JP2009068950A - 機械診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 モータに連結された機械の動特性を把握する手段として、モータトルク指令からモータ速度までの周波数特性を調べることがあるが、現状の機械の動特性把握は、サーボ調整支援機能としてのみ利用されるのみであり、機械の異常(支持部の粘度が上がることによる摩擦力の増加)について診断することができなかったのを本発明で可能とした。
【解決手段】パソコン101からサーボアンプ102に数種類の速度指令を1パターンづつ送信し、モータ103の駆動中のトルク指令とモータ速度を取り込み、取り込んだデータに平均化処理を行い、その結果をグラフで表示させることにより、粘性摩擦や静止摩擦の増減が簡単に確認でき、この結果を基にして機械の不具合を診断することができる。
【選択図】図1
【解決手段】パソコン101からサーボアンプ102に数種類の速度指令を1パターンづつ送信し、モータ103の駆動中のトルク指令とモータ速度を取り込み、取り込んだデータに平均化処理を行い、その結果をグラフで表示させることにより、粘性摩擦や静止摩擦の増減が簡単に確認でき、この結果を基にして機械の不具合を診断することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動機で駆動される機械の破損状況やグリース寿命を診断する機械診断装置に関する。
従来の機械診断装置として、図8のような機械診断装置が開示されている(特許文献1参照)。図において、801はプログラム解析部、802は指令値生成部、803はモータ制御部、804は状態量演算部、805は温度推定部、806は評価用データ演算部、807は評価用データ保存部、808は現在寿命評価部である。状態量演算部804により演算された減速器の状態量から温度推定部805により推定されたグリースの温度を考慮して、グリースの寿命を評価するように構成したものである。
また、モータの状態量から減速器の摩擦係数を同定し、その摩擦係数から温度を推定するようにも構成した。これにより、温度センサなどを付加することなく、温度条件が分からない場合や温度条件が変化する場合でも、正確にグリースの寿命を評価することができる。
また、産業用ロボットの部品の真の交換時期の到来の監視や保守点検時期の検出及び報知ができる診断装置として、図9のような診断装置が開示されている(特許文献2参照)。図において、901は表示部、902は演算部、903は駆動部、904はモニタ部、M1〜Mnはモータ、Jnは関節である。
演算部902はモータM1〜Mnの運転状態を監視するモニタ部904がモータシャフトのトルクならびにモータシャフトの回転速度を検出して、これらから関節Jnの単位時間当たりの損傷度を演算し、且つ損傷度を累積した累積損傷度に基づいて関節Jnの保守時期あるいは耐久残時間あるいは交換時期を検出して表示901によって報知することができる。
また、ロボットの部品寿命を管理できる装置として、特許文献3が開示されている。ロボット制御装置にサーボ電源投入後、サンプリング時間毎にサーボモータに指令しているモータトルクと、回転数を利用して減速機、グリースの寿命を累積計算する。この累積計算値と予め設定してある基準値を比較し、この基準値を超えた場合は、部品交換、点検の必要性を表示、警告を出す。
また、モータの状態量から減速器の摩擦係数を同定し、その摩擦係数から温度を推定するようにも構成した。これにより、温度センサなどを付加することなく、温度条件が分からない場合や温度条件が変化する場合でも、正確にグリースの寿命を評価することができる。
また、産業用ロボットの部品の真の交換時期の到来の監視や保守点検時期の検出及び報知ができる診断装置として、図9のような診断装置が開示されている(特許文献2参照)。図において、901は表示部、902は演算部、903は駆動部、904はモニタ部、M1〜Mnはモータ、Jnは関節である。
演算部902はモータM1〜Mnの運転状態を監視するモニタ部904がモータシャフトのトルクならびにモータシャフトの回転速度を検出して、これらから関節Jnの単位時間当たりの損傷度を演算し、且つ損傷度を累積した累積損傷度に基づいて関節Jnの保守時期あるいは耐久残時間あるいは交換時期を検出して表示901によって報知することができる。
また、ロボットの部品寿命を管理できる装置として、特許文献3が開示されている。ロボット制御装置にサーボ電源投入後、サンプリング時間毎にサーボモータに指令しているモータトルクと、回転数を利用して減速機、グリースの寿命を累積計算する。この累積計算値と予め設定してある基準値を比較し、この基準値を超えた場合は、部品交換、点検の必要性を表示、警告を出す。
