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JP6086534B2 - 農作物排出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、農作物排出装置に関する。
従来、排出オーガから穀粒を排出するコンバインの技術は公知である(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載のコンバインは、容器に容器内を撮影可能なカメラを設けている。そして、当該コンバインは、排出オーガの排出口が容器の直上方に存在している状態で、カメラによって撮影された画像の分析結果に基づいて排出オーガの排出口を移動制御する。
これにより、穀粒を容器の全体に空隙無く均一に収納することが可能となる。
しかし、この前段階では、作業者は、コンバインを容器の近くへ移動させて、コンバインの容器に対する位置決めを行い、そして、コンバインの操縦部から、容器の位置を目視で確認して、そして、手動で排出オーガ用の操作具を操作して、排出オーガの排出口を容器の直上方まで移動させていた。そして、作業者は、排出オーガの排出口が容器の直上方まで到達したか否かを目視で確認して、排出オーガの排出口が容器まで届いていないときには、コンバインを移動させて、コンバインの容器に対する位置決めを再度行っていた。このとき、コンバインの操作が作業者の感覚に頼って行われていたため、作業者の熟練度によっては、作業時間がかかり、作業性が低下するおそれがあった。
特開2008−182945号公報
本発明は、農作物の排出作業の際に、作業者の熟練度による作業時間のばらつきを抑えられ、作業性を向上させることが可能な農作物排出装置を提供する。
請求項1に記載の農作物排出装置は、
収穫した農作物を機体外部へ排出する排出手段を有し、前記排出手段には農作物の排出口及び関節が設けられ、前記関節を動かすことにより前記排出口を移動させることができる走行型収穫機に関して、前記排出手段の排出口から容器内へ農作物を排出させるための農作物排出装置であって、
前記走行型収穫機の機体の側部に設けられる撮像手段と、
前記容器の側部に設けられるマーカーと、
前記機体の走行時に、前記撮像手段により撮像される前記マーカーの画像に基づいて、前記機体と前記マーカーの位置関係を把握して、前記機体が前記マーカーに対して所定の位置まで到達したと判断したときには、前記機体を停止させる機体停止手段と、
を備え、
前記所定の位置は、前記排出手段の排出口から前記容器内に、農作物を排出可能な位置に設定される。
請求項2に記載の農作物排出装置においては、
前記走行型収穫機はコンバインであり、前記排出手段は前記コンバインの排出オーガである。
請求項3に記載の農作物排出装置においては、
前記機体停止手段は、前記機体の走行時で、前記撮像手段により撮像される画像内に前記マーカーが写っていると判断したときに、前記機体を減速させる。
請求項4に記載の農作物排出装置においては、
前記機体停止手段により前記機体が停止された後に、前記撮像手段により撮像される前記マーカーの画像に基づいて、前記機体の停止位置と、前記所定の位置との間の位置ずれ量を算出して、前記位置ずれ量が生じている場合、又は、前記位置ずれ量が所定値以上になる場合には、前記位置ずれ量をなくすように前記機体を移動させる停止位置調整手段を備える。
請求項1に記載の農作物排出装置によれば、機体停止手段により、機体の容器に対する位置決めが行われるので、横付け作業時に、作業者が感覚に頼って機体を停止させる必要がなくなる。これにより、作業者の熟練度による作業時間のばらつきが抑えられ、作業性を向上させることが可能となる。
請求項2に記載の農作物排出装置によれば、機体停止手段により、機体の容器に対する位置決めが行われるので、横付け作業時に、作業者が感覚に頼って機体を停止させる必要がなくなる。これにより、作業者の熟練度による作業時間のばらつきが抑えられ、作業性を向上させることが可能となる。
請求項3に記載の農作物排出装置によれば、機体停止手段は、機体の速度を減速させて、撮像手段の画像のブレを抑えた状態で、機体が容器に対して前記所定の位置まで到達したか否かを判断して、機体を停止させるタイミングを決定することが可能となる。従って、機体停止手段は、機体を前記所定の位置でより精度よく停止させることが可能となる。
