対して実施形態を適用した場合の実施例である。
(1)第1実施例
初めに、実施形態に対応する第1実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお、図2は第1実施例に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は第1実施例に係るナビゲーション装置の細部構成を示すブロック図等である。また図4は第1実施例に係るサーバ装置の細部構成を示すブロック図等であり、図5は第1実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。このとき図2、図5(a)及び図5(b)では、図1に示した実施形態に係る情報処理装置Sにおける各構成部材に対応する第1実施例の構成部材それぞれについて、当該情報処理装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
図2に示すように、第1実施例に係る情報処理システムSSは、実施形態に係る外部SVの一例としてのサーバ装置SVと、それぞれが実施形態に係る情報処理装置Sの一例としての複数のナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Sn(nは自然数)と、を含んで構成されている。そしてサーバ装置SVと、各ナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Snと、は、例えばインターネット等のネットワークWを介して情報の授受が可能に接続されている。なお以下の説明において、各ナビゲーション装置S1、ナビゲーション装置S2、…、ナビゲーション装置Snについて共通の事項を説明する場合、適宜、単に「ナビゲーション装置S」と称する。
この構成において各ナビゲーション装置Sはそれぞれ、図3(a)に例示するように、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ20と、操作ボタン又はリモコン等からなる操作部4と、上記移動体の移動を案内する際に表示される地図等に相当する後述の地図データSD等を含むデータベースを不揮発性に記録するハードディスク等からなる記録部9と、加速度センサ等の自立型センサ及びGPSセンサ並びに渋滞情報等収集用のVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センサ等からなるセンサ部6と、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像部を備えてなり且つ後記処理部8により指定された方向を撮像するカメラ7と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部8と、により構成されている。なお記録部9には、上記地図データ等の他に、上記移動体の移動の案内に必要な例えば音声データ等のナビゲーション用データも、併せて不揮発性の情報として記録されている。
また処理部8は、実施形態に係る地図情報取得手段1の一例、地物情報取得手段2の一例及び送信手段4の一例にそれぞれ相当するインターフェース1と、実施形態に係る判定手段3の一例に相当する判定部3と、更新部5と、を含んで構成されている。このとき上記インターフェース1、判定部3及び更新部5は、いわゆるハードウェアロジック回路により構成されていてもよいし、或いは、後述する第1実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートに相当するプログラムを処理部8内のCPUが読み込んで実行することにより、機能的に実現されるものであってもよい。また、上記操作部4が本願に係る「指示手段」の一例に相当し、上記カメラ7が本願に係る「撮像手段」の一例に相当し、上記処理部8が本願に係る「検出手段」の一例に相当する。
次に記録部9に記録されている第1実施例に係る地図データSDについて、図3(b)を用いて例示しつつ説明する。図3(b)に例示するように、第1実施例に係る各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDとしては、地物データ90と、道路データ91と、背景データ92と、が含まれている。このとき地物データ90には、移動体の移動を案内する際にディスプレイ20に表示される地図に含まれるべき地物に関するデータが含まれている。
ここで第1実施例に係る「地物」とは、当該移動体の移動を案内するに当たって有意となる物を言い、例えば建物、公園又は陸橋等の施設、或いは信号、標識又は横断歩道等の、原則として道路又はその周辺に存在している物を言う。そして地物データ90としては、他の地物から識別するための予め設定された地物IDに対応付けられて、当該地物IDにより識別される地物を示すデータの地図データSDにおけるヴァージョンを示すヴァージョンデータと、当該地物の位置を示す例えば緯度データ及び経度データからなる位置データと、当該地物の特徴を定量的に示した特徴量データと、が、それぞれ記録されている。なお上記特徴量データの例としては、画像内の物体認識等に用いられているアルゴリズムであるSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)方式により抽出された特徴量データが挙げられる。このSIFT方式は、従来から当該物体認識等に用いられているアルゴリズムである。例えば当該地物の実際の画像に相当する画像データに代えてSIFT方式による特徴量データを記録することにより、データ量の大幅な削減が可能となる。
一方上記道路データ91は、従来のナビゲーション装置において用いられる地図データ用の道路データと同様のものであり、地図上に含まれる道路を示す道路データが、例えば複数のリンクを示すリンクデータとして記録されている。また背景データ92は、これも従来のナビゲーション装置において用いられる地図データ用の背景データと同様のものであり、地図上に含まれる道路及び地物以外の背景(平面的な地図で言えば、道路や地物の下地)の描画に用いられる背景データが記録されている。
なお、地図データSDとしてナビゲーション装置Sに記録されている地図の地理的な範囲は、例えばナビゲーション装置Sが用いられる国(例えば日本国)全体に渡ってもよいし、或いは、例えば一つの県や一つの地方といった部分的な地域に限定されるものであってもよい。また、地物データ90におけるヴァージョンと地図データSD全体としてのヴァージョンとは、相互に一致していてもよいし、地図データSD全体のヴァージョンと地物データ90それぞれにおけるヴァージョンとがそれぞれ別個に設定されるものであってもよい。
他方、第1実施例に係るサーバ装置SVは、図4(a)に例示するように、インターフェース10と、CPU、RAM及びROM等からなる処理部11と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ12と、キーボード及びマウス等からなる操作部13と、サーバ装置SVに接続される各ナビゲーション装置Sに記録されている上記地図データSDの更新に用いられるマスター地図データとしての地図データVD等を含むデータベースを不揮発性に記録するハードディスク等からなる記録部14と、により構成されている。なお、上記記録部14が本願に係る「地図情報記憶手段」の一例に相当し、上記インターフェース10が本願に係る「受信手段」の一例及び「サーバ装置送信手段」の一例にそれぞれ相当し、処理部11が本願に係る「生成手段」の一例に相当する。