従来の機械診断装置において、減速機やグリースの寿命を正確に把握できるとあり、実際にはモータ電流やモータ速度やトルク指令などを利用して、摩擦係数を同定し、摩擦係数から温度を推定するとしている。グリースの寿命については、温度のみでなく湿度なども関係があり、経年変化と温度変化の関係を分離することが難しいので、正確なグリース寿命を測ることは困難である。また、関節Jnの回転速度、サンプリング時間、限界繰り返し回数を用いて損傷度を求め、損傷度の累積値がある閾値を越えた時をグリース注入時期としていた。この場合には、グリース注入時期は分かるが、破損時期は分からないという問題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、機械の故障箇所及び、摩擦係数の増減によりグリース注入時期を診断する機械診断装置を提供することを目的とする。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、機械の故障箇所及び、摩擦係数の増減によりグリース注入時期を診断する機械診断装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1記載の機械診断装置の発明は、モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、速度指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ速度を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の機械診断装置において、前記演算部が保存された複数の前記モータ速度に対応した前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出して、これらをフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の機械診断装置において、モータ加速中で加速開始から加速完了までを1周期として前記トルク指令もしくは前記推力指令のデータを保存し、前記演算部が保存された前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出してフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴としている。
請求項4記載の機械診断装置の発明は、モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、位置指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ位置を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴としている。
請求項1記載の機械診断装置の発明は、モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、速度指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ速度を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の機械診断装置において、前記演算部が保存された複数の前記モータ速度に対応した前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出して、これらをフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の機械診断装置において、モータ加速中で加速開始から加速完了までを1周期として前記トルク指令もしくは前記推力指令のデータを保存し、前記演算部が保存された前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出してフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴としている。
請求項4記載の機械診断装置の発明は、モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、位置指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ位置を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によると、初期運転時のトルク指令とモータ速度と、所定時間が経過した後のトルク指令とモータ速度をそれぞれ表示部の表示画面に同時表示させるので、初期運転時から時間経過後の静止摩擦力及び摩擦係数の変化を観測することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、モータ速度に対応したトルク指令をフーリエ変換して、トルク指令のパワースペクトルを表示画面に表示させるため、モータ一回転辺りの周期的なトルク変動を観測できるので、機械破損状況が詳細に確認することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、モータ加速中で加速開始から加速完了までを1周期としてトルク指令をフーリエ変換し、トルク指令のパワースペクトルを求めて表示するため、指令の一部として速度変化状態でのトルク指令を観測できるので、短時間で機械破損状況を確認することができる。