請求項4に記載の農作物排出装置によれば、停止位置調整手段は、機体が停止している状態で、すなわち、撮像手段により撮像されるマーカーの画像にブレが生じにくい状態で、機体の停止位置と、前記所定の位置との間の位置ずれ量を算出するので、仮に、機体の停止位置と所定の位置との間に位置ずれが発生していたとしても、精度よく位置ずれ量を算出することが可能である。従って、停止位置調整手段は、機体を移動させる場合には、機体を前記所定の位置へ精度よく移動させることが可能となる。
コンバインの側面図。 排出オーガの構造を示す図。 (a)搬送車の上面図、(b)搬送車の側面図、(c)マーカーの正面図。 コンバインの制御機構の構成を示すブロック図。 制御フローを示すフローチャート。 (a)機体を走行させている状態を示す図、(b)機体を搬送車に横付けした状態を示す図。 (a)排出オーガから容器内に穀粒を排出している状態を示す上面図、(b)図8(a)の一部拡大斜視図。 (a)機体の停止位置Pと所定の位置P’との間に位置ずれが発生している状態を示す図、(b)機体を所定の位置P’へ移動させた状態を示す図。
農作物排出装置100は、コンバイン1の排出オーガ17から容器61内へ穀粒を排出させるためのものである。
以下では、コンバイン1について説明し、農作物排出装置100の説明は後述する。
図1に示すように、コンバイン1は、エンジン3、走行部4、刈取部5、脱穀部6、選別部7、穀粒排出部8、及び排藁処理部9を備える。
コンバイン1は、エンジン3の動力を、走行部4、刈取部5、脱穀部6、選別部7、穀粒排出部8、及び排藁処理部9に伝達して、これらの各部を駆動させる。
走行部4は、機体2の下部に設けられる。走行部4は、エンジン3からの動力を変速する変速機構(HST等)3a、及び左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置10を備える。
クローラ式走行装置10は、エンジン3の動力を伝達されて駆動する。これにより、機体2が走行する。
刈取部5は、機体2の前部に昇降可能に設けられる。刈取部5は、分草具11、引起部12、刈取搬送部13及び切断部14を有する。
刈取部5は、圃場の穀稈を分草具11により分草し、分草後の穀稈を引起部12により引き起こし、引起後の穀稈を刈取搬送部13により後方へ搬送しつつ切断部14により切断し、切断後の穀稈を刈取搬送部13により脱穀部6に向けてさらに後方へ搬送する。
脱穀部6は、機体2の左上側に配置される。脱穀部6は、フィードチェン、扱胴、及び処理胴を有する。
脱穀部6は、刈取部5から搬送されてきた刈取後の穀稈を前記フィードチェンにより受け継いで後方へ搬送し、その搬送中の穀稈を前記扱胴により脱穀し、脱穀後の処理物を選別部7に向けて下方へ漏下させる。
また、脱穀部6は、前記扱胴により脱穀されなかった未処理物を、扱室から送塵口を介して処理室に搬送して、前記処理胴により処理する。そして、前記処理胴による処理物は、選別部7へ落下する過程で処理胴網により選別される。なお、前記扱室内の未処理物はその移動速度(滞留時間)を送塵弁により調節される。前記処理胴網から受樋へと落下した処理物は、リターンコンベアにより前方に搬送され、前記リターンコンベアの前端に設けられた排気口から選別部7に投入される。
選別部7は、機体2の左下側に配置される。選別部7は、揺動選別装置、風選別装置、及び穀粒搬送装置(一番コンベア、揚動装置、二番コンベア、及び二番還元装置)、エンジン3の動力を前記穀粒搬送装置に伝達する選別ベルトを有する。
選別部7は、脱穀部6から落下してきた処理物を前記揺動選別装置により揺動選別し、揺動選別後のものを前記風選別装置により風選別し、風選別後のもののうち、一番物を前記一番コンベアにより前記揚動装置へ搬送して、つづいて前記揚動装置により穀粒排出部8のグレンタンク15へ搬送する。
また、選別部7は、二番物を前記二番コンベアにより前記二番還元装置へ搬送して、つづいて前記二番還元装置により脱穀部6の扱室又は前記揺動選別装置の上方空間へ搬送する。その後、二番物は、脱穀されて、又は脱穀されずに、前記揺動選別装置及び風選別装置により再選別される。