次に記録部14に記録されている第1実施例に係る地図データVDについて図4(b)を用いて例示しつつ説明する。図4(b)に例示するように、第1実施例に係るサーバ装置SVに記録されている地図データVDとしては、地物データ140と、道路データ141と、背景データ142と、が含まれている。このとき地物データ140には、各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの地物データ90と同様の、移動体の移動を案内する際にナビゲーション装置Sのディスプレイ20に表示される地図に含まれるべき地物に関するデータが含まれている。即ち地物データ140としては、地図データSDと同様の地物IDに対応付けられて、当該地物IDにより識別される地物を示すデータの地図データVDにおけるヴァージョンを示すヴァージョンデータと、当該地物IDにより識別される地物の位置を示す位置データと、が、それぞれ記録されている。加えて当該地物IDにより識別される地物を撮影した実写の画像データが記録されていてもよい。なお以下の説明においては、上記実写の画像データを、単に「実写データ」と称する。
一方上記道路データ141は、各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの道路データ91と同様に、地図上に含まれる道路を示す道路データが例えばリンクデータとして記録されている。また背景データ142は、これも各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDの背景データ92と同様に、地図上に含まれる道路及び地物以外の背景の描画に用いられる背景データが記録されている。以上の地物データ140、道路データ141及び背景データ141は、上述したように、各ナビゲーション装置Sに記録されている地物データ90、道路データ91及び背景データ92に対して、それぞれマスター地図データとしての位置付けを有するものである。
なお、地図データVDとしてサーバ装置SVに記録されている地図の地理的な範囲は、ナビゲーション装置Sで用いられる地図データSDのように一定の地域に限定されていてもよい。しかしながら、複数のナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDを更新するための更新データの生成に地図データVDが用いられるという観点からは、対応する地理的な範囲は、例えば一つの国(例えば日本国)全体に渡っているのが望ましい。
また、地物データ140におけるヴァージョンと地図データVD全体としてのヴァージョンとは、ナビゲーション装置Sにおける地物データ90と同様に、相互に一致していてもよいし、地図データVD全体のヴァージョンと地物データ140それぞれにおけるヴァージョンとがそれぞれ別個に設定されるものであってもよい。
以上説明した構成において各ナビゲーション装置Sのインターフェース1は、処理部8の制御の下、サーバ装置SVとの間のネットワークWを介したデータの入出力を制御すると共に、記録部9、センサ部6及びカメラ7との間のデータの入出力を制御する。そして処理部8の判定部3及び更新部5は、ナビゲーション装置Sに予め設定された更新の可否を表す情報、あるいは操作部4における使用者(運転者等)による操作に基づき、必要な情報をディスプレイ20に表示させつつ、実施例に係る地図データ更新処理を実行する。このとき記録部9に記録されている地物データ90等は、必要により読み出されて判定部3等により当該地図データ更新処理に供される。またカメラ7は、処理部8の制御の下、ナビゲーション装置Sが搭載された車両等の前方又は側方、或いは後方を撮像し、その画像に相当する実写データを処理部8に出力する。更に処理部8は、センサ部6から出力されてくる現在位置データ及び渋滞情報等に基づき、ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体の移動を案内するナビゲーション処理を実行すると共に、後述する第1実施例に係る地図データ更新処理を実行する。
このとき、各ナビゲーション装置Sの処理部8は、主としてセンサ部6から出力されてくる現在位置データや移動体の移動方向を示す方向データ等に基づき、カメラ7(換言すれば、ナビゲーション装置S自体)の地図上の現在位置、及びカメラ7としての撮影方向を算出/推定することができる。また移動体が車両である場合、カメラ7の当該車両内における設置位置及び設置方向を予め入力することにより、上記撮影方向の算出/推定に用いることもできる。そしてこれらのことから処理部8は、地図上の上記地物が、その時点でカメラ7により撮影され得る位置及び方向にあるか否かを、各地物ごとに算出/推測することが可能となる。
一方サーバ装置SVのインターフェース10は、処理部11の制御の下、各ナビゲーション装置Sとの間のネットワークWを介したデータの入出力を制御する。そして処理部11は、操作部13における使用者(管理者)による操作に基づき、必要な情報をディスプレイ12に表示させつつ、第1実施例に係る地図データ更新処理を実行する。このとき記録部14に記録されている地物データ140等は、必要により読み出されて処理部11により当該地図データ更新処理に供され、或いは処理部11の制御の下、各ナビゲーション装置Sから送信されてくる実写データ等により更新される。
次に、第1実施例に係る地図データ更新処理について、図2乃至図5を用いて具体的に説明する。なお当該地図データ更新処理は、サーバ装置SVに記録されている地図データVDをマスター地図データとして各ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSDを更新する処理であり、主として各ナビゲーション装置Sの処理部8及びサーバ装置SVの処理部11を中心として実行される。
即ち図5に示すように、第1実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8は、例えば予め設定された移動距離、予め設定された位置、又は時間ごとに、カメラ7により周辺の地物のいずれかを撮影した可能性があるか否かを監視している(ステップS1)。このとき処理部8は上述したように、移動体の周辺に位置する地図上の地物が、その時点でカメラ7により撮影され得る位置及び方向にある可能性があるか否かを、各地物ごとに算出しながら監視している。
ステップS1の監視において、いずれの地物も撮影された可能性がない場合(ステップS1;NO)、処理部8はステップS1に係る地物撮影の可能性の監視を継続する。一方ステップS1の監視においていずれかの地物が撮影された可能性がある場合(ステップS1;YES)、次に処理部8の判定部3は、撮影された可能性がある地物に相当する特徴量データ(図3(b)参照)により示される特徴量と、実際にカメラ7から出力されてくる実写データ内に映り込んでいる地物に相当する特徴量と、を照合し(ステップS2)、それらに相違があるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3の判定において両者に相違がない場合(ステップS3;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS3の判定において、二つの特徴量が相違していると判定される場合(ステップS3;YES)、処理部8はその旨(不一致である旨の照合結果)を、インターフェース1を介してサーバ装置SVに送信する(ステップS4)。このとき処理部8は、上記ステップS2及びステップS3において照合された地物を示し且つヴァージョンデータ及び対応する位置データを含む地物データ90と共に、当該照合結果をサーバ装置SVに送信する。ここで、当該照合結果がナビゲーション装置Sからサーバ装置SVへ送信されるということは即ち、上記ステップS1の監視において撮影された地物が看板である場合のその内容が変更された等の事情により、当該地物に対応する地物データ90を更新する必要がある可能性が高いことを意味する。
