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JP6027349B2 - 絶縁電線及びそれを用いたコイル - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及びそれを用いたコイルに関する。さらに詳しくは、高い部分放電開始電圧、優れた溶接性及び優れた長期熱劣化後の可とう性を有する絶縁電線及びそれを用いたコイルに関する。
近年、産業用モータは、小型・軽量で高出力なものが望まれていることから、インバータ制御にて駆動されることが増えつつある。この高電圧駆動化に対して、インバータサージの重畳と相俟って、モータの絶縁電線に部分放電が発生するリスクが高まり、インバータサージ絶縁の対応が急務となっている。
これまでの部分放電開始電圧(PDIV:Partial Discharge Inception Voltage)が低い絶縁電線は、部分放電が発生しやすく、これにより皮膜が徐々に侵食され、最終的には絶縁破壊に至る。従って、産業用モータのコイル等に十分に適するものではなかった。この部分放電に対する耐性を向上させる手法として、ポリイミド絶縁塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)から形成されたポリイミド樹脂からなる絶縁皮膜(絶縁層)の誘電率を低下させて、部分放電を発生しにくくし、耐性を向上させる方法等が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2010−067408号公報 特開2010−153099号公報
従来の絶縁電線では、極性基の割合が多く、誘電率が高いため、十分な部分放電開始電圧は得られない。特許文献1に記載の方法では、従来に比べ部分放電開始電圧は向上するものの、可とう性等機械的特性に弊害をもたらすおそれがある。また、近年、絶縁電線は、例えば、モータ作製時のコイルとして使用される場合、高温環境下での使用も想定されており、高長期の耐熱劣化性(皮膜の可とう性)や、溶接性が重要となっている。しかし、これまで、上述したような耐部分放電性、耐熱劣化性、溶接性を満足するような絶縁電線はなく、開発が急務となっていた。
上述の問題を解決するため、本発明は、高い部分放電開始電圧、優れた溶接性及び優れた長期熱劣化後の可とう性を有する絶縁電線、及びそれを用いたコイルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者等は、特定の構造を導入したポリイミド樹脂からなる絶縁層を用いることで、高いPDIV、優れた高温での溶接性及び優れた長期耐熱劣化を有する、モーターのコイル等の用途に適した絶縁電線を実現するに至った。
すなわち、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とから構成されるポリイミド樹脂に、ジアミン部分の構成成分として、長鎖ジアミンである2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を導入して、得られるポリイミド樹脂を絶縁電線の絶縁層に用いることによって、絶縁電線の比誘電率が低下し、高いPDIVを有する絶縁電線が達成される。
また、2種の繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とを差別化する、それぞれのジアミン部分の構成成分であるODAとBAPPとの割合(モル比)を、(ODA)/(BAPP)=50/50以上及び90/10以下の範囲とすることが好ましく、このように構成することで、従来のポリイミド樹脂に比べ、高いPDIVと、高温での溶接性及び長期の耐熱劣化性を満足する絶縁電線を実現することができる。従って、具体的には、上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の絶縁電線及びそれを用いたコイルが提供される。
[1]導体と、前記導体の外周に設けられた、下記式(A)で表される繰返し単位と、下記式(B)で表される繰返し単位とを、モル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))で、80/20以上及び90/10以下(ただし、前記繰返し単位(B)が12モル%以下の場合を除く)の範囲でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる溶剤中に溶解されて含有されたポリミド樹脂前駆体絶縁塗料を前記導体上に塗布し、焼付けすることによって得られるとともに、300℃における貯蔵弾性率が、1000MPa以上であるポリイミド樹脂からなる絶縁層と、を備え、前記ポリイミド樹脂の融点よりも高い熱が前記絶縁層に加わるように溶接されるのに用いられる絶縁電線。
[2]前記ポリイミド樹脂は、前記繰返し単位(A)及び繰返し単位(B)のテトラカルボン酸二無水物部分の構成成分であるピロメリット酸二無水物(PMDA)と、ジアミン部分の構成成分である4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)とが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる溶剤中に溶解されて含有されたポリミド樹脂前駆体絶縁塗料を、皮膜化することによって得られるものである前記[1]に記載の絶縁電線。
[3]前記[1]又は[2]に記載の絶縁電線を用いたコイル。
本発明によれば、高い部分放電開始電圧、優れた溶接性及び優れた長期熱劣化後の可とう性を有する絶縁電線、及びそれを用いたコイルを提供することができる。
[実施の形態の要約]
本実施の形態の絶縁電線は、導体と、導体の外周に設けられたポリイミド樹脂からなる絶縁層とを備えた絶縁電線において、前記絶縁層は、上記式(A)で表される繰返し単位と、上記式(B)で表される繰返し単位とを、モル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))で、50/50以上及び90/10以下の範囲で含有するとともに、300℃における貯蔵弾性率が、1000MPa以上であるポリイミド樹脂からなるものである。
以下、本発明の絶縁電線の好適な一の実施の形態について説明する。
本実施の形態の絶縁電線は、上述のように、導体と、前記導体の外周に設けられた、上記式(A)で表される繰返し単位と、上記式(B)で表される繰返し単位とを、モル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))で、50/50以上及び90/10以下の範囲で含有するとともに、300℃における貯蔵弾性率が、1000MPa以上であるポリイミド樹脂からなる絶縁層と、を備えて構成される。