穀粒排出部8は、グレンタンク15、穀粒センサ16、排出オーガ17、及びスクリューコンベアを有する。グレンタンク15は、機体2の右後側に配置されており、グレンタンク15にはグレンタンク15内の穀粒の収容量を検出する穀粒センサ16が設けられている。グレンタンク15には排出オーガ17が接続されている。排出オーガ17は、機体2上部にて、グレンタンク15の後部から前方へ突出している。排出オーガ17の先端には、穀粒を排出するための排出口17aが形成されている。グレンタンク15及び排出オーガ17には、前記スクリューコンベアが内設されている。前記スクリューコンベアは、テンションプーリ状のオーガクラッチ19を介してエンジン3に接続されており、エンジン3の動力を伝達されて駆動する。オーガクラッチ19には、オーガクラッチ19の入切を行うためのアクチュエータ(モータ)21が接続されている。
グレンタンク15内の穀粒は前記スクリューコンベアにより排出オーガ17内を搬送されて、排出オーガ17の排出口17aから機体2外部へ排出される。
排藁処理部9は、機体2の後側に配置される。排藁処理部9は、排藁搬送装置22、及び排藁切断装置23を有する。
排藁処理部9は、脱穀部6から搬送されてきた脱穀済みの排稈を、排藁として排藁搬送装置22により後方へ搬送して機体2の外部へ排出し、又は排藁切断装置23へ搬送し、排藁を排藁切断装置23へ搬送した場合には、排藁切断装置23により切断した後に機体2の外部へ排出する。
機体2の前側には操縦部20が設けられている。操縦部20には、運転席、ハンドル、走行レバー、変速レバー等の各種操作具が設けられている。
以下では、排出オーガ17及びその周辺の構成について説明する。
図2に示すように、排出オーガ17には、四つの関節J1〜J4が設けられている。関節J1〜J4は、排出オーガ17の先端へ向かって、第一関節J1、第二関節J2、第三関節J3、第四関節J4の順に配置されている。排出オーガ17の先端には、排出口17aが形成されている。
第一関節J1は回転関節(ねじり関節)であり、第二関節J2は回転関節(曲げ関節)であり、第三関節J3は直動関節であり、第四関節J4は回転関節(曲げ関節)である。
なお、本実施形態では、第四関節J4は、排出オーガ17の排出口17aの向きを変えるための関節である。第四関節J4の回転角度θは、排出オーガ17から穀粒排出を行わない場合は0度、行う場合は排出口17aが下方を向く90度に固定されていることとする。
なお、排出オーガ17に関しては、その関節が複数の回転関節で構成され、直動関節(第三関節J3)を有さないものであってもよい。
図2には、コンバイン1と排出オーガ17の運動学モデルが示されている。
コンバイン1は、圃場座標系ΣO−xにおいて、xy平面上を動くクローラ台車で、その位置座標は[ν ν、方向はθν、で示される。
また、コンバイン1の排出オーガ17は、四つの関節J1〜J4を備える、4自由度マニピュレータとみなすことができる。排出オーガ17は、コンバイン1の質量中心位置Oνから[ρcosθ ρsinθだけずれた位置Oに設けられている。4自由度の関節J1〜J4は、第三関節J3のみ直動関節で、それ以外の関節J1・J2・J4は回転関節である。各関節J1〜J4の関節変数は、それぞれθ、θ、d、θとし、排出オーガ17の基端(排出オーガ17と機体2との連結部)から第二関節J2までの高さをhとする。
コンバイン1(機体2)の座標系ΣOν−xνννから見た排出オーガ17の先端位置(排出口17aの位置)は、下記(数1)で示される。
これより、排出オーガ17の目標先端位置(排出口17aの目標位置)が与えられた場合の各関節J1〜J4の目標値を求める逆運動学問題は、下記(数2)で示される。
なお、第四関節J4は、排出口17aを下方に向けるため、θ=−π/2、とする。
図4に示すように、排出オーガ17の各関節J1〜J4には、各関節J1〜J4を動かすためのアクチュエータ31・32・33・34がそれぞれ接続されている。アクチュエータ31・32・33・34は、例えば、油圧シリンダやモータで構成される。各アクチュエータ31・32・33・34は、各関節J1〜J4を動かして、排出オーガ17先端位置(排出口17aの位置)を変更する。各アクチュエータ31・32・33・34には、各関節J1〜J4の関節変数θ・θ・d・θを検出するためのセンサ41・42・43・44がそれぞれ接続されている。