次に処理部8は、上記ステップS4の処理により送信した照合結果に対応してサーバ装置SVから送信された、ナビゲーション装置Sの上記地図データSDを更新するための更新データを受信したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において更新データが受信されない場合(ステップS5;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物撮影の可能性を監視する。一方ステップS5の判定において更新データが受信された場合(ステップS5;YES)、処理部8は、当該受信された更新データを用いてそれに対応する地図データSDの部分を更新する(ステップS6)。
その後処理部8は、例えばナビゲーション装置Sの電源がオフとされる等により、ナビゲーション装置Sとしての第1実施例に係る地図データ更新処理を終了するか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の判定において当該地図データ更新処理を終了する場合(ステップS7;YES)、処理部8はそのまま当該処理を終了し、一方ステップS7の判定において当該地図データ更新処理を終了しない場合(ステップS7;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物撮影の可能性を監視する。
次に、上述したナビゲーション装置Sにおける第1実施例に係る地図データ更新処理に対応した、サーバ装置SVにおける第1実施例に係る地図データ更新処理について、図5を用いて説明する。
即ち図5に示すように、第1実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置SVの処理部11は、例えばその電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記不一致である旨の照合結果を受信したか否かを監視する(ステップS10)。ステップS10の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも照合結果を受信しない場合(ステップS10;NO)、処理部11は当該照合結果の受信の監視を継続する。
一方、ステップS10の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記照合結果を受信したら(ステップS10;YES)、次に処理部11は、当該受信した照合結果に基づいて、当該照合結果が生成される(上記ステップS2及びステップS3参照)際に撮影された地物についての地物データ90を含む地図データSDを更新する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11の判定として具体的には、例えば、照合結果と共に送信されてきた地物データ90のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容(図3(b)参照)と、当該地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容(図4(b)参照)と、を比較し、両者が異なれば上記更新の必要性があると判定し、両者が一致すれば更新の必要性がないと判定する。また、照合結果と共に送信されてきた地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140がそもそも存在していない場合にも、上記更新の必要性があると判定される。
ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。一方ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、処理部11は、更新対象たる地物データSDに相当する地図データVD(例えば、更新対象たる地図データ90に相当する地図データ140)を含む上記更新データを生成し、上記照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。この更新データを受信したナビゲーション装置Sでは、その後上記ステップS5乃至ステップS7の処理が実行されることになる。
その後、サーバ装置SVの処理部11は、例えばサーバ装置SVの電源がオフとされる等により、サーバ装置SVとしての第1実施例に係り地図データ更新処理を終了するか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13の判定において当該地図データ更新処理を終了する場合(ステップS13;YES)、処理部11はそのまま当該処理を終了し、一方ステップS13の判定において当該地図データ更新処理を終了しない場合(ステップS13;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。
以上それぞれ説明したように、第1実施例に係る地図データ更新処理によれば、移動用の地図データSDに含まれ且つ周辺の地物に相当する地物データ90と、これとは別に新たに撮影された地物の地物データと、を比較し、両者に相違があると判定されたときに地物データ90をサーバ装置SVに送信する。そして、送信した地物データ90に対応してサーバ装置SVから更新データが送信されてきたときのみ、当該更新データを用いて地図データSDを更新する。
よって、サーバ装置SVにおいて更新の必要性が判定されて生成された更新データを用いてのみ、ナビゲーション装置Sの地図データSDが更新されることで、地図データSDを一元的に且つ正確に更新することができる。また、地物データ間に相違があり且つ更新データが送信されてきたときのみ地図データSDを更新するので、サーバ装置SVとの間で授受される情報の量を低減しつつ地図データSDを更新することができる。更に、送信した地物データ90に対応した更新データにより地図データSDが更新されるので、ナビゲーション装置Sが移動する経路や地域に応じた地図データSDの更新が可能となる。
また、対応する地物の位置を示す位置データが、サーバ装置SVに送信される地物データ90に含まれているので(図3(b)参照)、データ量が少ない位置データにより、変化のあった地物を特定して地図データSDを更新することができる。
更に、対応する地物を撮影した実写データの特徴量データが地物データ90に含まれているので、変化のあった地物を実写データにより正確に特定して地図データSDを更新することができる。
更にまた、カメラ7により地物を新たに撮影した実写データにおける特徴量データに基づいて、記録部9に記録されている地図データ90との間の相違があるか否かを判定するので、より正確に当該相違の有無を判定することができる。
なお、上述した第1実施例においては、複数のナビゲーション装置Sで用いられている地図データSD同士を比較したときに、地図データSD全体として相互に世代(ヴァージョン)が異なる場合があり、更にそれらの間で互換性がない場合もあり得る。このような場合サーバ装置SVの地図データVDとしては、それら地図データSDの世代ごとに複数の地図データVDを記録しておき、それぞれの世代ごとに上記更新データの生成/送信を行うように構成することが望ましい。
