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JP6103390B2 - 有機発光デバイスおよび有機表示装置 - Google Patents

有機発光デバイスおよび有機表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光デバイスおよび有機表示装置に関し、特に発光部を覆うように配される被覆層の構成に関する。
近年、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルや有機EL照明等の有機発光デバイスの開発が盛んになされている。
有機ELパネルは、EL発光部が形成された第1パネルと、これに対向するように配された第2パネルとが対向配置され、その間に介挿された樹脂層により互いが接合されている。また、第1パネルと第2パネルとの間隙におけるパネル周縁部についても封止されている。第1パネル部は、TFT基板と、その一方の主面上に電極、有機機能層(有機発光層を含む。)、および電極という順で積層形成し、その上を封止層で被覆した構成を有する。
また、第1パネルと第2パネルの間には、それらと密に接するように樹脂層が挿設され、当該樹脂層により第1パネルと第2パネルとが接合されている。
ここで、有機ELパネル等の有機発光デバイスの構成中に含まれる有機層は、外部からの水分や酸素などの侵入、およびパネル完成後における構成部材から放出されるアウトガス(水分や酸素をはじめとする各種ガス)の影響を受け易く、ダークスポットなどの非発光領域が生じる他、発光効率の低下を招くことがある。
特許文献1では、樹脂層中に吸湿性を有する粒子(ゲッター粒子)を分散させ、これにより水分や酸素などを捕獲し、有機層を保護しようとする技術が開示されている。
特開2006−228519号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された構造を採用しようとする場合には、有機発光層から出射された光の通り道に粒子が存在することになり、光の透過性の確保が必要となる。光の透過性が低くなると、光取り出し効率の低下につながり、発光デバイスとしての性能を確保することが困難となる。
また、外光が入射すると、粒子で散乱されて白濁現象(ヘイズ)が発生し、コントラストの低下により表示品質の低下を招くことが考えられる。
本発明は、出射光が被覆層を通過して外方に取り出されるデバイス構造において、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる有機発光デバイスおよび有機表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機発光デバイスは、互いの間に隙間を開けて対向配置された第1パネルおよび第2パネルと、両パネルに接触するように、その間に挿設された被覆層とを備える。第1パネルは、第1基板と、構成中に有機層を含み、第1基板の一方の主面上に形成され、第1基板とは反対側に光を出射する発光部とを有する。
被覆層は、発光部からの光を透過する層であって、その少なくとも一部領域に、複数の粒子が分散されてなり、複数の粒子の各々は、合成ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛から選択される材料からなる。
本態様に係る有機発光デバイスでは、粒径パラメータ(サイズパラメータ;πD/(λ/n))を横軸に、散乱効率Qc(=散乱断面積/幾何学断面積)を縦軸にとったときに、散乱効率Qcが最大値となる粒径パラメータの値以上の領域で、複数の粒子の平均粒径D50が設定されている。
上記態様に係る有機発光デバイスは、複数の粒子の平均粒径D50を、上記のような領域に設定している。換言すると、本態様に係る有機発光デバイスでは、樹脂中に、平均粒径D50が上記領域の複数の粒子を分散させることにより、ミー散乱を生じさせることができる。
従って、上記態様に係る有機発光デバイスでは、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる。
ゲッター粒子の散乱効率Qcを示すグラフである。 (a)、(b)は、単位体積当たりの散乱断面積の総和を粒径との関係で示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置1の概略構成を示す模式ブロック図である。 表示パネル10におけるサブピクセル10a〜10cの配置形態を示す模式平面図である。 図4のA−A断面での構成を示す模式断面図である。 (a)は、表示パネル10の光透過領域における樹脂層13の構成を示す模式断面図であり、(b)は、光非透過領域における樹脂層13の構成を示す模式断面図である。 樹脂層13中に分散されたゲッター粒子からなる群とスペーサー粒子からなる群との粒径分布を示す模式図である。 樹脂層13に含有されているゲッター粒子131の粒径分布を示すグラフである。 樹脂層13に含まれるゲッター粒子131による水分等の吸着の様子を示す模式図である。 (a)は、ゲッター粒子131の屈折率が樹脂部の屈折率よりも大きい場合の光の屈折等の状態を示す模式図であり、(b)は、ゲッター粒子131の屈折率が樹脂部の屈折率よりも小さい場合の光の屈折等の状態を示す模式図である。 外光散乱の状態を示す画像である。 EL発光の状態を示す画像であって、(a)は赤色、(b)は緑色、(c)は青色、(d)は白色を示す画像である。 (a)は、外光散乱の状態を示す模式断面図であり、(b)は、EL発光の状態を示す模式断面図である。 光の波長ごとの散乱角度と光強度との関係を示すグラフである。 (a)は、ゲッター粒子の粒径ごとの光の波長と透過率との関係を示すグラフであり、(b)は、光の波長ごとのゲッター粒子の粒径と透過率との関係を示すグラフである。 光の波長ごとのゲッター粒子の濃度と透過率との関係を示すグラフである。 光の波長ごとの樹脂膜厚と透過率との関係を示すグラフである。 ゲッター粒子131を含む樹脂層13での光の散乱の様子を示す模式図である。 (a)は、表示パネル10におけるサブピクセル10a〜10cの発光状態を示す模式図であり、(b)は、比較例に係る表示パネル90でのサブピクセル90a〜90cの発光状態を示す模式図である。 比較例として樹脂層中にスペーサー粒子からなる群を分散させなかった場合に起こり得る短絡状態を示す図である。 (a)〜(c)は、表示パネル10の形成に係る過程を示す模式図である。 (a)は、変形例1に係る表示パネル70での第1バンク714および第2バンク720の配置形態を示す模式平面図であり、(b)は、変形例2に係る表示パネル80でのバンク814の配置形態を示す模式平面図である。
[本発明の各態様に至る経緯]
本発明者は、本発明の各態様を想到するに至る過程で、次のような検討を行った。
先ず、上記特許文献1に開示の技術のように、パネル間に介挿される樹脂層(被覆層)中に、ゲッター粒子を分散させることは、外部などから浸入してくる水分などから有機層を保護する上で有効である。
しかしながら、上記のように、有機発光層からの光の通り道である樹脂層中にゲッター粒子を分散させる場合には、ゲッター粒子による吸湿性に加え、光散乱を抑え、光の透過をできるだけ阻害しないようにすることが必要である。
本発明者は、ゲッター粒子の粒径と透過率および吸湿性との関係について検討した結果、ゲッター粒子の粒径が大きい方がよいとの結論に至った。
ゲッター粒子の粒径が、可視光波長と同等かそれ以上である場合、可視光波長の光はゲッター粒子によりミー散乱される。ゲッター粒子による可視光波長の光の散乱確率は、粒子濃度が高く多重散乱する場合を除き、散乱断面積に比例する。よって、散乱確率は、粒子一つ当たりの散乱断面積と粒子数とで決定されることになる。そして、単位体積当たりのゲッター粒子の濃度が等しい場合には、ゲッター粒子の粒径が大きいほど粒子数が減少することになるので、粒子一つ当たりの散乱断面積と粒子数との積としては小さくなり、散乱確率を小さくすることができる。
図1は、ゲッター粒子一つ当たりの散乱効率Qc(=散乱断面積/幾何学断面積)のシミュレーション結果を示したグラフである。散乱効率Qcは、ミー(Mie)理論より、可視光波長λと粒径Dとの比(πD/(λ/n(130))、サイズパラメータ(粒径パラメータ;πD/(λ/n))と、ゲッター粒子の屈折率n(131)と樹脂部の屈折率n(130)の比(m=mr+imi)に依存することが知られている。なお、図1では、樹脂部の屈折率n(130)=1.52、波長λ=450nmを一例としている。