以下では、農作物排出装置100について説明する。
農作物排出装置100は、撮像手段110と、マーカー121と、制御装置130と、を備える。
図1、図6(a)及び図6(b)に示すように、撮像手段(カメラ)110は、機体2の側部に設けられている。撮像手段110は、排出オーガ17の基端部に取り付けられている。撮像手段110は、排出オーガ17が収納された状態で、排出オーガ17の基端部から、機体2の側方を撮像する姿勢に固定されている。なお、撮像手段110の取り付け位置については、機体2の側方を撮像できる位置であれば特に限定されない。
グレンタンク15内の穀粒は、排出オーガ17の排出口17aから、容器(穀粒タンク)61内へ排出される。
図3(a)及び図3(b)に示すように、容器61は、搬送車60の荷台に載置されている。搬送車60の荷台の側部には、板状部材が取り付けられており、前記板状部材の側面にはマーカー121が描かれている。これにより、マーカー121が容器61の側部に設けられた状態となっている。マーカー121は、搬送車60に対して外側横向きに配置されている。
図3(c)に示すように、マーカー121は、前記板状部材の縁側部121aを黒塗りにして、内側部121bを白塗りにして、内側部121b(白塗り部分)に黒文字で「A」と表示した外観を有している。
図3(c)に示すように、マーカー121に対する前後上下方向は、文字「A」の向きを基準にして設定されている。なお、図3(c)の紙面手前側を左方向として、紙面奥行き側を右方向とする。
図4に示すように、制御装置130は、機体停止手段131、排出口位置算出手段132、位置情報記憶手段133、排出口位置制御手段134、及び穀粒排出量制御手段135を有している。
機体停止手段131は、変速機構3a、ブレーキ機構等に接続されており、機体2の移動・停止位置等を制御することが可能である。
機体停止手段131には、穀粒排出モード操作具26が接続されている。穀粒排出モード操作具26は、作業者が穀粒排出作業を開始するとき(穀粒排出モードに移行するとき)に操作する操作具であり、例えば、ボタンやレバーで構成される。穀粒排出モード操作具26は、操縦部20に設けられている。作業者が、穀粒排出モード操作具26を操作すると、穀粒排出モード操作具26から機体停止手段131に信号が送信されるように構成されている。
機体停止手段131には、撮像手段110が接続されている。機体停止手段131は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得することが可能である。
排出口位置算出手段132は、排出オーガ17の排出口17aから穀粒が排出されるときの排出口17aの目標位置Pを算出するものである。排出口位置算出手段132が排出口17aの目標位置Pを算出するときの手順についての詳細な説明は後述する。
排出口位置算出手段132には、撮像手段110が接続されている。排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得することが可能である。
位置情報記憶手段133には、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の所定の位置関係に関する情報が記憶されている。この情報は、以下の手順で記憶される。
作業者は、予め、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の位置関係を決めておく。具体的には、作業者は、例えば、マーカー121から右方向にmメートル、上方向にnメートル離れた位置を、排出口17aの目標位置Pに設定するといったことを、予め決めておく(図3(a)及び図3(b)参照)。そして、作業者は、この予め決めておいた、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の位置関係に関する情報(前記所定の位置関係に関する情報)を、位置情報記憶手段133に記憶させておく。