また、請求項4に記載の発明によると、初期運転時のトルク指令とモータ位置と、所定時間が経過した後のトルク指令とモータ位置をそれぞれ表示部の表示画面に同時表示させるため、モータ位置に依存したトルク変化を観測できるので、機械破損箇所を特定することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、モータ速度に対応したトルク指令をフーリエ変換して、トルク指令のパワースペクトルを表示画面に表示させるため、モータ一回転辺りの周期的なトルク変動を観測できるので、機械破損状況が詳細に確認することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、モータ加速中で加速開始から加速完了までを1周期としてトルク指令をフーリエ変換し、トルク指令のパワースペクトルを求めて表示するため、指令の一部として速度変化状態でのトルク指令を観測できるので、短時間で機械破損状況を確認することができる。
また、請求項4に記載の発明によると、初期運転時のトルク指令とモータ位置と、所定時間が経過した後のトルク指令とモータ位置をそれぞれ表示部の表示画面に同時表示させるため、モータ位置に依存したトルク変化を観測できるので、機械破損箇所を特定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の機械診断装置の概計図である。
図において、101は外部表示装置(例えばパソコン)、102はモータを駆動するサーボアンプ、103はモータ、104は負荷機械(例えば1軸スライダ)、105は外部表示装置101からサーボアンプ102への指令とサーボアンプ102から外部表示装置101に送信するデータを転送するための通信ケーブル、106はサーボアンプ102からモータ103へ駆動電流を送信するパワーケーブル、107はモータ103からサーボアンプ102へエンコーダ信号(サイン、コサイン波やシリアルデータなど)送信するエンコーダケーブルである。外部表示装置101において、例えば速度台形波指令を予め作成し、サーボアンプ102に転送し、この速度指令に基づいてモータ103が回転し、モータ103に結合された機械104が移動する。モータ103が駆動される際のモータ情報(モータ位置、モータ速度、モータトルク指令)を外部表示装置101に転送する。外部表示装置101で表示する前に、指令に対する最大モータ速度時のモータ速度とトルク指令を保存する。このモータ速度とトルク指令を複数の速度台形波において保存した後、外部表示装置101では、モータ速度とトルク指令を用いて、図2のモータ速度とモータトルクをプロット表示する。これを表示し、図中201と202の部分をそれぞれ直線補間すると式(1)が得られる。
図において、101は外部表示装置(例えばパソコン)、102はモータを駆動するサーボアンプ、103はモータ、104は負荷機械(例えば1軸スライダ)、105は外部表示装置101からサーボアンプ102への指令とサーボアンプ102から外部表示装置101に送信するデータを転送するための通信ケーブル、106はサーボアンプ102からモータ103へ駆動電流を送信するパワーケーブル、107はモータ103からサーボアンプ102へエンコーダ信号(サイン、コサイン波やシリアルデータなど)送信するエンコーダケーブルである。外部表示装置101において、例えば速度台形波指令を予め作成し、サーボアンプ102に転送し、この速度指令に基づいてモータ103が回転し、モータ103に結合された機械104が移動する。モータ103が駆動される際のモータ情報(モータ位置、モータ速度、モータトルク指令)を外部表示装置101に転送する。外部表示装置101で表示する前に、指令に対する最大モータ速度時のモータ速度とトルク指令を保存する。このモータ速度とトルク指令を複数の速度台形波において保存した後、外部表示装置101では、モータ速度とトルク指令を用いて、図2のモータ速度とモータトルクをプロット表示する。これを表示し、図中201と202の部分をそれぞれ直線補間すると式(1)が得られる。
Tはトルク指令、vはモータ速度、Aは粘性摩擦係数、Bは静止摩擦を表す。
例えば、図2に表した201部分の粘性摩擦係数(A)は10.2e−5(Nms/rad)、静止摩擦(B)は0.0125Nmとなり、202部分の粘性摩擦係数(A)は8.46e−5(Nms/rad)、静止摩擦(B)は−0.00549Nmとなる。この正と負の静止摩擦(B)の平均値は定常トルク外乱であり、0.0035Nmであることがわかる。この粘性摩擦係数と静止摩擦を初期連続運転後に記録しておき、1週間、1ヶ月の単位で速度台形波パターンにて動作させた時のモータ情報を用いて、外部表示装置101にモータ速度とモータトルクをプロット表示すると図3のような波形が得られる。
図3において、横軸はモータ速度(rad/s)、縦軸はモータトルク(Nm)、線図の実線は新スライダの摩擦特性、太線は使用開始後2年後のスライダの摩擦特性、点線は交換すべき時期に来ているスライダの摩擦特性である。
使用開始後2年後のスライダの摩擦特性(太線)は、新スライダの摩擦特性(実線)と比べると、粘性摩擦係数(勾配)及び静止摩擦(切片)がともに増大していることが確認できる。そこで、使用を続けていくうちに、粘性摩擦係数(勾配)がグリースメーカ指定の値(交換すべき時期に来ている点線のスライダの摩擦特性の勾配)を超えたらグリース交換を行い、静止摩擦(切片)が機械メーカ指定の値(点線のスライダの摩擦特性の切片)より大きくなっていれば機械の磨耗などの要因が考えられるので、機械部品(主にベアリングなど)の磨耗のチェックを行う。