封止樹脂として用いられる樹脂部の屈折率n(130)は、一般に“1.3〜1.6”であることが多く、対して、ゲッター材としての機能を有するゲッター粒子の屈折率n(131)は、一般に“1.4〜2.0”であるものが多い。よって、mは、“1.0〜1.5”の組み合わせが一般的な値となる。ここで、吸収成分miを“0”としている。
図1に示すように、ミー散乱が発生する粒子と同等以上の大きさにおいて、散乱効率Qcは、およそ“1〜5”程度の大きさを示し、粒径Dの増大に伴い“2”付近に漸近する。また、吸収成分miが“0”ではない場合においては、散乱効率Qcは全体的に小さくなり、粒径Dの増大に伴い“1〜2”程度の大きさで漸近する。
次に、図2(a)、(b)の実線は、粒径Dを変化させたときの、単位体積当たりの散乱断面積の総和を示すグラフである。ここで、ゲッター粒子の体積密度は一定としている。散乱断面積の総和は、ゲッター粒子一つ当たりの散乱断面積と単位体積当たりの粒子数との積である。また、散乱断面積の総和は、単位体積当たりの光散乱による損失に比例する。図1で示すように、散乱効率Qcは、屈折率比mに依存するため、散乱断面積の総和も、屈折率mに依存する。図2(a)には、ゲッター粒子の屈折率と樹脂部の屈折率との屈折率比mが“1.33”のとき、図2(b)には、屈折率比mが“0.97”のときの各シミュレーション結果を示す。
次に、散乱効率Qcを仮に“1”とし、散乱断面積が幾何学断面積と一致するときを、図2(a)、(b)の一点鎖線で示す。ゲッター粒子の体積密度を一定とするとき、粒径Dの増大とともに粒子数は減少し、散乱断面積の総和は、粒径Dに対して反比例の関係の曲線となる。粒径Dが波長と同等以上の領域においては、散乱効率Qcは粒径Dの増大に伴い減衰するため、単位体積当たりの散乱断面積の総和は、粒径Dが大きくなるにしたがって小さくなることが分かる。即ち、粒径Dが大きくなるにしたがって光散乱による損失が小さくなることが分かる。
なお、図2(a)では粒径Dが2000nm程度まで、図2(b)では粒径Dが3000nm程度までの範囲を表しているが、散乱断面積の総和については、少なくとも粒径Dが5000nm程度の場合には収束する傾向にあると考えられる。
粒径Dが波長と同等以下である場合においても、散乱断面積は小さくなり、特に、粒径Dが100nm以下の領域においては、無視できるほど小さくなる。この領域は、レイリー散乱領域と呼ばれる領域である。このような極微細な粒子では、散乱効率Qcは、波長λの4乗に反比例して大きくなり、波長依存性は強くなる。そのため、有機ELデバイスのような表示デバイスで採用した場合には、短波長である青色ほど散乱されてしまい、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)で色の偏りが生じてしまう。このため、このような極微細な粒子を用いることは、表示デバイスにおいては適当ではない。
以上より、本発明の各態様は、ゲッター粒子の粒径が可視光波長の半波長以上のミー散乱が生じる領域において、粒径Dが大きくなるにしたがって、光の散乱確率が減少することに基づくものである。
次に、粒径が大きいゲッター粒子を採用しようとした場合に、第1パネルと第2パネルとの貼り合せに際して、ゲッター粒子により有機機能層にダメージを与えるおそれがあると考えられる。有機機能層にダメージが加わった場合には、発光性能を確保できず、また、場合によっては短絡を発生するおそれもある。
以上のような検討の結果より、次の各態様を提供する。
[本発明の態様]
本発明の一態様に係る有機発光デバイスは、互いの間に隙間を開けて対向配置された第1パネルおよび第2パネルと、両パネルに接触するように、その間に挿設された被覆層とを備える。第1パネルは、第1基板と、構成中に有機層を含み、第1基板の一方の主面上に形成され、第1基板とは反対側に光を出射する発光部とを有する。
被覆層は、発光部からの光を透過する層であって、その少なくとも一部領域に、複数の粒子が分散されてなり、複数の粒子の各々は、合成ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛から選択される材料からなる。
本態様に係る有機発光デバイスでは、粒径パラメータ(サイズパラメータ;πD/(λ/n))を横軸に、散乱効率Qc(=散乱断面積/幾何学断面積)を縦軸にとったときに、散乱効率Qcが最大値となる粒径パラメータの値以上の領域で、複数の粒子の平均粒径D50が設定されている。
この態様に係る有機発光デバイスは、複数の粒子の平均粒径D50を、上記のような領域に設定している。換言すると、本態様に係る有機発光デバイスでは、樹脂中に、平均粒径D50が上記領域の複数の粒子を分散させることにより、ミー散乱を生じさせることができる。
従って、本態様に係る有機発光デバイスでは、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる。
別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、複数の粒子の平均粒径D50が、0.4μm≦D50≦10μmの関係を充足する。このような関係を充足するように平均粒径D50を規定すれば、水分などの吸着性能を維持しながら、被覆層中における複数の粒子の分散に起因する光の散乱(有機発光層から出射された光の散乱)を抑制することができる。
また、別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、複数の粒子の平均粒径D50が、3μm≦D50≦10μmの関係を充足する。このような関係を充足するように平均粒径D50を規定すれば、水分などの吸着性能を維持しながら、被覆層中における複数の粒子の分散に起因する光の散乱(有機発光層から出射された光の散乱)を抑制する、との効果を得る上でさらに好ましい。
また、別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、複数の粒子が、被覆層における上記少なくとも一部領域に対し、1cm2当たりの総表面積が0.2cm2以下となる量で含まれている。このように被覆層中における複数の粒子の添加量を規定することにより、外光散乱を抑え、白濁現象(ヘイズ)を抑制することができる。
また、別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、被覆層は、樹脂材料からなる樹脂部に対して、上記複数の粒子が分散されてなり、複数の粒子の平均粒径D50が2μm以上である。このように樹脂部に対する粒子の屈折率比および複数の粒子の平均粒径D50を規定することにより、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる。この場合において、図1,2などに示すように、樹脂部に対する粒子の屈折率比が0.97以上であることが好ましい。
また、別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、被覆層は、樹脂材料からなる樹脂部に対して、上記複数の粒子が分散されてなり、樹脂部に対する粒子の屈折率比が1.3以上であって、複数の粒子の平均粒径D50が0.5μm以上である。このように樹脂部に対する粒子の屈折率比および複数の粒子の平均粒径D50を規定することによっても、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる。
さらに、別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様において、上記複数の粒子により第1の粒子群が構成されてなるとするとき、被覆層における少なくとも一部領域(第1の粒子群を構成する複数の粒子が分散された領域と必ずしも一致している必要はない)に、第1の粒子群を構成する前記複数の粒子とは別の、第2の粒子群を構成する複数の粒子も分散されている。
第2の粒子群を構成する各粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂の何れか、あるいは、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体の何れかの架橋構造を有する樹脂からなる。
そして、第1の粒子群を構成する複数の粒子の平均粒径をD50(1)、第2の粒子群を構成する複数の粒子の平均粒径をD50(2)とするとき、D50(2)>D50(1)の関係を充足する。