排出口位置制御手段134には、アクチュエータ31・32・33・34が接続されている。排出口位置制御手段134は、アクチュエータ31・32・33・34を操作することによって、排出オーガ17の動作を制御して、排出口17aを移動させることが可能である。
排出口位置制御手段134には、センサ41・42・43・44が接続されている。排出口位置制御手段134は、各センサ41・42・43・44から各関節J1〜J4の関節変数θ・θ・d・θに関する情報を取得することが可能である。
穀粒排出量制御手段135には、アクチュエータ21に接続されている。穀粒排出量制御手段135は、アクチュエータ21を操作して、オーガクラッチ19の入切操作を行うことで、前記スクリューコンベアの動作を制御して、排出オーガ17の排出口17aからの穀粒の排出・停止を切り換えることが可能である。
穀粒排出量制御手段135には、穀粒センサ16が接続されている。穀粒排出量制御手段135は、穀粒センサ16から、グレンタンク15内の穀粒の収容量に関する情報を取得することが可能である。
以下では、穀粒の排出作業が行われるときの手順ステップS1〜S9について、図5を参照して説明する。
ステップS1において、作業者は、圃場内においてコンバイン1を操作して刈取作業を行い、刈取作業が終了すると、穀粒排出モード操作具26を操作する。これにより、機体停止手段131が穀粒排出モード操作具26から信号を受信して、穀粒排出モードに移行する。そして、作業者は、機体2を走行させて、圃場外に駐車された搬送車60に対して、機体2を横付けするために近づけていく(図6(a)参照)。そして、作業者は、搬送車60の側方で、機体2を前後方向に走行させて、機体2が搬送車60の側方を通過するときに、機体2の側部に設けられる撮像手段110と、搬送車60の側部に設けられるマーカー121とが、略対向するようにする。
ステップS2において、作業者が機体2を走行させている状態で、機体停止手段131は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得して、当該画像に対して二値化処理を行い、そして、当該画像内のマーカー121を特定する。
ステップS3において、作業者が機体2を走行させている状態で、機体停止手段131は、撮像手段110の画像内のマーカー121を特定すると、公知の画像処理解析技術を用いて、機体2とマーカー121の位置関係を把握する。排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像されたマーカー121の文字「A」の画像と、予め記憶されているマーカー121の文字「A」の形状・サイズ等に関する情報と、を比較することで、機体2とマーカー121との位置関係を把握する。
ステップS4において、作業者が機体2を走行させている状態で、機体停止手段131は、機体2がマーカー121に対して所定の位置まで到達したと判断したときには、エンジン3を駆動させたままの状態で、機体2を停止させる(図6(b)参照)。前記所定の位置は、排出オーガ17の排出口17aから容器61内に、穀粒を排出可能な位置である。前記所定の位置は、マーカー121と容器61の位置関係や、排出オーガ17の可動範囲(各関節J1〜J3の関節変数θ・θ・dの取りうる値の範囲)を考慮して、予め決定されている。
その結果、コンバイン1は、排出オーガ17の排出口17aを、容器61の直上方まで届かせることができる位置で停止している状態となる。
ステップS5において、排出口位置算出手段132は、機体2に対するマーカー121の位置(機体2の座標系ΣOν−xνννから見たマーカー121の位置)を算出する。マーカー121の位置は以下のように算出される。
排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像されたマーカー121の文字「A」の画像と、予め記憶されているマーカー121の文字「A」の形状・サイズ等に関する情報と、を比較することで、撮像手段110とマーカー121との位置関係、及び文字「A」の向きを算出する。そして、排出口位置算出手段132は、上記算出した撮像手段110とマーカー121との位置関係に関する情報と、予め記憶されている撮像手段110の取り付け位置に関する情報に基づいて、機体2に対するマーカー121の位置を算出する。なお、撮像手段により撮像された画像内の、特定の物体(マーカー121)の位置を算出する画像処理解析技術については公知であるため詳細な説明は省略する。