例えば、図2に表した201部分の粘性摩擦係数(A)は10.2e−5(Nms/rad)、静止摩擦(B)は0.0125Nmとなり、202部分の粘性摩擦係数(A)は8.46e−5(Nms/rad)、静止摩擦(B)は−0.00549Nmとなる。この正と負の静止摩擦(B)の平均値は定常トルク外乱であり、0.0035Nmであることがわかる。この粘性摩擦係数と静止摩擦を初期連続運転後に記録しておき、1週間、1ヶ月の単位で速度台形波パターンにて動作させた時のモータ情報を用いて、外部表示装置101にモータ速度とモータトルクをプロット表示すると図3のような波形が得られる。
図3において、横軸はモータ速度(rad/s)、縦軸はモータトルク(Nm)、線図の実線は新スライダの摩擦特性、太線は使用開始後2年後のスライダの摩擦特性、点線は交換すべき時期に来ているスライダの摩擦特性である。
使用開始後2年後のスライダの摩擦特性(太線)は、新スライダの摩擦特性(実線)と比べると、粘性摩擦係数(勾配)及び静止摩擦(切片)がともに増大していることが確認できる。そこで、使用を続けていくうちに、粘性摩擦係数(勾配)がグリースメーカ指定の値(交換すべき時期に来ている点線のスライダの摩擦特性の勾配)を超えたらグリース交換を行い、静止摩擦(切片)が機械メーカ指定の値(点線のスライダの摩擦特性の切片)より大きくなっていれば機械の磨耗などの要因が考えられるので、機械部品(主にベアリングなど)の磨耗のチェックを行う。
実施例1においては、グリース交換の指示を与える機械診断装置の説明であったが、本実施例2では、機械の磨耗状態をチェックするための機械診断装置のフローチャートを図4に従って説明する。
まず、ステップS41で外部表示装置101(図1、例えばパソコン)は速度台形波指令を作成し、サーボアンプ102(図1)に送信する。速度台形波は、例えば加速時間及び減速時間100msで一定速度100(1/min)などとする。サーボアンプ102はモータ103(図1)に速度指令を与え、モータ103はその速度指令に従って駆動される。その時のモータ速度、モータトルク、モータ位置の各情報を取得し、エンコーダケーブル107(図1)を介してサーボアンプ102の制御周期毎にサーボアンプ102のメモリに保存する(S42)。モータ差分位置が0をトリガー条件として、サーボアンプ102から外部表示装置101へモータ情報を転送する(S43)。
ステップS44でまだ2つ以上の指令でモータ情報を取得していないときはステップS41へ戻り、さらに別の速度台形波指令(例えば、加速時間及び減速時間100msで一定速度300(1/min))をサーボアンプに送信する(S41)。その速度指令に従ってモータが駆動される。その時のモータ速度、モータトルク、モータ位置をサーボアンプのメモリに保存する(S42)。前回と同様にモータ差分位置が0をトリガー条件として、サーボアンプ102から外部表示装置101へモータ情報を転送する(S43)。
ステップS44で2つ以上の指令でモータ情報を取得しているときはステップS45へ進む。ステップS45では、外部表示装置101は、得られたモータ情報の内、トルク指令をフーリエ変換(FFT)し、パワースペクトルを計算する。そして、ステップS46で縦軸をトルク指令のパワースペクトル、横軸を周波数として外部表示装置101の表示画面にパワースペクトルを表示する。
また、モータ速度をフーリエ変換し、パワースペクトルを計算する。縦軸をモータ速度のパワースペクトル、横軸を周波数として表示する。
図5はこのようにして得られたパワースペクトル−周波数線図を示しており、(a)はトルク指令のパワースペクトル−周波数線図、(b)はモータ速度のパワースペクトル−周波数線図をそれぞれ示している。横軸は周波数(Hz)である。
このようにトルク指令(a)と速度指令(b)のパワースペクトルを表示し、相関を見ることにより速度に同期したトルク指令を確認できる。モータが回転している時のパワースペクトルが最も大きく、回転数に起因する高次モードも現れる。図中、点線は、異常時のパワースペクトルであり、太線が正常時のパワースペクトルを表す。正常時に比べて異常時には、トルク指令、モータ速度のパワースペクトルが大きくなる。これは、異常時(例えば摩耗痕)にはパワーロスが発生するため、より多くのトルク指令が必要となるからである。
機械に摩耗痕があれば、両図で「異常時」の点線が示すように回転数に依存した大きなトルク変動が観測できるが、正常であれば「正常時」の太線が示すようにこれらは発生しない。この2つのパワースペクトルを見て機械診断を行う。
さらに、測定精度を上げるには、指令条件を変えたときのトルク指令、モータ速度を取得し、上記と同様の評価を行う。これにより機械診断を簡単にかつ正確に行える。
まず、ステップS41で外部表示装置101(図1、例えばパソコン)は速度台形波指令を作成し、サーボアンプ102(図1)に送信する。速度台形波は、例えば加速時間及び減速時間100msで一定速度100(1/min)などとする。サーボアンプ102はモータ103(図1)に速度指令を与え、モータ103はその速度指令に従って駆動される。その時のモータ速度、モータトルク、モータ位置の各情報を取得し、エンコーダケーブル107(図1)を介してサーボアンプ102の制御周期毎にサーボアンプ102のメモリに保存する(S42)。モータ差分位置が0をトリガー条件として、サーボアンプ102から外部表示装置101へモータ情報を転送する(S43)。