ここで、第1パネルと第2パネルとの間に介在する被覆層中に分散される第1の粒子群を構成する粒子が、製造過程におけるパネル貼り合わせの際に有機機能層にダメージを与えることも考えられる。具体的には、第1パネルと第2パネルとを貼り合わせる際に、樹脂材料中に分散された第1の粒子群を構成する複数の粒子が、有機機能層を構成する一部の層を突き破る事態が考えられる。このように粒子が有機機能層の一部の層を突き破ることとなった場合には、短絡が生じたりして当該領域およびその周辺が非発光領域となってしまう。特に、光の散乱や吸湿性能などを加味して、第1の粒子群を構成する粒子の粒径を大きくしようとする場合には、このような問題が発生する危険性が高くなる。
このような想定される問題に対して、本態様に係る有機発光デバイスでは、被覆層中に、第2の粒子群を構成する複数の粒子が分散されている。第2の粒子群を構成する複数の粒子は、その平均粒径D50(2)が上記のように第1の粒子群を構成する複数の粒子の平均粒径D50(1)よりも大きく、また、その構成材料が上記のような樹脂材料からなり、硬度が低い。
以上より、本態様に係る有機発光デバイスでは、第1パネルと第2パネルとの貼り合わせに際し、有機機能層に対して第1の粒子群を構成する複数の粒子の一部が接触する前に、第2の粒子群を構成する複数の粒子の一部が先に接触することになる。よって、上記のような硬度の関係を総合的に考えるとき、本態様に係る有機発光デバイスでは、第1の粒子群を構成する複数の粒子を被覆層中に分散させることにより上記のような効果を得ることができるとともに、パネル貼り合せに際して第1の粒子群を構成する複数の粒子による有機機能層へのダメージを抑制することができる。
従って、本態様に係る有機発光デバイスでは、製造過程における第1の粒子群を構成する複数の粒子による有機層(有機機能層)へのダメージを抑制することもできる。
別態様に係る有機発光デバイスは、上記態様において、第2の粒子群を構成する各粒子の樹脂部に対する屈折率差が、第1の粒子群を構成する各粒子よりも小さい。これにより、有機発光層から出射された光が第2の粒子群を構成する複数の粒子の各々で散乱されることが抑制され、優れた発光性能を得る上で好ましい。
別態様に係る有機発光デバイスは、上記態様において、1μm≦D50(2)≦100μmの関係を充足する。このような第2の粒子群を構成する複数の粒子の平均粒径D50(2)の規定により、パネル貼り合せに際しての第1の粒子群を構成する複数の粒子による有機機能層へのダメージをより確実に抑制することができる。
なお、5μm≦D50(2)≦30μmの関係を充足することがさらに好ましい。
また、別態様に係る有機発光デバイスは、上記態様において、第2の粒子群のCv値をCv(2)とするとき、
Cv(2)≦3%の関係を充足する。このように、第2の粒子群のCv値を規定することにより、パネル貼り合せの際の第2の粒子群を構成する複数の粒子の一部に局所的な荷重が加わることを抑制することができる。
なお、Cv値とは、標準偏差を平均粒径で除した値である。
また、別態様に係る有機発光デバイスは、上記態様において、第2の粒子群を構成する各粒子における、10%圧縮弾性率が2GPa以上6GPa以下の範囲にある。このような硬度の粒子を第2の粒子群を構成する粒子として採用することにより、パネル貼り合せの際の有機機能層などへのダメージをより確実に抑制することができる。
また、別態様に係る有機発光デバイスは、上記態様において、被覆層における発光部からの光の透過率が、98%以上である。これにより、発光デバイスとして優れた発光性能を確保する上で好ましい。また、外光散乱による白濁現象(ヘイズ)を抑制することができ、表示デバイスとして用いる場合においても、表示品質を確保する上で好ましい。
また、本発明の一態様に係る有機表示装置は、表示パネルと、制御駆動回路とを備える。制御駆動回路は、表示パネルに接続された回路である。そして、表示パネルとして、上記態様の何れかのデバイス構造が採用する。これにより、上記態様の有機発光デバイスが奏する効果をそのまま奏することができる。
[実施の形態]
以下では、図面を参照しながら実施の形態の有機EL表示装置1の構成について説明する。
1.概略構成
本実施の形態に係る有機EL表示装置1の概略構成について、図3および図4を用い説明する。
図3に示すように、有機表示装置としての本実施の形態に係る有機EL表示装置1は、表示パネル10と、これに接続された駆動・制御部20とを備えている。表示パネル10は、有機発光デバイスであって、有機材料の電界発光現象を利用した有機ELパネルである。
図4に示すように、複数のサブピクセル(副画素部)10a〜10cがX軸方向およびY軸方向に二次元配置されている。本実施の形態においては、例えば、サブピクセル10aが赤色光(R)を出射する発光部であり、サブピクセル10bが緑色光(G)を出射する発光部であり、サブピクセル10cが青色光(B)を出射する発光部である。そして、隣接する3つのサブピクセル10a〜10cの組み合わせを以って1つのピクセル(画素部)が構成されている。
なお、隣接するサブピクセル10a〜10cどうしの間には、非発光部10dが設けられている。
図3に戻って、有機EL表示装置1における駆動・制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。なお、有機EL表示装置1における表示パネル10と駆動・制御部20との配置関係については、図3の形態には限定されない。
また、ピクセルの構成については、図4に示すような3つのサブピクセル10a〜10cの組み合わせからなる形態に限定されず、4つ以上のサブピクセルの組み合わせを以って1つのピクセルが構成されることとしてもよい。
2.表示パネル10の構成
図5に示すように、表示パネル10は、ELパネル部11と、CFパネル部12とが対向配置され、間に樹脂層13が介在されることにより互いに接合されている。
ELパネル部11は、TFT基板110をベースとして、その上に絶縁層111が積層されている。絶縁層111のZ軸方向上面は、略平坦となるように形成されている。
なお、TFT基板110については、TFT層などの図示を省略し、簡略化した図としている。
絶縁層111のZ軸方向上面には、アノード112およびホール注入層113が順に積層形成されている。
次に、絶縁層111上およびホール注入層113のX軸方向両縁上を覆うように、バンク114が形成されている。バンク114は、サブピクセル10aにおける発光領域部分の開口を規定する。
バンク114により規定された開口内には、Z軸方向下側から順に、ホール輸送層115、有機発光層116、電子輸送層117が積層形成されている。
電子輸送層117上およびバンク114の頂面上を覆うように、カソード118および封止層119が順に形成されている。
CFパネル部12については、基板120におけるZ軸方向下側面にカラーフィルタ層121およびブラックマトリクス層122が形成された構成を有する。
樹脂層13は、Z軸方向下側において、ELパネル部11の封止層119に対して密に接しており、Z軸方向上側において、CFパネル部12に対して密に接している。そして、樹脂層13は、樹脂部130中に、2種類の粒子、具体的には、ゲッター粒子131とスペーサー粒子132とが分散されてなる。
図6(a)、(b)に示すように、発光領域であるサブピクセル10a〜10bにおいては、ゲッター粒子131およびスペーサー粒子132は、ともに樹脂部130中に分散されている。そして、図6(b)に示すように、非発光部10d(図4および図5を参照。)においては、スペーサー粒子132がELパネル部11における封止層119表面とCFパネル部12におけるブラックマトリクス層122表面との間に挟まれた状態となっている。この状態では、スペーサー粒子132の位置を操作して実現しているものはなく、添加量との関係で確率的に介挿されるに至るものである。
図5に戻って、本実施の形態に係る表示パネル10は、トップエミッション型の表示パネルであり、矢印のようにZ軸方向上向きの光を出射する。
なお、図5では、サブピクセル10aの構成だけを抜き出して図示しているが、他のサブピクセル10b,10cについても同様の構成を有する。
3.表示パネル10の各構成材料
(1)TFT基板110
TFT基板110は、基板と、当該基板のZ軸方向上面に形成されたTFT層とから構成されている。TFT層については、図示を省略しているが、ゲート、ソース、ドレインの3電極と、半導体層、パッシベーション膜などを含み構成されている。