ステップS6において、排出口位置算出手段132は、算出したマーカー121の位置に対して所定の位置関係を有する位置を、排出口17aの目標位置Pとして算出する。
前記所定の位置関係に関する情報は、位置情報記憶手段133に記憶されているものである。
本実施形態では、位置情報記憶手段133には、排出口17aの目標位置Pを、マーカー121から右方向にmメートル、上方向にnメートル離れた位置に設定する旨の情報が記憶されていることとする(図3(a)及び図3(b)参照)。
排出口位置算出手段132は、前記所定の位置関係に関する情報を位置情報記憶手段133から取得して、この取得した情報を用いて、排出口17aの目標位置Pを算出する。
また、排出口位置算出手段132は、排出口17aの目標位置Pを、機体2の座標系ΣOν−xνννから見た値で算出する。
ステップS7において、排出口位置制御手段134は、各関節J1〜J3の関節変数θ・θ・dの目標値θ’・θ’・d’を算出する。
関節変数θ・θ・dの目標値θ’・θ’・d’は、排出口17aが、排出口17aの目標位置Pに存在するときの関節変数θ・θ・dの値である。
排出口位置制御手段134は、上記(数2)を用いて、関節変数θ・θ・dの目標値θ’・θ’・d’を算出する。
ステップS8において、排出口位置制御手段134は、各関節J1〜J3の関節変数θ・θ・dが目標値θ’・θ’・d’になるように、各アクチュエータ31・32・33を操作する。これにより、排出オーガ17の排出口17aが、排出口17aの目標位置P(容器61の直上方)へ移動される(図7(a)及び図7(b)参照)。
このとき、排出口位置制御手段134は、センサ41・42・43の検出値が目標値θ’・θ’・d’になったか否かを確認することによって、排出オーガ17の排出口17aが、排出口17aの目標位置Pに到達したか否かを判断する。
ステップS9において、穀粒排出量制御手段135は、オーガクラッチ19を入状態にして、排出オーガ17の排出口17aから穀粒Kを排出させる(図7(a)及び図7(b)参照)。
以上のように構成することで、上記ステップS3及びステップS4に示すように、機体停止手段131により、機体2の容器61に対する位置決めが行われるので、横付け作業時に、作業者が感覚に頼って機体2を停止させる必要がなくなる。これにより、作業者の熟練度による作業時間のばらつきが抑えられ、作業性を向上させることが可能となる。
なお、上記ステップS3において、機体停止手段131は、撮像手段110により撮像される画像内に前記マーカー121が写っていると判断したときに、機体2を減速させるように構成してもよい。
これにより、機体停止手段131は、機体2の速度を減速させて、撮像手段110の画像のブレを抑えた状態で、機体2が容器61に対して前記所定の位置まで到達したか否かを判断して、機体2を停止させるタイミングを決定することが可能となる。従って、機体2を前記所定の位置でより精度よく停止させることが可能となる。
また、農作物排出装置100(制御装置130)は、停止位置調整手段136を有するように構成してもよい。
停止位置調整手段136は、変速機構3a、ブレーキ機構等に接続されており、機体2の移動・停止位置等を制御することが可能である。
停止位置調整手段136には、撮像手段110が接続されている。停止位置調整手段136は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得することが可能である。
上記ステップS4において、機体停止手段131により機体2が停止されると、停止位置調整手段136は、公知の画像処理解析技術を用いて、機体2の停止位置Sと、前記所定の位置S’との間の位置ずれ量(距離及び方向)を算出する(図8(a)参照)。停止位置調整手段136は、撮像手段110の画像内のマーカー121の位置、寸法、形状等に基づいて、機体停止手段131による機体2の停止後の、機体2と容器61の位置関係を把握して、機体2の停止位置Sと、前記所定の位置S’との間の位置ずれ量を算出する。