ステップS44でまだ2つ以上の指令でモータ情報を取得していないときはステップS41へ戻り、さらに別の速度台形波指令(例えば、加速時間及び減速時間100msで一定速度300(1/min))をサーボアンプに送信する(S41)。その速度指令に従ってモータが駆動される。その時のモータ速度、モータトルク、モータ位置をサーボアンプのメモリに保存する(S42)。前回と同様にモータ差分位置が0をトリガー条件として、サーボアンプ102から外部表示装置101へモータ情報を転送する(S43)。
ステップS44で2つ以上の指令でモータ情報を取得しているときはステップS45へ進む。ステップS45では、外部表示装置101は、得られたモータ情報の内、トルク指令をフーリエ変換(FFT)し、パワースペクトルを計算する。そして、ステップS46で縦軸をトルク指令のパワースペクトル、横軸を周波数として外部表示装置101の表示画面にパワースペクトルを表示する。
また、モータ速度をフーリエ変換し、パワースペクトルを計算する。縦軸をモータ速度のパワースペクトル、横軸を周波数として表示する。
図5はこのようにして得られたパワースペクトル−周波数線図を示しており、(a)はトルク指令のパワースペクトル−周波数線図、(b)はモータ速度のパワースペクトル−周波数線図をそれぞれ示している。横軸は周波数(Hz)である。
このようにトルク指令(a)と速度指令(b)のパワースペクトルを表示し、相関を見ることにより速度に同期したトルク指令を確認できる。モータが回転している時のパワースペクトルが最も大きく、回転数に起因する高次モードも現れる。図中、点線は、異常時のパワースペクトルであり、太線が正常時のパワースペクトルを表す。正常時に比べて異常時には、トルク指令、モータ速度のパワースペクトルが大きくなる。これは、異常時(例えば摩耗痕)にはパワーロスが発生するため、より多くのトルク指令が必要となるからである。
機械に摩耗痕があれば、両図で「異常時」の点線が示すように回転数に依存した大きなトルク変動が観測できるが、正常であれば「正常時」の太線が示すようにこれらは発生しない。この2つのパワースペクトルを見て機械診断を行う。
さらに、測定精度を上げるには、指令条件を変えたときのトルク指令、モータ速度を取得し、上記と同様の評価を行う。これにより機械診断を簡単にかつ正確に行える。
実施例3では、さらに機械の磨耗痕の場所を特定できるようになる。
実施例3の機械診断装置を図6のフローチャートに従って説明する。実施例2と同様に外部表示装置101で速度指令(例えば、加速時間及び減速時間10ms、一定速度100(1/min))を作成し、作成した速度指令をサーボアンプ102に送信する(S61)。サーボアンプ102は速度指令に従ってモータ103を駆動する電流を生成し、モータ103に電流を流すことにより駆動される。モータ情報は、モータ速度が「一定速度+α速度」を条件として(S62)モータ情報を取得し、サーボアンプ102のメモリ領域にデータを保存する(S63)。モータ差分位置が0をトリガー条件として(S64)、モータ情報を外部表示装置101に転送する(S65)。外部表示装置101では、モータ位置を横軸とし、トルク指令を縦軸として表示する(S66)。トルクの変化がある箇所が機械の磨耗痕の箇所と特定できる。
図7は実施例3を説明する図で、(a)はトルク指令の微分−モータ位置線図、(b)はモータで1軸スライダのテーブルを駆動する装置の概念図である。
横軸をモータ位置としたが、モータ位置パルスに対して、機械軸単位(m)の換算値が分かっているので、機械の磨耗箇所が特定できる。また、トルクの変化を分かりやすくするために、トルク指令値の1階時間微分値(以下ではトルク指令微分値)を計算し、モータ位置を横軸として、トルク指令微分値を縦軸として表すことにより、機械の磨耗痕箇所がより限定しやすくなる。磨耗痕は、例えば、スライダーのテーブルガイドにゴミが付着し、そのゴミを取り除くことなく、スライダーを駆動させたときに発生する。摩耗痕があれば、摩擦力が変化(推力あるいはトルクの変化)する。
図7(b)において、71はモータ、72はボールネジ、73はモータ71とボールネジ72を接続するカップリング、74はボールネジ72の回転によって図の矢印方向に移動するテーブルである。そこで、モータ71を一定速度で回してテーブル74の位置が移動する時のトルク指令とモータ位置を取得し、図7(a)のようにプロットする。このときボールネジ72に摩耗痕のない部位(図7(a)の区間La、とLc)ではトルク指令の変動が小さく、ほぼ一定値となる。0ではなく一定値となるのは、摩擦分に対抗するトルクが発生するからである。そこで時間微分をとると、摩擦一定は0になる。
ところが、ボールネジ72に摩耗痕がある部位(図7(a)の区間Lb)では取得したトルク指令に大きな変動が発生する。時間微分をとると、図7(a)の区間Lbの「異常箇所」で示す線図のよう振幅の大きい変化分が強調される。
このように、実施例3によれば、変化分が強調された部位に機械の摩耗痕があることになり、機械の摩耗痕の箇所の特定がきわめて容易かつ正確になる。