TFT基板110のベースとなる基板は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用い形成されている。
プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(2)絶縁層111
絶縁層111は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物を用い形成されている。ここで、絶縁層111は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。
また、絶縁層111は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理等が施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形や変質などを生じない高い耐性を有する材料を用い形成されることが望ましい。
(3)アノード112
アノード112は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
なお、アノード112については、上記のような金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体を採用することもできる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
(4)ホール注入層113
ホール注入層113は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。
なお、ホール注入層113の構成材料として金属酸化物を用いる場合には、PEDOTなどの導電性ポリマー材料を用いる場合に比べて、ホールを安定的に、またはホールの生成を補助して、有機発光層108に対しホールを注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。
ここで、ホール注入層113を遷移金属酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。特に、酸化タングステン(WOX)を用いることが、ホールを安定的に注入し、且つ、ホールの生成を補助するという機能を有するという観点から望ましい。
(5)バンク114
バンク114は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク114の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク114は、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
さらに、バンク114の構造については、図5に示すような一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもできる。この場合には、層毎に上記材料を組み合わせることもできるし、層毎に無機材料と有機材料とを用いることもできる。
(6)ホール輸送層115
ホール輸送層115は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
(7)有機発光層116
有機発光層116は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層116の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(8)電子輸送層117
電子輸送層117は、カソード118から注入された電子を有機発光層116へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
(9)カソード118
カソード118は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。本実施の形態のように、トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。光透過性については、透過率が80[%]以上とすることが好ましい。
(10)封止層119
封止層119は、有機発光層116などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
封止層119は、トップエミッション型である本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(11)CFパネル部12
CFパネル部12における基板は、上記同様に、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用い形成されている。CFパネル部12においても、プラスチック基板を採用する場合には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。
CFパネル部12におけるカラーフィルタ層(CF層)としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する、公知の材料から構成される。例えば、アクリル樹脂をベースに形成されている。
CFパネル部12におけるブラックマトリクス層(BM層)は、例えば、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料から構成されている。具体的な紫外線硬化樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂等がある。
(12)樹脂層13
樹脂層13は、透明樹脂材料をベースに形成されている。樹脂層13の詳細構成について、次に説明する。
4.樹脂層13の構成
樹脂層13の構成については、上述のように、樹脂部130と、当該樹脂部130内に分散された複数のゲッター粒子131および複数のスペーサー粒子132とから構成されている。なお、本実施の形態においては、樹脂層13の全領域に対してゲッター粒子131およびスペーサー粒子132が分散されている。
樹脂部130は、上記のように、透明樹脂材料から構成されている。例えば、エポキシ系樹脂材料から形成されている。ただし、樹脂部130の構成材料としては、これ以外にもシリコーン系樹脂などを用いることもできる。
ゲッター粒子131は、合成ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛から選択される材料から構成されている。本実施の形態では、一例として、合成ゼオライト(結晶性ゼオライト:M2/nAl23・xSiO2・yH2O、M;金属カチオン、n;原子価)から構成されている。より具体的には、5A型のモレキュラーシーブ(米国Linde社の商品名)を採用している。
スペーサー粒子132は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂の何れか、あるいは、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体の何れかの架橋構造を有する樹脂から構成されている。本実施の形態では、一例として、エポキシ系樹脂材料から構成されている。
図7に示すように、ゲッター粒子131の平均粒径D50(131)とスペーサー粒子132の平均粒径D50(132)とは、次の関係を充足する。
[数1]D50(132)>D50(131)
なお、図7では詳細な図示を省略しているが、ゲッター粒子131の粒度分布とスペーサー粒子132の粒度分布とが実質的に重複しないようになっている。より具体的には、ゲッター粒子131のD99がスペーサー粒子132のD99よりも低い値となるようになっている。ここで、粒径(粒子径)の測定方法として、動的光散乱法(レーザー光散乱法)を採用している。他の方法で粒径測定をする場合には、本態様で採用した動的光散乱法との換算を行うことが可能である。
ゲッター粒子131の粒度分布は、図8に示すような分布となっている。ただし、ゲッター粒子131の粒径については、平均粒径D50(131)が次の関係を満たせばよい。
[数2]0.4μm≦D50(131)≦10μm
次の関係を満たすことが、より好ましい。
[数3]3μm≦D50(131)≦10μm
一方、スペーサー粒子132の平均粒径D50(132)は、次の関係を満たせばよい。