また、実写データとして動画像を用いる場合、各ナビゲーション装置Sにおける照合処理(図5ステップS2及びステップS3参照)は、複数フレーム画像分の連続した静止画像を上記実写データとして用いることにより行われる。この場合、サーバ装置SVへの上記照合結果の送信(図5ステップS4参照)は、例えば、撮影対象たる地物が動画像として撮影されると算出/推測される位置が含まれ得る所定の範囲を予め設定しておき、移動体の現在位置がその範囲を出た以降に行われるのが好ましい。
これは、上記所定の範囲内においては複数のフレーム画像を対象とした上記照合処理が継続して行われており、その照合結果が上記範囲を出た後に生成されることになるからである。即ち上記照合処理では、正しい照合結果が短時間で得られるとは限らず、例えば何らかの障害物の存在により地物自体が撮影できない場合や、撮影方向によって照合結果が変わる場合もあり、このような場合には、上記範囲外にまで移動体が移動しないと動画像の実写データを用いた照合結果が正しく得られないのである。
なおこの場合、上記照合処理の手法にもよるが、上記範囲内で一度でも肯定的な照合結果(特徴量データが一致したとされる照合結果)が得られれば、一般には上記ステップS3としての判定結果は「NO」とされる。これに対し、上記ステップS3としての判定結果が「YES」となるのは、移動体が上記範囲を出た後とするのがよいと考えられる。
なお、動画像の実写データを用いた上記ステップS3としての判定結果が「NO」となる場合が統計的に既定の割合以上となる場合以外に、その判定結果を「YES」とする照合処理の手法を用いることもできる。この場合には、移動体の現在位置が上記範囲内であっても、上記照合結果がサーバ装置SVに送信される場合がある。
(2)第2実施例
次に、実施形態に対応する他の実施例である第2実施例について、図6を用いて説明する。なお図6は、第2実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第2実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第2実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図6に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
上述した第1実施例に係る地図データ更新処理では、ナビゲーション装置Sの地図データSDの更新の必要性があるとサーバ装置SVにおいて判定された場合(図5ステップS11;YES参照)、直ちにそれに対応した更新データをナビゲーション装置Sに送信する構成とされていた。これに対し、以下に説明する第2実施例に係る地図データ更新処理では、地図データSDの更新の必要性があるとサーバ装置SVにおいて判定された場合には、初めにその旨のみをナビゲーション装置Sに送信し、その後ナビゲーション装置Sから更新データの要求があって初めて、対応する更新データをサーバ装置SVから送信する構成とする。
即ち第2実施例に係る地図データ更新処理では、図6に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS1からステップS4の処理が実行されると、その結果として送信されてくる照合結果に基づき、サーバ装置SVにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS10及びステップS11の処理が実行される。
ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、次にサーバ装置SVの処理部11は、当該更新が必要である旨の更新必要通知を、上記ステップS10の監視において照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS20)。その後処理部11は、当該更新必要通知を送信したナビゲーション装置Sから当該更新を要求する旨の更新要求が送信されてきたか否かを監視する(ステップS21)。ステップS21の監視において当該更新要求がナビゲーション装置Sから送信されてこない場合(ステップS21;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って照合結果の受信を監視する。一方ステップS21の監視において上記更新要求が送信されてきたとき(ステップS21;YES)、処理部11は、当該更新要求に対応した更新対象たる地物データSDに相当する地図データVDを含む上記更新データを生成し、上記照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。その後処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
これに対して、上記ステップS4の処理により照合結果を送信したナビゲーション装置Sの処理部8は次に、上記ステップS20の処理によりサーバ装置SVから送信される更新必要通知が送信されてきたか否かを監視する(ステップS15)。ステップS15の監視において更新必要通知を受信しない場合(ステップS15;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS15の判定において、サーバ装置SVから送信された更新必要通知を受信した場合(ステップS15;YES)、処理部8は、例えばディスプレイ20に表示する等の方法により、ナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)に対して地図データSDの当該更新の必要性を告知し、これに対して更新する旨が例えば操作部4を用いた操作、又はナビゲーション装置Sの設定に基づき示されたか否かを判定する(ステップS16、ステップS17)。ステップS17の判定において当該操作が実行されない場合(ステップS17;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS17の判定において、対応する地図データSDを更新する旨の操作が実行された場合(ステップS17;YES)、処理部8は当該更新に対応する上記更新要求をサーバ装置SVに送信する(ステップS18)。
その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS5乃至ステップS8の処理を実行し、地図データSDの更新を行う。
以上説明したように、第2実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、操作部4を用いた更新を行う旨の操作がナビゲーション装置Sにおいて実行されたとき(図6ステップS17;YES)、サーバ装置SVから受信した更新データを用いた地図データSDの更新を行うので、ナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)の意思に応じて地図データSDを更新することができる。
(3)第3実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第3実施例について、図7を用いて説明する。なお図7は、第3実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第3実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第3実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図7に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