実施例3の機械診断装置を図6のフローチャートに従って説明する。実施例2と同様に外部表示装置101で速度指令(例えば、加速時間及び減速時間10ms、一定速度100(1/min))を作成し、作成した速度指令をサーボアンプ102に送信する(S61)。サーボアンプ102は速度指令に従ってモータ103を駆動する電流を生成し、モータ103に電流を流すことにより駆動される。モータ情報は、モータ速度が「一定速度+α速度」を条件として(S62)モータ情報を取得し、サーボアンプ102のメモリ領域にデータを保存する(S63)。モータ差分位置が0をトリガー条件として(S64)、モータ情報を外部表示装置101に転送する(S65)。外部表示装置101では、モータ位置を横軸とし、トルク指令を縦軸として表示する(S66)。トルクの変化がある箇所が機械の磨耗痕の箇所と特定できる。
図7は実施例3を説明する図で、(a)はトルク指令の微分−モータ位置線図、(b)はモータで1軸スライダのテーブルを駆動する装置の概念図である。
横軸をモータ位置としたが、モータ位置パルスに対して、機械軸単位(m)の換算値が分かっているので、機械の磨耗箇所が特定できる。また、トルクの変化を分かりやすくするために、トルク指令値の1階時間微分値(以下ではトルク指令微分値)を計算し、モータ位置を横軸として、トルク指令微分値を縦軸として表すことにより、機械の磨耗痕箇所がより限定しやすくなる。磨耗痕は、例えば、スライダーのテーブルガイドにゴミが付着し、そのゴミを取り除くことなく、スライダーを駆動させたときに発生する。摩耗痕があれば、摩擦力が変化(推力あるいはトルクの変化)する。
図7(b)において、71はモータ、72はボールネジ、73はモータ71とボールネジ72を接続するカップリング、74はボールネジ72の回転によって図の矢印方向に移動するテーブルである。そこで、モータ71を一定速度で回してテーブル74の位置が移動する時のトルク指令とモータ位置を取得し、図7(a)のようにプロットする。このときボールネジ72に摩耗痕のない部位(図7(a)の区間La、とLc)ではトルク指令の変動が小さく、ほぼ一定値となる。0ではなく一定値となるのは、摩擦分に対抗するトルクが発生するからである。そこで時間微分をとると、摩擦一定は0になる。
ところが、ボールネジ72に摩耗痕がある部位(図7(a)の区間Lb)では取得したトルク指令に大きな変動が発生する。時間微分をとると、図7(a)の区間Lbの「異常箇所」で示す線図のよう振幅の大きい変化分が強調される。
このように、実施例3によれば、変化分が強調された部位に機械の摩耗痕があることになり、機械の摩耗痕の箇所の特定がきわめて容易かつ正確になる。
101 外部表示装置
102 サーボアンプ
103 モータ
104 負荷機械
105 通信ケーブル
106 パワーケーブル
107 エンコーダケーブル
102 サーボアンプ
103 モータ
104 負荷機械
105 通信ケーブル
106 パワーケーブル
107 エンコーダケーブル
Claims (4)
- モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、速度指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、
前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ速度を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ速度を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴とする機械診断装置。 - 前記演算部が保存された複数の前記モータ速度に対応した前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出して、これらをフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1記載の機械診断装置。
- モータ加速中で加速開始から加速完了までを1周期として前記トルク指令もしくは前記推力指令のデータを保存し、前記演算部が保存された前記トルク指令もしくは前記推力指令を読み出してフーリエ変換し、前記トルク指令もしくは前記推力指令のパワースペクトルを求め、これを前記表示部の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1記載の機械診断装置。
- モータにより駆動する機械の摩擦測定により機械の寿命を診断する機械診断装置であって、位置指令をモータ制御装置に入力する入力部と記憶部と表示部と演算部とを備えて成る機械診断装置において、
前記モータ制御装置によって駆動されるモータ駆動中のトルク指令もしくは推力指令とモータ位置を前記記憶部に保存し、前記演算部が前記記憶部から初期運転時の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置と、所定時間が経過した後の前記トルク指令もしくは前記推力指令と前記モータ位置を読み出し、それぞれ前記表示部の表示画面に同時表示させることを特徴とする機械診断装置。
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