[数4]1μm≦D50(132)≦100μm
また、次の関係を満たすことが、より好ましい。
[数5]5μm≦D50(132)≦30μm
さらに、スペーサー粒子132については、パネル貼り合せの際に、スペーサー粒子132に対して局所的な荷重が加わらないようにするという観点から、次の関係を満たすことが好ましい。
[数6]Cv(132)≦3%
ここで、Cv(132)は、スペーサー粒子132の粒度分布における(標準偏差/平均粒径)である。
また、スペーサー粒子132については、10%圧縮弾性率が2GPa〜6GPaの範囲内にあることが好ましい。これは、図6(b)のようにパネル間に挟まれた際の、有機層へのダメージを抑えるという観点からである。さらに、スペーサー粒子132における固形分濃度については、特に限定されるものではないが、例えば、分散液全体の0.05wt%〜5wt%の範囲内とすることが好ましく、0.1wt%〜2wt%とすることがより好ましい。
次に、ゲッター粒子131の屈折率n(131)とスペーサー粒子132の屈折率n(132)との関係は、樹脂部130の屈折率n(130)を基準として、次のような関係を満たす。
[数7]|n(131)−n(130)|>|n(132)−n(130)
例えば、本実施の形態では、スペーサー粒子132の構成材料として、樹脂部130の構成材料と同系の樹脂であるエポキシ系樹脂材料を用いているので、n(132)≒n(130)の関係を満たす。よって、上記[数7]の関係を満たす。
5.樹脂層13におけるゲッター粒子131が果たす役割
樹脂層13における粒子131が果たす役割について、図9から図13を用い説明する。
(a)ゲッター特性
本実施の形態では、樹脂層13における粒子131として、上記のように、合成ゼオライトからなる粒子を採用している。このため、図9に示すように、樹脂層13内において、ゲッター粒子131は、酸素(O2)や水分(H2O)をはじめとする成分を吸着する。ゲッター粒子131が吸着するのは、表示パネル10の外部から侵入してくる水分などの成分の他、樹脂部130などに含まれている水分や酸素などである。
本発明者は、有機発光デバイスの一例である有機ELディスプレイで樹脂層の形成に用いられる樹脂材料での含水率について測定を行った。その結果、採用する樹脂材料の種類によっても異なるが、概ね10ppmから200ppmまでの含水率であることが分かった。
また、有機発光デバイスにおける発光特性の劣化に大きく影響するのは、樹脂層からの水分であると考えることができる。
よって、樹脂層13における樹脂部130について、製造過程あるいは製造直後における樹脂1g中の水分が多くて数十μgであると考えられる。
ここで、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)における吸着口径と、吸着される成分との関係は、次表に示すとおりである。
本実施の形態では、アウトガスの種類や、想定される外部からの侵入成分などを考慮し、5A型の合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)を採用するものである。
以上のように、ゲッター特性を確保するという観点から、樹脂層13中におけるゲッター粒子131の濃度が0.001wt%以上とすることが望ましい。ただし、用いる樹脂材料によっては、0.01wt%以上とすることがより望ましい。
ただし、外光散乱に起因して、パネルが白濁したように観察されるのを抑制するために、樹脂層13の1cm2当たりのゲッター粒子の総表面積を0.2cm2以下となるようにすることが好ましい。これにより、樹脂層13における光の透過率として98%を確保することができ、白濁の問題を生じ難い。
(b)光散乱特性
粒径Dが光の波長と同等かそれ以上のミー散乱(Mie−Scattering)する状況において、粒子に散乱される光の進行方向について図10に示す。
ゲッター粒子131の屈折率n(131)が樹脂部130の屈折率n(130)よりも大きい場合には、図10(a)に示すような光の散乱特性を示す。ゲッター粒子131に入射された光は、屈折・回折・吸収されるが、その殆どが前方散乱し、斜め方向や後方に散乱される光はごく一部である。
一方、ゲッター粒子131の屈折率n(131)が樹脂部130の屈折率n(130)よりも小さい場合の光の散乱特性を図10(b)に示す。このとき、図10(a)と同様に、前方散乱が支配的となるが、樹脂部130とゲッター粒子131の界面で全反射が起きやすく、外部反射により斜め方向に散乱される光が多くなる。
なお、散乱断面積と幾何学断面積とは、図10(a)、(b)のように規定される。
ここで、図8に示すように、本実施の形態においては、樹脂層13に含まれる複数のゲッター粒子131の平均粒径D50(131)が略1μmである。この粒径は、発光部から出射される光の波長よりも大きい。このため、樹脂層13内のゲッター粒子131に照射された光は、ミー散乱されることになる。
なお、分散させる複数のゲッター粒子131の累積分布径D10が100nm以上で、累積分布径D90が10μm以下であればよい。粒径の測定方法については、上記同様である。
次に、パネルとしての光の散乱状態について、図11および図12に示す。ゲッター粒子を含まない樹脂層内部に、直径約2mmの領域にのみゲッター粒子を含んだ樹脂層を形成し、ゲッター粒子による光の散乱状態の確認を行った。図11は、パネルにおけるEL発光を非点灯状態とし、外部からLEDライトで光照射した場合の図である。
図11に示すように、ゲッター粒子131が存在する領域のみが、外光散乱で明るくなった状態が観察された。即ち、散乱体の存在する領域と存在しない領域とで、散乱光の違いによる大きなコントラスト差が生じていることが分かる。
一方、図12(a)〜図12(d)は、図11に示すのと同じ領域で、外光を遮断し、パネルを点灯状態とした場合の様子を示す。図12(a)は赤色(R)発光のみ、図12(b)は緑色(G)発光のみ、図12(c)は青色(B)発光のみ、図12(d)は全色点灯した状態での各様子を示す。図12(a)〜(d)に示すように、ゲッター粒子による散乱で、ほとんど見え方に違いは見られず、散乱体の存在する領域と存在しない領域とでコントラスト差はほとんど生じないことが分かる。
図11と図12との見え方の違いについて、外光を照射した場合と、EL発光の場合との光の出射に係るメカニズムを考察したのが、図13(a)、(b)である。
先ず、図13(a)に示すように、外部から光(LEDライトの光)が照射されると、一部の光L11はゲッター粒子131に散乱され、他の光L21はそのまま封止層119まで直進する。封止層119に入射した光は、そのまま有機発光層116およびアノード112に向けて進む(光L22)。ゲッター粒子131で散乱された光L11は、そのまま封止層119を介して有機発光層116およびアノード112へと達する光L12、ゲッター粒子131で屈折して有機発光層116およびアノード112へと達する光L13、さらには、外部反射によりCFパネル部12を通り外方へ出てゆく光L14となる。このうち、図11で示される、外光散乱で白濁して見える光は、光L14であると考えられる。
一方、光L12、光L13、光L22は、封止層119からアノード112までの間で消失するか、若しくは、アノード112で反射した後、ブラックマトリクス層122で消失される。このため、図11において、光L14だけが強調されて明るくなっていると考えられる。
次に、EL発光について、図13(b)に示すように、有機発光層116から出射された光L31,L41のうち、光L41はCFパネル部12を通り外方へと出射される(光L42)。これに対して、光L31は、ゲッター粒子131で散乱され、一部は外方へと出射されるが(光L32)、一部はゲッター粒子131で屈折・反射される(光L33,L34,L35,L36)。ミー散乱において、散乱光のほとんどが前方散乱して光L32となるため、ゲッター粒子131により損失する光(光L33、光L34、光L35、光L36)の割合は極めて少ない。このため、図12に示すように、コントラスト差が生じ難いものと考えられる。
ここで、スペーサー粒子132については、樹脂部130と屈折率がほぼ同じであるので、仮に光が入射しても、屈折や反射などを生じることは少ない。