ポリイミド樹脂を構成する繰返し単位(B)が、モル比で50を超えると、高温環境下で長時間曝された場合、皮膜化した時に、皮膜が脆化する。また、高温での弾性率が低下し、加工した際に、皮膜の変形や膨れのリスクを生じる。
繰返し単位(B)が、モル比で10未満であると、誘電率が大きくなり、高PDIV化の効果が期待できない。従って、繰返し単位(B)は、モル比で10〜50であることが必要である。
ポリイミド樹脂の300℃の弾性率は、加工性を考慮すると、1000MPa以上であることが必要である。これは、導体の外周に形成された絶縁層が、繰返し単位(A)及び繰返し単位(B)を含有し、300℃における弾性率が1000MPa以上であるポリイミド樹脂からなることによって、長期的に絶縁層に熱が加わっても、絶縁層が劣化しにくく、また、瞬間的に絶縁層にポリイミド樹脂の融点よりも高い熱が加わっても、劣化しにくいからである。このような絶縁層を備えた構成とすることによって、高温での溶接性、長期耐熱劣化性に優れた絶縁電線とすることができる。特に、長期の耐熱劣化性を考慮すると、繰返し単位(B)は、モル比で、10〜30であることが好ましい。
また、前記ポリイミド樹脂は、後述するように、例えば、前記繰返し単位(A)及び繰返し単位(B)のテトラカルボン酸二無水物部分の構成成分であるピロメリット酸二無水物(PMDA)と、ジアミン部分の構成成分である4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)とが、所定の溶剤中に溶解されて含有されたポリミド樹脂前駆体絶縁塗料を、皮膜化することによって得られるものである。
本実施の形態に用いられるポリイミド樹脂は、上述の特性を損なわない範囲において、繰返し単位(A)及び繰返し単位(B)以外の繰返し単位を含んでもよい。以下に、本実施の形態に使用することができる化合物の例を示す。
「テトラカルボン酸二無水物成分」
テトラカルボン酸二無水物成分としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)等を挙げることができる。
「ジアミン成分」
ジアミン成分としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)、1,4−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等、又はそれらの異性体を挙げることができる。
本実施の形態に用いられるポリイミド樹脂を得る手法としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、上述の2種の繰返し単位(繰返し単位(A)及び繰返し単位(B))を構成する成分であるODA及びBAPPを含むジアミンとを共重合させる手法が挙げられる。また、繰返し単位(A)を有するポリイミド樹脂を所定の溶剤に溶解させたものと、繰返し単位(B)を有するポリイミド樹脂を所定の溶剤に溶解させたものとを、それぞれ混合することによっても得ることができるが、これに限定されるわけではない。
本実施の形態に用いられるポリイミド樹脂では、テトラカルボン酸二無水物と、ODA及びBAPPを含むジアミンとの配合比(モル比)を100:100からずらしてもよい。テトラカルボン酸二無水物やジアミンのいずれかを過剰に配合し(例えば、103:100)、分子量制御を行うことで作業の改善を図ってもよい。要するに、上記特性を損なわない範囲であれば特に制限はない。
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のポリイミド樹脂の合成反応を阻害しない溶剤を併用して合成してもよいし、希釈してもよい。また、希釈用途として、芳香族アルキルベンゼン類等を併用してもよい。但し、ポリイミド樹脂の溶解性を低下させるおそれがある場合は考慮する必要がある。
本実施の形態の絶縁電線としては、例えば、断面が、丸形状若しくは四角形状の導体の外周、又は他の皮膜の外周に、ポリイミド樹脂層、例えば、ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を、絶縁層(皮膜)として、塗布・焼付けによって皮膜化したもの、を形成したものを挙げることができる。
また、例えば、絶縁層(皮膜)の外周に、潤滑性を付与するための潤滑付与層、耐傷性を付与する耐傷性付与層、及び可とう性付与層、また、絶縁層(皮膜)の内周と導体の外周との間に、密着性付与層等を塗布焼付け等により形成してもよい。
また、導体は、銅導体からなり、主に無酸素銅や低酸素銅等が使用される。なお導体にはこれに限定されるものではなく、例えば、銅の外周にニッケル等の金属めっきを施した導体も使用可能である。
本発明の絶縁電線を用いたコイルとしては、特に制限はなく、本発明の絶縁電線を用い、汎用の方法によって製造することができる。
以下に、本発明の絶縁電線を、実施例を用いてさらに具体的に説明する。但し、実施例1,3,4は参考例である。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
(実施例1)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を360.9g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を82.2g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)436.9gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を、直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=90/10とした。
(実施例2)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を306.2g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を156.8g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)417.0gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=80/20とした。
(実施例3)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を256.2g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を225.0g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)398.8gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=70/30とした。
