JP6120720B2 - 周波数分析方法、及びこの周波数分析方法を用いた回転機器の診断方法 - Google Patents
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Description
多関節ロボットに用いられる減速機としては、例えばハーモニックドライブ(登録商標)といわれる歯車機構が採用されており、このハーモニックドライブ(登録商標)が出力回転に微小な振動(脈動)を含むことは、周知となっている。
減速機に発生する振動などを解析する技術は、既に開発されており、例えば、特許文献1、2に開示されたものがある。
従って、特許文献1の信号処理装置は、多関節ロボット等の操業中のデータから正確な周波数成分を抽出することが困難である。
即ち、本発明に係る周波数分析方法は、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる振動計測値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように取得し、取得した振動計測値を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする。
また、本発明に係る周波数分析方法は、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転トルク値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように実測し、前記回転機器を表現する動力学モデルから得られた回転トルク値と、実測で得られた前記回転トルク値との差を求め、求められた回転トルク差を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする。
なお、以下の説明では、周波数分析を行う対象である回転機器として、多関節ロボットに設けられた減速機を例示する。その上で、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
まず、本実施の形態に係る多関節ロボットの概要について説明する。例えば、多関節ロボットは、垂直多関節型であって6関節を備え、先端軸に溶接トーチが設けられ、溶接トーチから送りだされる溶接ワイヤによりアーク溶接が行われる。この多関節ロボットは、溶接開始点と溶接終了点とを結ぶ溶接線方向に移動しつつ、溶接ワイヤを予め定められた振幅および周波数で傾動する動作(ウィービング動作)を行うように教示されている。
図1に示すように、1つの関節軸1は、モータ2(電動モータ)と、そのモータ2により回動されるアーム3と、モータ2とアーム3とを接続する減速機4とを含んで構成されるモデルにより表される。
1つの関節軸1がこのようにモデル化される多関節ロボットは、以下に示すコントローラ5(制御装置)で制御される。
そこで、本実施形態では、以下の方法により、減速機4の入力側(すなわち、電動モータ2の回転)に現れる微小な振動をピックアップし、得られた振動の周波数を分析することとしている。
図2には、モータ2の回転速度と振動の計測値が示されている。図2(b)に示される振動は、入力軸の回転に重畳され存在するものである。
以下、本願発明の周波数分析方法について述べることとする。
まず、計測用センサ6で取得した回転速度(振動成分を含む)を計測値として、コントローラ5(外付けされたパソコンなどでもよい)へ入力する。コントローラ5では、入力された減速機4の振動成分の計測値yの波形を、モータ2の回転位置xに基づいた基底(sin(x),cos(x))へ射影する。言い換えれば、回転位置xに基づいた基底を、振動成分の波形へフィッティングする。その後、射影された各基底の係数a,bを見ることで、所望の周波数成分(減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」)のスペクトル強度を抽出することができる。なお、基底への射影を行うことは、以下の最適化問題を解くことに同値である。
以下、本発明に係る周波数分析方法の具体的な例を示す。
図3(b)の波形から特定の周波数成分(故障診断に有益な周波数成分)を抽出したい場合に、単純にFFT処理にてスペクトル抽出を行うと、図4(a)のように、多くの波形ピークが発現し、特定とする周波数成分のみを抽出することができない。これは、モータ2の回転速度が計測時間tと共に変化することで、本来検出したい特定の周波数成分がモータ2の回転速度の変化に依存して様々な周波数として出現してしまうためであり、FFT変換など、計測時間tに基づいた基底(sin(t),cos(t))へ射影する手法では、抽出された周波数成分はモータ2の回転速度の変化の影響を受けたものとなり、正確な周波数分析が不可能である。
逐次最小二乗法(RLS法)は、図5ならびに式(2)で示される最適化問題を解く手法である。
この点を解決する手法が、忘却係数付き逐次最小二乗法である。この手法は、使用データに対して重みを付け、その重みが、現在のデータほど大きく、過去のデータほど小さくなる手法である。この手法を用いることにより、推定パラメータが時間変化する対象に対しても適切な推定値が得られる。
[第2実施形態]