なお、粒径Dが波長と同等以下の場合においても、散乱断面積を小さくすることができる。特に、粒径Dが100nm以下の場合には、散乱断面積が無視できるほど小さくすることができる。この領域の光散乱としては、本実施の形態で用いるミー散乱ではなく、レイリー散乱領域となる。この領域では、散乱効率Qcは、波長λの4乗に反比例して大きくなり、波長依存性が強くなる。このため、有機ELのような表示デバイスで採用した場合においては、短波長である青色の光ほど散乱されてしまうため、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)で色の偏りが生じてしまう。よって、粒径Dが100nm以下の粒子は、表示デバイスには適さない。
また、プロセスの観点からも、粒径Dが100nm以下の粒子を用いることは非常に困難を伴う。粒径Dを小さくして行くにしたがって、粒子数が増大し、粒子間距離が短くなるとともに、粒子の総表面積が増大する。このため、粒子間相互作用(ファンデルワールス力)が増大し、粒子同士の凝集が生じ易く、安定して表示デバイスを生産することが困難となることが考えられる。
6.ゲッター粒子の粒径および濃度と透過率
透明な2枚のガラス基板の間にゲッター粒子を含む樹脂層を形成し、ゲッター粒子の粒径および濃度と透過率との関係について検討を行った。その結果について、図14から図17を用い説明する。なお、本考察においては、ゲッター粒子としてシリカ粒子を用いた。
(1)散乱角度と透過光の光強度
図14に示すように、ゲッター粒子の粒径Dを1μm、濃度を1wt%、樹脂層の層厚を15μmとし、入射波長を3種類変えた際の、透過光の散乱角度と光強度との関係を検討した。図14に示すように、散乱光は3度以内に集中しており、ミー散乱では、散乱光のほとんどが前方方向に散乱されることが分かる。
また、短波長になるほど、散乱されやすく、斜め方向に散乱する割合が増えていることが分かる。
(2)ゲッター粒子の粒子径と透過率
図15(a)では、濃度を1wt%、樹脂層の層厚を15μmとし、ゲッター粒子の粒径Dを1μm、2μm、5μmの3種類で変えた際の、透過光強度の波長依存性を示す。また、図15(b)は、可視光波長の青色光(λ=450nm)、緑色光(λ=550nm)、赤色光(λ=610nm)での粒径Dと透過率との関係を示す。
図15(a)、(b)に示すように、可視光波長において、粒径Dが2μmのときに最も透過率が低く、5μmで透過率が増大している。一方、粒径Dが1μmのときにも透過率が増大している。これは、図2(a)、(b)で示すように、粒径Dについて、ある変曲点を超えた領域において、光の散乱を小さくすることができることを示している。
また、粒径Dが5μmで、波長に対する透過率の違いが生じ難く、粒径Dが1μmで、強い波長依存性を示している。粒径Dが1μmのとき、可視光領域の光はミー散乱されるが、粒径が小さくなるにつれてレイリー散乱と同様の効果を示し始めていることが分かる。
(3)濃度と透過率
図16に、粒径Dを1μm、樹脂層の層厚を15μmとし、濃度を0wt%から1.0wt%まで変えた際の透過光強度を示す。図16に示すように、ゲッター粒子の濃度に比例して、透過率が減少しており、散乱確率がゲッター粒子数に比例していることが分かる。
特に、濃度が0.2wt%の場合に、波長440nmの光の透過率が略98%にすることができる。
(4)樹脂層の厚みと透過率
図17に、粒径Dが1μmのときの樹脂層の層厚と透過光強度の関係を示す。樹脂層の層厚を厚くすればするほど、透過率は低下していることが分かる。これは、樹脂層の層厚に比例して、粒子数が増大しているためと考えられる。
特に、樹脂層の厚みを30μmとした場合には、波長440nmの光の透過率が略83%程度まで低下する。
一方、樹脂層の厚みを10μmとすれば、全波長域において96〜97%の透過率を確保することができる。
以上より、ゲッター粒子の粒径Dは、透過率の向上という観点からは、大きければ大きいほどよいことが分かる。
7.表示パネル10およびこれを備える有機EL表示装置1の奏する効果
(1)発光特性
表示パネル10およびこれを備える有機EL表示装置1の発光特性に関する効果について、図18および図19を用い説明する。
図18に示すように、表示パネル10においても、発光部の一部が非発光領域となるダークスポットが発生する場合がある。これは、パネル製造過程あるいは製造後において、パネル外部から、あるいはパネルの構成部材(特に樹脂層13における樹脂部130)から水分や酸素などがELパネル部11へと侵入し、有機層が劣化することが一因であると考えられる。
また、表示パネルの製造過程などにおいて、ELパネル部のアノードとカソードとの間に異物を挟み込むことで生じる画素欠けが発生する場合もある。画素欠けは、挟み込まれた異物によって、部分的に両電極間に電流が流れず解放状態となり、当該領域の有機発光層にホールおよび電子を注入することができないために発生する。
本実施の形態に係る表示パネル10では、複数のゲッター粒子131が上記条件で含有されている樹脂層13を採用することにより、上記のようなダークスポットおよび画素欠けといった問題を解消することができる。即ち、本実施の形態に係る樹脂層13の構成の採用により、ダークスポットなどを隠すことが可能となり、外光散乱を含む光の散乱を低減し、透過率の向上を図ることができる。また、ゲッター粒子131の分散により、有機機能層への水分の浸入を効果的に抑制することができる。
また、図18に示すように、非発光領域の周囲の領域から出射された光は、Z軸方向上方の樹脂層13に入射する。入射した光L1は、ゲッター粒子131に入射しない光L2については、上述のように、そのままZ軸方向上方へと進む。
図19(a)に示すように、本実施の形態に係る表示パネル10では、各サブピクセル10a〜10cでの非発光領域が目立たなくなり、高い表示品質を得ることができる。
一方、図19(b)に示す比較例に係る表示パネル90では、各サブピクセル90a〜90cにおける樹脂層に上記のような粒子を含有しない。このため、各サブピクセル90a〜90cに非発光領域が発生した場合、当該部分上方からは光取出しがなされず、滅点90dとして視覚的に目立ってしまう。よって、図19(b)に示す比較例では、表示品質の低下を招いてしまうことになる。
なお、図19(b)に示す比較例は、樹脂層中にゲッター粒子を分散させていないパネルである。
図18に戻って、ゲッター粒子131に入射した光については、ミー散乱により、非発光領域の上方の領域Cにも進む(光L3,L4)。このミー散乱された光により、非発光領域のZ軸方向上方にも光が取り出されることになる。よって、本実施の形態に係る表示パネル10では、各々が上記粒径を有する複数のゲッター粒子131を樹脂層13中に含有するので、仮にダークスポットや画素欠けが生じた場合にも、視覚的に目立たなくすることができ、高い表示品質を確保することができる。
また、樹脂層13中に含まれる複数のゲッター粒子131は、水分や酸素などを吸着する特性を有する合成ゼオライトからなるので、外部から侵入してくる水分や酸素、パネル構成中からの水分や酸素などのアウトガスを複数のゲッター粒子131により物理吸着させることができる。そして、樹脂層13中におけるゲッター粒子131の濃度を上記のように規定しているので、外光散乱に起因する白濁を抑えながら、水分や酸素を樹脂層13中のゲッター粒子131により十分に吸着させることができる。よって、表示パネル10におけるELパネル部11の各有機層への水分や酸素などの侵入を効果的に抑制することができ、高い表示品質を得ることができる。
(2)短絡などの抑制
本実施の形態に係る表示パネル10では、樹脂層13における樹脂部130中に、ゲッター粒子131の粒子群とともにスペーサー粒子132の粒子群を分散させている。そして、ゲッター粒子131の平均粒径D50(131)とスペーサー粒子132の平均粒径D50(132)との関係は、上記[数1]などの関係を満たす。よって、表示パネル1では、ELパネル部11とCFパネル部12との貼り合せの際にゲッター粒子131による素子の損傷や電気的な短絡などの事態を回避することができる。即ち、図5に示すように、ゲッター粒子131よりも平均粒径が大きく、且つ、弾性に富むスペーサー粒子132がELパネル部11およびCFパネル部12の表面に接触することになり、ゲッター粒子131によるELパネル部11およびCFパネル部12へのダメージを抑制することができる。