上述した第1実施例及び第2実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、サーバ装置SVから更新データを送信することで、各ナビゲーション装置Sの地図データSDを更新する構成とした。これに対し、以下に説明する第3実施例では、上記地図データSDの更新に加えて、ナビゲーション装置Sで撮影された実写データを用いて、サーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新する構成とする。
即ち第3実施例に係る地図データ更新処理では、図7に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sにおいて図5に示すフローチャートにおけるステップS1からステップS6の処理が実行される。またこれと並行して、第3実施例に係るサーバ装置SVでは、図5に示すフローチャートにおけるステップS10乃至ステップS13の処理が実行される。
次に、第3実施例に係るサーバ装置SVの処理部11は、上記ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に対応する照合処理(ステップS2及びステップS3参照)に係る実写データを、当該照合結果を送信してきたナビゲーション装置Sに送信させるか否かを判定する(ステップS27)。このステップS27の判定処理については、後ほど詳述する。
ステップS27の判定において、受信した照合結果に対応する照合処理に係る実写データを送信させない場合(ステップS27;NO)、処理部11は、上記ステップS10に戻って照合結果の受信の監視を継続する。一方ステップS27の判定において当該実写データを送信させる場合(ステップS27;YES)、処理部11は、対応するナビゲーション装置Sに対して当該実写データをサーバ装置SVに送信することを要求する実写データ要求を送信する(ステップS28)。次に処理部11は当該実写データ要求に対応した実写データがナビゲーション装置Sから送信されてきたか否かを監視する(ステップS29)。ステップS29の監視において、例えば所定時間経過しても実写データが送信されてこない場合(ステップS29;NO)、処理部11は、再度実写データ要求をナビゲーション装置Sに送信すべく上記ステップS28の処理に戻る。一方ステップS29の監視において、所望される実写データが送信されて来た場合には(ステップS29;YES)、送信されてきた実写データを用いて地図データVD(より具体的には、地図データVD内の対応する地物データ140)を更新する(ステップS30)。その後処理部11は図5に示すフローチャートにおけるステップS13の判定に移行する。
これに対応してナビゲーション装置Sの処理部8では、上記ステップS6の処理により地図データSDの部分を更新した後は、サーバ装置SVから上記実写データ要求が送信されてきたか否かを監視する(ステップS25)。ステップS25の監視において実写データ要求が送信されてこない場合(ステップS25;NO)、処理部8は上記ステップS1に戻って地物の撮影の可能性を監視する。一方ステップS25の判定において、サーバ装置SVから送信された実写データ要求を受信した場合(ステップS25;YES)、処理部8は、受信した実写データ要求に対応する実写データ(換言すれば、上記ステップS1の処理により撮影された実写データ)をサーバ装置SVに送信し(ステップS26)、その後処理部8は図5に示すフローチャートにおけるステップS7の判定に移行する。
次に、サーバ装置SVの処理部11における上記ステップS27の判定処理について、具体的に説明する。
上記ステップS27の判定においては、例えば、上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、直ちに上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に係る実写データを送信させる必要があると判定することが考えられる(上記ステップS27;YES)。即ち当該照合結果と共に送信されてきた地物データ90のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容と、当該地物データ90に相当する記録部14内の地物データ140のヴァージョンデータ及び位置データ等の内容とが一致した場合に、上記実写データを送信させる必要があると判定する。この場合には、両者のヴァージョンデータ等が一致するにも拘わらず上記不一致である旨の照合結果を受信したことになるので、サーバ装置SVに記録されている地図データVDの方を更新する可能性があると判断する。
また上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に加えて他の条件を課してもよい。より具体的には、地図データVDの地図データ140に含まれていない地物についての照合結果であること、又は、地物データ140としてのデータを収集中である地物についての照合結果であること(換言すれば、既に十分なデータが集まっている地物については、それに対応する実写データの送信を要求しないとすること)を条件に加えてもよい。
ここで、上記地物データ140としての「データを収集中」である地物とは、上記ステップS10の監視において受信した照合結果が誤っている場合があり得ることに関連している。即ち、実施例に係るナビゲーション装置Sにおける照合処理(上記ステップS2及びステップS3参照)では、照合対象たる地物の特徴が、あるタイミングの時だけ一時的に正しく照合できなくなる場合があり、この場合においては、照合対象たる地物が不変でも、照合結果として不一致となる(換言すれば、不一致である旨の照合結果が誤っている)場合があり得るのである。このとき、上記「正しく照合できなくなる」条件とは、例えば、カメラ7の撮影範囲に障害物がある場合、地物自体が何らかの工事中であってそれが隠されていて撮影できない場合、或いは地物に直射日光が当たって鮮明に撮影できない場合等が挙げられる。そしてこのような場合、サーバ装置SVとしては、いわゆる「統計的に」地物データVDの更新を行うことが妥当であると考えられる。つまり、地物データ140に含まれるデータとして、ある程度の数のデータを母集団として集めるまでの間、それらデータを一連のものとして扱うべく、そのデータを「地物データ140における更新候補の対象」として扱う(管理する)のである。
また、ステップS27の判定における他の条件としては、例えば上記地物データ140としてのサーバ装置SVにおけるデータの取得を終了するとしたタイミングから、少なくとも取得した複数のデータを用いた地物データVDの更新の可否の判定が行われる(上記ステップS27及びステップS29参照)タイミングまでの間に、判定対象たる地物データ140に対応する地物に関して他のナビゲーション装置Sから不一致である旨の照合結果(上記ステップS3;YES参照)が送信されてきたとしても、実写データは不要とすることも考えられる。
またステップS27の判定として、下記の五つの条件を加重的に勘案してもよい。
(I)カメラ7の性能や撮影条件(いわゆるカメラパラメータ)
(II)撮影日時、天候、カメラ7の方向や位置(地物の写り具合の推定)