次に、本実施形態に係る周波数分析方法の第2実施形態について述べることとする。
図6に示す如く、その原因としては、回転トルクには、加減速時等の動作に必要なトルク成分が含まれており、このトルク成分は多関節ロボットの動作に依存して変化する。そのため、計測された回転トルクに対する周波数分析を行った場合、多関節ロボットの動作に必要なトルク成分が外乱となり、正確な周波数解析を行うことができないのである。
まず、図7(a)のように、モータ2の回転速度が変化する場合を考える。この際のトルク変化は、図7(b)のようになる。
図7(b)のトルク波形に対し、第1実施形態の分析方法を用いて回転速度に依存した周波数のスペクトル抽出を行った場合、図8のように、適切なスペクトル抽出を行うことができない。これは、計測トルク波形に、回転速度に依存した周波数成分以外に、多関節ロボットの動作に必要なトルク変動が含まれているためである。
図9は、上記の方法でスペクトル抽出を行った結果である。
図9(c)は、モデルより推定されたトルク変動の時系列変化であり、図9(d)は、計測されるトルクから推定されたトルクを差し引いた結果(図9(b)から図9(c)を差し引いたもの)であり、トルクの中に重畳されている振動成分のみが抽出されていることがわかる。
[第3実施形態]
次に、本実施形態に係る故障診断方法を、本発明の第3実施形態として述べることとする。
回転機器の故障診断においては、回転機器の振動やトルク波形の脈動など、回転機器の回転に関する情報量(速度、振動、トルク)が機器の故障(劣化度合い)の有益な情報となる。とはいえ、発現する振動(脈動)の周波数は、回転機器の回転速度が変化すると、それに連動して変化することとなる。そこで、本提案手法による所望のスペクトル抽出が効果的な故障診断指標となる。
図10(a)は、モータ2の回転速度の時系列変化を示したものであり、図10(b)は、そのときに観測されるトルクの時系列変化を示したものから推定されたトルクを差し引いた結果であり、トルクの中に重畳されている振動成分のみが抽出されていることがわかる。図10(b)の波形を、回転位置に基づいた基底(sin(x),cos(x))へ射影する。その後、射影された各基底の係数を見ることで、所望の周波数成分(減速機4の故障診断に用いる「特定の周波数成分」)のスペクトル強度を抽出することができる。
例えば、図10(c)には、モータ2の回転数の2倍に当たる周波数のスペクトルの時系列変化が示されている。この図から明らかなように、減速機4に異常が発生した後、モータ2の回転数の2倍にあたる周波数のスペクトルの振幅が増加していることがわかる。
上記のことから明らかなように、減速機4が異常状態になると、特定の周波数成分の強度(振幅)が大きくなっていることが分かる。このため、このスペクトル強度を指針として故障診断を行うことができる。なお、このような時間的に変化していく傾向を捕らえることができるのは、スペクトル抽出を逐次的に行うことができるからである。逆に、従来からよく用いられている手法、すなわちFFT変換など、計測時間に基づいた基底(sin(t),cos(t))へ射影する手法では、抽出された周波数成分は、時間(例えば、減速機4の回転速度など)に依存するものとなり、正確な周波数分析が不可能であって逐次的ではない断片的な値しか求めることができない。
2 モータ
3 アーム
4 減速機
5 コントローラ
6 計測用センサ
Claims (4)
- 回転機器の入力軸又は出力軸から得られる振動計測値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように取得し、
取得した振動計測値を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、
前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする周波数分析方法。 - 回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転トルク値を、前記回転機器の回転位置と対応付けられるように実測し、
前記回転機器を表現する動力学モデルから得られた回転トルク値と、実測で得られた前記回転トルク値との差を求め、
求められた回転トルク差を、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転位置を変数とする基底関数でフィッティングし、
前記フィッティングの結果を基にすることで、前記回転機器の回転速度の影響を受けることなく、前記回転機器の入力軸又は出力軸の回転数の整数倍周波数成分の信号強度を抽出することを特徴とする周波数分析方法。 - 前記基底関数へのフィッティングを行うに際しては、逐次計算の手法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数分析方法。
- 請求項3に記載された周波数分析方法を用いることで、回転機器の入力軸又は出力軸から得られる回転に関する情報量の周波数成分の信号強度を抽出し、
得られた周波数成分に基づいて、前記回転機器の故障状態及び/又は劣化状態を推定することを特徴とする回転機器の診断方法。
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