なお、スペーサー粒子132がない場合は、ELパネル部11とCFパネル部12との貼り合せの際に、ゲッター粒子131が直接、発光素子や配線部に接触し、損傷させるという不具合が起こり得る。例えば、発光素子を上部から押し込むことでカソードとアノードとの間が短絡し、不点灯となる。また、各種配線の上部から押し込むとき、アノードの下の絶縁層(層間絶縁層)において短絡が発生し、大電流が流れるという不具合が起こり得る。図20には、樹脂層中にゲッター粒子のみが分散され、スペーサー粒子を分散させなかった比較例に係るパネルでの不具合状況を示す。図20に示すように、ELパネル部11とCFパネル部12との貼り合せの際に、ゲッター粒子131が配線部を押し込んだために、配線間で短絡が生じ、黒く焼け焦げている(図の黒点)。
(3)まとめ
以上より、本実施の形態に係る表示パネル10では、樹脂層13に複数のゲッター粒子131が分散され、ゲッター粒子131の平均粒径D50(131)が上記関係を充足することにより、外部から侵入した水分や酸素、およびアウトガスなどの影響による有機機能層の機能低下を抑制しながら、外光が入射した場合にも白濁現象の発生を抑制することで、高い発光品質と高い光取出し効率を実現することができる。
なお、樹脂層13中における複数のゲッター粒子131の平均粒径D50(131)については、図1および図2などに示すように、横軸に粒径パラメータ、縦軸に散乱効率をとったグラフにおいて、散乱効率Qcが最大値となる粒径パラメータの値以上の領域で設定されていればよい。
8.ELパネル部11とCFパネル部12との貼り合わせ
本実施の形態に係る有機EL表示装置1の製造方法のうち、ELパネル部11とCFパネル部12との貼り合わせに係る過程について、図21を用い説明する。
先ず、図21(a)に示すように、ELパネル部11およびCFパネル部12を別々に製造する。そして、これとは別に、樹脂剤1300を調整しておく。樹脂剤1300は、樹脂層13の形成に係る材料であって、例えば、エポキシ樹脂に対して、ゲッター材料(例えば、合成ゼオライト)および樹脂スペーサー材料(例えば、エポキシ樹脂あるいはジビニルベンゼン重合体)をそれぞれ分散混合させたものである。各分散させる材料の濃度は、樹脂層13として上記のような関係を満たす範囲である。例えば、ゲッター材料については、0.01wt%〜10wt%の濃度となるように分散混合する。また、樹脂スペーサー材料については、0.01wt%〜1wt%の濃度となるように分散混合する。なお、樹脂スペーサー材料の濃度については、0.05wt%〜0.5wt%とすることが望ましい。
また、樹脂剤1300については、ELパネル部11もしくはCFパネル部12の一方に塗布しておいてもよいし、両方に塗布しておいてもよい。
次に、図21(b)に示すように、樹脂剤1300を間に介在させた状態で、ELパネル部11とCFパネル部12とを対向配置する。この工程については、減圧雰囲気下で実行され、ELパネル部11と樹脂剤1300の間、およびCFパネル部12と樹脂剤1300との間に気泡が残らないようにする。そして、減圧状態から大気圧状態へと移行し、樹脂剤1300に対して紫外線を照射することにより硬化させる。
図21(c)に示すように、樹脂剤1300が硬化し、樹脂層13とすることによりELパネル部11とCFパネル部12との貼り合わせが完了する。
ここで、アルカリ金属やアルカリ土類金属からなる乾燥剤をゲッター剤として用いる場合には、水分を吸着すると水酸化物となる。樹脂層がカチオン重合型樹脂の場合、カチオンは水酸化物と反応するため、重合反応が阻害される。よって、樹脂層が硬化するまでの間は、できるだけアルカリ金属やアルカリ土類金属が水分を吸着しないよう、乾燥雰囲気下で取り扱うようにする、あるいは、カチオンを生成する重合開始剤の量を多めにする、ことが好ましい。
なお、樹脂材料については、紫外線などの光照射によって硬化する材料だけでなく、熱を付加することによって硬化する熱硬化型樹脂を採用することもできる。
特に、CF基板で使用されるカラーフィルタ層やブラックマトリクス層は、紫外線を遮光し、樹脂が十分に硬化できないといった不具合が生じ得る。そのような場合には、熱硬化性型樹脂を採用することが好ましい。
[変形例1]
上記実施の形態では、バンク構造については、詳細に触れていなかったが、一例として図22(a)に示すような構造を採用することができる。
図22(a)に示すように、変形例1に係る表示パネル70では、Y軸方向にそれぞれが延伸形成された複数条の第1バンク714と、X軸方向にそれぞれが延伸形成された複数条の第2バンク720とを備える。第1バンク714は、第2バンク720の上面に積層されている。
本変形例に係る表示パネル70では、隣り合う一対の第1バンク714と、隣り合う一対の第2バンク720とで囲繞された領域がそれぞれサブピクセル70a〜70cに相当する領域となる。
このような構成の、所謂、ラインバンク構造を採用する場合には、有機膜の平坦性を確保し易く、高い表示品質を得ることができる。
[変形例2]
図22(b)に示すように、変形例2に係る表示パネル80では、バンク814が、Y軸方向にそれぞれが延伸する複数条の第1バンク要素814aと、X軸方向にそれぞれが延伸する複数条の第2バンク要素814bとが一体に形成されてなる。そして、隣り合う一対の第1バンク要素814aと、隣り合う一対の第2バンク要素814bとで囲繞される領域がそれぞれサブピクセル80a〜80cに相当する領域となる。
このような構成の、所謂、ピクセルバンク構造を採用する場合には、サブピクセル80a〜80c間でのクロストークといった問題を生じ難く、高い表示品質を得ることができる。
[樹脂層中におけるゲッター粒子およびスペーサー粒子についての考察]
上記実施の形態では、樹脂層13中の少なくとも一部領域にゲッター粒子131およびスペーサー粒子132が分散された構成を一例として説明したが、ELパネル部11の被覆層である樹脂層中に分散させる粒子について、以下で考察する。
(1)ゲッター粒子
(粒子の材料)
上記実施の形態では、一例として、合成ゼオライト(5A型)からなる粒子を採用することとした。しかし、本発明は、ゲッター粒子の材料をこれに限定するものではなく、合成ゼオライトの他、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛などを用いることもできる。
また、樹脂層中に分散させるゲッター粒子の材料については、1種類に限定されるものではなく、ゲッター特性や光散乱特性などを考慮して、互いに異なる材料からなる複数種類の粒子を分散させることとしてもよい。
上記の乾燥剤を構成する金属のイオン化エネルギが、電子注入層(もしくは電子輸送層)に使用される金属のイオン化エネルギに比べ小さくなることが望ましい。電子注入層(もしくは電子輸送層)には、一般的に発光層への電子注入特性を向上させるために、アルカリ金属やアルカリ土類金属が使用される。これらの金属のイオン化エネルギは非常に大きい。乾燥剤を構成する金属のイオン化エネルギが、それら電子注入層(もしくは電子輸送層)の金属のイオン化エネルギよりも小さいとき、乾燥剤が水分を吸着した後、乾燥剤中の金属と電子注入層(もしくは電子輸送層)中の金属との間で、イオン交換され、電子注入層(もしくは電子輸送層)に中の金属が酸化される。また、乾燥剤としては、水分を物理吸着する合成ゼオライトのようなものを使用することがより望ましい。
(粒径)
上記実施の形態では、一例として、図8に示すような分布を有するゲッター粒子を樹脂層13に分散させることとしたが、本発明では、平均粒径D50が0.4μm以上10μm以下の範囲内にあれば同様の効果を得ることができる。
(粒子の濃度)
上記実施の形態では、樹脂層13中におけるゲッター粒子の濃度については、一例として、0.001wt%以上10wt%以下とすることができるものとした。ただし、ゲッター粒子の濃度については、これに限定されるものではなく、樹脂層との関係において、樹脂層の面積1cm2当たりのゲッター粒子の総表面積が0.2cm2以下となるようにすることができる。
また、ゲッター粒子の濃度については、光散乱特性およびゲッター特性に加え、樹脂層でのクラック発生や濁りなどとも密接に関連する。このため、優先する特性との関係で次のように詳細に規定することもできる。
(2)スペーサー粒子
(粒子の材料)
スペーサー粒子の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂の何れか、あるいは、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体の何れかの架橋構造を有する樹脂などを用いることができる。
(粒径)
スペーサー粒子の粒径については、平均粒径D50が1μm以上100μm以下、より望ましくは5μm以上30μm以下とすることができる。