そして、停止位置調整手段136は、機体2の停止位置Sと、前記所定の位置S’との間に位置ずれ量が生じている場合、又は、前記位置ずれ量が所定値L以上になる場合には、前記位置ずれ量をなくすように機体2を移動させる(図8(b)参照)。すなわち、機体2を前記所定の位置S’まで移動させる。なお、前記所定値Lは、排出オーガ17の可動範囲等を考慮して適宜設定される。
このように構成することで、例えば、路面が凸凹しているために、撮像手段110の画像にブレが生じやすい環境でコンバイン1の横付け作業を行う場合において、撮像手段110の画像にブレが生じることを考慮して、機体停止手段131が、機体2が前記所定の位置S’まで到達したか否かをラフに判断して、機体2を停止させるように構成したとする。これによると、機体2の停止位置Sと、前記所定の位置S’との間に位置ずれが発生するおそれがある。しかし、このような場合でも、停止位置調整手段136は、機体2が停止している状態で、すなわち、撮像手段110により撮像されるマーカー121の画像にブレが生じにくい状態で、機体2の停止位置Sと、前記所定の位置S’との間の位置ずれ量を算出するので、図8(a)に示すように、仮に、機体2の停止位置Sと前記所定の位置S’との間に位置ずれが発生していたとしても、精度よく位置ずれ量を算出することが可能である。従って、停止位置調整手段136は、機体2を移動させる場合には、機体2を前記所定の位置S’へ精度よく移動させることが可能となる。
なお、本実施形態の農作物排出装置は、コンバインの穀粒排出作業以外にも採用することが可能である。
本実施形態の農作物排出装置は、収穫した農作物(例えば、人参、じゃがいも等)を機体外部へ排出する排出手段を有し、前記排出手段には農作物の排出口及び関節が設けられ、前記関節を動かすことにより前記排出口を移動させることができる走行型収穫機により、収穫した農作物を前記排出手段の排出口から容器へ排出する作業を行う場合にも採用できる。
これにより、上記した農作物排出装置を採用してコンバインの穀粒排出作業を行う場合と、同様の効果を奏する。
1 コンバイン
2 機体
17 排出オーガ
17a 排出口
61 容器
100 農作物排出装置
110 撮像手段
121 マーカー
131 機体停止手段

Claims (4)

  1. 収穫した農作物を機体外部へ排出する排出手段を有し、前記排出手段には農作物の排出口及び関節が設けられ、前記関節を動かすことにより前記排出口を移動させることができる走行型収穫機に関して、前記排出手段の排出口から容器内へ農作物を排出させるための農作物排出装置であって、
    前記走行型収穫機の機体の側部に設けられる撮像手段と、
    前記容器の側部に設けられるマーカーと、
    前記機体の走行時に、前記撮像手段により撮像される前記マーカーの画像に基づいて、前記機体と前記マーカーの位置関係を把握して、前記機体が前記マーカーに対して所定の位置まで到達したと判断したときには、前記機体を停止させる機体停止手段と、
    を備え、
    前記所定の位置は、前記排出手段の排出口から前記容器内に、農作物を排出可能な位置に設定されることを特徴とする、
    農作物排出装置。
  2. 前記走行型収穫機はコンバインであり、前記排出手段は前記コンバインの排出オーガであることを特徴とする、
    請求項1に記載の農作物排出装置。
  3. 前記機体停止手段は、前記機体の走行時で、前記撮像手段により撮像される画像内に前記マーカーが写っていると判断したときに、前記機体を減速させることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の農作物排出装置。
  4. 前記機体停止手段により前記機体が停止された後に、前記撮像手段により撮像される前記マーカーの画像に基づいて、前記機体の停止位置と、前記所定の位置との間の位置ずれ量を算出して、前記位置ずれ量が生じている場合、又は、前記位置ずれ量が所定値以上になる場合には、前記位置ずれ量をなくすように前記機体を移動させる停止位置調整手段を備えることを特徴とする、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の農作物排出装置。
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