(III)ナビゲーション装置Sで照合ミスが起き易い地物か否か(それを示すデータがある場合)
(IV)サーバ装置SVの処理部11における負荷の状況やネットワークWの負荷状況
(V)各ナビゲーション装置Sからの過去における照合結果の送信等の通信状況
このうち、上記(I)及び(II)の勘案条件を加えることで、実写データにおける地物の写り具合と、それに対応した照合処理の「確度」が推定可能となる。また上記(III)の勘案条件を加えることで、過去の照合結果の事例から「照合処理の確度が概ね低い」といった統計結果が得られる場合がある。そしてこれら「確度」は、対応する実写データをサーバ装置SVにおいて取得する価値があるか否かを判断する基礎とすることができ、この確度が所定値よりも高ければ実写データを送信させるべき、と判定することができる。一方、情報処理システムSSにおけるその他の負荷の状況により、地図データVDの更新処理を現在行うのが困難或いは(サービス上)不当であると判断される場合があるが、この場合に上記(IV)及び(V)の勘案条件を加えることで、「現在行うのが困難或いは不当」である場合については実写データの送信を行わせないとの判定の一つの基準となり得る。
更に、上記ステップS30に係る実写データを用いた地図データVDの更新処理においては、当該更新処理を処理部11が自動的に実行するように構成してもよいし、或いは送信されてきた(ステップS29;YES参照)実写データをディスプレイ12に表示することにより、サーバ装置SVの使用者(管理者等)の判断を交えつつ行うように構成してもよい。
以上説明したように、第3実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、サーバ装置SVからの実写データ要求があったときのみ、実写データがナビゲーション装置Sからサーバ装置SVに送信されるので、例えばネットワークW上の通信に係るデータ量等を低減しつつ、当該実写データをサーバ装置SVにおける地図データVDの更新処理等に供させることができる。
(4)第4実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第4実施例について、図8を用いて説明する。なお図8は、第4実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第4実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第4実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図8に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
上述した第1実施例乃至第3実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sのカメラ7により撮影された実写データを用いて、地図データSDに含まれる地物データ90と実際の当該地物の状況との異同を照合した(上記ステップS2及びステップS3参照)。これに対し、以下に説明する第4実施例では、ナビゲーション装置Sのセンサ部6からの現在位置データ等に基づいて、地図データSDにおける道路データ91とナビゲーション装置Sが備えられた移動体の現在位置とを照合し、必要に応じて当該道路データ91を更新する構成とする。
即ち第4実施例に係る地図データ更新処理では、図8に示すように、先ずいずれかのナビゲーション装置Sの処理部8において、例えば予め設定された移動距離又は時間ごとに、上記現在位置データ等に基づき、移動体の現在位置又は移動してきた経路と、道路データ91により示される道路の位置と、を照合し(ステップS35)、それらに相違があるか否かを判定する(ステップS36)。ここで、ステップS36の判定において両者に相違があること(ステップS36;YES)は即ち、例えば道路データ91には含まれていない新しい道路を移動体が移動中であることを意味する。
ステップS36の判定において両者に相違がない場合(ステップS36;NO)、処理部8は上記ステップS35に戻って道路データ91との照合を継続する。一方ステップS36の判定において、両者に相違していると判定される場合(ステップS36;YES)、処理部8は、その旨の照合結果(道路データ91にない道路上に位置している旨、及びその際の現在位置データ等を含む)を、インターフェース1を介してサーバ装置SVに送信する(ステップS4)。その後処理部8は、図7に示すフローチャートにおけるステップS5乃至ステップS7並びにステップS25及びステップS26の処理を行う。
このとき、ステップS5の処理では道路データ91とは別の新規道路データとして更新するための更新データを受信し、それを用いたステップS6の処理により、新規の当該道路データを更新することになる。またステップS26の処理としてサーバ装置SVに送信する実写データは、上記ステップS35及びステップS36の照合処理の際にカメラ7により撮影された、当該道路付近の地物を撮影した実写データである。また当該実写データとしては、例えば、上記ステップS36の判定において両者が不一致であると判定される(ステップS36;YES参照)直前にカメラ7により撮影された地物の実写データ、又は当該不一致であると判定された直後に撮影された地物の実写データ、或いは当該判定中において撮影された地物の実写データ、のいずれかが送信される。
これに対し、第4実施例に係る地図データ更新処理におけるサーバ装置SVの処理部11は、基本的には第3実施例に係る地図データ更新処理におけるサーバ装置SVの処理部11と同様の、ステップS10乃至ステップS13及びステップS27乃至ステップS30の処理を実行する。
このとき、ステップS11の判定において処理部11は、ステップS10の監視において受信された照合結果に含まれている現在位置が含まれている道路データ141が地図データVDに含まれているか否かを判定する。そして、当該照合結果に含まれている現在位置が含まれている道路データ141が地図データVDに含まれている場合、これを更新データとしてナビゲーション装置Sに送信する(ステップS11;YES及びステップS12)。
また、ステップS27の判定処理において処理部11は、上記第3実施例としてのステップS27の判定処理と同様に、上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、直ちに上記ステップS10の監視において送信されてきた照合結果に係る実写データを送信させる必要があると判定することが考えられる(ステップS27;YES)。即ち当該照合結果と共に送信されてきた現在位置データ等により示される位置に道路データがない場合(上記ステップS11;NO参照)、上記実写データを送信させる必要があると判定する。この場合には、送信されてきた現在位置データ等により示される位置に相当する道路データ地図上にないにも拘わらず移動体が移動している旨の照合結果を受信したことになるので、サーバ装置SVに記録されている地図データVDの道路データを更新する必要があると判断するのである。
また上記ステップS11の判定結果が「NO」となった場合に、第3実施例の場合と同様のi)地図データVDの道路データに含まれていない道路についての照合結果であること、又は、新規道路データとしてのデータを収集中である地物についての照合結果であること、という条件が更に満たされた場合に、実写データを送信させるように構成してもよい。なおこの場合の「データを収集中」の意味は、第3実施例の場合と同様である。更にステップS27の判定として、第3実施例において説明した五つの勘案条件を加重的に加えてもよい。