また、パネル同士の貼り合わせの際に、スペーサー粒子に対して局所的な荷重が加わらないようにするという観点から、Cv値を3%以下とすることが望ましい。
(粒子の濃度)
樹脂層の製造過程において、固形分の濃度を、分散液全体の0.05wt%以上5wt%以下とすることができる。
(その他)
スペーサー粒子の硬度については、余り高過ぎると、パネル貼り合わせの際の有機機能層へのダメージ軽減という観点から、10%圧縮弾性率が2GPa以上6GPa以下のものを採用することができる。
[その他の事項]
上記実施の形態および変形例1,2では、有機発光デバイスの一例として表示パネル10,70,80を適用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、有機EL照明などに本発明の構成を適用することも可能である。
また、上記実施の形態および変形例1,2では、アクティブマトリクス型の表示パネル10,70,80を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、パッシブマトリクス型の表示パネルに適用することも可能である。
また、図4などに示すように、上記実施の形態では、それぞれが平面視矩形状をした3つのサブピクセル10a〜10cの組み合わせを以って1ピクセルを構成することとしたが、各サブピクセルの平面視形状や、1ピクセルを構成するサブピクセル数については、これに限定を受けるものではない。例えば、各サブピクセルの平面視形状は、三角形や六角形、あるいは八角形などとすることできるし、全体としてハニカム形状とすることもできる。1ピクセルを構成するサブピクセル数については、4つのサブピクセルとすることもできるし、それ以上とすることもできる。その場合には、1ピクセルを構成するサブピクセルが互いに異なる発光色であるとすることもできるし、一部が同色の発光を行うものとすることもできる。
また、上記構成の樹脂層13については、他の領域に介在させることもできる。例えば、ELパネル部11の基板として樹脂基板などを採用する場合には、当該樹脂基板とTFT層との間に介在させることもできる。このような構成を採用する場合には、例えば、TFT層における半導体として有機半導体を使用する場合にあっても、アウトガスや外部からの水分および酸素などから半導体層を保護することが可能となる。
また、上記実施の形態では、樹脂層13に分散されるゲッター粒子およびスペーサー粒子について、粒径をもってサイズを規定したが、当該粒径については、例えば、動的光散乱法(レーザー光散乱法)を用い測定できる。勿論、他の測定方法を用い測定もでき、その場合には、換算を行うことで規定の範囲内にあることを確認できる。
また、ゲッター粒子およびスペーサー粒子の外形については、完全な球形である必要はない。その場合には、例えば、体積あるいは表面積などで換算することで上記粒径の範囲内にあることを確認することができる。
また、上記実施の形態では、樹脂層中にゲッター粒子とスペーサー粒子とを分散させることとしたが、スペーサー粒子については、必ずしも分散させなくてもよい。この場合にも、ゲッター作用を得られ、また、光の透過および外光の反射という観点での作用・効果を上記のように得ることはできる。
本発明は、高い発光品質を有する有機発光デバイスおよび有機表示装置を実現するのに有用である。
1.有機EL表示装置
10,70,80.表示パネル
10a、10b、10c,70a,70b,70c,80a,80b,80c.サブピクセル
11.ELパネル部
12.CFパネル部
13.樹脂層
20.駆動・制御回路部
21〜24.駆動回路
25.制御回路
110.TFT基板
111.絶縁層
112.アノード
113.ホール注入層
114,814.バンク
115.ホール輸送層
116.有機発光層
117.電子輸送層
118.カソード
119.封止層
130.樹脂部
131.ゲッター粒子
132.スペーサー粒子
714.第1バンク
720.第2バンク
814a.第1バンク要素
814b.第2バンク要素
1300.樹脂剤

Claims (14)

  1. 互いの間に隙間をあけて対向配置された第1パネルおよび第2パネルと、
    前記第1パネルと前記第2パネルとの両パネルに接触するように、その間に挿設された
    被覆層とを備え、
    前記第1パネルが、第1基板と、構成中に有機層を含み、前記第1基板の一方の主面上に形成され、前記第1基板とは反対側に光を出射する発光部とを有し、
    前記被覆層が、前記発光部からの光を透過する層であって、その少なくとも一部領域に、複数の粒子が分散されており、
    前記複数の粒子の各々は、合成ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛から選択される材料からなり、
    粒径パラメータを横軸に、散乱効率を縦軸にとったときに、前記散乱効率が最大値となる前記粒径パラメータの値以上の領域で、前記複数の粒子の平均粒径D50が設定されており、
    前記複数の粒子により第1の粒子群が構成されてなるとするとき、
    前記被覆層には、その少なくとも一部領域に、前記第1の粒子群を構成する前記複数の粒子とは別の、第2の粒子群を構成する複数の粒子も分散されており、
    前記第2の粒子群を構成する各粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂の何れか、あるいは、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体の何れかの架橋構造を有する樹脂からなり、
    前記第1の粒子群を構成する前記複数の粒子の平均粒径をD50 (1) 、前記第2の粒子群を構成する前記複数の粒子の平均粒径をD50 (2) とするとき、
    D50 (2) >D50 (1) の関係を充足する
    ことを特徴とする有機発光デバイス。
  2. 0.4μm≦D50≦10μm
    の関係を充足する
    請求項1記載の有機発光デバイス。
  3. 3μm≦D50≦10μm
    の関係を充足する
    請求項1記載の有機発光デバイス。
  4. 前記複数の粒子は、前記被覆層における前記少なくとも一部領域に対し、1cm2当たりの総表面積が0.2cm2以下となる量で含まれている
    請求項1から請求項3の何れか記載の有機発光デバイス。
  5. 前記被覆層は、樹脂材料からなる樹脂部に対して、前記複数の粒子が分散されてなり、
    前記複数の粒子の平均粒径D50が2μm以上である
    請求項1記載の有機発光デバイス。
  6. 前記樹脂部に対する前記粒子の屈折率比が0.97以上である
    請求項5記載の有機発光デバイス。
  7. 前記被覆層は、樹脂材料からなる樹脂部に対して、前記複数の粒子が分散されてなり、
    前記樹脂部に対する前記粒子の屈折率比が1.3以上であって、
    前記複数の粒子の平均粒径D50が0.5μm以上である
    請求項1記載の有機発光デバイス。
  8. 前記第2の粒子群を構成する各粒子は、前記樹脂部に対する屈折率差が、前記第1の粒子群を構成する各粒子よりも小さい
    請求項記載の有機発光デバイス。
  9. 1μm≦D50(2)≦100μm
    の関係を充足する
    請求項または請求項記載の有機発光デバイス。
  10. 5μm≦D50(2)≦30μm
    の関係を充足する
    請求項または請求項記載の有機発光デバイス。
  11. 前記第2の粒子群のCv値をCv(2)とするとき、
    Cv(2)≦3%
    の関係を充足する
    請求項1から請求項10の何れか記載の有機発光デバイス。
  12. 前記第2の粒子群を構成する各粒子は、10%圧縮弾性率が2GPa以上6GPa以下の範囲にある
    請求項1から請求項11の何れか記載の有機発光デバイス。
  13. 前記被覆層における前記発光部からの光の透過率は、98%以上である
    請求項1から請求項12の何れか記載の有機発光デバイス。
  14. 表示パネルと、
    前記表示パネルに接続された制御駆動回路と、
    を備え、
    前記表示パネルとして、請求項1から請求項13の何れかのデバイス構造が採用されている
    ことを特徴とする有機表示装置。
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