(実施例4)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を168.3g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を344.9g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)366.8gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=50/50とした。
(比較例1)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を390.3g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を42.1g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)447.6gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=95/5とした。
(比較例2)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を129.5g、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を397.9g、NMP3120gに溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)352.6gを溶解させ、窒素中、室温で12時間撹拌し、ポリアミック酸塗料(ポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料)を得た。また、得られたポリイミド樹脂前駆体絶縁塗料を直径が0.8mmの導体上に塗布、焼付けを繰り返し皮膜厚40μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する絶縁電線を得た。この場合、繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))=40/60とした。
(絶縁電線の特性評価)
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた絶縁電線の特性(長期熱劣化試験、溶接性及び部分放電開始電圧(PDIV))を以下のようにして評価した。
「部分放電開始電圧(PDIV(Vp))」
JIS記載の方法により、ツイストペアの絶縁電線のサンプルを作製し、端部から10mmの位置まで絶縁皮膜を削って端末処理部を形成した。測定は耐圧モードで行い端末処理部に電極を接続し、23℃×50%RH雰囲気で50Hzの電圧を10〜30V/sで昇圧させながら、ツイストペアの絶縁電線に100pCの放電が1秒間に50回発生する電圧まで昇圧して行った。これを3回繰返し、それぞれの値の平均値を部分放電開始電圧とした。皮膜厚40μmで、920Vp以上を○、920Vp未満を×とした。
「長期熱劣化試験(可とう性)」
得られた絶縁電線を、220℃の恒温槽に投入し、500hr熱劣化試験を行った。熱劣化試験後の皮膜の可とう性試験を行い、5倍径で割れが生じないもの(5d以上の場合)を合格(○)とし、5倍径で割れが生じた(5d未満の場合)を×とした。
「溶接性」
得られた絶縁電線を、ティグ(Tig)溶接した際、外観良好なもの(皮膜の膨れ等外観に異常がない場合)を○、膨れ等が生じ外観が悪化する場合を×とした。
なお、「貯蔵弾性率」は、各絶縁塗料を用いて、5mm×20mm×25μm(厚さ)のシート状の評価用絶縁皮膜を作製した。次に、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御(株)製DVA−200)を用いて、室温から400℃まで10℃/minで昇温し、1Hz振動時の評価用絶縁皮膜の貯蔵弾性率を測定した。
最後に、実施例1〜4及び比較例1〜2において用いられたポリイミド樹脂の繰返し単位(A)と繰返し単位(B)とのモル比及び貯蔵弾性率、並びに特性評価の結果を、表1にまとめて示す。
(1)貯蔵弾性率:300℃で1000MPa以上を○、1000MPa未満を×
(2)長期熱劣化:220℃で500hr加熱後の可とう性試験で、5d以上を○、5d未満を×
(3)溶接性:溶接性試験後の溶接部近傍の皮膜に膨れ等の発生がないものを○、発生のあるものを×
(4)PDIV:23℃×50%RHの環境下で、920Vp以上を○、920Vp未満を×
表1に示すように、実施例1〜4に係る絶縁電線は、部分放電開始電圧(PDIV)が高く、かつ、高温での溶接性、長期耐熱劣化に優れることが分かる。
他方、比較例1に係る絶縁電線は、高温での溶接性、長期耐熱劣化に優れるものの、部分放電開始電圧(PDIV)が低い結果であった。また、比較例2に係る絶縁電線は、部分放電開始電圧(PDIV)が高いものの、高温での溶接性、長期耐熱劣化が劣る結果であった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記した実施の形態及び実施例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

Claims (3)

  1. 導体と、
    前記導体の外周に設けられた、下記式(A)で表される繰返し単位と、下記式(B)で表される繰返し単位とを、モル比(繰返し単位(A)/繰返し単位(B))で、80/20以上及び90/10以下(ただし、前記繰返し単位(B)が12モル%以下の場合を除く)の範囲でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる溶剤中に溶解されて含有されたポリミド樹脂前駆体絶縁塗料を前記導体上に塗布し、焼付けすることによって得られるとともに、300℃における貯蔵弾性率が、1000MPa以上であるポリイミド樹脂からなる絶縁層と、を備え、
    前記ポリイミド樹脂の融点よりも高い熱が前記絶縁層に加わるように溶接されるのに用いられる絶縁電線。
  2. 前記ポリイミド樹脂は、前記繰返し単位(A)及び繰返し単位(B)のテトラカルボン酸二無水物部分の構成成分であるピロメリット酸二無水物(PMDA)と、ジアミン部分の構成成分である4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)とが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる溶剤中に溶解されて含有されたポリミド樹脂前駆体絶縁塗料を、皮膜化することによって得られるものである請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 請求項1又は2に記載の絶縁電線を用いたコイル。

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