更にまた、第4実施例のステップS30の処理としては、送信されてきた実写データを用いて新規道路データを含む地図データVDが更新されることになる。
以上説明したように、第4実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例及び第3実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、更新データを用いた地図データSD及び新規道路データの更新がナビゲーション装置Sの移動中に行われるので、更新された地図データSD及び新規道路データを用いて移動を行うことができる。
(5)第5実施例
次に、実施形態に対応する更に他の実施例である第5実施例について、図9を用いて説明する。なお図9は、第5実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第5実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第5実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図9に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
上述した第1実施例乃至第4実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sにおいて取得された種々のデータ(例えば実写データ等)を用いて、ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSD又はサーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新した。これに対し、以下に説明する第5実施例では、ナビゲーション装置Sにおいて設定された移動案内用の経路に含まれる案内地を示す案内地データ等に基づいて、地図データSDの道路データ91を更新する構成とする。
即ち図9に示すように、第5実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8では、当該ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体の移動を案内するための経路を示す経路データが、例えば所定の経路探索方法により設定される(ステップS40)。この経路データには、上記経路としての出発地の位置等を示す出発地データ、上記経路としての目的地の位置等を示す目的地データ、及び目的地までに経由すべき案内地の位置等を示す案内地データが含まれている。
次に処理部8は、ステップS40の処理により生成された経路データのうち、例えば案内地データをサーバ装置SVに送信する(ステップS41)。なおこのとき、目的地データを同時に送信してもよい。その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS5からステップS7の処理を実行する。このとき処理部8は、上記ステップS41の処理により送信した案内地データについての更新データがサーバ装置SVから送信されてくるとこれを受信し(ステップS5;YES)、当該受信した更新データを用いて地図データSDを更新する(ステップS6)。
一方第5実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置SVの処理部11は、例えばサーバ装置SVとしての電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記案内地データ等を受信したか否かを監視する(ステップS45)。ステップS45の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも案内地データ等を受信しない場合(ステップS45;NO)、処理部11は当該案内地データ等の受信の監視を継続する。
一方、ステップS45の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記案内地データ等を受信したら(ステップS45;YES)、次に処理部11は、当該受信した案内地データ等に基づいて当該案内地データ等に含まれる案内地等について地図データVDを検索し、当該案内地等について新たな地物データ140等が記録されているか否かを確認することにより、当該案内地等についての地物データ90を含む地図データSDを更新する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。
第5実施例としての上記ステップS11の判定において地図データSDの更新の必要性がないと判定された場合(ステップS11;NO)、処理部11は上記ステップS10に戻って案内地データ等の受信の監視を継続する。一方ステップS11の判定において、地図データSDの更新の必要性があると判定された場合(ステップS11;YES)、処理部11は、更新対象たる地物データSDにおける案内地データに相当する地図データVDの案内地データを含む上記更新データを生成し、上記案内地データ等を送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS12)。この更新データを受信したナビゲーション装置Sでは、その後上記ステップS5乃至ステップS7の処理が実行されることになる。
その後、サーバ装置SVの処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
以上説明したように、第5実施例に係る地図データ更新処理によれば、第1実施例に係る地図データ更新処理による作用効果に加えて、更新データを用いた地図データSDの更新が経路設定の際に行われるので、更新された地図データSDを用いて移動用の経路の設定及び当該経路を用いた案内を行うことができる。
ここで、上述した第5実施例に係る地図データ更新処理では、結果的に、経路を用いた案内における各目標(案内地)となる施設のデータについての更新となる場合が多いが、これ以外に例えば、案内地となる施設の種類等に基づき、経路又はその目的地からの一定の地理的範囲内にある他の施設に関する地図データSDについて、その更新の有無の判定(図9ステップS56参照)及びその更新を行ってもよい。より具体的に例えば、お勧めの観光施設(スポット)や避難施設等について、それに対応する地図データSDの更新の有無の判定等を行ってもよい。またこの場合の上記一定の地理的範囲を、上記他の施設の種類等に基づいて変更するように構成することもできる。
(6)第6実施例
最後に、実施形態に対応する更に他の実施例である第6実施例について、図10を用いて説明する。なお図10は、第6実施例に係る地図データの更新処理を示すフローチャートである。また第6実施例に係る情報処理システムのハードウェア的な構成は、基本的には第1実施例に係る情報処理システムSSと同一である。よって以下の説明では、第1実施例に係る情報処理システムSSの説明に用いられた部材番号を流用して、第6実施例に係る情報処理システムの動作等を説明する。更に、図10に示すフローチャートにおいて、図5に示すフローチャート又は図9に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
上述した第1実施例乃至第4実施例に係る地図データ更新処理ではそれぞれ、いずれかのナビゲーション装置Sにおいて取得された種々のデータ(例えば実写データ等)を用いて、ナビゲーション装置Sに記録されている地図データSD又はサーバ装置SVに記録されている地図データVDを更新した。これに対し、以下に説明する第6実施例では、ナビゲーション装置Sにおいて設定された経路を示す経路データ等に基づいて、地図データSDを更新する構成とする。
即ち図10に示すように、第6実施例に係る地図データ更新処理においてナビゲーション装置Sの処理部8では、図9に示すフローチャートにおけるステップS40の処理を実行する。次に処理部8は、ステップS40の処理により生成された経路データ自体をサーバ装置SVに送信する(ステップS50)。ステップS50としての送信のタイミングは、例えば上記経路が探索された直後でもよいし、その探索結果をナビゲーション装置Sの使用者(運転者等)が承認した後でもよい。
その後処理部8は、上記送信した経路データに対応した再探索結果及びそれに対応する更新データがサーバ装置SVから送信されてきたか否かを監視する(ステップS51)。ステップS51の監視において上記再探索結果等が送信されてこない場合(ステップS51;NO)、処理部8は後述するステップS52の処理に移行し、上記ステップS40の処理により生成された経路データを用いた移動体の経路案内を行う。
一方ステップS51の監視において、上記再探索結果等が送信されてきた場合(ステップS51;YES)、処理部8は、当該送信されてきた更新データを用いて地図データSDの更新を行い(ステップS6)、更に上記再探索結果に含まれている経路データを用いて移動体の経路案内を行う(ステップS52)。その後処理部8は、図5に示すフローチャートにおけるステップS7の処理を実行する。
他方、第6実施例に係る地図データ更新処理においてサーバ装置Vの処理部11は、例えばサーバ装置SVとしての電源がオンとされると、いずれかのナビゲーション装置Sからの上記経路データを受信したか否かを監視する(ステップS55)。ステップS55の監視において、いずれのナビゲーション装置Sからも経路データを受信しない場合(ステップS55;NO)、処理部11は当該経路データの受信の監視を継続する。
一方、ステップS55の監視においていずれかのナビゲーション装置Sからの上記経路データを受信したら(ステップS55;YES)、次に処理部11は、当該受信した経路データに基づいて、その経路データにより示される経路が、その時点でサーバ装置SVに記録されている地図データVDに照らして最適か否かの検証を行う(ステップS56)。より具体的に処理部11は、送信されてきた経路データに含まれる出発地データ及び目的地データを用いて改めて経路の探索を行い、上記ステップS55の監視において受信した経路データの内容と同一の経路であるか否かを判定する。またこのとき、ナビゲーション装置Sにおいて探索した経路の中で既に使用できなくなっている道路があるか否かも、併せて判定する。そして、上記ステップS55の監視において受信した経路データの内容が、改めて探索された経路の内容と同一である場合(ステップS56;NO)、処理部11は上記ステップS55に戻って経路データの受信の監視を継続する。なおこの場合、当該同一である旨を上記ステップS55の監視において経路データを送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信してもよい。
一方ステップS56の判定において双方の経路データの内容が異なる場合(ステップS56;YES)、処理部11は、上記改めて探索した経路を示す経路データを、上記再探索結果として、上記ステップS55の監視において経路データを送信してきたナビゲーション装置Sに対して送信する(ステップS57)。またこのとき処理部11は、上記ステップS55の監視において受信された経路データの中に既に使用できなくなっている道路がある場合は、その旨及び関連する更新データについても、併せて送信する。その後処理部11は、図5に示すフローチャートにおけるステップS13の処理を実行する。
なお上述した第6実施例に係る地図データ更新処理において、サーバ装置SVから送信された再探索結果等だけではナビゲーション装置Sの地図データSDを更新するために十分な更新データがない場合、ナビゲーション装置Sの処理部8は、当該不十分な部分の更新データ(例えば不足している道路データ91等)をサーバ装置SVへ改めて要求して取得し、それを用いて地図データSDを更新する構成としてもよい。
また上述した第6実施例に係る地図データ更新処理において、ナビゲーション装置Sから送信される経路データ(上記ステップS50参照)に、それに含まれる道路における進行の指示や時間帯による変化等の付帯情報が含まれていてもよい。またその付帯情報には、当該経路データに含まれる案内地を示す道路データ91のヴァージョンデータが含まれていてもよい。この場合にサーバ装置SVの処理部11は、それら付帯情報を含めて地図データVDが最新であるか否かについて判定し、更新されたデータが地図データVD内にある場合は、それらを更新データとしてナビゲーション装置Sに送信して地図データSDの更新をさせてもよい。
以上説明したように、第6実施例に係る地図データ更新処理によっても、上記第5実施例に係る地図データ更新処理と同様の作用効果を奏することができる。
(7)変形例
ここで、上述した第1実施例乃至第3実施例では、例えば予め設定された移動距離又は時間ごとにカメラ7により地物を撮影して照合を行うこととしたが、これ以外に、ナビゲーション装置Sが搭載されている移動体に対する経路を用いた案内中において、地物の照合を行うように構成することもできる。
より具体的には、一般に経路案内中においては、案内地ごとに判り易い周辺地物の情報を含めて案内する。例えば、音声により「前方30メートルの交差点、××(施設名)を左折です」といった案内が行われる。そして通常、各交差点では、その曲がり角ごとに案内施設の候補となる施設が複数存在しており、移動体の現在の移動方向と曲がる方向等に基づき、使用者(運転者等)が見易いとされるものが経路における案内地の施設として選定されている。そしてこれらの案内施設及びその候補となる施設のデータは、経路の設定時には判明している。また、案内地を設定した上で、当該案内地に接近した時点で、その案内地の周辺にある施設から実際に案内に用いる施設が決定される場合もある。
そこで、ある案内地に接近した時、その案内地で案内に使用する一つの施設、又はその候補も含めた複数の施設に関して地図データSDとの間の照合処理(上記ステップS2及びステップS3参照)を行うことが考えられる。この場合の照合処理は、原則として当該施設をカメラ7から撮影することができ、且つ照合処理に使用できると算出/推測できる範囲内の実写データを用いて行う。なおこの場合に、予め照合処理を行う地理的範囲を設定しておいてもよい。そして照合結果を用いたサーバ装置SVへの送信は、例えば当該地理的範囲の外に移動してから行うこととする。
そして、サーバ装置SVへの送信の結果として、当該施設についての上記更新データがサーバ装置SVから送信されてきた場合、その更新データを用いてナビゲーション装置Sの地図データSDを更新する(上記ステップS6参照)。
以上の変形例の構成によれば、移動体の案内に使用する施設についての地図データSDを重点的に更新できると共に、サーバ装置SVとの間の通信量をも抑えることができる。
更に、図5乃至図10にそれぞれ示したフローチャートに相当するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部8及び処理部11として機能させることも可能である。